星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師

ページ名:星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師

登録日:2022/05/24 Tue 23:17:10
更新日:2024/06/18 Tue 13:53:19NEW!
所要時間:約 15 分で読めます



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すべてのカービィファンに贈る、絶対的名作『星のカービィ Wii』小説!




星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』とは、2022年4月27日にKADOKAWAから出版された小説単行本。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと(※姉妹イラストレーター)
定価:1200円




概要

星のカービィシリーズのメディアミックスであるノベライズ作品により、すっかりカービィ界で名を馳せた高瀬美恵&苅野タウ・ぽとチームが贈る、カービィ30周年記念も兼ねた『星のカービィWii』のノベライズ。
従来のつばさ文庫のシリーズとは別枠扱いで、それらに比べて本のサイズは大きく漢字も多い。
巻末には、原作のゲーム開発にてディレクターを務めている熊崎信也によるコメントも収録。


キャラ付け自体はつばさカービィに近いものの、つばさの時系列では『Wii』に当たる時点では戦えないはずのワドルディがヤリを持っているなど、本作独自の世界と見るのが妥当。


全体的に原作にかなり忠実である一方で、miiverse*1などその後の展開を踏まえた内容はほぼなく、本当に『星のカービィ Wii』をノベライズした作品となっている。そのため、『WiiDX』で新判明した設定とは食い違う部分もある。



あらすじ

あくびが出るほど平和な、プププランドの昼下がり。
ショートケーキを持って仲良くピクニックをしようとしていたカービィ、デデデ大王、バンダナワドルディそしてメタナイトの目の前で、晴れた青い空を切り裂いて、突如、巨大な船が落ちてきた。
ふしぎな光につつまれた、その船の名は――ローア。
すでに滅びた超古代文明ハルカンドラが生み出した、奇跡の船。
カービィたちは、船の持ち主だという旅人マホロアに助けを求められ、墜落とともに失われてしまった、船のパーツを探すことになった。
遺跡や海の底に雪の中…そして異空間をかけめぐる、大冒険が始まる!


(裏表紙より引用)



登場人物

これ以降は一部ストーリーの核心に触れる記述があるので注意。



メインキャラ



食いしん坊で元気いっぱい。
吸い込んだ相手の能力をコピーして使える。

「よーし、競争しようよ! ぼくが一番たくさん、歯車を集めるぞ!」


お馴染みのピンクだま。普段のつばさ文庫本のカービィと大差はなく、レーズンルインズという地名を聞いて食べ物の話に脱線したり、ハルカンドラに行きたい目的の一つがハルカンドラを食べ物の楽園と勘違いしていたことだったりと言った面も健在。


ローアと同じような光を放つ敵を吸い込むことでスーパー能力に目覚める。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「ハルカンドラの火山からあふれ出るのは、スパイシーなステーキソース! 火山が噴火(ふんか)するたびに、星じゅうがデラックス・ステーキ祭りになるのだ!」


つばさカービィに比べて、わがままな部分がかなり鳴りを潜め、ゲームに近い頼もしさが存分に発揮されている。
とはいえカービィ共々ハルカンドラを食べ物の楽園だと思い込んだり、オニオンオーシャンでパーツ探しを忘れてバカンスしたりするような面も。
他の3人に比べてダメージを受ける描写が多いが、実際に原作でもデデデ大王は体が大きいためダメージを受けやすい。


デデデ大王の部下で、カービィの友だち。

「船から出ようとしたとき、だれかの声が、聞こえた気がしたんです」


つばさ本編ではカビファイ2編で初めて戦えるようになったバンダナワドルディだが、本作では最初から戦える。また、カービィプリンター事件も起こっていないので彼一人のみ。
性格はつばさから変わらず、細かいことにも気が利く。そんな性格故か、物語中盤からローアのこころの声のようなものが聞こえるようになる。


常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「これは……まさか、古代文字……?」


つばさの博識な面が目立ち、ハルカンドラの存在について知っていた。カービィたちの頭脳担当として活躍。一方でその知識欲故に危機に陥ることも。マホロアがカービィのことを以前から知っていたことが判明すると、そのことを隠して近づいてきた事に不信感を覚えるようになる。
流石につばさ版のバーサーカー気質は鳴りを潜めている


ハルカンドラからやってきたという旅人。

「プププランド?ソウ……ボク……ナントカ、逃げ切れたンダ……」


なんと、ハルカンドラで天駆ける船ローアを発見するシーンから独自解釈で描写されている。
その後、それに乗って旅をしていたが、途中でランディアに襲われてプププランドに墜落。船が壊れてしまったのでその修理をカービィ達に依頼し、直ったら故郷のハルカンドラに連れていくとの約束も交わす。


