登録日:2017/05/10 Wed 14:52:54
更新日:2024/02/06 Tue 11:11:04NEW!
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キーワード能力 ぶっ壊れ ストーム mtg ソリティア ストーム値 一人回しの美しさは芸術の域
ストームとは、Magic: the Gathering(マジック:ザ・ギャザリング 以降MtG)におけるキーワード能力の一つ。
旧枠最後のエキスパンションであるスカージで初登場、その後時のらせんブロックで再登場した。
▽目次
解説
そのターン中に唱えた呪文の回数、この能力を持つ呪文をコピーするという能力。ちなみに相手が唱えたカードもカウントする。
この能力はこの呪文を唱えた直後に誘発する、誘発型能力に分類される。
つまりそのターン起こしたアクションの数だけ呪文の効力が増加して襲ってくる訳である。
呪文さえ唱えれば何でもいいので、クリーチャーを出して即座にバウンスするといった「一見すると意味のない行動」でも良い。
このようにストーム呪文のために呪文を唱え続ける事を「ストームを稼ぐ」と言う。
こうしてストームを稼いでストーム呪文を唱えるとコピーも含めて一度に同じ能力を持つ呪文を複数スタックに乗せる事になる。
その為多くの打ち消し呪文では対処出来ない。(本体を打ち消してもコピーがスタックに残るため。)
もし打ち消したければ誘発型能力を打ち消すか、大量のコピーをまとめて処理できるかなり尖ったカードを使わないといけない。
未来予知では未来に実装される可能性のあるギミックとして「墓地ストーム」が登場した。
これは唱えた呪文の代わりに墓地に置かれたパーマネントの数を参照し、この能力を持つ呪文をコピーする。
さて、MtGにはマナを加速する為の呪文とか0マナで唱えられるカードなどが多数存在する。
勿論そういった呪文が全部手札にあるとは限らないが
じゃあ、そいつらを全部ドローなどで持ってこれたらどうなるか。
MtGには少ないマナでドロー出来たり置いておくだけでドロー出来るカードがある。
そして、肝心のストーム持ちのカードにこんな奴もいた。
Mind's Desire / 精神の願望 (4)(青)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーを切り直す。あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。(それがそのマナ・コストの中にXを含む場合、Xは0である。)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
要約すると
呪文を唱えた回数だけドロー出来て、この効果で引いたカードは全部無料で唱えられる
ということである。何だこのぶっ壊れ。
特にこのカードが凶悪なのは他のストーム呪文との相性の良さ。このカードで土地以外がめくれればそれらもこのターンに唱えた呪文=追加のストームになるためその後に唱えられるストーム呪文が更に強力になるのだ。
つまり、ある程度ストームを稼いだらこれを打ち、能力で更にストームを稼ぎつつ手札とマナを増やしていく。そして最後はストーム持ちのフィニッシャーに繋げる。
もし《精神の願望》で追加の《精神の願望》がめくれたりしたらもう悶絶モノ。先に他のめくれたカードを唱えてからもう1枚の《精神の願望》を唱えれば膨れ上がったストームでライブラリーを全部めくることも可能だろう。
こうして主にエクステンデッドにおいて最初のストームデッキ【デザイア】が完成した。派生系の【ぐるぐるデザイア】とかいう気の抜けた凶悪デッキも居ましたね。
さて、ここまで書くと《精神の願望》「だけが」ぶっ壊れなだけのように思えるが、別にそんなことはなく他の面子も大概である。
単純にストームを稼ぐ行為と、ストーム持ちの疑似ドローである《精神の願望》が相性が良すぎるだけで、
マナ加速やドローを連打できるのならば他のストーム持ちもフィニッシャーになり得る。そしてその専用構築でも勝つ事は十分できる。
そして、スタンダードよりもカードプールの広いエクステンデッド、モダン、エターナル環境では、それにおあつらえ向きのカードがいくつも存在した。
結果として、《精神の願望》を始めとするストーム系デッキはそれらの環境における定番の即死系デッキに名を連ねる事になる。
あの1キル率6割の【ロング・デック】も、ストームデッキの一種である。
カード
Mind's Desire / 精神の願望 (4)(青)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーを切り直す。あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。(それがそのマナ・コストの中にXを含む場合、Xは0である。)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
