登録日:2017/08/15 Tue 05:15:24
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仏教 密教 菩薩 維摩経 知恵 文殊菩薩 地獄堂霊界通信 学問の神様 椎名祐介
●目次
■文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
『文殊菩薩』は大乗仏教(顕教)の尊格の一つ。
古代インドの実在の人物とされ、仏の知恵(智慧)を特に象徴しているとされる。
“三人よらぱ文殊の知恵”等と言われるように、民間でも知恵の仏として広く親しまれている代表的な菩薩の一つである。
梵名をマンジュシュリーと云い、これを音写して文殊師利。略して文殊となった。
梵名を漢訳した妙吉祥、妙徳と云う名前も伝わる。
我が国では釈迦三尊像として、釈迦如来の脇持に付けられることが多く、右に控える普賢菩薩と共に左に控える形で祀られる。
単独としても学問の神としての信仰を集め、学問成就や受験祈願の折に篤い願掛けが各地で行われている。
【概要】
モデルとなった人物については、十大弟子のリーダー格であった“智慧第一”と語られる舎利弗(シャーリープトラ)ではないか、とされている。
勿論、単に舎利弗を菩薩として神格化しただけではなく、智慧の仏であることから仏の最高の智慧を顕す『般若経』とも深く結びつけられ、関係経典に於ける言及、登場が多い。
天下泰平を祈願し『般若経』を皆で転読する“大般若会”では、本尊として元来は女神であったとされる諸仏の悟りの母たる般若菩薩を掲げるが、後にはこうした関係からか文殊菩薩と般若菩薩を同体とする見方も生まれている。
『維摩経』によれば、仮病に倒れて釈尊の説法場に参じられないことを悔やむ論客で知られた維摩居士を見舞うように釈尊が命じるも、論戦で破れるのを恐れた弟子達が尻込みする中で、文殊がこれを快く引き受けて維摩を見舞い、望む通りに論戦を交わした、との説話も伝わっている。
初期仏典では、そのように人間臭い部分もある姿で描かれていた文殊だが、大乗仏教が発展して密教化していくと共に、人智を越えた“仏”として描かれていくようになる。
文殊信仰は古代インドよりも、中国仏教で盛んで、日本にも天台宗を通じて中国での信仰の姿が伝わっている。
中国では道教の頃より知られる霊山の五台山が文殊菩薩の霊場であると定められ、獅子に乗った文殊を従者(善財童子、優填王、仏陀波利三蔵、最勝老人)が囲む形で祀られる「五台山文殊」や、文殊が五台山に向かう為に雲に乗って海を渡る「渡海文殊」と云った姿も成立した。
『法華経』の「提婆達多品」では、成仏を願う竜王の八歳になる娘が文殊菩薩の導きにより男の身となり、見事に成仏を果たすという「竜女成仏」の説話が伝わる。
唐代には文殊を知恵と戒律の師と仰ぐ信仰が生まれ、僧形でも顕された他、我が国でも鎌倉時代には戒律の復興を叫ばれると共に、貧しい人々の為に設けられた宿に文殊菩薩が祀られたと云う。
チベット仏教(西蔵密教)でも篤く信仰されている尊格の一つであり、その信仰形態は日本のものと比べると差異が大きい。
日本でも真言密教に於いて文殊菩薩は阿弥陀如来の正法輪身であり、教令輪身の大威徳明王と対応するが、同じくチベット仏教に於いて強大なヘールカ(守護尊)として畏怖されるヤマーンタカ(大威徳)は、マンジュシュリー(文殊)の忿怒相より生まれたとして伝わっている。
眷属には中国由来として、前述の「五台山文殊」図で付き従う四人の従者の他、八大童子(光網童子(菩薩)、宝冠童子(菩薩)、無垢光童子(菩薩)、髻設尼童子、鳥波髻童子、質多羅童子、地慧幢童子、請召童子)の名も挙げられる。
【姿】
一般によく知られているのは、獅子の上の蓮華座に坐し、頭に髻を結って右手に知恵の象徴として剣を持つ姿である。
獅子に乗るのは、知恵の威力を象徴するモチーフである為である。
頭の髻の数によって真言の文字数を変えて、別々の意図で本尊として修法を行う形式もあり、一字文殊は増益。五字文殊は敬愛。八字文殊は息災。……等と伝えられている。
また、知恵が純粋で穢れがないことから、文殊を童子の姿で顕す場合もあると云う。
【種字】
■マン
【真言】
■オン アラハシヤ ノウ
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