登録日:2009/05/26 Tue 21:45:55
更新日:2023/11/20 Mon 11:00:16NEW!
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mtg 切札勝舞 邪藩牛次郎 クリーチャー 種族 ドミナリア ラース サバイバー 群れ 化け物 キーワード能力 強化 牛次郎 デュエル・マスターズ 種族デッキ 共有 増える 群れる おっかない sliver_queen brood_mother サバイバー ←の元ネタ スリヴァー 裂片 シャンダラー 全体主義 全体 クリーチャータイプ 厄介 時のらせん 5色カード
スリヴァーがどれだけ変化しようとも、その集まることによる強さは変わることがない。
マジック:ザ・ギャザリングにおける種族の一つ。
マジックにおいては最も分かりやすい「種族デッキ用」種族である。
筋肉スリヴァー/Muscle Sliver (1)(緑)
全てのスリヴァーは+1/+1の修正を受ける。
1/1
ハートのスリヴァー/Heart Sliver (1)(赤)
全てのスリヴァーは速攻を持つ。
1/1
Fury Sliver / 憤怒スリヴァー (5)(赤)
クリーチャー — スリヴァー(Sliver)
すべてのスリヴァー(Sliver)・クリーチャーは二段攻撃を持つ。
3/3
有翼スリヴァー/Winged Sliver (1)(青)
全てのスリヴァーは飛行を持つ。
1/1
上記カードの通り、スリヴァーは基本的に自身の能力を全てのスリヴァーにも与える、つまりスリヴァー同士で能力を共有するという特性を持っている。
つまり、様々な効果のスリヴァーを並べれば並べるほど、全てのスリヴァーは強化され、能力を持ち、破壊されにくくもなる。
この「頭数を並べるととんでもなく強くなる」という点がミソ。上記のスリヴァー4体が戦場に並べば、すべてのスリヴァーが
「本来のスタッツに+1/+1、速攻、二段攻撃、飛行」
となって襲い掛かってくる。
また、スリヴァーが持つ能力は累積することがある。たとえば《筋肉スリヴァー》が3体並んでいると、戦場に4/4が3体並ぶことになる。
2マナで4/4なんて展開されちゃたまったもんじゃないし、その隣にうっかり《有翼スリヴァー》なんて並んじゃったら、その有翼まで4/4になり、すべてのスリヴァーが飛行を得る。
スリヴァーが持つ能力は戦闘面だけにとどまらない。
Poultice Sliver / 湿布スリヴァー (2)(白)
クリーチャー — スリヴァー(Sliver)
すべてのスリヴァー(Sliver)は「(2),(T):スリヴァー1つを対象とし、それを再生する。」を持つ。
2/2
Gemhide Sliver / 宝革スリヴァー (1)(緑)
クリーチャー — スリヴァー(Sliver)
すべてのスリヴァー(Sliver)は「(T):好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ。
1/1
Darkheart Sliver / 暗心スリヴァー (黒)(緑)
クリーチャー — スリヴァー(Sliver)
すべてのスリヴァー(Sliver)は「このパーマネントを生け贄に捧げる:あなたは3点のライフを得る。」を持つ。
2/2
など、様々な能力を共有することができる。うまいこと盤面を整えることができれば、多種多様な戦略を取れる。これがスリヴァーの利点だ。
ただし弱点も非常に多い。その弱点の根っことなっているのが
「すべてのクリーチャーが能力を共有できる」というデザインの前提上、「強化+α」ができるスリヴァーがほとんどいない
という点。
例えばゴブリンには+1/+1修正+速攻の《ゴブリンの酋長》、エルフには+1/+1修正+大量マナ生産の《エルフの大ドルイド》がいてこれが戦略の要となっているが、
