吹奏楽

ページ名:吹奏楽

登録日:2019/04/05 Fri 23:16:43
更新日:2024/04/04 Thu 11:37:35NEW!
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吹奏楽とは、音楽の演奏形態のひとつである。


海外では「ウインドオーケストラ」「ウインドアンサンブル」「ウインドシンフォニー」「シンフォニックバンド」と、編成に応じて多種多様な呼び名がある。*1


中世トルコの軍楽隊を起源とし、現在も世界各国に軍楽隊が存在する他に小学校から大学、職場や市民楽団にプロの吹奏楽団まで、世界各国に広められている。吹奏楽編成のために書かれた「オリジナル曲」、オーケストラやブラスバンドなどから編曲された「アレンジ曲」があり、さらにはジャズやロック、ポップス、アニメソング、ゲームミュージックから吹奏楽向けへ編曲された楽曲などが演奏されている。



◆主な楽器

●木管楽器

どちらかと言えば柔らかく上品な音色が特長。
可動部品の多さからメンテナンス性が悪く、かなりデリケートな扱いを要する。
複雑に絡む可動部の一つ一つに油を注し、汚れを綿棒で拭き取り、ネジの緩みを調整し……とやっていると結構な時間がかかる。
また金管楽器と比べて高価。サイズが同程度なら大体1.5~2倍程高い。
消耗品のリード*2が高価である事からランニングコストもかかる*3
また木製の楽器は日光に弱いため、屋外用の合成樹脂製のものも存在する。


全体的な傾向として金管楽器に比べて小型軽量であるため、運搬自体は楽。
フルート・ピッコロなど大き目の筆箱程度のサイズのケースに収まってしまう。
また各部を分解できる性質上、ハードケースもほぼ立方体となるため車輌に積み込む際も場所を取らず、転倒の心配も少ない。
しかし「分解できる」という事は「収納時には分解し、演奏時にはまず組み立てねばならない」という事でもあり、
マウスピースの付け外しと管の調整ですぐに収納・演奏可能になる金管と比べてセットアップに時間がかかるため、一長一短と言える。
また車輌で運搬する際は、振動でキーの調整が狂うのを防ぐためにコルク等を詰めて固定する必要がある事もあり、これまた時間がかかり面倒である。
テナーサックス・バスクラ程度ならまだアタッシュケース程のサイズと重量で収まるが、
バリサク程のサイズになると楽器自体も大きく重い事から、ハードケースでの運搬少々苦労する。
ケース自体にキャスターが付いているものもあるが、そうでない場合は台車などを用意しない限り、重量10~15㎏にも上るケースを手で持たねばならない。
また電車・バスに持ち込む際、そのサイズ故に別料金を取られる可能性もある。



・ピッコロ、フルート

おなじみ横笛。
フルートは現在ではそのほとんどが全身金属製であるため、一瞬「木管」楽器である事に疑問を抱きそうになるが、
元々は木製だった名残で現在でも木管楽器に分類される。
また現代でも木製のフルートは絶滅している訳ではない。有名なプロ楽団であれば木製のフルートを見る事もあるだろう。
主に高音域を担当し、ピッコロはフルートよりさらに1オクターブ高い音域を吹くことが出来る。
夜明け前より瑠璃色な」の登場人物、朝霧麻衣が担当しているのもフルートだったりする。


・オーボエ、ファゴット/バスーン

ダブルリード属と呼ばれ、その名の通り重ね合わせたリードをくわえて息を吹き込み共鳴させることで音を鳴らす、難易度が高い楽器。
ダブルリードは1枚でクラリネット・サックスのリード一箱(5枚前後入り)とほぼ同じ値段と、木管の中でも一際ランニングコストがかかる。
オーボエは高音で明るく、ファゴットは中低音で柔らかい音色が特徴。
初見ではオーボエの音を聞いてチャルメラかと思ったという者も少なくないだろう。
一般にはクラリネット等ほどメジャーではないが、オーケストラではチューニングに使われる楽器であり、地味ながら重要度の高い楽器である。
ファゴットも一般知名度が低く、音自体も決して目立つ感じではないため、見た目にも音楽的にも存在感は薄いと言わざるを得ない。
分かる人が聞けば「ファゴットの有無でバンドの印象は変わる」と称され、決して目立たないながら陰でバンドを支える黒子のような楽器と言える。
日光に弱いため、高校野球では演奏せずサポートに回ったりする。


・クラリネット

E♭管クラリネット、B♭管クラリネット、アルトクラリネット、バスクラリネット、コントラアルトクラリネット、コントラバスクラリネットと一番種類が多い、吹奏楽における一大勢力。
音域はE♭管からコントラバスの順で低くなり、最高音から最低音までフォローできるが、演奏団体の経済事情により所持している種類が変わることが多い。
楽曲の規模によってはすべての種類がフル活用されることもある。
バスクラリネットは長尺な形状から、マウスピースの位置を合わせるためにピアノ椅子を使用する事が多い。
夜明け前より瑠璃色な」の登場人物、遠山翠が担当している。
リードミス*4を如何にして防ぐか、担当者は常に頭を悩ませる事になる。


・サクソフォーン/サックス

誕生から僅か200年足らずという、楽器としては新しい部類に入る音楽界の新参者。そのためクラシック音楽(の原曲)にほとんど登場しない。*5
木管の上品な音色と金管の煌びやか音色の良いとこ取りを目指して開発された経緯を持つ。
果たしてその目論見は成功したのだが、木管の繊細さと金管の汚い音になりやすいという木管・金管両方の欠点も引き継いでしまった。
主にソプラノサクソフォーン、アルトサクソフォーン、テナーサクソフォーン、バリトンサクソフォーンが使われる。
フルート同様、筐体は金属製でも分類は木管楽器。
クラリネットと同じように担当する音域により種類が変わり、どの種類もポップス曲からクラシック曲まで幅広く活躍する。
開口部が多く大きいため、日々のメンテナンスや維持費が大変な楽器でもある。


●金管楽器

木管とは対照的に派手な音色が特長。
形状がシンプルな性質上、一部の大型楽器以外は木管よりは安価な傾向にある。
部品が少ないのでメンテナンスも容易。
日々のメンテナンスといえばピストンやロータリーと管調節部にグリスを塗る程度で済み、また本格的な掃除とあってはぬるま湯にドボンさせる事すらできる。


