登録日:2011/08/16(火) 16:53:51
更新日:2023/08/10 Thu 12:24:41NEW!
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漫画 賽の河原 スクウェア・エニックス ガンガンwing 河内和泉 仏教系ユルユルギャグ 地蔵菩薩 賽の神 サイコロ 賽ドリル
この世に生まれた甲斐もなく
親に先立つこの有り様
賽の河原で幼子が
現世で積めぬ「徳」を積む
それはそれは「永久」に…
されど
慈悲深い地蔵菩薩が救うでしょう
【概要】
賽ドリルとは、今は亡きガンガンWINGにて連載されていた漫画。単行本は全2巻……もっと続いて欲しかったという声が多数。
ジャンルは驚きの仏教系ユルユルギャグ
作者は機工魔術士-enchanter-でお馴染みの河内和泉。
機工魔術師では機械工学というバリバリ理系のテーマであったが、今度のテーマはなんと仏教。
とはいえ厳密には神道なども交えた民間信仰が主体で、作者本人も「仏教まんがといわれると、少し返答に困る」と語っている。
河内和泉独特の軽妙なセリフ回しや、濃ゆいキャラクター達、随所に仕込まれたネタの数々がテーマの堅苦しさを吹き飛ばす良作。
たまに設定に突っ込みたくなることもあるが、気にせず読める一品である。
読み終えた後、普段は気にも留めないお地蔵様に手を合わせてほんの少しだけ感謝したくなるような、そんな漫画。
何故に二巻で終わったし………
【ストーリー】
ごく普通の女子高生である各務あずきと牧由直々はある日、ふとした事故に遭い、寂れた河原で目を覚ます。そこは親より先に死んだ親不孝な子供が訪れる賽の河原だった。
二人はそこでサイノシンと名乗る人物と出会い、説明を受ける。事故に遭ったこと、しかし現世に戻る方法があること、そして戻るために成さねばならない課題のこと。
かくして二人は現世に戻るため、サイノシンの用意する課題「賽ドリル」に挑戦し、様々なことを学んでいくのだった―――
【賽ドリルとは】
賽の河原は、親より先に死んだ子供がその親不孝の罰として石を積み続けるという河原。高く積めば許されるが、たとえ積み上げたとしても鬼がやってきて容赦無く崩すため、子供は永遠に許されない。
しかし漫画「賽ドリル」に鬼は登場せず、内容もやや異なる。
漫画「賽ドリル」における賽の河原は、脳死などの「死んではいるけど身体は無事」な子供が現世では積めなかった「徳」を積み、死を受け入れて彼岸に渡るか現世に戻って生きるかを選択する場所。どちらを選ぶにしろ、徳は積まなければならない。ちなみに子供の判定は20歳未満。
本来この「徳を積む」行為に当たるのが石を積むことなのだが、賽の河原を管理する賽の神(サイノシン)から出される課題をクリアする事で同じく徳を積むことができる。
この課題を「賽ドリル」と呼ぶ。
ガチで石積みしても、それはそれでイイらしい。
ちなみに賽の河原は全国各地にあるらしく、各々に対応する賽の神がいる。
【賽ドリルのシステム】
賽ドリルはただ課題をこなすだけでなく、その間「その人が持つ才をいじる」という特殊なルールが存在する。
賽ドリルでは、その人の能力を生命力、筋力、知力、精神力、器用度、敏捷度、運の七つに分けて数値化し、それとは別になにものにも左右されない固有の才能である「命(めい)」(数値化されない)で能力が決まる。
おおよそ15を超えるあたりになると世界を狙えるレベルらしい。
開始前に挑戦者はサイコロ(10面ダイスらしい)を七回振り、出た数字によって命以外の才の数値が変動する。
変動後、その能力でドリルに挑むことになる。挑戦中は才は変化せず、クリアすれば基本の値に戻る。
当然サイコロを振っても才が上がるとは限らない。それどころかマイナスになったりする。
おそらく、モデルはTRPGのキャラクター作成と思われる。
ドリル挑戦中に地蔵真言「オン カカカ ビサンマエイ ソワカ(意訳:お地蔵様たすけて)」を唱えることで一度だけサイノシンが助けてくれる。ただし、唱えない限りは何があろうと助けてはくれない。
【登場人物】
《ドリル挑戦者》
- 各務あずき(かがみ―)
「まりもはどうぶつなのよ!」
主人公1。気が強いが器量良しな女子高生。頭が良く運動もできるが、その割に能力は平凡。しかし己を高く置こうとする命である「気位」が彼女を強く立たせている。ただし妙に物欲にまみれているため、そのあたりが時折足を引っ張る。
時々ゴルゴになったりドカベンになったりする。
ボケもツッコミも両方こなす才女。
- 牧由直々(まきよし なおなお)
「まりもは植物だよー!!?」
主人公2。あずきの親友であるおとなしめな女子高生。基本的にどんくさく、階段から足を踏み外した彼女をあずきが庇ったことが賽の河原に来る原因となった。夢見がちで妄想力が凄まじいが、意外と常識的でツッコミ属性。
基本値にして精神力15という凄まじい人。
