登録日:2018/5/13 (sun) 0:06:00
更新日:2024/02/20 Tue 10:59:07NEW!
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猛禽類 鳥類 荒鷲 アニヲタ動物図鑑 狗鷲 天狗 楽天イーグルス ベルクト ビェールクト 乙嫁語り イヌワシ 犬鷲 ゴールデンイーグル ベルクート ←ではない ベールクト 天狗の正体
イヌワシとはタカ目タカ科イヌワシ属に分類される鳥類で
英語名はGolden eagleだが中央アジアに生息する亜種はberkutとも呼ばれる。
たまに「ベルクート」と呼ばれる事もあるが、これは誤り。多分にシューティングゲーム、エースコンバットシリーズに於ける表記の影響と見られる。
漢字では犬鷲、或いは狗鷲と表記するが
前者は一件どこにも犬要素がないので不思議に思われる。
これは古い言葉で犬という言葉は下級、劣るという意味を持っていた言葉であり、
日本では鳥類の羽毛を矢じりに使っていたがその中でもイヌワシのそれは価値が最も低かった為である。
後者の狗鷲という表記に関しては後述する通り天狗を思わせる巨大な鷲という意味だと言われている。
イヌワシには日本に生息しているニホンイヌワシを含め様々な亜種が存在するが当項目では日本に生息している種を優先して解説する。
生態と特徴(概要も兼ねて)
羽毛は褐色と白が混じった色だが後頭部の部分は光の加減で金色に輝くという特徴があり、
英語名のゴールデンイーグルの由来となっている。
多くの猛禽類に共通して雌雄で大きさが異なり、雌が90㎝以上にもなるのに対して雄は75㎝程にしかならない(それでも鳥としては大きいが)
翼長は最大で210㎝を超える等これまた鳥としてはかなり大型の部類に入る。
生息地はアフリカ大陸北部からユーラシア大陸、アメリカ大陸北部など広い生息地で
世界各地に生息しているが中でも中央アジアのイヌワシは飛び抜けて巨大なことで知られており、
大きなものではなんと翼長2.7mにも及ぶのだとか。
しかし個体数そのものはどの国でも減少傾向にあり、日本の様に国によっては厳重に保護されている事もある。
生息環境はあまり木が密集していない森林や草原でネズミやヤマドリ、ヘビ、ノウサギを主な獲物としているが
中でも好物なのはノウサギのようで獲物の大半を占めており、
これらの獲物を見つけると翼をすぼめて上空から急降下し、文字通り鷲掴みにすると飛び去ってしまう。
このように彼らが狩る獲物はあまり大きくない。
…大きくないのだが稀にシカやヤギなどの大物を仕留めた記録もあり、
時には人間に襲い掛かることもある。
流石に人を食べたという記録は公式には確認されていないようだが
現地にイヌワシが生息している地域の人間による子供が攫われたとか、
巣から子供のそれらしき人骨が見つかったという証言があったり
未確認かつ非公式な情報ではあるものの
その大きさや力の強さから人間でも子供であれば襲う可能性も十分にあり得る。
巣は断崖や樹上に作り1~2個の卵を産むが両方が巣立てるまでに育つことは稀なようで
大抵片方のみが巣立ち、もう片方はエサ不足などで死んでしまう事が多い。
猛禽類の世界は生まれた時から厳しいのである。
特に日本のイヌワシにこの傾向が強くみられるようで
後述するように大陸と島国での餌の絶対数の違いが
原因ではないかとも言われているようだ。
ライバル
日本にはクマタカという大型の猛禽類も生息しており、
体格も近い上に生息している環境も被りやすい。
その為両種は競合関係にあると言われているが
子育て中のクマタカが巣の周辺に侵入したイヌワシを追い払ったケースがあったり
逆にイヌワシが縄張りに入ってきたクマタカを追い回したというケースも
存在する等力関係は互角のようである。
ちなみにイヌワシに追われたクマタカは大抵の場合林や森の中に逃げ込むというが
これはイヌワシの翼が長すぎて鬱蒼と木が生い茂った環境を飛ぶのには適していないのを
知っているからだと思われる。
人間との関係
国や地域によっては放牧しているヤギやヒツジを捕食する害鳥として
厄介がられることもあるが基本的にはあまり悪い関係ではなく、
力強さを象徴する紋章などに使われたり、中央アジア諸国やモンゴルの民族は
彼らを飼いならしてオオカミやキツネを狩るのに使っているという。
イヌワシがモチーフ、或いはイヌワシの名が付けられたもの
- 東北楽天ゴールデンイーグルス(球団名)及びマスコットキャラクターのクラッチ、クラッチーナ
- ベガルタ仙台のペットマーク及びマスコットキャラクターのベガッ太(単に鷹と紹介している所もある)
