登録日:2012/10/06 (土) 03:31:05
更新日:2023/11/21 Tue 11:00:21NEW!
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ミニ四駆 田宮模型 シャーシ 爆走兄弟レッツ&ゴー!! タミヤ プラモデル 模型
概要
ミニ四駆のパーツのひとつ。
ミニ四駆の底部を構成し、ボディが被さっているパーツのこと…と言えばわかるだろうか。
ミニ四駆の核となるパーツで、ミニ四駆のパーツのほぼ全てを載せるいわば土台部分。
重要度ではモーターと双璧をなす。
時代によってさまざまなものが作られ、選択肢は非常に広い。
もちろん古いシャーシだと勝てないというわけではなく、
しっかりと作りこめば新しいシャーシとも互角に戦えるだろう。
また公式大会では使えないのだが、シャーシについても自作してしまうマニアも昔から存在する。
シャーシ一覧
カッコ内はそのシャーシを搭載した最初のマシン
第一世代
タイプⅠ(ホットショットJr.)
記念すべき初代シャーシ。
ターミナルはA型。
開発・発売当初はオフロードを走らせることを想定しており、コースというものが存在せず、ローラーも発明前だったので発売当初のバンパーにローラー用の穴が無い。モーターの放熱対策用の肉抜き穴もない。
当然、サイドガードにも穴が無いので役立たず。
ユーザー達が購入後の一番最初に行う改造は「ニッパーでサイドガードを千切る」こと。
ちなみに比較的後期のタイプⅠにはちゃんとローラー穴はある。
タイプⅡ(アバンテJr.)
タイプⅠをロングホイールベース化。サイドガードにローラー穴増設。
ターミナルはB型。
車軸受けをボールベアリングに対応。シャーシ重量もタイプⅠより遥かに軽い。
第一次ブームの火付け役。当時のRC界を席巻していた名機アバンテが元ネタだっただけに滅茶苦茶売れた。直線番長。
ノーマルの状態でフルチューンしたタイプⅠに圧勝したという伝説すら存在するほどだが、
電源スイッチ部品の強度が弱く、振動で電源が落ちるという弱点を抱えている。
突然死に泣いたユーザーもいるだろう。
タイプⅢ(ライジングバード)
タイプⅠをタイプⅡ並みに引き上げた正統後継機。
ターミナルはC型。
タイプⅡの特徴を取り入れ、タイプⅡが苦手とする旋回性能を向上させている。
タイプⅠ用のパーツやボディーが無改造で組める為、タイプⅡに苦しめられたタイプⅠユーザー達に愛された。
ただし、前輪側のベアリングが抜けやすいので注意(構造上回避不可能)。
それ以外に欠点を上げるとしたら、使用しているマシンの多くがピンスパイクタイヤ装備なのでイマイチ財布に優しくない点ぐらいか。
スーパー1に対するスーパーⅡに対応するシャーシで、
タイプⅠで販売されたダッシュ軍団機等がこのシャーシでリメイクされている。
ZERO(ダッシュ0号 地平(ホライゾン))
軽量・低重心・短ホイールベースが特徴のレース仕様。サイドガードは別売り。
ターミナルはZERO系。
ピンク色のヘリカルクラウンギヤー、1.4mmのペラシャを初めて実装したシャーシでもある。
剛性に弱点を抱えているものの、そのコンセプトはスーパー1やVSといった名機達に脈々と受け継がれている。
ちなみに重量に関してのみなら後継シャーシたち以上に軽く、全シャーシ中最軽量だったりする。(ただし強度はさらに劣る)
使用可能ギヤが4:1までなためにこれを活かすのは難しいが……
FM(クリムゾングローリー)
史上初のフロントモーターシャーシ。これに対する解説は後述。ターミナルはB型。
その特異性ゆえに採用車は少ない。
実は後輩のSFMより駆動系は良いと言われているが、
装着可能な最も小さいギヤ比が4:1までとなっている。
ただし精度そのものは高く、更に静穏性と走行性能の向上がかなり容易である。
2014年末に強化レッドが再販されており、2015年夏現在でもあちこちで売れ残っている為、
入手自体は容易であるがボディが手に入らないのが難点。
適当なボディを加工して作ろう。
タイプⅣ(イグレスJr.)
