酔拳2

ページ名:酔拳2

登録日:2017/06/11 sun 00:21:53
更新日:2024/02/06 Tue 13:46:02NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



タグ一覧
酔拳 映画 香港映画 カンフー ジャッキー・チェン 拳シリーズ 石丸博也 名作 鬱エンド 広東 酔拳2



水 能 覆 舟

水は船を運ぶが、舟を覆すのもまた水である



■酔拳2

『酔拳2(Drunken Master Ⅱ)』は、1994年に公開された香港のアクション映画。
日本でも同年に公開されてヒット作となった。
監督としてクレジットされているラウ・カ・リョンの作風が伝統的カンフー映画の枠に収まるものでしかなく、80年代以降のジャッキー主演映画を通して鍛え上げられてきたジャッキーお抱えのアクションチームの視点からは“古い”と判断されたことで製作途中で交代。
結局、半分以上はジャッキー主導により撮り直しと撮影がされたとの事。


尤も、物語の方向性がラウ・カ・リョンの示した形に従ったままであることや、何よりもラウ自身も作中の重要人物として出演したままであることからも解るように、決して喧嘩別れなどをした訳ではなく「意見の相違はあったが友情は変わらない」と、ジャッキーは述懐している。


【概要】

1978年に公開され、アジア各国でヒット作となると共に、ジャッキーを香港のみに留まらない大スターとする切っ掛けとなった『ドランクモンキー 酔拳』の続編と銘打たれて製作された。


……もっとも、タイトルと主人公の名前や、先祖伝来の土地云々の話がストーリーに関わっていると云う以外は、基本的に前作との関連のない全く別の作品となっている。


このため、革命的な作品とされつつも基本的には昔ながらの仇討ち拳法物の発展型であった『酔拳』とは違い、アジアを代表するアクションスターとなっていたジャッキーならではの破天荒なスタントを前面に押し出したアクション大作となっている。


【物語】

清朝末期の広東。
英国支配下の中国では人々の暮らしの陰で、それに阿る者達による、領事館を通じての国宝級の文化遺産の横流しや、工員への非人道的な扱いといった悪行が行われていた。
酔拳の達人ながら、未だ思慮の浅いチンピラ気質の若者でしかなかったウォン・フェイフォンと彼の友人達は、祖国の人民に欠けている愛国心を以てそれを阻止しようとしている義士フク・マンケイとの出会いを切っ掛けに、自分達も国の未来を思い行動を始めるも力及ばず、挙げ句には自分達の失敗を理由に実家の道場の建つ先祖伝来の土地をも奪われてしまう。
マンケイも志半ばで命を落とし意気消沈するフェイフォンだが、売国奴への怒りを胸に最後の抵抗に向かう。
果たして、怒りの酔拳は若き正義を貫けるのか!?


【登場人物】

※吹替はソフト版・フジテレビ版。


■ウォン・フェイフォン
演:ジャッキー・チェン
声:石丸博也
父ケイインの指導の下でカンフーを身につけた血気盛んな若者。
当時のジャッキーは40になろうという年齢だったが、イメージは変わらないのでオケ。
お調子者で思慮の浅い面もあるが、マンケイとの出会いを経て義侠心を目覚めさせていく。
元々優れたカンフーの腕前を持つが、真に得意としているのは酔拳で、酩酊しやすい体質もあってか酒を呑んだ状態での酔拳は人間の域を越える程の爆発的な力を発揮する。
しかし、そうした特性故に父ケイインからは酔拳の使用は勿論、飲酒自体も禁止されており、リンに乗せられたとはいえ酔拳を使って大暴れした時にはケイインから大目玉を食らってしまっている。
この設定については「酒を飲むと罰が下る」と云う中国での宗教的な道徳観が理由とのことで、後に差し替えられてしまったオリジナル版での救いのないエンディングへの伏線となっている。


■ウォン・ケイイン
演:ティ・ロン
声:堀勝之佑/青野武
フェイフォンの父。
先祖伝来の土地に建てた道場で漢方家、武術家として働き、地域住民にも慕われている地元の名士でもある。
厳格な性格だが、それ故にフェイフォンやリンが元で起きた騒動には毎回のように苦労させられている。
心配が行き過ぎて、特にフェイフォンに対しては不自然な程に辛く当たることもあるが、凡ては愛情の裏返しである。
それ故にかフェイフォン本人に酔拳と飲酒を禁じさせている理由をハッキリとは伝えきれておらず、それがオリジナル版ラストの悲劇の理由の一つとなってしまっている。


■リン
演:アニタ・ムイ
声:戸田恵子/雨蘭咲木子
ケイインの後妻でフェイフォンの義母。
中の人はジャッキーより年下だが。
夫の前ではカマトトぶっているが、本来は男顔負けの気っ風のよさと肝っ玉の強さを持つ。
本作のヒロイン兼、コメディリリーフでもあり、フェイフォンのことは本当の息子のように可愛がってこそいるものの、前述のように彼女が原因となってフェイフォンが怒られた事由も多い。
趣味は麻雀で、冒頭でケイインがフェイフォンとツォウを連れて漢方薬を仕入れに家を空けていた時には近所の連中を連れ込んで雀卓を囲んでいた。
武術の腕前も中々のもので、事ある毎に御先祖様にお伺いを立てる面も。
03年に40歳の若さで逝去してしまった中の人は歌手が本業ながらも、香港映画を代表するコメディエンヌとして日本でも知られ、ジャッキーとの共演も多かった(ジャッキーの米国進出作となった『レッドブロンクス』等)。