ピストンを押し込んで音程を変えるものと、バルブをレバーで動かすロータリー式の2種類がある。
トランペットはピストン、ホルンはロータリー式が多い。
しかし中にはピストン式のホルンも存在し、ユーフォ・チューバなどはこの両者が混在している。


ハードケースは木管と比べて大きい傾向にあるが、ユーフォまでは精々スーツケース程度、
トロンボーンも長い分径が細くなるため、そこまで場所を取らない。
また見た目に反して意外と軽く、手で持ち運ぶ分にはそこまで苦労しない。
しかしベル*6の膨らみのためにケースが綺麗な直方体にならず、ベルの出っ張り分スペースを喰う事になるため、
トラック等で運搬する際はスペースを無駄なく使うに当たってパズル的な思考力が必要になる事がある。
例外はチューバ。
大抵キャスターが付いているとはいえ、その圧倒的サイズと重量からハードケースでの長距離運搬は現実的ではないため、
車輌に積載するか、仕方なく人力で長距離運搬する場合は背中に背負えるソフトケースを使用するのが主。


・トランペット

毎度おなじみトランペット。いわゆる「ラッパ」とはコレの略称であり、「ペット」と略されることも。
金管楽器の中でも突出してメジャーな楽器であり、音楽に詳しくない人でも名前や見た目くらいなら知っているものと思われる。
その知名度に違わず、吹奏楽でも花形楽器として扱われ、吹奏楽部でも入部時の希望楽器で競争率が高く、ハズレて涙を飲む人も多い。
吹ける音域は幅広いが、高い音になればなるほど奏者の肉体(主に血管)にとても負荷がかかるので要注意。


・フレンチホルン

単にホルンと呼ばれる事も多く、特に断りが無い場合基本的にホルンと言えばこれを指す*7*8
カタツムリのようにぐるぐるとしていて、豊かな音色で中音域を支える。
外見は同じように見えるが、F管、B♭管、F管/B♭管セミダブル、F管/B♭管フルダブルと種類が多い。
値段が結構お高いので、個人で持つにはなかなか手が出しにくい。
大きいベルを頭に被りたがる奏者が何故か多い。


・トロンボーン

管をスライドして音の高低を変える、こちらもおなじみの楽器。ロータリーを備えより柔軟に音を出せるものもある。
奏法によって柔らかい音色から硬い音まで出せるため、メロディを担当する際にはここ一番という場面で使われたりする。
スライドで奥行きがあるため、前にいる人の頭にぶつけたりしないよう要注意。
ペルソナ4」の登場人物、松永綾音が担当している。


・ユーフォニアム/バリトン

テューバを小さくしたような楽器。略して「ユーフォ」。断じて「UFO」ではない。
抱えられるぐらいの大きさで、メロディから伴奏まで幅広く担当する。
楽譜によっては「バリトン」と表記されている事もあり、バリトンサックスと非常に紛らわしい。
音の高低を変化させる「バルブ」が3本か4本となっていて、4本の場合は3本のよりもさらに低い音を鳴らすことが出来る。
吹奏楽に関わりの深い者以外にとっては非常に馴染みが薄く、吹奏楽部に入って初めて存在を知ったという者も多い。
しかし「人の声に最も近い」とされる柔らかな音色は、あるだけでバンドの印象を変える中々馬鹿に出来ない楽器である。
オーケストラやポップス曲に出てこないため吹奏楽関係者にしか伝わらない長らくマイナー楽器とされていたが、
この楽器を主人公が担当する小説「響け! ユーフォニアムがアニメ化され評判になったこと知名度が上昇。多くのユーフォプレイヤーが感涙にむせんだという。


・テューバ/チューバ

ユーフォニアムを大きくしたような吹奏楽に於ける管楽器としては最大級の楽器。そのサイズ故に担当者は運搬で地獄を見る。
大型故に高価で買い替えが難しく、大抵の学校の吹奏楽部のチューバはダメージないし老朽化が最も深刻。演奏団体によっては製造からン十年以上経過しているものも。
抱きつくようにして持ち、縁の下の力持ちとして最低音を担当する。保持のために専用の小さな椅子が使われることもある。
ほとんどが伴奏担当だが、時々回ってくるメロディに奏者は目を輝かせ、ソロが回ってきた日には誰が吹くかで血で血を洗う抗争が勃発する。
表面積の大きさ、およびメッキなどの材質の関係上、高校野球応援では熱で地獄を見る。
肩に担げるようにやや小型のマーチング用チューバもある他、体に巻きつけるような形の「スーザフォン」もある。スーザフォンは軽量化のために樹脂製のものも。
サイズが大きく、ケースも硬く重量があるため演奏会やコンクールでは引越業者やレンタルのトラックで運ばれることが多い。


・コントラバス

吹奏楽において、ほぼ唯一*9安定的に出番がある弦楽器。
低音を強化するためにテューバとセットで組み込まれていることが多いが、時々木管低音楽器とユニゾンしたり、弦を弾くピチカート奏法(ジャズにおける、いわゆるウッドベース)で光ることも。
持ち運びなどの関係上、高校野球で応援する際にはダブルリード属とともにサポートに回ったりする。
また、演奏会やコンクールではテューバとともに引越業者やレンタルのトラックで運ばれる。
他にはテューバ同様の背負う形で運べるソフトケースが多用されるが、やはりそのサイズから交通機関では別料金を取られる可能性がある。


・打楽器(パーカッション)

スネアドラムやバスドラムにティンパニ、シンバル類や鉄琴(グロッケン、ビブラフォン)に木琴(シロフォン、マリンバ)、チャイムやタンバリンにマラカス、拍子木に銅鑼やドラムセットなど、楽曲によって使われる種類が変わり目立つ場面も多いパート。
管楽合奏曲「…そしてどこにも山の姿はない」*10では6人で33種類の楽器を操ることが要求される。
打楽器はサイズ的に小物も多いが、バスドラムやティンパニ、シンバルにタムタムといった大物かつデリケートな楽器も多いので、こちらも演奏会やコンクールの際にはテューバやコントラバスといっしょに引越業者やレンタルのトラックで運ばれることが多い。