タイプⅡの正常進化型。当然、タイプⅡのパーツも使える。ターミナルはB型。
ギヤ比が大幅に見直され、更に直線番長化(なお、タイプⅣのギヤはタイプⅡにも使える)。
ただでさえ軽いタイプⅡを更に軽量化したうえに、ギヤ軸受けにもボールベアリング対応。
旋回性能が高いタイプⅢに対抗すべく、最高速性能を向上させている。
元ネタとなったイグレスは名機アバンテ系の最上位機種だっただけに売れたのだが、
こちらはZEROがかなり早く出たこともあってか第一次ブームの終局に伴い消え去るハメになった。
強度面の不安が非常に大きいのも広まらなかった一因であろう。
おかげで採用車は上記のイグレスとセイントドラゴン(ラジコンリッキー版)の2車種(FMと同数)のみに終わってしまっている。
ちなみに、初期のフルカウル系マシン相手ならば充分勝てる名機でもある。
タイプⅤ(ベアホークJr.)
タイプ系の集大成だが、ZEROとスーパー1に挟まれて空気気味な感は否めない。
ターミナルはB型。
肉抜き穴がないフラットな形状と長いホイールベースが特徴。
これのおかげで強度面は非常に安定している一方、『厚み』自体を削ることで軽量化にも成功している。
レッツ&ゴーに登場したスーパーアバンテに採用されたほか、
GUPの超速ギヤに対応しているため、第二世代レーサーには地味に知名度が高い。
第二世代
スーパー1(自由皇帝(リバディエンペラー))
ZEROシャーシの改良版(てか流y(ry)であり、二次ブームユーザーにはかなり馴染みのあるシャーシ。
ターミナルはZERO系。
初期フルカウルミニ四駆から後期のベルクカイザー、スーパーミニ四駆にも使われていた。
ゼロよりはましとはいえシャーシの耐性が非常に脆く、フロントがすぐに折れてしまう。
だが駆動系の出来はなかなかによく、改造次第で近年のレベルに充分ついていける優秀なシャーシである他、
駆動が優秀な中では最軽量と言っても過言ではないため、フラット(立体要素の無いレース)では今でも十二分にトップクラスで凌ぎを削れるほど。
余談だが、意外にも搭載機一号はフルカウルマシンのマグナムセイバーではなく、スーパーミニ四駆の自由皇帝の方。
何気に今でもゲーセンのプライズ限定マシンなどで限定カラーがちょくちょく出てくる。
スーパーFM(ブロッケンG)
FMの後継機で、地味にデフォでリヤステーが付くようになった初のシャーシ。ターミナルはB型。
マジな意味でもネタ的な意味でも特徴が大きいので詳細は当該項目にて。
このシャーシのマシンを買おうとしているそこのキミ、買う前に当該項目を読んどけ。マジで。
どういうわけか第三次ブームの現在、そこそこ愛用者が増えていたりする不思議なシャーシ。
スーパーTZ(サイクロンマグナム)
二次全盛期のサイクロンマグナムで初お目見えになったシャーシなので、愛用した者はかなりいるはず。
ターミナルはB型。
それまでのシャーシ群に比べて耐性もマシになり、ちびっこにも(金銭的に)優しくなった。
駆動系の出来もそれなりに良い上、何故かスーパーFMと違って
ハイスピードEXギヤ並びに精度の高い水色超速ギヤの使用が許されているという美味しいメリットも。
ホイールベースが長く、直線番長という意味ではタイプ5の末裔ともいえなくもない。
なおTZとは「TAMIYA-Z」、つまりタミヤの集大成とする説と、
TYPE系の頭文字のTに「末裔」を意味するアルファベット最後のZを付けた、とする説があるが
発売20年を迎えようとする今尚、公式からの発表がない。
スーパーX(マックスブレイカー)
エアロミニ四駆・マイティミニ四駆から導入されたシャーシ。
ターミナルはX用。
ここからステーが2点止め、超速ギヤーが標準装備になった。(ただし、このX系やVSは3点止めができる。旧規格のリアステーが取り付けられるため、FRPと合わせてより強化できる。)
開閉式の電池ホルダーや底部からモーターをギアボックスごと抜き取れる機構を持つ。
モーター交換が非常に容易に出来るシャーシである。
