機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル

ページ名:機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア_アズナブル

登録日:2012/11/12(月) 02:02:03
更新日:2023/11/21 Tue 11:03:16NEW!
所要時間:約 7 分で読めます



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―赤い彗星シャア・アズナブルに捧げる鎮魂歌―





「ガンダムエース」において連載された『機動戦士ガンダム』のオムニバスコミック。
シャア・アズナブルに纏わるショートストーリー3本が展開される。
全体的に切なさが漂う物語であり、結末も単純に明るいとはいえない。


作品の設定を解説する「Inside Report」も収録されている。



『量産型ザクvs.ガンダム』というニューヤークでガンダムと交戦した部隊に関するストーリー(第10話「ガルマ散る」をジオン側から描いたもの)もあり、2番目に収録されている。
この話ではホワイトベース側の人物は敢えて描かれていない。



作者の大森倖三氏は、これまでに「ケロケロエース」版『機動戦士ガンダム00』やガンダムエース版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』、それ以外では『ウルトラQ dark fantasy』や『リーンの翼』等を手掛けている。





【シャア専用ザクvs.リック・ディアス】


グラナダ近郊の月面都市「アンマン」における百式受領時のエピソード(『機動戦士Ζガンダム』第8・9話)。
GUNDAM EVOLVE../12』のコミカライズで、映像では描かれなかった結末が追加されている。
ちなみに、デルタガンダムを扱った『デルタの鼓動』でも受領に関するシーンがある。 



◇ストーリー


アーガマのクルーが見守る中、リック・ディアスに乗るクワトロ・バジーナは宙域でのシミュレーションを受けていた。
データのジムⅡ部隊やガンダムMk-Ⅱを難なく倒す彼の前に、あるMSが姿を現す。
それはかつて自身が乗っていた機体、ザクⅡだった…



◇登場人物



(*1)


突如現れたザクⅡに動揺し、敢え無く敗北。
訓練後はキレて実弾をぶっ放していた。
アストナージ曰く、相手の強さの設定は当時と同じだったようだが…
ちなみに彼はアンマン市にも住居がある。



アンマンで受け取る予定の百式を赤くペイントするか聞いた。



  • 新米整備士

シャアザクを入力した張本人。
クワトロ大尉の格好良さに憧れている。
エマさんからは「遊びが過ぎる」と言われたが、レコアさんからは「伝説の戦士とのお手合わせは面白い」と好評だった。



シャアについて聞かれ、「囚われたままの哀れな人なんじゃないか」と言った。
大尉にもそれは聞こえていたようだ。



  • 酒場の女性

(*2)


コートに身を包むクワトロがアンマンのバーにいた時、隣で酔いつぶれていた美女。
どうやら昔は地球で歌手をしていたようだ。
過去を見つめるその瞳は、どこか寂しげである…



  • 発狂した男

バーの扉を力強く開き、突如現れたロン毛の人。
自分を「赤い彗星のシャア」と思い込んでおり、かつての公国の名を叫んだ後に走り去っていった。
それを見ていたクワトロは驚きを隠せなかった。
マスターによると、昔を忘れられない戦争後遺症の人間が多いという。



  • シャムネコ

バーの窓の外に佇んでいた
心理描写としての役割もある。





女性は眠りながら呟く。


「だけど…誰だっていつかは気づくのさ、昔のように生きられないって…たくさん傷ついて傷ついて恥かいて…それが大人になるって事なんだって…」



女性の足元に落ちた上着を肩にそっと掛け、彼はこう言った。


「言うほどたやすい事ではないな…結局私は不器用な生き方を選ぶ事しか出来んのだよ……」





「しかし…それこそが…」





後日、クワトロは百式で模擬訓練を行うことに。


しかし、敵として用意されたデータを見てカミーユ達は思わず目を丸めた。













(*3)













そのデータとは、あのガンダムファーストだったのである。





「面白い!!」





実は新米が出力補正を入力ミスしており、ガンダムは人の視認レベルを越える物になってしまっていた。


その壮絶な戦いを、周囲はただ呆然と見ているしかない。



その時、かつてのシャアとしての自分、そしてかつての宿敵が脳裏に浮かぶ。


そして2つの銃口を向けビームを発射……遂にガンダムの撃破に成功した。





周囲は静かな驚きに包まれ、部下の不手際を詫びるアストナージにクワトロは言った。



「百式だがこのままだ、オリジナルのままでいい…赤くする必要はない



ヘルメットを脱ぎ、彼は呟く。





「やってみるさ」





クワトロ=シャアは自身に纏わり付く過去を振り切り、因縁を断ち切ることができたのだろうか?


