独立捜索剣虎兵第十一大隊

ページ名:独立捜索剣虎兵第十一大隊

登録日:2011/12/23(金) 01:55:08
更新日:2023/08/10 Thu 14:48:19NEW!
所要時間:約 13 分で読めます



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貧乏くじ 皇国の守護者



よろしくないわけでもあるのか、曹長?


命令はでている。


僕等は剣虎兵なのだ。


断然攻撃あるのみだ。


粉砕してやる。




佐藤大輔・著の仮想戦記小説『皇国の守護者』に登場する戦闘部隊。
作中の小さな島国 <皇国>軍に存在する組織で、主人公の新城直衛は当初ここに所属している。
新城と共に、この部隊は<北領紛争>という地獄を戦い抜いてゆくこととなる。
元ネタは士魂部隊で有名な帝国陸軍の戦車第十一連隊及び陸上自衛隊の第11戦車大隊(※2019年に第11戦車隊へ縮小改編)だと思われる。




初めにあらすじの解説を。



【北領紛争とは?】


<皇国>内地とは海を隔てた北の大島『北領ほくれい』を舞台にした<皇国本土決戦>の緒戦。
皇紀568年1月14日の<帝国>軍来襲から同年2月24日の<皇国>陸軍独立捜索剣虎兵第11大隊予備隊降伏までの期間を指す。
ストーリーの幕開けを兼ねた最初の山場でもある。



<帝国>の来寇には事前の通告が無く、<皇国>側は満足な準備期間を取れなかった。
具体的には、平時における軍政機構『北領鎮台』を戦時編成である『北領軍』に改編する事が出来なかったのである。
それでも北領鎮台は集成第一兵団の編合により兵力は約30,000と、<帝国>東方辺境領軍の約22,000を上回っていた。
鎮台司令長官にして、五将家のひとつである都南公爵家『守原家』出身の陸軍大将・守原英康は勝利に自信を持っていた。


  • <皇国>陸軍

北領鎮台
┣銃兵(寒生白鬼)第二旅団
┣銃兵(天狼山兵)第五旅団
┣銃兵(北府精兵)第一一旅団
┣騎兵(北領騎兵)第七旅団
┣砲兵(北領砲兵)第一旅団
集成第一兵団
├銃兵第三旅団
├銃兵第八旅団
├銃兵第九旅団
├銃兵第一〇旅団
├砲兵第二旅団
├特設騎兵第四聯隊
├近衛衆兵第五(集成)旅団
└独立捜索剣虎兵第一一大隊


  • <帝国>東方辺境領軍

東方辺境鎮定軍
┣鎮定軍参謀部
┣鎮定第9軍団
┃├第21東方辺境領猟兵師団(一個旅団欠)
┃├第15東方辺境領猟兵師団(本土待機)
┃└第27東方辺境領砲兵旅団
┣鎮定第1騎兵軍団
┃├第5東方辺境領騎兵師団(本土待機)
┃└第3東方辺境領胸甲騎兵聯隊
鎮定軍直轄予備
├独立猟兵大隊×4
├独立騎兵大隊×2
├独立砲兵大隊×3
└特設重砲兵大隊×4


だが、初戦であり両軍が全力を結集した決戦でもある『天狼会戦』で鎮台はあっさり惨敗。
しかも旗色が悪いと悟るや英康自身はさっさと逃げ出し、残存兵のほとんども英康に続いて撤退、主邑の北府も喪失する有様だった。
増援の到着により約40,000に膨れ上がった<帝国>東方辺境領軍に対して、再編後の北領鎮台は約18,000で兵力差が逆転。
装備や士気といった戦力倍増要素も勘案した実質的な戦力比は6:1まで開き、この時点で北領の陥落は確定してしまう。



当然ながら鎮台が北領から脱出するには船を使わねばならない。
しかし、事前に<帝国>に買収されていた港湾都市・美名津の市長は船渠の使用を拒否。
作中世界の大原則<大協約グラン・コード>の市邑保護条項によって、鎮台が協力を強制する事は不可能である。
脱出は大幅に遅れ、そしてこのままではそれが叶う前に<帝国>軍に追いつかれるのは確実だった。



頼りとなるのは、予備に指定されていて天狼会戦後も無事だった『独立捜索剣虎兵第11大隊』。
彼らは万の味方を救う為の捨石として、決死の殿軍を務めねばならなくなった――。