ワイドシャフトを採用かつホイールベースも長いため直進安定性が良く、ペラシャ系の中でもトップクラスの剛性も自慢。
ただしその代償として小回りがきかず旋回性能は低い。ある意味ZERO系の対極のシャーシといえる。
このシャーシからギヤ周りの精度が飛躍的に向上し、「抵抗抜きをすると逆に遅くなる」とさえ言われている程に高精度な為、
依然として現役バリバリどころか頻繁に大規模大会でも入賞する程の優良シャーシ。
弱点を上手くカバーできるようになると本当に頼もしい戦力となる。
特に人気のあるのがカーボン素材のもの(通称炭X)であり、
プロペラシャフトのすべりの良さがダイレクトドライブシャーシ全てひっくるめても最高クラスと評されるため、
大会でXシャーシが入賞しているときは大抵この炭Xが使われていたりする。
一時期はプレ値が酷かったが、2014年に再販されて随分と落ち着いた。
VS(ブレイジングマックス)
ZERO系の流れを汲むショートホイールベース、軽量、低重心、優れた駆動性が売りの第二次ブーム最速と名高いシャーシ。
ターミナルはX用。
スーパー1シャーシの甥っ子ともいえる。欠点もZERO系譲りで、剛性の低さ、バンパーの脆弱性が辛い。
しかしそれを補って余りあるポテンシャルを秘めており、後継シャーシが続々登場して旧式と化してもなお現役のシャーシである。
レーサーミニ四駆のリメイク用シャーシにも度々白羽の矢が立っていたり、
全シャーシ中カラバリの数がダントツでトップなあたりもこのシャーシの優秀さを物語っているといえる。
…実を言うと、優秀どころか現在では「片軸シャーシ=VS最強」がほぼ定説となっているレベルですらあり、
VSシャーシの中でも特に早いとされる素材・カラーの物はオークションでも凄まじいほどのプレミアが付いている。
特に『ペンションりんごじゃむ』で限定販売された赤色のもの(通称りんごじゃむVS)は
最低でも万単位積まないと手に入らない。同時発売のTZはそこまででもないのに…
2017年現在も、間違いなくトップクラスの戦闘力を有するシャーシなのだが、
後述するMSシャーシに遂にシェアトップを奪われてしまい、最強の座を譲ってしまった。
スーパーTZ-X(バニジングゲイザー)
名シャーシ、スーパーTZのリメイクで、X系のパーツに対応したねじ穴が追加されている。
当然ながらターミナルはB型。
しかし、それと引き換えに駆動系の精度が失われるという不憫なシャーシ。
採用マシンも1台のみで、第二世代の中でも屈指の空気である。
…と言われ続けていたが、立体が中心となっている昨今のレース事情では立場が少し変わっている。
そもそもTZもギヤ周りの加工をしなければMAやARといった最新のシャーシ類に渡り合うことは困難なので
ある程度抵抗抜きが必須となり、そうなるとTZとTZ-X程度の差など誤差に等しくなるのであまり問題にならなくなる。
そして、そもそもTZ-Xの優位点であるリヤの二点止めステー対応穴の有無の優位性はかなり大きく、
特にマシンに対する負荷が大きい公式の5レーンコースでは一点止めではどうしても強度的な不安が拭えない。
SFMで入賞・優勝している人たちも、強引ないし擬似的に三点固定にしている場合が殆どで、
無加工で三点止めステーが使えるTZ-XはそれだけでTZより手間が大幅に省けるのである。
その他にも地味にTZからアップグレードされた点が多く、
現在は公式大会でもたまに表彰台を飾るほどのシャーシとなっている。
サイクロンマグナムのポリカボディプレミアムver.もtzではなくこちらのシャーシが採用された。
第二.五世代
TR-1(スバルインプレッサWRC2002)
第二次ブーム終了後にタミヤが満を持して送り出した新シリーズの1つ「ラジ四駆」。ターミナルは専用のTR-1用。
それに採用されたのがこのTR-1シャーシである。
スーパーXとTZを足して2で割ったような感じの形状をしており、
