グレイナイト(ウォーハンマー40K)

ページ名:グレイナイト_ウォーハンマー40K_

登録日:2022/02/10 (木) 22:01:17
更新日:2024/06/17 Mon 13:55:16NEW!
所要時間:約 88 分で読めます



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「我ら〈鈍色の騎士〉は鉄鎚にして、恐れる事無く闇を滅ぼす。我らは大いなる神秘と共に造られし第666戦団なり。」



画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Chaos Gate - Daemonhunters」より






グレイナイトとは、ウォーハンマー40Kに登場するスペースマリーン戦団の一つである。
人類を裏で脅かす〈渾沌の軍勢〉に秘密裏で立ち向かう専門のスペースマリーンたちであり、全員が異能力を振るう「異能者」(サイカー)でもある。彼らは古より伝わりし退魔の武器を携え、邪悪なる渾沌の悪魔(ディーモン)たちに果敢に立ち向かう。
他の作品で言えばあれとかこれとかそれを足して三で割ったようなものだと思えばいいだろう。


画像出典:warhammer40,000 公式サイトより(2022/02/10閲覧)



概要


〈人類の帝国〉は暗黒と戦争の只中にあり、無数の敵に四方を囲まれている。これらの脅威に敢然と立ち向かうは、超人戦士たる〈戦闘者〉もといスペースマリーン、無尽蔵の兵員を誇る「帝国防衛軍」(アストラ・ミリタルム)、神聖なる「巨人団」(タイタン・レギオン)のゴッドマシーンこと「巨人機」(タイタン)、信心深き〈帝国信条集〉の体現者「修道聖女会」(アデプタ・ソロリタス)、「万機神」(オムニシア)の忠実な下僕「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)そして、虚空を駆け巡る「帝国宇宙軍」(インペリアル・ネイビー)の艦艇群なり。
これら人類の諸軍の強大な軍事力を結集すれば、いかなる定命の異種族(ゼノ)も恐るるに足らず。しかしながら、人類の諸軍でも抗えきれぬ、恐るべき敵が存在する。
その名は「渾沌」(ケイオス)と呼ばれ、かの敵のもたらす災禍は堕落と大虐殺とに根差している。〈歪み〉(ワープ)の悪魔である渾沌にとっての勝利とは、人類の殲滅ではない。


人類を渾沌の暗黒神の意志に従わせることこそが、渾沌の我ら人類に対する勝利なのだ。


そのような敵と戦うには単なる軍事力ではなく、誘惑とは無縁の、純潔なる使命を持った軍団が必要であった。〈帝国〉内にはただ一つ、そのような能力を備えた軍団が存在する。
彼らは人類の最も暗き時代に鍛えられし古の騎士団。何千年もの間、人類と悪魔の間に立ちはだかり、人類の魂を守るための果てしない戦いにその身を捧げてきた戦士である。
彼らは神たる皇帝陛下が我ら人類に与え賜うた最後の恩恵であり、忘却されし科学技術と恐るべき異能力によって生み出された、如何なる誘惑にも腐敗にも屈せぬ、断固たる戦士の軍団である。


''彼らこそは、〈鈍色の騎士〉、「グレイナイト戦団」。渾沌の悪魔に対する、唯一絶対にして真なる防壁である。''


第42千年紀(西暦41000年代)を迎えた現在、グレイナイト戦団は、自分たちがかつてないほど苛酷な試練に臨んでいることを自覚している。皇帝陛下のもたらす導きの光が減じる一方、悪魔の侵攻(デモニック・インカ―ション)はより頻繁に、より苛烈になっているからだ。
しかし、グレイナイト戦団の長い歴史の中で、渾沌の誘惑に屈した同胞はほとんどなく、それは現在に至るも変わらない。かくして、グレイナイト戦団は悪魔への戦いを挑み続ける。
その一条の鋼の煌めきが、必ずや人類を、渾沌の闇から救済するだろう。


画像出典:コデックス「グレイナイト9版」(codex:GreyKnights) 表紙イラストより

【グレイナイトの特徴】
グレイナイトは以下の特徴を持っている。


  • グレイナイトの同胞たちは全員が超能力者である「異能者」(サイカー)であり、悪魔討滅を目的としたスペースマリーン戦団である。

  • 通常のスペースマリーン戦団と異なり、異端審問庁の管轄で戦団が運営されており、〈帝国〉内では秘密組織として人知れず悪魔たちと戦い続ける。

  • 選抜試験は通常のスペースマリーン試験よりも厳格であり、100万人に1人の確率でしかグレイナイトは誕生しない。

  • 秘密組織ゆえに、一般の臣民や一般兵がグレイナイトの姿を見かけたら最後、目撃者は異端審問官によって一人残らず抹殺される。

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ゲーム上の特徴




画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P3写真より


一言でいえばスペースマリーンをより更に高スペックかつ高コストにしたアーミー。少数精鋭でかつ歩兵がほぼサイカーで構成されている。
そのため、ほとんどのユニットがサイキックを使用できる。対サイキックに強いのはもちろんのこと、自信をサイキックで強化してゲームを有利に進めるのが基本的な戦略となる。


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グレイナイト戦団の起源

「未来は我々の肩にかかっている。我らには戦団の力と技量を保つ責任がある。完璧こそが我々に許容される唯一の基準である。あらゆる戦いの中で我々は成長せねばならない。悪魔の巧妙さに限りはなく、いかなる時においても彼奴らを下さねばならぬからだ。」



画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P20,P21イラストより


【概要】
グレイナイト戦団は、〈帝国〉内で最も謎に満ちた特務機関である。かの「異端審問庁」(インクィジション)の上層部にも、ごくわずかの者たちを除いて、グレイナイト戦団の起源を知る者はいない。
また、彼らの中にこの戦団についてすべての事実を知る者はいるかと問えば、彼らは否と答えるであろう。伝説によると、グレイナイト戦団らが初めて姿を見せたのは九つなる原初のスペースマリーン兵団(レギオン)が今日の戦団(チャプター)へと分割された〈第二期創設〉の騒乱のさなかであったという。
増え続けるスペースマリーン戦団の一翼を担うべく、第666番目の戦団として創設されたグレイナイト戦団はしかし、創設の瞬間から未来永劫に渡って、他のスペースマリーン戦団の同胞たちとは永遠に距離を保たねばならない宿命を背負っていた。〈第二期創設〉の戦団は、九つある忠誠派の兵団から分かたれ再編成されたものであったが、グレイナイト戦団だけは、人類の皇帝によって創設され、〈ホルスの大逆〉の末期に大詰めを迎えたある極秘計画に基づき、まったく新規に編成された戦団なのである。
【渾沌の脅威】
第42千年紀(西暦41000年代)から約1万年遡った006.M31(西暦30006年頃)、人類の皇帝は〈大征戦〉によって天の川銀河のほとんどを手中に収めた。''そんな中、皇帝の右腕である総主長であり大元帥である「ホルス」が、〈渾沌の神々〉に忠誠を誓い、反旗を翻した。''
この反乱は〈ホルスの大逆〉と呼ばれ、銀河の大半を巻き込んだ大規模で悲惨な内戦となった。014.M31(西暦30014年頃)、ホルス率いる大逆軍による侵攻が〈帝国〉の中心地である地球へと迫り、〈ホルスの大逆〉は最終決戦を迎えていた。
皇帝はこの大逆のただならぬ結末を予見していた。それは、たとえ皇帝自身が生き残ったとしても、もはや再び人類の護り手として力を振るうことが叶わぬほどの、悲劇的な運命を迎えるという。
渾沌の脅威をホルスとともに完全に打ち滅ぼすことはできず、大逆の終結後も人類に対する渾沌の侵攻は続くであろうと悟っていた。ではその時、いったい誰が渾沌の暗黒神とその悪魔による信仰から人類を護るのか?
皇帝の思惑とは裏腹に、心身ともに強化した超人兵士スペースマリーンですら渾沌の汚染を無視する事は出来ないという痛恨の事実を、〈ホルスの大逆〉は証明したのだった。忠実なる近衛兵団「カストード」らは未だ渾沌の汚染とは無縁であったが、彼らには来るべき戦いにおいて必要不可欠と考えられる、“自由意志”が欠如していたのだ。
【極秘計画】
かくして、自らの計画における敗北を味わった皇帝は、しかしその敗北を元にして、はるかに大局的な勝利を掴むための新たな計画に着手した。彼はまず、最も信を置く側近、〈印章の侍者〉(シギライト)「マルカドール」に命じ、戦禍に呑まれ傷ついた〈帝国〉の諸惑星を徹底的に調査させた。
マルカドールが探し求めたのは、その双肩に人類の未来を担わせるに足るほどの逸材であった。それは、平時であっても決して容易な任務ではない。
なお増して〈ホルスの大逆〉によって巻き起こされた無秩序の最中でこのような調査を行うのは、果たしてどれほどの困難な事であったか。人使いが荒いってレベルじゃねえぞ
しかしマルカドールは、未来を担う逸材の候補者たち12人を伴い、見事聖なる地球へと戻った。その頃、地球は既に大逆軍から激しい包囲攻撃を受けていたが、マルカドールらは巧妙極まる虚言の技を用いて、何物にも怪しまれる事なく敵の戦列を潜り抜け、無傷のうちに皇帝の前までたどり着いたのである。
厳めしき沈黙のうちに、皇帝はマルカドールが伴ったロープ姿の候補者たちを、しばし観察した。そして皇帝は、最も信頼篤き側近が申し分なく任務を果たしたことを見て取り、満足を覚えたという。
マルカドールと共に皇帝の前に参じた12人のうち、4人は厳格な気質と不屈の精神力を兼ね備えた卿(ロード)および行政官だった。そして残る8人は、全員が皇帝への高い献身と技能を備えたスペースマリーンであった。
彼らスペースマリーンのうち何人かは、皇帝に仕える栄光をかなぐり棄て、ホルスの約束する暗き褒賞に魅せられて反旗を翻した大逆兵団(トレイター・レギオン)の出身者である。だが、彼ら自身はその中でも皇帝への忠誠を棄てず、堕落せし同胞と果敢に戦った者たちであった。
申し分のない候補者たちを承認し、皇帝は計画を次の段階に進めるようマルカドールに命じた。
【秘匿されし衛星タイタン】
皇帝の前を辞すると、マルカドールと候補者12人は来た時と同様、厳重に包囲された「帝殿」(インペリアル・パレス)を誰にも見咎められることなく出発した。マルカドール一行は聖なる地球に残る者と、かの地を後にする者に分かれ、彼らの運命もまたそこから二つに分かれる事となった。
地球に残った4人の高官たちは、今日の「異端審問庁」(インクィジション)、すなわち〈帝国〉の軍事力全てとあらゆる高官や貴族に監視の目を配る強大な秘密機関の骨組を築く役割を担う事となった。一方でマルカドールは8人のスペースマリーンたちを、土星の衛星「タイタン」へと伴った。
タイタンに降り立った8人のスペースマリーンたちは、そこでマルカドールの配した強力な視覚障壁によって用意された要塞院を目にする・・。他ならぬ彼らのために用意された要塞院を。
要塞院の内部には新たなスペースマリーン戦団、すなわちグレイナイト戦団を編成するための全ての設備と、銀河系全体から選び抜かれた候補者たちが揃っていた。候補者の一部にはまだスペースマリーンに必要な肉体改造も訓練も受けておらず、また一部の者は忠誠派(ロイヤリスト)スペースマリーン兵団の中から極秘に選抜されていた。
新たに支給された「遺伝種子」(ジーンシード)は冷凍貯蔵庫に保存され、製造されたばかりの各種装備は隔離された武具庫に蓄えられていた。ここで結成されようとしていたのは、数万人単位の巨大兵団ではなく、より小規模かつ緊密な、そして多種多様な任務を果たす修道騎士団のような形態の戦団であった。
マルカドールはグレイナイト戦団創設の初期段階を監督したが、それ以降の発展を見届けるまでタイタンに留まり続けて全てを監督する事はできなかったため、8人のスペースマリーンの中から1人、時至ればグレイナイト戦団を率いる事となる指導者を選んだ。
選ばれたのは「ヤヌス」である。彼は初代の「至高騎士団長」(シュープリム・グランドマスター)となり、グレイナイト戦団を率いて最初の試練を挑むこととなった。


実はヤヌスは元々「レヴュー・アルヴィダ」というサウザントサンズ兵団に所属するスペースマリーンであり、彼は総主長''「マグヌス」''の正義の魂と融合した姿なのだ。
マグヌスの魂は惑星「プロスペロー」の戦いにて総主長「レマン=ラス」によってバラバラに砕け散り、その破片は銀河系中に飛散した。そのうちの一つである「マグヌスの良心」とレヴュー肉体をマルカドールが融合したことにより、新たなる存在ヤヌスが誕生したのだ。
すなわち、グレイナイト戦団はマグヌスとサウザントサンズ兵団の存在が無ければ成り立たなかったのである。


順調に準備が進められていく中、衛星タイタンは突如、現実宇宙から姿を消してしまった。これはマルカドールが意図的に儀式魔術を使って消したのか、はたまた何かの事故や外部からの介入によってもたらされたものか、その真実を知る者ごくわずかだ。
〈歪み〉へと移転した衛星タイタンは忠誠派、大逆派の目から姿を消し、グレイナイト戦団の存在は歴史の表舞台から完全に秘匿された状態となったのだ。
【グレイナイト、始動】
タイタンが現実宇宙から姿を消している間、〈ホルスの大逆〉は皇帝とホルスの一騎打ちにより、忠誠派の軍勢が勝利を収めた。皇帝はホルスを打ち破ったが、ホルスから致命傷を受けてしまう。
〈黄金の玉座〉と呼ばれる生命維持装置接続された皇帝は植物人間と化し、動くことも命を下すこともできない生きる屍と化してしまったのだ。〈ホルスの大逆〉が終結した7年後、銀河系全体を混乱と無秩序が覆った〈第二期創設〉の時代に、衛星タイタンは再び現実宇宙へと姿を現した。
姿を消していた間、衛星タイタンは〈歪み〉の影響によって長い年月が過ぎていた。実際には現実宇宙では7年しかたっていないが、〈歪み〉の影響を受けていた衛星タイタンはそれよりもはるかに長い年月を過ごしており、その間に絶え間ない訓練を続けていたのだ。
初期には8人のスペースマリーンと大量の未訓練候補者で構成されていたグレイナイト戦団は、現実宇宙に衛星タイタンが戻る頃には、全訓練課程を修了した完全武装を施された1000人の同胞を率いる悪魔狩りの戦団へと生まれ変わったのだ。
【666番目の戦団】
この頃、他のスペースマリーンは総主長「ロブート・グィリマン」によって著された軍事規約〈戦いの聖典〉(コデックス・アスタルテス)の訓えに従い、強大なるスペースマリーン兵団(レギオン)を複数のスペースマリーン戦団(チャプター)へと分割された。これはスペースマリーンが反乱を起こした際の予防策でもあり、数万人規模のスペースマリーン兵団よりも、千人規模のスペースマリーン戦団のほうが反旗を翻した際の被害が少ないためである。
そのため〈第二期創設〉では数多くのスペースマリーン戦団が創設された。〈第二期創設〉のほとんどの過程は、新たに創設された組織である「異端審問庁」の指示の下で行われていたが、その中心となっていたのは、7年前にマルカドールが地球に連れてきた4人の人間たちである。
彼らにとって新たに創設されたグレイナイト戦団に戦団識別番号を付与して、増大するスペースマリーン戦団の編成一覧の中へ密かに組み込むことなど造作もなかったことだろう。ただ奇妙なことに、この時点ではまだ400個程度の戦団しか承認されていなかったのだが、グレイナイト戦団は何故か666番という戦団番号が与えられていたのだ。
それと同時に異端審問庁の中でも渾沌に関する分野を担当する部門〈鉄槌の団〉では、グレイナイト戦団の存在を一切秘密にすることと秘密を守るための支援を行うことを決定し、以来、グレイナイト戦団は〈帝国〉で公表されることの無い秘密の戦いを開始したのである。そしてその後、ごく瑣末な記録だけを残し、グレイナイト戦団についての詳細情報は続く百年の間に抹消されていった。


