デュエルカーニバル公式戦 カヴェジvsロワス

2021年1月17日、カヴェジ選手vsロワス選手のデュエル公式戦が剣コロ本社にて行われた。

試合はネット配信され、決闘者ではないただの剣コロプレイヤーも見ているのか非常に多くの人間が注目する中、カヴェジ選手は猫背で手をぶら下げてリラックスを狙い、ロワス選手は目を閉じてただただ試合開始を待っていた。

そして、時計の針が20時を指すとついにデュエルが始まる。

今回の公式戦の目的は新たに決闘者を呼び込むということで、お互いにストラクチャーデッキを使用した戦いだ。カヴェジ選手は集団で波のように襲いかかる(専門用語ではビートダウンと言う)『シウシ傭兵団』一方のロワス選手は真逆で、『パンドラ』を中心に回していく(コントロールデッキと言う)『コーリング・アン・エンジェル』だ。

先行はカヴェジ選手。最初に引いた5枚の手札は、『退役傭兵のシウシ』『団長ゲオルグ』『鬼のスクーン』『狙い撃ち』『傭兵団』。モンスターカードがあって罠対策もできて悪くない。いやむしろ、良いドローだ。

一方ロワス選手は『誤封の契約書』『禁忌の契約書』『混沌の堕天使パンドラ』『禁忌のカケラ』『バイバイ・カウンター』。なんと殆どが魔法or罠カードであり、唯一のモンスターカードはレベル8で2枚のモンスターを生贄にしなければ出せないと言うはっきり言って手札事故を起こしていた。これにはポーカーフェイスも苦い顔。ネット配信のコメント欄では「オイオイオイ」「死ぬわアイツ」「ほう…公式戦でいきなりの手札事故ですか。たいしたものですね」と早くもロワス選手の敗北が予想された。

そしてガヴェジ選手は先行の1ターン目と言う事でドローフェイズ、またすることがないのでスタンバイフェイズを飛ばしメインフェイズへ移行すると、『退役傭兵のシウシ』を攻撃表示で通常召喚。『狙い撃ち』を伏せてターンエンド。このままでは『シウシ』と次に召喚されるであろう『カイシュ』に一方的にやられるだろう。

続いてロワス選手のターン。最初のドローは『祝宴』。魔法カードだ。ロワス選手は遠い目をした。『誤封の契約書』『禁忌の契約書』『バイバイ・カウンター』を伏せてターンエンド。

次は少し驚いた様子を見せるガヴェジ選手のターンだ。最初に『カイシュ』を引き召喚。『勇者の酒』を引いて『狙い撃ち』を発動。審判に対象は？と聞かれて「もちろん真ん中ぜー！」と元気に叫んでいた。遠い目をしているがロワス選手の逆で、自分の勝利が見えているのだろう。……だが現実は違った。彼は開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったように、壊してはいけない罠を壊してしまった。ロワス選手は手札から『カケラ』を守備表示で特殊召喚。さらに効果で『堕天兵』を引く。『カケラ』は守備力2000で現在のモンスターでは破壊できない。バトルフェイズを終了し、ロワス選手のターンが始まった。最初のドローは『契約遂行』。メインフェイズでは、まず『祝宴』を設置。続けて『契約遂行』で『混沌の禁断契約書』を引き、『堕天兵』を召喚して墓地へ送り、その効果で手札から『混沌の堕天使　パンドラ』を召喚。さらに『禁断契約書』で『カケラ』と『混沌の堕天使』の2枚の上に『戒禁-パンドラ』を特殊召喚し『祝宴』の効果でLPを500回復。そのまま『カイシュ』を攻撃し、1800ダメージを与えた。

………『戒禁-パンドラ』の攻撃力は2800。これ以上の攻撃力を持つカードはガヴェジ選手のデッキになかった。しかし、一番強い『勇者の中の勇者　シウシ』に『傭兵団』や『ツヴァイヘンダー』の装備魔法を使用すれば破壊できる。だが、それもできなかった。『戒禁』は魔法・罠・モンスターの効果を無効化し破壊する能力を持つ。その結論にたった3秒ほどでたどり着いたカヴェジ選手は、静かにデッキの上へ手を乗せた(サレンダー・降伏を意味する)。

 

試合終了後のインタビューで、カヴェジ選手は「今回の敗因は…愛が足りなかった事ぜ。もっとカードと旅行に行ったり一緒に寝たりするべきだったぜ。実際ロワス選手は初心者の頃からパンドラを愛用しててグッズも買いまくってるし部屋の色もパンドラカラーだしパンドラの抱き枕カバーにぶっか…おっと。ここからは自主規制するぜー」とコメントした。

ロワス選手のコメントは「うーん…やっぱり一枚を中心に回していくデッキは一度回ると止まりませんからね。別に『シウシ傭兵団』が弱いと言うわけではなく、お互いにモンスターを並べて戦うような場面では強いと思いますよ。」と言うものだった。