登録日:2022/09/03 Sat 17:32:07
更新日:2024/06/27 Thu 10:24:50NEW!
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star_wars sw スター・ウォーズ レジェンズ マンダロア マンダロリアン デスウォッチ ダークセーバー 保守派 略奪 悪党 ジャンゴの仇 トア・ヴィズラ
「さて、紳士諸君。二日後にムーンアス・マンデルに向かうまで、この街は我々のものだ……
欲しいものは何でも持っていけ」
【概要】
トア・ヴィズラ(Tor Vizsla)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。
現在はレジェンズ設定のみの登場。
銀河最強とも言われる戦闘民族「マンダロリアン」の一員にして、武闘派勢力「デスウォッチ」の初代首領だった男。
カノンにて設定された「マンダロリアン出身の古代ジェダイ、ダークセイバーの制作者」であるター・ヴィズラ(Tarre Vizsla)とは別人。ただし名前の元ネタになった可能性はある。
ちなみに名前の「Tor」とはマンドア語では「正義」を意味するらしい。
【人物】
◆種族
種族は人間。男性。
身長190cm内外、黒目に黒髪、無精ひげを生やした面長の中年男性。
着用するマンダロアアーマーは黒。肩には赤色でヴィズラ家の紋章(三叉の矛?)が描かれている。この紋章はプレ・ヴィズラも同じものを持っていた。
ジャンゴによって仕掛けられた爆弾で重傷を負っており、途中から頭部に醜い火傷の痕跡ができた。
また彼は、マンダロリアン伝統の戦闘文化と、それに伴う破壊や略奪を肯定する武闘派勢力「デスウォッチ」を旗揚げした人物である。
デスウォッチの思想自体は従来のマンダロリアン文化に古来からあったものだが、派閥として分裂したのはトア・ヴィズラの主導による。その意味で彼は初代首領である。
◆性格
そういう思想集団の祖なだけあって、トア・ヴィズラの性格は極めて凶暴・残忍でなにより邪悪。
単なる敵の撃破のみならず、破壊・略奪・拷問・殺戮を好んで行い、女は拉致して「お楽しみ」に耽ったりもする。
ジャンゴ・フェットの家族を襲った時がまさにそれで、まだ十歳にならないぐらいのジャンゴを父親ともども殴る蹴るの拷問を加えたうえ、銃撃によって父親と母親を殺し、若い娘(ジャンゴの姉)を拉致して、挙句フェット家の農地に火を放って全て消し去ろうとした。
項目冒頭の台詞も、補給のため街に立ち寄った際の第一声である。
ハッキリ言って野盗の親玉と言わんばかりの人物だが、そうした悪事をやけっぱちではなく強い信念に基づき実行するためか、部下たちからの離反などなく、強いカリスマを発揮している。
野心家でもあり、マンダロリアンの指導者「マンダロア」となるべきは自分なのだ、という執念も持っていた。ジャスターのことを毛嫌いしたのも、ひとつには「自分が襲名するべき地位を奪ったのみならず、我らの伝統まで否定いた」という思想が強かった模様。
さらに彼には、マンダロアが全銀河を支配する、という野心まで持っていたらしい。
もっとも、銀河支配という野心については、実際にはそれらしい陰謀・行動は見せていないため、「いずれは出来たらいいな」ぐらいの夢物語だったと思われる。
とまあここまで残忍・狂暴・凶悪を絵にかいたような男だが、さりとて脳筋ではなく、むしろ策略に長ける一面もある。
「現地政府とあらかじめ結託して、現地政府にトゥルー派を雇用させることでおびき出し、戦場に誘導して待ち伏せして殲滅する」という策により、大きな成果を上げている。
さらにこの策は二回繰り返したが、二度目の時には一度目に比べてさらにスケールの大きな計画を立てており、謀略の度合いが上がっていた。
この「策略・戦略眼に長ける」という点では、次のリーダーとなるプレ・ヴィズラをも上回る。
◆能力
マンダロリアンの一派を束ねる男として、かなりの戦闘能力を持つ。
