貞子(映画)

ページ名:貞子_映画_

登録日:2022/09/03(土) 18:12:48
更新日:2024/06/27 Thu 10:24:54NEW!
所要時間:約 33 分で読めます



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撮ったら死ぬ






「貞子」は2019年5月24日に公開された日本のホラー映画。
鈴木光司原作のホラー映画シリーズ・リングシリーズの通算第8作目にあたる。
原作シリーズの6作目「タイド」を原作としている。



概要

貞子3D」、「貞子3D2」、「貞子VS伽椰子」とはっちゃけたエンタメ寄りのスタンスの作品が続いてきたリングシリーズだったが、本作は「『リング』の時の衝撃を再現する」ことを掲げて原典回帰を意識、純然たるホラー映画として製作された。
監督には「リング」「リング2」「ザ・リング2」と過去作に深く関わった中田秀夫氏がカムバック。脚本には「貞子3D2」でリングシリーズを経験した杉原憲明氏が、音楽には実写版「荒川 アンダー ザ ブリッジ」等を経験した海田庄吾が担当した。


主なキャストは池田エライザ、塚本高史、清水尋也、佐藤仁美。佐藤は「リング」「リング2」で倉橋雅美を演じており本作でも同役で出演。20年ぶりに倉橋を演じることになった。
また貞子3D二作では黒幕と関わりを持つ謎の女性を演じ、「貞子VS伽椰子」では呪いのビデオが入ったビデオデッキを売っていた女性店員を演じていたおぞねせいこは本作にも出演。4度も参加したのは現時点で彼女だけで、シリーズ出演数最多の人物となった。


本作は中田氏が監督であるからか、(海外版を除いた)氏の前の参加作品である「リング2」の続編となっており、上述した通り雅美の再登場や過去作の出来事が少しばかり語られるといった描写もある。


貞子を彷彿とさせる謎の少女、貞子の呪いが蔓延る部屋で肝試し動画を撮影したことで行方不明となった弟の二つの要素を主軸にストーリーが展開する。
びっくり演出に頼り過ぎない、薄暗い状況と雰囲気でじわじわと怖がらせていくサスペンスホラーとはなっており、冒頭の不覚な描写やスマートフォンで撮影した肝試し動画のシーンは一見の価値あり。また、捨て子や子供への虐待、動画配信者の行き過ぎた配信活動へのアンチテーゼともとれる描写もある。
一方で宣伝で前面に出されていた割にはYoutubeの要素が事件が動くきっかけ程度にしか組み込めていなかったり、貞子や“少女”に関する呪いの仕組みが解りづらいといった部分もあり、Youtube動画の要素が少ないことにガッカリしたり物語の全容や真相がよくわからずモヤモヤしてしまった人も多い。
そもそも子供を扱ったネタ自体何度も扱ってるうえ、直近の「貞子3D2」でやったばかりというのもありまたかよという声も


公開と同時期にノベライズ版が発行、「貞子VS伽椰子」のときと同様に一般層向けと児童層向けがそれぞれ執筆され、牧野修による一般曹向けの角川ホラー文庫版と山室有紀子による児童向けの角川つばさ文庫版が出版された。
どちらも背景にあったことや呪いの仕組みなどが詳しく書かれており、映画に比べると内容が分かりやすくなっている。上記の事情で物語にわだかまりが残っている人は読んでみてほしい。過去の映画との繋がりもより強くなっている。
ただこれまでのノベライズ版宜しく映画とは異なる展開もある*1ので、映画を補完するものというよりはパラレルワールドの物語として読むのが妥当かもしれない。


上記の通り「タイド」を原作としているが、「貞子3D」と「エス」のときと同様に本作も「タイド」とは貞子の母・志津子に関する描写が似通ってるだけでほぼ別物の内容となっている。


