登録日:2020/07/23(木) 22:33:55
更新日:2024/05/20 Mon 13:21:02NEW!
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「波にのれるまで、何度でもオレが助けるよ。10年、20年…ひな子がおばあちゃんになっても、波にのれるまで」
『きみと、波にのれたら』とは、2019年に公開されたアニメ映画である。
■概要
東宝系で公開された湯浅政明監督・サイエンスSARU制作のオリジナル映画。
千葉県の海辺を舞台に、消防士の青年とアマチュアサーファーの女子大生の、情熱的な愛を描いた傑作である。
キャラデザ・作画監督は湯浅作品『DEVILMAN crybaby』から小島崇史が続投。
脚本は前作『夜明け告げるルーのうた』の吉田玲子が担当した。
このwikiのユーザーでもわかるように言うと、劇場版けいおん!やガールズ&パンツァーの人である。
最近の例で言えば映画『若おかみは小学生!』の人と言えば伝わるだろうか。
主演は片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)と、元AKB48の川栄李奈。
本作の主題歌『Brand New Story』(GENERATIONS)は作中世界でも何度も流れており、中盤以降は重要な鍵を担うことになる。
小学館が版権を有しており、漫画版はフラワーコミックスから、小説は小学館文庫から発表された。
また製作にはフジテレビが関わっているため、『めざましテレビ』内の『紙兎ロペ』とのコラボも行われた。
本作の主人公・港は消防士であり、東京消防庁が全面協力している。
ちなみに、本作公開と同時期に『プロメア』が公開されていたため、まさかの消防映画がカブることとなった。
それにしても『ペンギン・ハイウェイ』といい『海獣の子供』といい『天気の子』といい…最近はアニメ映画界で水属性のヒロインが流行っているのだろうか?
なお、パンフレットの3ページ目で中盤以降のネタバレが思いっきり書かれているので、まずは本編を見てから読むように。
■あらすじ
大学入学を機に、幼い頃過ごしていた海辺の町に引っ越してきた向水ひな子。
大好きなサーフィンを思いっきり楽しむひな子の姿を、町の消防士・雛罌粟港は「ヒーロー」と呼び、興味を抱いていた。
引っ越してから間もなく、無許可で花火を上げていた動画配信者の失火により、ひな子のアパートが火事に遭う。
ひな子はボードを抱えて逃げ惑い、屋上に到達。そこで港により救助され、ひょんなことからサーフィンを教えることとなる。
努力家でひた向き、何でもこなす港に、次第に心惹かれていくひな子。
やがて二人は相思相愛となり、誰もが妬む羨むカップルとなった…。
「雪が上がったら、いい波が来るんだ。それに乗ると願いが叶うって伝説があるんだよ」
■登場人物
- 雛罌粟港
CV:片寄涼太、山崎智史(幼少)
本作の主人公(どちらかというと「もう一人の主人公」)。
消防署の若きエースで、正義感が強く職場でも慕われている。
興味を持ったことにはひた向きに取り組む性格で、持ち前の要領の良さと諦めの悪さもあって、大抵の事はそつなくこなす。
引退後は海辺でカフェを開く事を夢見ており、コーヒーの焙煎や料理、キャンピングにも詳しい。
小さい頃に海で溺れて生死の境を彷徨ったことがあり、幼い頃は引っ込み思案な性格だった。
しかし、浜辺で生まれたばかりのウミガメが必死に海に向かう姿を見て感動し、自分も頑張ることを決意した。
今でもウミガメは好きで、持ち物にはウミガメの意匠が入っている。
本人もネタにしているほど苗字(ひなげしと読む)の画数が多い。
山葵共々職場の屋上からひな子のナイスバディを双眼鏡で覗いており、名を知らない彼女を「ヒーロー」と呼んでいた。
そんなある夜、失火で被災したひな子をはしご車で救出し、その時に彼女が持っていたボードに興味を惹かれ、サーフィンを習う。
程なくしてひな子と交際を始め、バカップル道を驀進することとなる。
自分に自信が持てずにいたひな子に対し、「いつでも駆けつける」という意味を込めたハンドサインを送っている(親指と小指を立てる電話のサイン)。
