1998年第65回東京優駿(日本ダービー)

ページ名:1998年第65回東京優駿_日本ダービー_

登録日:2019/09/13 (金) 01:52:00
更新日:2024/05/09 Thu 13:42:40NEW!
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スペシャルウィーク 98年クラシック世代 セイウンスカイ キングヘイロー レース 東京競馬場 東京都 競馬 日本ダービー 3強 東京優駿 武豊 クラシック g1 3強対決




夢を掴んだ武豊!!


1998年6月7日に東京競馬場で行われた第65回東京優駿(日本ダービー)はスペシャルウィークに騎乗した武豊が初めて日本ダービーを勝ったレースである。


出走馬及び鞍上


1 ビルドアップリバー(加藤和宏)
2 キングヘイロー福永祐一
3 タヤスアゲイン(柴田善臣
4 タイキブライドル(岡部幸雄)
5 スペシャルウィーク(武豊)
6 ミヤシロブルボン(大塚栄三)
7 シャインポイント(藤田伸二)
8 エリモソルジャー(四位洋文)
9 メジロランバート(吉田豊)
10 センターフレッシュ(角田晃一)
11 ミツルリュウホウ(南井克巳)
12 セイウンスカイ(横山典弘)
13 エモシオン(松永幹夫)
14 エスパシオ(後藤浩輝)
15 ダイワスペリアー(菊沢隆徳)
16 ボールドエンペラー(河内洋)
17 ディヴァインライト(橋本広喜)
18 クリールサイクロン(蛯名正義)


前日の雨が残り、薄曇りの中馬場状態は少し回復して稍重の状態で行われた。
1番人気は前走3着ながら天才武豊騎手の日本ダービー初制覇がかかるスペシャルウィーク。
2番人気は前走皐月賞2着、デビュー2年目の福永祐一騎手騎乗のキングヘイロー。
3番人気は前走皐月賞を制した横山騎手騎乗のセイウンスカイ。
4番人気は前走プリンシパルステークス勝ちのベテラン岡部騎手騎乗のタイキブライドルだった。


注目は皐月賞上位3頭だった。
鞍上はいずれも日本ダービー未勝利ジョッキーたち。
4番人気の馬が最終単勝オッズ17.9倍だったことを考えるとこの3頭の争いに搾られていた。
アラサーの2人とデビュー2年目の新人ジョッキー、それぞれにビッグタイトル戴冠のプレッシャーがかかる。
特に、武豊騎手への期待は大きいモノだった。それは前走3着だったスペシャルウィークのオッズにも表れていた。
武豊騎手は1988年のコスモアンバー以降何度も日本ダービーに参戦しており、ナリタタイシンやダンスインザダークで戴冠まであと少しということもあった。
天才の名を欲しいままにしてきた武豊騎手にとって、この時点であと足りないものはダービージョッキーという称号だけであったと言っても過言ではないだろう。


スタートは内2番のキングヘイローが好スタート。内で包まれることを嫌った福永騎手が押さえることなくスムーズに前を行く。
第1コーナーに向けて皐月賞馬セイウンスカイが先頭を窺おうとするが、簡単には先頭に立たさないぞとばかりにそのまま逃げていく。
スペシャルウィークと武豊は馬群の中団でペースを見ながら仕掛けるタイミングを窺っている。


先頭はキングヘイロー。ハイペースになるのを嫌ったセイウンスカイが2番手でレース序盤から中盤にかけて落ち着いていく。
しかし人気の2頭が先行争いを繰り広げているこの展開はスペシャルウィークにとって絶好の展開になってきた。
向こう正面、第3コーナーに向けて先頭2頭を見ながら武豊はスペシャルウィークを馬群の内の方から外に出して勝利へのチャンスの時を待っていた。


第3コーナー過ぎて、折り合っているように見える先頭のキングヘイロー。
そのキングヘイローの外でじわりじわりと差を詰めて先頭に立つタイミングを見計らうセイウンスカイ。
スペシャルウィークは外を通って馬群をまくり、先行集団に取り付き、スペースが空けばいつでも抜け出せる準備を整えていく。


セイウンスカイ!

セイウンスカイがここで!

満を持して先頭に立った!!


第4コーナー直線入り口でセイウンスカイが先頭に立つ。
東京競馬場の長い直線をゴールに向けて脚を伸ばすセイウンスカイに対して、逃げた内のキングヘイローにもうおつりはなかった。
ずるずると馬群に呑み込まれていくキングヘイロー。
そして、それと代わるよう馬群の真ん中から1頭スペシャルウィークが鋭い切れ味で跳んできた。


並ばない! 並ばない!

