登録日:2016/09/13 (火) 22:07:00
更新日:2024/01/26 Fri 10:51:26NEW!
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小坂俊史 4コマ 桃山 せんせいになれません 四コマ漫画 登場位置固定キャラクター モノローグ三部作
四コマ漫画界を代表する漫画家の一人として知られる小坂俊史。
その作品に共通する特徴として読者の間でお馴染みなのが「登場位置固定キャラクター」の存在である。
これは「各話において、必ず最後から2本目の四コマ作品に登場するキャラ」のことである。
一つの作品の中では基本的に同じキャラがこれに該当する。
また一人ではなくコンビなどの場合もあり、「ささきまみれ」のように毎回名前は出るが本人は登場しないといったパターンや「ラジ娘のひみつ」のように本編のキャラクターとは全く関わらないというパターン、
「オフィスのざしきわらし」における「新入社員」のような変則パターンもある。
基本的にそのエピソードのオチを担当する。
また最終回付近などでは「登場位置固定」の原則が崩れることもある。
ボケ役のこともあればツッコミ役のこともあるが、揃いも揃って濃いキャラばかりであり、一話に一回しか出ないのが惜しいほど。
デビュー作品である「せんせいになれません」の桃山が元祖であり、初期のいくつかの作品(「サークルコレクション」「とびだせ漂流家族」など)では登場しないが
ここ最近の四コマ作品ではほぼ必ず登場するため、「今度はどんなキャラが位置固定ポジションになるのか」というのもファンの楽しみの1つとなっている。
歴代登場位置固定キャラクター
- 桃山(せんせいになれません)
作者のデビュー作である、小学校を舞台に破天荒な教師たちが暴れまくる作品における、元祖位置固定キャラ。
ボケ役。おそらくこの項目内では最も知名度が高いキャラ。
池田が担任を務める6年1組の男子生徒。
言動が謎だらけであり、池田(たまに他の教師)を毎回困惑させている。
作中の描写を全て信じるとすると、そもそも人間ですらない可能性が高い。
- 持ち込み君(月刊フリップ編集日誌)
編集者が僅か3人(編集長込み)しかいないマイナー漫画雑誌「月刊フリップ」編集部を舞台に、編集者と漫画家が繰り広げるグダグダな日々を描いた作品。
持ち込み君(本名不明、表記は2巻のキャラ紹介から)は毎回編集部に作品を持ち込んでくる漫画家志望の青年。
しかし没を食らう、原稿が破損する、考えて来たペンネームがダサい等、毎回何かしらの理由で掲載されない不憫な人。
- ヤスコ(サイダースファンクラブ)
売れない3人組のガールズバンドを主人公とした、この作者にしては爽やかな作風の漫画。
ヤスコはバンドのギターボーカルであるやよいの親友(たぶん)であり、バンドや事務所が絡まない日常パートを描くための重要なポジションである。
ツッコミ役。
……のだが、ほぼ毎回ライブのチケットを売りつけられている。
何度か「こんなんで本当に友達って言えるのかな?」などと自問している。
一応やよいたちの演奏能力は認めており、ライブに行くこと自体は嫌ってはいない模様。
しかしブロマイド写真や、果ては副業で売ってた干物まで売りつけられそうになった時は流石に絶交しようとした。
ちなみに他の友人から演劇のチケットも買わされているようであり、仲間内で都合のいい女扱いされていないか心配になってくる。
- 大屋さん(ハルコビヨリ)
若いカップル・靖とハルコの同棲生活を描いた(最終回でとんでもない事実が発覚するが)を描いた作品。
唯一登場位置固定キャラが交代した作品であり、大家さんは前半の固定キャラ。
なかなか家賃を収めない主人公カップルに頭を抱える。
中年の女性で、主人公たちが棲むアパート(正確には雑居ビル)の大家さん。
ツッコミ役で、やや言動が暴力的であるが、まあ家賃を収めないほうも悪い。
というか、ハルコが怒らせまくっているだけで、なんだかんだ言って話は聞いてくれるし、ちゃんとした理由があれば譲歩もしてくれるタイプ。
座敷犬(ハルコ談)。
- 横田美奈子(ハルコビヨリ)
作品後半の固定キャラ。
ハルコの職場のお好み焼き屋の後輩で、一度だけ店にやってきた靖に一目惚れ。
