虫食い/虫食いでない(ジョジョの奇妙な冒険)

ページ名:虫食い_虫食いでない_ジョジョの奇妙な冒険_

登録日:2012/09/20 Thu 18:32:58
更新日:2023/10/13 Fri 13:22:53NEW!
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ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョ 4部 スタンド使い ネズミ 害獣 怪物 ドロドロ グロい バイオハザード ホラー 狙撃手 固定砲台 みんなのトラウマ 地球上に生きていてはいけない生物 ネズミを甘く見ると死ぬよ ラット スナイパー 遠距離攻撃 動物 虫食いでない 悪魔 化物 化け物 バケモノ ガー不攻撃 煮こごり 狩人であり獲物 地上最強のドブネズミ バックトラック 虫喰い 最強スタンド使い候補 もはや妖怪 ネズ公 ミッキー←ではない




虫食い/虫食いでない は『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』の登場人物(?)。
ネズ公だけどよぉー。『あの』ミッキーも人物っていうだろォ?つまりそーいうこったぜェーッ



【概要】

シリーズ中稀に登場する『動物のスタンド使い』。
レッド・ホット・チリ・ペッパー』の本体・音石明が、虹村形兆から奪った「」を杜王町郊外の用水路に棲んでいたネズミに使用した結果、矢が刺さったというのに生き延び、スタンド能力に目覚めた個体。


当初は一匹という情報だったが、後にスピードワゴン財団が服役中の音石に自白剤を投与して強制的に吐かせた結果、矢で射たネズミは『2匹』だった事実が浮上。
承太郎の仕掛けたビデオカメラに写っていた耳が虫食いのように欠けた個体『虫食い』、そうでない方を『虫食いでない』と呼称・分類したのが名の由来。
ちなみに『虫食いでない』という呼称が初めて判明したのは画集『JOJO-A-GOGO!』のスタンド図鑑『STANDS』の記事から。



【性質】

種類は日本に生息するネズミの中でも最大種のドブネズミ。下水や市街地などの劣悪な環境にも適応でき、よく泳ぎどこにでも住み何でも食う高いサバイバビリティを備えている。*1


性質は両者とも極めて凶悪
もともと下等生物のネズミには『食う』『寝る』『子供を産む』の三つくらいしか考えることが無いため、それらの実行のために遠慮なくスタンドを用いる。
それでいて他のスタンド使いの動物にも見られたように知能に急激な発達が見られ、特に虫食いは、

  • 本来ネズミは行うことのない『バックトラック』(同じ足跡を踏んで元来た道を戻る動き)で追跡を撒く
  • 仕掛けられた罠を持ち去り、逆に仕掛け返す
  • 自身のスタンドの撃った針を岩に当てて跳弾にする

といった前代未聞の頭脳プレーでネズミの習性を熟知した承太郎と互角以上に渡り合った。


また、複雑化した精神のもたらす宿命か、『縄張りに入るものは人間だろうが仲間のネズミだろうが皆殺し』『てめーさえ良けりゃあいい』という邪悪な意志をも獲得。
それに伴い顔つきもまるで表情があるかのように凶暴なものに変化しており、額には悪魔の顔を思わせる隆起がある。
数々の邪悪なスタンド使いを見てきた空条承太郎ですら『もはやこの地球上に存在してていい生物ではない』とまで評した危険生物である。


劇中では仲間のネズミを10数匹、肉のブロックのように溶かし固めて惨殺した*2他、人肉の味も覚えており、田園地帯の農家に住む老夫婦をスタンド攻撃で無力化、生きたまま冷蔵庫に監禁して保存食にしていた*3


この老夫婦、生きたままとは言うが手足の先や頭部などを除いて全身のほとんどをドロドロに溶かされて肉塊として2人で1つの立方体状に固められていたため、むしろ何でまだ生きているのか不思議なくらいの状態であった。
ただし、こんな状態からでも東方仗助の『クレイジー・D』の能力ならば治せるらしい。
なお、アニメではネズミの肉塊は普通に映されたが、人体は真っ黒に塗りつぶされていた(終盤の半身を溶解された承太郎はそのままだが)。
もっとも、黒い塊に老夫婦の頭と手が生えてピクピク動いている様も相当えげつない。
BD販売で修正が解除されたら、どんなグロい絵が待っているのか、見てみたいような、見たくないような……



