潜入捜査〜私の彼を探して!(相棒)

ページ名:潜入捜査_私の彼を探して__相棒_

登録日:2015/07/01 Wed 21:10:26
更新日:2024/04/18 Thu 22:35:13NEW!
所要時間:約 10 分で読めます



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「潜入捜査~私の彼を探して!」とは、2005年1月5日に放送された『相棒 Season3』第9話のエピソードである。




【概要】
2005年新春の2時間スペシャルであり、潜入捜査の苦労や公安部の闇が描かれた内容となっている。



以下、ネタバレにご注意下さい。




【あらすじ】
特命係の杉下右京亀山薫は、小野田公顕の個人的な依頼で急成長のITベンチャー企業“DR@GON”で潜入捜査をすることになった。
若手社長の北潟誠吾に過激派を金銭面で援助しているという容疑が持ち上がり、公安が1人の刑事を社員として潜入させていたが、1カ月ほど前から消息不明になってしまったという。
森本達也と名乗るその男に一体何が起こったのか。非公式で調べて欲しいという小野田の半ば強引な依頼を断りきれず、右京は警備員として、亀山は設備管理員として北潟の会社に潜入する。


その頃、元麻布警察署に設楽聡子という女性が失踪者の捜索状況を尋ねていた。毎日来られても答えようがないと対応する警察官は何か分かればこらちから電話すると告げる。
深夜、巡回中の右京が細工したことで、社長室の蛍光灯が付かなくなった。さっそく亀山が社長室へと向かった。
それとなく周囲を伺いながら作業を続ける亀山。すると、北潟宛てに差出人が森本となった小包が届けられた。
その中には切断された左腕が入っており、鑑識の調べで左腕が森本のものと判明した…。




【登場人物】
■事件関係者


◆森本達也
演:小林高鹿(現:小林タカ鹿)
公安部の刑事であり、DR@GONの社員として潜入捜査をしていたが、1カ月ほど前から消息不明になってしまい、切断された彼の左腕が北潟宛てに届けられた。
その翌朝、今度は東京湾で左腕の無い黒コゲの焼死体が発見された。死後2日経過しており、その遺体も彼のものと思われたが、左腕が届いた日の夜に聡子の携帯に死んだはずの森本からの着信があったという謎に直面してしまう。


余談だが、森本を演じた小林氏は本作の約1年後に、『相棒』のメインスポンサーでもある日産自動車一社提供のラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司 〜BEYOND THE AVERAGE~』の主人公である安部礼司を演じている。


◆設楽聡子
演:吉野公佳(放送当時は吉野きみか)
DR@GONに勤務しており、元麻布警察署に森本の捜索を依頼していた。
同社に潜入していた森本と付き合っていたらしく、彼女のデスクの引き出しからは森本のものと思われる「T.M」のイニシャルが刻まれた婚約指輪が見つかった。
森本の左腕が発見された日、ナンパを装って接触を試みた亀山に誘われてカラオケでデートしていたが、その際に聡子の携帯に『森本達也』という発信者からの電話がかかってきた途端にカラオケ店から出て、亀山と別れた後にマンションへと帰宅した。
森本の焼死体が発見された二日後に特命係がマンションを訪れたところ、絞殺体となって自宅で発見された。
しかも、彼女の指には森本の本名と思われる「Y.S」のイニシャルが刻まれた婚約指輪がはめられていた。


別の世界では番犬所の神官だった。


◆北潟誠吾
演:保坂尚輝(現:保阪尚希)
DR@GONの社長。
飄々とした性格の持ち主で、警察相手にも動じない態度を取る。
実は極左勢力を金銭面で援助しているという容疑が持ち上がっており、森本に潜入捜査を命じた公安から目をつけられている。


◆葛城貫太郎
演:温水洋一
右京と一緒に巡回を担当している警備員。
口笛を吹く癖があり、明るい職場で働く事に憧れている。
一見おとなしそうな雰囲気であるが、右京の素性や行動にいち早く感づき、更には見事な体術で彼を取り押さえて警察に突き出す等、どこか只者ではない一面を持つ。


アルセーヌ・ルパンの末裔に仕える執事ではない。


■特命係
杉下右京
演:水谷豊
特命係係長。
小野田からの個人的な依頼で警備員としてDR@GONに潜入捜査していた。
深夜の巡回の際に社員名簿を調べていたところ、運悪く北潟が突然入ってきてしまい、規定外の時間の巡回に不審を抱いた北潟に問い詰められたが、警備会社の同僚となる葛城の機転によって助けられた。…と思いきや、今度は葛城に問い詰められ、そのまま警察に突き出されてしまう。
留置所で一晩過ごした後、迎えに来た亀山に笑われる有様であった。