主題歌は女王蜂の「聖戦」。MVはVo.の薔薇園アヴの葬式をイメージしており、アヴ自身が貞子に似た幽霊姿になったり貞子本人が現れて現世に戻ろうとするアヴを引き止めたりしている。
なお次回作の「Introduction」では聖戦でのセットそのままに幽霊アヴがノリノリでダンスする。
また、キャンペーンの一環として女王蜂が「リング」の主題歌の「feel like “HEAVEN”」がカバーしており宣伝等で使用された。




あらすじ


心理カウンセラーの秋川茉優は患者の倉橋雅美から執拗に食事に迫られて悩む毎日を送っていた。そんなある日彼女は町をさまよっていた身元不明の少女の事情聴取を依頼される。“少女”は記憶障害を持っており自分の名前もわからず口も一切聞かない状態であった。“少女”は数日前にマンションで放火を行ったとされる住人・祖父江初子の娘であり、そして“少女”には物体を動かしたり相手の心情を読む力があった。
一方人気の出ない動画クリエイターである茉優の弟・和真は人気欲しさに祖父江が放火したマンションの部屋に忍び込み肝試し動画を撮影するのだが、その後に消息を絶ってしまう。
そのことを和真のアドバイザーのマーケティング会社の社員・石田から知った茉優は和真の手がかりとして彼が撮影したマンションの動画を見るのだが、そこに映っていたのは和真の後ろに立つ長い髪で顔を隠した女であった。
そんな中茉優は倉橋が完全に自分のストーカーと化していることを目の当たりにしてしまう。執拗に迫る倉橋に恐怖する茉優。そこにあの“少女”が現れた時、テレビからあの髪の長い女・貞子が現れる...。
やがて貞子が大島の出身であること、インターネット上に現れる謎の動画に和真が映っていたこと、そして祖父江が大島にゆかりがある人物であったことを知った茉優は石田と共に大島に和真がいると考えそこへ向かう。一方“少女”は意識を失い命の危険が迫っていた。





登場人物


■秋川茉優
演:池田エライザ
主人公で心理カウンセラー。
倉橋のカウンセリングを定期的に行っているがその度に彼女から執拗に誘いを受けるのを悩みにしている。
病院に入院した“少女”の面倒を見るがその際彼女の超能力を目の当たりにする。さらに貞子と遭遇し腕を掴まれた際にはその跡がくっきりと残っていた。
和真と共に親に捨てられ、孤児院で子供時代を過ごした過去を持っている。
和真が自分に黙って姿を消すわけがないと彼を探しに石田と共に大島の祠へ向かう。


角川ホラー文庫版ではテレパシー能力を持っている他、幼少期に和真共々自分たちに虐待していた両親から逃れるために家を飛び出し、その先で孤児院に引き取られたという生い立ちが追加されている。


角川つばさ文庫版では動向は映画とほぼ同じだが、生い立ちが幼少期に弟と共に母親に置き去りにされて捨てられ孤児院に預けられたというものになっている。


+ ネタバレ-

貞子に祠に引きずり込まれその先で和真と再会、“少女”の幻影が子供たちの霊に水辺に引きずり込まれるのを目撃した際はその幻影を抱きかかえ奪還した。
すると今度は自分が現れた貞子に引きずり込まれそうになるが、和真に身代わりになったために助かる。
しかし度重なる怪現象による恐怖に加え、和真を救えなかった後悔からか病院に入院しカーテンでベッドの周囲を隠し常に何かに怯えるような日々を過ごすことに。だが貞子の呪いから逃れられたわけではなく、カーテン越しに彼女の前に現れたのは...。


角川ホラー文庫版では病院で眠っている“少女”に意識を向けることで貞子の世界における大島の洞窟に行き、囚われていた“少女”と和真を助けることに成功する...と思われたが失敗してしまい、胎児たちの霊に泥の中に引きずりこまれ命を落とすことになった。