剛性は頑丈だがかなり重くなっている。その重さたるや片軸シャーシ中最大。
ホイールベースもスーパーXから10mm伸びたので旋回性能がいっそう低くなってしまっている。
さらにターミナルが受信機の都合で5枚に増えたため電気抵抗が増大してスピードが乗らない。
加えて初期型の送信機では異なる番号のものでも混線が多々ありレースどころの話じゃない
(後期型はある程度改善されたが、それでも完全な解決には至らなかった)。
また、駆動系周りのパーツが増えているのでメンテナンス性が悪くなっているのも地味に痛い。
おまけに基本的なマシンを揃えるための初期投資が2000円以上かかるなどお財布にも優しくない
(一番手軽に揃えられるはずのフルセットでも約2500円)。
これらの理由と第一次・第二次ブーム経験者からの不評を受けて、わずか1年ほどで商品展開を終了する事態に。
その後は同時期に展開されていたダンガンレーサーの陰に隠れて自然消滅してしまう。
TZ-X以上に不憫な存在である。ミニ四駆の歩みにおける最大の黒歴史ともいえる。
現在のルールではミニ四駆に編入されたのに、ラジ四駆(TR-1シャーシ)はネオチャンプがなぜか使えない。
そのためただでさえ速力不足なのにダッシュ系モーターが使いにくい。
え?タミヤもレースから締め出したがっている?きっと気のせいだ。
唯一と言っていいメリットだった実車系ボディに関しても最近増えてきている。今のところBe-1以外はトヨタばっかりだけど
なお、ポルシェ911のボディはプラモの流用なせいで素で全長がレギュレーション違反になる(レギュには「すべてのミニ四駆用ボディが使えます(ラジ四駆含む)」とあるが車検で弾かれたという報告あり)。
第三世代
MS(ナイトロサンダー)
「PRO」シリーズ用に開発された新時代のシャーシ。
ターミナルは新規設計のMS用。
ダブルシャフトモーターや三分割型シャーシと従来のミニ四駆とは根本的に別物といっても過言ではない構造。ダンガンレーサーEVOで培った技術がふんだんに詰め込まれている。
古参レーサーや復帰組には抵抗があるかもしれないが、、組み立てやすく初心者にも優しい。
(ただし、旧規格のリアステーが取り付けられなくなったため、リアステーは強制的に2点止めになった。
これはS2、SXXを除くすべての第三世代シャーシに該当する。気になるなら長いビスで接続口を貫通して、ロックナット等でステーを固定してしまおう。)
駆動系と剛性は優れているがレース用シャーシの中ではかなりの重量級でモーターの選択肢が狭く、トルクも不足気味。
過去のスーパー系/フルカウル系マシンのホイールとタイヤを使用するとシャーシに抵触する場合もあり
車体の真ん中に回転軸がある構造が空中で姿勢を崩す原因になりやすいなど結局のところ一長一短。
とは言え、初心者でも簡単に中級者レベルのスピードに達する事ができるシャーシではある為、
ゼロからミニ四駆やりたいんだけど…と言う人は、とりあえずこれかMAを選んでおけば間違いはない。
ちなみにGUPではあるが、唯一無加工でバンパーレスに出来るシャーシである。
のちにVZに完全上位互換されてしまうが。
MAの登場以降、新規マシンに採用されることが無くなった為少しだけ影が薄くなっていた時期があったが、
各ユニットの接合部にバネなどを仕込む『フレキシブル化』と呼ばれる改造が2015年を境に大流行。
2017年にはそれまで最強と言われていたVSすら突き放して完全一強体制を築き上げ、
2018年現在も公式・非公式大会問わず表彰台をこのシャーシが独占することが非常に多くなっているなど、
一時期では考えられないほどの隆盛を誇っている。
スーパーXX(マックスブレイカー ブラックスペシャル)
エアロミニ四駆のリメイク用に屈強さに定評のあるスーパーXがさらに頑丈になって帰ってきた。
ターミナルは当然X用。
サイドステーのねじ穴は3つになり、拡張性はさらに広がっている。
一方で、余りにも頑強になり過ぎたがために、
「実はそこまで硬くなくても良いんじゃね?」とする昨今の風潮からは