亀山薫
演:寺脇康文
右京の初代相棒。
右京と同じく、小野田の依頼を受ける形で設備管理員としてDR@GONに潜入捜査しており、捜査の一環として聡子に接近するためにナンパしてカラオケに誘っていた。


■トリオ・ザ・捜一
伊丹憲一
演:川原和久
トリオ・ザ・捜一のリーダー。愛称「イタミン」。
被害者の森本が公安の刑事という理由で捜査を横取りした公安部に腹を立てており、意趣返しとして美和子に事件の情報を教えていた。


三浦信輔
演:大谷亮介
3人の中では一番のベテラン。


芹沢慶二
演:山中崇史
伊丹の後輩。


■レギュラー陣
◆角田六郎
演:山西惇
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課の課長。通称「角田課長」。
東京湾で釣りをしていたところ、偶然森本の焼死体を釣り上げるという災難(?)に直面してしまう。


◆奥寺美和子
演:鈴木砂羽
亀山の恋人であるジャーナリスト。


◆小野田公顕
演:岸部一徳
警察庁長官官房室長。
個人的な依頼で右京と亀山に潜入捜査を押し付けた。





【以下、事件の核心……更なるネタバレ注意】

















もう少し尾行の仕方勉強した方がいいよ


まあ、あんただけじゃないけどさ


刑事部の連中はみんな尾行も張り込みもヘタクソだ


◆葛城貫太郎
森本達也の左腕を北潟誠吾に送りつけ、彼の遺体を燃やした張本人。
その正体は森本と同じ公安の人間であり、彼と共に潜入捜査をしていた。
事件の動機は自殺した森本の仇討ちであり、その原因を作った北潟に復讐しようと画策する。
ちなみに森本の遺体を燃やしたのは自殺の痕跡を消すためであり、後述の惨めな最期を遂げた彼の名誉を守るためであった。
森本の死後、DR@GONを巡回する警備員を装いつつ、北潟をジワジワと追い詰めるつもりであったが、ちょうどDR@GONに潜入していた特命係の介入によって予定が狂い始めてしまい、自身の正体と一連の行動を気づかれてしまった。
カラオケにいた聡子に電話をかけたのも葛城であり、森本の顛末を記された遺書を渡す形で彼の末路を聡子に伝えていた。
…もっとも、その行動が原因で聡子は命を落としてしまう事となる。


実は小野田公顕と面識があり、その関係を利用する形で右京が連れてきた小野田と再会した際にはとうとう観念したのか、「ご無沙汰してます」と敬礼しながら全てを自白した。



ウチの連中は鼻もひっかけないでしょう。同情もしない、馬鹿なヤツだとせせら笑うだけ


結局、ヤツは行き場を無くしたんですよ…



後述のミスで足下をすくわれた末に自ら命を絶った森本の末路が公安部からも白眼視されるレベルの大失態である事を理解しつつ…*1



だけど、僕達も人間なんですよ! 恋もすれば失敗もする!


いつあいつみたいになるかわからないんです! 絶対にそうならないとは限らない!


あいつの姿は俺の姿なんです…! わからないでしょうね…闇の中にいる人間の気持ちなんて



…と、森本の苦悩を代弁するかのごとく小野田に想いをぶつけた。
そして、死体遺棄と損壊の罪で連行しようとした亀山の制止を振り切って車で逃走。その後、あらかじめ北潟を競技場に呼び出した葛城は、自分を追ってきた右京と亀山と対峙する。
北潟への報復と自分自身のケリをつける為に取引と称して、北潟に手錠をかけ、「聡子を殺した事を認めたら逃がしてやる」と身体中にダイナマイトを巻きつけて脅す。
北潟は素直に白状したのだが、この手のお約束というのか、最初から北潟を道連れにするつもりで自爆しようと決意していた。
当然その状況を見かねて、「こんな事して何になる!?」と説得しようとした亀山に対し…



何にもなんないさ。自己完結…ただそれだけのことだよ


落とし前は自分でつけないとな…



起爆スイッチを押して死のうとしたところ、北潟も死ぬ覚悟でいる事を看破した右京に「死ぬ事を望んでいる人間を一瞬で殺すより、犯罪者として生かして屈辱を味わせた方が仇討ちに相応しい」と説得され、彼の言葉で気持ちが揺らいだのか、北潟を解放した。
だが、あくまで自己完結を主張して自ら命を絶つ決意は曲げようとせず、しびれを切らしてスイッチを押そうとした瞬間、右京達の目の前で額を撃ち抜かれて即死してしまった。
その直後、競技場に隠れて待機していた公安の部隊がぞろぞろと入ってきて、射殺した葛城の死体を事務的に回収してその場から去ってしまう。
まるで最初から潜入捜査員が存在しなかったようにあっけなくこの世から完全に抹殺された葛城の最期は、公安という組織の冷酷さを見事に体現したのであった…