基本装備はマンダロリアンらしくマンダロリアンアーマー。色は黒。
例によって多様な武器を装着・内蔵しており、前腕部にはロケット弾、火炎放射器、捕獲用ワイヤー、長さ15cmほどの毒針などを仕込み、これら多彩な武器を使って攻撃する。
ブラスターライフルの使い手でもあり、なんとジェットパックを使って離脱したジャンゴを数十メートルの距離から狙撃・撃墜する、という神業を見せている。
また彼は特に戦車を好んで使用し、独特な四脚戦車からの一方的なビームによって敵を蜂の巣にする。
体術にも長けているらしく、本人曰く「敵の喉を素手で切開する方法」を知っているとのこと。
またヴィズラ家の長として、ダークセイバーも所有し、時にはそれで近接戦闘を行うこともあったという。
(ただし後付け設定なので、彼が活躍したコミックでは描かれていない)
一方で、マンダロリアンの有名なヘルメットはなぜか装着しなかった。
年齢は割といっているはずだが、それでもジャンゴ相手に互角に渡り合うだけの格闘能力を持っていた。
その意味では、確かに「マンダロア」の称号を争うに足る実力はあったと言えそうである。
【作中の活躍】
◆前歴
生年など、詳しい情報は不明。
しかしその性格や立場などから、銀河系辺境域の惑星マンダロアの、ヴィズラ家出身と思われる。
BBY60頃、すなわちEP1の30年ほど前に、当時のマンダロリアン代表「マンダロア」だったジャスター・メリールが「マンダロリアンは単なる蛮族ではなく、高い規律を備えた名誉のある戦士であるべきだ」「『超戦士の写本』に基づく成文法に従うべきだ」と提唱した。
トア・ヴィズラはこの動きに激しく反対。「マンダロリアンは破壊や略奪こそを是とするのであり、中途半端な規律はむしろ堕落である」と主張し、かつこの思想に従う者たちを糾合して、「デスウォッチ」という分派を作って独立した。
分派と言っても、思想的にはデスウォッチのほうが伝統保守派であった。
またこの次期、伝統的な略奪文化はもちろんのこと、ジャスターの提唱した戦士文化にも反対し、完全なる非武装・中立・平和主義を提唱した、「ニューマンダロリアン」も分離・独立した。
ここに至り、マンダロリアンは三派に分裂。
- 旧来の戦闘文明、破壊・略奪文化をそのまま維持しようと訴える伝統保守派「デスウォッチ」、
- 戦闘文明そのものは維持しつつも、その内容を改革し新しい戦士文化を築き上げようとする伝統改革派「トゥルーマンダロリアン」、
- 戦闘文明それ自体を否定し、非暴力・平和主義・最低規模の警察力のみを訴える急進改革派「ニューマンダロリアン」、
の三派に分裂し、ついに数十年にわたる内戦「マンダロリアン内戦」を引き起こした。
◆コンコード・ドーンの戦い
58 BBY、トア・ヴィズラが直卒するデスウォッチ部隊は、マンダロア星系に属する惑星コンコード・ドーンにて、ジャスター・メリールの部隊を撃破。敗走する彼らを追撃していた。
そのうちに彼らは、ある農家を発見。
そこの子供をまず捕えて尋問し、彼の言葉からその農家がジャスターを庇護したと悟ると、その農家に攻め込んで父親を捕獲。息子の前で執拗に殴りつけ、さらに「喋らないならまず息子から殺すか」と、部下に命じて恐怖と苦痛に涙を流す子供の頭に銃口を突きつけさせる。
するとその部下が撃ち殺された。隠れていた母親が、息子の窮地に銃で狙撃したのだ。
母親が作ったこの一瞬の隙に、父親は息子に「逃げろ!」と叫びながら暴れ、両親がデスウォッチと戦うあいだに息子は農地の畑に飛び込んだ。
しかし、夫婦たった二人の抵抗など、デスウォッチの敵ではなかった。
トア・ヴィズラは農家夫婦をあっさり殺害し、逃げようとした娘も捕える。
さらに息子を追わせた部下が、農地の向こうから銃殺されたらしき音を聞くと「ジャスターは引き返してあの農地にいるらしい、多分あの息子を助けに行ったんだろう」と見抜き、
そのうえで、生け捕りにされた恐怖と目の前で家族を惨殺された絶望に涙を流し続ける娘の前で、残忍に言い渡した。