【スタンド】

スタンド名:『ラット』
破壊力-B
スピード-C
射程距離-D
持続力-B
精密動作性-E
成長性-C


“虫食い”/“虫食いでない”のスタンド。名前の由来は同名のアメリカのLAメタルバンドから。


本体の精神に応じて、千差万別のスタンド能力の中において、完全に同型・同能力という異色のスタンド。
二匹が血縁などの近しい関係があるのか、あるいは人間と比べてごく単純な精神構造しか持ち合わせていないネズミは矢に選ばれれば全てこのスタンドを発現するのか、理由は不明。*4


『金属製のハギス』*5とでも言おうか、多脚に支えられた大きな頭部に巨大な単眼を供えた小型ロボットのような外見をしており、仗助も「ネズミが発現した割にはメカっぽい」と感想を漏らしていた。
スタンドそのものの射程距離は本体のすぐ近くにしか出せず、脚部に見えるものもスタンドをその場に固定するためのものであり移動は一切できない。



◆能力

スタンド毒の弾丸を撃ち出す


このスタンドの本当の姿は長射程の『スタンド固定砲台』であり、能力使用時はボディが大きく反転。
逆側に備え付けられたロングバレルの砲身が標的に向けられ、後側に回った単眼はターゲットスコープの役割を果たす。


そこから放たれる弾丸はあちこちから細かいトゲの生えた尖った針のような形をしており、着弾した対象を『スタンド毒』とでもいうべきもので侵し、そのものの中身を溶かして染み出させることでドロドロにしてしまう
この効果は有機物・無機物・スタンドを問わず有効であり、着弾の威力に関係なく接触しただけで即座に効果が現れるため、スタンドによるガードができず『スタープラチナ』のような極めて精密な動作が可能なスタンドで摘んで止めようとしても、触った時点でダメージを受けてしまうので意味が無い。
岩や金属のような固くてある程度の厚みがあるものに当たれば貫通はしないので跳ね返すことはできるが、その岩や金属自体も溶けていくため何度も防ぐ事はできない。
仗助はフライパンで一度防いでいるが、その一度で穴が開いてしまっている。
また、跳ね返る事を利用して跳弾を放つことも可能なので遮蔽物の後ろに隠れているからと言って安心はできない。


さらに、この針もスタンドなので、空気抵抗や引力のような通常の物理法則には影響されず、撃てば射程距離内ならどこでも真っ直ぐ飛んでいくし、リロードも必要ない。
攻撃の際は3点バーストのように一度に数発をまとめて連射してくるのが常で、5~6発被弾すれば人ひとり程度なら容易にドロドロの肉の塊にされてしまう。


おまけに本体が極めて小さく動きも素早いため、対遠距離型スタンドのセオリーである「本体を見つけて仕留める」が困難。
『ラット』の射程距離に対応できる程の遠距離にいる場合、本体を視認して位置を特定するのはまず不可能。見えるのはスタンド像だけだが、消されると即座に見失ってしまい、どこに移動したかも分からなくなる。
このネズミを仕留めるにはスタンドを使って狙撃を行った隙を突き、スタンド像を引っ込めて移動するまでの僅かな間に仕留めるしかないが、そんな僅かな間に本体の場所まで接近する事も、そもそも見えていない本体の位置を狙撃する事も不可能に近い。


近距離パワー型のスタンド使いの場合、自分のスタンドで攻撃できる間合いに入り込むことが至難であるため、
『スタンドで弾丸を弾いて飛ばす』といった間接的な攻撃手段で意表を衝くしか攻略方法が無い。
つまり実体のある弾丸が通じないスタンドであるラットでなく、本体のさらに小さい的であるネズミを撃ち抜かねばならず、その難易度は非常に高い物となっている。
総じて仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』や承太郎の『スタープラチナ』などの近距離パワー型スタンドにとっては天敵に近いスタンドである。


遠距離スナイパーというのは、基本的に近距離戦闘の多いバトル系漫画においてはジョーカー的存在であり、本来ならあまりに強すぎて勝負を成立させることすら難しい存在である。*6
ジョジョにおいても主人公格ふたりが大ダメージを受けながらようやく倒したほどであり、全作品のボスクラス以外では最も強力なスタンド使いのひとりとして最強議論にもよくその名が挙がってくる。