項目参照。
エターナル環境ではトーナメントリーガルになる日に規制されるという伝説を成し遂げたカード。
強力とはいえフィニッシュ手段が別にいるのは事実で、その点もあってか過剰な性能を抑えられるために制限指定されている無法のコンボ&シナジー環境のヴィンテージであっても見ることは意外と少ないが、
それでも、ウィッシュボードとしてサイドに仕込まれていることがあり、6マナ貯まってこれに繋がればほぼゲームセットになる。
《逆説的な結果》を用いる逆説ストームなどでは割と唱えやすい。通すとだいたい死ぬ。
Tendrils of Agony / 苦悶の触手 (2)(黒)(黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
エターナルにおける各種ストームデッキの代表的なフィニッシャー。
相手が初期ライフの状態なら9回呪文を唱えてこれを撃てば勝利。
致死までのストーム量が一番少ないため、特化すれば先攻1ターン目でも達成できる量である。触手プレイ
Brain Freeze / 思考停止 (1)(青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーは自分のライブラリーのカードを上から3枚、自分の墓地に置く。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
フィニッシャーその2。
相手のライブラリー枚数が初期のままなら17回呪文を唱えてこれを撃てばライブラリーアウトする*1。
《苦悶の触手》より必要ストームは多いが無限ライフ相手の時にはこっちが便利。こちらを好んで使うプレイヤーもいる。
近年ではあえて自分に撃って大量墓地肥やしするデッキも誕生している。
Grapeshot / ぶどう弾 (1)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ぶどう弾はそれに1点のダメージを与える。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
フィニッシャーその3。必要ストームは19。
《苦悶の触手》より必要ストームが倍以上になった一種の調整版。ダメージになったので多少は対処もしやすくなった。
モダンで使えるのでモダンのストームデッキに使われている。モダンだとフェッチランドやショックランドの関係でもっと少ないストームで行けることも多い。
ちなみにコモン。
Pauperで【赤系ストーム】が暴れてた時の死因は大抵これだった。
現在は禁止。コモンのみのPauperではあまりにも対処手段が少なすぎた。
Empty the Warrens / 巣穴からの総出 (3)(赤)
ソーサリー
赤の1/1のゴブリン(Goblin)・クリーチャー・トークンを2体生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
多くのストームデッキがサイドボードに入れているカード。
ストームデッキはクリーチャーを殆ど入れないため腐りやすいクリーチャー除去は抜かれることが多く、これで出てくるトークンに対処出来ないのである。
トークンを出したそのターン中に決着できる場合は別だが、メインから積むのはあまりオススメしない。
これもコモン。
Pauperの【赤系ストーム】の死因その2。《ゴブリンの奇襲隊》で速攻付けて殴りかかってくることもあった。
が、《ぶどう弾》と同時にPauper禁止を喰らう。クリーチャーなのでぶどう弾よりは対処しやすいが、対策カードを引かなければ即敗北なのはやはりまずかった模様。
Dragonstorm / ドラゴンの嵐 (8)(赤)
ソーサリー
あなたのライブラリーからドラゴン(Dragon)・パーマネント・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
【ドラゴンストーム】のキーカード。
登場当初は重すぎてネタカードだったが時のらせんでの再録時は状況が一変。
色の合った強力なマナ加速の数々や有用なドラゴンが増えたため【ドラゴンストーム】が一躍強力デッキになると同時にこれの価値も急上昇した。
Temporal Fissure / 時間の亀裂 (4)(青)
ソーサリー
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちバウンス。
ストームが5くらい溜まった上で撃てば事実上ゲームが終わるが、このカード自体がエンドカードになる訳ではない。
なおこれもコモン。
《ぶどう弾》《巣穴からの総出》禁止後のPauperの【8Post/青系ストーム】で使われていたがあえなく禁止に。
フリースペルでストームを稼いだ後にこのカードを打たれれば戦場はまっさら、このカード自体も《記憶の壁》で回収するのでその後も土地すら伸びないのはあまりにも強すぎた模様。
Reaping the Graves / 墓の刈り取り (2)(黒)