むしろ前身のスーパーXに注目が当たるようになってしまっている。
逆を言えば時と場合によってXと使い分けられるほど優秀なシャーシとも言える。
実を言うと、駆動系はXよりほんの僅かに劣ると言われているが、
ワッシャーなどを適切な位置に一枚かませるだけで十二分に静かにできるので気にしなくても良い。
スーパーⅡ(マグナムセイバー プレミアム)
フルカウルミニ四駆及び過去作のリメイク用にスーパー1シャーシが帰ってきた。ターミナルはS2用。
最大の弱点だった剛性の弱さを克服して、より完成度の高いシャーシになっている。
VS最強説の根強い現在、片軸ではほぼ唯一ガチでVSとタメを張る程度に優秀な性能。
他のシャーシだと軒並み限定GUPだったり、そもそも存在すらしない場合も多いカーボン素材性の強化版が
Vマグナム&ソニックのプレミアムでいつでも通常生産されている為、良い素材の物を自由に使えるのもおいしいポイント。
(ちなみにマグナム&ソニックセイバー、トライダガー X、スピンコブラとパンダ2はポリカABS製。駆動の滑りがよく、こちらも優秀素材シャーシ。しかも通常価格。)
また、シャイニングスコーピオンプレミアムなど幾つかのキットに付属するサイドガードは、
元々評判の高かったVセイバー用サイドガードを更に拡張・強化した物であり、これまた非常に評判が高い。
一部キットでしか手に入らないのと、カラバリが余りにも少ないことが欠点か。
弱点はまさかの電池ホルダーで、今時のヒンジ式やスナップ開閉式じゃないため外れやすい。
そのためホルダーのパーツのみを別のシャーシから流用する人も多い。
また、フロントバンパーがシャーシの最底辺と同じくらい低いため、アンダーガードを付け辛いのも地味に痛い。
AR(エアロアバンテ)
ミニ四駆30周年記念シリーズ「ミニ四駆REV」用に開発された新鋭シャーシ。ターミナルはX用でモーターを裏から交換可能。
モーター冷却用のエアインテークに電池を裏から交換できる機構、強化型ピニオン、
低摩擦製素材によるハトメ要らずの軸受けと新機軸には枚挙がない。
また、シャーシそのものがとても頑丈に出来ているので、初心者が乱暴に扱っても大丈夫。
更に言えば、全シャーシ中唯一裏から電池を交換できる機構のお陰で
流行のヒクオ・提灯改造を施していても電池交換がとても楽、というとてもありがたいメリットも。
当然のことながら駆動系も優秀で、初心者にお勧めされやすいシャーシ。
欠点は、余りにも強度が高すぎる事により、ギヤ周りに負担が集中しやすい構造となっている為
ピニオンギヤはカーボン製の物しか使ってはいけないとレギュレーションで定められており、
当然そのしわ寄せはクラウンギヤに行くため、ただでさえ脆いピンククラウンが更に欠けやすく、
それをカーボンクラウンで補おうとしたら今度はプロペラシャフトが死にやすく…と
ギヤのメンテナンス及び交換が他のシャーシより遥かに頻繁な事。
シャーシ本体の剛性の高さを追求した結果だと考えると皮肉としか言いようが無いが、
シャーシ本体が死にやすい事よりはまだ経済的だと考えるべきか。
(ちなみに、ノーマルのプロペラシャフトだとピニオンが軸受けに引っ掛かり、メンテナンスの際にホイールを抜いてドライブシャフトを外さなければならない。
少々面倒であるうえに、ホイールの軸が変形して脱輪しやすくなってしまう恐れがある。一応、中空プロペラシャフトならホイールを抜かなくても外せるようになる。)
さらに、サイドマスダンパーをGUP通りに付けていると、結構ビス穴が割れやすい(特に強化ABS)。
もしも気になるならば、2mmのドリルで貫通させてビスをリベットみたいにしてしまうのもアリである(もちろんその際はロックナットで固定するのを忘れずに!)。
2015年以降、フロントモーター化改造が徐々に流行り始め、
特に2016年の世界チャンピオンが使用したことで一気に人気が大爆発。
公式・非公式問わず非常によく見かけるシャーシとなった。
