登録日:2014/02/24 (月) 21:42:06
更新日:2023/12/14 Thu 10:59:25NEW!
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美脚でモデル歩き
ゴージャスなヘアスタイルに
憂いをたたえた大きな瞳……
それが、ヘビクイワシである
ヘビクイワシ(Sagittarius serpentarius)は、タカ目ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属の一科一種の猛禽類。
アフリカのサバンナに生息している。
英語名はSecretary birdといい、和訳すると「書記官鳥」となる。
◆特徴
全長100-150cm、翼開張200cmという大型の鳥で、体高は1mと、人間の子供の身長ほどにもなる。
グレーがかった白い体に、黒い風切羽。目の周りは赤い皮膚が露出しており、尾羽は中央二本が長く伸びている。
猛禽類としては珍しくオスの方が大きくなり、つがった相手との配偶関係は一方が死ぬまで続く。
自分たちが育てた雛が巣立ちしても一緒にいることが多いほど。
そして何より、この鳥と言えば……
ふつくしいのだ
ふつくしいのだ!
大事なことなので2回言いました。
まず、真っ先に目を惹くのはツルやコウノトリと見まごうほど優美な長い脚。
しかも、レギンスをはいている。
だが、その脚は華奢な印象とは裏腹に、攻撃を受けてもダメージが少ないように硬い鱗で覆われている。
この長い脚で地上を軽快に走り回る姿は、とても猛禽とは思えないほど。
しかし、普段の一歩一歩ポーズを決めながらゆったり歩く様は気品に満ちあふれ、まるでモデルのようである。
次に、うなじに生え揃う、まるで羽根ペンのような黒い冠羽。実はこれが英名の由来となっている。
鵞毛ペンをかつらに差した中世ヨーロッパの書記官を思わせる風貌から、この名前がついたという。
何とも知的な由来である。まさに美人秘書。
また、その大きな目をよく見ると、長いまつ毛が生えている。
その表情はいかめしい顔つきの他のワシやタカと違って、柔らかく、そして憂いを帯びている……
そしてそのまつ毛が、女性らしさを引き立てる。
まさに大女優を思わせるふつくしさである。
ただし鳴き声は間違いなくイメージが崩壊してしまうものなので注意。
◆狩り
普通、猛禽類といえば、高速で空を飛びまわり、鋭い足の爪で獲物をしとめる……というイメージが強いが、彼女はちょっと違う。
ヘビクイワシはあまり飛ばないのだ。足の爪もあまり発達していない。
むろん、巣は木の上に作るが、いかんせん陸上生活寄りなので、飛び上がるのは苦手で、かなりの距離を助走しないと離陸できない。
また、はばたく力も弱いため、離陸できても上昇気流を上手くつかめないとすぐに着地してしまう。
このように、飛ぶのはコスパがよくないようなので、敵から逃げる時も基本走って逃げる。
彼女の獲物の取り方、それはずばりキックである。その名の通り蛇を召し上がるのだが、
攻撃の際には翼を大きく広げて左右のバランスを取ると共に、体を大きく見せて相手をひるませ、体を守る盾の役割をする。
羽には血管が通ってないので、毒蛇に噛まれてもダメージは無いのだ。
二本の長い尾羽は脚と同じ色の配色をしていて、キックをすると脚の位置に下がるので、脚のダミーとなる。
まさに蛇を狩るのに特化していると言えるだろう。
―――そして彼女は、眼下の獲物を冷たい瞳で睥睨しながら、こう言った。
「死になさい」
その刹那、握りこぶしのようにした足から、すさまじい蹴りが放たれた。
出典:http://danshireview.com/archives/4047
美しく舞いつつも、もう親の敵と言わんばかりに蹴ってくる。
それこそ振動が伝わって来るぐらいに。
しかもしっかりと、急所である頭に狙いを定めてくる。
まさに蝶のように舞い、蜂のように刺すという言葉がよく似合う。
ここまでされたら蛇にはもう勝ち目などなく、死ぬまで一方的に蹴られ続けるのみ。