角川つばさ文庫版でも動向はほぼ映画と同じ。ただしラストの少女との面会が終わったところでシーンが切り替わったため(一応)最後まで生存している。



■秋川和真
演:清水尋也
茉優の弟。
姉の出費で専門学校へ進学しプログラマーを目指していたがやめてしまい、「ファンタスティック“カズマ”」というYoutuberとして活動している。意気込みは強いもののそのことを知った茉優からはため息をつかれている。
人気はというとイマイチなうえに再生回数も落ちてきており、人気再獲得への焦りから祖父江のマンションの部屋に侵入し、中を撮影した肝試し動画を製作してネットに挙げるという犯罪まがいな行動をとってしまい、さらにその後姿を消してしまう。
動画をネットに挙げた直後のとき、石田からは厳しく注意されたがその際「ついに見つけた」「一人でもやっていける」と言って彼を半ば追い出す形で帰らせるなどおかしい様子を見せていた。
幼少時代は沈んでいる茉優を変顔で笑わして元気づけるなど彼女の支えとなっていた。こうしたことや唯一の肉親ということもあり茉優によって和真はかけがえのない存在となっている。


+ ネタバレ-

貞子に操られて連れてこられたのか、貞子の情報を求めて独自に調べて来たのかわからないが、大島の祠に行っていたようで、祠の中でうずくまっている様子が呪いの動画の一部としてネットに上がっていた。
駆けつけた茉優と石田と再会し、最初は恐怖でパニック状態となっていたが貞子に引きずり込まれそうになっている茉優を見るなり彼女を貞子から引き離し自分が代わりに引きずり込まれることで犠牲となった。


角川ホラー文庫版では貞子の精神世界における大島の祠に幽閉されており、精神を半分操られているのか自身の動画の台詞をbotのように口にしている状態となっていた。
駆けつけた茉優に自分を置いて逃げるよう言い続けるが、彼女は聞かず強引に引きずられることに。これが最悪の結果を招くことになった。
死亡描写は無いが、茉優の末路を考えると彼も同じ結果となったと思われる。そもそも茉優が駆けつけた時点で既に死亡していた可能性も考えられる。


角川つばさ文庫版では貞子の情報を求めファンタスティック“カズマ”として大島に向かう様子を撮った動画をネットに上げており、大島の洞窟にどのような経緯でいたのかが明確になっている。
茉優・石田と共に洞窟から脱出するが追ってきた貞子を足止めするために取り押さえようとした結果、海に引きずりこまれ死亡した。
なぜ和真がここまで貞子の情報を求めたのかはわからないが、ラストのあるネットのコメントに「呪いを見たものが呪いを広める」という趣旨の言葉が出てきており、呪いを広める傀儡のような存在に半ばなってしまっていたのではないかと思われる。





■石田祐介
演:塚本高史
和真にYoutuberの話を持ちかけたマーケティング会社の社員。
アドバイザーとして助言をしており人気を獲得したい彼に心霊スポットをネタにすることを提案する。
和真が行方を消してからはそのことを茉優に話し、動画の投稿直後の和真の様子がおかしかったことを語った。
その後再び茉優に会い彼を探しに共に大島に向かう。


角川ホラー文庫版では大手製菓会社の社長の息子という設定が加えられている。動向は和真が行方不明になるまではほぼ同じであるが、藤井や大塚の出番が増加したことや、その藤井が貞子のことを説明する役割になっていたため影は薄い。


+ ネタバレ-

祠には入るのに手間取り茉優に一足遅れる形で合流する。和真が貞子に引きずり込まる際には茉優と共に引っ張るが救出は叶わなかった。その後は登場しないため貞子によって殺されたかどうかは不明。


角川ホラー文庫版では映画同様茉優と共に大島に向かうが収穫は無く、その後彼の秘書から経緯は不明であるが死亡したことが語られ、伝言を通じて茉優にとにかく逃げるよう警告した。


角川つばさ文庫版ではしラストで出番が追加されており、なんと和真が大島で撮り溜めしていた動画をネットにアップロードするという行為をしてしまう。
和真同様、石田もまた貞子の呪いを広める傀儡のような存在になってしまったのかもしれない...。




