王都妖奇譚

ページ名:王都妖奇譚

登録日:2018/05/25 Fri 22:45:10
更新日:2024/02/26 Mon 13:38:34NEW!
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王都妖奇譚は1990年から2002年まで、主に『プリンセスGOLD』(秋田書店)で連載された少女漫画。
陰陽師・安倍晴明を主人公とした漫画である。
作者はルパン・エチュード等の岩崎陽子。


安倍晴明を主人公とした作品といえば『陰陽師』が代表的だが、こちらも実写ドラマ化やドラマCD化されている。
ある程度時代背景や史実に忠実な『陰陽師』とは違い、本作はいかにも少女漫画らしいキラキラしたビジュアル重視の絵柄と、少年漫画のようなド派手なアクションが主体。
登場人物は一部を除いて大半が架空の人物である。


序盤は安倍晴明と相棒・藤原将之が怨霊がらみの事件を解決していく一話完結型のストーリー。
中盤以降はそれと並行して晴明と元兄弟子・橘影連との因縁の対決を描く長編が描かれる。
前述したようにエンタメを追求するために史実や風習をあえて無視している部分が多い。
また登場人物も現代語バリバリでしゃべるので違和感を覚える読者も多いかも知れない。
しかし次々登場するアクの強いキャラとド派手なアクション、特に中盤以降は尻上がりに面白くなっていくストーリーで多くのファンを獲得した。
全キャラによる総力戦となる影連との決戦は圧巻。



【登場人物】

(「CV」はドラマCDの、「演」は実写ドラマ版のキャスト)


CV: 井上和彦 演:三上博史


若き天才陰陽師。銀髪金瞳の異貌の持ち主。
幼いころより強い霊力や未来予知などの異能を持ち、養父により陰陽寮に追われた過去を持つ。
一見怜悧で礼儀正しいため宮中では人格者扱いされているらしいが、それは外面で、本性は偏屈で毒舌家。割と短気で暴力的で陰険。おまけに将之を酔い潰すレベルのウワバミ。将之曰く『二重人格者』。


生まれ持った能力を攻撃に転化した方術を得意とする。また予知能力は将之がらみを除けばほぼ百発百中。
陰陽師としての知識や技術は非常に深いが影連には劣り、力押しの戦闘スタイルが主体。
自らの異能に振り回されがちで、精神状態によってはこの世の理を覆すほどの力を発揮したかと思えば、雑魚鬼にまでやられかけるなど発揮できる力が安定しない。


異能者であるがゆえのコンプレックスから、当初は自己評価が低く陰気な性格だったが、作中において次第に能力との付き合い方を学び成長していく。


将之のことは相棒として友人として絶大な信頼を寄せ、その明るさに救われてもいるが、あまりの自由奔放ぶりに散々振り回され尻拭いを手伝わされることも多く、ガチ切れして説教したりたまに鉄拳制裁に及ぶことも。
ちなみに美形だが将之へのツッコミ時などには結構顔面崩壊している。


影連とは内弟子時代の同室であり、かつては兄のように慕っていたせいか、敵になってからも本気で戦うことができず後手後手にまわり、その強大化を許してしまう。


影連を倒すことで救うことを最終的に決意、最終決戦においては仲間たちの後押しを受け、影連との一騎打ちに挑んだ。


使用する式神は十二神将の他、蜘蛛の化身の唐糸、呪符を変化させた白鷺やネズミなど多彩。
近接戦の得物には錫杖(作者曰く 鈍器)を使用する。



  • 藤原 将之ふじわら の まさゆき

CV:山寺宏一 演:保坂尚輝


晴明の相棒にして親友。蓬髪を括り上げ、簡素な衣装に身を包んだ体格のいい青年。
しろがねという馬を飼っている。


宮中随一の勢力を誇る名門公家・藤原家の嫡流にして、右大臣の四男、かつ時の天皇陛下の正妻である彩子の実弟という貴公子のはずなのだが、
本人は根っからの武人気質で、超人的ともいえる戦闘力・生命力を誇る。戦い慣れもしており、ある場面では晴明から普通に「武士」と呼ばれていた(本来は公家)。
反面、霊力は皆無。小鬼が頭に乗っても気付かない。妖術にもすぐ引っかかる。


晴明とはある事件で共闘したことで意気投合。
幼少期のトラウマからか陰陽師嫌いだが、なんだかんだ言いつつ晴明の仕事を手伝ったり晴明の家や陰陽寮に出入りしたりするように。
ちなみに左近少将という立派な肩書きがあるが事務仕事などはサボりがちのよう。