また電池やモーターを裏から交換する性質上、ペラシャ式にも関わらず従来のシャーシと構造がかなり異なり
なまじ先入観のある復帰組レーサーにとっては結構紛らわしい構造。説明書をしっかり読んで落ち着いて組み立てよう。
ロングホイールベースによって直進性が高く、VSがZERO系の末裔ならこちらはTZの末裔といえる。
たまにはTZ-Xのことも思い出してあげてください
MA(ブラストアロー)
「PRO」シリーズ用に新たに開発されたMSの後継シャーシ。MAは「Midship Aero」の略。
ターミナルはMS用。
MSから受け継いだダブルシャフトモーターによる駆動効率の良さとARの強みである空力効果を併せた、
まさにいいとこどりのシャーシ。MSの三分割型シャーシを元の一体成型タイプに戻し、
部品数を減らしているのでメンテナンス性も高い。
剛性に関してはAR以上とも称され、あらゆる面から初心者向けと名高い。
しかし、代償としてシャーシ重量が競技用シャーシの中では最も重くなってしまい、
ベースとなったMSの弱点も受け継いでいるので、一概に万能とはいえない。
具体的にはトルクが不足しがちになる事やトレッドに制限がかかる事、
余りにも剛性が高すぎるために公式の5レーンコースでは弾かれやすい事などである。
そのため、中級者まではこのシャーシのスペックに頼りきりでも到達できるが、
それ以上を目指すとなると凝った改造に手を出さざるを得なくなってしまうシャーシでもある。
それでも素のスペックは全シャーシ中間違いなくトップクラスである為、
チャンピオンズ(公式大会優勝者しか所属できないクラス)にも愛用者は多い。
「元々のポテンシャルが高いので、性能を殺さずに忠実に改造するのがポイント」と言う人も。
実は素で表裏逆転して走ることができるシャーシ。
ネジ穴も裏にしっかり用意されているので、より電池など重いパーツを低重心に置くことができる。
ボディは穴を開けてボティマスダンパーにすると、レギュレーションもクリアするし、より安定する。
(スイッチが動かしにくくなるが)
FM-A(ラウディーブル)
2017年のジャパンカップコースと同時に発表された、
4年振りの新型シャーシにして5年振りの片軸新型シャーシ、
そしてSFM以来実に21年振りとなる新型のFMシャーシ。
Aは「AERO」の略。
ターミナルはX用。
SFM同様に、慣らしの手間はかかるが頑丈で信頼性のあるオレンジクラウンギヤを採用、
そしてスーパーXシャーシと同規格のプロペラシャフトを採用。
要はARとXを足して2で割ってFMにしたようなシャーシと言える。
新企画のローラーや標準装備されている専用のフロントアンダーガードなど、
久しぶりの新型シャーシという事もあってか、とにかくタミヤの本気が伺える逸品。
FMの発展系ということもあって一部からは精度の悪さや加速の悪さを不安視されていたが、
全然そんなことはなく、むしろようやくFMの最大の特徴であるフロントモーターの力を発揮できるほどの高性能シャーシとなっている。
三次ブーム以降、フロントモーターの高性能マシンを操る事が出来るのは
旧FMやSFM、リヤモーターシャーシのFM化など高度な改造をこなせる上級者のある意味特権と化していたが、
このシャーシの登場で初心者でも気軽に高性能なフロントモーター車の走りを手に入れられるようになった為、
ラウディーブル発売当初は初心者から上級者までこぞって買い求め、しばらく品切れが相次いだほど。
実はこのシャーシ付属の円筒形リアローラー、
なんと520ベアリングを仕込んでベアリングローラーとして使うことが出来る(ローラー上部からベアリングを押し込んで埋め込む)。
ローラーセッティングにおいても革新的である。
欠点とすれば立体での重心か。
ドラゴンバックやスロープでの進入、出口の姿勢が他と違い前のめりになりがちなので、下手をすればでんぐり返ししてコースアウトしてしまう。(それがメリットでもあるのだが、リアモーターシャーシのようにマスダンパーや提灯ダンパーを搭載すると、前側に偏りすぎてしまう)