「農場に放火しろ。全部燃やしてしまえ」
「はい。で、こっちの娘は?」
「目撃者は残さん。こいつを始末したら、宴としよう」
トア・ヴィズラはこの放火で、ジャスターたちも逃げた子供も全滅したと見做し、近くの街に移動すると二日間の休憩と勝利の宴を開くことを宣告した。
しかし意気揚々と戦車から降りた直後、彼らの部隊はトゥルーマンダロリアンからの集中砲撃を浴びた。
ジャスターによって保護された農家の少年、ジャンゴ・フェットは、トゥルーマンダロリアンを農場の灌漑用地下水路へと誘導し、畑を埋め尽くした炎から一味を逃がしていたのである。
そしてトゥルーマンダロリアンはデスウォッチの移動先を割り出し、先回りしていた。
包囲殲滅の危機に陥ったトア・ヴィズラは急いで戦車の中に潜り込んだが、その戦車の床下に、小柄なジャンゴ・フェットが飛び込んでいたのには気付かなかった。
ジャンゴは戦車の床下に爆弾を仕掛けて脱出、ヴィズラが戦車を移動させようとした時、戦車は内側から灼熱の爆風を吹き出した。
乱戦はその後もしばらく続いたが、デスウォッチが敗退した後、ジャスターが戦車の中身を覗き込んだ際には、トア・ヴィズラの姿はなかった。
ただ、爆発が非常に激しかったことで、肉体も木っ端みじんになったかと判断されており、トゥルーマンダロリアンはヴィズラの死亡推定をしたようだ。
◆コルダ6の復讐
「ついに……お前をマンダロリアンの歴史から永遠に追放できる……」
しかしあの爆発に呑まれても、トア・ヴィズラは生きていた。
もちろん、狭い戦車のなかで、外に逃げない爆風をまともに浴びた彼が無事ですむはずもなく、左側頭部から瞼に掛けて醜い火傷の跡が刻み込まれ、ほか表皮の多くが焼けただれてしまったが、それでも彼は生きており、デスウォッチも組織を再編させていた。
そして彼の脳内には、マンダロリアンの変節者のみならず、自分をこんな顔に変えてしまったジャスターへの、苛烈な復讐心までもが根差していた。
さらに先の敗戦とそこからのリハビリで思うところもできたか、今後のヴィズラは単なる正面からの攻撃だけではなく、相手を陥れる策略にも意識を向け始めた。
まず彼は、ジャスター・メリールが彼自身の提唱する「名誉ある傭兵団」として活躍していることに目をつける。傭兵団なのだから、雇われれば戦場に現れる。あらかじめ罠を張った場所に誘導することはたやすい。
そのうえで、惑星コルダ6とひそかに手を組み、トゥルーマンダロリアンを陥れる罠を張り巡らす。
一方では原住民のゴリラ型エイリアン種族コルダンに、強力な武装を持たせて強化。また軍事訓練もしたようだ。
一方では惑星の現地政府に「訓練中の新兵部隊が、原住民たちの縄張りで孤立してしまった。救出のため助力してほしい。ただ、相手はゴリラのような原住民なので、そこまでの戦力ではない」という旨をトゥルーマンダロリアンに連絡させる。
ジャスター・メリールはコルダ6政府の要請を受諾し、自ら部隊を率いて赴いた。
結果、ヴィズラの計略はすべて成功。
トゥルーマンダロリアンは事前情報とはケタ違いの武器によるコルダンの猛攻に晒され、大損害を出した上に各地に分散、各個殲滅される。
さらにトゥルーマンダロリアンでも内部争いが起きて指揮系統が乱れ、前線に孤立した仲間を救出するためジャスターが前線に出てしまう。
トア・ヴィズラが戦車で飛び出したのは、ジャスターが孤立したまさにその場だった。
さらに、ジャスターが助けた次席司令官のモントロスが恩を仇で返すかたちで一人逃げ出したこともあり、完全に孤立したジャスターを、ヴィズラは戦車からのビームで嬲り殺しにした。
この年52BBY、コンコード・ドーン戦から六年後、EP1の二十年前である。
◆ガリドラーンの戦い
ついに長年の宿敵を倒したトア・ヴィズラだったが、トゥルーマンダロリアンはジャスターの養子ジャンゴ・フェットを新たなリーダーとして再結集。