陽気で超がつくほど前向き、豪快で酒飲みで自由奔放。大抵の人にはフレンドリーなムードメイカー。
女っ気がないのが悩みの種。
尋常ではない生命力と意志力の持ち主であり、晴明に不幸な予知をされても意志の力でなんとかしてしまうケースが多い。
ただし、超がつくほどの受難体質な上に、退屈しのぎに厄介ごとに首を突っ込んだりすることも多く、
しょっちゅう取り憑かれたり死にかけたり1回死んだりしている。
なにかやらかしては彩子や晴明に怒られており、彩子からは『馬鹿な弟』、晴明からは『一緒にいると心配、目を離すとさらに心配』などと言われる始末。一話完結エピソードの事件の大部分が彼がらみである。


上述したように、実家は藤原家嫡流にして現役右大臣という超名門なのだが、母の不幸な死や異母兄による暗殺未遂、藤原の血のせいで影連に狙われるなど、家や家族がらみではロクな目にあっていない。
そういう境遇のせいか、晴明に対してさりげなく「われら藤原こそ現役の鬼」と語ったこともある。
しかしそれに飲まれず真っ直ぐに生きることをポリシーにしている。また、晴明が問題を起こした際には藤原の名でもみ消しを図るなど、貴族らしいしたたかな一面もある。


戦闘時は太刀や弓を使用。大一番では千早丸や膝丸といった借り物の霊力刀を得物にする。
最終決戦では影連の呪物の仕掛けられた難所を単独で攻略する活躍を見せた。


なお、誰得の悪夢のような女装を何度か披露している。



  • 千早ちはやの君

CV:冬馬由美 演:野波麻帆


本作のヒロイン。彩子付の女房である愛らしい女性。
晴明を凌ぐほどの見鬼の才の持ち主であり、霊力刀「千早丸」をお守りとして所有している。
天然気味でのんびりした喋り方をする一方、気丈で大人びた考え方をする面も。
大物雑魚問わず鬼が大嫌いで、鬼や妖物をみるとパニックを起こして周りの人間を殴ったり、机を振り回したり投げつけたりする。
難儀なことに晴明の式神とかの区別もつかないため、晴明を一度机で撲殺しかけた。


中盤で晴明を助けて以降、お互いに惹かれ合うようになるが、お互い奥手すぎてなかなか進展しない。
将之とは友人として仲が良く、よく千早丸を貸し出している。
終盤では氷月と行動する機会が増え、最終決戦では協力して宮中の影連の呪物を攻略した。



  • 小野 氷月おの の ひづき

CV:富沢美智恵 演:加藤貴子


宮中で働く女房の一人。将之に警告する謎の女として登場した。
目つきが鋭く口元にほくろがある若い女性。


かつて「野狂」と呼ばれた小野 篁おののたかむらのひ孫であり、その正体はこの世とあの世を行き来する『冥官』。
この世に迷った死霊を閻羅皇の命令で狩っており、影連もターゲットの一人である。
地味な外見だが態度が大きい上に毒舌家でわがまま。同族嫌悪なのか晴明とは犬猿の仲。
面倒な任務を晴明に押し付けにやってきては晴明と罵倒合戦をしている。
本来は仲間思いの優しい性格であり、なんだかんだで晴明らを助けることも多い。
将之や千早とは結構仲が良い模様。


使い魔は牛頭鬼と馬頭鬼。


ちなみに小野篁は実在の人物で、しかも冥府の役人という伝説で親しまれるなど、ある意味晴明の先輩といえる人物でもある。



  • 賀茂 忠行かも の ただゆき

CV:永井一郎 演:筒井康隆


晴明や影連の師匠。小柄で飄々とした老人。
訳ありの晴明や影連を引き取った懐の大きい人物。
ただし割と放任主義な上に面倒ごとを弟子に丸投げするなど困った面もある。
しかし要所で晴明に的確なアドバイスをするなど良き先達であり、弟子たちからは尊敬されている。本人も「弟子には恵まれた」と回顧していた。
若いころはかなりのイケメンだった。


式神は梟。



  • 賀茂 保憲かも の やすのり

CV:広中雅志 演:段田安則


忠行の息子で、中盤で任地の播磨から帰還した。
父親とは反対に冷徹で官僚的な人物で、中盤では晴明に対してある厳しい仕打ちに出た。
対影連では実質的な指揮官役となり、最終決戦では影連の遺体が守る呪物を攻略した。
本来は人の心を深く理解する人物。影連の心理を誰よりも理解するとともに不安視し、手元に置こうとしていた。
影連を救えなかったことから彼との決着を望んでいた節もあるが、果たせなかった。


