自作パソコン

ページ名:自作パソコン

登録日:2018/12/30 Sun 21:20:57
更新日:2024/03/28 Thu 13:29:47NEW!
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自作パソコンとは、個人がパーツを買い集めて組み立てたパソコン(PC/パーソナルコンピューター)である。
各パーツを一から作ったPCも自作パソコンと言えるが、現代のPCでそんな事を行う(行える)者はまずいないだろう。



概要

1970年代のパソコンの勃興期では、基本的にPC(当時はマイクロコンピューター、通称マイコンと呼ばれる事が多かった)は自作するものであり、
秋葉原で部品をかき集めたり、メーカーから発売されているキットをハンダ付けして組み立てる、電子工作スキル必須の代物であった。


さすがに現在はパーツのほとんどが完成品として売られており、各パーツの規格も厳格に整備されている為、
部品のねじ止めやパーツ・配線コネクタ等の抜き挿しのみで組み立て作業は完了するが、
今でもユーザーが自分で必要な部品を買い集め、それを組み合わせて1つのPCを仕上げることに変わりはない。


  • メリット
    • 自分でパーツを選べる。金に糸目をつけなければメーカーPCのラインナップにも無い超高性能マシンを手に入れられるし、メーカー製PCにある様な余分な部品・ソフトを省いて、価格性能比(コストパフォーマンス)を良くする事もできる。
    • 規格対応範囲内であれば1部分だけ取り替える事ができる。より性能の高いパーツが発売されたら入れ替えて性能をアップさせられるし、1パーツだけが壊れたとしてもそこだけ取り替えることで末永く使うこともできる。
    • PCそのものの全体像を把握し易い。つまり、一度自分で組むことでPCのハードウェアの知識がつく。
    • 余計なソフトが入っていないピュアOSから環境を構築できるので、ソフト同士の相性に悩みにくい。

  • デメリット
    • 細心の注意を払って組み立てないとパーツを壊してしまう。
    • 組み立ての手間がかかる。
    • 動作・相性の保証がない。トラブルが起きた場合、自力で原因を特定し対処する必要がある
    • そもそもパーツ選びが難解である。
    • ある程度パーツに関する定期的な情報取集が要る。

特に「パーツ選びが難解」というのは、PC自体の組み立てと相まって初心者ならまず躓く点。
ここで挫折してしまう事もある為、自作PCを初めて組んでみたいという人は必ず電機屋またはパーツショップの店員に相談しよう。
というより、PCのパーツは全てパーツショップや電機屋の店員に選んでもらうのがオススメである。



かつては「価格の安さ」が最大のメリットだったが、現在では既製PCの低価格化が進んでおり、全く同じ仕様のPCを作った場合は大抵自作PCのほうが高くつく
自作向けパーツを使うBTOパソコン*1と大差ないことも。
仮にパーツを安く買えても、自作PCには既製品やBTOパソコンのような保証や故障時のメーカーサポートもないため、トラブルが発生して結果として高くつく場合すらある。
但しサポートの貧弱さに定評のあるBTOメーカー・ブランドもあるので、BTOが必ず自作よりもトラブルに強い訳でもないが。
これらの点から、総合的なコストは自作のメリットとは言い辛い状況にある。


…が、それはあくまで新しいPCをゼロから組み立てた場合であり、手元に古めのPCがあるとか、
何かの理由で部品が余っている等の場合には事情が違ってくる。
「必要なパーツだけ」買って作れば、新しく一台買ってくるよりも圧倒的に安く作れてしまうこともある。


また既に述べた通り、既製品に自分の求める仕様のPCが存在しない場合にも自作を選ぶ余地はあり、必要の無い部分を削って安くする、
あるいは後々の上位パーツ換装を予期し最初は必要最低限のパーツしか付けないなどすれば、コストパフォーマンスを高めることもできる。
このように色々な意味で「融通を利かせられる」のが、自作パソコンの最大の利点と言えるかもしれない。


