登録日:2015/03/06 Fri 21:43:00
更新日:2024/01/12 Fri 10:44:37NEW!
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刃鳴散らす 日本刀 ギャグ アルミニウム 空き缶 奈良原一鉄 脇差 名刀? マイケルギョギョッペン 殺戮幼稚園
マイケルギョギョッペンとは刀匠・藤原一輪光秋の打った日本刀の一振である。
□概要
銘:マイケルギョギョッペン→殺戮幼稚園
刃長:一尺四寸(42.42cm)
造込:鋒両刃造
拵:なし
稀代の名匠、藤原一輪光秋の逸品。刃長を見て知れるとおり脇差に分類される。鋒両刃の珍しい造りと、刃の独特な光沢が特徴的な一振。
一輪光秋自身が、刀の必要素は「扱いやすさ」と「切れ味」の二点に絞られるという持論を有しており、その思想の下に打たれた本作もまた、当時の主流であった、堅牢さと間合いの長さを求めた長尺の剛刀と真逆の、やや細身で通常のそれよりに比べ軽量な脇差という形で結実している。
その思想と製法・材質(後述)から、他の刀に比べやや曲がり易いという欠点を持つものの、刀匠自身が「名刀」と言って憚らない本作は、恐らく切れ味に関して他の追随を許さないレベルであると推察される。実際に使用された記録は現存しないため不明だがきっとそう。そうであれ。
【銘】
マイケルギョギョッペンという珍しい銘を持つ一品であるが、これは製作者たる一輪光秋の奇癖による。
通常日本刀において銘を切られる場合、刀匠本人の名前を記す事でその刀の銘とするか、もしくは”和泉守”兼定の様な「役職+刀匠名」や「生産地+刀匠名」で銘を切る場合が多く、その例えで言えば本作は光秋、あるいはそれに類する銘となる。その他特殊な事例として、その刀の持つ逸話が名前になる場合もあるが(圧し切り長谷部、波泳ぎ兼光等)これは、いわゆる通称であり正式な銘を別に持つ。
一輪光秋はこれらのどの事例にも当てはまらず、文字通り自身の作に名前を付ける。無論、自作であることを証明するため光秋の銘を切るが、それ以外にまるで自らの子に名前を与えるように、その作品特有の銘を切るのである。
これは一輪光秋の打った作品の全てに見られる特徴であり、例えば打刀としては最後の作品となった二振りの刀にはそれぞれ「かぜ」と「はな」という銘が切られている。
またマイケルギョギョッペンとは前期の銘。本作は一度銘を切り直しており、後期には殺戮幼稚園の銘を持つ事となる。
これは一度は流れの兵法者である伊烏義阿に対し売られる筈であったが、その銘のあまりの奇抜に商談相手の義阿が苦渋を示し結局その商談がお流れになったため、次の商談の際に銘の変更を余儀なくされたという非常に悲しい逸話を持つ。
【造込】
鋒両刃造。小烏丸造とも。
文字通り。いわゆる日本刀といえば片刃が基本であるが、名前の通り鋒部分のみが両刃となった造込の刀が鋒両刃造と呼ばれる。
刃の全部が両刃で出来た両刃造は室町期の短刀に多く見られる造込であるが鋒両刃はかなり珍しい。どれくらい珍しいかと言えば鋒両刃で有名どころと言えば小烏丸天国あたりしか思いつかないくらい。
【拵】
拵は存在しない。
というのもこの脇差、文献に寄れば二度商談の場についたものの結局買い手が付かず、なんだかんだで刀作者である一輪光秋の手に残り、その後の行方は不明とされている。その為商談に出された時も打ち下ろし――刀匠が打っただけの研磨も何もされない、そのままでは武器としての使用に耐ええない状態のまま、拵も白鞘に入れられただけの状態で行われたらしい。
【製法・材料】
本作はある特殊な材料と製法で作成されているが、それについて語る前に少し日本刀の分類について書かせてもらおう。
日本刀は大別して「古刀」「新刀」「新々刀」の三種に分類される。
これは言ってしまえば時代による分類であり、大雑把に言えば、戦国時代より以前に打たれたものが古刀、戦国以降から江戸時代前期までに打たれたものが新刀、江戸中期から幕末に打たれたものが新々刀と分類される(本来はもう少し細かく分類されるが詳しくは割愛)。またこれらの内、古刀に分類される刀はその製法を師弟関係の口伝で継承されていため、残念ながら現代では全てが失伝してしまっている事も付記しておきたい。
一輪光秋の生きた時代に打たれた刀は、分類的に言えば新々刀よりも新しい「現代刀」と呼ばれる刀であるが、現代刀と現存する古刀を比べた時、その優美さ、あるいは性能において古刀は現代刀に大きく優る。その為、古刀の切れ味と美しさを求める現代の刀匠たちにとって、古刀製法の探求は一大命題となっているである。