■“少女”
演:姫嶋ひめか
町をさまよっていたところを保護され、病院で茉優が新たにカウンセリングすることになった少女。
祖父江初子が誰にも知られない状態で産んで育てていた娘で、外にも出させてもらえず初子が不在の間はクローゼットの中に閉じ込められるという生活をさせられていた。
超能力を持っており、砂場や台車を動かしたり貞子を始めとした亡霊を見ることができる。初子からは貞子の生まれ変わりとして扱われていた。
冒頭においてマンションの自宅でクローゼットに閉じ込められた状態で初子に殺害されそうになっていたが、超能力で火事を起こし現れた貞子に導かれるように脱出する。
病院においても超能力を用いて怪現象を起こし、さらに雅美が茉優を襲うところに現れたときには貞子を召喚するような行動をとった。
不気味な存在感を放つ彼女であるが、茉優とはカウンセリングを通じて信頼関係を結んで行ったり貞子や亡霊を目撃したときには驚愕するなど、ごく普通の少女の面も見せている。果たして彼女は善か悪どちらなのか...。

+ ネタバレ-

初子から不憫な扱いを受ける日常の中で望まれない子供の魂を喰らう貞子に目をつけられ取り憑かれてしまっていたと思われる。*2
冒頭で自宅を燃やしたり雅美が襲われたのは少女の死への恐怖や自身に親身にしてくれた茉優を襲う雅美に対する怒りの感情に反応した貞子が行ったことであり、少女が意図したことではなかったと思われる。
さらに貞子によって体を蝕まれ彼女の世界に連れていかれそうになっており、中盤で意識を失って重篤になりICUに運び込まれてしまう。
その後はしばらく空気になっていたが、和真を探しに大島の祠に来た茉優の前に幻影の姿が出現、子供たちの霊に水溜まりに引きずり込まれそうになってしまう。しかし茉優によって霊から引き離されれることで助かり現実で意識を取り戻した。
ラストでは里親が見つかって病院を出ることになり茉優に感謝と別れを伝えて後にした。尤もそのときの茉優は状態が状態なので気持ちがきちんと伝わったかはわからないが...。


角川ホラー文庫版ではかつて志津子が海から来た“何か”との間に貞子を儲けたように、貞子の呪いによって初子が生んだ子供で、生まれたのは本編の20年ほど前であるという設定となっている。つまり合法ロリ。
また、母初子からは彼女なりに愛情を抱かれていたようで「さち子」という名前が密かにつけられていた。
また、初子の超能力を使った占いや呪殺はさち子の能力を利用したものであり、これに関しても初子からは利用したことを申し訳なく思われていたようだ。
病院において意識を奪われ貞子の世界の祠に魂が閉じ込められていたが茉優によって和真共々救出される。
茉優は逃げ切ることができず、命を落としてしまったが、さち子も同じ運命を辿ってしまったのかどうかは書かれていないため不明。恐らくだが同じ末路を辿った可能性が高い。




■倉橋雅美
演:佐藤仁美
茉優が以前からカウンセリングをしている中年女性。
以前は暗かったらしいが現在はすっかり明るくなっており完治直前の模様。
茉優に対して親友のような距離感で接しており、やや強引に食事に誘おうとするなどの行動からあくまでも主治医である茉優にとっては悩みの一つとなっている。*3
これらの行動から分かる通り別方向に精神状態が悪化しており、以前から茉優のいない間に勝手に彼女の仕事部屋を開けて花瓶の花を取り替えたりとストーカーといって差し支えない状態になっていた。
中盤でその行動の際中のところを茉優に目撃・恐怖されるが理解できず、それどころか食事の約束をすっぽかしたことを責め始めて次第にヒステリックになっていき、最終的にキレて花の剪定用に持っていたハサミで襲い掛かろうとする。
しかし同時にあの“少女”が現れさらに彼女が呼び寄せたのか近くのテレビから貞子が出現、目の前まで追い詰められパニック状態に陥り病室に連れていかれることになった。
過去のシリーズを見た人にとってはご存じ、かつて「リング」「リング2」で貞子が引き起こした呪いのビデオ事件の目撃者の一人であった倉橋雅美その人。
貞子に詰め寄られた際、彼女の名前を口にしたことから茉優に和真を探す手がかりとして翌日に貞子のことを聞かれ、呪いのビデオで親友が死んだことや(独自に調べていたのか)貞子の半生や彼女の母・志津子のことを話す。
直後にこれらは本当であると茉優の手を掴むのだが、その瞬間茉優はかつての高野舞同様、雅美が友人・智子を殺した貞子を目撃した記憶を追体験することに。*4
驚いて手を離した茉優に「あんたの弟は助からない」と告げた。


