怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス

ページ名:怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス

登録日:2017/08/31 (木曜日) 19:35:00
更新日:2024/02/09 Fri 11:11:21NEW!
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『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』とは、1972年12月17日に公開された円谷プロダクション製作の特撮映画。配給は東宝。


【ストーリー】
日本近海の孤島に、一匹の怪獣が暮らしていた。彼の名はダイゴロウ。
彼は6年前、眠りを妨げられた怒りで市街地を蹂躙し、人間に退治された怪獣の息子である。
人間の都合によって母親を殺され、天涯孤独となったダイゴロウは保護され、政府の管理下で飼育される事となった。
しかし驚くべき大食漢であるダイゴロウは文字通りの金食い虫となり、国税だけではまかないきれなくなり、エサの量を減らされる憂き目に遭ってしまう。
そんなダイゴロウを哀れに思った子供たちや発明おじさん、熊五郎らは、募金の呼びかけなどでエサ代を稼ごうと涙ぐましい努力をする。
そんな折、地球に落下した隕石から宇宙怪獣ゴリアスが出現した。
好戦的な性格に加え、周囲の熱エネルギーを奪っていくゴリアスの出現により、地球は大ピンチに陥る。
このピンチを救えるのはダイゴロウしかいない。地球とエサ代確保のため戦え、ダイゴロウ!



【概要】
円谷プロダクション創立10周年を記念して制作された作品。
本作の特徴は、ありそうで意外と少ない「怪獣が主人公の怪獣映画」であるという点である。
怪獣映画といいうのは、大抵怪獣の名前が作品のタイトルになっているが、あくまで主人公は人間であり
主人公や自衛隊などが怪獣にどう対処するのかを描くのが一般的である*1
例えば『シン・ゴジラ』であれば「矢口達はいかにしてゴジラを無力化するのか」がお話のメインであり、「ヤシオリ作戦に挑む人々&兵器」が中~終盤の見どころの一つである。
もちろんゴジラ自体が主役でも見どころでもないわけでは決してない。当然ながらゴジラもまた主役だし、呑川周辺で暴れる蒲田くんや内閣総辞職ビームのシーンは本作の名シーンとして異論はないであろう


それに対し本作は、ダメ怪獣のダイゴロウの成長物語の意味合いが強い。
もちろん、ストーリーを進めるための中心人物は存在する。
ダイゴロウのエサ代を稼ぐために、発明品コンテストの賞金を狙う(※入手できたかは別)発明おじさん。
発明おじさんの行動に心打たれ、周囲の人間にダイゴロウの理解を深めようと説得を試みる熊五郎。
育ての親でありながら、空腹に苦しむダイゴロウのために何もできない事を苦悩する飼育員・斉藤の3名である。
しかし彼らのどのパートを見ても、ストーリーの中核を成しているとは言い難く、中心になっているのは常にダイゴロウなのだ。
怪獣の成長物語というコンセプトで言えば、似た作品に「小さき勇者たち~ガメラ~」があるが
「小さき勇者たち」がガメラを応援する子供たちにスポットが当てられているのに対し
本作は人間たちのサポートを受けて(タイトル通り)奮戦するダイゴロウ、といった印象が強い。
やはり本作の主人公はダイゴロウだと言っても過言ではないだろう。
子供向けのコミカルな作風だが、その一方で
人間のエゴに振り回される怪獣の悲劇や、ゴリアスを倒すために核兵器の使用の是非を問うシーンなども描かれており
単なる子供向けでは終らない、深いメッセージ性を秘めた作品である。



【登場人物】

  • 発明おじさん(演:犬塚弘(ハナ肇とクレージーキャッツ))

ダイゴロウのエサ代を稼ぐため、発明品コンテストに毎回出場している発明家のおじさん。
だが大抵いつも失敗におわる。
近所の子供たちからは愉快なおじさんとして親しまれているが、
姪からはいい齢して結婚もせずに発明ばかりする変人として煙たがられている。
特撮作品には割とよくいるタイプの「子供にとって身近な大人キャラ」である。


ちなみに演じた犬塚氏の事務所での後輩には、付き合いの長いモスラを呼べそうな双子の歌姫がいた。


  • 鬼沢 熊五郎(演:三波伸介)