その一方で、カービィたちがいない間はカービィたちの心に語りかけるローアに悪態をついたり、カービィの評判を知りながらそのことを隠して接近していたりと徐々に怪しい面が見え隠れし始め……



「ブラボー、ブラボー。さすがは 星のカービィ。よく、ジャマなドラゴン…ランディアを たおしてクレタネェ。」


皆さんご存知の通りマホロアの真の目的はハルカンドラの守り神ランディアの守るマスタークラウンを奪い、その力で全宇宙を支配することだった。タイトルでネタバレされているなおランディア戦に際しては「マスタークラウンは自分たちが先祖代々受け継いできた」とカービィたちに更なる嘘を重ねる始末。


ローアに心があることもカービィたちに明かし、ローアを支配。黒く染まったローアと共にポップスターへ向かう。その後は、原作と同様にランディアと協力したカービィたちと激突。ローアを破壊されるとカービィたちを魔力球で叩き落とし、カービィと一騎打ち。激闘の末、頼みのリフバリアもローアの手助けでスーパー能力を得たカービィに破られた。
しかし、冠はマホロアを吸収してしまい……




マホロアとして残されていたのは、もはや行き場のない憎悪と執念だけだった。


マホロアソウル
名前こそ明言されていないが、挿絵に描かれた姿は明らかにソウル形態。
圧倒的な力で満身創痍のカービィを追い詰めるが、空間の裂け目から現れたデデデ大王、メタナイト、バンダナワドルディが参戦しリーフの能力を得たカービィは「サイゴノタタカイ」を終わらせるために立ち向かう。
ちなみに長らくスーパー能力はカービィがオリジナルなのか、それともマホロアのものなのかが不明だったが、メタナイトはカービィが能力を使う姿を見て学習し、パワーアップさせて使っているのではと考察している。
ソウル系ボスが小説に登場するのはこれが初である。



サブキャラクター



原作のクッキーカントリーにあたるシーンで登場。北の森にローアのパーツが落ちてきた事をカービィたちに伝える。カービィがいくつエナジースフィアを拾ったか勝負と言い出したことで触発され、あっという間にパーツは集まった。ウィスピーウッズはもう取り逃しがない事と、砂漠と海にパーツが落ちたことを教えてくれる。



  • ウォーターガルボ、ウィッピィ、ウォーターガルボロス

レーズンルインズに住み着いたならず者。オヤブンであるミスター・ダウターへの道を阻む。降ってきたパーツを神聖なつばさと呼んで守っていた。



  • 光るブレイドナイトのような戦士

レーズンルインズでカービィが遭遇。メタナイトにも劣らぬ剣技を持つ。カービィがコピーしてウルトラソードとなる。


  • ミスター・ダウター

遺跡のオヤブン。カービィとメタナイトが戦った。ローアのパーツを天からの恵みと思っていた。


  • ファッティバッファー

オニオンオーシャン海底の屋敷に住まう海の支配者。陸の支配者を名乗るデデデ大王と張り合い、激突する。戦い終盤のバンダナワドルディの言動は必見。


  • スフィアローパー

3つのパーツを集めてきたカービィたちにマホロアが注意喚起する中で名前が登場。エナジースフィアを好物とする。


  • 光るチリーに似た生き物

ホワイトウェハースにおり、カービィが吸い込むことでスノーボウルとなる。メタナイトは光る敵達はローアの影響で異空間からこちらの世界へ流れ込んでいると推測した。


  • ゴライアス

ホワイトウェハースの屋敷に住んでいた。


  • グランドローパー

ナッツヌーンの頂上でパーツをめぐって戦うことに。


  • ランディア

ハルカンドラに住む暴れ者のドラゴン。マホロアのローアを墜落させた。なお、この用語の流れで察しが付くだろうが、メタルジェネラルは戦う理由が不明瞭過ぎた+尺の都合なのか描写されなかった。



ランディア本人はハルカンドラの秘宝マスタークラウンを守っていただけであり、カービィたちも騙されていたと知ると、そのマスタークラウンを奪った真の敵と戦うためにカービィたちを乗せてくれる。


  • 操られた住民

グランドローパーと真の敵がスーパー能力パートで使う、ザコ敵を生み出すあの技。本作では敵に操られて虚ろな状態で召喚されたものとされている。スーパー能力持ちが出てくるのは、そこにローアの介入が入り、助けてくれているという解釈。


その他

  • ハルカンドラ

かつて栄えた超古代文明及びそれがあった星。現在では見る影もない荒れ果てた土地になっている。


  • ローア

マホロアが所有する船。ハルカンドラの地下に埋まっているのを掘り出した。異空間ロードを通って遠くまで移動できるが、プププランドに墜落した時にはパーツを失っていたためその力がなかった。物語中盤からバンダナワドルディがローアの心の声を聴けるようになるが、周りは疑心暗鬼であった。