スリヴァーはこれだけアホみたいに数がいるのに複数の能力を一度に付与できるものがほとんどいない。
それを多色にまたがった多彩な能力を持つスリヴァーを複数展開することで補うというデザインなのだが、そうするとどうしても多色にまたがってしまうので土地を攻められると弱いのはもちろん、引きムラも起こしやすい。
そして複数展開すれば全体除去で一気に戦線を崩されるし、そもそも戦場で要になっているスリヴァーを単体除去で狙い撃ちされて一気に戦力がガタ落ちしたりする。
もちろんこれらはすべての部族デッキに共通する弱点である。
しかしエルフやゴブリンなどの普通の部族は1~2色程度でまとまるため、引きムラをデッキ構築の段階で対策できるし爆発力も高い。
あるいは人間やスピリットのように取れる戦略の幅が広かったり、そもそもシステム的に強かったりすることが多い。
スリヴァーにはそういう利点がない。できることは能力の多様性で勝負をかけることだけで、どうしても器用貧乏感がある。
何より最悪なのが、《サーボの命令》で一度絶滅しやがったのにのこのことしゃしゃり出てきたマーフォークの存在である。
「2マナの全体強化(+1/+1修正)による戦線強化という戦法が共通している上に島渡りまで付与でき、《広がりゆく海》と組み合わせれば相手に土地事故を起こさせた上に全体アンブロッカブルまでつく」
「ほぼ単色なので色事故を起こしにくい*1」
「強いマーフォークが全体的に軽い」
「レガシーでは青が濃くなるので《目くらまし》や《意志の力》を入れやすく、カウンタースリヴァー戦略をさらに高い次元で行えてしまう」
「土地が安く済む」
「いろんな次元で登場するので割とコンスタントに強化してもらえる」
「伝説のクリーチャーに女性キャラが多い」
など、様々な点で事実上の上位互換として君臨していた。目の上のたんこぶである。一時期はこのマーフォークの下位互換呼ばわりされていた*2。
とはいえむやみにマーフォークと違ったアプローチを狙うと、デッキが全体的にもっさりしてむしろ弱体化してしまう。そして多色地形をそろえるのにはスリヴァーを集めるよりも金がかかる。
スリヴァーもスリヴァーで、ショップ側からすれば需要があるので値段を盛りやすい……つまりちょっぴり高くつく。
分かりやすい理念とロマンを持つが、スリヴァーを使うというのは結構ハードな道である。
テンペスト~時のらせん期のスリヴァーは、能力を全体に共有していた。
これはスリヴァーに限らず昔のMTGの全体強化能力の特徴であり、理屈としては「ゴブリンの王が戦場にいればゴブリンは敵も味方もテンションあがんだろ、なんで片方だけ強くなるんだ」みたいな感じらしい。
そのためスリヴァー同士のミラーマッチが起こると互いにものすごく神経を使う。たとえば強化系のスリヴァーは大半が意味がなくなってしまう。互いに先制攻撃や飛行を持つので利点がなくなる。
- 1/+1修正や二段攻撃なども意味がないように見えるが、これは相手のスリヴァーを素通しするときのダメージが増える。
変な能力を共有させるスリヴァーの場合、うっかり出すとそのスリヴァーの能力をさんざん使われるという利敵行為になることがある。《宝革スリヴァー》を出したら相手がスリヴァーをたくさん使って非スリヴァー呪文を唱えてきた、なんてのが一番最悪。
スリヴァー同士のミラーマッチなんてなかなか起こらないし……と思いがちだが、主にこれが問題になるのがリミテッド。大半のプレイヤーはスリヴァー算に不慣れなので何かしらの見落としを起こし、それを相手につけこまれる。
また、時のらせん期のスタンダードは後半に「多相」というすべてのクリーチャー・タイプとして扱うカードが登場し、トーナメントシーンでも数種類見受けられたのだが、
その多相がこちらのスリヴァーの強化を全部受けてしまう。《カメレオンの巨像》《変わり谷》あたりが強化されてしまうというのは看過できる弱点ではなかった。