+ ネタバレ-

その日の夜に病室で寝ている中貞子に襲われてしまいベッドの下で死亡。その表情はかつて同じ呪いで死亡した友人同様、恐怖に叫ぶような形相であった。
なぜ彼女が命を落としたかの理由は名言されておらず、

  • 「茉優を襲おうとしたのが彼女に親しくしてもらっていた“少女”の怒りを買い、それに呼応した貞子による呪殺のターゲットになってしまった」
  • 「かつて貞子を目撃したことによる僅かな呪いが残っていたためにその状態で“少女”に憑いている貞子の呪いに触れたことで抱えている呪いが死亡レベルに達してしまった。」
  • 「茉優に貞子の生い立ちを教え和真救出のヒントを入手させた(貞子の邪魔をした)ために恨まれ(僅かに呪いが残っていることもあって)殺されてしまった。」

といったい具合でいろいろ考えられる。


角川ホラー文庫版でも動向はほぼ同じであるが、死因が貞子による呪いではなく呪いから逃れたいがためにハサミで目を刺したことによる自殺となっている。


角川つばさ文庫版では映画同様の状況で貞子に呪い殺されるが、死因が溺死となっている。




■祖父江初子
演:ともさかりえ
“少女”の母親。
“少女”を貞子の生まれ変わりと思っており冒頭で自宅の部屋にガソリンを撒いてをつけることで“少女”を殺害しようとするが脱出されてしまった末自身は焼死してしまった。
超能力者だったようで生前は呪殺などを請け負って生計を立てていたようだが、気味悪がった客やマンションの同居人たちによって嫌がらせを受けており、自宅前には暴言が書かれた貼紙が大量に貼られていた。警察には部屋の放火は同居人たちに追い詰められて精神不安定になった初子によるものとされた。

+ ネタバレ-

“少女”を閉じ込めていたクローゼットに貼っていたお札は貞子の故郷・伊豆大島に伝わるものであり、大島と何かしらの関わりがあったと思われる。(単に貞子のことを調べて作った可能性もあるが)


映画では“少女”を貞子の生まれ変わりだと扱っていた理由は明かされることはなかったが、角川ホラー文庫版では生い立ちが追加され、実は「祖父江初子」は偽名で「能美初子」が本名であり、「リング」においてこれからエッチしようってときに貞子の呪いの犠牲にになった能美武彦の妹だったという設定になっている。
幼少期より両親から虐待を受けており、時折脳内に語り掛ける貞子の声を心の支えにしながら学生時代を生きてきていた。
ある日に貞子の声に導かれ伊豆大島へ向かい祠の中に入ったが、それは罠であり洞窟内に現れた貞子によって“少女”を身籠ることになった。彼女も娘と同じく親の被害者であったがために貞子に目をつけられた“子供”の一人だったということである。



■藤井稔
演:桐山漣
茉優の先輩の医師で、距離感を詰めてくる雅美の行動に曖昧な対応をしてしまう茉優に態度ははっきり示さないと後で厄介なことになると注意する。
茉優と雅美が貞子に最初に接触した直後には彼らのもとに駆け付け介抱した。


小説版では霊や呪いの知識に通じている設定がつけられた他、上記くらいしか出番が無い映画版と打って変わって大幅に出番が増やされており、石田以上に茉優に協力する場面が多いのもあって事実上小説版における石田のポジションといって差しつかえなことになっている。
茉優に貞子や呪いに関する知識を語ったり、興味から佐藤清という探偵を雇って伊豆大島に調査をしてもらうなど貞子に関する情報を探った。