以下、本題。



【独立捜索剣虎兵第11大隊】


本編開始の2年前に編成された、<皇国>軍史上初となる剣牙虎(サーベルタイガー)と共に戦う部隊。
猛獣を伴う都合上、<皇国>軍従来のカッチリした隊列戦術ではなく突撃戦・乱戦で最も戦力を発揮する性質を持つ。
しかしその野蛮さは他の兵科から嫌われ、また未だ実戦での有用性が確認されていなかった為に天狼会戦では後方の予備戦力に回されていた。
そのおかげで会戦での惨敗後も大隊の被害は軽微(会戦直後での残存兵力は47名減の827名、剣牙虎は約15頭減の85頭)で済む。
……が、鎮台主力の南下に遅れてしまった不幸も重なり、一足先に逃げた味方を逃がすための時間稼ぎ役を強いられてしまう。
迎え撃つべき敵は数万。大隊の全滅はほぼ確実である。



新城は第2中隊の本部分隊に配属された兵站将校(正式な役職は中隊兵站幕僚)。
当初は大した指揮権を持たないが……。





【部隊構成など】


独立捜索剣虎兵第11大隊(定数:人員874名/剣牙虎約100頭)
┣大隊本部(本部小隊)
┣第1中隊(捜索剣虎兵中隊)
┃├中隊本部
┃├捜索剣虎兵小隊(4個分隊基幹)
┃├捜索剣虎兵小隊(4個分隊基幹)
┃├中隊尖兵小隊
┃├中隊騎兵砲分隊
┃├中隊導術分隊
┃├中隊短銃工兵分隊
┃└中隊療兵分隊
┣第2中隊(編制内容は第1中隊と同一)
┣第3中隊(鉄虎兵中隊)
┃├中隊本部
┃├鉄虎兵小隊(4個分隊基幹)
┃├鉄虎兵小隊(4個分隊基幹)
┃├鉄虎兵小隊(4個分隊基幹)
┃├中隊導術分隊
┃└中隊療兵分隊
┣大隊鋭兵中隊
┣大隊騎兵砲小隊
┣大隊短銃工兵小隊
┣大隊導術小隊
┣大隊輜重中隊(段列)
┣大隊療兵小隊
┗大隊給食小隊


独立捜索剣虎兵第11大隊(現有:人員298名/剣牙虎5頭) ┣大隊本部(本部小隊) ┣集成第1中隊(旧第2中隊及び補充兵若干で再編) ┃├中隊本部 ┃├剣虎兵小隊 ┃|├捜索剣虎兵分隊 ┃|└尖兵分隊 ┃├中隊短銃工兵分隊 ┃└中隊療兵分隊 ┣集成第2中隊(旧第2中隊基幹、旧第3中隊残余を加えて再編) ┃├中隊本部 ┃├剣虎兵小隊 ┃|├捜索剣虎兵分隊 ┃|└鉄虎兵分隊 ┃├中隊尖兵小隊 ┃└中隊療兵分隊 ┣集成第3中隊(大隊鋭兵中隊に補充兵を加えて再編) ┃├中隊本部 ┃├鋭兵小隊(2個分隊基幹) ┃├鋭兵小隊(2個分隊基幹) ┃└中隊療兵分隊 ┣大隊輜重中隊(段列) ┣大隊導術分隊 ┣大隊療兵分隊 ┗大隊給食分隊 ※上記の298名の内、100名近くは他部隊から編入した敗残兵で、戦力としては全く期待できなかった。 ※真室川防衛戦の前に、転進支援隊からの増援約300人(鋭兵1個中隊・騎兵砲2個小隊・馬車・糧秣)と後退途中で回収した平射砲12門を得て増強 ※増援到着後の再編で、鋭兵と平射砲は集成第1・第2中隊に配されたらしく、新城直卒の予備隊となる第3中隊は8割以上が敗残兵で占められていた。

  • 剣虎兵(捜索剣虎兵サーベルタイガース鉄虎兵ヘヴィサーベルタイガース

主に<皇国>の虎城地方で生息する剣牙虎(学名:マダラオオキバネコ)を主力戦闘獣メイン・バトル・ビーストとして採用した戦闘兵科。
猫という愛称で親しまれているが、1頭で20人の銃兵に匹敵する戦闘能力を有する獰猛な肉食獣である。
敵の部隊指揮官を優先して襲うよう躾られており、また夜目も利く事から夜襲などの夜間戦闘にも投じられる。
聴覚や嗅覚が優れているので、臭いや音が強まる騎兵なら約十五里、銃兵(猟兵)なら約十里以内に居る敵部隊を察知する事も出来た。
剣虎兵とは騎銃(騎兵用の銃身が短い小銃)で武装した銃兵の一種で、人虎一体の襲撃戦術により白兵戦では無類の強さを発揮する。
方陣(四角形状の陣形で、射界に死角が無い)ではなく、剣虎兵を楔形に配置する虎の顎門あぎとと称する戦闘捜索陣形を基本戦術としている。
偵察・捜索・警戒などを担当する捜索剣虎兵と強襲専門の鉄虎兵に大別されていて、
前者は様々な兵科と連携して任務に当たるが、後者はほぼ剣虎兵と剣牙虎だけで占められている。


