シクリッド(魚類)

ページ名:シクリッド_魚類_

登録日:2017/8/28 (月曜日)13:56:00
更新日:2024/02/09 Fri 10:46:52NEW!
所要時間:約 7 分で読めます



タグ一覧
アニヲタ動物図鑑 淡水魚 熱帯魚 魚類 アニヲタ水族館 シクリッド



シクリッドとはスズキ目(Perciformes)・ベラ亜目(Labroidei)・シクリッド科(Cichlidae) に属する魚の総称であり、
淡水魚・汽水魚併せて約1,300種以上が存在している。


概要

シクリッドの種類は非常に多彩で、愛嬌のあるデザインのエンゼルフィッシュや、「熱帯魚の王様」として有名なディスカスもその仲間である。
気性の荒い種類が多いため同種・他種を問わず混泳は難しいが、その容姿や生態に、美しさに魅入られた根強い愛好者も多い。
グループは大きく2種類に分類され、サイズも小型種(ドワーフシクリッドとも呼称される)と中・大型種に区分される。
シクリッドの繁殖形態は卵を口の中で守るマウスブルーディングが多い。
そうでない種も、産んだ卵を監視したりある程度育つまで子を引き連れて行動したりと積極的に育児をする。


主なアメリカンシクリッド


ブラジル、メキシコ、キューバ、コスタリカ、ニカラグアなどを原産とするシクリッド。
アフリカンシクリッドよりも種類が豊富でバラエティなのが特徴。


エンゼルフィッシュ


ひれが非常に特徴的な縦長の体型で天使(エンゼル≒エンジェル)にも例えられ、幼児用のおもちゃ等にもデザインが利用されている程に愛らしい事から、
古くから観賞用の熱帯魚として流通している。優雅な振る舞いで「熱帯魚の女王」とも言われている。
特定の相手としかペアリングせず、ペアになると寄り添う様に泳ぐので分かりやすい。
産卵は葉っぱの裏等に行い、稚魚になるまでは親が交代で見守るが、育成できない卵は親が食べてしまう事もある。
シクリッドとしては温和な種ではあるが、ペア以外では縄張り争いとなる事もあるので気を付けたい。


ディスカス


真横から見ると円盤状の体型で、カラフルなカラーで鮮やかな模様が入ることから、観賞用として非常に人気が高い「熱帯魚の王様」。
美しい個体は非常に高価な値段で取引される為、品種改良も盛んな熱帯魚である。
初心者には飼育が難しいと言われている所以は、エンゼルフィッシュ同様にペアで産卵を行うが、ディスカス同士のみならずペア同士でも夫婦げんかを行う事がある。
そもそも、ディスカスは群れる習性があるのだが(群泳がまた美しい)、ディスカス間で序列が出来てしまうとバトルへと発展してしまうので、
同種混泳にはそれなりの経験と知識が必要となっている。
一番の特徴として、稚魚の為に親がディスカスミルクと呼ばれる粘液(白くない)を分泌して摂餌させるという、シクリッドの中でも特異な繁殖形態を持っている。


ラミレジィ


小型種の代表格で体長10センチ弱、別名「ラム」。改良品種も多く、色々な体色があるお陰で、コレクション性があって人気が高い。
が、さすがにシクリッド。小型でも雄同士では美しいヒレがボロボロになる程に激しい喧嘩をするので、混泳には気を使う。
なお、他種で大きめの熱帯魚との混泳ならば可能。