かといってヒクオなどをしようものなら、今度はギアボックスが邪魔で変な位置になってしまう。
ボールリンクマスダンパーや東北ダンパーなど、リアに搭載できるギミックを採用するのが無難である。
VZ(NEO-VQS)
ネオバンキッシュではない
2019年に発表された、AR以来8年振りとなるリヤモーターの片軸シャーシ。
ターミナルやプロペラシャフト等は全てVSと同様となる。
名前から察することができる通り、かつて最強伝説を築き上げていたVSとTZの進化系であり、
VSの最大のメリットである駆動システムの良さやコンパクトな設計による取り回しの良さはそのままに、
最大の弱点である強度不足に根本からメスを入れた意欲作となっている。
TZ要素? バッテリーホルダーがそれっぽいんじゃないかな
更に初の試みとして、最初からフロントバンパーが着脱式になっており、
中~上級者が当たり前のように行っているバンパーレス改造がデフォルトで行えるようになっている。
これによりカットの手間が省けるだけでなく、カットの際にシャーシが歪んでしまう心配が無くなる事から、
フロントバンパーレス改造の入門用として非常に優れたシャーシとなっている。(さらに言えばシャーシのローラースラストを殺さずにバンパーレス化できる。)
もちろんVSをベースとして、サイズを一回り巨大化することで強度不足を改善したバンパーも付いてくるので
バンパーレスを行なわないユーザーにも対応している。
また、ARやMAを堅牢に作りすぎたことで、コースから弾かれやすくなり、
実戦級に引き上げるためにユーザーが穴あけなどの加工を施して意図的に強度を下げていた事を受けてか、
今作では『適度なしなり』を最初から意識した設計となっており、
とにかくデフォルトでの戦闘力を徹底的に追求したことが見て取れる。
AR以降の全てのシャーシでアピールポイントにしていた『空力』を潔くカットしたところからも、
とにかくロマンよりも実戦力を追い求めた仕様であると言えるだろう。
一つの完成形と評されたVSを、更に令和時代のレースに対応するためにアップデートした野心作であり、
MSフレキ一強と言われる昨今のレース事情にタミヤが本気で放つ刺客とも言える。
発売は2020年3月28日に行われ、新しいマシンも続々と増加。出て間もないシャーシ故に、多くのユーザーによる研究が進められている。今後の活躍に期待したい。
追記・修正はすべてのシャーシを一度組み立てたことがある方、お願いします。
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▷ コメント欄
- タイプIVシャーシが建てた項目 -- 名無しさん (2014-03-08 14:07:27)
- TZ-Xは駆動系を改善してボディをバックブレーダーにすれば売れると思うんだがなぁ・・・ -- 名無しさん (2014-05-11 16:20:35)
- MSシャーシとARシャーシのいいとこ取りをしたMAシャーシも出たよ -- 名無しさん (2014-05-26 23:13:58)
- 漫画に騙されてFMシャーシ買った奴ww -- 名無しさん (2014-05-26 23:33:07)
- MSは中央に回転軸がある関係でナイアガラに弱いって言われてたな -- 名無しさん (2014-09-04 21:30:35)
- MAは精度とかどうなん? -- 名無しさん (2014-09-04 21:34:35)
- TR-1シャーシ(ラジ四駆)も忘れないで・・・ -- 名無しさん (2014-12-13 09:20:58)
- FM系の後輩を -- 名無しさん (2015-01-03 06:52:11)
- アニメのスーパーxの設定(シャーシでダウンフォースを稼ぐ)は現実だとARの方が近いのな -- 名無しさん (2015-06-27 13:46:23)