◆森本達也


今回の事件の被害者の1人であるが、死因が実は他殺ではなく自殺。
DR@GONに潜入した当初は任務の一環として北潟の愛人であった聡子に接触して偽名のイニシャルの婚約指輪を贈っていたが、いつしか彼女を本気で愛するようになり、途中で本名のイニシャルの婚約指輪を贈り直していた。
以後、聡子に自身の正体を打ち明けて深い仲となっていたが、それらの行動が原因で北潟に正体がバレてしまい、更には聡子とベッドでイチャイチャしている様子を盗み撮りされてしまう。
当然北潟に呼び出され、盗み撮りした写真と情事を記録したディスクをネタに弱みを握られた挙句、散々コキ下ろされて会社から追い出されてしまった。
潜入先で正体を見破られるという大失態を演じたばかりか、自尊心をズタズタにするような屈辱を味わわされた彼は聡子の前から姿を消した末に首を吊って自ら命を絶った。
北潟の行為も褒められたものではないが、前述のように、森本自身の軽率な公私混同が招いた結果と言えなくはないことから、十分に彼にも非があるため同情の余地が薄い。


◆設楽聡子
今回の事件の被害者の1人。
実は北潟の愛人であり、当初は潜入した森本に利用されるだけの関係であった。
しかし、前述にある通り、自分を本当に愛するようになった森本が正体を明かした際には、ショックこそ受けていたものの、その時点で既に彼女も森本を深く愛しており、彼が北潟をマークしているスパイと知りながらもそれを黙認する有様であった。
その後、森本の携帯で呼び出してきた葛城から森本の遺書を渡されて、やっと彼が辿った末路を知り泣き崩れていた。


彼は死んだわ……あなたが殺したのよ!!


自宅にて、森本との関係を糾弾してきた北潟に対し、上のセリフで逆上して手に持っていたナイフで襲いかかろうとしたが、返り討ちに遭って絞殺されてしまった。
もっとも、北潟は当初は彼女を殺すつもりはなかったようであり、自分を裏切った彼女にも憎悪を抱いていたとはいえ、凶器を持った相手に殺されそうになったのだから、抵抗するのも無理はない話であろう。
しかも、近づいてきた森本が公安から送り込まれたスパイであると知りながらも自社に報告することなく彼に協力した聡子の行動は企業側にしてみれば背信行為であり、北潟への殺意に関しても短絡的な逆恨みとしか言いようがない。



◆北潟誠吾
愛人だった聡子を殺害した犯人であり、ある意味この事件最大の被害者で元凶。
社員だった森本が愛人を寝取り、更には彼の正体が公安の人間だったことに腹を立て、意趣返しとして森本を自室に呼び出し、「公安の真似事」と称して彼の弱みである証拠を突きつけた。


驚くことないだろう。あんた達がよく使う手口を真似しただけだ


正体がバレた上に自身の恥ずかしい行為を写真に撮られて言葉を失う森本に対し、高額な報酬をちらつかせて逆スパイとして公安の情報をリークするよう脅迫し…



これもあんた達の手だよなあ。弱みを握ってスパイに仕立て上げる


そうやって追い詰められて自殺しちまう奴もいるんだ。気の毒に


あんた、そうやって今まで何人殺してきた?



…と、公安の痛い所を突いて森本を糾弾。それに対してにっちもさっちも行かなくなって「脅迫罪で逮捕する」と反論した森本の醜態を「伝家の宝刀」と嘲笑した挙句、トドメと言わんばかりに「あんたの諜報活動は失敗に終わった」と罵倒して会社から追い出した。
森本の死後、彼の死で怒りに燃える聡子にナイフで襲われ、衝動的に彼女の首を絞めて死なせてしまった。
ちなみに聡子の死に関しては正当防衛と主張したが、葛城からは「過剰防衛」と一蹴され、亀山に至っては「正当防衛でも過剰防衛でもない殺人」と糾弾された。
なお、一度のミスも許さない主義であり、自分を裏切ってスパイの男と付き合った聡子を厳しく追及していたが、一方で自身に対してもその方針は徹底されており、聡子を手にかけた罪で自身の破滅が確定して葛城に殺されそうになった際には命乞いすることなく潔く彼と一緒に死ぬ事を選んだが、右京からは「簡単に死ねると思ったら大間違い」と一喝された。
最後は右京の妨害と公安部の介入により、死んで楽になる機会を奪われて呆然とした表情を浮かべながらフェードアウトした。