何とか自分に振り向かせようとあれこれリサーチし(結果的にハルコよりも靖に詳しくなった)、店に来る機会を狙っている。
一応ツッコミ役の常識人ポジションだが、一度会っただけの他人の男にここまで執着するのもなかなか常軌を逸している感がある。
- 成戸くん(れんげヌードルライフ)
父親と二人でラーメン屋を切り盛りする女子中学生・れんげの不憫な生活を描くコメディ。
父親の変なメニューやこだわりやサボり癖に振り回されるわ、おかもちを学生鞄代わりにさせられるわとヒロインらしからぬ扱いを受けるれんげの報われなさが魅力。
成戸くんはれんげの同級生のラーメンフェチにしてれんげの頭痛の原因の一つ。
そのラーメン好きっぷりはもはや変態の域であり、特にれんげの父のラーメンには異常な執着を示し、れんげの制服に染み付いたラーメンの匂いでアヘ顔になるあたりはヤバすぎる。
しかしあくまで興味があるのはラーメンだけ。
健気に働く美少女が身近にいるというのに全く興味を示さない男。恋愛フラグ?そんなもん小坂作品には無い。
なおラーメン屋の常連は一見まともに見えて、れんげ(13)のエプロン姿目当てにやってくるようなロリコン揃いである。
しかも作中で誰もそこにツッコまない。
- 流しのナース(やまいだれ)
- 営業さん(やまいだれ)
「病気・奇病」をテーマとした、小坂作品の中でもギャグ色の強い変わった四コマ作品。
「あなたは末期ガン!! 余命半年です!!」というセリフがオチだったりする漫画。
主人公は定められておらず、各話や四コマ間の関連性も薄いというタイプの、最近では珍しいタイプの四コマ。
流しのナースは、怪我人を探して日々歩き回っている無免許の看護師。
低身長に八重歯・ボブカットで結構かわいい。
腹黒い上に無免許なので要求する報酬が非常に高い。BJかあんたは。そして特に腕が良いわけでもない。
営業さんは毎回出先で流しのナースの犠牲になる営業のお兄さん。
また、こちらは位置固定キャラというわけではないが、本作の最後の4コマは最初の4コマの後日談になるという法則もある。
- 雅子先生(幼稚の園)
「幼稚園の年少から、飛び級で年長に入った」という中途半端な天才・一条ルルを主人公に、幼稚園を描いた作品。
いきなり園長が収賄で捕まるなどいつも通りのブラックコメディだが、最後はちょっと泣ける。
雅子先生は幼稚園のお局様ポジションの保母さん。
園児相手に本気で愚痴ったり嫌味を言ったりする残念な大人。
位置固定キャラとしては珍しく最後から2本目のネタ以外でもモブの保母さんとしてちょくちょく登場する。
地球の気温がまだ低かったころの人(ルル談)。
- 佐々木麻美(ささきまみれ)
平行世界を題材にした作者の前作「ひがわり娘」(こちらには固定キャラは登場せず)で様々な世界線での姿を描かれた笹木まみの、「フリーターである世界」を描いた続編。
主人公と同音異字の名前で、主人公の隣の部屋に引っ越してきたが、毎回名前や存在に言及されるだけでとうとう一度も本人は登場しなかった。
ちなみに本作は単行本未収録である。
- 新入社員(オフィスのざしきわらし)
とある商事会社のぐうたらOLを主人公にした、現在までで作者唯一のオフィスもの漫画。
本作では固定ポジションは特定キャラではなく、「毎回新入社員がやってくる」という変則パターン。
社長の見る目が無いのか、「クライミングが好きすぎて、あっという間に窓ふきのバイトに転身」「入社試験でカンニングをしたことを自白」など
ロクな奴がやってこず、通常ボケ役である主人公たちがツッコミに回るほど。
まあ社長は最終回で他者の社長と「負けたほうが会社更生手続き」という賭けをして負けたという理由で会社を潰すような奴なので仕方ない。
- 桶川さん(球場のシンデレラ)
野球経験が無いのに女子プロ野球(現実の女子プロリーグとは別物らしい)にドラフト指名された女子高生・児玉郁代(女子高生選手がいると話題になるという理由だけで強制留年)
を中心にリーグ最下位候補の弱小球団ラビッツの一年を描いた作品。
ちなみに単行本によるとラビッツのチーム成績は28勝44敗、勝率0.389という悲惨さ。
なお郁代は10勝21敗、防御率5.10。未経験にしては健闘したほうだろうか?