- シャーシ選びに迷ったら、取り敢えず一通り買って見よう! 1次、2次ブーマーのお父さん達なら大人買いあるのみ!www -- 名無しさん (2015-07-26 01:41:02)
- ↑シャーシは人によって相性が随分違うからなぁ…XXで凄く速い人に話しかけてみたら、「自分はX系以外速くできない、みんな速くできるMSとかも全然まともに作れない」って言ってて驚いた -- 名無しさん (2015-07-26 01:44:43)
- 60分の耐久レースとかになると、X系やスーパー2がいいんかな?ミッドシップやARは重くて電池の消費が激しそうだし、VSはシャーシが消耗しそうだし -- 名無しさん (2015-10-18 23:09:26)
- FM系列の改良版はまだ出ないの?ブロッケンGやガンブラスターXTOのリメイクが出たっていいじゃないか。 -- 名無しさん (2016-04-02 01:49:15)
- トラッキンシャーシェ・・・。タイプ3の改修型?で、ボディを前後ではなくサイドで固定するのと、リヤステーを標準装備(取外し不可)しているのが特徴。リヤステーは根元が頑丈+中央部に穴があるので補強はある程度しやすい。サニーシャトルとジョリージョーカーの2車種しかないのでかなり空気。使うなら4:1コンペティションギヤが欲しい。 -- 名無しさん (2016-10-02 19:37:15)
- TZ-Xの評価が記事内で矛盾しているが結局どっちなんだ…?悪くないシャーシなのは分かるんだが -- 名無しさん (2016-10-15 23:05:11)
- 新設計、改良型とかなかなかでないね -- 名無しさん (2016-10-16 00:37:35)
- ↑↑頑張ればどうにかなるけどAR改造してたほうがよっぽど楽 -- 名無しさん (2016-10-21 23:24:32)
- TZまでのカウンターギヤとモーターマウントをユニット化してシャーシ本体と分割する方式はXやVSみたいな一体型方式に比べてやっぱり駆動系の精度が落ちるんかな? -- 名無しさん (2016-11-21 05:03:17)
- 新型マグナムFM-A採用なのかよ なんか違和感あるな -- 名無しさん (2017-09-18 18:51:33)
- ↑↑選別必須だけどんなこたーない 仮にそうだとしたらS1がフラットでトップシェアであることに説明ができない -- 名無しさん (2017-11-05 22:18:29)
- MSのフレシキブル化改造て、ほぼドラゴンシャーシだよな…やっぱこした先生すげーわ -- 名無しさん (2018-01-31 12:51:16)
- 個人的にMSやARはサイドガードを廃止した上に、リヤステーがボディーと一体になってるから、あんまり好きじゃない(ほぼ同時期に登場したS2はリヤステーの取り外しは出来るのに)。 -- 名無しさん (2018-06-14 18:35:23)
- VSシャーシって当時のレベルだとインフレどころかオーパーツクラスだったのかねぇ -- 名無しさん (2019-01-09 19:25:39)
- 両軸で復帰したあとスーパー2触ると「これだよこれ」ってなった。思い出のせいか愛着すごい -- 名無しさん (2019-06-03 20:56:48)
- VZのフロントバンパーがかなり気になる。ビス式なのか? -- 名無しさん (2019-10-09 09:18:51)
- NEO-VQSの発売延期に伴ってVZシャーシと専用パーツも発売延期になってしまった。理由は分からないがコロナウイルス絡みだろうな、仕方無い -- 名無しさん (2020-03-07 11:01:26)
- ↑2 VZのフロントバンパーは二本のビスで固定するタイプだった。(根元ではなく両端を固定 -- 名無しさん (2020-08-13 14:07:50)
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