この時点までは「ファンは多いが所詮は二線級」というのがほとんどのプレイヤーの認識だった。特にローウィンでマーフォークが追加されたことでデッキが成立するようになると、
スリヴァーの中で最も実用的だった「カウンタースリヴァー」戦略すらマーフォークの下位互換と扱われるようになったのだった。
その8年後くらいに「基本セット2014」で、何の前触れもなくまさかの再登場を果たす。
しかもとんがり顔とかぎ爪のいかにもクリーチャー然としたものではなく、映画「プレデター」に出てきそうな人型を模したモンスターになって登場だ。
捕食スリヴァー/Predatory Sliver (1)(緑)
あなたがコントロールするスリヴァーは+1/+1の修整を受ける。
1/1
風乗りスリヴァー/Galerider Sliver (青)
あなたがコントロールするスリヴァーは飛行を持つ。
1/1
基本セット2014当時の話をすると、スリヴァーが最後に登場したのは「時のらせん」ブロックである。つまり当時から数えても8年ほど前だった。
一方でクリーチャーの性能が大きくインフレを始めるのが「ローウィン」ブロックであり、ローウィン以降もクリーチャーは進歩を続けていた。スリヴァーは完全に置いてけぼりを食らっていたのである。
その後に広くなりすぎたレガシーとスタンダードの差を埋めるために、モダンという新しい環境が設定される。しかし当時のスリヴァーはまともに組む理由が少ない部族だった。
なにせモダンには《ハートのスリヴァー》も《有翼スリヴァー》も《筋肉スリヴァー》もいない上に、古い基準で作られていたスリヴァーはローウィン以降の精鋭たちを相手取って戦うにはあまりにも力不足だったのだ。
もちろんそんな折にもスリヴァーを組む物好きなプレイヤーも多かったのだが、当時は頭数をそろえるために2マナのクローンこと《幻影の像》を入れたり、全体強化と再生による除去耐性を付与できる《菅草スリヴァー》を使うために赤と黒(それも沼カウントを多めに)をタッチしながら白の《筋力スリヴァー》を入れたりと、
いくら《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》があるとはいえ、かなり無理のあるマナ基盤から様々な色のクリーチャーを展開しなければならなかった。当然色事故もよく起こすので、もっさりした速度のデッキがさらにもっさりする。
しかし基本セット2014、ラヴニカへの回帰直後のこのエキスパンションでは、スリヴァーは外見ともども見違えるような強化を遂げていたのだ。
これまでのスリヴァーとの最大の違いは、基本セット2014以降のスリヴァーは「相手のスリヴァーに補正を与えない」という点。
これまでは「相手に補正を与える」点が厄介で、上述のようにスリヴァーのミラーマッチや多相を持つクリーチャーとの遭遇率が高い環境だとむしろ利敵行為で自分の首を絞めることがあったのだが、
以降のスリヴァーはそういうことを一切気にせず、自分のペースで堂々と展開することができるのである。
しかしぶっちゃけ問題はそこじゃない。むしろこちらの方が大事で、クリーチャーの性能が時世に合わせて大幅に強化された。
1マナの《風乗りスリヴァー》《マナ編みスリヴァー》は、2マナの《有翼スリヴァー》《宝革スリヴァー》の上位互換、《骨鎌スリヴァー》も同じ能力の《憤怒スリヴァー》より2マナも軽くなっており、クリーチャーの質の向上がうかがえる。
しかもこれまでのスリヴァー(特に「時のらせん」期)に多かった「コストを払って自分を生け贄にして何かをする能力」ではなく、部族デッキの基本戦術となる「戦闘」に非常に特化している。
スタンダード環境ではスリヴァーの頭数こそ少なめだった*3が、ショックランドを主軸にしたがっちりとしたマナ基盤に加えて