◆杉下右京


「僕が自己完結のチャンスを奪ったんですかねえ。もっと彼の気持ちを汲んであげるべきでしたかねえ」


人命を尊重する信条から、北潟を道連れに自爆しようとした葛城を阻止した結果、それが裏目に出て射殺されるという結末を迎えてしまう。事件が解決した後、亀山に上のセリフを語りかけていた。



◆亀山薫


葛城が死亡した後、彼を容赦なく射殺した公安部に食ってかかったが、右京に制止された。
その後、小野田の指示によるものと思い込んで右京と共に抗議しに行くも…



◆小野田公顕


「僕は狙撃なんて指示してませんよ。するわけないでしょう」


葛城とは以前面識があったらしく、彼を自白させる目的で右京に引っ張ってこられた。
終盤で葛城が射殺された後に右京と亀山にその事を抗議されたが、葛城の行動を公安に伝えただけで狙撃の指示はしていないとの事で「僕が『殺してしまえ』なんて言うと思う?」という言葉で2人を黙らせた*2
そして、右京から「最後にひとつだけ」と葛城の本名を聞かれたが、返ってきたのは「さあ、知らない」の一言であった…






小野田「追記・修正でもしようと言うの?」
葛城「ウチで記事を追記・修正してくれるはずもありませんから」
小野田「そりゃそうさ。アニヲタWikiの新規項目を立て逃げするだけでも相当問題なのにそれで足下すくわれて叩かれるんじゃ話にならないでしょう」
葛城「ええ、その通りですよ…」


  • 全員に非があると同時に全員に同乗の余地もあるという何とも後味の悪い話だったな・・・面白いのは間違いないけどね。 -- 名無しさん (2015-07-02 01:53:52)
  • 温水さんがカッコいい数少ないドラマ -- 名無しさん (2015-07-02 12:57:57)
  • ここまでフットワークの軽い公安部隊なら人質事件とか篭城事件とか全部狙撃でカタ付けられる気がするんだがな・・・ -- 名無しさん (2016-09-03 07:01:58)
  • 作中では北潟に批判的な雰囲気だったが項目作成者は同情的。聡子の動機を逆恨みと断じるのは主観が入ってないか -- 名無しさん (2018-11-16 05:11:42)
  • ↑自殺はあくまで森本自身の決断。そこに追い込んだ北潟の言動を殺意を向けられるに値する落ち度とするなら、自分の愛人を寝取ったスパイに対して紳士的に振舞うべきだったってことになるんだが、そりゃいくら何でも無茶だろう。森本自身の行動も嘲笑されても仕方ないレベルの愚行だったのは否定できないし -- 名無しさん (2018-11-16 11:38:24)
  • ↑北潟でも森本と聡子に入れ込んでも間違いではないと思うよ。逆恨みを明言したら受け取り方が固定されてよろしくないかなと -- 名無しさん (2018-11-16 17:16:58)
  • ↑×2 追記・修正すればいいのでは? -- 名無しさん (2018-11-16 17:30:26)
  • 違反コメントを削除しました -- 名無しさん (2019-11-04 13:02:55)
  • 森本役の人って安部礼司? -- 名無しさん (2021-02-17 14:08:56)
  • ↑8 シリアスな温水洋一さんが見れる貴重な話。 -- 名無しさん (2021-06-23 13:32:36)
  • 森本は色恋沙汰で潜入捜査が失敗しておめおめと本部に戻れなかったんだろうね -- 名無しさん (2021-09-01 21:34:41)

#comment

*1 潜入先の女性と恋に落ちた事が原因で正体を見破られるという失態は公安部での信用がガタ落ちの案件であり、仮に森本が自殺に走らなかったとしても前途多難な人生を送るのは目に見えていたであろう。
*2 暴走した葛城の行動を知れば公安は葛城を消そうとするであろう、ということは当然想像がつくことであり、小野田も理解していたはずである。つまり、小野田は葛城が消されることを見越して彼の行動を伝えた可能性が高い(要は"未必の故意")。もっとも、仮に右京達が葛城を逮捕しても、森本の失態を含めた不都合な事実を知る葛城が公安の横槍で口封じされる形で闇に葬られる事は想像に難くない。

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