■老婆
演:吉村実子
伊豆大島に住む老女。
祠のことをよく知っており、和真を探して大島を訪れた茉優と石田前に現れ洞窟のことを話すと同時に潮が満ちるので祠へ入るのは危険であると警告する。


角川ホラー版ではキヨという名前で茉優と石田とは会ってらず、貞子の情報を求めて大島に来た藤井と会って祠のことを話している。



■木田
演:二階堂智
マンションの炎上事件について入院したばかりの“少女”に事情聴取した刑事。答えたり答えなかったりする“少女”の対応にイラ立ったのかやや高圧的な態度で接し少女の身を案じた茉優に止められた。


角川ホラー文庫版では「リング2」に登場した大牟田刑事の後輩の設定があり、彼から貞子と浅川陽一の事件のことを聞いた過去を大塚に話している。




■大塚
演:真田麻垂美
木田の事情聴取に同行していた女性刑事。


映画版では上記だけの出番だったが角川ホラー文庫版では藤井同様出番が増えており、炎上事件に疑問を感じ初子の自宅を捜索したが貞子の呪いにかかってしまう。




■坂井彩子
演:おぞねせいこ
茉優と親しい年上の病院の看護師。アパートの管理人でも無いリサイクルショップの店員でもない。
病院内での“少女”の超能力によるちょっとした騒動に立ち会う。


角川ホラー文庫版では霊感を持っており“少女”と関わる茉優に「あなたつかれているのよ」と言った。その後物語後半で病院内に貞子の呪いが蔓延していったことにより退職したことが藤井に語られている。




■“トミー”、“アク”
演:水溜まりボンド
二人組のユーチューバー。
同じユーチューバーでナンパ企画を実行中の“ジャームス”にドッキリを仕掛ける動画を撮影していたが、そのジャームスのライブ配信をチェック中、謎の映像が割り込むように映るのを目撃する。




■山村志津子
演:南彩加
ご存じ貞子の母親である超能力者。
「リング2」でも端的に触れられていたが、赤ん坊の貞子を大島の祠に捨てたことがありこれが今回の貞子の行動に関わっている。
過去作では雅子氏が志津子を演じていたが本作では南彩加氏が演じることになった。(雅子氏は2015年に亡くなっているがこれが関係しているかどうかは不明)




■伊熊平八郎
演:不明
貞子の育ての父親。回想的なイメージで数カットだけ登場。




■山村貞子
演:南彩加
ご存じかつて呪いのビデオで人々を呪い殺した怨霊。
初子により監禁されていた“少女”の目の前や炎上後の初子の家に侵入した和真の背後に現れたり、さらに中盤では“少女”の怒りと雅美の中に残っている僅かな呪いに反応するようにテレビから出てきて茉優と雅美の前に迫るなど、“少女”の周囲で暗躍する
。初子は“少女”のことを貞子の生まれ変わりと言っていたが、“少女”を本体にして暗躍してるのか...。
その魔の手は初子の自宅で動画を撮影した和真や“少女”と関わった茉優にも伸びていき呪いを振りまいていく...。

+ ネタバレ-

赤ん坊のころに志津子によって恵まれない子供の霊を供養する祠に捨てられたことによってその力を喰らい糧とすることができるようになっていたようで、恵まれない子供の魂を狙う悪霊となっていた。
どのような経緯があったかは不明だが初子から不憫な扱いを受ける“少女”の苦しみに呼び寄せられ彼女に取り憑いて時に操り、その一方で彼女の魂を奪おうと体力を奪っていって殺そうとしていた。
終盤、大島の祠で“少女”の魂を救った直後の茉優に報復とばかりに襲い掛かり潮だまりの中に引き込もうとするが和真によって阻止される。すると和真に対象を変え彼を引きずり込み呪い殺してしまった。
このときはこれで終わったがラスト、病院の一室で怯え続ける茉優の前に現れ苦しみとも憎しみともいえる恐ろしい形相で襲い掛かるのだった。