他にもA管クラリネットやバスサクソフォーン、イングリッシュホルンやピッコロトランペットにコルネット、アルトホルンにテナーホルン、ピアノやハープ、チェレスタが加わる楽曲もある。


■全国規模のイベント

◆全日本吹奏楽コンクール

毎年7月から10月にかけて行われる、全日本吹奏楽連盟主催の一大イベント。
夏が近づくと毎年各地域でコンクールが行われているが、全国大会まであるのは中学・高校・大学・職場一般の4部門*11であり、その中でも課題曲・自由曲の両方を演奏する「大編成部門」。
コンクールを目指して進学先を選ぶ生徒もいるほどであり、人数制限がある(だいたい中高大は50~55人、職場一般の部は60人ほど)ほか、演奏時間も課題曲と自由曲の合計12分以内の制限がある。
2024年大会からは「中学の部」を「中学生の部」へと変更。
これは少子化対策や部活の在り方による変化を採り入れたもので、2023年大会までは各学校単位でのみ出場可能だったのが「複数の中学校による合同バンド」や「地域に住む中学生による吹奏楽団」といった形へ門戸を広げたものとなる。


都府県コンクール(北海道は函館、日胆、札幌、空知、旭川、帯広、北見、釧路、名寄、留萌、稚内の11地区で大会が行われる。)
→支部コンクール(北海道・東北・西関東・東関東・東京・北陸・東海・関西・中国・四国・九州とブロック分けがされている。)
→全国大会(大編成)、東日本大会(小編成)
と上位大会を目指していく。
都府県大会の予選として地区コンクールを設けている地域や、都府県コンクール1回で代表を決められずにさらに代表選考会を行っている地域もある。
例えば愛知県の高校は地区→県→県代表選考会→東海→全国、と進んでいく形になる。


中学・高校で人数が少ない部活向けに25~35人以下で自由曲のみ演奏時間7分以内の「小編成部門」もある。こちらは全国大会でなく東日本大会がある。
その他地域によってはさらに少人数の規定だったり地区大会・県大会どまりだったり、中には人数制限がない部門も。大編成部門での人数上限を超えて在籍している部員・団員への演奏機会提供も兼ねている。


日本テレビ系の番組「笑ってコラえて!」で「吹奏楽の旅」として取り上げられたり、ライトノベル・アニメの「響け! ユーフォニアム」では主題になったりと近年注目されている
一方で
「長時間にわたる練習などの活動により生活に支障が出る」
「部活がコンクールで上に行くための活動になってしまい、音楽的基礎・教養を得る機会が失われている*12
「演奏時間内に収めるために作曲者の意図を無視した曲のカットが行われる*13
「審査基準が不透明・曖昧*14
などの問題も内包しているため、しばしば論争の種になったりもする。


◆日本管楽合奏コンテスト

1995年から開催されているコンテスト。吹奏楽コンクールとは異なり、演奏団体が伏せられた状態での予選の音源審査から、上位に選出された団体が本選へと出場。
部門は小学校・中学校・高校に分かれていて、中学校と高校はさらに3~15人のS部門、16~35人のA部門、36人以上無制限のB部門とカテゴリ分けされている。
編成はかなり自由で、キーボード・エレキギター・エレキベースなどの電子楽器やヴァイオリン・ヴィオラ・チェロといった弦楽器も使用可能。ミュージカル的なステージングやステージドリル*15、合唱といった視覚的・聴覚的な演出も可能で、部員がが少ない学校による数人の合同演奏から、100名を超える部員がステージ上でひしめきあう演奏まで多彩な演奏が繰り広げられる。
受賞形式は優秀賞・最優秀賞で、最上位の団体にはグランプリ・文部科学大臣賞が授与される。また、審査員特別賞や協賛団体からの各賞なども存在する。


◆吹奏楽によるシンフォニックジャズ&シンフォニックポップスコンテスト

演奏会などでは歌ったり踊ったりと演奏以外の面が重視されがちなポップス楽曲を演奏面で追求していこうと2013年から始まった大会。
中学校・高校・大学・一般の演奏団体から音源審査によって選抜され、毎年2月に開催されている。
グルーヴ・スウィング感やアドリブが重視され、スタンドプレー以外の過度な演出は禁止。
課題曲+自由曲の組み合わせは吹奏楽コンクールと同じだが、課題曲は年々増えていく中から選ぶことができ、逆に自由曲は複数の演奏が可能で、実行委員会が作成した「推奨リスト」に掲載されている曲以外を演奏したい場合には承認が必要とユニークな選曲方針をとっている。
吹奏楽コンクールと同様に金賞・銀賞・銅賞の各グループを選出した後、最高得点を獲得した団体から総合グランプリ・グランプリ・準グランプリを授与。また、個人に対してもベストプレイヤー賞(第11回大会まではベストソリスト賞)が授与される。前出のとおり、中学生から一般団体まで参加が可能だが、カテゴリは存在せず同じ同一の部門として審査されることから年齢層が高い団体が有利……かと思えばそうでもなく、2024年に開催された第12回大会では圧巻の演奏を見せた中学校が総合グランプリを獲得している。


他にも全日本吹奏楽連盟主催のイベントでは行進主体の「全日本マーチングコンテスト」や、8人以下で合奏する「全日本アンサンブルコンテスト」があり、都道府県・支部単位では1~3月に「新人戦」を実施している地域もある。他団体主催では「中部日本吹奏楽コンクール」*16「こども音楽コンクール」*17などがある。


・2020年以降、新型コロナウイルスがもたらした影響について

2020年初頭から流行しだした新型コロナウイルス(COVID-19)は、「吹いて奏でる」「密集して演奏する」吹奏楽界隈に対して大きな影響をもたらした。演奏団体の活動は休止をやむなくされ、作曲家が発表した新作のデモ演奏も演奏団体によるものではなく、DTM(コンピューター作ったデジタル音楽)を採用せざるをえなかったりと、活動の範囲は非常に限定された。