  • 銃兵(尖兵&銃兵&鋭兵)

現実世界の戦列歩兵に該当する戦闘兵科。<皇国>における普通の歩兵。
ミサイルら携行対戦車兵器・無反動砲・迫撃砲・機関銃ら自動銃火器・手榴弾などが登場する前の時代であり、
支援火力は軽臼砲(打ち上げ花火にも用いられる竹を縄で巻いた火筒)や平射砲ないし曲射砲(いずれも後述)のみ。
<皇国>の銃兵は細かく分けると、尖兵・銃兵・鋭兵の三種類に分類される。
尖兵とは主交戦距離が30間程度の騎銃で武装した移動能力に長けた銃兵で、最も戦闘的な人材が配される。<帝国>の猟兵に相当。
銃兵とは主交戦距離が50間程度の滑腔銃で武装した銃兵で、<皇国>陸軍で最も多い戦闘要員である。通常は一刻で六里の行軍が可能。
鋭兵とは主交戦距離が100間程度の施条銃で武装した銃兵だが、経済的事情により十分な数は賄えず定数を満たしていない。
狙撃用として射程の長い長銃身型も配備されていて、滑腔銃・施条銃を問わずに1里までなら届くが、通常は狙的鏡を併用しても有効距離は200間にも満たない。
なお作中当時は前近代的な燧石式フリントロック前装式(銃口から弾薬を込める方式)滑腔銃(腔綫と呼ばれる螺旋状の溝が掘削されてない小銃)が主流で、
加工が難しく高価な施条銃(銃身内部に腔綫ライフリングを切った小銃)は量産先行型のみ、鎖閂式ボルトアクションの後装式に至っては試作段階である。
また当時は単発式しかなく、弾倉を使用する連発機構は短銃で試用されたばかりである。


  • 砲兵(曲射砲&擲射砲&騎兵砲&平射砲)

戦場の王たる大砲を扱う戦闘兵科。後に噴龍弾と称するロケット弾も実用化されて実戦投入されている。
曲射砲・擲射砲・平射砲は概ね現実世界の臼砲・榴弾砲・加農砲に該当する。ちなみに騎兵砲は平射砲に分類されている。
曲射砲とは仰角が45度以上とれて弾道が山なりに描く火砲で、要塞攻略用の攻城巨砲や<皇国>銃兵の支援火器などで導入されている。
擲射砲とは仰角が15度以上45度以下で弾道が弓なりに描く火砲で、砲兵の主要器材。小口径砲は<帝国>猟兵が支援火器として採用。
平射砲とは仰角が15度以下で直接照準を前提とする火砲で、騎兵砲は例外的に30度まで仰角がとれる。歩騎兵系の火力支援用途が多い。
騎兵砲は馬匹牽引式で展開能力に秀でるが、大抵の馬は剣牙虎を恐れる傾向にあるため、剣虎兵部隊では已む無く人力で曳いていた。
無煙火薬がまだ実用化されていないため、装填前に射撃で生じた残渣を除去する必要があった。


  • 導術兵

歴史の浅い新兵科で、剣虎兵と同様に上層部からあまり信用されてない。
導術兵は術力判定で導術という超能力が認められた特殊技能兵で、頭髪を剃り額には銀盤が埋め込まれている。
導術とは人体や龍族から発せられる電波のようなもので、敵の探知や味方間の通信ばかりか弾着観測や電子戦に近い芸当も可能。
非常に便利だが使用する際の消耗が著しく、濫用は死さえも招く。養成も困難で、陸軍も水軍も人員不足に悩まされている。
大協約世界では各国で忌み嫌われており、純化運動による魔導士狩りが起きた<帝国>では背天の技とされている。
かつては<皇国>でも五将家による大弾圧(滅魔亡導)が行われた。


  • 短銃工兵

現実世界における戦闘工兵。野戦築城や陣地攻撃などを行う。
銃兵として直接戦闘もある程度こなせるが、所属兵科は工兵科。
<皇国>では鍬兵も登場しているが、両者の差異は不明。


