登録日:2011/10/15(土) 21:24:48
更新日:2023/10/20 Fri 12:45:13NEW!
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小説 ライトノベル レギオスシリーズ 外伝 雨木シュウスケ 鋼殻のレギオス 富士見ファンタジア文庫 レジェンド・オブ・レギオス アニメでは意味不明
LEGEND of REGIOS
雨木シュウスケ著の小説作品。
『リグザリオ洗礼』
『イグナシス覚醒』
『レギオス顕現』
の全3巻が刊行されている。
著者の別作品『鋼殻のレギオス』の遥か過去を描いた物語。
作風としては都市を牛耳るギャングとの抗争などダーティーかつバイオレンスな雰囲気が漂い、やや硬めに仕上げられたテキストが印象的。
世界観も『鋼殻』とは全くと言って良いほどに別物。
しかし話が進むに連れて『鋼殻』との繋がりが見え始め、最後まで読むと後の世界を構築する要素――
荒廃した大地
大気に満ちる『汚染物質』
汚染物質を吸収して生き、自己繁殖する『汚染獣』
汚染物質と汚染獣から人を守る『自律移動都市(レギオス)』
武芸者の持つ『剄』と『念威能力』
――などがどのようにして生まれたかが解るだろう。
『鋼殻』の外伝作品は本作と『聖戦のレギオス(全3巻)』の2作。
それぞれ単体でも楽しめるが、作品を跨いで登場するキャラも多いので全てを読むほうが理解は進む。てゆーか、聖戦共々読まないと終盤の決戦展開が理解しきれない。
ちなみに、『聖戦』の主人公ディック(ディクセリオ・マクセイン)は3作全てに登場する忙しいヤツである。
【あらすじ】
人口増加と資源問題が致命的なまでに深刻化した、未来の地球が舞台。
人類は宇宙進出を目論むもこれに失敗し、遂に世界中を巻き込んでの資源戦争を勃発させてしまう。
そうして多くの命が失われていく中、世界から集められた科学者集団『アルケミスト』が生んだ亜空間増設技術(オーロラ・フィールド)によって人類の抱えていた問題は解消された。
それから数百年後。
世界は亜空間技術の弊害として生じたオーロラの壁で断絶され、向こう側がどういう状況にあるのかをお互いに知ることが出来なくなっていた。
ある時妹を“向こう側”に飲み込まれた青年・アイレインは、アルケミスト主導の“向こう側”の調査計画に志願する。
そしてその結果、“向こう側”に満ちるオーロラ粒子に侵食されつつもメンバー唯一の帰還者となった。
研究材料として拘留されたアイレインは、同じ境遇にある少女・サヤを連れて脱走。
直後に出会うリグザリオ夫妻と共に、サヤが安心して暮らせる手立てを求めて旅をすることとなるが……。
【用語】
■オーロラ・フィールド
過去に研究者集団『アルケミスト』が開発した物で、亜空間増設技術とも呼ばれる。
「数理上で仮定された空間を現実世界に固定化させる」……分かりにくいが、要は好きな空間、例えば豊富な資源や清浄な水脈を有する大地を無限に生み出せるというもの。
■絶縁空間/ゼロ領域
増えすぎた亜空間同士が相互干渉して生じた、あらゆる物の行き来を阻害する空間。
強引に侵入することは不可能ではないが、そうしたが最後、人も機械もまず出られない。
■絶界探査計画
絶縁空間の内部を知るために行われた調査計画。
アイレインが参加した際に戻れたのは彼一人。そして彼の帰還と共に現れた少女・サヤだけだった。
■オーロラ粒子
絶縁空間内に充満している、人の思念や潜在的な願望に反応してそのあり方を変える粒子。
人を変異させる特性も持ち、後述の『異民』生み出すとして社会的な問題になっている。
■異民
絶縁空間に生じた穴から漏れ出すオーロラ粒子の侵食を受けた人間。
高い身体能力などを身に付ける者もいるが、代償として大半が人とかけ離れた姿になってしまう。
また絶縁空間に直接飛び込み、尚且つそこからの帰還を果たした者はそうした異民とは段違いの怪物となる。
彼らはその身に“一つの世界”を内包する存在となり、そこから引き出す力で異能を発揮できるからである。
肉体的な変異の程も跳ね上がるが、アイレインとサヤは幸運にも外見に大した変化は見られない。
【主要登場人物】
○アイレイン・ガーフィート
本作の主人公。程ほどに暴力的で、程ほどに優しい飄々とした男。
絶縁空間に飲まれた妹を探して絶界探査計画に参加した結果異民となり、右目に異能を宿し凶悪な身体能力を身に付けた。一行における役割はそれを活かしてオフェンス行動、つまり暴力沙汰全般である。
異民化しているのは右目と左腕のみ。戦闘で身体活動が活発化すると、自分自身が発生させるオーロラ粒子によって“人間”の部分が侵食されてしまう。