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タイタンの古城

「悪魔は多くの姿を持つ。汝はその全てを知らねばならぬ。汝は悪魔の偽りを見抜き、その本質を隠れ家から引き抜かねばならぬ。何者も信じてはならぬ。汝自身についても例外ではない。忌まわしき生よりはむしろ無益な死を選ぶ方がよい。熱心なる殉教はその勇気によって讃えられ、臆病と無防備は正しく嫌悪されるであろう。」

-第一の教化の書より抜粋



画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P8イラストより


【概要】
土星の衛星タイタンの地形には、液化メタンを湛えた氷結火山の山脈や大洋が果てしなく広がる。そこにそびえるアナーク山の陰に隠れたグレイナイト戦団の要塞院は、鋸の刃を思わせる黒き尖塔のように、氷と液化メタンの海から突き出している。
この要塞院が建造されてから、長い長い年月が経過した。厚い埃が積り、足音が重々しく反響するその広間には、一万年にも渡る数々の戦いの勲が掲げられており、他のスペースマリーン戦団には、霞んだ金文字で記されたそれらの戦役の名を知る者すらもはや数少なかろう。
この壮大なる建造物は、一千人を超えるスペースマリーンと、彼らに必要な兵器群の全てが収容可能となるよう設計されているが、現在は人影も少なく、重々しき沈黙によって満たされている。近年、悪魔の脅威は銀河の至る所で発生し、それらを撲滅するために、グレイナイト戦団の同胞は数々の星々の海に広く散っているからだ。
ただ一ヵ所、スペースマリーンの候補となる「志願者」募集の場にして、休むことなき訓練の場でもある〈試練の間〉(チェンバー・オヴ・トライアル)からのみ、過酷な修練に勤しむ志願者のどよめきが聞こえてくる。要塞院内の他の場所では、グレイナイトたちが各々の義務を沈思黙考のうちに果たしつつ、自らの終わりなき使命について思いを巡らせている。


  • 「〈試練の間〉(チェンバー・オヴ・トライアル)」

【概要】
〈試練の間〉は、グレイナイトの候補者である「志願者」(アスピラント)が最初に送り込まれる場所であり、彼らの訓練が始まる場所でもある。その尖塔群の頂では、休むことなくシャトルが発着し、新たな志願者を続々と迎え入れ、逆に死体に変わった志願者たちを送り出しているのだ。
これらのシャトルの発着は、要塞院にそびえる二基の巨大な惑星レーザーシステムによって休むことなく監視されている。定められた発着航路から少しでも外れようものならば、これらのシャトルはたちまち二つのランス砲撃による収束ビームを受けて撃墜されるであろう。
ランスから発射されし赤熱したエネルギーは、戦闘艦ですらも一瞬にして切り裂き、焼け焦げたスクラップへと変えるのだ。グレイナイトとなる素質にかける者をいち早く間引く必要性から、戦団の訓練の初期段階は厳格を極める。
皇帝自身の遺伝種子という賜り物はあまりにも貴重であり、その価値は他と比べようもなく、みすみす浪費することは断じて許されないからだ。一千人もの志願者の中から、たった一人のみが、呪われし「ザナドゥ・レギオ」の平原を巡礼する最初の通過儀礼を生き残るという。
だが、これで終わりではない。その志願者は続いて、「ガネーシャ・マキュラ」の地下に走る真っ暗な洞窟の中を、長時間行脚しなくてはいけないのだ。誰もが口をそろえて言う通り、肉体と精神の両面を試す過酷な全試練を突破し、常人からグレイナイトへと変身できるのは、たった百万人に一人しかいないのである。
【新修士(ネオファイト)】
グレイナイトへと変身していく際の肉体的変化は、〈試練の間〉の最深部で行われる。「精神手術」(サイコ・サージュリー)や「生体改造」(バイオ・エンジニアリング)のための設備が入り組んで迷宮のような様相を呈しているそこは、倦むことを知らぬ「技能奉仕者」(サーヴィター)たちによって管理されている。
ひとたびここまでの通過儀礼が完了すると、志願者はいよいよ「新修士」(ネオファイト)としての運命を歩み始め、真の訓練が開始されるのだ。潜在的な技能は「騎士団筆頭剣士」(ブラザーフッド・チャンピオン)の手によって鍛え直され、サイキック能力は「司書官」(ライブラリアン)によって徹底的に高められる。
しかし、それらの中で最も重要なのは、如何なる誘惑にも、渾沌のまことしやかな欺瞞にも、悪魔の甘い嘘にも囚われて堕落しないように新修士の精神を鍛え上げるべく、何度も繰り返し執り行われる〈憎悪の儀式〉だ。渾沌との戦いは、さながら呪わしき澱みの大河を渡るようなもの。
魂にいささかの穢れも受けずにそれを渡り切るには、断固たる闘士と、純潔なる心とを保ち続けなければならない。これら最後の試練の数々を通過した新修士のみが、ようやくグレイナイトの位階へと進めるのだ。
【銀河に散りゆく徴収人】
〈試練の間〉からは、志願者徴収のための〈徴収人〉(ギャザラー)たちが、銀河中に散ってゆく。〈徴収人〉となれるのは、長年グレイナイトとして聖務(ミッション)に仕えてきた者か、あるいは重症を負い、もはや戦団の主任務に従事できなくなったものの、未だに鋭い感覚と強い精神力を持ち合わせ、凡庸なる有象無象の中からグレイナイトに相応しい候補者である志願者を見つけ出す能力を買われた者である。
〈徴収人〉には無制限の権限が与えられている。各スペースマリーン戦団が志願者募集を行っているのは、〈帝国〉領内のごく一握りの限定された惑星に過ぎないが、グレイナイトの〈徴収人〉たちは銀河全域の惑星から素質ある者を徴収することができるのだ。
とはいえ、生存のために肉体的、精神的な強靭さが必要とされる野蛮な惑星が優先的に目を向けられる傾向が強くはある。
【黒き方舟】
〈徴収人〉らは、〈帝国〉領内を幽霊船の如くさまよって、わずかばかりの異能者を租税として集める宇宙船である「黒き方舟」(ブラックシップ)からグレイナイトの志願者を徴収することも珍しくない。通常〈帝国〉内に住む異能者は政府から危険視されており、場合によっては都市が一つ壊滅するほどの力を有している場合もある。
そうした危険な力を持つ異能者は、惑星の総督府によって捕らえられ、〈帝国〉の租税の一種として納税される。黒き方舟はそうした積み荷である異能者たちを銀河中から集めて、〈聖なる地球〉へと運んでいるのだ。
〈徴収人〉らは黒き方舟の“積み荷”から、直接志願者を徴収することも辞さないし、他のスペースマリーン戦団から志願者を徴収する惑星で同じことを行う場合もある。実際、いくつかの戦団、とりわけ「エクソシスト戦団」と「シルバースカル戦団」は、自分たちの徴収した志願者の中に、グレイナイト戦団が興味持ちそうな人材が見つかった場合には、〈徴収人〉たちに直接その旨を知らせている。
各スペースマリーン戦団が存続できるか否かは、欠員を補充する事が可能か否かにかかっているため、ある戦団が志願者を進んで差し出すならば、それは実に栄えある捧げ者といえるだろう。これらは、グレイナイト戦団を知るごく少数の者たちから捧げられる崇敬の証でもあるのだ。


  • 「〈予兆の間〉(オーギュリウム)」

【概要】
グレイナイト戦団の〈予兆の間〉は、要塞院の最も高い漆黒の尖塔頂上に位置する。内部は湾曲した天井で壁は鏡張りになっており、グレイナイトの〈予見官〉(プログノステイカー)らが、おびただしく蝋の垂れた無数のろうそくの灯りの中、瞑想と儀式に励んでいる。
彼らは極めて強大かつ高度に専門化した異能者だ。〈歪み〉の特定の変動を敏感に察知し、これから起こるであろう「悪魔の侵攻」(デモニック・インカ―ション)がいついかなる場所で、またどれほどの程度で引き起こされるかを予見するのだ。
この能力を聞く限り、彼らは謎めいた神託をもたらす預言者のように思えるかもしれないが、実際は預言者というよりも狩猟獣めいた方法で予見は行われる。なぜならば、彼らのサイキック能力と感覚は、「非物質空間」(インマテリウム)に渦巻くエネルギーの流れの中で、悪魔の不浄なる痕跡を嗅ぎ取りどこまでも追い続ける。
さながら狩猟本能と呼ぶべきレベルにまで先鋭化し特化しているからだ。
【鈍色の騎士、出撃】
〈予見官〉から警告を受けると、迫り来る脅威の規模に応じてグレイナイト戦団は戦闘態勢を整える。〈予見官〉の警告は一定の割合で不正確な部分が含まれる傾向があるが、悪魔撲滅という至上任務を達成するにあたって、彼らの予見は必要不可欠なものとなっている。
グレイナイトの司令官がもし、〈帝国〉の旅客船に潜伏している一体のディーモンを確実に現実世界から撃退するために、この旅客船の撃墜命令を下したとしよう。この司令官に必要なのは、無神経な冷酷さではなく、厳しくも実用主義的な決断である。
常人には知り得ぬことだが、この司令官は〈予見官〉の予見によって「もしこの一体の悪魔を逃していれば、撃墜されて命を落とした旅客船の乗客よりも遥かに膨大な数の魂に、渾沌の汚染が拡大していたであろう」と知り得ていたのだ。グレイナイトと悪魔との闘争の中で、犠牲者の人数は増え続ける定めにある。タイタンの子らであるグレイナイト戦団に出来る事は、ただ犠牲者の数を僅かに抑える事のみ。
仮に1000万人の命を救うために、100万の命を犠牲にする事が必要だったとしても、それは必要な犠牲に他ならないのだ・・。


  • 「〈純潔の間〉(チェンバー・オブ・ピュリティ)」

【概要】
戦団に残された伝説によれば、アナーク山の底部には大いなる邪悪が埋葬されているという。この邪悪を捕らえておくためには、普段の監視と不壊の守護者が必要であり、そのためにこそタイタンのこの場所がグレイナイト戦団の拠点と定められたのだろうか?
その真実は、グレイナイト戦団設立当初からの唯一の記録書である〈鋼の書〉(アイアン・グリモア)にのみ記されている。それは甲高くきしむ異形の金属で装丁された大判の書物であり、一文字一文字が聖人の血で記されているという。
至高騎士団長ただ一人が〈鋼の書〉を読むことが許されているのだが、これはおそらく戦団設立当初より現在まで、外部の者は言うに及ばず、戦団内の同胞に対してさえもその内容を明かすべきではないと考えられてきたからではなかろうか。戦団に残る伝説と関連があるのかは定かではないが、〈鋼の書〉の中ではタイタンの巌たるアナーク山を“墓穴”に、〈純潔の間〉を“墓石”に例えている。
〈純血の間〉は要塞院内で最も古い区画であり、そこに配されているのは、同胞の中でも最も尊き「浄化者」(ピュリファイヤー)たちである。この場所に外部の者が通されることは、極めて稀だ。
浄化者たちだけが、タイタンの巌のそこに横たわる何かの正体を知っていると言われているが、彼らはそれを戦団の騎士団長たちにさえ明かす事は無い。今のところ明らかなのは、タイタンの巌がひとたび地震の如く鳴動すると、浄化者たちは〈純血の間〉に至る通路を封印し、黒曜石の扉を固く閉ざす。
そして鳴動が止み、再び状況が回復すると、扉の封印を解き放つということだけだ。
【究極の裁定(タルミヌス・ディクリー)】
〈純血の間〉の奥深くには、マルカドールその人が埋葬されたと伝わる、厳重に施錠された墓室がある。墓室内には黄金の封印によって飾られただけの簡素な木製の箱が収納されていて、その中には皇帝直々の命令がしたためられた古の羊皮紙が収められているという。
その命令にはただ、〈究極の裁定〉とのみ呼ばれている。この収納品に関する一切の記録は、〈帝国〉の如何なる「蔵書院」(ライブラリウム)にも存在せず、グレイナイト戦団の至高騎士団長以外には一切秘密にされてきた。
グレイナイト戦団の至高騎士団長だけがこの箱の開け方を知っており、人類の未来に対する全ての希望が失われた時にのみ、彼はこの箱を開ける事になっている。〈究極の裁定〉はグレイナイト戦団が抱える究極の秘密であり、その内容は〈帝国〉をも跪かせるほど重大であるという。
あるいは、人類史上最悪の暗黒の時代において、〈帝国〉に大いなる救済をもたらすとも伝えられている。その内容に関する正確な情報は一切不明であるが、唯一の手掛かりがあるとすれば、箱に施された黄金の封印であろうとされている。
聞くところによれば、その文様が完全に一致する別の封印が、広大なる〈帝国〉領域内でただ一ヵ所に見出されるという。その場所とは、他ならぬ地球の「帝殿」奥にある皇帝が座す〈黄金の玉座〉である。


  • 「〈死者の間〉(デッド・フィールド)」

グレイナイトは誰しも、死を迎えた後は自分の遺体がタイタンへと戻され、聖別されて、〈死者の間〉に埋葬されることを強く望んでいる。この地下墓所は戦団の最初期以来、誉れ高き戦死者たちをその懐に抱き続けているのだ。
彼らの生前の姿は浮彫(レリーフ)となって刻まれ、青き炎に照らされているという。しかしながら、同胞の遺体が戦いの混乱の中で失われてしまい、〈死者の間〉に埋葬する事が叶わないことも少なくはない。
ただ、もし遺体がタイタンまで戻ることが叶わなかったとしても、栄光の戦死を遂げた同胞の名前は玄武岩でできた墓所の壁面に刻まれ、戦団の偉大なる英雄たちと共に列せられ、永久に追悼されるのだ。