ジャンゴは従前の敵というのみならず、実家族と養父の二重の仇となったトア・ヴィズラへの復讐を誓い、傭兵業の傍らデスウォッチの捜索と殲滅を続行した。
当然、ヴィズラの側もジャスターの遺産、トゥルーマンダロリアンの殲滅も視野に入れて活動を開始。
コルダ6では勝利したとはいえ相応の戦死者も出ており、戦力的に正面からの打倒は難しかったようで、またも陰謀を巡らしての打倒を考える。
しかも、前回はあくまで惑星一つの規模の罠だったが、今度は銀河全域を巻き込む壮大な計略であった。
彼は惑星政府のみならず、銀河共和国とジェダイ騎士団まで利用したのである。
まず目を付けたのは辺境の惑星ガリドラーン。
基本的には前回と同じく、現地政府の総督にトゥルーマンダロリアンと連絡を取らせ、反乱を起こしたテロリストグループの撃破を依頼させる。
さらに反乱鎮圧の暁には、報奨金に加えてデスウォッチの所在に関する情報も渡す、と言わせる。
ジャンゴ・フェットはこの要請を受けて、自ら部隊を率いて出向した。
その一方で、同じガリドラーン総督から銀河共和国に連絡を取らせて、こういわせた。
「マンダロリアンが惑星における政治活動グループを襲撃、弾圧している。女子供まで容赦なく殺している。彼らの暴走に終止符を打つため、ジェダイ騎士団の救援を請う」と。
マンダロリアンと言えば、歴史的にシスとともにジェダイ騎士団を幾度も苦しめてきた強敵である。さらに、ガリドラーン政府は「マンダロリアンの虐殺の証拠情報」も送っていたようだ。もちろん、遠い共和国やジェダイには、その「証拠情報」に映るマンダロリアンが「デスウォッチなのかトゥルーマンダロリアンなのか」の区別はつかなかっただろう。同じ装備と同じ技術を持つのだから。
ここに、ジェダイ騎士団はマンダロリアン討伐のためジェダイ部隊の派遣を決定した。指揮官は、当時ジェダイ騎士団で随一と言われた実力者、ドゥークーだった。
現地の惑星ガリドラーンでは、先にジャンゴの部隊が到着。あっさりと「テロリストグループ」を殲滅した。
しかし彼らが弱すぎることにジャンゴは異様なものを感じたようだ。コルダ6の記憶も蘇ったかもしれない。
また総督はデスウォッチの情報を渡すと言っていたが、むしろデスウォッチに資金提供をしているらしい情報もジャンゴは手に入れていた。
反乱鎮圧直後、ジャンゴは単身総督のもとに行き、任務達成を伝えながらもブラスターを突き付けた。
「約束は守ってもらうぞ。殺し屋どもを匿っていたんだろう? デスウォッチの再建に資金を提供したんだろ。さあ教えろ。ヴィズラはどこだ!?」
「ここだ小僧!!」
老練なトアはまだ若いジャンゴの想像を超えていた。彼らはジャンゴが踏み込んだ総督の部屋の、カーテンの裏に隠れていたのだ。
完全に不意打ちを受けたジャンゴは、手近な窓を破ってジェットパックで急速離脱する。
しかしトア・ヴィズラは、ブラスターピストルを抜くとすでに豆粒のように小さくなったジャンゴに向けて、一発のビームを放った。
その一発が見事ジャンゴのジェットパックを直撃し、推進力を失った彼を大地に叩き落とした。
幸い、ジャンゴは冬のガリドラーンの大雪がクッションとなり、かろうじて一命はとりとめた。
しかしヴィズラにとって、あの一撃でジャンゴが死ぬかはどうでもよかった。ヴィズラよりももっと強大な戦力が、ジャンゴのもとに向かっていたからだ。
ジェダイ騎士団の大部隊が到着したのである。
「見ろ。絶好のタイミングというやつだ」
「ジェダイをジャンゴの野営地へ誘導しろ。そしてマンダロリアンが、女子供まで虐殺していると伝えてくれ」
知事「しかし、その証拠がなければジェダイは……」
「心配するな、証拠なら我々が用意する」
現地において「マンダロリアンが女子供まで虐殺している証拠」を確認したジェダイ部隊は、ついに「マンダロリアンの殲滅」を決定。
マスター・ドゥークー率いる精鋭二十人のジェダイ部隊がトゥルーマンダロリアンを攻撃、ジェダイ側も十一人が戦死する死闘の果てに、ついにこれを滅ぼした。