  • 療兵

現実世界における衛生兵。診断や応急処置などを実施する。
体力勝負なところもあり、腕っぷしの強い者も少なくないらしい。
医療技術は発展途上にあり、負傷の程度次第では慈悲の一撃も選択される。その役割を果たすのは上官だが。


  • 輜重兵

軍隊における兵站(ロジスティックス)部門の要となる支援兵科。
輜重段列は戦闘部隊へ補給するための部隊で、弾薬糧食や装備などの軍需品の輸送を担う。
主人公の新城は中隊本部付幕僚の兵站将校に任じされているが、輜重兵ではなく銃兵科出身の剣虎兵中尉である。


大隊は大きく3つのナンバー中隊+αの人員に分かれ、それらを伊藤少佐率いる大隊本部が取り纏めている。
<皇国>では異例の三兵編成(本来は歩兵・騎兵・砲兵の組み合わせだが、本作では諸兵科連合部隊コンバインド・アームズという意味を持たせてる)で、
未だ実験部隊扱い故、各中隊は思いついた戦術を即座に試せる、つまり独力で戦闘を行える構成になっているのが特徴。



RPGっぽく言うと、


  • 通常の部隊

→戦士だけ、魔法使いだけ……といった職業別に纏められ、軍として動く際に初めて他の部隊と協力しあう
=部隊単独では相性の悪い敵に対応不可


  • 11大隊を構成する中隊

→初めからバランス良くパーティーを編成済
=どのような敵にも対応可能


と、このようなイメージ。



ただし多くの馬が剣牙虎を恐がるので、通常の部隊には居るはずの騎兵が居ない。
もっとも騎兵は叛乱対策で五将家に独占された状態であり、元より配備される可能性は低かったと思われるが。
よって一般的な歩兵である銃兵、剣牙虎と共に戦う剣牙兵、騎兵砲を持つ砲兵が主戦力となる。





【人物紹介】


小説版では新城以外の描写は控えめだが、漫画版ではそうした人物にもキャラ付けがされている。
1990年代の野球ファンはお察しだろうが、姓名の元ネタは球界関係者だったりする。


以下、ネタバレを含む。











《大隊本部》


○伊藤少佐
開戦時の大隊長。
騎兵出身だったが他の部隊から左遷される形で第一一大隊に回され、世の全てを恨んでいると噂されている人物。
しかし本人の能力は決して低くなく、戦場では自ら前線に出ることを厭わない実戦派でもある。
そうした雄姿は新城をして噂から来ていた認識を改めさせた……が、その直後に戦死。
漫画版の追加要素として、よりによって騎兵であるバルクホルン大尉に討たれるという皮肉な最期が演出されている。
なお、新城の事は嫌いつつもその能力は高く評価していた。



《第二中隊》


新城直衛
主人公。本人の詳細は項目にて。
若菜が自滅したのち、中隊長を引き継ぐ。
その後、敵を強襲する大夜戦にて伊藤少佐を含む自分以上の将校が全滅。
大隊指揮を代行する羽目に。また、この直後に大尉へ野戦昇進する。



○猪口
新城の右腕となる曹長。
作品項目、または新城の項目を参照のこと。



○千早
幼い頃より新城が世話してきた雌の剣牙虎。
作品項目、または新城の項目を参照のこと。



○若菜大尉
第二中隊長。新城よりやや若く、実戦は北領でのこれが初。
将家生まれというだけで大尉となったことに加え、軍人としての能力も低いため部下からの信頼は皆無。
天狼会戦後はなんとか頑張ろうとするが、やはり判断を誤ってばかり。
その果てに勝手に死地に赴くも、新城には“真面目な馬鹿”は無駄に味方を死なせるとして見捨てられる。
漫画版では、得点稼ぎで致命傷を負った北領鎮台司令官の副官を救助しようとして撤退に手間取り、西田小隊を捨て駒にする無能振りを晒した。



○西田少尉
士官学校時代からの新城の一つ年下の後輩。
大隊では猪口と並んで新城が親しくする数少ない好人物だったが、
漫画版では若菜の失敗を尻拭いさせられる形で敵の足止め役にされ、奮戦むなしく戦死する。
死の直前には、気まぐれで最前線まで出向いていた敵の総指揮官・ユーリアの眼前まで迫っていた。
一方、小説版では伊藤少佐も死ぬ夜戦の中で地味な最期を遂げる。
それはそれで戦争の無情さを示している。