インスタント
あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちサルベージ。
大量にサルベージしたところで普通は持て余すだけであるためそこまで強くはないが、度々登場するクリーチャーを大量に生け贄にして動くコンボデッキだと息切れ防止手段として優秀。かの《頭蓋骨絞め》を有効に使ったヴィンテージのデッキ【コボルドクランプ】が代表的な採用例。
こちらもコモンだが、上述の3種と異なり規制されていない。
Flusterstorm / 狼狽の嵐 (青)
インスタント
インスタント呪文1つかソーサリー呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちカウンター。ストーム呪文でありながらストーム対策になる。
軽いコストでストーム呪文をコピーも含めて纏めて打ち消せるのでエターナルでの定番サイドボードカードになっている。通常の呪文に対しても軽量打ち消しとして機能するためメインデッキに入っていることも多い。
Hindering Touch / 妨害の接触 (3)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちカウンターその2。《狼狽の嵐》の上位種。(登場はこっちの方が先だが)
流石に4マナは重すぎるのであまり使われなかったが、Pauper環境ではストームに対する数少ない対策カードとしてサイドボードに4枚積まれることも珍しくなかった。
Weather the Storm / 嵐の乗り切り (1)(緑)
インスタント
あなたは3点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えた呪文1つにつきこれを1回コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
モダンホライゾンで久々に登場したストームカード。大量のライフを得ることで間接的にストーム呪文による即死対策ができる。得られるライフは3点なので《苦悶の触手》を打たれようが死なないどころか打たれる前よりライフが増える。ただし《思考停止》でライブラリーを飛ばされるパターンもあるので油断は禁物。
カード名もストーム対策を意識している。
前駆軟泥、エーヴ/Aeve, Progenitor Ooze (2)(緑)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー ― ウーズ(Ooze)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
前駆軟泥、エーヴがトークンであるなら、これは伝説ではない。
前駆軟泥、エーヴは、これ以外であなたがコントロールしているウーズ(Ooze)の数に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
2/2
ストームを持つ初のパーマネント。唱えた数だけコピー・トークンが出てくるという形になる。
トークンは出てくる度に+1/+1ずつ強化されていくので即死を取るためのストームはそこまで多くない。ただしこれ自体が少し重めであり、なおかつ召喚酔いの影響を受けるのが弱点。
《巣穴からの総出》や下記の《嵐の精体》辺りと競合することになるが、緑であることを活かせば差別化は容易だろう。
Chatterstorm / 騒鳴の嵐 (1)(緑)
ソーサリー
緑の1/1のリス(Squirrel)・クリーチャー・トークン1体を生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
《巣穴からの総出》の実質的な下位互換。色・トークンのクリーチャー・タイプが異なるが、出てくるトークンが半分になった。レアリティはちゃんとコモン。
とはいえ、パウパー環境では現状唯一の直接勝ちに繋がるストームカードなので登場直後から専用デッキ【リスストーム】が誕生している。ストリクスヘイヴンで出てくるトークンを強化しつつ速攻を付与する《授業初日》が登場したため、以前と大差ない程度まで必要なストーム数を減らすことが可能。
そして全体除去がほぼ存在しない環境ゆえにとれる対策がほぼなく、パウパーで禁止になった。
Spreading Insurrection / 拡散する暴動 (4)(赤)
ソーサリー
あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
ストーム持ち一時的コントロール奪取。
相手依存だが、完璧に決まるとがら空きの敵陣を相手のクリーチャーで突っ走らせることができる。
1対1で使うには少し過剰だが、多人数戦で使うと混沌を演出できるのはこの手のカードのお約束。
拡散する波動ではない。
Galvanic Relay / 電位式リレー (2)(赤)