あっと言う間に交わした!!


一気にセイウンスカイを交わすともう他の馬は無く、あとは独走状態。その差はドンドン開いていく。
内で粘るセイウンスカイだったが、外から人気薄のボールドエンペラーとダイワスペリアーが並んで追いついてきた。
残り50m。
勝利がほとんど確定したスペシャルウィーク。
人気薄2頭に交わされてしまったセイウンスカイ。
もうすでに馬群の後ろの方まで下がってしまったキングヘイロー。
人気3強の明暗は完全に分かれてしまっていた。
そして、スペシャルウィークは大舞台ですばらしい競馬を見せて、武豊騎手に初のダービージョッキーという称号をプレゼントしたのだった。


結果



1着 スペシャルウィーク
2着 ボールドエンペラー
3着 ダイワスペリアー
4着 セイウンスカイ
5着 ミツルリュウホウ
6着 メジロランバート
7着 ディヴァインライト
8着 タヤスアゲイン
9着 エモシオン
10着 エリモソルジャー
11着 タイキブライドル
12着 シャインポイント
13着 センターフレッシュ
14着 キングヘイロー
15着 クリールサイクロン
16着 エスパシオ
17着 ミヤシロブルボン
18着 ビルドアップリバー


払い戻し
単勝:5番 200円(1番人気)
複勝:5番 130円(1番人気) 16番 1420円(13番人気) 15番 1680円(15番人気)
枠連:3-8 2590円(11番人気)  馬連:5-16 13100円(29番人気)


勝ったのは1番人気スペシャルウィーク。武豊の悲願のダービー制覇を望んだファンの後押しもあり1番人気になっていたのであろうが、その期待に見事に応えたのだった。
2着に着けた着差は5馬身。日本ダービーにおいて平成になってから最大着差だった。
その後もディープインパクトが5馬身差をつけるがその1頭のみであり、結果平成30年で最大着差になったのだ。
そして武豊騎手はこれで史上2人目の8大競走完全制覇を成し遂げた。デビュー以来わずか12年目のことであった。
ゴール後、2度3度とガッツポーズをした武豊騎手。その腕には拳には様々な思いが込められていたのであろう。
なお実は抜け出そうとした瞬間に鞭を落としている。大きくぶっちぎったから良いようなものの、接戦持ち込まれて負けてたら大騒ぎ確定である


2着のボールドエンペラーは14番人気、3着のダイワスペリアーは15番人気だった。
2頭とも勝ちきれないタイプの馬だった。
1番人気と人気薄のフィニッシュという事から、当てやすい部類のわりに馬連は万馬券、枠連も高配当と後に馬券でも話題に(当時3連単や3連複は存在しないが3着も人気薄だったので)。
ボールドエンペラーに騎乗した河内洋は、この2年後、武豊と壮絶な叩き合いを演じる事になる。


4着に敗れたセイウンスカイはやはりキングヘイローに先頭に立たれたことが最後に交わされた原因だろうか。
それでも大きく崩れることなく大舞台での4着は立派と言うべきだろう。


2番人気に支持されていたキングヘイローは14着だった。
福永祐一騎手の経験不足だとか言われていたが、やはり予想外の好スタートを切れたことが最大の原因ではないだろうか。
内枠だったことも災いし、そこから押さえても包まれたりちぐはぐになったりしたことだろう。
しかし、前に行ってしまったことで馬、騎手ともに経験したことのないレース内容になってしまい、最後の直線ではスタミナが切れてしまったのだ。
レース後、検量室に戻ってきた福永騎手はあまりの大敗に顔面蒼白だったという。
そして福永はこのレースから20年後、悲願を達成する事になる。


3強対決にしてはあっけない結果に終わった日本ダービー。
この後中央競馬の王道路線は翌年の有馬記念までスペシャルウィークを中心に回っていくことになる。


実況担当者
日本放送協会(NHK):刈谷富士夫 解説:鈴木康弘(調教師)
ラジオたんぱ:白川次郎
フジテレビ:三宅正治 解説:吉田均(競馬エイト)・東信二(1987年皐月賞・菊花賞(サクラスターオー)勝利騎手)





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  • 「夢を掴んだ武豊!」(ただし鞭は落とした) -- 名無しさん (2019-09-13 02:11:55)
  • 2着ボールドエンペラーの河内さんは2年後、ノリさんは11年後、祐一さんは20年後、角田騎手が3年後、四位騎手が9年後にそれぞれダービージョッキーに -- 名無しさん (2020-10-10 01:46:05)

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