■ツォウ
演:チャン・チーコン
声:桜井敏治/竹村拓
ウォン家の使用人で、小心者だが小狡い部分もある性格。
その為か、リンやフェイフォンの起こした騒動に巻き込まれてとばっちりを食う一方、あっさりと保身に走ったり。


■ツァン
演:フェリックス・ウォン
声:星野充昭/小杉十郎太
まだ若い魚屋で、ケイインの下でカンフーも学んでいる腕自慢。
同じ市場で働くファンに気があり、そのこともあってかフェイフォンに噛みついたりしていたが、後に騒動に巻き込まれる中で英国領事館と売国奴の行いを知り、国を思う気持ちに目覚める。


■ファン
演:ホー・ヨンファン
声:沢海陽子/坂本千夏
市場で蛇を売っている若い女で、フェイフォンに好意を寄せている。
領事館の行いを知り、彼女もフェイフォン等に協力する。


■フク・マンケイ
演:ラウ・カ・リョン
声:宝亀克寿/緒方賢一
英国占領前の旧国家体制時には武術教官を務めていた程の人物であり、泥棒と勘違いして追いかけてきたフェイフォンも敵わなかった程の武術の達人(フェイフォンは素面だったが)。
愛国心から英国への国宝横流しを止めようとしており、後に道場を訪れて事情を明かしてからはフェイフォンの腕を認め、信頼関係を結ぶ。
英国領事館の追っ手からの発砲により想い半ばで倒れるが、その熱い信念はフェイフォンと友人達に引き継がれた。
中の人は武術指導家、映画監督として名の知られた香港映画界の大物で、本作でもジャッキー相手に見事な腕前を披露している。
また、ラウ・カ・リョンは本作、及び前作の主人公フェイフォンのモデルとなった近代中国の伝説的英雄ウォン・フェイフォンの直弟子の孫であり、実像に近い“英雄”の姿を知る人物でもあったとの事である。


■諜報員
演:アンディ・ラウ
声:平田広明/藤原啓治
特別出演。
疑いを掛けられたフェイフォンを救う。


■ジョン
演:ロウ・ホイクォン
声:田中正彦/大塚芳忠
英国領事館に国宝を横流しする売国奴達のリーダーで、本人も蹴り技を主体とした武術の達人。
国宝横流しに絡んで来たフェイフォン等を邪魔者とする一方、その失態を利用してケイインから土地をタダ同然に取り上げる等、策謀にも優れる。
クライマックスの死闘は後々までの語り種であり必見。
中の人はジャッキーのアクションチームに入る前は香港ムエタイのチャンピオンであったガチの武道家で、当時のジャッキーのボディーガードも務めていたのだとか。
因みに、映画内で使っている技はムエタイやテコンドー等とも違う独自の型を目指して編み出されたと云う。



【ラストの展開の違い】

別エンディング(映画)も参照。


日本公開版や、現在見られるバージョンでは、工業用アルコールを酒代わりに呑んで勝利したフェイフォンが、ラストの死闘の後で胃から沸き上がって来た泡を見て惚けた顔をした所で直接エンディングに繋がる……と云うものだが、元々のオリジナル版では工業用アルコールを呑んでしまった影響で喉ばかりか頭をやられてしまったフェイフォンが白痴の様な姿をフェイフォンの活躍で事件が明らかになったことを労いに来た将軍に晒す……と云う、英雄の姿としては切なくなるものだった。


この展開は前述のように昔ながらの宗教的倫理からのアイディアだったが、
この展開には公開当時から本国でも批判が多く寄せられたらしく、後には本国版でも見れなくする、との旨をジャッキー本人が宣言している。


ちなみに、ジャッキーは腹から泡を吹き出すためにある薬品を呑んだとのことだが、その影響で本当に喉を潰してしまったとの事。毎回、無理しすぎやで……。






追記修正は工業用アルコールで無敵モードになってからお願い致します。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,4)

[#include(name=テンプレ3)]


  • バッドエンディングつっても、この後も医者として、武道家として活躍する黄飛鴻である以上、不可逆的なものという設定ではないはずなんだよね。本来。でも外国人にはわからないから完全にバッドエンドだよね別エンディングだと。 -- 名無しさん (2017-06-11 00:32:51)
  • あの英雄も若い頃はこんな無茶やってたんだよ的な描写と聞いたことあるな -- 名無しさん (2017-06-11 15:16:17)
  • ジョンとか鎖使いとか、敵のアクションがまたケレン味があっていいのよね -- 名無しさん (2022-06-24 15:21:55)
  • 前半は三枚目系だが、後半は三枚目気取りのヒーローといった印象になり、ジャッキーのキャラが微妙に違う。監督交代の影響だろうか? -- 名無しさん (2023-02-07 21:04:16)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