◆弱点・相性

『ラット』、そして“虫食い”の弱点はまず敵の攻撃に弱いこと。
針を飛ばす以外の行動がとれず防御力も無いスタンドに加えて本体も肉体的には脆弱なネズミとたとえ一発でも反撃は貰えない。
そのため離れた位置から悟られぬよう砲撃するという戦法を維持しないとならないのだが
体が小さく見つかりづらいとはいえ移動能力はネズミ程度しかないので強力な探知・追跡手段のある相手だとたちまち距離を詰められる。
肝心の射程も現実の狙撃銃のように数百メートルあったりするほどではなく、遠距離操作型のスタンドであればたやすく攻撃範囲内に入られてしまう。


また金属的な見た目と違い防御力はごく低い(存在しない?)ようでライフル弾どころかパチンコの玉でさえ防げなかった。
*7
スタープラチナのように防御力の高いスタンドであればトラックを正面から受け止めてもびくともしないが、
劇中では“虫食い”“虫食いでない”ともに発射された弾をスタンドで防御しようとする素振りすら見せなかったので、『ラット』には敵の攻撃を受け止める力自体が存在しない可能性がある。



もうひとつはゴリ押しに弱いこと。
相手を溶かせるものの一撃必殺ではなく貫通力や範囲攻撃力も無いため、あまりに大きすぎる・多過ぎる相手や撃っても溶かしても倒せないような相手には決め手に欠ける。
劇中では動物学者である承太郎がその知識とスタンドの感覚を活かした追跡を行い、二人掛かりで再生力を当てにした無理押しを行って何とか勝利した。
それ以外のスタンドでは最大の天敵が遠距離自動操縦型のスタンド、特にメローネの『ベィビィ・フェイス』になるだろう。
サンプルとなったDNAの持ち主を確実に追いつめられる追跡力を持つ上に、自らバラバラになり針の刺さった部分を投棄してさらに再生できる強力な再生能力があり
仮に完全に溶解させられてしまっても本体にはいっさいダメージフィードバックが無くDNAサンプルがある限り再生産可能と一度血などを入手されてしまったらまず“虫食い”に勝ち目はない。


一度においを覚えた相手を無数の足跡状に分裂して高速で執拗に正確に追跡する噴上裕也の『ハイウェイ・スター』(自動操縦モード)、
無数の触手を遠距離から延ばせる花京院の『ハイエロファントグリーン』、同じく無数のスタンドを遠距離から繰り出す重ちーの『ハーヴェスト』などが鬼門。


また『魔術師の赤』や『太陽』、『偉大なる死』、『ホワイト・アルバム』の様な広範囲に大破壊力を投射できるスタンドも弱点となり得る。
中遠距離からでも広範囲攻撃ができるこれらが相手では『ラット』と虫食いの「攻撃可能距離の長さ」と「小ささ故の狙いの付けにくさ」が全くアドバンテージにならず、反撃も逃げる事もままならないまま一方的に嬲り殺しにされる事態になりかねない。(針に100m以上の射程があれば『太陽』には当てられるかもしれない)
特にスタンドではなく実体の氷によって銃弾すら跳ね返す防御力を持つ『ホワイト・アルバム』の単独撃破はおそらく不可能。
例え針の毒で氷を溶かしても大気中から幾らでも、即座に壁を修復され、下手をすれば自分が撃った針をそのまま撃ち返される可能性さえある。
小さく狙いにくいと言っても、広範囲を急速に凍結させられる『ホワイト・アルバム』の前ではほぼ関係が無く、単独では逃げる外ないだろう。


尤も、攻撃範囲の広さはそのまま巻き添えになるものの多さでもあるので、劇中のような何も無い土手での戦いならばともかく、
もし舞台が人の多い街中では無関係な人間まで巻き込みかねないこれらの方法では有効に反撃できない可能性もある。


これらを相手にした場合には何とか先に本体を見つけて狙撃するしかないだろう。
そのことを把握して立ち回るセンス、あるいは野性的な本能が求められる能力だと言える。



【狩りの顛末】

スピードワゴン財団の調査でスタンドネズミの存在を知った承太郎は仗助と一緒に、そのネズミを狩りに向かう。
生物学者としての明晰な頭脳と歴戦のスタンド使いとしての卓越した行動力でその足取りを着実に追跡していく。
ちなみに仗助くんは沼に靴落としたりしてました。