アピストグラマ


青く輝く鱗とカラフルな体色を持ち「南米の宝石」とも形容される5~10㎝ほどの小型種の総称。よくアピストと略される。
体形の似ている先述のラミレジィも一時期この仲間に分類されていた。
コレクション性の高さもラミレジィと似ているが、こちらは改良品種がとても少なく、
単純な種類の違いや、同種の地域変異・個体差などで集める傾向が強いため、ややマニアックな存在。
また雄が派手なのに対し、雌は地味な姿をしている点もラミレジィとは異なるところ。(ラミレジィは雄雌どちらも派手である)
ただ飼うだけでなく繁殖まで見届ける事が醍醐味とされる面が強く、流通はペア単位が基本。
しかしブリード個体が比較的よく出回るアガシジィ種やトリファスキアータ種、ボレリィ種などは、
ペアを分ける際に端数が出てしまったのか雄だけで販売される事もたまにあり、混泳水槽の一員として初心者からお呼びが掛かる事も。
ハマる人はとことんハマる魚のためか、この仲間に特化した専門店も存在する。



スレンダーな体型をした10㎝弱の小型種で、体側を2列に互い違いに並んだ黒斑によるチェック模様が名前の由来。
ドワーフシクリッドの中でもかなり大人しいとされ、よほど悪条件が重ならなければ縄張り争いは激しくならない。
付かず離れずの緩いものではあるが、むしろ他の個体と群れる事すらある。
成魚になった雄は各ヒレが赤味を帯び、体側やヒレの縁には青く輝くラインが現れ、尾ビレの上端と下端がリボンの如く細長く伸び、実に優雅。
…なのだが、雄雌の区別もままならない幼魚で流通する事が多く、
まだチェック模様しか見えない地味な姿のためか、なかなか初心者には注目してもらえない。
一方でマニアからは、アピストのペアリングや混泳の際にその大人しさに着目し、攻撃対象を分散させる当て馬や囮として扱われる事も…。
どうも正当に評価してもらえない感のあるちょっと不遇なヤツ。


アストロノータス


別名「オスカー」と呼ばれる、黒を基調にオレンジやイエローの模様が美しい45センチ級の大型種。
小型の貝や海老も食べる肉食性で、同種でも体格差があると共食いさえもしてしまう事がある。
頭が良くて人慣れしやすいので、手から餌を食べてくれる様になる。


サウスアメリカン・シクリッド


成魚が60センチ級となる大型でメタリックグリーンが美しい。非常に気が荒くて魚食性もある為、混泳は難しい。
特に雄の場合は、相手の大きさに関係なく喧嘩上等、ペアでも産卵以外は雌に喧嘩を売る事があるので単独飼育が向いている。
お陰で流通量が少ないのでワイルドの個体を見つけるのはなかなか困難でもある。



主なアフリカンシクリッド


アフリカのヴィクトリア湖、マラウィ湖、タンガニーカ湖など弱アルカリ性の水質の湖を原産とするシクリッド。
マラウィ湖は世界で9番目の大きさを誇り、シクリッドだけで800種が生息している。
さらに大きいヴィクトリア湖もマラウィ湖と同等かそれ以上とも噂される多様な種が生息していたはずだが、
近年は外来種のナイルパーチが放流、大繁殖したことと急激な水質汚染によって少なくない種が絶滅し、また絶滅を逃れた種も数が劇的に減少したとされる。
海水魚の様な、鮮やかな青や黄色の金属光沢のある種類も多いので、海水魚の雰囲気を淡水魚で味わえる。
生活環境の違いからなのか、アメリカンシクリッドよりも若干性格が荒い。


一方、これらの影に隠れがちだが河川に生息する種類もおり、それらは中性~弱酸性の水質が適するため小型種なら水草水槽とも好相性。
上手に混泳させる事が出来れば、南米やアジアを原産とする魚との共演も楽しめる。


ティラピア


30センチ級の中型種で、鯛に似た外観で味や食感も非常に美味であり、マダイの代用品として一時期は日本にも食用として養殖されていた。
近年では鯛自体が日本で大量に養殖されるようになった為、食用としてのティラピアは見かけなくなったが、観賞用として輸入されている。
なお、低水温には弱いが、高水温や酸欠に強く、汽水はおろか塩水にすら対応出来るという程に環境適応力が高い。
この適応力の高さから、日本各地の温泉地や温排水の流れる川などに定着している他、水温の高い沖縄本島では目視可能な程に定着している。
この様に、野生化して生態系を脅かしているので(地方によって定着しており、過去には大量繁殖した経緯もある)要注意外来生物に指定されている。
繁殖方法も特殊で、雄は尿に含まれるフェロモンで雌を誘うマウスブルーダー。
80センチ級の大型種となるナイルティラピアという種もいる。