創作意欲旺盛な腐女子。
- 東野杏(ひがしの あんず)
「オレは地蔵菩薩に成る」
主人公3。賽ドリルをクリアすることで彼岸へと渡り、地蔵菩薩を目指す少年。生前(一応現在も死んではいないが)は病で寝たきりであったために基本値にして生命力0の虚弱っこ。とにかく体力に乏しく、頻繁に倒れたり寝込んだり吐血したりする。しかもメインキャラ最年少の一人でありながら、一番便りになる中学生。
主にツッコミだが、地蔵菩薩を目指すだけあって経典の類に目がなく、見つけるとキャラが変わる。
- ヒデ
「それからさ……オレっちが愛の歌を奏でるのは」
本名、伊条ヒデキ(いじょう―)
別名、M(マイケル)・ヒデ・釈尊(ジャクソン)
常にエレキギターを手放さない自称ミュージシャン。
男女の愛の歌を即興で奏でるが、歌の内容は総じてリアルすぎて夢がなく生々しい。基本的にボケ担当だが、徹底してボケる割にたまに知的な面を見せたりする。
- 松平遠之介(まつだいら とおのすけ)
「賽の神よ、さ迷う私を見て笑っておったのか!」
恋人に愛を告げられずに死んだ後悔と持ち前の頑固さ故に、江戸時代から同じ課題をやり直し続けている侍。ござる口調。
実は杏と同じくメインキャラ最年少の一人。
《賽の神》
賽の河原を管理する地蔵菩薩。仏になれる徳を持ちながら、仏になってしまうと信心を持った者以外を救えないために、あえて仏にならない方々。当番制で閻魔様もやっている。
大体同じ顔つきらしい。全員性別は不詳。
各地にある地蔵が衆生と繋がる窓口となっている。
固有名を持たず、〇〇の賽の神や、ただ〇〇という感じで、担当する賽の河原がある土地の名で呼び合う。
以下、登場順。()はその土地の大体の場所を都道府県で表す。劇中に準拠。
- 恐山(青森)の賽の神
「我らは常にお前たちの側に在る」
あずきたちを担当する賽の神。劇中で「サイノシン」と言えばコイツ。
全ての賽の神の中で最も食えない性格をしているが、たとえ間違っていようともあらゆる行為を認める懐の深いお方。ただしハチャメチャかつ妙に軽いその性格のせいで、素直に敬えない。主人公たちどころか同僚の賽の神まで振り回すが、一応しっかりとした教育方針や考えがあるようだ。
作中のボケをかなりの割合で担当しており、たまにメタい。美少女化された仏様が登場する「MOEでわかる仏教」なる紙芝居であずきたちに仏教を解説したりなど、やりたい放題。
- 今御門(奈良)
生真面目で厳しめな賽の神。ツインテール。
恐山の賽の神を除いて、唯一一巻から登場した賽の神だが、見せ場はあまり無い。しかも終盤でキャラが変わった。
- 松原(京都)
「あともうこういうのはやめて下さい
松原」
賽の神随一の超苦労症。ロングヘア。責任感がデカすぎるお方。松原の賽の河原は小さな子供が多く、苦労しているようだ。
優しげな顔立ちだが、閻魔様を担当した時はかなりきっちりと叱っていた。ただし上賀茂の賽の神には「迫力が足らんな」と言われている。
- 葛城(奈良)
「ですぅ」口調にショートヘアでアホ毛。地蔵を見て泣く子がいることが最近の悩み。
- 多賀城(宮城)
アホ毛にツリ目。先祖が帰るお盆に海外旅行に行く最近の不届き者に怒っている。
- 賀茂(宮城)
パイナップルヘアでややロリ。ノリが軽いが、終盤で登場したあたり偉いのかもしれない。
- 上賀茂(京都)
「総て良い」
日本が生まれてからずっとこの国の守護をしてきた賽の神の年長。常に団子を口に加えている。
あらゆる個性を「良い」と認める懐の深い賽の神。基本的に飄々としていてあまり表情を変えないが、恐山の賽の神曰く、わりと子供好きであるようだ。大物っぽい雰囲気をまとっているせいで、まじめな顔になると威圧感が凄まじい。
国の行く末を真剣に考えているせいか、賽の神会議で提出された書類の出来が悪かったりすると豹変する。
- 岸和田(大阪)
賽の神が集まる会議に、あろうことかジョッキを持ち込んだお方。フラストレーションがたまっているらしい
- 蔵王(山形)
不憫な賽の神その1。地蔵山の頂上にある地蔵(二メートル半あるデカいやつ)にいろいろ思うところがある様子。
また蔵王の地蔵が作られてから遭難者が減ったのだが、この方のおかげらしい。
冬は頭まで雪に埋もれる。
- 東山(広島)
不憫かもしれない賽の神。東山の「みそ地蔵」について非常に悩んでいる。
- 巣鴨(東京)
常に笑顔のポニテ。都合が悪くても笑ってごまかす。
- 那古野(愛知)
不憫な賽の神その2。地元の「愚痴聞き地蔵」から毎日幾人もの愚痴を聞いてだいぶ弱っている。
- 葛飾(東京)
ザ・縛られ地蔵
その悲しみに全賽の神が引いた。
- 金浦(秋田)
留守番を別の守護神(超神ネイガー)に任せたりしている。
- 大神(タイシン)
偉いリス。しゃべる。
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