○漆原少尉
素直な好青年という印象の若い少尉。
当初こそ新城の差配に信頼と好感を持っていたが、<帝国>軍による北領各地の食料調達(=現地略奪)阻止の為、
<帝国>軍が辿り着く前に進路上の村々を焼く」、という非情な作戦に従わされて以降はその全てを真逆の物としていく。
焦土作戦時は第一一大隊の予備隊となる集成第三中隊へ配属されていたが、偽装襲撃で少女を誤射した心的外傷によって将校としての役割を放棄してしまう。
しかし戦況がいよいよ逼迫してきた頃になると色々と吹っ切れ、ちょっとした諧謔味を帯びた味のある将校へと成長する。
新城は彼の成長を見て「得難いものを得た」と心中で喜ぶが、直後に流れ弾を頭に受けて死亡する。



○兵藤少尉
戦闘では常に最前線に配備される『尖兵小隊』の小隊長。
その配置に相応しく戦闘向きの苛烈な気質を備えるが、仲間に対してはその生死を強く案じる優しさも持っている。
特に、数少ない残存少尉仲間である漆原や妹尾にはその傾向が強かった。
また現実的な思考の持ち主でもあり、漆原が激しい反感を抱いた前述作戦にもその必要性を認識し、新城への一定の理解を示している。
後に集成第一中隊長へ就任し、新城が率いる予備隊の出撃後は第一一大隊主力の代理指揮官に任命される。



○妹尾少尉
新城らとは別の第三中隊にいたが、先述の夜戦でそちらは壊滅、相棒の剣牙虎までも喪う。
彼自身は生き残り、数少ない将校として漆原、兵藤と共に大隊を支える。
前述の作戦に向ける心情は、概ね兵藤と同様。
集成第二中隊長へ就任することになる。



○金森二等導術兵
第二中隊に所属する数名の導術兵の一人で、まだ少年といえる程に若い。
冬場における導術の使用はただでさえ消耗が激しく、若く経験の浅い金森にはその傾向がより顕著になる。
それを押して新城への少年らしい健気な信頼から力を酷使し続けた結果、戦況末期に衰弱死する。
新城は将校として「部下が自分を恨みながら死んでいく」ことには慣れていたが、金森の死はその心に深く突き刺さるものとなった。
漫画版では死に際の金森自身と、その光景を目の当たりにした漆原や兵隊の台詞が追加されており、最期の描写がより際立った。






【その結末】


北領紛争末期、鎮台主力を逃がす為の時間を稼ぎきった新城は<帝国>に降伏、部下共々捕虜となる。
その時の大隊の残存兵力は、人が約20名、剣牙虎が千早を含めた2頭。
上に紹介した名有りの人間は、新城と猪口以外全員が死亡。



生き残った面子は内地への帰還後、近衛衆兵隊シヴィル・ガーズへ転属して新城と共に再び激戦へと舞い戻っていく事となる。
武名だけ残される形となった第11大隊だったが、更なる過酷な運命が待ち受けていた。
守原家へ内通していた駒城家重臣の佐脇俊兼が大隊長に就任し、剣虎兵学校から引き抜かれた教官や助教の下で精強な部隊に再建されたものの、
集成第三軍隷下の龍口湾防衛戦では<帝国>陸軍第1教導戦闘龍兵団ドラグーン・レーアの爆撃で数十頭の剣牙虎や四割以上の将校が死傷する大損害を蒙って後退し、
虎城へ展開する駒洲軍に配属された後は、かつて第11大隊予備隊の降伏を受諾した第3東方辺境領胸甲騎兵聯隊オスト・フッサールの聯隊長だったカミンスキィ率いる
第21東方辺境領猟兵師団(と<帝国>第801独立平射砲中隊)の冬季攻勢を受けて孤立無援に陥った末に潰滅してしまうのである。
その際の生存者は僅か15名で、生還した剣牙虎は存在しなかった。




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  • 導術分隊長の増谷さんは書く程でも無いか? -- 名無しさん (2015-11-14 22:43:42)
  • 北嶺での生き残りはほとんどどころか全部近衛に引っ張っていったから佐脇麾下のは名前だけの第11大隊だったような -- 名無しさん (2015-12-04 13:29:37)
  • 屋島軍曹の顔は漫画版でも判らなかったなあ -- 名無しさん (2015-12-09 16:53:14)
  • 各分隊、小隊の人数猫数砲数が知りたいです -- 名無しさん (2023-06-22 21:43:12)

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