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。次のあなたのターンの間、あなたはそのカードをプレイしてもよい。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
精神の願望のリメイク。コストは踏み倒せなくなり、唱えられるタイミングが次のターンに変更された。
単独で勝つことはできなくなったが、ハンデスの利かない手札を大量に抱えるのと同然であるため、次のターンに別のストーム呪文でトドメを刺す準備としては十分。
Bitter Ordeal / 苦々しい試練 (2)(黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーのライブラリーからカードを1枚探し、そのカードを追放する。その後そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
墓地ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に墓地に置かれたパーマネント1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
墓地ストームを持つ唯一のカード。
デッキから好きなカードを根こそぎ引っこ抜ける。
本家ストームに比べると、対戦相手に能動的に呪文を唱えさせることは難しいが、対戦相手のパーマネントを墓地に送ることは簡単なので特別なギミックを仕込まなくてもストームを稼ぐことが出来る。よって相手のライブラリーから土地を全追放したり自分に対抗できるカードを全追放したりが簡単にできる。
Storm Entity / 嵐の精体 (1)(赤)
クリーチャー — エレメンタル(Elemental)
速攻
嵐の精体はその上に、このターンに唱えられた他の呪文1つにつき+1/+1カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
1/1
ストームによりパワーアップする速攻持ちクリーチャー。ただし処理の都合からか、キーワード能力としてのストームは持たない。
《ぶどう弾》がクリーチャーになったようなものであり、ストーム19で出して走らせれば即死が取れる。
といっても基本的にはクリーチャーなので、複数ターンに渡って殴って倒すことを前提に採用することになる。クリーチャー対策が甘くなることを前提に追加の勝ち手段として《巣穴からの総出》との選択で採用されている。
霊気貯蔵器/Aetherflux Reservoir (4)
アーティファクト
あなたが呪文を1つ唱えるたび、このターンにあなたが唱えた呪文1つにつき1点のライフを得る。
50点のライフを支払う:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。霊気貯蔵器はそれに50点のダメージを与える。
自分の呪文しかカウントしないが、ストーム亜種と言えるカード。
普通にやったら50ライフなんて回収出来ないが、スタンダードでの「《逆説的な結果》で0マナアーティファクトを戻して大量ドロー→その0マナアーティファクトを出してストームを稼ぐ→50点キャノンで相手を粉砕」という【逆説ストーム】のキーカード。
スタンダード発祥、しかもストームと書かれているカードは(当然)1枚も搭載されていないデッキなのに、ストームという名前が付いた辺り、ストームの影響性が強いことが伺える。
ネタのように思えるがマジック25周年プロツアーのスタンダード部門ではロマンに惹かれてか使用率4位に食い込んでいたりする。
それ以前にGP静岡17で「ライブマッチに採用されて、しかも当時のトップメタである【霊気池6連くじ】相手に2本とも50点キャノン決めて2-0勝利」という笑撃のデビューを飾った方が記憶に残っているかも。
屈指のアーティファクト環境であるヴィンテージでは早速取り入れられており、ギミックはスタンダードと同じだがMox他軽量アーティファクトだらけで凄まじいパワーになっている【逆説ストーム】の他、《修繕》から持ってこれることを利用して他のストームやメンター系デッキにも取り入れられている。
Thousand-Year Storm / 千年嵐 (4)(青)(赤)
エンチャント
あなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えるたび、このターンにあなたがそれより前に唱えたインスタントかソーサリーである呪文1つにつき1つ、それをコピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。
すべてのインスタントとソーサリーにストーム亜種能力を付与するカード。
イゼットらしく自分のインスタントとソーサリーでしかカウントを増やせないが、これまではただのストーム稼ぎに過ぎなかったカードまでストームを持つようになるのは驚異。