その試みの一つとして試された製法が、古鉄と呼ばれる、古刀の鍛造された時代の鉄で以て刀を打つという製法である。古刀の時代の鉄の製法もまた、現代では失伝しており、現代の刀匠たちは古刀の性能の高さの秘密は、あるいはそこにあるのではないか、同じ鉄を使えば同様の切れ味を持つ刀が出来るのではないか、と考えたのだ。
そうやって打たれた刀の中には、あるいは古刀に肉薄するような出来の名刀が打たれた事もあったらしい。
長々と書いたがつまり、このマイケルギョギョッペンもまた、古鉄を用いて鍛造された脇差である、ということである。そしてこの製法こそが刃長からは想像出来ない程の軽量化と独特の光沢を作り出したた正体とも。
さて、ここで気になるのがこの刀の原材料であろう。
ここまで読みすすめたならば解ると思うが、この製法に必要となるものは戦国期以前に作られた良質な鉄製具である。それは例えばそのものずばり古刀であったり、あるいは同時期に建てられた寺院や城の釘等といった金属部位であったりするが、この刀に使用された古鉄については製作者たる一輪光秋自身によって語られている。
一輪光秋自身が語るところに寄るこの一振の原材料としてしようされた古鉄は、一度は天下人の居城ともなったかの名城、大阪城の、
空き缶である。
そう、マイケルギョギョッペンは、現在においては観光地となっている大阪城の空き缶から作られた脇差なのである。しかもスチール缶ではなくアルミ缶。
他の刀にはない独特の光沢も当然。何しろ原材料が鉄ですらないのだから。
通常の脇差と比較した異常な軽さも当然。何しろアルミニウム製なのだから。
他の日本刀に比べて曲がり易いという欠点も当然。曲がってもアルミ製だからすぐに戻せるぞ!
□まじめなせつめい
無論、実在しない。
ニトロプラスより発売された18禁アダルトゲーム「刃鳴散らす」に登場する架空の脇差。
作中においては第二章「火炎陣」において登場人物である伊烏義阿と藤原一輪光秋の会話中において存在をほのめかされ、その後、武田赤音と藤原一輪光秋の会話において初登場する。
一輪はこの二人に対しこの脇差を売ろうとするものの、義阿には「ぎょぎょっぽい刀はいらない」という理由から、赤音には殺戮幼稚園という銘を告げただけで拒否られる。
本人曰くこの銘は単なる遊びらしい。
作中においては赤音との会話中、机に叩きつけられベコベコにひん曲がったがすぐに元に戻って、一輪の胸の中へと帰っていった。本編における実際の登場行数は実に30行足らずでありながら、そのあまりに訳の解らないシナリオライターの凝り様からプレイヤーに大きなインパクトを残していった。
【他作品での登場】
とまあ完全に一発ネタかと思われたマイケルギョギョッペンと殺戮幼稚園であるが、
実は後年、思わぬ所で名前のみ再登場を果たした。
奈良原一鉄が『刃鳴散らす』の次に生み出したスラッシュダークADV『装甲悪鬼村正』、
その公式アンソロジーディスクである『装甲悪鬼村正 邪念編』。そこに収録されている『Re:Blade Arts 返歌編』(作:鋼屋ジン)にて、超能の甲冑『劔冑(つるぎ)』の一騎として「マイケルギョギョッペン」の名前が登場。
「かの一輪の門派」によって打たれた近世の名甲であるとされ、たとえひしゃげようとペコペコ音を立てて元に戻る驚異的な復元力を持つという。ちなみに略すと「mgyp(マギョッペ)」らしい。
また、一部の劔冑しか備えていない特殊能力「陰義(しのぎ)」も当然のように備えており、その名も「殺戮幼稚園」。
劇中では、善悪相殺の傭兵集団「武帝」に属する、どこぞの刀刃を弄んだ愚物にクリソツな渡と言う名の男が装甲していたが、謎の紅い武者の襲撃によってプロローグで退場してしまった。
他作品でもやっぱり一発ネタである。
追記・修正よろしくお願いします。
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- 乙。とうとうMGPの項目が立ったか -- 名無しさん (2015-03-06 22:24:00)
- そのうちにとうらぶに出てもおかしくないw -- 名無しさん (2015-12-08 02:49:25)
- この記事書いた人、奈良原先生のこと好きすぎるだろ!! -- 名無しさん (2016-10-16 14:39:41)
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