そうでなくても、パーツにこだわり自分オリジナルのPCを作りたいという熱意がある人は挑戦してみてもいいだろう。
BTOとてパーツを「何でも選べる」という訳にはいかず、こと安価に済ませようとすると具体的なメーカーや型番、スペックの詳細を明かしていない怪しいパーツ*2になる場合も珍しくないのだし。


手順

  1. まずはPCでやりたいことを考えてリストにまとめる。どちらかというと「〇〇したいからPCが必要」というほうが楽。
  2. 「やりたいこと」に合わせて必要なスペックを決めていく。
  3. 必要なスペックを満たすパーツを買い集める。パーツはPCショップやAmazonなどで購入できる。初心者はリアル店舗でショップ店員と相談しながらパーツを選ぶのが吉。
  4. パーツが揃ったら組み立て開始。雨が降っている日が望ましい(理由は後述)。
  5. 組み立てが完了したら動作テストを行う。動作テストで問題がなければOSをインストール。
  6. OSのインストールが完了したら一旦お疲れ様でした。
  7. そして地獄の環境再構築が始まります。

  • Webサイトの閲覧(ブラウジング)、SNSの運用

これらはスマートフォンでもほぼ同じことが可能だが、(PC向けレイアウトを)大画面で見れる、他の作業しながらでも使用しやすいのはPCのメリットと言える。
ただし、これだけが目的であれば大層なスペックは必要としない場合がほとんど。


  • ゲーム

EpicGamesやSteamなどのアプリを通して、PC専用に配信されているゲームがある。ほか、Nintendo SwitchやPlayStation5など向けに配信されている作品が、PCで同じようにプレイできたりもする。
最新の3DゲームやVRChatなど、負荷の高いゲームやVRゲームをするなら性能の高いPCを用意する必要がある。


  • テレビ/ビデオ鑑賞

言わずと知れたYoutubeはもちろん、NETFLIXなど、映画を配信してくれるサービスをPCで鑑賞するのも手。
こちらも、PCのスペックを上げることでハイビジョンな映像が楽しめる。
また、PC用TVチューナーというものも存在するため、これを組み込んで地上波のテレビを観るという使い方も可能。
この用途の最大のメリットはテレビ、映画、事務作業、ゲーム、といったさまざまな要素をひとつのPCに一本化し、一つないしは二つのモニターで済ませることで、家のスペースを空けられる点にある。


  • スマートフォン、カメラ、音楽プレーヤー等の母艦

スマートフォンのバックアップや機種変のときのデータを取っておく用途。
とくに、音楽や動画を大量に購入している、収集癖のある方は容量の拡張がしやすい自作パソコンが便利だろう。
スマホのみならず、カメラのデータや動画などをとっておく用途で使うこともできる。
この用途で使う場合、容量の大き目なストレージ(後述)を用意するとよい。OSを含むデータを格納するSDDと、定期的にバックアップファイルを書き込むためのHDDがそれぞれ一枚ずつ用意できれば理想的だろう。


  • 仕事/勉強

一般的なワープロソフト、表計算ソフト、プレゼン用ソフトで資料をつくる、メールやチャットツールを使うなど。
これだけならノートPCで十分なので、ここで挙げている他の用途と兼用で使えるようにしてこそ真価を発揮する。
が、ノートPCを持っていないなら、あえてこちらを選択するのも悪くない。


  • 創作活動

3Dモデリング、小説執筆、お絵かき、音楽制作(DTM、録音)、アプリ・ゲーム制作など。
例を挙げると、3DモデリングソフトやAdobeを使う場合やDTMで大量のプラグインなどを扱う場合には、高性能なPCが必須となる。
特にプロ(志向)の場合は、しっかりした性能の物を用意しておいた方が作業効率が格段に向上する。


  • サーバー

上記の「母艦」の発展型。
「母艦」で述べた用途で使うには、スマホやカメラをPCと直接繋がなければいけないが、このサーバーを構築するとそのデータのやり取りが無線で行えるようになる。
「データのやり取り」というとイメージしづらいが、台所やお風呂で家の端末に保存してある写真や動画を見たり、外出先から自宅の水槽の温度を制御したり、鍵の開け閉め状態を確認したり、家に取り付けた監視カメラと合わせて飼っている犬や猫、あるいは我が子の今の様子をリアルタイムで確認したり……
といったことが具体的にできるようになる。
無論、構築の難易度は一気に上がる。
逆にRaspberry Piと呼ばれる超小型のパソコンをカメラ等と繋ぎ、家の様子を遠隔で監視できるようにする用途もある。
俗に「逸般の誤家庭」と呼ばれる人々は、これを極めていった人の事を指す。