強めのロード能力に絞って戦うスリヴァーは、当時のスタンダードでたびたび見受けられた*4。
まさに少数精鋭だったのである。
その1年後の基本セット2015では、最後の仕上げとばかりに各色1種類ずつのスリヴァーと、シャンダラーのスリヴァーの長《巣主スリヴァー》、そして何より待望のスリヴァー5色土地《スリヴァーの巣》を得て、最後の3ヶ月の輝きを楽しく過ごしたのだった。
なおM14組が去った後のスタンダードではデッキが成立するわけがなく、基本セット2015を買って《巣主スリヴァー》が当たって悶絶するなど、ハズレア枠として君臨し以前よりはるかに恐れられた。
タルキール以降はスリヴァー自体は追加されなかったものの、スリヴァーデッキ自体ははタルキール龍紀伝の《集合した中隊》のおかげでインスタントタイミングでのスリヴァーの展開が可能になったことなど、登場していないくせに大きな強化を得たことでJFF部屋やトナプラ部屋などで人気を博していた。
さらにニコニコ動画でスリヴァー動画を主軸に投稿する人が数人出てくる、人気を博しているあるジョニーが《巣石》というカスレアを用いたスリヴァーデッキを開発するなど、スリヴァー界隈は地味ながら着実な盛り上がりを見せていた。
そしてモダンホライゾンでスリヴァーは新顔を引っ提げてなんと13種類も登場。デザインは人型のものから昔のとんがり顔に戻った。
これはドミナリアのスリヴァーを指しており、フレーバー・テキストにはルカルメル博士の日誌が再登場している。*5
クリーチャーの質はモダン基準、当然能力共有は自分のみ。たった2マナで飛行と速攻を共有する《斬雲スリヴァー》や墓地のスリヴァーを1ターンだけ再利用できる《屑肉スリヴァー》など、モダンだから別にいいだろと言わんばかりのやりたい放題っぷりである。
主にこの2種類が戦力としてカウントされており、モダンやレガシーなどでよく見かける顔になっている。
また、人型のスリヴァーもいくつか存在している 新規の多相クリーチャーも登場。特に除去耐性を与える《不確定な船乗り》は様々な部族デッキで活躍しており、スリヴァーも例外ではない。
白の《筋力スリヴァー》と青の《風乗りスリヴァー》のおかげで簡単に入れることができる。名誉スリヴァー。
しかしモダンホライゾンと言えば《アーカムの天測儀》《甦る死滅都市、ホガーク》《レンと6番》などで環境が様変わりしてしまったエキスパンションである。
モダンホライゾン前後といえば「灯争大戦」「基本セット2020」、その後の「エルドレインの王権」から続くスタン・パイオニア禁止カード≒他環境でも当然強いカードのラッシュなど、環境が一気にインフレを起こした時期である。
そもそも《集合した中隊》で強化されているのは別にスリヴァーに限った話ではなく、緑が絡むほぼすべての部族デッキや、「カンパニー」と呼ばれるデッキなどもそうだった。
当然それらのデッキのほうが中隊をうまく使える。スリヴァーは相対的に見て力不足になってしまい、しかも強化のペースがかなりゆっくりとしている。
いろんな環境の禁止カードの同窓会*6である4Cオムナスのようなデッキを相手に、はたしてスリヴァーのような部族がわずかでも利をもって立ち回れるか……。
といっても、今のスリヴァーも十分強い。
あんまり強くなって憎悪されるのもスリヴァーらしくないし、強くなりすぎてスパイク系のプレイヤーが使うようになってヘイトをためて一番悲しむのはスリヴァーの愛好家だし、こんなところが落としどころなのだろう。
スリヴァーの女王やスリヴァー軍団等、伝説のスリヴァーは5色にまたがっている。
スリヴァーの女王/Sliver Queen (白)(青)(黒)(赤)(緑)
(2):無色の1/1スリヴァー・トークンを1体戦場に出す。
7/7
スリヴァーの首領/Sliver Overlord (白)(青)(黒)(赤)(緑)