- 向水ひな子
CV:川栄李奈、木野日菜(幼少)
本作の主人公兼ヒロイン。
大学の海洋学科に籍を置くアマチュアサーファーの女性。長い茶髪を、お団子に纏めている。
港とは対照的にとにかく要領の悪いドジっ子で、幼いころから好きだったオムライスもなかなか上手に作れずにいる。
その性格と苗字から「向こう見ず」が仇名。花屋でバイトしている。
幼い頃からサーフィンが大好きで、スナメリの絵が描かれたオレンジ色のサーフボードがトレードマーク。
サーフィンの時には黄色く露出度がやたら高いビキニを着ており、巨乳というほどでもないがスタイルがいい。
大学入学を気に海辺の町(銚子市あたり)に越したが、引っ越し早々に火事に見舞われ、ボードを盾替わりにして避難した所で港に救助される。
当初は港にサーフィンを教える立場だったが、次第に何でもそつなくこなす港に心惹かれるようになり、交際を始めた。
勿論ボカされてはいるが、あれもいっぱいした。港裏山。
序盤で花火が原因で死にかけているが、港と花火大会に行くなど火や花火のトラウマは無いようである。港が隣にいたからであろうか。
- 雛罌粟洋子
CV:松本穂香
港の妹。顔は港に似ているが気が強く毒舌。2月3日生まれ。港曰く「ヒョウモンダコの洋子」。
何でもズケズケ言う体質の為友人関係でトラブルを抱え、一時期不登校だった。
「恋なんて阿呆のすること」が口癖。
- 河村山葵
CV:伊藤健太郎*1。
港の2歳下の後輩で相棒的存在。茶髪の青年。
ドジでいつも失敗しており、港を尊敬している。一方で港も、転びながらも前に進む山葵を応援している。
- ひな子の母
CV:堀越真己
夫と共に造園業を営む。何をやってもドジを踏む娘を心配する優しい母。
- さそりの順子/コブラの愛
CV:大地葉/西川舞
ひな子の友人。気が強いため有毒生物の仇名が付いている。
ひな子のバカップルぶりには呆れつつも応援している。
- 動画配信者
ひな子のアパートの隣の建設中のビルで、違法に花火を上げていたバカ共。
火災の原因を作ったため、リーダー格の青年が逮捕された。
追記・修正できないなら、いつでも呼んでよ。ひとりで波にのれるようになるまで、オレがいつでもかけつけるから___
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それだけの内容だったら一々アニヲタwiki(仮)で立項するわけがない。それじゃただのリア充映画である。
本作は中盤以降の怒涛の展開が見ものであり、以降は著しいネタバレとなるので注意。
■真のあらすじ
クリスマスの朝、港はひな子から聞いた「伝説」に挑むため、一人サーフィンに向かう。
だが、横転したジェットスキーの乗員を探し、単身助けに向かった港は…帰らぬ人となった…。
最愛の港を失い、失意に暮れるひな子。
PTSDで海を見ることもできなくなり、心を閉ざすひな子だったが、悲しみの中で口ずさんだフレーズが、奇跡を呼んだ。
体と命を失ってもひな子を想い続けていた港の魂は、まだ現世に残っていたのだ。
思い出の歌を口遊む度、港は水の中に現れる。それも幻覚ではなく、水という実態を持って。
絶大な喪失感に苛まれていたひな子は、水と歌声さえあればいつでも港に会えると知って、所かまわず港を召喚するようになる。
そんな中、ひな子は港と自分の出自に関わる、ある重大な秘密を知ることとなる…。
■真の登場人物
- 雛罌粟港
当初はひな子の幻影かと思われていたが、実は霊になって現世に留まっていた本物。
視聴者も最初は「え…何これホラー映画だったの…?」などと思うであろうが、水を媒介として物理的に動かすことができるため、
ひな子が勝手に思い描く都合のいい幻影などではなく、港の霊魂そのものであることが判明する。
(勿論、ひな子以外には港の姿など見えようはずもなく、水の塊にしか見えない)
以下、港の特質
○媒介となる水がどんなに小さくても、ひな子が『Brand New Story』を口遊めば出てくる。
○少量の水であれば、水の容積相応の小人として出現する。