  • 異空間ロード、アナザーディメンション

呼び名が違うだけで同一のもの。遠い宇宙を繋ぐ異空間の道。


ハルカンドラ文明の遺物。無限の力を持つといわれる。




あらすじ

核心に触れない程度に軽く紹介。


  • プロローグ

ハルカンドラの火山の地下に広がる大迷宮。そこにはローアと呼ばれる船が眠っていた。そして、それをとある魔術師が発掘して……


  • 1 彼方からの旅人マホロア

カービィたちの住むプププランドに、ローアが墜落。その乗組員マホロアは船の修復をカービィたちに依頼。かくしてパーツ探しが始まった。


  • 2 パーツを探せ!

北の森にパーツが落ちてきたらしい。カービィたちはプププランド住民と競い合うようにパーツを探す。


  • 3 冒険の始まり

ウィスピーウッズの情報でレーズンルインズとオニオンオーシャンにパーツがあると判明。前者はカービィとメタナイト、後者はデデデ大王とバンダナワドルディで向かうことに。


  • 4 ふしぎなコピー能力

レーズンルインズで光る戦士と出会ったカービィ。それを吸い込むことで、普段のコピー能力を遥かに凌駕するスーパー能力に目覚めた!


  • 5 遺跡のオヤブン

遺跡に住み着くならず者のオヤブン、ミスター・ダウターとついに遭遇したカービィとメタナイトはローアのつばさを取り戻すため戦う。


  • 6 海の底の大激戦

一方でデデデ大王とメタナイトはオニオンオーシャンに来ていた。海底のお屋敷に住まうファッティバッファーとデデデ大王が支配者同士のプライドをぶつけ合う!


  • 7 天駆ける船のこころ

パーツを3つ取り戻したカービィたち。マホロアはスフィアローパーについて注意喚起するとローアが分析した残りのパーツの場所を伝えた。次なる目的地に向かおうとしたその時、バンダナワドルディは不思議な声を聞く。


  • 8 氷と雪の館

極寒のホワイトウェハースの館で出会ったゴライアス。やはり簡単にパーツを返してくれそうになく…


  • 9 最後のパーツ

ワープスターでナッツヌーンを訪れたカービィたち。パーツを守る者が見つからず、最後のパーツを手にしようとしたその時、スフィアローパーの親玉であるグランドローパーが現れた!


  • 10 異世界ハルカンドラ

ついにパーツが揃ったローア。異空間ロードを通ってハルカンドラに到着するが、そこはカービィたちの想像とはかけ離れた過酷な星だった。


  • 11 ハルカンドラの赤き竜

ハルドラボ火山に住む暴れん坊ランディアとついに激突!マホロアの言葉通り、かなりの強敵で……


  • 12 決戦!異空間ロード

本当の悪に立ち向かい、全宇宙を守るため、カービィたちとランディアは手を結ぶ。幾多の敵を蹴散らしながら進むカービィ達の前に立ちはだかるのは黒く染まったローアだった。


  • 13 虚言の魔術師

真の敵との最後の戦い。無限の力を持つ相手に立ち向かうのはカービィたち4人の絆の力!


  • エピローグ

夢と疑ってしまうような怒涛の冒険が終わり、プププランドに帰ってきた4人。ローアとランディアにも別れを告げ、平和な日々が戻ってきた。


  • 解説「星のカービィ」シリーズ ゼネラルディレクター 熊崎信也

ゼネラルディレクターの熊崎信也から、本作の感想や『Wii』開発当時の思い出。さらには各種メディア展開に関連する話や、原作のあるつばさ文庫の作品にHAL研究所がどう関わっているかなどを語る。


  • あとがき

作者の高瀬美恵と、挿絵担当の苅野タウ・ぽとによるコメント。



追記・修正は死んだと思われたがひょっこり帰ってきてお願いします。

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  • 何気に公式だと久しぶりの出番な気がするマホロアソウル。割とソウルじゃないほうの第二形態の出番が多い印象だったからちょっとびっくりした -- 名無しさん (2022-05-25 01:39:18)
  • マホソは既プレイ勢へのファンサービスとしての登場だと思うから別枠で改めてネタバレ注意と記載した方が良いのでは -- 名無しさん (2022-05-25 06:00:53)
  • メタルジェネラルはゲーム版ではマジで「通り道の残骸がいきなり動き出して邪魔だった」程度の存在だったのか今作では不在か… -- 名無しさん (2022-05-25 10:44:35)
  • これWiiリメイクの伏線だったのだろうか -- 名無しさん (2022-09-15 00:40:03)

#comment

*1 閉鎖していたため、見れなくなっていたのもあるかもしれないが。

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