登場用語


■祖父江の自宅
マンション内の部屋である祖父江初子の自宅。
初子不在の間はクローゼットの中に“少女”が監禁されており、クローゼット内にはお札が大量に貼られている他、和服人形がくくりつけられたベッドメリー(ベビーベッドの上に吊り下げられていて回るアレ)がある。
初子が“少女”を殺害しようと部屋中にガソリンを撒き火をつけようとするが、直前で“少女”(あるいは彼女に憑いている貞子)が部屋の電球を破壊したことで飛び散った火花が引火し初子と共に炎上した。
無人となった後も部屋中には貞子の呪いが蔓延していたようで、肝試し動画を撮りに侵入した和真の背後に貞子が現れ彼を呪うことになった。


角川つばさ文庫版では少女が閉じ込められているのは箪笥となっておりその箪笥がある部屋も和室になっている。(映画は洋室)




■大島の洞窟
伊豆・大島の海岸付近にある岩場の中にある洞窟。
中には祠と潮溜まりがあり潮溜まりの真上には大きな穴が空いており空や月を見れるようになっている。
元々は大昔に死んでいった山武士たちの霊を弔うために作られたものだったが、いつしか育てられない子供を置き去りにして満潮と共に海に流すことに使われるようになっていった過去があり、その影響で今に至るまで親に殺された子供の霊が祠に呼び寄せられるらしい。
貞子も生まれたばかりの頃に母・志津子によってここに置き去りにされたことがあり、その後志津子によって連れ戻してもらえたが、この一件の影響で貞子は子供たちの霊を自分の力として蓄え祠をその巣窟とするようになってしまい、本作において恵まれない子供を好物として狙うきっかけとなった。
和真がこの場所にいたことが判明したことで茉優と石田が来訪することとなる。
「リング2」に登場した同じ大島にある賽の河原とは別の場所と思われる。


角川ホラー文庫版では海で挟まれた離れ小島のような場所になっており行くには泳ぐか小舟に乗っていくことになる。


角川つばさ文庫版では海沿いにある石段を上がった後崖同然の道を渡った先にある立地になっており映画よりも道のりが険しくなっている。




■呪いの動画
インターネット上の様々な動画にジャックするかのように映り込むらしい謎の動画。
和真が初子の家で撮影した動画や過去に上げた動画にも映り込んでおり、複数の骸骨、岩壁に大きく開いた穴から月が見える光景、祠のような物、目のアップと瞳に映し出された赤ん坊、着物の女性がこちらに飛び降りてくる光景といったものが映っている。
映像は映り込んだ動画によって構成は異なっており、一瞬写るだけのものや数秒の映像がいくつか映しだされるものなど様々。さらにその都度変化するようで夜空の月が少し見えている映像を再度見た際には月が完全に映った状態になっていた。
「お前じゃない」とは言われないし近くに小さな女の子が現れたりもしない。


+ ネタバレ-

その光景は大島の洞窟内のものや赤ん坊のころの貞子、彼女の母志津子が三原山に身を投げるものである。貞子が自分の肉眼や超能力で見た光景が彼女の残留思念・呪いとなって動画に取り憑いたものと思われる。
和真の場合は初子の自宅に貞子の呪いが残っていたからだろうが、ジャームスのライブ配信や他のネット動画にも映った理由は不明。もしかしたら配信に映っていた人物か撮影していた人物が何かしら貞子の呪いに触れていたのかもしれない。




余談


■作中で和真が撮影した初子の自宅内の映像は和真役の清水氏の手持ちカメラによる一発撮りによるもの。10代のセンス(清水氏は当時19歳)で撮ってもらったほうがいい反応がもらえるとのことである。


■ラストの病室のシーンは元々脚本にはなかったシーンであり、脚本上は貞子が洞窟の潮溜まりで佇んでいる様子が映されるというものであった。しかしそれでは収まりが良すぎるということと小学生が観たときに悲鳴が上がるようなほうがいいということで変更されたという経緯がある。