捕獲という形で生き残ったのはジャンゴ・フェットひとり。彼はガリドラーン総督に引き渡され、総督はすぐに彼を麻薬採掘の奴隷商へと売り渡した。
「……我々は、何をしたんだ……?」
BBY44。この「ガリドラーンの戦い」において、トゥルーマンダロリアンは滅亡した。
本部に残るなどして今作戦に参加しなかった者たちもジャンゴを失ってからは散り散りになり、彼らが再結集することはもはやなかった。
◆惑星コレリアの戦い
「死後の世界ってのに祈りを捧げな、ヴィズラ?」
「祈るだなんて、見くびりすぎだぜ、小僧」
一方デスウォッチは、しばらくはガリドラーンを根城に安逸な生活を送っていたようだ。
総督との関係も意外なほど良好だったようで、ジャンゴから奪った鎧一式を総督に譲っている。
二年後には円満に分かれ、デスウォッチは惑星コレリアへと去っていった。
ところがデスウォッチがガリドラーンを去った二日後に、ジャンゴ・フェットが舞い戻ってきた。
彼はまず総督府に侵入して自分の装備一式を取り戻すと、続いて恨み重なる総督を捕えて尋問し、デスウォッチが二日前にコレリアに向かったことを聞く。
何も知らないヴィズラはコレリアに来たところでジャンゴのスターファイターに襲われた。しかもジャンゴは、マンダロアアーマーだけで宇宙に飛び出すと、ジェットパックで勢いをつけたまま、ヴィズラの船の正面ガラスをブチ破って船内に飛び込んだ。
先のスターファイターの攻撃で船は大破し、さらにブリッジも破壊されたことで、ヴィズラは船の放棄を決定、船員全員に脱出ポッドで逃げろと命じた。
そして自分もポッドに乗り込もうとした瞬間、追ってきたジャンゴに飛び付かれ、ふたりまとめて一つのポッドに押し込まれてしまった。
ポッドはそのまま惑星コレリアに墜落。
しかも、ふたりがポッド内部で暴れまわったためにポッドはあらぬ方向へと軌道を変えてしまい、同じ船から脱出したポッドとは離れた場所に落ちてしまった。
仲間からはぐれ孤立したヴィズラと、仲間を喪いたった一人のジャンゴの、ついに一騎打ちとなった。
一方、ヴィズラはすでに老齢に差し掛かっていたが老練であり、逆に若く力に満ちるジャンゴも二年間の奴隷生活で腕が落ちている。しかも二人ともポッド墜落時に体を激しく打ち付けていた。どちらに勝算があるともいえない。
二人は激しく渡り合い、武器も減って肉弾戦に移行。
さらにジャンゴがヴィズラを川へと殴り落とせば、ヴィズラはワイヤーを放ってジャンゴの膝に巻き付かせて道連れに水没。
もつれあった二人がなんとか川岸まで辿りついたところで、ついにヴィズラのガントレットの仕込み針が、ジャンゴの首筋に突き刺さった。
この仕込み針には毒が塗られている。あいにくと致死性ではないが、相手の意識をもうろうとさせるぐらいの効果はあり、ジャンゴは立つこともままならなくなった。
そして動けない相手ならば、殴り殺すことは造作もない。
ヴィズラはジャンゴを背後から殴り続けた。
しかしそのさなか、ジャンゴのガントレットから刃が飛び出すと、振り向きざまの一撃でヴィズラの腹を一文字に割った。
黒ずんだ血が噴き出す。しかし、重傷ではあってもヴィズラの致命傷にはならない。
「ぐうゥ……きさま……こんな傷で俺を殺せると思うか……?」
「いいや……だが、あいつらがするさ……」
いぶかしげに振り向いたヴィズラが見たのは、先ほどから人間たちの格闘騒ぎを見ていた、豹のようなネコ科の野獣親子だった。
そして彼らは、ヴィズラの腹からあふれた血の匂いで、すでに目の色を変えていた。
宇宙船からの墜落と格闘戦、水没、負傷……ここまでで武器と体力を使い果たしていたヴィズラには、血の臭いで興奮したヒョウの親子に抵抗する力はなかった。
毒を打ち込まれたジャンゴが地面に倒れる傍らで、生きたまま貪り食われるトア・ヴィズラの苦悶の悲鳴が、数時間にわたって続いていた。
そしてジャンゴは、喰われることなく生き延びた。