(3):ライブラリーからスリヴァーを1枚探し、あなたの手札に加える。
(3):スリヴァー1つを対象とし、そのコントロールを得る。(この効果は永続する。)
7/7
スリヴァー軍団/Sliver Legion (白)(青)(黒)(赤)(緑)
すべてのスリヴァーは、戦場に出ている他のスリヴァー1つにつき+1/+1の修整を受ける。
7/7
流石に全色にまたがるスリヴァーの親玉、といった所か。
ちなみに5色カードの数は少なく、全て合わせて20枚しかない。そのうち3枚がスリヴァーである。
特にスリヴァーの女王は実質初の5色カードだったので、いまだに高い人気を誇る。
ちなみに「スリヴァー/Sliver」とは、「裂片」という意味。
「全体」のうちのひとかけら、ということだろう。
デッキ一例
- カウンタースリヴァー
通称「カンスリ」。新潟の唐辛子調味料(かんずり)は関係がない
その名の通り、スリヴァーウィニー+カウンター呪文。分かりやすい例なのだが、実は部族デッキというのは昔からこのアプローチをとるものが結構強い。カウンターレベルやらマーフォークやらスピリットやら。
レガシーにも根強い愛好家が存在する。青の優秀なスリヴァーには《風乗りスリヴァー》《水晶スリヴァー》《熱狂スリヴァー》《冬眠スリヴァー》《拡散スリヴァー》《名誉スリヴァー不確定な船乗り》などが存在する。
《意志の力》のコストにあてがえるこれらを《斬雲スリヴァー》《筋肉スリヴァー》などで強化して手早く殴っていく。青のスリヴァーは除去耐性として優秀な能力をいくつも持っているので、うまいことハマれば強い。
同じような戦術がマーフォークでもできるのでは?とか言っちゃいけない*7。
- スリヴィングデス
基本的には防御気味のスリヴァービートダウン。
ここで何気なくハートのスリヴァーを出しておくのがキー。
除去呪文や殴り負けてかなりのスリヴァーが墓地に逝ったら、「生ける屍」をキャスト。
墓地のスリヴァーを《死せる生》であらかた蘇生して、《ハートのスリヴァー》で速攻を付与して殴るというデッキ。
全体除去に対して《死せる生》という二段構えを取れる点が強力。
墓地対策が今よりはるかに弱かった時代だったことや、スリヴァーを何としてでも使ってやりたいという熱意が生み出したデッキである。
- ハルクフラッシュ
「あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストの合計が6以下になるようにクリーチャー・カードを望む枚数探し、それらを戦場に出す」という能力を持つ《変幻の大男》(ハルク)というカードを使ったコンボデッキ。
緑の1マナの《悪性スリヴァー》4体に赤の2マナの《ハートのスリヴァー》1体を戦場に出す。《悪性スリヴァー》は戦闘ダメージを与えるたびに相手に毒カウンターを1つ乗せる「有毒1」という能力を持っている。
これがすべてのスリヴァーに4つ分与えられる。そして《ハートのスリヴァー》で速攻が付く。1体でも攻撃が通れば毒カウンターが4つ乗るので、3体攻撃を通すと死ぬ。
よく毒カウンターの話で話題になるもの。当時毒カウンターと言えば「過去の失敗ルール」のひとつで、毒カウンターで勝つだなんてファンデッキのすることだという認識だった。そんな中で即死コンボのパーツとはいえ、スリヴァーが毒カウンターを引っ提げてきたのである。
レガシーはともかくヴィンテージでこのギミックが見受けられたこと、しかもスリヴァーで毒という華々しさからよく話題になったものである。おりしも《タルモゴイフ》《蒸気打ちの親分》、契約サイクルなど派手な話題が多い時期ってこともある。
これ別にスリヴァーじゃなくてもいいんじゃないか、と疑問になるが、実はこれは当時のヴィンテージのメタを見据えたもの。