■クライマックスに登場する洞窟の潮溜まりはお湯を溜めて撮影しているのだが、地面にポッカリつくられているのもあって露天風呂の様だったそうで、セットの近くの看板には「貞子の湯」と書かれていたようだ。


■映画の公開に伴い、様々な宣伝がされた。

  • 写真加工アプリ「楽画cute」「プリ機mina」とコラボ。
  • 東京ジョイポリスでスタンプラリー「貞子きっと来るラリー」が開催。
  • じゃんぼ總本店でグッズプレゼントキャンペーンが実施。
  • だがし夢やでグッズプレゼントキャンペーンが実施。
  • 有楽町で貞子単独でのトリックアート・フォトスポット展が開催。
  • 恒例イベントとなった貞子による始球式が今回も開催。北海道・札幌ドームで行われた北海道日本ハムファイターズ埼玉西武ライオンズ戦で実施。


■映像ソフトはいくつか存在。

  • DVD

特典として中田監督と池田エライザによるオーディオコメンタリー、劇中未登場の「ファンタスティック“カズマ”」の動画集、予告編集を収録。

  • BD

DVD版の特典に加え、メイキング、イベント映像、中田監督のインタビューを収録。
封入特典として「映画秘宝」が編集した特製ブックレット「貞子秘宝」と池田エライザ(というよりは茉優)のブロマイド三枚が封入されている。

  • DVD or BD:レンタル版

特典は予告編集のみ。










リングの恐怖は、始まりにすぎなかった。

PREVIOUS [[リング2>リング2(映画)]]





ネットに投稿した動画に骸骨や満月の映像が入りこんでいた人は追記・修正をお願いします。


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  • 貞子の湯……どういう効能があるんです?(白目) -- 名無しさん (2022-09-03 21:26:04)
  • ↑決まってるだろ…『寿命が縮む』 -- 名無しさん (2022-09-03 21:37:25)
  • リング2の続編なのにバカ映画って感じ。 -- 名無しさん (2022-09-03 21:38:52)
  • ホラーキャラを冠したタイトルのホラー映画といえば「ジェイソン」や「レザーフェイス」もあるけど、前者は13日の金曜日とは無関係な洋画(原題がBloody Murder)をジェイソンという邦題にした感じ -- 名無しさん (2022-09-06 07:47:01)
  • ストーリー自体は後半はちゃめちゃで、ぶっちゃけリング、リング2のホラーシーンのセルフリメイクやりたかった感も伝わってくる。かつての智子や香苗と同じ雅美の死に顔、眉毛もまつ毛もない貞子の素顔など悪くないのだが、もう少しどうにかしてほしかった。 -- 名無しさん (2022-10-27 22:47:57)
  • 中田も老害になりかけてるなと感じた -- 名無しさん (2024-01-05 14:07:26)
  • ↑続き 配信やってる奴らがモラルもないウェイウェイやってる馬鹿猿ばかりみたいに露骨に描写して、そして昔のリングにあった心霊のおどろおどろしさや人の悪意の怖さという最も魅力的な部分が欠如してる。あと主演の連中軒並み演技下手くそなの何とかしてくれよ… -- 名無しさん (2024-01-05 14:10:54)
  • 龍雅時貞【親子】にしたら飛んだ雑魚だよな。この貞子 -- 名無しさん (2024-05-17 17:37:58)

#comment

*1 特に角川ホラー文庫版は映画では脇役だった人物に活躍の場が大幅に追加されていたりが変更点が多い。角川つばさ文庫版は一部キャラの行動や洞窟周辺の地形など細かい点を除けばほぼ映画に沿ったものになっている。
*2 初子は伊豆大島と何かしら関わりがあったようで、これがきっかけで貞子が取り憑き虐待が始まった可能性もある
*3 作中でも言及されてるが現実においてもカウンセリングの患者が担当医に友人感情や恋愛感情を抱いて最悪の場合ストーカーになってしまうことが度々ある
*4 映像もちゃんと「リング2」のときのものを使っている。

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