  • 「〈英雄の間〉(ホール・オヴ・チャンピオン)」

【概要】
〈英雄の間〉は、グレイナイト戦団の偉大なる戦士たちと、すなわち「聖騎士」(パラディン)たちの座す間だ。戦団の英雄たちが、大理石の彫像となって壁を幾重にも取り巻いている。
彫像となっているのは、歴代の聖騎士、「騎士団長」(グランドマスター)、「騎士団支援隊長」(ブラザーフッド・チャンピオン)など、類まれな武勲を認められた者たちであり、彼らの姿は新たな世代のグレイナイトたちを鼓舞し続けるのだ。グレイナイトらが祝祭を催す際、〈英雄の間〉はまるで戦場に変わったかのような規模で、丸天井の垂木に戦勝の記念物が飾られる。
それらは武器、軍旗、装甲服の破片、およびあまりにも特異なために、一瞥しただけでは何なのかわからない遺物(アーティファクト)などだ。これらの戦勝記念物は悪魔に由来するものではなく、ほとんどが定命なる敵との戦いで勝ち得た物である。
グレイナイトの主任務は悪魔の脅威と戦う事だが、同時に彼らはおびただしい異種族、変異体、異端者とも戦ってきており、〈英雄の間〉に飾られるのはそれらの勝利の証なのだ。
【わずかな希望の象徴】
〈歪み〉由来の戦勝記念物は、広間の壁ではなく、その最深部に固定されている。中でも特筆すべきは、グレイナイト戦団にとって最も長く、また最も過酷な戦役となった迷宮惑星(ワールドメイズ)「イップ」の戦いにおいて、幾度となく激しい攻撃を加えてきた悪魔「イレム=ナス」、すなわち“ナルーの魔王”の炭化した頭蓋骨である。
今やこの悪魔の呪わしき魂は、「騎士団長」(グランドマスター)たちが座すべき「高位の卓」(ハイテーブル)のさらに上に飾られたイレムナスの頭蓋骨の中に閉じ込められ、三人の「祭壇奉仕者」(アコライト)による不断の詠唱によって繋ぎ止められている。彼ら三人の役目は、この悪魔を捕縛している魔術的牢獄の力が途切れないように維持し、見張り続ける事のみである。
グレイナイト戦団にとって、イレム=ナスの頭蓋骨は悪魔に対する最終的な勝利が不可能ではないことを示す僅かな希望の象徴であり、またイレム=ナス本人にとっては、この上なく苦痛に満ちた拷問である。イレム=ナスは、ここから永遠に逃れられないだけでなく、憤怒に身を焦がしたまま成す術もなく力を失って消滅していくまでの間、憎みべきグレイナイトたちの勝利が祝福され続けるのをじっと眺め続けなければならないのだ。


  • 「〈至聖の間〉(サンクトゥム・サンクトラム)」

【概要】
この広間には、グレイナイト戦団の長い歴史の中で積み重ねられた、膨大な情報が収められている。〈至聖の間〉は、多くの意味でグレイナイト戦団の中心部ともいえる場所であり、現在に至るまで蓄えられた珠玉の知識の宝庫である。
その中には、戦団創設以前の何千年にも渡る皇帝その人の経験すらも、知識として蓄えられているという。この広間ではまた、戦団独自の特殊装置や悪魔狩りの武具である「ネメシス・フォースウェポン」製造に関する秘密が厳重に管理され、グレイナイト戦団が駆使する数々のサイキック能力や儀式に関する情報も同様に収蔵されている。
闇に閉ざされた〈至聖の間〉には、魔群の書庫(ライブラリウム・ディーモニカ)も存在する。そこには、グレイナイト戦団が有する、悪魔に関するすべての知識が所蔵されているのだ。
曲がりくねった回廊には、年経りた樫の飾り書棚が隙間なく立ち並び、厳重な管理下に置かれている。書棚の一段一段は、ボロボロになった巻物や、無骨な大判の書物や、滅多に取り出されることの無いくすんで黒ずんだ「データクリスタル」の山などで一杯になっており、その重みでたわんでいる。
それらの貴重な知識の断片を、万が一にも悪しき者の手に渡してはならないという厳しい警戒態勢が敷かれており、かの皇帝が座す「帝殿」(エンペラーズ・パレス)を除けば、全〈帝国〉領内でこの不吉な書庫ほど厳重な防衛態勢がとられている場所は無いという。まず魔群の書庫は三重のアダマンチウム隔壁に囲まれ、各隔壁の厚さは数メートルにも及ぶ。
さらに、聖別された香油によって、太古に死滅した言語で〈印章の魔術〉(シギライト・エンチャントメント)が記され、近づく者を見張る銀の封印によって警備システムが形成されている。加えて、この蔵書庫の中心部へと至る道には、三つの関門が存在する。
一つ目は暗号で施錠された防爆扉、二つ目は空間変異フィールド、三つめは魔力の〈渦〉(ヴォーテックス)である。各関門には高位の「司書官」(ライブラリアン)が一人ずつ門衛として配置されており、彼らに関門通過に必要な証を示さずに接近する事は、直ちに死を意味する。


  • 「〈迷宮の間〉(ヴォールト・オヴ・ラビリンス)」

【概要】
〈至聖の間〉の一角には、時間の流れすら封印された、何者も逃げおおせぬ「停滞(ステイシス)フィールド」に覆われた収蔵施設がある。施設内には人間以外の種族である「異種族」(ゼノ)の技術がもたらした、握りこぶし大のおびただしい「四次元立方体」(テッセラクト)によって構成されている“迷宮”が構築されているのだ。
四次元立方体とは、純然たるエネルギーだけで構成された存在をその内部に閉じ込めておくことが可能な特殊物体であり、悪魔に対しても効果を発揮する。悪魔にとって、このような代物に閉じ込められることは、文字通り死よりもなお悪い運命であろう。
本来ならば、たとえ物質空間(マテリウム)で肉体を破壊されて戦死しても、ケイオスディーモンの魂は〈歪み〉へと舞い戻る。そして己の主たる暗黒神に新たな肉体を乞い願い、数百年の時をかけて肉体を復活させることも可能だ。
しかし、四次元立方体に幽閉された悪魔は永遠に〈歪み〉へと隔離されてしまい、時の経過と共に悪魔の自我はすべてのエネルギーを失ってしまう。そうなれば最後、悪魔の自我は〈鉄槌の団〉(オルド・マレウス)の異端審問官が尋問を試みようとした際などに、束の間取り戻されるのみである。
【封印されし悪魔】
何千年もの時間をかけて、グレイナイト戦団が〈迷宮の間〉の四次元立方体に封印することができたケイオスディーモンは、僅かに数十体しかおらず、この銀河の侵攻してくる悪魔全体の脅威に比べれば、微々たる成果である。そもそも、四次元立方体迷宮に悪魔を封印する事は、決して簡単な作業ではない。
何故なら、グレイナイトたちは単純に悪魔を打ち倒すだけでなく、窮地に追い込んだ悪魔が物質空間での肉体を放棄して逃げ出すことを阻止しなければいけないからである。さらに、四次元立方体迷宮にへと封印できるのは、ほぼ間違いなく「下級悪魔」(レッサーディーモン)だけだ。
下級悪魔とは比較にならないほど強大な「上級悪魔」(グレーターディーモン)に対して、四次元立方体迷宮への封印に成功したという例は、ただの一度きりしかない。だが、不可能ではないのだ。
四次元立方体迷宮は、人類が悪魔に対して完全なる勝利を収められるという希望の象徴であり続けている。
【謎の異種族技術】
現在のところ、四次元立方体迷宮は十分に機能しており、グレイナイトたちはその科学技術に信頼を寄せてはいる。しかし、この戦団が全幅の信頼を寄せているのは、科学技術ではなくむしろ妖術の力だ。
すべての同胞が四次元立方体の背後にあるテクノロジーを理解しているかどうかは、極めて疑わしい。何しろ、四次元立方体を起動させるための単純なボタン操作は、いつしか魔術儀式によって置き換えられ、呪文を唱えたり、印を結んだり、方陣を描いたりといった所作が追加されてしまっているのだから。
戦団の技術官がこのようなテクノロジーを取り入れ、新たに複製することができないでいることは、何ら驚くに値しないだろう。グレイナイト戦団と四次元立方体の作り主たる謎の異種族とのつながりは、長い年月の中でもはや失われて久しい。%%いったい何ロンなんだ・・。%%
ごくわずかな四次元立方体迷宮だけが、グレイナイト戦団の元に残され、使用され続けたのだ。


  • 「〈歪みの結び目〉(ワープ・ネクサス)」

【概要】
要塞院の心臓部には、〈歪みの結び目〉(ワープ・ネクサス)と呼ばれる星型の部屋が隠されており、そこに固定された“力”によって周囲の空気すらもが拍動している。かつて、荒れ狂う非物質空間の奔流のただ中に浮かぶタイタンと要塞院を護り続けていたのは、数百人を超える「戦団奴隷」(チャプターサーフ)の絶え間なき詠唱と祈りによって力を与えられた、〈歪みの結び目〉の六芒星と印章であったという。
幾千年紀も前から、〈歪みの結び目〉を保持するための努力が払われてきた。その理由の一つは、これが〈印章の侍者〉マルカドールによって残された重要な遺物の一部だからだ。
加えて、〈歪みの結び目〉の力を再調整できれば、万が一の事態が起こった際に、再びタイタンに安全な避難先を用意できるという、より実用的な目的もある。このため、〈歪みの結び目〉の回廊には、近年再び詠唱の抑揚がこだまし始めた。
だが悲しむべきことに、現在を生きるグレイナイトたちの中にはもはや、マルカドールが用いた妖術の詳細を知る者はいない。そのため現在のタイタンは、星ごと〈歪み〉の停泊地には留まっておらず、むしろ常に両足を別々の岸にかけている状況、すなわち物質空間と非物質空間にそれぞれ同時に存在している状態となっているのだ。


  • 「〈鋼の炉〉(スティールフォージ)デイモス」

【概要】
グレイナイト戦団設立当初より、あらゆるスペースマリーン戦団を差し置いて、「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)に対し戦争のためのあらゆる兵器の供給と頻繁な技術交流を求めてきたのは周知の事実である。この要請に見合う供給を実現させるために、グレイナイト戦団は遥か昔に、戦団専用の工業惑星を受け継いだ。
それこそはデイモスであり、帝国技術局の最も古く、また最も厳重に護られた秘密の技術によって、火星の衛星軌道からタイタンの周囲に移動させられた衛星である。スモッグに取り囲まれたデイモスの「工場」(マニュファクトラム)群は、昼夜を問わず雷鳴の如き轟きを発し、「サイキャノン」の弾薬を補給し、ランドレイダーや戦闘艦の艦載砲に装甲化作業を施している。
グレイナイト戦団の様々な特殊兵器はデイモスの地下工廠で造られているが、いくつかの物、主に「ネメシス・フォースウェポン」は例外である。これらはグレイナイト戦団要塞院の最も神聖にして侵すべからざる中心部にて、異端審問庁の祝福とは程遠い装備のいくつかと共に、グレイナイトの技術官が細心の注意を払って製造にあたっているのだ。
【漏洩防止策】
デイモスで製造されたウォーギア(武具)は、特有の方式で戦団に譲渡される。その譲渡方式においては通常、あらかじめ命令以外の行動がとれないように精神洗浄が施された、感覚の鈍い、生気のない目をした「技能奉仕者」(サーヴィター)が運搬の任にあたる。
帝国技術局に対して、衛星タイタンの数々の秘密を明らかにしたくないグレイナイト戦団にとっても、自分たちの全てがグレイナイト戦団に明らかとなることは避けるべきリスクであると考える帝国技術局にとっても、この方法は必要不可欠なものである。両者のこの姿勢は、両者が恐るべき情報を秘匿したまま、その漏洩と悪用とを未然に防いでいるという点において、実に合理的と言えるだろう。
万が一、両者の秘密を知り、それを乱用する者が現れた場合、〈帝国〉そのものがその恐るべき秘密の乱用者に跪く事態となってしまうからだ。


  • 「軌道防衛基地〈大剣〉(ブロードソード)」

【概要】
軌道防衛基地〈大剣〉は現在、タイタンの要塞院上空の静止軌道上に配備されている。それはアダマンチウムとセラマイトによって築かれた、蜘蛛の巣の如き格子状の建造物だ。
逆立った毛のような防御用レーザー砲群、シールド発生装置群、宇宙魚雷(トルビード)発射装置群などが至る所に屹立している。不測の事態が発生し、タイタンが直接的の攻撃にさらされた場合、軌道防衛基地〈大剣〉は第一防衛線を形成するが、その本来の目的は宇宙空間を航行する艦艇のドッグヤードであり、グレイナイト戦団の宇宙艦隊用輸送基地である。
グレイナイト戦団の宇宙艦隊はその規模や運用能力が明らかとなればおそらく、〈帝国〉全域から羨望の眼差しを浴びるであろう。彼らの艦艇は帝国技術局が提供し得る中で最も高速であり、「航宙貴族」(ナヴィス・ノビリテ)の最高の「航宙士」(ナヴィゲイター)と、最も信頼に足る艦長の指揮のもとに運行されているからだ。
この純然たる機械の力は、グレイナイトの妖術の力によってさらに強化される。「先導」(パスファインディング)のサイキック能力は航宙士の能力を増強し、逆巻く〈歪み〉の渦を避けて正しい航路を航行させ、「活性化(クイックニング)の印章(シギル)」は、船体を考えられないほどの高速度で推進させるのだ。
ただし、このような魔術的手段は、最適な条件下で作用したとしてもとても不安定なものであり、艦艇の機械精霊(マシーンスピリット)やエンジン群は魔術の力によってしばしば変調をきたし、重い代償を支払うことになる。それゆえグレイナイト戦団の艦艇は、戦場に待機している期間の大部分を、修理に費やしていることが珍しくない。
この代償は安くないが、相応の見返りは望める。というのも、このスピードのおかげでグレイナイト戦団はしばしば、悪魔の侵攻が発生する地点への攻撃の第一波として到着できるからだ。
それを裏付けるかのように、後続の〈帝国〉諸艦隊がそのような戦場へと到達した際「すでに撃滅された敵の残骸しか見当たらず、如何なる戦闘が行われたか、もはや皆目見当もつかない。」という多くの記録と事例が存在する。