勿論相応に重いのだが、設置して起点になるカードを唱えられる状態にさえなっていればスタンダードのカードプールでも一瞬で即死に持っていけるその性能に惹かれた者は多く、時折地雷デッキとして姿を見かける。
Show of Confidence / 自身の誇示 (1)(白)
インスタント
あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにあなたが唱えた、これ以外でインスタントやソーサリーである呪文の数に等しい回数これをコピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。
クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。ターン終了時まで、それは警戒を得る。
インスタント・ソーサリー限定のストームを持つ強化呪文。日本語名は変換ミスを疑われている。
コピーに反応して誘発する魔技や、自身を対象にした呪文で能力が誘発するクリーチャーとのコンボで爆発的な威力を発揮する。
Crow Storm/カラスの嵐雲 (2)(青)
ソーサリー
《嵐雲のカラス/Storm Crow》という名前で飛行を持つ青の1/2の鳥(Bird)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えられた呪文1つにつきこれを1回コピーする。)
実在のクリーチャー《嵐雲のカラス》がたくさん出てくる、ジョークエキスパンション{「Unstable」に現れたストームカード。
効果自体はジョークエキスパンションにしては普通であり、《巣穴からの総出》を若干弱くした感じ…と思いきやuトークンが飛行持ちなので止めにくいわ、タフネス2なのでタフ1狙いカードはほぼ刺さらないわ、結構強くなっていて侮れない。そもそも青いので2枚目以降を《意志の力》のコストにできるし、特に青はストーム系ギミックと相性抜群である。
ではなぜこれがジョークエキスパンション産なのかというとまずは名前ネタ。《嵐雲のカラス》は海外では甲鱗様やさまようもののようなアイドルカードであり、「嵐雲のカラスを生成するストーム呪文」という冗談も存在したため、それを忠実に再現したものとなっている。
その上で「このカードを黒枠で収録できるか」と開発部内で議論した結果、「黒枠にするならプレイヤーが見て最悪だと思うくらい弱くしないといけない」という結論に達したため銀枠での収録となった。
そりゃ確かに、満を持して登場だ!と言われてクソみたいに弱いカード出されるよりはねぇ…。ちなみに出てくるトークンは雷に打たれているカラス。
フレイバーテキストが詩的。
影響
この明らかにぶっ壊れた能力、そして現実となった各種カードの大暴れ等を受けた結果、ストーム持ちカードは規制され…
なかった。
規制されたのは0日規制された《精神の願望》と、Pauper環境で《ぶどう弾》《巣穴からの総出》《時間の亀裂》が禁止されただけ。
代わりに何が規制されたかと言うと
マナ加速カードとライブラリー操作カードである。
マナ加速カードは《煮えたぎる歌》《炎の儀式》(モダン禁止)《ライオンの瞳のダイアモンド》《金属モックス》(ヴィンテージ制限)*2。(金属モックスはモダンでもフォーマット制定当初から禁止されている。)
ライブラリー操作カードではモダンで《思案》と《定業》が、レガシーでは強力サーチカードの《神秘の教示者》が禁止を食らった。ヴィンテージで規制された《燃え立つ願い》もサイドボードからカードを持ってくるという意味でサーチカードに似ている*3。
ストームを稼ぐと言っても闇雲に呪文を連打していればすぐにマナか手札、もしくは両方が尽きてしまう。そこでマナ加速カードである。これらを使えばストームが増えると同時にマナはどんどん増えていくのだ。
そして減ってしまう手札を補うのは主にドローカードだが、ただ漫然とドローしているだけでは土地や不要牌を引いて止まりやすい。
そこでライブラリー操作カードの出番である。これによって不要牌を弾いたり必要なカードをより確実に持ってくればよりコンボが繋がりやすくなるのだ。
さらにマナ加速や軽量ドロー・サーチは、ストーム以外のソリティアデッキ(青赤昇天など)や「ストンピィ」と呼ばれるフィニッシャーの高速召喚を狙ったデッキにも用いられてしまう*4。
虫で言えば、一種類の害虫を殺す薬を撒くよりも、虫がはびこる環境そのものを舗装すればいい、という考えに近い。
ただ禁止理由はストームにだけに限らず、単純に汎用性が高すぎてコンボやコントロールデッキを強化しすぎてしまうというのも兼ねているようだが。
ちなみに《ギタクシア派の調査》はストームデッキが直接の禁止の理由ではないのだが、マナを使わずに唱えられる・ドロー加速・ストーム稼ぎ・墓地が増える・相手の対抗策を見れるetcとストームデッキにおいても強力無比なカードであった。こちらも一緒に弱体化する目的があったかもしれない。
Pauperでストームカードが直接禁止されたのは環境柄対策カードが少なすぎる…と言うかほぼ無いから、原因を消すしかなかったためだろう。