桶川さんはラビッツの年長選手の一人だが、モロにモチーフが貞子であり、しかも毎回試合中に怪我をして途中退場する。
ちなみに単行本のおまけの選手プロフィールによると同じポジションの同僚に呪われているらしい。
- 祥子(中央モノローグ線)
東京の中央線沿線の各駅(中野から武蔵境まで)の沿線に住む(もしくは勤める)8人の女性の日々の生活を描く群像劇。
本作と「遠野ものがたり」「モノローグジェネレーション」の三部作は作風が作者の他作品とやや異なり、
タイトル通りのモノローグで語られる形式も相まってどこか切ない雰囲気を漂わせている*1。
一味違う四コマとして根強いファンも多く、「せんせいになれません」と並ぶ作者の代表作と言える。
祥子は吉祥寺に棲む女性。年齢は不詳(続編の「モノローグジェネレーション」の時点で30代)。職業も不詳。
前髪に隠れて表情はうかがえないが、毎回男と破局しており、モテるようだが恋愛下手。
しかし言動を見るとはっきり言ってそれも仕方がないと思えてくる。
はっきり言えばヤンデレとは違うベクトルのよりリアルな「重い女」。
後に作者は本作について「吉祥寺の扱いは正直すまんかった」という旨の発言をしている。
- 座敷童(遠野モノがたり)
作者が岩手の遠野に短期間移住したことから生まれた作品。
「中央モノローグ線」の登場人物の一人が再登場する。
座敷童は彼女の借りた部屋に居ついていた妖怪。カッパばかりプッシュする地元自治体に不満を抱いている。
性別は不詳だがどっちにしろかわいい。
エッセイ色の強い本作において異質な存在。
本作もラストがちょっと泣ける。
- ナナ(モノローグジェネレーション)
中央モノローグ線・遠野ものがたりの続編。
年代の違う8人の女性たちを中心とした群像劇。
三部作の中でもとりわけシリアス色が強く、いつもの小坂作品のノリを予想すると驚く。
中でも「いじめ」の話は人によってはかなり精神に来る筈。
ナナは72歳の年金生活者。
偏屈で意地っ張りで嫌味で毒舌家、家族やご近所とも避けられてて没交渉気味な婆さん。
一方最新の流行には割と迎合的で、深夜番組の視聴が趣味。
しかしてその正体は、小坂作品、いや四コマ漫画界随一のツンデレである。
モノローグでも決して名言はしないものの、よく読めば本音は寂しがりで、自分の毒舌を悪いと思っていることが伺える。
上記の深夜番組の視聴も、作中の描写から想像するに、早起きな近隣の爺どもにおはようを言うために頑張って起きているというのが真相だったりする。
あと「ボケたふりしてクリスマスプレゼントを貰う作戦」は可愛すぎである。
- みずき(モノローグ書店街)
モノローグシリーズ第4弾。
様々な書店に勤務する人々を描いた群像劇。
職業固定の関係で「中央モノローグ線」以来皆勤だったなのかが初めて視点人物から外れた他、
シリーズ初の男の視点人物が登場するなど、前3作が「3部作」として完結しているためかモノローグシリーズとしてはやや異色の作風が特徴*2。
位置固定キャラは本人曰く「町の小さな書店」小町書店に勤務する店員みずき。
隣の花屋とどちらが先につぶれるかというギリギリの経営状況に危機感をおぼえながらも、
何故かその花屋の店主が気になるというなかなか微妙な立ち位置。
- サンダル和尚(ラジ娘のひみつ)
- 局員さん(ラジ娘のひみつ)
オンエア中のみ人格が変わってしまう新人ラジオパーソナリティと、彼女を支えるスタッフたちの奮闘を描いた作品。
サンダル和尚は田舎に住むその番組のファンのハガキ職人であり、毎回自分のネタを投稿している。
しかしハガキを郵便局に持っていくたびに、受付の局員さんに異様に厳しい駄目出しを食らって配達を拒否される。
固定キャラたちと本筋のキャラクターたちとの間に全く接点が無いという変則パターン。
ちなみに局員さんは最終回前にデレた。
また、単行本のカバー下は局員さんの独壇場である。
- 大森氏(おかん)
パワフルで自由奔放なパートタイマーのおかんこと大森さえ子(40)とその子供達、サツキ(16)とジュン(8)の生活を描いた話。
パワフル自由奔放で周囲を振り回すおかんのさえ子の夫で二人の子供の父親でもある大森氏はさえ子以上に自由奔放であるがさえ子ですら突っ込みに回るレベルの問題人物。
電話越しに登場したり話題に出たりすることはあるが、一度も姿が登場した事がない。
- 寮長(ルナナナ)
騙されて月面基地でブラックバイトをする事になってしまった3人の女性の月面生活を描く漫画。
寮長はその名の通り3人組が住む月面第7寮の寮長で、兎のような仮面をかぶった男性。
毎回のように寮則を破る3人組への罰を画策するも、大体自滅失敗して酷い目に遭う。
ちなみに寮長自身は主に月面文化の解説役も兼ねている事実上の準レギュラーであり、
厳密に言うと位置固定なのはキャラではなくキャラが取る行動の方という変則パターン。
追記・修正は桃山の家の新年会に参加してからお願いします。
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*2 他の作品と違い、モノローグ部分も手書きではなく写植。
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