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神聖なる功績

悪魔に対する我らの憎悪と、我らの振るう妖術との間に、矛盾を見出す者もいるであろう。しかしながら、この矛盾は脆弱なる人間の精神のうちにしか存在せぬ。そして我らは斯様な者どもに対して何ら説いて聞かせる義務など持ち合わせてはおらぬのだ。

騎士団長(グランドマスター)ヴァルダー・オーリコン


【概要】
グレイナイト戦団は常に、人類防衛の最前線に立ってきた。にもかかわらず、〈帝国〉の他の軍事組織とは遠く隔てられてきたという事実がある。
何者にも破れぬ多重暗号と、強制記憶抹消という秘密の帳に隠されているがゆえに、グレイナイト戦団の実在に関する秘密が、〈帝国〉最高位の者たちとスペースマリーンの戦団長以外には明かされる事は無いのだ。スペースマリーン諸戦団にとってさえ、グレイナイト戦団は概ね噂の産物であると見なされてきた。
ほんの一握りの戦団のみが、その存在に関する公式な情報を有しているのだ。グレイナイト戦団はもっぱら異端審問庁の指揮下で活動してきたがゆえに、帝国防衛軍の諸官にとっても、〈帝国〉の臣民にとっても、グレイナイト戦団は完全に伝説の存在であり続けている。
【孤独なる騎士たち】
グレイナイト戦団を取り巻く秘密の帳は、極めて厚い。そして彼らの自身と異端審問庁は、その秘密の帳を歩くすることに対して多大なる労力を払うのみならず、容赦ない手段をも頻繁に用いてきた。
知識は力なり。ゆえに、グレイナイト戦団の知識を秘匿する事は何よりもまず、グレイナイト戦団という絶大なる力を保護するための、最も重要な基本方針であった。
彼らは可能な限り単独行動をとり、他の皇帝陛下の下僕たちから自分たちの存在に関するあらゆる情報を隠し、なおかつ彼らが対峙する悪魔の脅威の規模や範囲については、いかにおぼろげな情報でさえも否定してきたのだ。いくつかの戦いにおいては、グレイナイト戦団単独での勝利は獲得できなかったため、しばしば彼らは他のスペースマリーン戦団や帝国防衛軍、その他の〈帝国〉の軍事組織のすぐ側で戦わざるを得ない場面もあった。
そのような状況下においては、グレイナイト戦団の気密性を維持するために、異端審問庁はさらなる強硬手段を取らざるを得なくなる。
【存在抹消と精神浄化】
そうした強硬手段の一例として、グレイナイト戦団と戦場を同じくした友軍である帝国防衛軍の兵士たちがその戦闘から生還した場合、彼らは例外なく処刑されている。帝国防衛軍は実に簡単に、いつでも何度でも潤沢に補充できる人的資源であるため、異端審問庁にとってはこの強硬手段によってグレイナイト戦団の秘密が保たれることの方が、帝国防衛軍の兵士を多少失う事よりも遥かに好ましいのだ。つまり一般兵士は消耗品
また、グレイナイトや渾沌の悪魔を見かけた一般臣民も例外なく処刑対象となっている。
無論、例外が無いわけではなく、帝国防衛軍の中隊や連隊がその戦場で類まれなる軍功を立てた場合は、死の宣告は「精神浄化」(テレパシック・スカウアリング)へと減刑される。
もっとも、精神浄化自体は死亡率は高く、過酷であることに変わりはないのだが・・。こうして軍功を立てた有能な兵士はグレイナイト戦団に関する危険な情報を何一つ思い出すことがなくなったと判断されるまで、拷問の如き精神浄化は続くのだ。
【記憶抹消】
これがスペースマリーンの場合は事情が異なる。彼らは帝国防衛軍の兵士に比べてあまりにもその能力が高いために、貴重な人材をむざむざ処刑するわけにはいかないからだ。
そのため精神浄化よりは時間がかかるが、より安全性の高い「記憶抹消」(マインドワイプ)の施行を受ける。記憶抹消を拒み、帝国防衛軍と同じ運命を辿ろうとする戦団はほとんどいない。
繰り返すことになるが、異端審問庁(さもなくば異端審問庁の認める機関)から全幅の信頼を寄せている数少ない戦団は、この例外中の例外なのである。


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グレイナイト戦団の組織編成

「我らに破れぬ壁は無し。〈歪み〉の穢らわしき怪物に、我らの憤怒を免れうる隠れ場無し。悪の存在する所、我らは必ずやそれを見つけ出し、皇帝陛下の裁きをもたらすでだろう。」

-迎撃者ガリウス・ザロン



画像出典:コデックス「グレイナイト9版」(codex:GreyKnights) P13イラストより


【概要】
グレイナイト戦団の戦闘同胞はおよそ千人ほどの人員を維持しており、その中には指揮官や専門技官などは含まれていない。他のスペースマリーン戦団同様、生身の戦団奴隷や。意思なき機械化奴隷である「技能奉仕者」(サーヴィター)などの従者たちを伴った小規模部隊である。
大半の〈帝国〉に住む臣民は知る由もないが、グレイナイト戦団は他にも定命の異能者や書記官、神秘と隠秘学における学識者の大規模な集団を抱えている。彼らはいずれも、自らが目にする領域における部分的な真実に対する領域における部分的な真実に対する強化が施されており、そのほとんどが保安上の措置として精神洗浄が行われている。
こうした措置は、他の無数の義務の中でも、ケイオスディーモンの侵入に対するタイタンの古城の神秘性と安全性を高い水準で維持するために役立っている。
【戦団の指揮官たち】
グレイナイト戦団は「戦団評議会」(チャプター・カウンシル)によって統率され、運営されている。樫の大卓には八人の騎士団長と「至高騎士団長」(シュープリム・グランドマスター)の称号で呼び選慣わされる戦団長が席に着く。
これは、マルカドールと八人の選抜者に礎を置くグレイナイト戦団にとって最古の伝統の一つだ。八人の騎士団長による満場一致の選出によってのみ、戦団の長たる「至高騎士団長」が決定される。
したがって、無謀な性格の戦団の長として不適格な人物が戦団の最高権限を手にする事は、ほぼ不可能となっている。それぞれの戦団長は、自らが率いる騎士団支隊とは別に、艦隊や武具庫などの、戦団における別部門も責任者も兼ねている。
しかしながら、これらはある意味で名誉職と考えても良い。そもそも騎士団長の主たる責任範囲は戦場であり、戦団の諸部門はほとんど監督を必要としないからである。
また、評議会を構成する八人の騎士団長と至高騎士団長は誰もが拠点を離れて戦っている場合が多いため、評議会を構成するメンバーはほとんど対面する事は滅多にない。評議員は一人一人同等の発言権を持つが、至高騎士団長には最終的な判断を下す責任が課されている。
グレイナイト戦団は銀河系全域に広く薄く展開しており、全攻撃部隊が常に騎士団長の指示を仰げるとは限らない。そのため、騎士団長が赴くことになるのは、長い戦歴を誇る騎士団支隊長ですら手に余るほどの難局を迎えた戦場であることが多い。
通常このような事態に相当するのは、〈潜伏せる魔群〉(コンクレイヴ・ディアボルス)、すなわちグレイナイト戦団が特別な関心を寄せる100と1体の上級悪魔の内の1体が、現実宇宙に出現した時のみである。
【八つの騎士団】
グレイナイト戦団の大部分は、八つの「騎士団」(ブラザーフッド)によって構成される。騎士団は、一般的なスペースマリーン戦団における戦闘中隊に相当するものであり、これら八つの騎士団は、各目的はそれぞれ約百人の臨戦態勢である同胞を擁している。
また名目上、この人数には騎士団の指揮官たちは含まれていない。各騎士団は「騎士団長」(グランドマスター)が最終的な決定権を持って全体を統括し、「騎士団支隊長」(ブラザー・キャプテン)の活発な指揮の下で行動を行う。
騎士団支隊長の指揮は通常、「騎士団支隊筆頭剣士」(ブラザーフッド・チャンピオン)、「騎士団旗手」(エインシェント)、あるいはその他の指揮官が補佐する。他のスペースマリーン戦団と同様に、グレイナイトも原則として十人の同胞から成る「分隊」(スカッド)として編成され、各分隊は作戦内容に従って更に五人ずつの「戦闘分隊」(コンバット・スカッド)も分割する事が可能だ。
グレイナイトの分隊は、五人のみであっても戦闘能力に問題はないとされる。このため騎士団の指揮官は、例え三分の一の同胞が任務に就けない事態が生じたとしても、分隊に与えられる役割のわずかな変更と、戦闘教条の実践における柔軟性だけで、騎士団の戦闘能力を常に望ましい水準に保持しておくことが可能だ。
【制裁長】
騎士団支隊の各分隊は、「制裁長」(ジャスティカール)に率いられる。これは実戦経験豊富な古参兵でかつグレイナイト固有の位階で、他のスペースマリーン戦団での「軍曹」(サージェント)にあたる。
制裁長は分隊の指揮官としてのみならず、同胞のサイキック能力を磨き上げ収束させる、サイキック的な“導管”としての役割も担うのだが、この役割ゆえに、彼を同じ分隊内の同胞よりも遥かに危険な立場であると言えよう。発動したサイキックパワーの収束点となる彼は、それが安定を失った際、真っ先にその影響にさらされるからだ。
【騎士団支隊長と騎士団長】
各騎士団支隊が持つ分隊の種類と個数に関する詳細な決定権は、その騎士団支隊長と騎士団長が有する。ただ、「滅殺者分隊」(ターミネイター・スカッド)、「断罪分隊」(パーゲイション・スカッド)、「討滅分隊」(ストライク・スカッド)をバランスよく組み合わせ、これらの合計が3~7個分隊になるように作られた作戦実行部隊をいくつか持つことが最も効果的であると、長い経験によって実証されている。
よほどの型破りの指揮官でなければ、ごくわずかの範囲で戦術上の好みによって若干の変更を行うとしても、基本的にはこの例に基づいた編成を行うだろう。
【サイキック能力の調整】
どの分隊に所属しているかに関わらず、あらゆるグレイナイト分隊は、ネメシス・フォースウェポンや各種グレネード、ストームボルターやサイキック能力によって増強された重火器などの装備を、同じ武具庫(アーモリー)から支給される。また各分隊は、その分隊に求められるサイキック能力の訓練に励み、精神面と肉体面を共に鍛え上げ、それらを分隊内で調和させることによってさらなる能力を生み出す必要がある。
このため、グレイナイトがある分隊から別の種類の分隊へと移動するようになった場合、その分隊内で戦闘時に振るうべきサイキック能力を改めて訓練し直すことになり、同時に、それ以前に習熟していた他のサイキック能力を抑制するよう心がけねばならないのだ。
【浄化者と聖騎士】
グレイナイト戦団には、騎士団に二つの別戦力の組織が存在する。「浄化者」(ピュリファイアー)を率いる「浄化騎士団」「聖騎士」(パラディン)だ。
これらの組織は戦団評議会へ直接応答可能であり、騎士団長の求めに応じて騎士団へ同行する。浄化者は〈歪み〉より産み落とされた邪悪なる存在にとっての天敵であり、接触しただけでも致命的な損傷をもたらす。
浄化騎士団は戦団内の他の分隊とは別騎士団であるかのように行動し、その人数は50人余りと少数精鋭で純潔この上ない精神の持ち主だ。浄化騎士団から一度に40人を超える浄化者が出撃する事は滅多にない。
もし、そのような事態が起こったとしたら、それは間違いなく史上稀に見る大規模な悪魔の侵攻が予見された時である。聖騎士は戦団最高の武勇の体現者であり、この熟練の猛者たちが数百人前後の数で戦団内に存在する。
グレイナイト戦団の中でも最も高い栄誉を誇る旗手は、聖騎士の中から選抜される。戦団の精神的指導者である「教戒官」(チャプレイン)は〈英雄の間〉に集う戦団の儀式と祈祷の導き手となる。
また、戦団が予期せぬ苦境や難題に直面した際は、経験豊富な「ヴェネラブル・ドレッドノート」の知識と叡智が求められることもある。
【専門的なグレイナイト】
グレイナイトも他のスペースマリーン戦団と同様の専門技官が存在する。「司書官」(ライブラリアン)はグレイナイトの同胞たちよりも遥かに強力で多様なサイキックパワーで、部隊の支援や強化、異能力による攻撃を行う。「技術官」(テックマリーン)は火星の技術司祭と共に修練と学習を積み、「機械崇拝」(カルト・メカニカム)の教義を身に着けた後に、グレイナイトの兵器の製造や保守管理を行う。
一方、グレイナイトの衛生兵である「医術官」(アポシカリー)は戦場で傷ついた同胞たちを医学的薬学的手段や、外科手術的儀式によって治療を行う。また医術官は戦団の継続に欠かせない「遺伝種子」(ジーンシード)の摘出や回収、管理を行っており、その責務は非常に重大なものとなっている。
これらの戦士達はグレイナイト戦団と共にその生涯にわたって戦い続ける。時には、彼らが攻撃部隊に指揮官として同胞を率い、戦場に赴く場合もある。彼らはあらゆる戦闘同胞と同様、騎士団の伝統的な儀式や典礼の一部を担っており、各自の専門分野をもって悪魔討伐に貢献する事が定められている。
特定の騎士団に所属してはいても、これらの専門家たちは所属している騎士団とは異なる騎士団長の下で訓練を修了することも珍しくない。例を挙げれば、戦団の武具庫は伝統的に第一騎士団の騎士団長の管理下にあるが、彼は戦団に奉仕する技術官の務めに関して最終的な責任を負っているのだ。
【力の名】
グレイナイト戦団の同胞は全員、出生時の本名を失っている。これは、かつての人生や価値観を捨て去り距離を置くためであるし、また異端審問庁に仕えるために生まれ変わったことを意味する、必要不可欠な象徴的行動でもあるのだ。
例外なく、訓練期間中にグレイナイト同胞の自我は一度破壊され、再構築される。そして彼らが自らの過去を二度と思い出せなくなった時、出生時の名は何も意味をなさなくなっているだろう。
訓練が完了して、晴れてそのような状態に到達したときにのみ、グレイナイトの同胞は新たな名を授けられる。訓練が完了するまで「志願者」(アスピラント)は単なる番号で呼ばれるのだ。
彼らに与えられる新たな名は、それぞれが魔術的な知識の断片であり、戦団の「書記官」(スクライブ)たちによって、特定の悪魔が持つ〈真名〉と正反対の力を発揮するように神聖化処理されている。
これによって、各グレイナイトの名は憎むべき敵に対する武器としてさえも機能するという。渾沌の悪魔が持つ“〈真名〉”と同じように、戦団から与えられる聖なる名前は流動的であり、時代とともに移り変わる。
だが、それでもいくつかの名前は何千もの間繰り返し使用されており、それは“〈真名〉”を持つ特別に強力な悪魔が、〈歪み〉内で何度となく再生を遂げ、より力を増して帰ってくるという事象と対になっているのかもしれない。このように、あるグレイナイトの名は、彼以前に何人もの同胞が受け継いできた名かもしれないのだ。