《悪性スリヴァー》は手札に来ても素出しが容易で、さらにこのギミックは《真髄の針》が効かない。つまり以前のハルクフラッシュで使われていた《鏡割りのキキジキ》による大量トークンよりも通しやすかったのである。
レガシーやヴィンテージで活躍したギミックだが、ハルクフラッシュのパーツに規制がかかったので見ることはなくなった。
- つがいスリヴァー
《野生のつがい》の能力に注目し、ライブラリーからスリヴァーを追加で展開していくギミックを搭載したスリヴァー。時のらせん期に成立した。
スリヴァーはサイズがある程度そろっているため、スリヴァーを出して《野生のつがい》で追加展開すれば能力が2つ分共有できる。
また、2マナ2/2瞬速で「クリーチャーを1体手札に戻す」という能力を持つ《白たてがみのライオン》を使うと、ライオン自身を戻すことで任意のタイミングでのスリヴァーサーチが可能になる。
《野生のつがい》自体は6マナとかなり重いが《宝革スリヴァー》や当時の二色地形である貯蔵ランドの力をもってすれば唱えることもたやすい。
- モダンのスリヴァー
変わったことを考えない、ごくごくオーソドックスなビートダウンになる。一時期はロード能力を持つスリヴァーを片っ端からたたきつけていくアプローチが多かった。
今では《菅草スリヴァー》が抜けて、代わりに《血吸いスリヴァー》などのさらに攻撃的なスリヴァーを入れて速度を徹底的に上げた型が主流である。むしろそうじゃないと速度に追いつけない。
最近では除去に耐性を持たせるために《熱狂スリヴァー》を採用するアプローチがある。コイントスに勝てばターン終了時まで追放される能力を持つので単体除去はもちろん、憎い全体除去にも確率で耐性がつく(あと相手がめっちゃ嫌がる)上に《集合した中隊》から引っ張ってこれる。よくこんなもん思い付いたな……。
- Pauperスリヴァー
主に緑を主軸に筋肉・捕食、白を加えて筋力の「12筋肉」にして並べて殴る型が主流のようだ。2マナのスリヴァーを雑に並べるだけでどんどんサイズが上がっていく。
ここに「攻撃するたびに相手のクリーチャーをアンタップして無理やり自分をブロックさせる」という能力(挑発)を持つ《狩人スリヴァー》なども足してクリーチャー戦を徹底的に制圧していく。
しかしどう頑張っても攻め筋が単調になる上、一匹一匹を着実に潰されると弱い。環境の中に一定数存在する黒単除去コンなどには弱くなる。
しかし一方で《暴走の先導》《紆余曲折》といった強烈な手札補強カードを持っており、リカバリー自体はたやすい。駆け引きの軸はそれを打たせてもらえるか、そしてそれが間に合うかだ。
また、この環境ならではのギミックとして赤を加えて3マナでスリヴァーをサーチできる《誘導スリヴァー》、威迫を与える《双頭スリヴァー》、上述の《狩人スリヴァー》を用いた赤緑スリヴァーというものもある。
上述の狩人のブロック強制能力で、スリヴァーがそれぞれ別のクリーチャーを挑発する。
これが「2体でしかブロックできない」双頭の能力と組み合わさると、
「じゃあそのクリーチャーでスリヴァーブロックしてね。ところで2体でしかブロックできないんだけどどうやってブロックするの?他のクリーチャーは別のスリヴァーブロックしてもらうから無理だよね。ブロックが不正なので素通りします」
という理屈で確実なブロック不可が成立するというわけ。もはやバグみたいな挙動である。
他の回避能力を与えるスリヴァーがレアなことや、モダンでは《狩人スリヴァー》が使用できずレガシーではこんなギミックを使う意味や暇がないことから、事実上Pauper独自のギミックと扱われる。
ちなみに使用者的には、搦め手こそあるが重くてもっさりしてるので、こんなもん使わないで1~2マナのカードを叩きつけていく12筋肉のほうが強いらしい。
- 統率者スリヴァー
スリヴァーの花形と言えば、普通の環境よりむしろ統率者だろう。カジュアル環境の統率者では、なんと5色スリヴァーが6種類*8も存在しているという素晴らしい多様性。