もちろん各種のイベントも軒並み中止になり、その中には吹奏楽コンクールも含まれていたが、当初は各県・支部・全日本でそれぞれ実施・中止の意向で足並みが揃わず混乱が生じた。その後全面的に中止が発表され、感染対策が講じられた秋頃から代替の大会や演奏会が開かれるようになった。また、2019年まで予選において録音での審査を行っていた日本管楽合奏コンテストは、全国大会において動画審査を実施。予選を通過した各団体が投稿した動画をもとに審査員が審査を行い、ライブ配信で視聴した観衆も感銘を受けた演奏団体へ投票して前後半で表彰するなどの企画が行われた。


2021年は前年の課題曲をそのままスライドさせる形で吹奏楽コンクールが開催されたが、同時期に発布された緊急事態宣言により、宣言下の各自治体では無観客で開催されたり、演奏会場で一堂に会した演奏は行わず管楽合奏コンテストと同様に動画審査へと切り替えられたりと対応に苦慮が生じた。また、残念ながら大会半ばで出場を辞退せざるを得なくなったり、団体内で新型コロナウイルスの陽性者が出たことによる大会への棄権や奏者の変更なども発生している。


各団体による尽力で光明は見えつつあるものの、予断を許さない状況に変わりはない。


◆レパートリー

当然ながら人前で演奏する場合や公開する場合は著作権が関わってくるため、作曲者の没年や遺族の意向など、演奏する環境を要確認のこと。
コンクールも公開演奏かつ、かつ入場が有料のところがほとんどのため、演奏の許諾や著作権料の支払いが必要にある。

●行進曲

吹奏楽といえばこちらを思い浮かべる人も多いはず。
また、吹奏楽の元となったトルコの軍楽隊でも行軍などに使われた。
ヨーロッパではタイケの「旧友」やヨーゼフ・フランツ・ワーグナー*18の「双頭の鷲の旗の下に」といった曲が有名で、アメリカではスーザが「マーチ王」と呼ばれ、「星条旗よ永遠なれ」「雷神」「ワシントン・ポスト」などが今日まで様々な場で演奏されている。
日本でも軍楽の他、伊福部昭の「吉志舞」や團伊玖磨の「祝典行進曲」「新・祝典行進曲」*19を始めとして、吹奏楽コンクールの課題曲としても多数の曲が発表されている。
他にも演奏会やコンクール向けの「コンサート・マーチ」もあり、こちらは行進向きのテンポではなかったり、基本の2/4拍子・4/4拍子・6/8拍子以外のリズムで書かれているものもある。


●オリジナル曲

古典音楽から現代音楽まで非常に幅広く、ヨーロッパやアメリカにおいて無数の曲が発表されている。
古典では18世紀にフランスのゴセックが「古典序曲」、カテルが「序曲ハ調」を発表。
近・現代ではヨーロッパでフローラン・シュミットの「ディオニソスの祭り」やミヨーの「フランス組曲」、アメリカではアルフレッド・リードの「アルメニアンダンス」やフサの「プラハ1968年のための音楽」などが代表曲としてよく挙げられる。
日本では兼田敏の「シンフォニックバンドのためのパッサカリア」や大栗裕の「吹奏楽のための神話 天の岩屋戸の物語による」などから吹奏楽オリジナル曲が発表され始める。
毎年日本人作曲家の楽曲を演奏するヤマハ吹奏楽団浜松の演奏をきっかけにして様々な曲が日本の楽団へと広がっていき、2000年代に入ってから様々な楽団で天野正道や長生淳、福島弘和や酒井格などの作曲家の楽曲が採り上げられ、日本人作曲家の楽曲が演奏される機会が増えていった。
近年では様々な作曲家へ新曲を委嘱し、コンクールやその直前の演奏会で初演するなんてパターンも。
管弦楽曲や定番曲と言われる吹奏楽曲とは違い聴きなじみがない分、各種大会の審査員泣かせではある。


●アレンジ曲

オーケストラからのアレンジ曲も、吹奏楽でのレパートリーのひとつである。
昭和15年の第1回吹奏楽コンクール*20のプログラムにもワーグナーの歌劇「タンホイザー」やロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」、ヴェルディの歌劇「アイーダ」といった楽曲が並び、昭和40~50年前後からラヴェルやストラヴィンスキー、ドビュッシーやレスピーギといった作曲家の近・現代の作品が演奏されるようになった。
アレンジ曲は基本的に弦楽器をクラリネット属やサクソフォーン属へ割り振って再編したり、管楽器のみで演奏できるよう移調する曲もあって、原曲とは雰囲気が異なることにより吹奏楽で時折論争の種になることもある。


レパートリーで有名な一方、著作権上注意点の例があり、

  • 演奏会やコンクールの演奏が録音・録画出来なかったり(保護期間における一部ラヴェルやR.シュトラウス作品、現行の一部ハチャトゥリアンやコダーイ作品など。)、
  • それまで演奏できていた編曲が使用不可になったり*21
  • そもそも編曲・演奏自体が許されない楽曲*22といったものがある。

●ポップス曲

こちらも吹奏楽での定番で、多くの楽団が演奏会でポップスのみのステージを設けていたり、プロの吹奏楽団でもポップスステージだけの演奏会を開くこともある。
日本ではヤマハミュージックメディアが様々なポップス曲を編曲したレコード・CDと楽譜のシリーズ「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」を1972年から毎年発表している。
記念すべき1曲目は「オブラディ・オブラダ」。高校野球の応援で有名な「アフリカン・シンフォニー」や「響け! ユーフォニアム」で採用された「宝島」などの定番曲も、このシリーズから広まっていった。
また、流行のポップス曲や最新曲を小・中学生でも演奏できるようにアレンジした楽譜がミュージックエイト社やウインズスコア社より発売されている。