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騎士団

【概要】
それぞれの騎士団を率いているのは「騎士団長」で、彼らはこの戦団の始祖である八人の衣鉢を受け継ぐ者たちだ。騎士団長たちには〈歪み〉から襲いかかってくる悪魔たちと戦うための計画を立て、決定し、遂行する権限が与えられている。
また彼らは、自らの騎士団がどのような戦力と共闘するかも定める。その相手は戦団の他戦力、グレイナイトに助力を請うた〈帝国〉内の諸組織、またその他の戦団と極秘の協力関係を築いている者たちなどである。
戦団の〈予見官〉から深遠なる助言が与えられることで、騎士団長たちは配下の戦士を如何なる戦場に送り込むかを決定する。彼の決断一つで、数億、あるいは数十億の命が救われるかどうかが決まるのだ。
例え百人のグレイナイトが、その一人一人が一騎当千の強さを誇っていても、騎士団はあらゆる場所に向かえるわけではなく、全ての惑星や臣民が救えるわけではない。ある種の戦闘では不必要に時間がかかり、部下が無駄死にすることも珍しくなく、時には騎士団長は地上に背力を送り込む代わりに、無慈悲なる司令「究極浄化」(エクスタルミナトゥス)が執行されることもある。
惑星上の敵味方全てを焼き払う究極浄化は、情け容赦なく全ての命を殺戮し救えるはずの命も無情に失われてしまう最終手段だ。そして騎士団長は軍略家であるだけでなく、自身も一人の戦士として戦う。
仮に彼の姿が戦場で見かけたら、それは相応の巨大な脅威に直面している何よりの証左だ。彼が最も激しい戦場で部下を率いて突撃する際は、指揮や戦力配置などを熟練の騎士団支隊長たちが補佐する。
【誉れ高き支隊長】
「騎士団支隊長」は騎士団において、戦場における作戦運用の責任者だ。騎士団長が戦場全体に渡る計画を立て、騎士団支隊長がそれを実行する。
戦場にあって、騎士団支隊長は常に最も激しい戦闘の中心に立ち、部下と肩を並べて戦いに挑む。騎士団支隊長はサイキック能力を磨き上げており、目まぐるしい闘争の最中にあっても、部下一人一人との間にテレパシーによる接続を保ち続けている。
そして彼の部隊は一丸となって、完全な連携を取って戦い続ける。この能力は彼らに圧倒的な即応性を与えており、予想外の脅威に素早く適応できる彼らの能力は〈帝国〉随一だ。
【経験豊富な補佐】
騎士団支隊長と並び戦うのは、彼の配下の中でも戦歴の長い者たちだ。「騎士団筆頭剣士」は皆が戦技を極めし戦士であり、他のグレイナイトから憧れの対象となっている。
戦術の粋を極めた機動装甲服に身を包み、戦団の紋章を刻んだ誇りの剣を振るう騎士団筆頭剣士はその比類なき技量によって彼らの騎士団支隊長を護り、その命を救うためならば喜んでわが身を投げ出す。一方で、「騎士団旗手」(エインシェント)は騎士団の聖なる戦旗を掲げ、護り抜く事だ。
惑星タイタンの〈英雄の間〉から持ち出されたこれらの貴重な戦旗は戦場で高々と掲げられ、その下で戦う同胞たちはより一層の誇りと覚悟に満たされる。この戦旗には戦団に所属していた英雄の名と功績が記されており、戦いの最も厳しき時に、騎士団旗手は声高にこれらを読み上げて仲間たちの士気を高める。



【騎士団の一覧】

  • 「第一騎士団」

騎士団長ヴァルダン・カイ
騎士団支隊長カドリッグ・ペレナス


剣の担い手



【概要】
第一騎士団の騎士団長は武具庫長の肩書を持つ。戦団の武器や機動兵器を整備するのは「技術官」(テックマリーン)たちだが、武具庫長はそれを統括する役割だ。
戦場において、第一騎士団は正面攻撃を担うことが多く、そのためにこの戦団が数多く保有する兵器である「ランドレイダー」、「ストームホーク」、「インターセプター」、「ストームタロン」及び「ストームレイヴンガンシップ」を惜しみなく投入する。またこれゆえ、グレイナイトたちが装甲機動兵器による突撃や航空機からの支援を必要とする状況では“剣の担い手”である第一騎士団の出番となる。
この騎士団には戦団でも最高の操縦士が揃っており、また技術官も数多く抱えている。修行中の技術官を監査するのもまた武具庫長であり、新任の技術官たちは師の下でそのまま務めることもあれば、他の騎士団に派遣されて様々な聖なる兵装の整備を受け持つこともある。
第一騎士団の戦士たちは、戦場において多様な機動兵器と完璧に共闘できるように訓練を重ねている。彼らは敵陣に突撃して穴を穿ち、むき出しになったグレーターディーモンにむけて機体に搭載された「ストームストライク・ミサイル」や「ゴッドハンマー・ラスキャノン」が撃ち込まれる。
これら渾沌の魔物は、現実宇宙へ召喚された直後にもはや〈渾沌の領域〉へと送還されてしまうのだ。


  • 「第二騎士団」

騎士団長ヴォルス・モルドラック
騎士団支隊長アルノ・トレヴァン


勝利の剣



【概要】
第二騎士団こと“勝利の剣”は戦場への素早い到着とそこからの速攻に定評のある騎士団だ。グレイナイトの基準に照らしても彼らはなお速いのだ。
この騎士団の戦術は、インターセプターと強襲分隊を多用する。彼らが多用するテレポーテーションからの攻撃には、敵は全く対応不可能だ。
複数の騎士団が協同作戦を行う際は。第二騎士団が尖兵を務める事が多い。彼らが戦場に現れて殺到し、橋頭堡を築き上げた後に重装備の戦士たちが突撃するのだ。
戦団艦隊提督でもある第二騎士団の騎士団長は布陣と戦術機動の達人であり、指揮下のグレイナイトを最高の効率で戦場に配備する。その技能に予見官による戦況の知識が加わることにより、第二騎士団の「打撃巡洋艦」(ストライククルーザー)と「強襲揚陸艦」(バトルバージ)から降り立つ戦士たちは、敵が戦場にたどり着きもしないうちに配備を終えている事さえ珍しくない。
現在の騎士団長、「ヴォルス・モルドラック」は非常に強力なサイカ―であり、原因は不明ながら、戦死した同胞たちのサイキックの残響が彼の周りを取り巻き、幽鬼のような姿を見せている。彼らの仇を必ず取ると誓ってはいるが、それでも戦団としての無数の務めを果たすのが最優先される。


  • 「第三騎士団」

騎士団長アルドリック・ヴォルドゥス
騎士団支隊長アルヴァン・スターン


退魔の盾



【概要】
“退魔の盾”こと第三騎士団は、この戦団においても常に名誉ある立場を担ってきた。伝説によれば、初代至高騎士団長ヤヌスが所属していたのがこの騎士団であったと言われており、その後に連なる戦団の歴史にあっても、グレイナイト最高の英雄たちがここから輩出された。
現在の至高騎士団長であるカルドール・ドライゴもまた第三騎士団において騎士団支隊長を務めており、その後は騎士団長、そして至高騎士団長へと位階を登った。この騎士団の騎士団長になるという事は、「蔵書院守護」も担当する事を意味する。
他のどの戦団よりもこの戦団において、それは呪われし危険な務めでもある。現在の騎士団長ヴォルドゥスの前任者である「ドリアム・ナラセム」は、この地位についてからすぐに上級悪魔である「ム=カヒェン」に殺害されてしまった。
第三騎士団の騎士団支隊長アルヴァン・スターンを突け狙っているのもム=カヒェンであり、彼とは因縁を持つ宿敵だ。第三騎士団の騎士団長はグレイナイトにおける司書官の長であるがゆえに、その責任と影響力は全ての騎士団に及ぶ。
そしてもちろん、第三騎士団そのものも多数の司書官を抱え込んでいる。彼らの助けによって第三騎士団は多様なサイキック能力を自在に使いこなすことが可能だ。
その中にはこの戦団でさえあまり知られていない、隠微にして繊細な技がいくつもある。第三騎士団の戦士たちは、戦場で戦術を変えるたびに、そのサイキックによる攻撃も変幻自在に変化させているのである。


  • 「第四騎士団」

騎士団長ドリスタン・クロム
騎士団支隊長アイオナン・グルド


予見の同胞



【概要】
第四騎士団を率いるのは〈予見の間〉の守護だ。そしてこの騎士団には、戦団でも最も強力なサイカ―が幾人も所属している。
彼らは〈歪み〉に対する本能的な理解を備えた戦士であり、その力は平均的なグレイナイトを遥かに凌駕している。第四騎士団から予見官になる者も少なくないが、これに選抜されるには、危険な戦場に送り込むのが惜しいと見なされるほどの高度な予知能力を備えている必要がある。
第四騎士団の戦士たちは、しばしば危険がまだこの世界に存在する以前にそれを予知する。そしてまた彼らは余地の力を使用して敵を追い詰めることも、非常に効果的な待ち伏せからの寄進を仕掛けることも可能だ。
これらの力は、時空に縛られぬような存在であり時には運命さえ操るディーモンを相手として戦う際に最も効果を発揮するし、謎めいて苛立たしい異種族「アエルダリ」のようなものたちの不意を突くことさえできる。敵の次の動きを予知できる能力は、もちろん正面切っての戦闘でも非常に役立つ。
戦団の歴史に残る多くの優れた剣士がこの第四騎士団の出身であるのには理由がある。一対一の決闘において、未来を読める神秘の剣士に勝てるものなどほとんど存在しないからだ。


  • 「第五騎士団」

騎士団長ロスウィル・モルヴァンス
騎士団支隊長タウロス・ヘンドロン


遺宝の護り手



【概要】
戦団最大の至宝、すなわち彼らの「遺伝種子」(ジーンシード)を預かる彼らこそ、第五騎士団の騎士団長だ。彼の監督下で医術官たちは訓練を受け、遂に遺伝種子を扱うことが許される。
それだけではない。〈至聖の間〉守護である彼は、戦団に代々伝えられる様々な知識の管理人であり、その中には彼らのみに伝えられる科学技術や、歴史上の伝承なども含まれているのだ。
そしてこれらの継承されし聖なる知識を生身で体現する姿こそ「ドレッドノート」だ。この技術によって、回復不能な重傷を負ったグレイナイトの英雄たちが戦場へと立ち返ることができる。
第五騎士団の騎士団長となり、これら太古の智慧の管理者となる者には、大いなる謙虚さが要求される。なぜなら多くのドレッドノートの裡には、数千年も前から戦い続ける戦士さえいるからだ。
戦場で斃れ、新たに戦う棺桶であるドレッドノートへと埋設された者は、最初は伝統的に第五騎士団と共に戦場に赴き、自らの得た新たなる力と伴侶となる機械精霊について学ぶことになっている。第五騎士団が戦う時には、これらのドレッドノートが戦術の中核となる事が多い。
その鋼鉄の足の下で大地が震撼し、これらの恐怖を超越した戦闘機械は圧倒的な破壊力を見せて突き進む。


  • 「第六騎士団」

騎士団長カドン・ヴァーン
騎士団支隊長カーダ・タンナセック


刺突剣



【概要】
グレイナイト戦団にとっては無駄に終わる作戦行動も、不要な戦力の喪失も決して許されていない。歴史を変えるほどの力を有するこの戦団の評議会において、彼らの作戦行動と派遣すべき戦力を決定する責任は、しばしば要塞院上級家令(ハイ・セネシャル)の双肩にかかっている。
上級家令に任命される者は比類なき指揮官でなければならず、あらゆる無駄を排し、最高の効率を追求せねばならない。その特性が、彼の騎士団にも反映されている。
“刺突剣”こと第六騎士団は戦場における布陣の実力はレベルで高く、その存在と戦闘行動は規範とされ、兵数において数倍する敵さえ倒して見せる。第六騎士団は破壊的な起動爆撃や大量のテレポーテーションによる強襲ではなく、標的に狙いを定めた一撃を得意とする。
修練を積んだ少数精鋭の専門家たちによって、いかなる作戦も達成できると彼らは信じているのだ。戦場が兵力の頭数を要求する時には、騎士団長、あるいは騎士団支隊長は、敵を足留めするために大量の「機械化奉仕者」(サーヴィター)を送り出す。
その間にグレイナイトたちがより危険な任務を達成できるようにする。タイタンの古城に収められた門外不出の戦闘記録の中には、第六騎士団が見事にやり遂げた多くの任務において、〈帝国〉の他の軍勢が足止めとして用いられたという事例がいくつも存在する。
これらは皆、勝利のための尊い犠牲である。たとえ散っていった者たちが自分の死の意味を知らなかったとしても。


  • 「第七騎士団」

騎士団長コヴァン・レオラック
騎士団支隊長ダーリグ・テグヴァル


厳正者



【概要】
いくつかの記録には、異端審問庁とグレイナイト戦団は歴史上のほぼ同時期に誕生したとされている。この二つは互いに独立した組織ではあるが、その目的は多くの部分で共通する。
“厳正者”こと第七騎士団は古の時代より異端審問庁の〈鉄槌の団〉から情報が提供されており、それに応じて作戦を遂行することも、異端審問官と共闘することもある。すなわち、異端審問官がグレイナイト戦団を必要とする時には、駆けつけるのは彼らなのだ。
通常は異端審問庁代議である騎士団長がこれらの協力要請の仲人役となる。この協力関係は双方向のもので、ある意味では異端審問庁が第七騎士団たちのために銀河に目を光らせているとも言えるし、グレイナイト戦団の側から協力要請も出すことがある。
ときに第七騎士団は、異端審問庁が召喚した〈帝国〉の諸勢力とも共闘することも珍しくない。戦場を制圧するために必要な「帝国防衛軍」(アストラミリタルム)の兵士や、ディーモンを退散させるための儀式に必要な異端審問庁の従弟などだ。
これらの勇敢なる一般兵たちは多くが戦死し、生き延びたとしてもほとんどが異端審問庁によって処刑される。しかしそのどちらも免れた少数の者は、そのまま第七騎士団たちに召し抱えられる。
彼らは洗脳されて機械化奉仕者となり、生体部品が活動する限り働き続ける。(どちらにせよ悲惨)