  • 用途を決めたら、とりあえずは出せる予算を考えよう。以下は、2024年現在の予算の例。
    • ゲーム機よりも高性能のゲーミングPCは最低でも15万円(モニター等周辺機器を含まず)。さらに高解像度、高フレームレートを目指すなら20万~25万円。画像生成AIも大体このあたりの価格帯が視野に入る。
    • データの母艦やオフィス用ソフトなら、10万円で事足りることが多い。容量の大きさならPCの価格に比べてかなり安価に増やしやすく、後からでも継ぎ足せるので、そこまで予算に敏感になる必要はない。テレビ、ビデオとしての機能も継ぎ足すなら、さらにそれぞれ1.5万円程度足せば事足りる。
    • 創作活動になると……これは本当にモノによる。動画制作ならGPUやCPUを高性能にすることでエンコードの時間を短縮できるし、DTMならメモリをたくさん積まないと大容量な音源に食われてしまう。お絵描きや音楽制作なら、PC以外の機材に必要な経費との兼ね合いも出てくる。
    • マイニングや量子化学計算のような大規模な計算ならばゲーミングPCよりも遥かに高性能なGPUが、場合によっては複数枚必要なことも。数十万円では済まないことも多い。
  1. まずはOS。Linuxを使わないならWindowsでおk。Windowsの場合、エディションが用途に合ったものかを確認する。遠隔操作する予定があったり、その他特別な理由があるならPro、それ以外ならHomeを。パッケージ版かDSP版かは後で決めても構わない。
  2. 物理的なパーツのうち、はじめに考えるべきはGPU。用途上必要か必要でないか、もし必要ならどの性能が必要かを考えよう。
    他のパーツよりも先に選ぶのは、GPUの性能は他のパーツの性能に足を引っ張られやすいから。CPUやメモリを先に決めてしまうと、GPUの性能が制限されてしまうことも多い。
    『そのGPUがどのくらいの能力を持つか』の検証データがネット上にたくさん転がっている。ベンチマーク(性能検証用の高負荷なプログラム)の結果や実際のゲームでのフレームレートを参考に、必要な性能と予算を天秤にかけながら選ぶべし。なお、GPUを内蔵したタイプのCPUも存在するので、それを買う/持っているなら「買わない」という選択肢もある。
  3. GPUの次はCPU。一般的な用途ではここが一番PCの性能を左右する。
    GPUがないなら、GPU機能を持ったCPUを選ぶこと。画面が映らなくなって困るぞ。
    GPUを積んでいるなら、CPUが足を引っ張る現象、いわゆるボトルネックがなくなるようにCPUを選ぶとよい。こちらも検証データが大量にレビューされているので、参考にしよう。
  4. 続いてメモリ。メモリの容量によってできること、できないことが出てくるため、重要性は非常に高い。
    メモリの速度についてもGPUを使いこなすなら重要だが、それほどボトルネックになることは少ないので、できればでよい。
  5. マザーボードはCPUとメモリの次。CPUを決めると取付可能なCPUのソケットが決まり、チップセットもある程度絞られる。
    メモリは規格が存在するため、正しい規格に対応したマザーボードを選ぶことも忘れずに。メモリの相性問題を気にするなら、マザーボードを決めたあとにマザーボードメーカーのメモリ対応表を確認。もしも動作確認ができていないなら、同じ規格や容量で対応表にあるメモリに変更しよう。
    PCのサイズと外部接続端子、そして拡張性が全て決まってしまうので、PCの外に何を置くかについてはここまでに考えておこう。
    その他の内蔵パーツはマザーボードより前に決めておこう。拡張スロットが足りなかったり、GPUでスロットが塞がっていると悲惨だぞ。
  6. ストレージは、マザーボードの後でよい。現代のマザーボードなら基本的にM.2端子とSATA端子は1つずつは備えているので、M.2 SSDにせよSATA SSDにせよ、HDDにせよ基本的に普通の用途には充分。
    なんなら後からでも継ぎ足せるので、現状の必要に応じたもので構わない。
  7. ここまで来たら、冷却装置以外の消費電力は決まっているはず。冷却装置は誤差の範囲として、電力に合った電源を選ぼう。安定動作や静音化、拡張性のためのマージンは必要と予算に応じて。
  8. ほとんどの構成部品が出揃ったところで、PCケースを決めよう。マザーボードと電源装置が決まれば、それが入れられるケースも決まってくる。
    組み上がったPCの最高にイカスな…かはさておき、外見をお好みにキメていこう。
  9. 特に初心者の場合は、冷却装置は最後に決めよう。空気の流れ(エアフロー)はPCの形が決まらないと分からないし、そもそもの話冷却装置がケースに入らなかった、他の部品とCPUクーラーが干渉した、なんてこともある。
    CPUクーラーについても、初心者ならここでよい。よっぽどハイエンドなCPUを選ばない限りは対応した形状と冷却性能のものが必ずあるはず。
    もちろん光って回るクーラーを選ぶのもいいだろう。PCケースと合わせて映えるものを選ぶとテンションが上がったりするかもしれないぞ。
  10. あとはマウス、キーボードといった入力装置や、ディスプレイやスピーカーといった出力装置を。せっかく高額なGPUやサウンドカードを買ったのならば、それに相応しいデバイスで応えよう。
  11. パーツが出揃ったら後は組み立て。プラスドライバーの用意は済ませたか?組み立て作業用のスペースの確保は?静電気を溜めにくい服装の準備はOK?

