死の翼アルバトロス(ルパン三世)

ページ名:死の翼アルバトロス_ルパン三世_

登録日:2010/06/01(火) 14:36:31
更新日:2023/08/08 Tue 17:25:11NEW!
所要時間:約 5 分で読めます



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アニメ ルパン三世 二期 伝説 はいてない 傑作 宮崎駿 死の翼アルバトロス 赤ジャケットが似合わない 実は不二子が主役 アルバトロス = アホウドリ すき焼き 照樹務



『死の翼アルバトロス』とは、『ルパン三世』テレビシリーズ第二期の第145話である。
ファンの間では「伝説的傑作」と高く評価されている。




この話はルパン三世テレビシリーズ第二期の中でも異色作という位置付けになる。


このシリーズでルパン三世は「赤ジャケットにモンキー顔」というイメージが定着して後のテレビスペシャルシリーズが続く現在に至るのだが、
この回は作画が大きく異なり、第一期を彷彿させるデザインになっている。
それに併せてルパンのキャラクターも従来のコミカルな部分が抑えられ、どこか落ち着いた雰囲気がある。
いつものルパンが「やんちゃな二十代」ならこの回は「余裕のある三十代」といった印象だ。
ルパンに限らず、他のレギュラーキャラもどことなく雰囲気が異なっている。
また、この回のルパンは悪と戦うヒーローとして強く描かれいる。
同シリーズ内でも時々ルパンがヒーローとして扱われる事はあったが、ここまで全面に押し出されているのは稀だ。


その当時売り出されていたルパン像とはあまりにかけ離れた姿から、局側がアニメの納品に難色を示してお蔵入りになりかけたといういわくがある。



さて、そんな「異色作」を手掛けたクリエーターは誰だろうか?


脚本・演出には「照樹務」とある。


その正体は、











宮崎駿である。










「照樹務」は、テレコム・アニメーション在籍時代に使っていたペンネーム。
そう、この「死の翼アルバトロス」はその前年に宮崎駿が監督を務めた名作「ルパン三世 カリオストロの城」の作風そのものだった。


作風のみではない。
当時、30分のテレビアニメに使われるセル画は通常、約4000枚程度なのだが、
この「死の翼アルバトロス」には約9000枚 と倍以上の枚数が使用されており、非常に綿密かつ多彩なアニメーションに仕上がっている。


無論、それだけではない。
全体的にコメディを交えた非常にテンポのよい構成となっており、
特に後半は息も付かせぬアクションに次ぐアクションという展開が繰り広げられ、観る者を釘付けにする。
それはもはやテレビアニメではなく、30分の「映画」と評しても差し支えの無いクオリティーの高さだ。



この回の他の特徴として、第二期に対するアンチテーゼが含まれている事が挙げられる。
これは宮崎駿に限られた話では無い。
第一期のキャラクターデザイナー、作画監督を担当した大塚康生は第二シリーズの作風に疑問を感じていたのか、
第二期の作画に参加した際、その頃のルパンのデザインではなくあえて旧デザインに描いた事など有名である。
第一期の制作に携わった宮崎駿も同様なのか、この回ではルパンは第二期の象徴とも言える赤ジャケットをほとんど着ていない。
後に監督を務める最終話「さらば愛しきルパンよ」でもそれまでの第二期のルパンを否定するかのようなラストを描いており、この回も含めて第二期に対する反骨精神の現れなのかもしれない。



【ストーリー】
とある山中に不二子に呼び出されたルパン三世たちは、すき焼きを食べながら彼女の到着を待っていた。


しかし一向に現れない不二子を不信に思うルパンたち。
やがてようやく姿を見せた不二子は何者かに追われており、銃を片手に派手に暴れると、颯爽とその場から去っていった。


突然の事に呆気にとられるルパンたち。
すると、彼女がなにやら置き土産を残している事に気付く。


それは超小型原子爆弾の発火装置であった…。





【メインキャラクター】

ご存知大泥棒。今回は不二子が残していった原子爆弾の発火装置から事件に巻き込まれる。


山田康雄が演じる声は、いつもの騒がしいお調子者という感じではなく、氏のもう一つの顔とも言えるクリント・イーストウッドのような余裕のあるニヒルな印象。
これは前年に公開されたカリオストロの城でルパンを演じた際と同じであり、宮崎駿が指示した演技でもある。
カリオストロの城の収録打ち合わせの際、宮崎駿の指示に、当時自身のルパンの演技に自信を持っていた山田が難色を示したが、
その後の試写会で作品のクォリティーの高さに感銘を受け、監督に謝罪をした後「是非、やらせて欲しい」と嘆願したエピソードがある。
「死の翼アルバトロス」でも同様に監督に敬意を払っての演技ではないかと編者は推測する。なお、他の出演者たちも演技を意図的に変えている。