それを防ぐためにオーロラ粒子を吸収・制御する器官をエルミに備え付けられており、器官の働きを補助する物質を含む煙草を吸っている。
『鋼殻のレギオス』では巡り巡って「彼の眼とそこに宿る力」をリーリン・マーフェスが継承し、レヴァンティンへの最期の一撃時彼の銃も彼女が手にしていたが、
その直後『聖戦のレギオス』の物語によってあえてアイレインにより倒すために世界に放たれた「炎の獣」を倒すためアイレイン本人が登場し、リーリンから戦力補給のため自分の因子を回収。
久しぶりに再会したサヤにイグナシスのあっけない最期を語りながらニーナ・アントークと共に炎の獣を倒すも、その中のディクセリオ・マクセインに反撃され退場した。
なお後日談ではその時の深い傷を癒すため、リーリンの中でサヤと二人一緒に眠っていることが明かされている。
○サヤ
アイレインが実妹・ニルフィリアを探して絶界探査計画に参加した際、絶縁空間で出会い連れ帰った少女。
ニルフィリアと全く同じ容姿を持つが、その理由は絶縁空間から出るまでの記憶が無い彼女自身にも分からない。
異民としての能力は、何者をも寄せ付けない“自分の領域”を周囲に作り出すもの。一行のディフェンス役を務める。
感情に乏しく、いつも寝てばかりいる。
○エルミ・リグザリオ
過去にオーロラ粒子に侵食されて不老となった、結成当時の『アルケミスト』の生き残りの女性。
飼い猫の額に埋めた石の中の亜空間に引きこもりつつ、ドミニオと同行する先々で亜空間増設機の故障を直して回っている。
亜空間増設機を修理できる知識を持つのは、アイレインのいる世界では彼女だけ。
ちなみに『鋼殻のレギオス』にも短編で登場しており、ヴァティ・レン(レヴァンティン)に対し盛大に皮肉に煽るような対話を仕掛けていた。
○ドミニオ・リグザリオ
各地に派遣されて治安維持を行う国家公務員『巡視官』の中年男性。エルミの夫で、こちらは普通の人間。
昔は役目に対し正義感を持つ熱血漢だったが、今では地位を利用してギャングから賄賂を受け取る子悪党に落ちぶれてしまっている。とはいえ、その気質は何だかんだで善人。
○ソーホ
当代のアルケミストの一人。
絶界探査計画の担当者だった男で、探査へ向かうアイレインらに肉体強化処置を行った。年はアイレインと近い。
精神的に揺らぎやすく内向的で、探査参加者の一人であるジャニスという女性に憧れるも殆ど話すら出来なかったヘタレである。
アイレインの脱走の5年後には、異民が起こす事件を鎮圧する部署『サイレント・マジョリティー』の主任となってアイレインの前に現れ、度々対立することとなる。
○レヴァンティン
ソーホが絶界探査計画のために開発した、『ナノセルロイド』と呼ばれる自律機動兵器。姿は女性タイプ。
その身体を構成するナノマシンはオーロラ粒子をエネルギーに転換する特性を持つため、活動する度にオーロラ粒子を生じさせる異民に対しては天敵となる。
顔の造形パターンはジャニスそのまま。ソーホの偏執が形になった物といえるが、そのせいで本機体もまたソーホの形へと執着。ある事件によってそれを予想外の方向へと利用されてしまい…。
余談だが、後に進化形の『クラウドセル』という固体が登場する。『鋼殻』の第6巻と照らし合わせると2作品の繋がりを垣間見れるかも。
後に『鋼殻のレギオス』本編にも登場。何を思ったか「ヴァティ・レン」として学生生活を送り、人々の生活や普通の女の子の恋模様に関心を示すも、
長き時の果てに「今の戦う理由」イグナシスが力尽きていた事を知ってか知らずか(聖戦のレギオスで判明)、結局グレンダンにて世界に戦いを挑む事に。
○ニルフィリア・ガーフィート
偶発的に生じた穴から絶縁空間に飲まれてしまった、アイレインの実妹。
アイレインが絶界探査計画に志願したのは彼女を助け出すためだったが、それは叶わなかった。
もはや生きて再会を果たすことは無いと思われているが……。
なお、こうした過去の割りに本人の性格がきつい唯我独尊女王様気質のため、兄への対応は昔からかなり雑なもの(穏和な表現)であった。
同じ姿のサヤといる様子を見て、サヤに敵意を抱くくらいには兄への感情はあるのだが。
○イグナシス
本作後半の黒幕。
好奇心の赴くままに世界を崩壊させる彼の目覚めと、ソーホの身体を乗っ取っての活動は、『レジェンド』の佳境への突入と、物語が『鋼殻』に繋がる転機となる。
なお本作ではエルミ同様に不老となった、初代アルケミストの一人とされるが、『聖戦のレギオス』3巻で本作の後長い封印の果てに心が限界を迎えとうの昔に息絶えていたと判明。そこで明かされたその意外な真の力と素性は…。
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