身の味は普通に美味しい。
ただし、泥の中の有機物や藻類を食べるティラピアは内臓の臭いがキツい為、普通の魚の様に三枚おろしにすると身に悪臭が付いて不味くなる。
ウロコを落としたら臭いの元となる腹は開けずに、肉の部分だけを削ぎ取るという変則的なおろし方をする。
また、他の川魚と違って皮に脂が乗っているので、これも調理すると意外にも美味しいそうだ。



レッドジュエル


10センチ級の小型種で、赤色を基調に青く輝く鱗が散りばめられており、「ジュエル」の名前に相応しい美しい魚。雌の方が若干淡い色になっている。
性格の荒さはシクリッドトップクラスとも言われるほどに気が強くて協調性が悪いため、ペア以外の混泳には全く向いていない。
繁殖が容易で、一回の産卵に1000個以上と増えすぎて困るほどだが、持ち前の性格の為にショップでの取り扱いが難しい。


キングコングパロットファイアー


フラミンゴシクリッドとシンスピルムの交配で誕生したハイブリッド品種で、元となるパロットファイアーよりも大きい30センチ級の中型種。
丈夫で育成も楽で、赤く愛嬌のある姿からも人気が高く、アロワナと混泳させている人が多い。成長すると赤が抜けてきて黒くなってくる。
シクリッドとしては縄張り意識が弱くて温和な方であるが、強い魚に弱く、弱い魚に強く出る傾向の性格ではある。


ラビドクロミス・カエルレウス


マラウィ湖原産で10センチ級の小型種。
鮮やかなイエローの体色で、雄は背ビレと胸ビレに黒い鮮明なラインが入り、鮮やかな色彩を引き締める人気種。
小型ではあるが、シクリッド特有のコブの突き出た顔も相まって、非常に存在感が出る。
オープンスポウナーで平らな石や流木等に卵を植え付ける。稚魚になると、自由遊泳出来るまでの一ヶ月程は雌がマウスブルーディングを行う。


スキアエノクロミス・フライエリィ


体長20㎝ほどの中型種。マラウィ湖原産種の代表格。スキアエノクロミス・アーリーとも呼ばれるが、本当のアーリーは別種である。
青い。とにかく青い。これに尽きる。メタリックな深い青の体色はシンプルであるが、強烈な派手さと爽やかさを併せ持っている。
マラウィ湖にはこれと似たような姿のシクリッドが多数生息している。


ペルヴィカクロミスプルケール
河川産の代表格で体長10㎝ほど。メスはオスより体が小さい。昔の学名の名残で通称「ペルマト」と呼ばれる。
シックな茶色のラインを持ち、青やオレンジ、黄色などが彩りを添える。婚姻色を現すと腹部が鮮やかなピンク色に染まりさらに美しい。
繁殖期でなければ温和で混泳もしやすく、野生では大きな群れを作るという話も。
とはいえさすがに繁殖期に入ると気が荒くなってくるので、2匹以上で飼う時は注意。


追記・修正は餌やり後にお願いします 。




[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,3)

[#include(name=テンプレ3)]


  • シクリッドを混泳させるコツは大きい水槽にこれでもかと魚を詰め込むこと。自分は90cm水槽に20匹入れてたから魚同士気が散って殆ど喧嘩しなかった。ただ水汚れは早いから毎日バケツ1杯の水換えと、満腹感で気を宥める為に餌はいっぱいやってる -- 名無しさん (2020-04-08 22:19:21)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