  1. 面白そうなパーツを見つける
  2. そのパーツでできそうなことを思いつく
  3. 手持ちのサブPCをバラしたり余りのパーツを使ったりして、とりあえず一台組み上げる
  4. 新たなサブPCとして部屋の片隅に置かれる
  5. 繰り返すうちにPCとパーツが増えていく

必要なパーツ

【CPU】※必須

中央演算装置。人間でいう「脳」にあたる。これの性能が良いほど

  • PCの動作が速くなる
  • 同時に複数のアプリを扱える
  • フリーズ等に強くなり日頃のメンテナンスの手間が減る

…など、性能の良し悪しを直接左右する重要なパーツ。
「せっかく作るなら性能のいいパソコンが欲しいなあ!」と考えている人は、まずこのCPUとメモリにお金をかけることを考えよう。


ただし。
実を言うとCPUは全体的に質がよく、3Dモデリングや4K動画編集作業など、よほど複雑な作業をするつもりでもなければ性能で困ることはほぼない。
また、性能の高い(≒値段が高い)ものほど消費電力や発熱が増えてしまうため、高ければいいというものでもない
良いものが欲しいからと考えなしに「一番いいのを頼む」と店員に頼むのはNG。
初心者なら「そのPCで何をしたいのか」、経験者なら「要求するスペックは幾らなのか」を相談することを強くおすすめする。
追記者の主観にはなってしまうが、余程異常な使い方をするのでもない限りは店員や詳しい人におすすめしてもらった手頃な商品で十分に事足りるはずだ。


概ねその製品のグレードと世代によって性能が決まる。
CPUのメーカーは、主にIntelインテルとAMDの2社だが、どちらを選ぶかは好みで。
かつてはよほどのAMD党や、内蔵グラフィック(内蔵GPU)性能が欲しい場合でない限りほぼIntel一択の状況が長期間続いていたが、2017年3月にRyzenが登場、以降も目覚ましい性能向上を遂げたことでAMDは息を吹き返した。


あと、CPUそれ自体の構造やしくみについての解説は、当Wiki内の[[CPUの項目>CPU]]にある。
詳しく知りたいならそちらを参照すること。


  • CPUのグレード

大まかには以下の通り。


メーカー≪--- 低性能と価格高 ---≫
IntelCeleronセレロンPentiumペンティアムCoreコア i3Core i5Core i7Core i9Core i9 X/Xeonジーオン W
AMDAthlonアスロンRyzenライゼン 3Ryzen 5Ryzen 7Ryzen 9Ryzen Threadripperスレッドリッパー