しかもそれらに強烈な個性がついているので、それに合わせてちょっとカスタマイズするだけでプレイ感が結構変わってくる。
大体人気なのが、2マナでトークンを生み出す《スリヴァーの女王》と続唱を持たせる《初祖スリヴァー》。
逆にあんまり人気がないのが、破壊不能を与えるだけの《巣主スリヴァー》や相手のスリヴァーを奪うだけの《スリヴァーの首領》。
なんか奇天烈なコンボを組むもよし、普通にスリヴァーを並べていくもよし、単なるカラーマーカーにするもよし*9。
揃えておくと色々遊べるすごいやつ。そしてスリヴァーあんまり使ってないと後でEDH論のお気持ち表明されるやつ
ストーリー概要
目のない尖った頭、一本の鉤爪、そして蛇のような身体を持つ。彼らは堅固な群れを成すというメカニズム的独自性を持ち、それは忠実に守られ続けている(外部リンク)
集合意識を持ち、集団で活動する種族。
各個体はそれぞれ異なった性質を持つが、近くにいるスリヴァー同士は性質を分かち合う事ができる。
雌雄同体で女王や首領といった上位個体が存在。
初登場はテンペストブロック。
ラースに生息する生物で、その数5千余り。女王に従っている。
ラースがドミナリアに被覆した際、スリヴァー達は火山の中心へと転移してしまい壊滅してしまう。
次に登場したのは100年後のオンスロートブロック。
激浪計画の魔術師達がスリヴァーの化石を発見し、蘇らせることに成功。新種も育成されていく…のだが、お約束通り制御しきれず暴走。この頃の上位個体は首領なのだが、誕生の経緯は突然変異説と人工的に作られた説があってはっきりしない。最終的にはミラーリの爆発に巻き込まれて多数が死亡。
3度目の登場はさらに200年程度が経過した時のらせんブロック。
時のらせんでの出来事によりラースが「被覆」したためドミナリア次元に出現するようになった。
この頃にはまたも大群となっている。フレイアリーズがスカイシュラウドの裂け目を塞いだ際に全滅した。
フレーバー・テキストにはスリヴァーを観察する学者、ルカルメル先生の補足もあり、彼らの生態を知ることができる。
基本セット2014で4度目の登場。
- 舞台となる次元がシャンダラー
- 二足歩行で人型
- 能力が自軍限定
と従来のスリヴァーとは一線を画す存在となっている。
項目冒頭のフレーバーテキストは同セットにおける筋肉スリヴァー的存在である「捕食スリヴァー」のものである。
今回のスリヴァーは「茨投スリヴァー」が裂片のようなもので攻撃したことから「スリヴァー」と名付けたことになっており、以前と全く異なる存在である可能性も高い。その割にはお互いのスリヴァーが効果を与え合うが。
基本セット2015でもシャンダラーのスリヴァーが登場。
とはいえ今回は枚数が少なく、デッキを組むにはやや心もとない。
2014で大幅に変わったデザインもそのままであり、特に「拡散スリヴァー」は明らかに人間の女性のような姿であり、以前のスリヴァーを知ってるとかなり驚くデザインである。
モダンホライズンで6度目の登場。
ラースかドミナリアのスリヴァーなのか、デザインは時のらせん以前のものに戻されているが、自軍にのみ効果を与えるようになっている。
辞篭スリヴァーは、全てのスリヴァーに「(0):この項目を覚えている限りの知識で追記・修正してもよい」の能力を与える。
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▷ コメント欄
- M14で超強化を受けてたよね、ゴブにもなんか来ないかな -- 名無しさん (2013-09-05 18:28:14)
- ↑最近の部族カードに合わせて、自軍のみ強化になったからな。しかし何故か人型になったのが古くからのユーザーには不評でもあるみたい -- 名無しさん (2014-01-16 05:31:45)