まあこちらもサポートの立場にあったフリースペルがその後禁止されているが。
対策
呪文のコストを増加させる《アメジストのとげ》や《スレイベンの守護者、サリア》は天敵。マナ加速がマナ加速にならないからである。《虚空の杯》のように問答無用で低コストの呪文を打ち消す置物も苦手。
《エーテル宣誓会の法学者》《法の定め》のように1ターンに1度しか呪文を唱えられないようにする手もある。
また、何かしらの手段で墓地のカードを再利用(フラッシュバック付与)できるようにしてストームを稼いだり、墓地のカードを参照してコンボを繋ぐことも多いため、墓地対策がけっこう刺さる。
打ち消しを使うならフィニッシュ呪文ではなく重要なギミックを担うカード*5を打ち消そう。ストームは唱えたときの誘発型能力なので本体を打ち消してもまったく意味がない。逆に誘発したストーム能力を《もみ消し》等で打ち消すと本体呪文のみになるので有効である。
ストーム対策特化ならば《精神壊しの罠》が有効。ストームデッキならストームを稼ぐ過程で1ターンに何度も呪文を唱えるためノーコストで唱える条件を自動的に満たし、その効果でストームのコピーごとスタック上の呪文をすべて追放することができる。
あと必然的にドローが増えるので《迷宮の霊魂》《トレストの使者、レオヴォルド》なんかが出ていても動きが大幅に鈍る。レオヴォルドはストーム呪文に対しても効く。
赤単でも対策は可能で呪文を唱えるごとにダメージを与える《大歓楽の幻霊》《紅蓮光電の柱》が有名か。
そして最近登場した《減衰球》は、ストーム対策の集大成ともいえるカードである。ついでに死んだハイブリッドランドって土地もあるが。
知名度ゆえに対策は豊富なのでストームを使用するならメイン戦は必ず取りたいところ。
特に「見切り発車」と呼ばれる、不十分な状態でコンボに向かわなければならない点、相手のデッキに入っているであろう妨害手段などをきちんと把握・想定していないとならない。
一人回しデッキとはいえまわすのは奥深く、それゆえ慣れていないと遅いプレイによる罰則を取られることもある。逆にストーム対策もストーム使いのプレイヤーとやりあっていないと、実際はどこが弱いのかということが分かりづらい。
ちゃんと練習しなければならないが、練習に付き合ってくれる相手がいるかというと…
こういった観点から、カジュアルに遊ぶプレイヤーと大会志向のプレイヤーの間で極めて大きな評価の隔たりがある。
余談
ストームはその余りに壊れた性能から公式からも「スタンダードではまず間違いなく再登場しない」メカニズムとして認知されている。
ある日マローに来た質問に「スタンダードでストームが再登場する可能性は?」というのがあり、それに対してマローは「再録される可能性の高い順に1〜10とするなら、ストームは10だ」と答えた。
これ以降、「じゃあこのメカニズムはいくつになる?」という質問が多く来るようになり、この指標についての話はたちまち定番ネタになった。そしてこの「スタンダードリーガルのセットで再録される可能性を示す値」の事を「ストーム値」と呼んでいる。
英語だと「The Storm Scale」、本来はハリケーンの規模を表すための言葉である。
現在では公式コラムでセットが完結する度にストーム値の発表がされ、プレイヤーを楽しませている。
選定基準は
- 人気/Popularity - 文字通りの意味。
- デザイン空間/Design Space - そのメカニズムを搭載したカードの枚数にどれくらい余裕があるか。
- 多用途性/Versatility - 汎用性や他のメカニズムとの相性。
- デベロップ/Development - バランスの調整。
- プレイアビリティ/Playability - メカニズムをプレイヤーが正しく理解できたか。使う上で物理的な問題はなかったか。
から総合的に判断される。勿論ストームは最高の10である。ネタも含むとバンドの11とか他のPWとのバンドの12とかがあるが
フリースペル(土地をアンタップするタイプ)や親和(アーティファクト)、発掘、相棒と並んでWotCにおける失敗メカニズムの代表例になっているから仕方ないが。
ただし、これはあくまでマローの独自見解であり、ストーム値が高くとも(メカニズム自体が不評でなければ)再録されることはありうる。
この例として、ストーム値8の「マッドネス」がそれが発表された直後の「イニストラードを覆う影」に再登場したことがある。
ストーム値がいくつであろうと、それを活かす環境やテーマ*6があれば登場させるという事である。
その後のコラムでは「マッドネス」は結局8のままだった。それを活かす環境を作らなければならず、それがあまり良いものではなかった…とのこと。
最近はフェイジング(ストーム値9)、アーティファクト土地(ストーム値10)などのストーム値の高い能力のスタンダードでの再登場が相次いでいる。