◆アニヲタ的関連

●作曲家

・天野正道

「うる星やつら オンリー・ユー」「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」「新海底軍艦」「プリンセスナイン 如月女子高野球部」「秘境探検ファム&イーリー」「てなもんやボイジャーズ」「しあわせソウのオコジョさん」「海のオーロラ」「ストラトス・フォー」「バトル・ロワイアル」「劇場版 甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道」などのBGMを担当。
音大生であった70年代半ば頃からイゴール・ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」「春の祭典」「火の鳥」などを吹奏楽向けに編曲し、2000年頃には「ジャイアントロボ」のBGMを自ら吹奏楽向けに再編した"交響組曲第2番「GR」より"を発表するなど精力的に活動。2023年の吹奏楽コンクールでは、全日本吹奏楽連盟より委嘱された課題曲として純然なポップス曲「レトロ」が発表された。また、「吹奏楽によるシンフォニックジャズ&シンフォニックポップスコンテスト」では大会代表と審査員長を務めている。
オリジナル曲として「二つの指輪、レンブレム・トゥ・ゴート ~カリオストロへのオマージュ~」*23、アレンジ曲として「ヱヴァンゲリヲン新吹奏楽版」を発表するなど、2023年現在においても多くのオリジナル曲・アレンジ曲を発表し、幅広い年代の人気を得ている。


・宮川彬良

「大草原の小さな天使 ブッシュベイビー」「星のカービィ(アニメ版)」「真マジンガー 衝撃! Z編」「宇宙戦艦ヤマト2199」などのBGMを担当。数多くのポップス曲や「宇宙戦艦ヤマト」の劇伴などを担当した宮川泰の長男で、舞台音楽に携わっている。代表作は「マツケンサンバ」シリーズ。
NHK教育テレビで放送されていた「クインテット(NHK)」の「アキラさん」でおなじみの人もいるはず。また、「宇宙戦艦ヤマトⅢ」でも2曲ほど作曲で参加したり、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」では「白色彗星」のパイプオルガンを弾いたりしている。
父が作曲した「宇宙戦艦ヤマト」を吹奏楽向けに編曲したり、「命」をテーマとした手塚治虫の作品に触発されて作曲したオリジナル曲"吹奏楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」"や、初めて自分なりの"現代音楽"に挑戦した「現代吹奏画報」を発表するなど吹奏楽への関わりが深く、プロ吹奏楽団の「オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ」では音楽監督を務めている。
2020年度→2021年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲に、全日本吹奏楽連盟からの委嘱作品として「僕らのインベンション」が選曲された。


・和田薫

「RPG伝説ヘポイ」「宇宙の騎士 テッカマンブレード」「疾風!アイアンリーガー」「ゲゲゲの鬼太郎(第4シリーズ)」「金田一少年の事件簿」「ToHeart(アニメ版)」「犬夜叉」「プリンセスチュチュ」「D.Gray-man」「逆転裁判(アニメ)」などのBGMを担当。
音大在学中にオリジナル曲「土俗的舞曲」が吹奏楽コンクールの課題曲に採用され、その「土俗的舞曲」を含めた管弦楽の組曲「オーケストラのための民舞組曲」を発表。以降も自作の管弦楽曲"交響的印象「海響」""交響詩「天地人」"を吹奏楽編成へ改作したり、オリジナル曲を発表する他に自作「犬夜叉」のBGMを自ら吹奏楽向けと吹奏楽+邦楽器アンサンブルに再編するなど精力的に活動している。また、師匠である伊福部昭の楽曲"マリンバと管弦楽のための「ラウダ・コンチェルタータ」"の吹奏楽向け編曲にも携わった。


・長生淳

「三國志Ⅳ」「八雲立つ(ドラマCD版)」のBGMを担当。
吹奏楽のための交響曲や四季をテーマにした「四季連祷」シリーズ、「紺碧の波濤」「パガニーニ・ロスト イン・ウインド」「時に道は美し」など、色彩感豊かな吹奏楽オリジナル曲を多数発表し、コンクールだけでなく演奏会などでも作品が取り上げられる機会が多い。また、三枝成彰が劇伴を担当した"交響組曲「機動戦士Ζガンダム」"や"機動戦士ガンダム 逆襲のシャア"を吹奏楽向けへ編曲し、航空自衛隊航空中央音楽隊などにより演奏されている。


・松田彬人

多数のアニメ・ゲームのBGMやボーカル曲を担当する作・編曲家。代表作は「響け! ユーフォニアム」「中二病でも恋がしたい!」「犬とハサミは使いよう」「まじかるサマー壊決天使 エグゼキュート」等々。
「響け! ユーフォニアム」では自身初となる吹奏楽曲「三日月の舞」を作曲し、重要な場面となる吹奏楽コンクールでは7分間にもわたるフル尺の演奏シーンが描かれ、作品に華を添えた。
また、外伝作となる「リズと青い鳥」では全4楽章・22分にわたる組曲を作曲し、8分45秒にまとめたコンクール編曲版とともにサウンドトラックに収録。続編の劇場作品「響け! ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~」 においても引き続き採用され、重要な役割を果たしている。


・大島ミチル

こちらも多数のアニメ・ゲームやドラマ・映画の劇伴音楽を担当する作・編曲家。代表作はドラマ「天地人」「ショムニ」「ごくせん」「おみやさん」「美少女戦士セーラームーン」、映画「長崎ぶらぶら節」「ゴジラ×メカゴジラ」「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」、アニメ「鋼の錬金術師」「のだめカンタービレ」「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」「魔法使いTai!」「劇場版 はいからさんが通る」、ラジオドラマ「魔神英雄伝ワタル3」、ゲーム「蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史」「ICO」などなど、枚挙に暇がない。
2025年の吹奏楽コンクール課題曲Ⅲを作曲することが、本人のX(旧Twitter)にて発表された。吹奏楽とはあまり関わりがないように思われているが、実は前出の「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズにて、1996年に映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の楽曲メドレー、2009年に自作曲でもあるNHK大河ドラマ「天地人」のオープニング曲*24の吹奏楽編曲を担当していたりする。


・ヨハン・デ=メイ

オランダの作曲家。直接アニメやゲームの音楽には関わっていないが、代表作にJ・R・R・トールキンのファンタジー小説から着想を得て1988年に作曲された"交響曲第1番「指輪物語」"がある。
第1楽章「魔法使いガンダルフ」、第2楽章「エルフの森"ロスロリエン"」、第3楽章「ゴクリ(スメアゴル)」、第4楽章「暗闇の旅 (a.モリアの坑道、 b.カザド=ドゥムの橋)、第5楽章「ホビットたち」の全5楽章、約40分の構成で作品世界をドラマチックに表現し、発表から30年以上経った今でもなお日本はもちろんのこと、世界中で演奏され続けている楽曲。
作曲者本人の指揮で演奏した動画がYoutubeのアメリカ海軍軍楽隊チャンネルにおいて公開されている。