  • 「第八騎士団」

騎士団長エイダン・パードロン
騎士団支隊長ミスラック・トール


白銀の刃



【概要】
新たに生み出されたグレイナイト戦団の戦闘同胞が主力部隊の戦列に加わる時、通常は第八騎士団の所属となる。そこで戦いや経験を積み重ね、彼らは自分の能力についてより詳しく認知し、より相応しい騎士団に配属するのだ。
騎士団長の尊敬から、移る騎士団を選択する者もいる。そして中には、第八騎士団に留まることを希望する者も珍しくない。
ここに留まるのは、さらなる修行を望む者たちだ。彼らは多くの試練を繰り返し受け、その目的は自らの技能を完璧なレベルへと高める事にある。
「叙任大令騎士」(ナイト・コマンダー)に率いられる第八騎士団の戦士達は、その陣形を流れるように変化させ、遭遇戦のたびに異なる戦術を用いる事はごく一般的となっている。彼らは手に入るあらゆる武器を使いこなし、得意戦術も持たず、決まった移動手段さえ存在しない。
第八騎士団が目指すのは、あらゆる戦技に熟達する事であり、戦場におけるあらゆる条件を味方とし、敵の不利となるように務める。そしてまた招穫者たちが彼らの探索の旅における結果を報告するのも第八騎士団の騎士団長である。
“白銀の刃”こと第八騎士団は、生存能力が高く、並外れて強靭な意志を持ち、渾沌の影響を受けていないものを常に探し続けている。しかしこのようなプロファイルを持つ人物は同時に異端審問庁の興味を引くことも珍しくなく、そのような場合には両組織の間に長々とした討議が行われることになる。


画像出典(各種アイコン):コデックス「グレイナイト9版」(codex:GreyKnights) P18,P19イラストより


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主要キャラクター

  • 「カルドール・ドライゴ」

「我誓わん。この命在る限り、永遠に人類の守護者たらんことを。たとえ、全ての悪魔が〈渾沌の領域〉から放たれ、かの軍勢ことごとくが我が前を阻もうとも。たとえ、暗黒神自らが大地に降り立つとも、わが剣は彼奴らの闊歩許すことあらじ。我、〈鈍色の騎士〉たり。必ずやこの誓いを果たさん。」



【概要】
グレイナイト戦団を率いる現在の「至高騎士団長」(シュープリム・グランドマスター)で、彼は現実宇宙と〈渾沌の領域〉(レルム・オヴ・ケイオス)を行き来する奇妙な運命を背負った英雄でもある。彼の物語が始まるのは、799.M41(西暦40799年)に起こった惑星「アクラーレム」において勃発した悪魔の侵攻の最中である。
強大なるディーモンプリンスである「“甦りし”ム=カール」が、渾沌の領域より悪魔の大群を率いて現れ、惑星アクラーレムはもちろんのこと、「ヴィダール星域」全体を破壊しようとしていたのだ。この脅威に対してグレイナイト戦団が行動を起こしたのは、至極当然のことだ。
かくして、騎士の位階であるドライゴが属するグレイナイト戦団の第三騎士団支隊は、帝国防衛軍の九個連隊、「アストラル・ナイト」戦団と「フレッシュテアラー」戦団のスペースマリーンと共に、惑星アクラーレムの戦場へと降り立ったのだ。
【若き騎士の活躍】
この惑星で待ち構えていたのは、今世紀最悪とも言える凄惨な戦闘の数々であった。グレイナイト戦団が参戦していなければ、惑星アクラーレムが悪魔の手に易々と堕ちていたことはまず間違いない。
戦況が一変したのは、ム=カールが座す「歪みの要塞」(ワープ・フォートレス)に対して、グレイナイト戦団が大胆不敵な強襲を試みた瞬間からである。騎士の位階を授かったばかりの同胞、ドライゴが名を挙げたのは、まさしくこの強襲作戦に参加したからだ。
ム=カールに致命的一撃を与え、悪魔の軍勢を渾沌の領域へと撃退したのは、まさしくドライゴだったのである。しかしム=カールは、彼を屠ったドライゴへ復讐の呪いをかけるために、しぶとくも命を取り留めていたのだ。
【位階を登る騎士】
惑星アクラーレムにおける戦いで勝利を収め、ドライゴは「制裁長」(ジャスティカール)の位階へと速やかに登った。このような昇格は過去に前例が無く、ドライゴは以降に続く優秀な者たちのために、良き前例を作ったといえる。
それからおよそ二百年もの間、ドライゴはグレイナイト戦団と皇帝のためにたゆまぬ奉仕を続け、名声に次ぐ名声を獲得していった。ドライゴはかの初代至高騎士団長「ヤヌス」に匹敵するほどの栄誉と栄光を手にしていく。
ヤヌスは今現在の〈帝国〉を形成する事に貢献した戦団創設者でもあり、最も暗い時代において数々の偉業を収めたグレイナイトの英雄でもあった。ドライゴは今まさに、ヤヌス以外の同胞では決して得られなかったほどの圧倒的な名声を得ていたのだ。
その後、901.M41(西暦40901年)の初頭に''グレイナイトを率いる至高騎士団長が総魔長「モータリオン」の手にかかって斃れた後、ドライゴが後任として至高騎士団長の座に就いた。そして至高騎士団長となったドライゴはまず、モータリオンの腐った心臓に先代の至高騎士団長の名を刻んだのである。''
心臓に敵の名を刻まれたモータリオンにとっては忘れがたい最大の侮辱となったのだ。
【復活のム=カール】
ドライゴがム=カールを撃退した輝かしき勝利から二百年後、異能力で通信を行う「精神感応官」(アストロパス)から放たれた救難信号により、惑星アクラーレムが再び悪魔の侵攻を受けている情報がグレイナイトへともたらされる。この報せを受けたドライゴは、二百年前に撃退したム=カールが甦り、あの悪魔の皇子が自分に真の呪いをもたらそうとしているのだと確信した。
そして彼は、自分独りでこの呪いに決着を付けようと決意する。ドライゴは、自らが背負うべき破滅の運命に、他の同胞を巻き込むことを良しとしなかったのだ。
固い決意を胸に、彼はグレイナイト戦団の自分以外の全員に対して、惑星アクラーレムへの出撃を禁じる命令を下した。同胞たちにとって不本意な命令ではあったが、ドライゴが知る限り、彼の意見に誰一人背く事は無いと思われた。
そうしている間にも着々と、惑星アクラーレムに悪魔の軍団が侵攻してきており、ドライゴはアクラーレムへと独り赴き、自らの運命に独力で立ち向かおうとしていた。
【孤軍奮闘の騎士】
かくして、グレイナイト戦団の主であるカルドール・ドライゴは、再び惑星アクラーレムの地へと降り立つ。ドライゴは「ゴスセス城」の防衛線に参加し、「サイフレイム弾」を放って悪魔を一掃すると、この強襲を率いたナーグル神に使えし敵司令官を屠った。
また「トレバリン峡谷」では、参道の最狭部にて護衛役を務め、帝国防衛軍の「ケイディア第912連隊」が後退する間、狂気の軍勢を跳ね除け続けた。ドライゴは鬼神の如き活躍を見せ、この退却作戦の生存者はただ無言で敵を屠ってゆく彼の姿を目撃したという。
遂にドライゴは宿敵が待つ「シャドウピーク」の頂上部、渦巻く〈歪みの亀裂〉(ワープリフト)の前にたどり着いた。〈歪みの亀裂〉は現実宇宙と悪魔の住まう〈渾沌の領域〉を結ぶ裂け目であり、ここからム=カールは不浄なる渾沌の力を引き寄せていたのだ。
ドライゴは二百年ぶりに甦りしム=カールを見つけ出し、〈歪みの亀裂〉の前で壮絶なる決戦が繰り広げられた。ドライゴはネメシス・ソードとサイキックパワーを駆使してム=カールに攻撃を仕掛けるが、その威力をただ嘲笑うだけで、ダメージを与えられなかった。
ム=カールがその手に持った「ディーモンブレイド」が〈歪み〉の炎で薄気味悪く光り、ドライゴに強烈な一撃となって襲いかかる。ドライゴの手に持ったネメシス・フォースソードである「タイタンソード」の真ん中が粉々に砕け散り、片膝をついてしまった。
そしてム=カールによるとどめの一撃がドライゴに繰り出されるも、ドライゴはまだ力尽きてなかった。ドライゴは鬨の声を上げながら片膝の状態から立ち上がり、折れたタイタンソードを握りしめてム=カールの心臓へと深く突き刺した。
この一撃によって、ム=カールを再び倒すことができたのだ。
【ム=カールの呪い】
ム=カールは断末魔の苦しみに喘ぐと同時に、ム=カールが造り出した〈歪みの亀裂〉も崩壊を開始した。〈歪みの亀裂〉から放たれし渾沌の力は消滅していき、ム=カールが率いる悪魔の軍勢も咆哮を上げながら消滅していった。
しかし、〈歪みの亀裂〉が完全に崩壊してしまう前に、ム=カールは最後の報復を試みた。なんと、最後の力を振り絞ってム=カールは自らの鉤爪でドライゴの喉元を掴み、崩壊寸前の〈歪みの亀裂〉へと放り投げてしまったのだ。
こうして、カルドール・ドライゴは惑星アクラーレムを再び救ったが、''彼は現実宇宙の世界を去り、〈渾沌の領域〉へと移転してしまったのだ。''カルドール・ドライゴはその後、戦団においては伝説的存在として語り継がれていくこととなる。
【異世界での旅路】
だが、カルドール・ドライゴの物語はここで完結したわけではない。もうちょっとだけ続くんじゃ なんと、ドライゴは〈渾沌の領域〉でも生存していたのだ。
通常、弱き精神を持つ常人であれば、現実宇宙から〈渾沌の領域〉に転移するまで完全位正気を失っていたであろう。しかし、ドライゴは〈歪み〉の狂気や誘惑にも耐えうるだけの精神を長年鍛えていたため、〈渾沌の領域〉へと無事にたどり着くことができるのだ。
渾沌の悪魔と暗黒神が住まう〈渾沌の領域〉はまさに悪夢や狂気がそのまま形になったような地獄のような世界だ。常人であれば正気を保つことすら難しく、この世界ではすぐに悪魔たちに殺されてしまうだろう。
しかし、ドライゴは数え切れないほどの年月に渡って、この狂気渦巻く世界を旅し続けて生き残ってきた。行く先々には悪魔が満ち溢れており、ドライゴを殺すか、あるいは暗闇へと誘うと試みたが、その試みはドライゴによってすべて振り払われ、失敗に終わった。
さらにドライゴは「コーン神の領土」で、「上級悪魔」(グレーターディーモン)の「ブラッドサースター」である「カル=ヴォス」を屠り、悪魔が持っていた巨大な斧を奪った。その巨大な斧から渾沌の穢れを取り去って浄化し、その残骸を融解し、折れてしまったタイタンソードを鍛え直したのである。
続いてドライゴは「ナーグル神の庭」へと進み、鬱蒼としたジャングル地帯で自らの異能力による浄化の炎を放ち、ジャングルに住む醜悪な悪魔どもを長きにわたって焼き払ったという。これから毎日、悪魔を焼こうぜ?また、ドライゴが「スラーネッシュ神の宮」にある「囁きの草原」(ウィスパリング・メドゥ)と呼ばれる地を渡ろうとした際は、六匹姉妹のスラーネッシュ神に選ばれし侍女が現れて彼を誘惑しようとした。
しかし、彼女らの甘言にドライゴが心を動かされるわけなく、侍女に化けていた「デモネット」を切り伏せ、雪花石膏のような純白の草原に彼女達の死体を撒き散らして進んだという。さらに「ティーンチ神の迷路」にある「宿命の都市」(インエヴィタブル・シティ)の門へと訪れたドライゴの目の前に、上級悪魔の「ロード・オヴ・チェンジ」である「ム=カヒェン」が現れ、現実宇宙へと帰還する道筋を提供とした。
だが、ドライゴはそれに対する返答として、年の外壁を打ち砕き、ティーンチ神に使えるム=カヒェンを瓦礫の下に葬ったのだ。
【伝説の騎士】
これらを始め、さらに何千もの武勇(好き勝手し放題)を〈渾沌の領域〉で証明したことによって、カルドール・ドライゴは新たな伝説を異世界にて証明したのであった。住人はたは迷惑 この頃になると、ドライゴの前には悪魔たちが姿を現すことは、ほとんどなくなっていた。むしろ悪魔がドン引き
この至高騎士団長は、堕落に対して完璧な抵抗力があることを何度となく証明し、彼の通った跡には、屠られた何千もの悪魔が死体の山となって残された。今となっては、コーン神の狂信的な者たちくらいしか、ドライゴの死を狙って戦いを挑み続ける悪魔は存在しなかった。
〈渾沌の領域〉においては、あらゆるものが存在しうる。しかし、ドライゴのように暗黒神らの意志の影響が全く受け付けないものが存在するというのは、とてもあり得ないものが満ち溢れている〈渾沌の領域〉において、新たに芽生えたあり得ない事であった。
しかし、暗黒神がドライゴを打ち倒すことができないのと同様、ドライゴもまた確たる勝利を得る事は無い。なぜなら、彼が打倒した悪魔たちは新たな身体を伴って復活し、ナーグル神の庭の強大なジャングルも灰から再生し、崩れ落ちたティーンチ神の迷宮の宿命の都市を覆っていた壁も、おのずと元通りに再生していたからである。
【英雄の帰還】
ただ、現実宇宙にカルドール・ドライゴが帰ってこれないわけではなかった。惑星「ジョステロ」の予言者が悪魔「ン=カライ」と同盟を結んだ際、彼は〈渾沌の領域〉の一部を現実宇宙へと引き寄せていたのだが、ドライゴもこれと共に引き寄せられていったのだ。
これにより、ドライゴは己の戦団と束の間ではあるが再会を果たしたのだ。ン=カライの脅威に立ち向かうため、騎士団支隊がジョステロに到着していたからだ。騎士団支隊の同胞たちの中に、ドライゴが知る戦士の姿はなかった・・。
ドライゴは〈渾沌の領域〉でかなりの年月をさまよっていたのだ。〈渾沌の領域〉は時間と空間の概念が現実宇宙とは異なっており、〈渾沌の領域〉で数年間居たつもりが現実宇宙では数百年、数千年経過していたという事も珍しくはないためだ。
しかし、騎士団支隊の同胞たちは、ドライゴを仲間として受け入れ、共に戦い、狂気に冒されたジョステロの預言者と悪魔の同盟軍を打ち倒したのである。しかし、ドライゴの勝利は空虚なものであった・・。
現実宇宙と〈渾沌の領域〉を結ぶ門が閉じようとしている時に、ドライゴはこの亀裂に吸い戻され、再び〈渾沌の領域〉へと閉じ込められてしまったのだ。皮肉にもドライゴは、惑星ジョステロの解放を手助けしたが、自信を救うことができなかったのである。
これ以降、ドライゴの運命は何度となく繰り返されるようになった。〈渾沌の領域〉をある期間、さまよって果てしない戦いを続けたかと思えば、時に現実宇宙に再び帰還して戦い、そこで勝利を手にしたかと思えば、再び〈渾沌の領域〉へと戻ってしまうのだ。
このような苦難を耐え忍ぶことができるのだから、ドライゴは想像を絶するほど不屈の精神を持つ戦士であることがおわかりいただけただろう。ドライゴは〈渾沌の領域〉をいまだ徘徊している。
そして、渾沌の暗黒神らと終わりなき戦いを繰り広げているのだ。そんな中、グレイナイト戦団の同胞はいつの日か、彼がこの世に帰還する事を信じている。