また、あくまでもスタンダードでの再録可能性の話なのでストーム自体はモダンホライゾン1と2で再登場している。特に2ではリミテッド用テーマとして複数の新規カードが登場しており、「メカニズム自体は人気だが、調整が難しいためカードパワーの許容ラインが高い下環境用セットで扱う」というスタンスであることが伺える。
続いて「どのくらいその次元に回帰する可能性があるか」という指標である「ラバイア値」も作られた。
ラバイアはオールドエキスパンションである「アラビアンナイト」で舞台になった次元。セット名通り今後版権とも戦わないといけないため、回帰する可能性が一番低い次元である*7。
全ての始まりであるドミナリアは低めというか貫禄の1、セットとして失敗した神河が8とかなり高い。とはいえ神河も再訪されるのが決まったので*8結局アテにならないのはストーム値と同様。
MtG特有の能力だが、遊戯王の魔導書の神判は割りと似た効果を発揮する。
まあマナという概念がない上に手札補充手段の少ないあちらでは本家ストーム以上のぶっ壊れになったのだが。
他にはshadowverseのウィッチのギミックが比較的近い。こちらは比較的良好なバランスになっている。
忘れられがちだが相手の呪文でもストームはカウントされる。これは《狼狽の嵐》《嵐の乗り切り》など、ストームを持つストーム対処カードが登場したことで周知されるようになった。
…のだが、それでもやっぱり忘れてしまうことは多い。相手が唱えてきた《選択》あたりはちゃんとカウントしておこう。
また、呪文のコピーは「唱えて」いないのでストームはカウントされない。つまりストームが乗ったストーム呪文を唱えても、直後に唱えたストーム呪文は1つしかストームは1しか増えない。精神壊しの罠を使う時は注意。
特に多くのストームを稼ぐデッキでは自分がいくつ呪文を数えたか、今マナがいくつあるのか忘れがち。紙やカウンターなどでしっかり記録しておくこと。
ちなみにマナの数え間違いは世界大会でも起こったミスである。
MtGの生中継とかでストーム系デッキが回り出すと、対抗策が無くて見てるだけになってしまった対戦相手がストーム数やマナ計算を手伝っていることもある。ある意味ドラムバッグ一杯の漫画に変わる暇つぶし手段かもしれない。
追記・修正はこれをするまでに、これまでに追記・修整した数だけお願いします。
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▷ コメント欄
- 下の環境だとぶっ壊れだがスタンダードだとストームを稼ぎにくいと極端なキーワード -- 名無しさん (2017-05-10 15:09:46)
- 追記修正しました。禁止のところはもう少し変えられるかな… -- 名無しさん (2017-05-10 16:56:48)
- あ、《時間の亀裂/Temporal Fissure》書いてねえ。誰か頼みます。Pauper禁止です -- 名無しさん (2017-05-10 16:57:27)
- 強すぎるメカニズムとしては発掘と並ぶが親和(アーティファクト)やフリースペルのようなどうしようもないぶっ壊れメカニズムと比較すると一枚劣る印象 -- 名無しさん (2017-05-10 20:02:20)
- シャドバのリノセウスをさらにタチ悪くしたような効果かてんあ -- 名無しさん (2017-05-10 21:28:28)
- いちいち遊戯王に噛みつかなくてもいいんじゃないかな? -- 名無しさん (2017-05-11 07:14:51)
- 大幅に追記修正。 -- 名無しさん (2017-05-11 11:02:12)
- ↑↑↑リノセウスが唱えた呪文の数と同じ数だけ湧き出てくるようなもん -- 名無しさん (2017-05-11 12:02:10)
- 強いは強いが恐ろしく面倒な能力でもある。計算間違いしやすさは他の強いキーワード能力の比ではない。 -- 名無しさん (2017-05-13 16:03:25)
- いきなりストームカウントし始めると動くとバレるし、かと言って毎ターンやってると遅延になるしねえ -- 名無しさん (2017-05-15 10:50:54)
- アンステーブルにて新規カード、カラスの嵐雲が登場 -- 名無しさん (2018-08-05 13:11:09)
#comment
*2 その後金属モックスは制限解除された。レガシーではなぜか規制されない
*3 願いはその後解禁された。
*4 ストンピィも本来環境側が想定していない速度を出してしまう上に、選ばれるフィニッシャーがだいたい対処されづらい能力を持っている「ハメ」に近いデッキなので結構な厄介児なのである
*5 主にキーカードをサーチしたりドローする呪文
*6 今回は旧イニストの「墓地利用」+新イニストの「エムラ様による狂気」が融合した結果
*7 そもそも登場人物の名前を知らない人も多いし、メインキャラのテイザーが一家そろってインベイジョン・ブロックで死亡している
*8 サイバーパンクとニンジャの次元になったけど
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