●レパートリー

「ルパン三世」「名探偵コナン」「ONE PIECE」などの人気アニメ主題歌や、ガンダムシリーズにドラゴンクエストシリーズ、宮崎駿作品などのBGMをメドレー・組曲形式にアレンジした楽曲が好まれている。「響け! ユーフォニアム」のアニメ版放送後には、作中でのオリジナル曲「三日月の舞」「リズと青い鳥」が採り上げられることも。
コンクールで結果を出した例もあり、過去には「千と千尋の神隠し」の吹奏楽メドレー版が全日本吹奏楽コンクールの全国大会一般の部の舞台で演奏されたことがある。


中でも天野正道が手がけた「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」「新海底軍艦」「プリンセスナイン 如月女子高野球部」「秘境探検ファム&イーリー」「海のオーロラ」「ストラトス・フォー」「バトル・ロワイアル」は自身の手で吹奏楽向けの交響組曲として再編され、コンサートやコンクールのレパートリーとして親しまれている。特にジャイアントロボの楽曲を組曲形式として再編した"交響組曲第2番「GR」より"と"「GR」より シンフォニック・セレクション"は、中学生から一般楽団まで幅広い年代で支持を得ている。


また、アニメ・ゲーム音楽系の吹奏楽団では自前で楽曲を編曲して演奏会で発表したり、中には正式に許諾を得てCDや楽譜を市販するというパターンも存在する。


・天野正道

  • 交響組曲第2番「GR」より(吹奏楽全曲版)*25
    • 「GR発動す!!~GR1号vsGR2号~」「大団円へのプレリュード」「運命の聖アーバーエー」「十傑集出動せよ!」「第3巻エンディングテーマ」。オプションとして「トレインチェイス」も用意されている。
  • 交響組曲第3番「GR」より
    • 「戴宗の逆襲」「序曲」「反撃の時~大作の決意」「逆転!ロボvsウラエヌス」「国際警察機構」
  • 「GR」より シンフォニックセレクション
    • 「大作のテーマ」「十傑集vs幻夜」「シズマの償い」「真実のバシュタール」「GR発動す!!~GR1号vsGR2号~(終結部)」「壮絶!梁山泊エキスパート戦」「国際警察機構」
  • 「GR」より 明日への希望
  • 交響組曲第1番 (新海底軍艦)
  • 交響組曲第4番「FI」 (秘境探検ファム&イーリー)
    • 「序曲」「歓喜と希望(ファム&イーリーのテーマ)「逃走と追跡 Fuite et poursuite」「新たなる道」「狂信~旅の終わり La folie~」
  • 交響組曲第5番「NR」 (魔界転生)
    • 「伝説」「救世主」「黙示録の戦士」「堕天使」「転生」
  • 交響組曲第6番「PN」 (プリンセスナイン 如月女子高野球部)
  • 交響組曲第7番「BR」 (バトル・ロワイアル)
    • 「『レクイエム』〜プロローグ」「新世紀教育改革法 (BR法)」「ゲーム開始」「施設の思い出」「殺戮者たち」「友情〜盗聴」「桐山の襲撃」「三村の決意」「幸枝と七原〜毒薬」「教師と生徒/ファイナルバトル」「新たなる旅立ち」
  • 交響組曲第8番「SIN」 (sin THE MOVIE)
  • 交響組曲第9番「海のオーロラ」
    • 「深海」「圧壊」「予言」「脱出」「地上」「メインテーマ」
  • 交響組曲第10番「BRⅡ」 (バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌)
    • 「レクィエム」「鹿之砦中学3年B組」「出撃の時」「地雷原」「七原秋也の戦い」「大いなる遺産」「明日への戦い」「教師と生徒パート2」「栄光のレジスタンス」「エピローグ」
  • 交響組曲「MK2」(甲虫王者ムシキング スーパーバトルムービー 〜闇の改造甲虫〜)
  • 「ストラトス・フォー」より 5つの断章
    • 「S.S.計画」「試練」「平和への祈り」「彗星接近~巨大彗星の脅威「飛翔!!ストラトス・フォー」

・宮川彬良

  • 吹奏楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」
  • アニメ「星のカービィ」より カービィ★マーチ/強いぞ星の戦士
  • 「宇宙戦艦ヤマト2199」ヤマト音楽団大式典2012
    • 「オーバーチュア」「サスペンスA」「探索艇」「無限に広がる大宇宙」「艦隊集結」「地球を飛び立つヤマト」「新コスモタイガー」「永遠に讃えよ我が光(ガミラス国歌)」「銀河航路」「ヤマト渦中へ」「大河ヤマトのテーマ」
  • 交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」 (宮川泰・作曲)
    • 「序曲」「宇宙戦艦ヤマト」「出撃」「大いなる愛」

・和田薫

  • 犬夜叉幻想 (犬夜叉)

・三枝成彰*26

  • 序曲「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア」
  • 交響組曲「機動戦士Zガンダム」(長生淳・編曲)
    • 「Zガンダムのテーマ」「戦争と平和」「恋人たち(閃光の中のMS)」
  • 交響組曲「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア」(長生淳・編曲)
    • 「メイン・タイトル」「ネオ・ジオン軍」「クェス・パラヤ」「犠牲」「格闘」「オーロラ」
  • エルファリア組曲 (森岡賢一郎・編曲)
    • 「プロローグ」「水の国カナーナ」「土の国フォレスチナ」「風の国エルファリア」「エピローグ」

・すぎやまこういち

  • 吹奏楽によるドラゴンクエスト (真島俊夫・編曲)
    • PartⅠ(Ⅰ~Ⅲ)、PartⅡ(Ⅳ~Ⅵ)、PartⅢ(Ⅶ・Ⅷ)で構成されている。
      • 過去には「ドラゴンクエスト・イン・ブラス」というシリーズも存在したが、音源・楽譜ともに絶版になっているため入手は非常に困難。「吹奏楽による~」は交響組曲版に近いアレンジが多く、「~イン・ブラス」シリーズは独特なアレンジが多い。

・浜口史郎

  • ガールズ&パンツァー組曲 (辻峰拓・編曲)