式神は護法童子。



  • 藤哉とうや

CV:石田彰 演:山田孝之


晴明の内弟子の少年。晴明の助手や家のことをこなしている。
大人しく人懐こい子で晴明や将之に弟のように可愛がられている。
ちなみに原型となる読み切り版では主役で、やんちゃな性格だった。


呪符を武器として使用。



  • 良源りょうげん

CV:大塚明夫


比叡山の高僧。
幼い晴明を助けたことがあり、晴明と影連の因縁をよく知る。
鬼形に変じて魔を払う異能者だか、自分が人と違うことをまったく気にしていない豪快で酒好きのおっさん。
イケメンすぎて目立つため、宮中では仮面を被っている。
晴明からは珍しく素直に尊敬されている。将之をおちょくって遊ぶのが好きらしい。
ちなみに、いちおう剃髪しているのだが、鬼に変身すると髪が勝手に出現し、しかも人間に戻っても消えないため、地味に面倒くさがっている。


実在の人物で、のちに第18代天台座主となり、比叡山延暦寺の中興の祖と讃えられる。
魔除けの「角大師」「豆大師」としても有名で、前者の伝説では「夜叉に変身して疫病神を追い払った」といわれる。



  • 藤原 彩子ふじわら の あやこ

CV:勝生真沙子 佐々木優子 演:羽田美智子


将之の同母姉。後宮で帝の寵愛を受ける女御。
絶世の美女だが、性格は将之の育ての親兼武術の師匠だけあって、武闘派で体育会系の超根性論者。
強気の塊のような女性であるが、愚弟が悩みの種。
弟からは慕われつつも文字通り震え上がるほど恐れられている。
問題児の弟に説教したりたまに鉄拳制裁したり、宮を抜け出して刀を振り回して大暴れしたりする。
なんだかんだで弟が可愛い模様で、弟に振り回されている晴明とも仲がいい。



  • 焔/汀

準レギュラーの少年2人。
焔は火、汀は水を操る。
独立心だけは一丁前の問題児の焔と口うるさい尻拭い役の汀というどっかで見たような関係性。
晴明と将之を巻き込んで大げんかを繰り広げたが、晴明の仕掛けた芝居で無事仲直りした。
最終決戦時は災害救助で大活躍している。




  • 橘 影連たちばな の かげつら

CV:塩沢兼人 演:陣内孝則


本作のラスボスにして晴明の兄弟子。
かつて藤原一族に陥れられた一族が集団自殺、自らも母に服毒を迫られるも一人逃亡し生き残る。
忠行に引き取られ、陰陽師となったが、藤原一族への復讐のため方術を極めようとする。


同室の晴明にはわずかながら面倒見のいいところも見せていた。


長じるに従って生への渇望と相反する生き延びてしまったことへの罪悪感に引き裂かれ精神を病み始め、
平将門の怨霊に当てられたことでそれが決定的になる。
晴明を復讐のパートナーとして誘うものの拒絶され、一人京を去り、数年後晴明と将之の前に姿を現す。
一度は死亡したものの怨霊の首魁となって復活、幾度となく晴明らを苦しめた。
当初は藤原一族への復讐が目的だったものの、最終的には復讐の対象が京の都全体に拡大しその滅亡をもくろむ。
一方、自分を止めてくれるだろう晴明への異常な執着を見せるなど、破滅と救済への渇望を行き来している。
最終決戦においては自らの結界に晴明を招き入れ、一騎打ちを演じた。


結界術の達人であり、大規模かつ洗練された結界を展開しては晴明を苦しめた。
当然、陰陽師としての方術はいずれも強力であり、加えて強力な妖怪と契約したことで陰陽道に当てはまらない妖術まで体得。それらの方術・妖術に頭脳を組み合わせてすさまじい能力を発揮する。
他方で、瞬間的なパワーでは晴明にやや劣る。
また、妖怪との契約の代償として視力を失っている


式神は烏。
とくに「羅睺らごう」という名の式神は別格で、相棒として扱っている。影連が失った視力もこれが補っているらしい。
最終版ではとっさに影連をかばって斃れるが、影連はこれにショックを受けており、単なる式神ではなかった模様。





追記・修正は将之の女装姿を直視してからお願いします。



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  • 母の影響で読んだ作品、 -- 名無しさん (2018-05-26 10:43:02)
  • 俺も母親の本棚にあったのを読んで好きになった作品。友情あり熱血ありで、男子にも是非とも読んで欲しい一作 -- 名無しさん (2018-05-26 11:07:10)
  • ドラマCDキャストのラインナップがすごい。緑川光や結城比呂も出てるし。 -- 名無しさん (2018-05-26 17:06:13)

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