画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P27イラストより


  • 「ヴォルス・モルドラック」

我は誓えり。たとえ千年の時を忍ぶとても、バタブの暴君へ正義の裁きを下さんことを。この誓いを果たすまでは、我と我が同胞の振るいし剣の止まることなし。


【概要】
亡き同胞の亡霊と共に戦う力を持つ騎士団長で、奇妙な幻視や幻聴に蝕まれながらも戦い続ける。ある日、要塞惑星「モルタイン」がケイオススペースマリーンの一団である「レッド・コルセア」の手によって破壊された時、唯一生存したグレイナイトは騎士団長のヴォルス・モルドラックのみであった。
その日以来、生き残ったころによる罪悪感が彼を日々苛み続けた。眠りについても、亡くなった同胞たちの光景が夢に現れ、彼らの声が耳の片隅にこびりついて離れる事がない。
もはや自分が堕落してしまったのではないかという懸念を抱いたモルドラックは、自ら「純潔の儀式」(リチュアル・オヴ・ピュリティ)に赴いたが、何ら穢れてはいないという判断を下されてしまう。正気を失う寸前までこれらの幻聴が彼を蝕んでいったが、それでもなおモルドラックは、この苦しみから脱する方法を見いだせてなかった。
【謎の支援部隊】
その後、惑星「ラリンドリ」での戦いでこの謎は一層深まる。テレポート装置の動作不良により、モルドラックは所属している攻撃部隊からはぐれてしまい、悪魔の跋扈する霧に包まれた平原に負傷した状態で置き去りになってしまった。
モルドラックは無数の悪魔に囲まれながらも戦い続けるが、次第に自身の意識が薄れてしまう。自身が手にしているディーモンハンマーが自身の手から滑り落ちたその時、40人もの「滅殺者」(ターミネイター)が霧の外から突然現れたのだ。
彼らの持つ剣は冷たい光を放ち、意識を失った騎士団長ヴォルスの回りを取り囲んで、銀色に輝く鋼鉄の防御壁を形成したのだ。一時間後、ヴォルスは無数の悪魔の死体に囲まれた状態で平原に一人倒れているところを発見されたが、誰が如何にして彼の命を救ったのか明らかになる事は無かった。
果たして、モルドラックの前に現れたグレイナイトはいったい何者だったのか、その正体は謎のままだった。
【再び現れた亡霊騎士】
その後この謎は数か月も解決されなかったが、モルドラックが惑星「ベロスIII」にある血の平原に降り立つときにその真実が明らかとなった。ぺロスIIIで繰り広げられた五つの大規模戦闘全てにおいて、得体の知れない戦士たちが現れ、モルドラックの傍らで常に戦っていたのだ。
モルドラックが正体不明の味方の姿をはっきりと目撃したのもこれが初めてであり、彼の他数名もその不思議な光景を目の当たりにしたのだ。彼は見た・・。
謎の味方が着装する装甲服に敵からの攻撃を受けても、まるでそよ風に吹かれる煙のように揺らめくだけで一切負傷することなく、すぐに元の形を取り戻すのを・・。彼らはまさしく、実体無き亡霊騎士だったのだ。
さらにモルドラックは彼らの装甲服に描かれた紋章をその目で確認し、大きな衝撃を受けた。なんと亡霊騎士の正体は、かつて惑星モルタインで戦死したグレイナイトの同胞たちだったのだ。
【亡き同胞たちのために】
こうしてモルドラックの見た幻の正体が遂に解明された。惑星モルタインで斃れた同胞たちは死の瞬間、モルドラック自身のサイキック能力によって姿と声を与えられ、亡霊となって彼に縛られたのだ。レギオン・オヴ・ダムドかな?
確かに亡霊騎士は強力な援軍であるが、彼は常に裏切りと復讐の言葉を聞き続けなければならないので、モルドラックにとっては決して心地の良いものではなかった。むしろやかましい ただモルドラックは、これらの負の感情が自分に対して向けられているものではない事に気づいた。
そうでなければ、これら同胞たちの亡霊が自分を助けてくれるはずはないだろう。そして、彼らを死の淵へと追いやったと思われる人物は一人しかいない・・。
そう、それは〈赤き水兵〉こと「レッド・コルセア」を率いる首領「“黒き心臓”ヒューロン」である。彼は昔、バタブ星域を守護していた「アストラルクロウ戦団」所属の忠誠派スペースマリーンであったが、突如分離独立を主張し「バタブ戦役」を引き起こした。
ヒューロン率いる反乱軍はバタブ戦役で敗走してしまい、渾沌の神々へと魂を売り払った結果、宇宙海賊を行う「レッド・コルセア」を率いるケイオススペースマリーンと化してしまったのだ。かのヒューロン率いる海賊艦隊が、惑星モルタインに破滅をもたらしたのだ。
かくしてモルドラックは、自らを守ってくれる死者たちを安らかに眠らせる決意を固め、同胞を集めて惑星タイタンを発ったのである。
【〈赤き水兵〉を討て】
モルドラックが自らに課した責務は、至難の業ともいえるほど困難なものであった。“黒き心臓”ヒューロンは、銀河中でも強大と言われている海賊艦隊の頭目でもあり、彼の持つ艦隊と軍勢の総戦力はケイオススペースマリーンの一個兵団にも匹敵する。
かつてモルドラックは、復讐を成し遂げる寸前まで迫ったが、結局は最後でヒューロンの策略に踊らされてしまうのだ。加えてモルドラックが果たそうとしている仇討ちは、より重要な戦団の聖務を遂行する影響で中断されることも珍しくない。
銀河中で悪魔の侵攻が頻発している中、モルドラックは戦団の聖務を優先するために、しばしば亡霊騎士を伴って悪魔の撃退へと赴くのだ。亡霊たちを安らかに眠らせるためには、ヒューロンの討伐を一刻も早く成し遂げなければならないが、まずは戦団の聖務を達成させることを第一に行動する。
生者か死者かの違いあれど、グレイナイトの一員であることには何ら変わりなく、鈍色の騎士としての心、精神、魂、そして戦団の重要な聖務を捨て去ることはできないのだ。


  • 「アルヴァン・スターン」

「我らは信仰を鎧とし、献身を盾とし、純潔と目的意識を武器とするグレイナイトの戦士である。しかし我らは単なる戦士ではない。我らは神聖なる皇帝陛下の御光で暗き地を照らし、あらゆる悪魔を粛清するのだ。」



【概要】
アルヴァン・スターンは、グレイナイト戦団に最も長く所属し、また最も高位の勲章を授けられた騎士団支隊長である。その割にはなぜ騎士団長や至高騎士団長じゃないのかスターンに対する評価は高く、その類まれなる勇猛さから、また入団間もない段階から将来を嘱望され、戦団の騎士団長としてのキャリアを歩むと思われていた。
しかし、運命のいたずらか、はたまた誰かの陰謀か、彼は戦団の期待とは全く異なる道を歩む事となったのだ・・。
【大いなる偉業】
事の発端はある上級悪魔との戦いによって、引き起こした。悪魔の指導者(デモニック・マスター)であり、ティーンチ神の上級悪魔「ロード・オヴ・チェンジ」の「ム=カヒェン」の陰謀により、惑星「アントラクセス」において「カルト・オヴ・レッドタロン」(赤のカギ爪教団)が台頭した時、スターンは反撃のために軍を率いていた。
スターンと他の同胞はたちは、教団の神殿中心部を攻め込むことで、この聖務を何が何でも達成しようとしていたのだ。多勢に無勢ではあったが、グレイナイトたちは呪われし魂を根絶すべく、「邪教徒」(カルティスト)を次々と葬っていった。
そして最終的に、スターンは自らの手で、強大なる上級悪魔のム=カヒェンまでも討伐したのである。彼の強大なる悪魔は、叫び声をあげながら〈歪み〉の向こうへと消えていった。
これは、通常一人の騎士団支隊長が持つとされるサイキック能力を遥かに超えた、類まれなる大偉業である。しかしこの瞬間、スターンの運命はム=カヒェンと永遠に繋がってしまうこととなる。いわば腐れ縁
ム=カヒェンは、たとえ永劫と思われる時間を要する事になっても、必ずや復活し、スターンの魂を貪ることを誓ったのだ。
【復讐の始まり】
こうして、ム=カヒェンによる終わりなき復讐が始まった。ム=カヒェンの消滅から101年後、ム=カヒェンは〈渾沌の領域〉から現実宇宙へと再臨した。何も知り得ない邪教徒の肉体に取り憑いたム=カヒェンは、惑星「サルゴサ」にある黒曜石で作られしピラミッドの周囲でスターンを策略にはめるべく、新たな陰謀の準備を整えた。
サルゴサの地へと渡ったスターンを含んだグレイナイト5人のうち、ピラミッドでの奇襲を生き残ったのはスターンのみであった。そのスターンでさえ、砂塵で視界を遮るサルゴサの砂漠地帯での戦闘で負傷し、その傷跡は今なお消えていない。
一方のム=カヒェンは、なにの痛手も負わずに、まんまとサルゴサを後にしていた。
【宿命の仲】
スターンとム=カヒェンは、これ以降幾度となく戦いを繰り広げてきた。どの戦闘でもム=カヒェンは、スターンの同胞を殺戮し、その後首尾よく戦場から逃走していた。
こうした苛酷な戦闘を生き残るのは、大抵の場合はスターン彼一人だけであり、時にはスターンには傷一つつかないことすらある。ム=カヒェンは、スターンをただ弄んでいるのか、それともこの騎士団支隊長は、ム=カヒェンにとってどうしても倒す事の出来ない敵なのか?
その真実は未だはっきりとしていない。ただ少なくとも、ム=カヒェンは定期的にスターンの運命を妨害している。スターンが戦闘で英雄的行為や勇猛果敢な偉業を成し遂げるたびに、ム=カヒェンによって得体のしれない災いが招き寄せられているようにも見えるだろう。
このように、グレイナイト戦団に高い代償を払わせてはいるが、スターンと彼の天敵との対決において、ム=カヒェンの方に軍配が上がったことは実は一度もない。ム=カヒェンがどういう策略を企んでいたにせよ、この悪魔の退却と同時に、いつも戦闘が終了してしまうからだ。
加えて、スターンはこの宿敵と対決するたびに、ム=カヒェンの弱点に関する新たな知識を得ている。このためスターンは、いつの日かこの悪魔を〈歪み〉に葬り去るか、あるいは四次元立方体に封印することで、恒久的な勝利を掴むことができると希望を燃え立たせているのだ。
ム=カヒェンが自らの復讐を果たすために、スターンの希望の炎を意図的に煽り立てているという可能性も無きにしも非ずではあるが、スターン本人もそう思ってはいない。事実、〈鋼の書〉には「ロード・オヴ・チェンジらは、悪質極まりない策士ではあるが、敵と同じぐらい自分たちを欺き、惑わす傾向にある」と記されているのだ。つまり自分自身も惑わされていたという
スターンは、ム=カヒェンの脅威が永遠に終わりを告げる日まで、絶えず訓練に勤しみ、準備を整え、その日が来るまで騎士団長へと位階を進める事を拒んでいる。スターンの騎士団支隊も、定命の者ならば誰しも抱くであろう悪魔の復讐への恐れを、責務と栄誉の力によって消し、彼を果敢に支援している。
スターン率いる騎士団支隊は、いつの日かム=カヒェンが自らの力を過信して墓穴を掘り、その時こそアルヴァン・スターンの剣が、今まで命を散らしてきた同胞たちの仇を討ってくれると信じているのだ。スターンはそれを誓っており、いつの日か誓いを果たす時が必ずや訪れるだろう。



画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P34イラストより


  • 「ギャラン・クロウェ」

「正しき者は望みを。穢れし者には炎を。」



【概要】
城代(キャステラン)ギャラン・クロウェは、「浄化者騎士団」(ピュリファイアー・オーダー)の長にして、その「騎士団支隊筆頭剣士」(ブラザーフッドチャンピオン)でもある。彼より高潔な行動模範をグレイナイトらの中に見出すことは、まず不可能であろう。
グレイナイトらの尺度においても、ギャラン・クロウェの魂には非の打ち所がなく、彼は渾沌の誘惑に屈することもない。それもそのはず、ギャランは〈アントウィールの黒き刃〉という、どの同胞よりも大きな重荷を背負っているからである。
【呪われし魔剣】
事の発端は、グレイナイト戦団がM37(西暦36000年代)末期に〈アントウィールの黒き刃〉を初めて発見したことから始まった。この魔剣は〈オクルシアド戦役〉と呼ばれる狂気の時代に、〈盲目の王〉(ブラインド・キング)の信奉者たちによって古の神殿の廃墟から掘り起こされ、この銀河に放たれた恐るべき武器の一つである。
〈アントウィールの黒き刃〉は、強大なる魔力が込められた悪魔の武器であり、これを発見した者の心身は、あっという間に渾沌によって穢されてしまうのだ。〈アントウィールの黒き刃〉と、この剣の奴隷となってしまった発見者は、血みどろの戦いを共に繰り広げ、この戦いは最終的にグレイナイト戦団の前八個騎士団支隊の介入によって、ようやく終結を迎えた。
激しい戦闘の末、〈アントウィールの黒き刃〉とその所持者は、〈歪み〉の中へと追放されたのだ。しかし、これほどまでに邪悪な存在が完全に消滅する事は、滅多にない。
それから三千年後、グレイナイト戦団は、呪われし月「テティス」で、再び呪われし魔剣と遭遇したのだ。しかしテティスの月の戦いで、この剣の奴隷になってしまった所持者は遂に殺されることとなった。
かつて銀河を破滅の瀬戸際へと追いやった〈アントウィールの黒き刃〉は、悪魔の天敵であるグレイナイト戦団の手に渡ったのである。
【魔剣の所持者】
だが不運にも、グレイナイト戦団には、〈アントウィールの黒き刃〉の破壊方法をどうしても突き止めることができなかった。〈歪み〉から生み出されたこの剣に対しては、考え得るいかなる手段を用いても、何ら影響を与える事無く破壊できなかったのだ。
この邪悪な魔剣を宇宙空間の暗闇に葬り去る事もできない。そんなことをすれば、この邪悪なる刃に引き寄せられて、すぐに新たな所持者が現れるであろうと考えたからである。
同様に、これを戦団の地下貯蔵庫に封印するという案もあったが、貯蔵庫監視者たちが渾沌の汚染にさらされる危険性があるため却下された。そして最終的に、グレイナイト戦団が考え得る最も安全な場所へ〈アントウィールの黒き刃〉を預けるという決断が下されたのだ。
それこそが、グレイナイト戦団で最も純潔なるサイキック能力を持つ浄化者騎士団であり、彼らの騎士団支隊長へと魔剣が預けられることとなった。以来、この剣は千年もの間、穢れを知らぬ戦士の手に引き継がれ続け、現在ではギャラン・クロウェの手に握られるようになった。
【誘惑に打ち克て】
〈アントウィールの黒き刃〉を預かるクロウェの肉体と精神は、常に魔剣の脅威にさらされている。この魔剣に込められた邪気に引き寄せられて、狂気に満ちた定命の者や、この剣を必死に狙う悪魔どもが次々と襲いかかってくるからだ。
また、これらの敵と向かい合っていない時間も、クロウェは己のサイキック能力を駆使して〈アントウィールの黒き刃〉自体とも精神戦を繰り広げなければならない。さもなくば、この剣はクロウェに対して絶大なる力を授けると誘惑し続け、彼の意志を黒き魔術で縛り付けようとしてくるからだ。
故にクロウェは、いかなる時も防御の姿勢を解くことができない。少しでも気を抜こうとしたら、剣の囁きが彼の脳裏で共鳴し「クロウェよ、我が力を振るえ。勝利のために力を貸そうではないか。」と誘惑してくるからだ。
ほとんどの者は、自らの意志力に過剰な自信を持ち、自分ならば堕落することなくこの剣の魔力を制御できると考え、まんまと剣の奴隷と成り果ててしまうだろう。しかし、クロウェは違った。
どれほど行き詰まった状況下であっても、どれだけ絶望的な戦闘であっても、決して彼が魔剣の誘惑に屈する事は無い。魔剣を握りしめながらも、クロウェの行動と思考は、常に彼自身によって制御されているからだ。
彼は黒き剣の守護者であり、何人たりとも犯されぬ高潔さを保ち続けている。そしてそれは、彼が死が訪れる日まで変わらないであろう。