・「響け! ユーフォニアム」シリーズより

  • 三日月の舞 (松田彬人・作曲)
  • リズと青い鳥 (松田彬人・作曲)
  • ヴィヴァーチェ! / DREAM SOLISTER / トゥッティ! (松田彬人・編曲)
  • 「響け! ユーフォニアム」メドレー (金山徹・編曲)
    • 他、様々な出版社から主題歌などの楽譜が編曲・販売されている。

・「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズより

  • 「もののけ姫」メドレー
  • アニメ・メドレー 〜久石譲作品集〜
  • ルパン三世のテーマ
  • ジャパニーズ・グラフィティⅧ 〜ウルトラ大行進!〜
  • 久石譲作品集2
  • 鉄腕アトム
  • アニメ・メドレー 〜翔べ!ガンダム〜
  • ファイナル・ファンタジー
  • アニメ・メドレー「ハウルの動く城」より
  • ジャパニーズ・グラフィティXIII「スポーツは青春ダァー!」
  • スーパーマリオブラザーズ
  • ジャパニーズ・グラフィティXV アニメヒロイン・メドレー
  • ボカロ ヒット・メドレー
  • ジャパニーズ・グラフィティXVIII アニメ・ヒーロー大集合!
  • FLY ME TO THE MOON
  • 英雄の証 〜「モンスターハンター」より
  • 君をのせて ~ 「天空の城ラピュタ」より
  • キッズアニメ・メドレー
  • グランブルーファンタジー・メインテーマ
  • 宇宙戦艦ヤマト・ハイライト
  • 「君の名は。」メドレー
  • サマーウォーズ

●吹奏楽を題材とした作品

90年代頃からゲーム「ときめきメモリアル」や学園モノの漫画で部活の一環としてわずかに書かれることはあったが、"吹奏楽部"そのものを舞台にした作品は非常に少なく、専門誌「BandPeople」*27にて連載されていた小説「青春すこんぶ」「外旭川中学校殺人事件」や単発の4コママンガなどに限られていた。
当時は「吹奏楽がマイナーな存在だから」というのもあったかもしれないが、それ以上に吹奏楽は「音」が命であるため、視覚のみに限られる小説や漫画では表現が難しかったり、描写すべき楽器の構造が非常に細かいためにあまり手を付けられていなかったという可能性も考えられる。


潮目が変わり始めたのは1999年。
週刊ヤングサンデーで柏木ハルコ作の漫画「ブラブラバンバン」が連載され、テレビドラマでも当時一世を風靡していたダンス&ボーカルグループのSPEEDが主演したTBS系ドラマ「L×I×V×E」が放送されるなど、にわかに吹奏楽を題材とした作品が出始め、2006年にはゆずソフトによる学園音楽ライフ満喫アドベンチャーゲーム「ぶらばん! -The bonds of melody-」が発売され、美少女ゲーム界にも進出を果たした。


2008年にはジャンプスクエアで「放課後ウインドオーケストラ」、別冊マーガレットで「青空エール」と、同じ集英社で吹奏楽部を舞台とした作品が始まる。前者は残念ながら4巻打ち切りとなってしまったもののしっかりとまとめ上げ、後者は全19巻のロングランを果たした。
集英社ではその後も週刊少年ジャンプ*28で「SOUL CATCHER(S)」を連載するなど、何かと吹奏楽と縁が深い。


そして2013年、宝島社文庫から小説「響け! ユーフォニアム」が発行され、その青春物語は小説にとどまらずアニメにも舞台を移し、オリジナルの楽曲「三日月の舞」を引っさげて吹奏楽の演奏風景やコンクールをしっかりと描写し、多くの吹奏楽ファンを唸らせた。
演奏も実際に洗足学園音楽大学の1年生が担当し、サウンドトラックでは「三日月の舞」はもちろんのこと、リムスキー・コルサコフの"交響組曲「シェエラザード」"やボロディンの歌劇"「イーゴリ公」より だったん人の踊り"、T-SQUAREの「宝島」にYMOの「RYDEEN」といった、作中で使用された楽曲を余すことなく収録。
作品はアニメが2期、映画版が4作制作され、2023年8月に5作目「特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜」が公開され、2024年4月からは第3期「3年生編」の放送が開始される。


2016年には、かつて実在した神奈川県立野庭高等学校の吹奏楽部*29をモデルにしたTBS系ドラマ「仰げば尊し」が放送されるなど、作品数こそさほど多くはないが、吹奏楽を舞台にした作品を目にする機会は増えている。


【ライトノベル】


【マンガ】

  • 青空エール
  • たんさんすいぶ
  • ブラブラバンバン
  • SOUL CATCHER(S)
  • 放課後ウインド・オーケストラ
  • うらバン!浦和泉高等学校吹奏楽部
  • ひかるファンファーレ
  • 7時間目の音符
  • tutti!
  • ブラボー!
  • たらのめ高校吹奏楽部
  • もしも楽器が吹奏楽部員だったら!?
  • 吹彩
  • アンダンテ
  • 小檜山中学吹奏楽部
  • ヒビキノBB
  • 吹奏楽に恋をして!