それとも、彼は…









【シャア専用ズゴックvs.GM】


ジャブローにおけるエピソード(第29話「ジャブローに散る!」の裏側)。
このエピソードは上編・中編・下編に分かれている。



◇登場人物


  • マリサ・ミラー

(*4)


両軍で人気を博している慰問団の歌手。
しかし、芸能プロダクションの方針で自分の作った曲を歌えないことに不満がある。


彼女が歌手としての自信を失っていた頃、酒場でジオン将校達を前に歌を見せ、そこで赤い彗星のシャアと出会った。
彼はマリサに拍手を送り、歩み寄って称賛した。
シャアは勇気を与えてくれた恩人であり、彼女は自分を支える為の曲、『赤い光跡』を作った。
それは自作の中で最も愛する曲だという。


今回のライブでは、最後にシャアを意識したこの曲を無断で連邦兵士に向けて披露。
ジオンマーク付きのスカーフも巻いていた(以前はマークが無かった)。
幸い、曲の中身に気付く者は(一部を除き)いなかった。


ライブ終了後、マネージャーに「あの曲を歌って終われるのならそれでいい(歌手をやめる)」と言う。



  • ウィラー中尉

(*5)


4人小隊の隊長で眼鏡を掛けたイケメン。
生真面目な印象だが実は孤児で、生きる為に軍隊に入った。
癒されない孤独が彼にプレッシャーを与えている。
また、周囲が笑えない冗談を言ったりする(シャアは自分と同じ孤児かもとか)。


部下達にムリヤリ連れられ公演に行った際、マリサが「赤い彗星を題材にした彼女自身の歌」を歌っていることに気付く(同時にスカーフも目にした)。
自分のように心が彷徨っている者への歌(メッセージ)だと受け取り、涙を流した。


彼女の歌が何もない自分の唯一の支えになると思い、部下がベスト盤を貸すか聞いた時はものすごい勢いで借りようとした。
そしてその時、部下達の思いを知り心を打たれる。



  • マネージャー

眼鏡・くわえタバコ・後ろのモコモコ髪・鋭いモミアゲが特徴の中年太りのオジサン。
慰問コンサートを仕切り、マリサをセクシー路線で売り出している。
兵隊は勝手にバカ騒ぎしてくれると考え、彼女に「曲で本当の事が伝わる事なんかない」と言い放った。
マリサがあの曲を歌った時は、スタッフ達と共に動揺していた。
後に彼女の言葉に目を見開き驚く。



  • 部下達

未熟で頼りないところがあるが、中尉のことを慕っている。
もっと親睦を深めようと思い、中尉をライブに誘った。
熱狂する彼らはマリサが自分達ジム隊のことを歌ってくれていると思い込んだ(基本ジムも赤い為)。
ライブの後、自分達がチームとして…戦友として中尉の支えになれないかを聞く。



  • 連邦兵士達

チケットがほぼ完売するほどの数(千人単位)で、マリサを前に熱狂する。
歌よりも露出度の高い衣装を着たマリサが目当てで、ライブ中はセクハラ紛いの言葉を叫びまくる。





シャア「イーゴワンジッタル!出撃準備だ!」





ジオン軍のジャブロー襲撃作戦が始まり、第一戦闘配備が発令される。


ウィラー中尉の小隊は敵を撃破するも、部下達のジムは行動不能に追い込まれてしまった。


そして際どい状況の中、中尉の前には赤いMS…シャアの乗るズゴックが現れた…





一方、非戦闘区域にいたマリサは足もとの紙飛行機を見つける。


それは、ウィラー中尉の思いが綴られた手紙だった。



空っぽの人間…曲のないレコード盤だった自分が、あの歌で救われたこと。


歌に出会い、自分から得ようとする自由と力とチャンスは誰にでもある事に気付いたこと。


彼の思いを知り、マリサの目から涙が溢れる。





アムロ「あっ、ジッジムが!!」





(マリサ…ありがとう…今のオレは曲のないレコード盤なんかじゃない…仲間、戦友、そして…)













(*6)













「ゴメン…やめるなんてウソ…私がバカだった…」


「いやオレ達も少し無神経だったし…」


「お願い!私ウィラー中尉に会いたい…必ず、必ずいるはず…」





お互いに戦うガンダムとズゴック。


部下達から涙がこぼれ落ちる。


そこにウィラー中尉の姿は無い。









(*7)









ある機体の残骸の中には、マリサ・ミラーのCDがあった…









クワトロが出会ったバーの女性はマリサ・ミラーである。


今の彼女は当時ほどの人気は得ていないようだ。


また、クワトロと彼女はお互いの素性に気付いていない。





あの時、もしもウィラー中尉が生き残っていたら、また違う未来があったのかもしれない…


でも、マリサならきっと…









―だから行こう―



―その先にボクらの景色は広がっている―



―必ず―



―広がって待っていてくれる―


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(*1) 項目名、著者:大森倖三、監修:サンライズ、角川書店、2009/2/24、P.19
(*2) 〃、P.19
(*3) 〃、P.27
(*4) 〃、P.152
(*5) 〃、P.103
(*6) 〃、P.148~149
(*7) 〃、P.154


  • ウィラー中尉の話凄く好きだわ -- 名無しさん (2013-09-30 02:26:39)
  • 作画ミスの補完をしてるのが上手いわ -- 名無しさん (2013-09-30 02:54:42)
  • 惜しい……『やってみるさ』だ。クワトロ時代の台詞って格好良いよな -- 名無しさん (2013-12-02 01:59:48)
  • 今更ですが修正しました。すみません、ずっと書き間違えてて… -- 名無しさん (2013-12-26 14:58:05)
  • ある意味ではここでアムロへの拘りを完全に捨てることが出来ていらば後の悲劇は無かったのかもしれない -- 名無しさん (2014-05-11 19:35:18)
  • 名作だった。 -- 名無しさん (2015-01-25 05:48:07)
  • 大人になるといろいろ身に染みる。 -- 名無しさん (2016-02-03 14:26:50)

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