そしてこの蹴りは0.015 秒で、体重の5-6倍に相当する195N(約20kg)もの破壊力で繰り出している。しかも立ったままの姿勢で。
このデータから、新たな義足の開発に応用できる可能性があるとされている。
なお、名前や生態からして蛇しか召し上がらないと思われがちだが、実際はネズミや昆虫などの小動物もイケるクチ。
そのため、現地では飼い馴らしてネズミの駆除に用いているとか。
上記の通り狩りの際に華麗に翼を広げるのは伊達や酔狂ではないため、風が吹く日は蛇の狩りはできなくなる。
◆余談
- 日本の動物園では現在上野動物園、千葉市動物公園、東武動物公園、掛川花鳥園、神戸花鳥園の5館で見ることができる。
千葉市動物公園では飼育下での繁殖に成功したことがある。
掛川花鳥園、神戸花鳥園ではそれぞれ「キックちゃん」「サハラくん」のショーを開催している。
キックちゃんは動物園生まれで、生まれてこの方本物の蛇を見たことが無いにもかかわらず、
おもちゃの蛇を見せたとたん蹴り始めたという。蛇を狩るのはやはり本能なのだ。
- 現在ヘビクイワシはサハラ砂漠以南のアフリカにしかいないが、化石の古代ヘビクイワシはフランスから2種見つかっている。
また、北米のネブラスカでもヘビクイワシらしい化石が見つかっている。
1000万年くらい前にはこの化石が見つかったあたりはサバンナや草原だったことも生態的に共通点がある。
- この手の猛禽類の例に漏れず、個体数の減少が危惧され、絶滅危惧種にも指定されている。
ただ、現地住民からは「有害な蛇やネズミを食べてくれる益鳥」と見られ、他と比べれば保護に重大な支障が生じているわけではないとか。
(害鳥の類の場合は保護しようにも現地の協力が得られず、本当に絶滅一歩手前になるまで保護が進まない例が少なくない)
- ジンバブエのンデベレ族には、「ヘビクイワシはその完璧な羽毛のままに死す」ということわざがある。
- スーダンと南アフリカの国章に使われている。
スーダンの方はアラブ民族主義と結びつくもので、南アフリカの方は闘争を表すという。
出典:wikipedia
追記・修正はそのおみ足で蹴られてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 中国の伝説に登場する毒鳥「鴆」(ちん)のモデルという説もある -- 名無しさん (2014-02-24 21:57:27)
- 愛に溢れた項目だ、そして美しい -- 名無しさん (2014-02-24 22:06:51)
- なんかの本でジャコウネコ食ってたな -- 名無しさん (2014-02-24 22:47:35)
- エジプトには不死鳥の伝説もある。中国の鳳凰も足が長かったりと特徴が一致する。 -- 名無しさん (2014-02-25 12:13:53)
- スネークイーターとも -- 名無しさん (2014-02-26 20:24:14)
- セルレギオスのモチーフがこいつらしい -- 名無しさん (2015-11-22 11:45:44)
- 『またまたへんないきもの』で「蛇という悪夢の捕食者に虐げられ続けたカエルや鼠はヘビクイワシをヒーローのごとく思うかもしれないが、こいつは鼠や蛙も平等に蹴り殺して喰ってしまうのである」とか書いてあったのには爆笑した -- 名無しさん (2015-12-20 18:11:14)
- 鳴き声を聞いてちょっと笑っちゃったwあの見た目からガマガエルみたいな声を出すとは…… -- 名無しさん (2016-02-16 10:13:42)
- そういえばフェニックスと同一視されてる悪魔フェネクスも耳を塞ぎたくなるような声で喋るとか…。 -- 名無しさん (2016-03-30 17:59:15)
- 擬人化したらマギのモルジアナみたいなイメージがある -- 名無しさん (2018-05-12 22:26:18)
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