【ゲーム】




追記・修正は1曲の中でソプラノサクソフォン→コントラバス→フレンチホルン→パーカッション→ソプラノサクソフォン→ファゴットと掛け持ちしながらお願いします。


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  • 打楽器担当はほぼ希望楽器からあぶれた人たちばっかなのかな? -- 名無しさん (2019-04-06 00:39:26)
  • 打楽器はドラムセットや鍵盤打楽器のソロもあるから、それを狙いにやってくる新入生も多いよ。希望楽器からあぶれると、だいたいテューバとかの低音楽器に回されるという……(実体験済み) -- 名無しさん (2019-04-06 00:59:49)
  • 文化系の部活だが、実質体育会系と変わらない体力を要求される部活でもある。 -- 名無しさん (2019-04-06 09:57:28)
  • 吹奏楽を題材にした作品って、少ないんだな。 -- 名無しさん (2019-04-06 10:09:35)
  • コントラバス、デカくて低くて好きだ……。 -- 名無しさん (2019-04-06 10:11:31)
  • 運搬とかについても書いて良いかもね。たまに電車で運搬用のクソデカバッグ背負ったJKとか見ると、「この娘とヨーイドンしたら負けるやろなぁ」って思わせる迫力があるよ、アレは。 -- 名無しさん (2019-04-06 15:46:28)
  • ↑3 本文にも書いてるけど、とにかく「音」または「楽器の構造」がネックになる。物語も吹奏楽そのものより、所属してる人間の青春活劇が多いんじゃないかな。 -- 名無しさん (2019-04-13 22:48:40)
  • 文化系の中でも体育会系なノリや体力やコミュ力が要求されるがその割に他体育会系のようにキャリアに有利になる要素があるかといえばそうではないコスパの悪い部活。特に高校から大学に進学する時点でかなりの数の人間が辞めるため就活などのキャリアパスにはほぼ無意味。 -- 名無しさん (2019-04-14 00:44:40)
  • 棒の先にハープのような形の木琴をつけた楽器の名前がいまだにわからない。なんていうんだろうか? -- 名無しさん (2019-04-16 09:46:36)
  • ↑「ベルリラ」か?でもあれは鉄琴だから違うか…? -- 名無しさん (2019-04-17 07:32:24)
  • さかなクンさんは学生時代、吹奏楽部を「水槽学部」と勘違いして入部してしまったのは有名な話。だがそのおかげで音楽も好きになり、今でもサックス系はプロ級の腕前。 -- 名無しさん (2022-05-19 16:47:17)
  • マーチングには触れない感じ?あれガチでやりだすと本格的に運動部と化す(つーか超えてた)。大会にコントラバス出られないから帯列の人数合わせに金管渡されたなぁ -- 名無しさん (2022-05-19 18:01:17)

#comment

*1 「ブラスバンド」と呼ばれることもあるが、こちらは通常イギリス式の金管バンド(金管楽器のみと打楽器で構成)を指す呼び名なので注意されたい。
*2 葦をへら状に加工したもの。これを振動させる事で音を鳴らす。金管楽器は自身の唇をリードとする。
*3 真面目に買い替えると月に数千円はかかる
*4 本来の音色が出ず、不快な甲高い音が出てしまう事象。
*5 ビゼーの「アルルの女」、ドリーブの「シルヴィア」など、わずかながらにはある。リヒャルト・シュトラウスの「家庭交響曲」ではソプラノ、アルト、バリトン、バスの各サクソフォンが使用されている
*6 先端の口が広がっている部分。
*7 本来は金管楽器はトランペットもトロンボーンも全て「ホルン」の一種である。
*8 「イングリッシュホルン」というものもあるがこちらはオーボエに似た楽器。またスイスの楽器として有名な「アルペンホルン」が吹奏楽で使われる事はまず無い。
*9 但し、アメリカ軍楽隊の編成で書かれた楽曲についてはチェロが加わることもある。
*10 厳密に言えば吹奏楽曲ではないのだが、1991年に埼玉栄高校が吹奏楽コンクールで演奏されてから吹奏楽曲として採り上げられることが多い。
*11 小学生向けの部門もあるが、こちらは県によって開催されたりされていなかったり、全国大会にあたる大会は「小学校バンドフェスティバル」となる。
*12 コンクール課題曲の中には音楽史や明確な音楽的課題を設定して作曲されたものもあるのだが、現実にはそうした曲よりもとっつきやすさや自由曲とのメリハリのためにマーチ曲を選ぶ団体が多いのが実情である。
*13 極端な実例としては、85分ある楽曲を8分にカットするなど。中には日本のみならず、海外の作曲家から苦言を呈される例もある。
*14 支部大会までだと点数に加えて審査員から講評コメントがつくこともあるが、全日本コンクールは採点評価のみ。過去には全日本吹奏楽連盟の会報にて全国大会の審査結果の一覧、および点数が公表されていたが、2012年をもって終了。また、審査基準も過去は「課題曲・自由曲それぞれの技術と表現の評価をA~Eとして配点する」ものであったが、2023年現在は「課題曲・自由曲を含めて、A(金)・B(銀)・C(銅)の評価を連盟から決められた数だけ厳守し配分する」形式へと変更されている。
*15 ステージ上でのマーチング。
*16 中日新聞・中部吹奏楽連盟主催の中学・高校向けの吹奏楽コンクール。富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県・滋賀県の団体が参加し、課題曲も市販されている独自のものを採用している。
*17 ラジオネットワークのNRN加盟局、及びテレビネットワークのJNNに加盟するテレビユー福島主催の小中学生向けコンクール。休日の早朝に各局でラジオ・テレビ放送される。
*18 楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」などを発表したリヒャルト・ワーグナーとは無関係。
*19 「祝典行進曲」は昭和、「新・祝典行進曲」は平成時代の皇太子殿下の婚儀のために作曲・演奏された。
*20 当時は「集団音楽大行進並大競演会」と銘打たれていた。
*21 ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」の日本人作曲家による編曲版が、1994年頃を境に演奏不可となっている。
*22 1995年までのバルトーク作品。1980年初め頃までは著作権意識が緩かったこともあってか演奏されていたが、1983年を境にして編曲・演奏不可となっていた。
*23 タイトルからして「ルパン三世 カリオストロの城」を連想させる楽曲なのだが、収録されているCDなどに解説がないため詳細は不明。曲中にもオマージュと思われるフレーズがちらほらと現れる。
*24 「天地人」は作曲家の星出尚志との共同編曲。
*25 全曲演奏すると約55分かかる管弦楽版から約16分へと抜粋されている。
*26 現代音楽、および商業音楽の作曲家。1985年の吹奏楽コンクール課題曲として、NHK新大型時代劇「宮本武蔵」のメインテーマを改作した「Overture FIVE RINGS」を発表するなど、吹奏楽にも関わりがある。
*27 かつて発行されていた吹奏楽雑誌。1999年に廃刊。
*28 その後少年ジャンプNEXT!!→少年ジャンプ+と掲載誌が変更
*29 元NHK交響楽団・読売日本交響楽団団員の中澤忠雄が指導。着任してからの14年間で8度全国大会に出場し6度の金賞を授賞したが、最後の全国大会金賞に輝いた翌年の1996年8月に中澤は逝去し、高校は2002年を最後に統廃合された。

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