江戸っ子気質のメタボな大工。
大の酒好きだが、発明おじさんの努力に心打たれ
ダイゴロウのエサ代を貯金すべく、大好きな酒を絶つことを決意する。
終盤では発明おじさんや同僚の八五郎と共に、ダイゴロウをサポートすべく奮闘する事になる。


  • 斉藤(演:小坂一也)

ダイゴロウの飼育係。
赤ん坊の頃から世話しているため、ダイゴロウを自分の息子のように可愛がっている。
ダイゴロウが政府や世間から能無し怪獣呼ばわりされている事、そのせいでエサ代が減らされている事、
そして、そんなダイゴロウに何もしてやれない自分自身の事で思い悩んでいる。


  • 鈴木 等(演:小林昭二)

環境衛生局から派遣されている役人。時折ダイゴロウが飼育されている島に視察にやってくる。
金食い虫であるダイゴロウの存在を快く思っておらず、事あるごとに斎藤にダイゴロウの嫌味を言う。
かと思えばゴリアスが出現した途端、手の平を返し、ダイゴロウがゴリアスに勝てるよう大量のエサを与えるなど、身勝手な性格。
一歩間違えればかなり嫌な奴になってしまいそうな立ち位置だが、ムラマツキャップ立花藤兵衛小林昭二氏のコミカルな演技により、どこな憎めないキャラに仕上がっている。



【登場怪獣】

  • ハラペコ怪獣 ダイゴロウ
身長:35メートル
体重:8千トン

本作の主人公。6年前の原子力潜水艦の事故により母親ともども目覚めた(この当時は人間より多少大きい程度)。
人間に育てられたため、人懐っこく大人しい性格。
戦いは好まないが、自分を育ててくれた斉藤ら飼育員のためにゴリアスに立ち向かう。
ビールっ腹で尻尾も短く、髪も生えていないなど、母親とは全く似ていない。
もしかして托卵…とも考えられるが、ゴジラの幼体がミニラなのを考えればまあおかしくはないか。


  • 恐怖大星獣 ゴリアス
身長:45メートル
体重:3万トン

隕石に乗って地球に飛来した宇宙怪獣。ゴリラのような長大な腕から繰り出すパンチと、角から発射する雷撃が武器。
周囲の熱エネルギーを吸収して活動するため、ゴリアスの周囲は急激な低温に見舞われる。
さらに大量の熱エネルギーを求めて日本各地のコンビナートを襲撃し、甚大な被害をもたらした。
熊五郎らの活躍により、武器の雷撃は封印されたかに思われたが・・・


  • ダイゴロウの母親
身長:40メートル
体重:2万トン

海底でダイゴロウと共に深い眠りについていた古代怪獣。
般若のごとき角と、歌舞伎役者のごとき白い長髪が特徴。また、メスなのでおっぱいがある。
潜水艦の爆発によって目覚めさせられた怒りで東京湾に上陸し、市街地で暴れ回った為に
後頭部に大型ミサイルを撃ち込まれ死亡する。
彼女が暴れるシーンの特撮は、短いながらも本作でも屈指の迫力である。


怪獣のデザインが不格好であることや、子供向けのストーリから
未見勢からは敬遠されがちな作品である。
しかし、深いメッセージを子供にも分かりやすいように、重くなすりぎないよう絶妙のバランスで仕上げられており、
また、単純にコメディ映画としても面白く仕上がっている名作である。
興味のある方は是非一度ご覧いただきたい。



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  • タダじゃないけど尼ビデオにあるのか、帰ったら見てみようかな。こんな風に気になる作品見つけたとき気楽に見れるとは良い世の中になったもんだ -- 名無しさん (2017-09-01 09:30:01)
  • ゴリアスと聞いて真っ先に地球防衛軍思い出してしまった -- 名無しさん (2017-09-02 07:00:09)

#comment

*1 もちろん「今度の敵はコイツだ!」という形で怪獣vs怪獣を話の主軸に描くこともあるが、こういう方向性の作品でも「人間側のストーリー」「自衛隊」の描写を避けて通ることは難しい。かくいう加筆者も『ガメラ2 レギオン襲来』における(以下長くなるため割愛)。

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