途中、“虫食い”の餌場にされていた農家で生きながら“虫食いでない”に食われている老夫婦を発見、仗助が事前に渡されていたベアリングをスタンドの指弾で飛ばすことで射殺に成功する。
しかし同刻、別の部屋を調査中の承太郎が“虫食い”と交戦、スタンドネズミは2匹いたことが判明する。
ネズミは『2匹』いたッ!


さらに追跡を続行することで全周囲の見晴らしのいい草原に誘導されてしまい、狩る側と狩られる側が逆転。
『ラット』の狙撃に晒されながら追跡するという非常に不利な戦いを強いられる。
承太郎は『スタープラチナ・ザ・ワールド』で僅かではあるが狙撃されてからの対応が可能である事、仮にやられても『クレイジー・D』による治療が受けられる事から囮になる役を選び、ライフルの実弾を仗助に渡して物陰から出て行く。


『スタープラチナ』の能力で“虫食い”の針を紙一重で回避し続けるが、跳弾を足に喰らい、行動不能に陥ってしまう。
さらに“虫食い”の位置の見当をつけた仗助が放ったライフル弾も外れ、万策尽きたかと思われたが…。



実は仗助は、弾をわざと“虫食い”の隠れた岩に当てることで、用心深い虫食いが『どこから狙われたか』を確認するために身を乗り出す瞬間を狙っていたのだった。
これは「狡猾な知性を得てしまったばかりに」野生の本能を忘れてしまった、虫食い痛恨のミス*8であった。


見事プレッシャーを跳ね返した仗助の放つ会心の第二射は“虫食い”を貫き、スタンドネズミの『狩り』は終了した。



【余談】

このスタンドネズミの追跡を描いた『狩りハンティングへ行こう!』は見た目はヤンキーだけど意外と神経質で潔癖症な仗助知的で物静かな感じにはなったけど中身は依然としてタフでワイルドな承太郎の対比が非常に面白い一編。
また、平和ニッポンで自白剤や狙撃隊を用意できるSPW財団のブラックさや『スタープラチナ・ザ・ワールド』という技名が初登場など、地味に見所が多い。
“虫食い”という名は承太郎が名付けたが、仗助は一度もこの名を呼ぶことはなかった。






追記・修正はベアリング弾を離れた位置の空き缶に当ててからお願いします。


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*1 人間社会の中で生息できるネズミはハツカネズミ、クマネズミ、そしてドブネズミの3種類しかいない。
*2 仗助は「煮こごり(カレイなどのゼラチン質の多い魚を煮込んで出たゼラチンを固めたゼリー状の料理。)」に例えた
*3 描写はされてないが、鶏小屋も空っぽになっており、このニワトリ達もこいつらが「喰った」と思われる。
*4 ただ人間にネズミたちの顔が区別できないように、ネズミの視点から見れば人間およびそのスタンドも「なんか殴ってくる」程度の同じものにしか見えていない可能性もある。
*5 イギリスに生息するとされる架空の動物のこと
*6 別の漫画の「バキシリーズ」の話になるが、作中最強のキャラクターである範馬勇次郎が、ある話でスナイパーの放った麻酔弾をそのまま受け、なすすべなく再起不能になったエピソードが存在する。
*7 スタンド自体には弾丸など実体による攻撃は通じないが、弾丸などをスタンドで防ごうとした場合は受け止めた時の衝撃は本体にフィードバックされる。第三部『運命の車輪』戦で車ごと崖下に落とされた際にハイエロファントグリーンを崖上に放った花京院に対しジョセフが「身体がちぎれとぶぞ」と制止する場面がある。なので正確に本体を狙いスタンドで防がざるを得ない状況を作れば、スタンドの防御力次第では本体にダメージを与えることは可能。
*8 実際の野生動物は、遠距離から攻撃された場合にはその攻撃が何であるかなど確かめず、とにかく「その場から逃げる」ことを重視する。猫がホースで水をかけられそうになった時などを見て見れば分かるだろう。

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