いずれも仙台を本拠地に置くスポーツチームで、イヌワシが東北地方に多く生息するという由来も同じ。楽天の「ゴールデン」はよく省略されがち
- Su-47(航空機)
ロシアのスホーイ社が開発した実験機。Беркут(ベールクト)の非公式愛称を持つ。
NATOコードはファーキン(Firkin.「小瓶」の意)。
主翼が前方に傾いている前進翼が非常に特徴的。
更に機体前部にカナード翼、2対2枚の垂直・水平尾翼を持ち、おまけにエンジンを2機積んだ双発機……と、そのケレン味溢れる外見は人気が高い。
というか、その漫画チックな造形のせいでゲーム等で本機を知った者の中には実在する航空機と知って驚いた者も少なくないという。
元々実験機である上にロシアというお国柄もあって性能・諸元については不明な点が多いが、
固定武装として30mm機関砲やミサイル・爆弾を収納するウェポンベイを備えている事はわかっている。
現状ロシア空軍は米軍と同様にステルス性を重視し、また次期主力機としてステルス機であるSu-57を開発・生産しており、
ステルス性を持たない本機は実験止まりの存在となっている。とはいえ、やはり前述の人気からゲーム等では今後も活躍を見せてくれる事だろう。
また現実でもロシアで開かれる航空ショーには度々参加し展示飛行を行っている。
- 新田良太(マージナル・オペレーション)
芝村裕吏のミリタリー・ファンタジー小説シリーズ「マージナル・オペレーション」の主人公。少年少女兵に後方から指示を出す指揮官を務めている。
本人は戦闘力を持たず、後方から情報と想像力のみで通信指揮を出している。だが、現場にいないのに「まるで全てを上空からリアルタイムで見ているかのように」精密な指示を出す彼に、タジキスタンの少年少女たちは畏敬の気持ちを込めて「イヌワシ」の尊称を贈った。
余談
- 天狗の正体?
イヌワシは上でもチラッと述べたように日本においては
天狗の正体ではないかと言われる猛禽類である。
もう一つの漢字表記では狗鷲と呼ばれるが先述の通りこれは天狗のような鷲という意味も兼ねている。
日本各地には天狗にまつわる地名が存在するがこれらの地域が実際に
イヌワシの生息地である事も多いようで普段山にいて時折里に下りてくる、
空を自在に飛び回る等天狗の特徴とも似通った部分が存在する。
日本人は古くから山は天狗等の主が住むと恐れ敬っていたが
イヌワシにはその伝説が生まれてもおかしくないほどの力強さがあるのは間違いないだろう。
- 日本のイヌワシ
実は日本に生息するイヌワシは地理的・世界的に見ても
かなり珍しい種類である事はあまり知られていない。
というのもイヌワシは本来なら平原等の開けた環境に生息する鳥であり、
その意味で森林の多い日本は本来は生息には適していないからである。
事実、日本における彼らの減少の原因は環境破壊を除いた場合、
造林による森林の増えすぎで開けた環境が減ったことによって
餌を探し辛くなったためではないかと言われているのだ。
山を切り開くなどの環境破壊によって動物の減少が問題視されてる中
緑が増えれば逆に困る動物もいるとは何とも皮肉な話である。
そしてよく比較されるクマタカと生息地が被っている事も実は珍しい事なのである。
本来イヌワシは中央アジアやロシア等の寒い地域に生息する北方系、
対してクマタカは台湾や東南アジア諸国といった温かい国に住む南方系の猛禽類であり、
両種の生息地が被るのは実は日本だけなのだ。
追記・修正はヤギを仕留めてからお願いします。
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▷ コメント欄
- マラフーテ -- 名無しさん (2018-05-13 02:19:16)
- 過去に民家で乳児を攫おうとした記録があり 現代でも登山客がイヌワシに襲われたりと 神隠し説の一つだとか -- 名無しさん (2018-05-13 07:52:19)
- F-15C近代化改修モデルの愛称もゴールデンイーグル -- 名無しさん (2018-05-13 19:37:26)
- マージナル・オペレーションの主人公の好意的なあだ名もイヌワシだな -- 名無しさん (2018-05-15 03:52:55)
- 確かに言われてみれば森林は彼らに優しくないな。パンダみたいに彼らの先祖の心の琴線に触れる何かがあったんだろうか -- 名無しさん (2018-05-15 14:05:41)
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