- 勝ちゃんの相棒だったよねえ。なぜMtG路線のままいかなんだ…… -- 名無しさん (2014-02-03 22:19:05)
- 文句言ってるのは古くからのユーザーというよりか騒ぎたいだけな人が多いけどな。スリヴァー使いにとっては強化が嬉しかったからってのも有るけど、あのフレーバーテキストですべてを許した -- 名無しさん (2014-02-04 00:15:05)
- 大まかな設定とかストーリー書き足した方が良いかな? -- 名無しさん (2014-03-02 15:08:28)
- ↑他のMTGの項目にもストーリーの説明はあるから、アリだと思うよ。テンペスト期、オンスロート期、時のらせん期みたいに分けて説明するとか -- 名無しさん (2014-03-02 21:27:47)
- 集団で襲いくる感じはやっぱエイリアンとか、SFパニックがモチーフなんだろうか -- 名無しさん (2014-03-03 11:08:29)
- ↑なんかのゲームに出てくる種族がモチーフだったと記憶 -- 名無しさん (2014-03-03 11:10:21)
- 勝ちゃんもDMでサバイバー使えば良かったのに -- 名無しさん (2014-04-12 13:33:50)
- ↑あの頃はマジックの存在は無かった事になってたからなぁ。 -- 名無しさん (2014-06-26 00:27:22)
- スリヴァー使ってはいるけど、ぶっちゃけステロイドだしな -- 名無しさん (2014-06-26 00:32:39)
- 遂に破壊不能が来て憎い全体除去に耐性ができるぞ! -- 名無しさん (2014-07-08 02:44:35)
- 倍増の季節を二枚張られた上にマナ編みスリヴァーと女王と首領が並んだ時は泣きたくなった -- 名無しさん (2014-10-27 10:53:35)
- こいつらいっつも全滅してんな。学習しろよ… -- 名無しさん (2015-08-29 11:17:14)
- ↑次元が崩壊したり混ざったりするレベルの災害をどう学習しろと? -- 名無しさん (2018-08-10 06:58:58)
- 集まれば指数関数的に強くなるっていうことは大部分が吹っ飛ばされれば指数関数的に弱くなるってことだからねぇ。ゲームメカニズム的にも全体除去には弱いし、ぴったりっちゃぴったり -- 名無しさん (2018-08-10 11:06:34)
- 新規スリヴァーキター -- 名無しさん (2019-05-26 16:58:48)
#comment
*2 主にモダンやレガシーの話。
*3 ラヴニカやテーロスにスリヴァーや多相がいないため。
*4 ちょうどラヴニカへの回帰期はMTGのカジュアル勢が増え始めた頃だった。言い方は悪くなるが、一時期の意識高い系ゲームからカジュアル方面に売り方がシフトして、それがマッチした形だったのだろう。「統率者戦」セットが毎年売られるようになったのもこの年からだ。
*5 スリヴァーのデザインが元に戻ったのはモダンホライゾンが懐古ブロックということもさることながら、シャンダラーの人型スリヴァーのデザイナーがお亡くなりになっていたことも少なからず関係していると言われている。
*6 端的に言うとスタンダードからオムナス、パイオニアからフェッチ、元モダンから神ジェイス、レガシーからレン6。
*7 昔はレガシー民の間で「マーフォークの下位互換」ネタでよくいじったものである。アニヲタが大好きな黒スレ民もこういうネタを好んでいた。
*8 多相の《限りないもの、モロフォン》を含む
*9 ちなみにガチ環境だと5色のカラーマーカーなんて出したとたんにヘイト値爆上がり。
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