画像出典:小説「Castellan」カバーイラストより


  • 「アンヴァル・ソーン」

「我らが戦うは、我らが魂のためにあらず。ただ〈帝国〉のためなり。我らが魂はすでに失われたか、あるいは、皇帝陛下の御意志によってすでに救済されているのだ。」


【概要】
不死の肉体を持つ恐るべき騎士。彼の物語には奇妙な逸話が残っている。
それは、若きアンヴァル・ソーンを地球へと運ぶ「黒き方舟」(ブラックシップ)に、グレイナイト戦団の〈徴収人〉たちが乗船しようとする時のことであった。彼らは、黒き方舟のエアロック部で、〈徴収人〉を静かに待つアンヴァルを見つけた。
この少年は、黒き方舟の沈黙がもたらす恐怖の中でも、全く落ち着きを見せており、それどころか〈徴収人〉らに対し「あなた方と一緒に降りるために、ここで待っていたのです」と自信に満ちた口調で述べたのだった。少年の額にある「帝国双頭鷲」(インペリアル・イーグル)の聖印、そして彼の周辺に漂うサイキックエネルギーの光輪について書き留めると、〈徴収人〉たちはこの少年が新規入団者として相応しいと判断し、タイタンへと連れて行った。
この少年が成すであろう、素晴らしき偉業の予感を心に抱きながら。
【位階を駆け登る騎士】
騎士の位階に到達するとすぐに、ソーンは戦団の機体に応える働きぶりを見せた。惑星「ヴァルトス」では、上級悪魔「ブラッドサースター」の「コル=アガール=アンド」に死の一撃を与え、惑星「ゴーリ」では、戦死した騎士団長「レオラック」の亡骸を守り続け、救援が到着するまで、40体もの下級悪魔「ブラッドレター」の攻撃を払いのけ続けた。
そして、惑星「ハルキンVI」では、同胞らが全て地に斃れし時も、ソーンはたった一人で生存し続けた。彼はハルキンVIの「地獄の門」(ヘルゲイト)で何週間もの間行方が不明となっており、まるでこの「悪魔の惑星」(ディーモンワールド)そのものが彼の死を求めているかのように思われたが、彼は決して屈することは無かったのだ。
増援部隊が到着する頃、ソーンは既に地獄の門の内部をかなり広範囲にわたって移動しており、ハルキンVIの地獄の門に関してかなりの知識を得ていた。そして彼は、増援部隊と合流するやいなや、この地獄の門に対して最大限の損害を与えられる場所まで、同胞たちを案内したのである。
このように、アンヴァル・ソーンは数々の偉業を重ね、就くべくして「制裁長」(ジャスティカール)の位階へと就いた。
【奇跡の復活】
制裁長となった後も、彼はさらに多くの偉業を成し遂げていった。偉大な功績の数々を収めたソーンは、すぐに生ける伝説と化し、グレイナイト戦団が誇る歴史上の英雄たちと肩を並べるようになった。
しかし、この栄光の中で、思ってもみない悲劇が彼を襲ったのだ。それは異種族「アエルダリ」の〈方舟〉「マラン=タイ」の荒廃した広間にて悪魔排撃作戦を実行していたソーンは、イノシシが串に刺されたかように、悪魔「ン=カァリ」が携える不浄なる槍に貫かれ、あえなく戦死してしまったのだ。
拠点惑星にソーンを葬るべく彼の遺体が到着し、葬列が死者の地へと運ばれる時、信じられないことが起こった。彼が納められた柩(サルコファガス)から大声が発せられ、行進が中断したのだ。
担ぎ手らが困惑しながらも大急ぎで柩を開けると、その中でソーンは確かに生きており、見たところ何も外傷を負っていない状態で復活したのである。
【同胞への疑念】
ソーンの復活は戦団にとって歓迎と同時に、彼に疑念を抱くきっけかとなった。ソーンの同胞たちは、彼と再び戦うことを喜んだが、それと同時に、この出来事に何か深く不吉な意味があるのではないかと懐疑的になったのだ。
数時間前まで、ソーンの肉体は確かに冷たく、死んでいた。しかし今では無傷であり、どの同胞にも劣ることのない健康そのもので、彼らとともに歩いているではないか。
司書官らがソーンの復活に関して渾沌汚染を疑って調査を行い、納得のゆく科学的説明の根拠を探してみたが、彼らがどれほど丹念に、また長期間にわたってソーンを調査したところ、何の手掛かりも見つける事はできなかった。かくして何年にもわたる徹底的な調査、検査を終えてから、ソーンはやっと聖務に戻ることとなったのだ。
それから数十年、ソーンはかつての偉大の献身ぶりと能力をいささかも失う事なく戦い続けている。その後もソーンは何度も死を経験したが、数日後、または数時間後、時には数分後に復活し、すっかり元通りの活力を取り戻していたのだ。お前は化け物か
もはや、彼の不死身な肉体に対して懸念を抱くグレイナイトの同胞はほとんどいない。中には、ソーンは何かの使命を成すために特別に遣わされた、運命の執行人であると信じる者さえいる。
彼らは、「最終的にその不死なる戦士は、地球にある〈黄金の玉座〉の足元で敵に囲まれて死ぬことになるだろう。」という予言の一部を信じ、また、それこそがソーンであると信じているのだ。
【最後の刻まで】
しかし、当のソーン本人にとっては、この不死の肉体は忌むべき呪いに他ならない。長い人生の中で、彼は人類の運命がさらに深々とした暗闇に覆われ、〈帝国〉がさらに絶望的状況に陥ってゆくのを見てきたからだ。
他のほんの一握りの者たちと同様、ソーンは「自分の行動によって人類の滅びを食い止める事はできないとい、自分には同胞の運命でさえ確実に変える事は出来ないというのに。」という事実を痛感している。最終的には渾沌の暗黒神が勝利を掴み、人類の文明は滅亡するであろう。
しかしソーンは、たとえ不可避の運命とわかっていても、それに対して戦い続ける。〈帝国〉と、人類を破滅に追いやろうとしている悪魔の軍勢の間に立ち続ける事を、固く決心しているのだ。
何故ならば、それこそが彼の誓った責務であり、それを遂行するにあたって、アンヴァル・ソーンは何者をも失望させる事は無いのである。


  • 「アルドリック・ヴォルドゥス」

「かの悍ましきものたちに、我らの意志を見せつけよ。我らの存在そのものが疑念で満たされるまで、我らの覚悟を注ぎ込むのだ。痛みを超越したと信じている者たちに、痛みは常に存在すると知らしめよう。剣を取れ。鎚を取れ。ここに皇帝の憤怒を抱き、不浄なる黒き魂魄に、恐怖とはいかなるものかを教えてやれ。」



【概要】
第三騎士団長であるヴォルドゥスは、少なくとも過去の数百年において、最大の異能力を持つグレイナイトだ。彼が戦場に立つ時、大気そのものが神秘のエネルギーで満たされ、輝きを放つ。
彼は自らの力を浄化の炎として解き放ち、彼の前に立つ敵を燃やし尽くす。彼が受け継いだディーモンハンマー「白銀の聖槌」(マレウス・アレギュルム)は盲目の武器職人「フリュイヴェール」によって、一世紀かけて鍛え上げられたものだ。
ヴォルドゥスがこの武器の中核に自らのサイキックパワーを注ぎ込む時、このハンマーはうなりをあげて打ち震える。騎士団長はこの武器がまるで重さを持たぬかのように振り回すと、雷撃の威力を込めて敵に一撃をたたきつける。
【選ばれし騎士団長】
彼が第三騎士団の騎士団長という重責ある位階へと上がったのはM41.999(西暦40999年)、銀河を二分する〈大亀裂〉(グレートリフト)の発生による未曾有の大災害で〈帝国〉が混乱しているさ中であった。この昇進は予測されてるものであった。
至高騎士団長であるカルドール・ドライゴが現実宇宙へと帰還し、ヴォルドゥスは彼と力を合わせてティーンチ神のグレーターディーモン「ロード・オヴ・チェンジ」の「ム=カヒェン」を撃退した。そしてドライゴ自らが、ヴォルドゥスは騎士団長の資格があると言ったのだ。
グレイナイトの最高位に就く至高騎士団長が認めたとは言え、ヴォルドゥスは大いなる重圧を感じていた。彼自身の目からは、自らはまだ修行中の身であり、ただディーモンと戦い打ち倒す以上の存在ではなかったからだ。
それでも彼は全力でこの名誉ある地位の務めを果たすとドライゴに誓った。惑星「マクラーグ」において、惑星「ガサラモール・プライム」において、月において、そして〈帝国〉の中心部である聖なる地球(テラ)において、アルドリック・ヴォルドゥスは自らにその資格があると証明して見せた。
彼自身が認めずとも、彼の指揮力、戦闘力、精神力が卓越していることは誰の眼にも明らかであった。最も強壮なるスペースマリーンを配下として率いるだけでなく、ヴォルドゥスは「蔵書院守護」でもある。
この役職によって、彼は戦団の「司書官」(ライブラリアン)を束ねる指揮権を持ち、また彼らの護る危険に満ちた禁書に目を通す事もできる。



画像出典:コデックス「グレイナイト8版」(codex:GreyKnights) P28イラストより


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グレイナイトの兵種と兵器

グレイナイトには様々な兵種のスペースマリーンが配属しており、通常のスペースマリーンとは異なる特徴を有する。また、彼らの扱う様々な兵器や武器は対渾沌用として造られた特別製で、聖なる祈祷や妖術が込められた武装で〈歪み〉から来る悪魔との戦いに立ち向かう。


神秘的な〈鈍色の騎士〉の詳細な兵種や兵器についてはこちらを参照されたし


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皇帝陛下に捧げし身命、定命なる器に過ぎずとも我ら真なる義務を永遠に果たさん。皇帝陛下に祈りを捧げ、いざ、不浄にして悪しき魔属をば誅滅せん!


追記・修正は異端審問庁〈鉄槌の団〉所属の異端審問官のみ許可する。これらの知識は一般臣民に知れた場合には処刑する事やむなし。


(C) Copyright Games Workshop Limited 2022. GW, Games Workshop, Citadel, White Dwarf, Grey Knights , 40K, Warhammer, Warhammer 40,000, the ‘Aquila’ Double-headed Eagle logo, Warhammer Age of Sigmar, Battletome, Stormcast Eternals, and all associated logos, illustrations, images, names, creatures, races, vehicles, locations, weapons, characters, and the distinctive likenesses thereof, are either (R) or TM, and/or (c) Games Workshop Limited, variably registered around the world. All Rights Reserved.


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  • ヘルシングのイスカリオテが1000倍ぐらい狂暴になったような組織 -- 名無しさん (2022-02-10 22:54:00)
  • ヒャッハー!!新鮮なウォーハンマー記事だぜ!! -- 名無しさん (2022-02-11 02:44:15)
  • たしか初代至高騎士団長の人ってサウザンド・サン団員アルビダ軍曹がマグヌスの分裂した精神体の一つ、マグヌスの良心と一体化して生まれ変わった人だっけ? -- 名無しさん (2022-02-11 13:11:53)
  • そう、マルカドールがマグヌスを再生しようとしたらヤヌスが生まれちゃったらしい。あとカルドール・ドライゴ、あっちの人も盛りすぎって評判微妙らしくてわらった -- 名無しさん (2022-02-12 01:49:12)
  • 他の勢力は割と趣味人の好きな色に塗られるけどグレイナイトだけは銀色以外の色で塗られているのを見た事がない -- 名無しさん (2022-06-17 17:10:15)
  • スペースマリーンは設定がカッコいいけど、その中でも特にグレイナイト戦団がいちばん好きだな -- 名無しさん (2022-12-25 08:33:11)
  • 鬼殺隊とナイトレイダーと魔戒騎士を足して3で割ったような組織……言い得て妙だね。「人の心の負の面そのものを力の源としその存在が認知されることそのものが脅威となる異界の魔物達に対し、人知れず偉大なる先人達の遺した退魔の武具と秘伝の奥義と英霊達の魂と共に安息なき戦いを続ける心身を極限まで鍛えぬいた一騎当千の超人英雄達。あと敵の特性上機密保持は倫理的な問題も伴うような手段も使わざるを得ないくらいにはめっっちゃ厳しい(それでも記憶操作すら伴うナイトレイダーや魔戒騎士がまだ遥かに人道的に見えてしまうくらいには容赦ないけど)」 -- 名無しさん (2024-04-17 07:43:10)

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