○大量の水を依代とした場合には、生前の港より大きな姿にはならないが、周囲の水をゼラチンのように操ることはできる。
○この能力により、浮袋の中で召喚したら着ぐるみに入った様に動かすことができる。
○川や海から切り離された水を媒介とした場合、その水が煮沸・蒸発した場合は港にもダメージが戻ってしまう。
○演出上、声には少しエフェクトがかかっている。
この力があることで、ひな子と再び愛し合うようになった。
だが転んだひな子を抱え上げることもできなかったことを契機に、人間ではなくなったことを自覚。
ひな子を幻影の海から足の着いた陸地へ引き上げようとし始める。
- 向水ひな子
港を召喚できるようになってからは有頂天となり、透明な水筒やスナメリの浮袋などに水を詰めて港を連れ回すようになる。
勿論彼女以外に港を見られる人などいないので、周囲からは港の死を境に精神を病んだのだと思われていた。
つまり第三者からは
○水筒相手に喫茶店でのろける
○スナメリの浮袋を引きずり回し、電車では席を独占して1人でトランプ、カラオケボックスで浮袋と熱唱する
○浮袋相手に抱き着いてキスしまくる
○職場の便器に恋愛相談する
というマジでヤバい人と思われていたことになる。(作中でもモブ親子が「ママー何あれ!」「シッ見ちゃいけません!」をやっている)
筆者が山葵だったら、間違いなく病院の受診を勧めると思う。
心に空いた孔のせいで趣味にも現実にも向き合えなくなり、港だけが心のよりどころとなっていたひな子。
そんな中、港の遺したスマートフォンのロックを開けたことで、徐々に自分に向かい合うこととなる。
- 雛罌粟洋子
兄を失った後も(表向きは)気丈な態度を崩さず、港の夢だった「喫茶店の経営」を継ぐことを決め、
かつて兄が訪れていた喫茶店『セイレーン』でウエイトレスのバイトを始める。
実家を訪れたひな子に、兄が人生を変える切っ掛けとなったある事件について教える。
- 河村山葵
ひな子の奇行に疑問を浮かべ、洋子に相談する。
ひな子に思いを寄せるようになり、洋子から「心配なら本人に直接言え」と言われたことが契機になり、彼女に告白する。
終盤、ひな子が失った思い出を取り戻してから、物語は更なる怒涛の展開を迎える。
書きたいことは山のようにあるのだが、残念ながら百万言を費やすより本編を見ていただいた方が感動できるので、ここでは省略する。
将来に不安を抱えている人。
漫然と日々を過ごし、初心を忘れてしまった人。
何か大きな心の支えを失い、失意に暮れている人。
本作はそんな人の背中を押してくれる物語である。
この映画を見た人が、人生の荒波に呑まれ、溺れ、藻搔いた時、何度でも…勇気を忘れず、波を超える一助となると、幸いである。
追記・修正はオムライスを上手に作れたら、お願いします
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▷ コメント欄
- 某有名アニメレビュアーYouTuberのレビューで知った。まだ見てないけど、その人は酷評していた酷評けど泣ける人もいるのね。 -- 名無しさん (2020-07-24 11:27:08)
- 港の特性とかいう異能バトル漫画みたいな説明文で笑う。まあ実際スタンドみたいなもんだけどさ… -- 名無しさん (2020-07-24 11:28:45)
- サーファー、リア充感、主題歌 -- 名無しさん (2020-07-24 22:26:16)
- ↑途中送信すみません。主題歌がEXILEの兄弟分と、オタクが食い付きにくい要素ばかりだな〜と思った(俺も湯浅政明ファンじゃなかったらスルーしてたと思う)けど、港がぐう聖で嫌な感じもなく、ラストはひな子の号泣と共に普通に泣いてしまった…。「ルーのうた」か水の表現 -- 名無しさん (2020-07-24 22:29:18)
- ↑またまた誤送信すみません…ルーのうた にもある水のアニメーションが素晴らしいので毛嫌いしないで観てみるといいと思います -- 名無しさん (2020-07-24 22:30:35)
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