ルパンの相棒。今回は活躍は少なめ。序盤のルパンとのすき焼き争奪戦は見物。



ルパンの相棒その2。今回は出番少なめながらインパクトが強い。
ルパン曰わく「ネギ食えネギ!お前それでも日本人かっ!」。いつも通り斬鉄剣でつまらないモノを斬っていく。



ヒロイン兼今回のもう一人の主人公。そしてエロ担当
エマニエル夫人ばりのヌードを披露したかと思えば、作中のほとんどを下半身裸で過ごすという荒技を見せる。
その上で某風の谷のお姫様よろしく激しいアクションを繰り広げてゆく。宮崎監督、あなたは素晴らしすぎる。尻チラあり。



いつも通りだが、従来に比べると若干スマートに描かれており、ちょっとカッコいい。



【ゲストキャラクター】

  • ロンバッハ (CV:根本嘉也)

表向きは多数の航空機を所蔵するロンバッハ航空ミュージアムの館長だが、その正体は兵器の密造と販売を取り仕切る死の商人。
商品として超小型の核爆弾とその発火用プラグを発明したが、それを自分の金儲けに利用できないかと考えた不二子にプラグの一つを奪われたことが事件の発端。
ルパンからプラグを取り戻した後は核爆弾の製造プラント兼輸送機に改造した大型飛空艇アルバトロスに乗り込んでそれらを世界中に販売しようと企てた。
一見すると物腰柔らかそうに見えるが、実際には狡猾かつ卑劣な策士で、さらに女好きらしく不二子を自分の第一夫人にするとも言っていた。




この「死の翼アルバトロス」は間違いなくシリーズでも傑作と言える。
だが、決してこのルパンが「正解」という訳ではない。あくまで多くの脚本家や監督たちが描いたルパン像のひとつに過ぎない


それを理解された上で、もし良ければ一度この第145話『死の翼アルバトロス』を観て頂ければ幸いである。




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  • ここから作画がジブリ風になり違和感があった。あとすき焼きにビールを入れることを覚えたり意外と五右衛門が肉を食ってるなと思った。 -- 名無しさん (2013-12-11 10:50:38)
  • アルバトロスとはアホウドリの英名。そのアホウドリ自体が現在絶滅危惧種なのを考えると本当の意味でアルバトロスは死の翼を持っていることに --   (2014-11-03 01:16:40)
  • 駿の書く不二子回って実はレアだよね -- 名無しさん (2015-02-09 00:56:09)
  • 多分見たの再放送だと思うけど、不二子ちゃんがエロかったことは覚えてる -- 名無しさん (2015-09-26 20:44:09)
  • この記事で知って見てみたけどすごい面白かったわ -- 名無しさん (2016-02-22 11:30:31)
  • まさか不二子が可愛いとは -- 名無しさん (2016-02-22 13:10:29)
  • 父がルパンシリーズの中でこの話だけパソコンに保存していたから何でだろうと思っていたけどこんな伝説的な回だったのか -- 名無しさん (2017-03-07 17:46:18)
  • 不二子の台詞があんまなかったような・・・気のせいか? -- 名無しさん (2017-03-07 19:35:26)
  • 再放送見たけど、ルパンが使ってる計算尺って風立ちぬに出てきたのと同じやつだ -- 名無しさん (2017-12-09 10:27:54)
  • ああ、武士の情けでパンツと帽子を返してやる奴か。 -- 名無しさん (2017-12-09 10:44:45)
  • the firstの予告映像にアルバトロスとしか思えないものが映っていたんだが -- 名無しさん (2019-11-29 23:54:08)
  • 冒頭のすき焼きがやけにうまそうに描かれててこれだけで「何か今回やけに気合入ってるなー」ってのが伝わってくる -- 名無しさん (2020-04-25 14:34:47)
  • 過大評価されすぎwwww。 -- 名無しさん (2020-04-25 14:46:32)
  • ↑ルパンと次元が肉の取り合いを他所に、肉を仰山食べている五右ヱ門は...何気に笑える。 -- 名無しさん (2020-04-25 16:24:12)
  • この回と最終回だけ収録されたVHSテープが単品で販売されてたんだよな -- 名無しさん (2020-09-30 16:42:15)
  • さらば愛しきルパンよの記事も見てみたいな・・・ -- 名無しさん (2021-02-18 23:40:41)
  • アルバトロスの作画見ると「航空機オタク宮崎駿」の顔がよく出てることが分かる。いや宮崎駿はそれだけじゃないけど -- 名無しさん (2021-10-26 15:47:04)
  • 「この方がコクが出るんだよ」「ネギ食えネギ!」 -- 名無しさん (2023-01-22 02:31:12)
  • コミカルなミリタリ描写と観てて気持ちいい空中戦は流石 -- 名無しさん (2023-01-22 03:00:27)

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