豹たちは確かにジャンゴも食べようかと近づき、体臭も嗅いだのだが、先ほどヴィズラが撃ち込んだ毒の臭いも嗅ぎ分けてしまい、「これは食べられないものだ」と放置したのである。
翌日、近隣住民の子どもたちから水を飲ませてもらったジャンゴはやっと気が付き、フラフラになりながらも戦場跡から立ち去った。
この時BBY42。EP1(およびジャンゴがバンド・ゴラに挑む時期)の十年前の出来事である。
◆死後
この時点でもデスウォッチは存続していたが、ここまでの戦いで多くの戦士たちを失ったことにくわえて、首領トア・ヴィズラも失ったことで、組織は大混乱に陥る。
やがて彼らはいずこかへと立ち去り、歴史の表舞台から姿を消す。
一方のトゥルーマンダロリアンはガリドラーン戦で壊滅した上に、生き延びたジャンゴももうトゥルーマンダロリアンの再起を願わず、ジャンゴ以外の生き残り(ガリドラーン戦に参加しなかった者たち)もリーダーになろうと名乗りを上げるものもいなかったため、いつしか自然消滅した。
最終的に、勢力を温存していたニューマンダロリアン(非暴力・絶対平和主義を思想とする勢力)が惑星マンダロアを支配し、長年にわたって続いた「マンダロリアン内戦」は終結した。
しかし、デスウォッチは水面下で戦力の再建を続けており、やがてプレ・ヴィズラを指導者として復活。
トア・ヴィズラの死から二十年後を経た「クローン大戦」において再び表舞台に現れ、最終的にニューマンダロリアン政権を打倒するに至る。
また、かつてトア・ヴィズラがトゥルー派を罠に掛けた「惑星ガリドラーンの戦い」は、ジェダイ側の調査不足によって無実の罪を擦り付けられた相手を、ジェダイの暴力で殲滅し、しかも参戦したジェダイの半数以上が戦死する、という悲惨な結果となったことで、作戦指揮を担ったマスター・ドゥークーの心に深刻な亀裂を刻み込んだ。
さらに直後には、ガリドラーンの戦いにも参加したドゥークーの愛弟子コマリ・ヴォサが、ドゥークーと喧嘩した上に、独断専行の果てに「惑星バルティザーの戦い」に勝手に参加し、麻薬組織バンド・ゴラに捕まり死亡認定される、という事態も起きる。
他にも多くの要因があったが、「ガリドラーンの戦い」に始まる多くの異変が、数十年に渡りジェダイだったドゥークーをして「これでよいのか」と苦悩させ、最終的にシスの暗黒卿へと転向させる原因となった。
【余談】
もともとEP2発表直前に公表されたコミック「Jango Fett:OpenSeasons」のキャラクター。
もちろんCGアニメ版「クローンウォーズ」に登場するプレ・ヴィズラの元ネタでもあり、かつてのスピンオフ作品と繋げる意図で「ヴィズラ姓」「デスウォッチの組織名」「同じ紋章」をつけたという。
三叉の矛のような紋章は、もともと「デスウォッチの紋章」というものだったが、現在では「ヴィズラ家の紋章でもある」となっている。
また「クローンウォーズ」制作後の後付け設定で、トア・ヴィズラもダークセイバーを所有していた、という記述も加わっている。
「ジャスターはお前の教育を終えていなかったようだ。俺が追記・修正する方法を教えてやろう」
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▷ コメント欄
- ボタンの押し間違えで投稿してしまいました。新規項目申請ページにも申請してません。ちょっと待ってください。 -- 名無しさん (2022-09-03 17:35:40)
- ↑項目申請はあくまでダブりを避けるためにあるシステムなので記事作成に必須というわけではないですし大丈夫だと思いますよ、記事自体は出来上がってますしあとはタグを整えれば完成かと -- 名無しさん (2022-09-03 17:40:09)
- 修正しました。今後このようなことがないように尽力いたします。このたびは大変失礼いたしました。 -- 作成者 (2022-09-03 17:54:04)
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