※Athlonは2019年発売の3000シリーズを最後に、デスクトップ向けにラインナップされなくなっている。


グレード間の違いとして一番目立つのはコア数であり、Core i3・Ryzen 3なら4コア、Core i5・Ryzen 5なら6コア、…、とだいたい決まっている。
ただし、同じグレードでも世代によってコア数が変動する場合があるので注意。
特にCore i9で顕著。第9世代で8コアとして登場し、第10世代で10コアに増えたものの、第11世代で再び8コアに逆戻り… と思いきや第12世代でEコア(後述)を引っさげて16コア化した!


主流はCore i3~i7、Ryzen 3~7。それ以上はいわゆるハイエンド、性能を求める人が買うコスパ度外視モデルである。


なおこれらの他、サーバーやワークステーション向けにIntelの「Xeon SP」や、AMDの「EPYC」が存在し、上記と同様に単品販売されている。


  • 世代

近頃のCPUは内部の設計が更新されても商品名(先述のi3やi7など)が変わらないことが多く、よく「第◯世代i7」といった呼ばれ方をする。もちろん型番で見分けはつくのだが、いかんせん紛らわしい状況であることに変わりはない。
同じ商品名ブランド・コア数・周波数でもより新しい世代のCPUは全体的に性能が向上するので、うっかり古い世代のCPUを買うようなことがないようにしっかり調べることをお勧めする。
もちろん、若干の性能差に目をつぶって値崩れした型落ち品を使うという手もあるのでそこは財布と相談しよう。


デスクトップPCにおける2023年12月末現在の最新世代は、Intel Coreが第14世代(14X00シリーズ、通称Raptor Lake-S Refresh)、AMD Ryzenが7000シリーズ。


  • ソケット形状

CPUには形状の規格が設けられており、それに対応したマザーボードを用意しなければ装着できない。
しかし、IntelとAMDは競合関係にあるため規格を統一しておらず、雑に選んでしまうと、IntelのCPUを買ったのにマザーボードがAMD用なので取り付けられない、という事態も発生する。
また、例えば同じIntelでも規格が違えばマザーボードのソケットの形も違ってくる。
大抵は通販でも店頭でも対応規格がCPU・マザーボード双方で明記されているので、きちんと確認しよう。


一般向け
[メインストリーム]
超ハイクラス
[エンスージアスト]
Intel Core第12・13世代: LGA1700
第10・11世代: LGA1200
第6~9世代: LGA1151 ※
Xeon W 3400: LGA4677
Xeon W 3300: LGA4189
第7~10世代Core i9 X: LGA2066
AMD Ryzen7000シリーズ: Socket AM5
1000~5000シリーズ: Socket AM4
Threadripper 3000シリーズ: Socket sTRX4
Threadripper 1000・2000: Socket TR4

※LGA1151では、物理的な形状は同じでも、内部での電気的接続の違いによって「v1」「v2」に分かれていた。
第6・7世代はv1、第8・9世代はv2でないと公式では動作しない。
非公式ではUEFIを改造することでv1でも動作しちゃったり。


  • TDP(熱設計電力)

CPUがフルパワーで動作している時、最大でどのくらいの熱が出るかを表す量。単位はWワット
この値が高いほど、より強力な冷却装置(後述)が要求されるようになる。
例えば、市販品のCPUクーラーには対応できるTDPの上限が設定されており、それに収まるCPUを選ばないと、CPUを十分冷やしきれず、PCが緊急シャットダウンする(後述)などの障害が起こりやすくなるので注意。


実はこれ、CPUの内部で消費される電力とは異なる。
だが、「TDP=最大消費電力」と消費者に勘違いされることが多かったり、TDP表記と実際の消費電力が大きく乖離していたりした。
そのため、Intelは第12世代Core発表とともに、TDPに代わる新たな指標として、平常時の消費電力を示す「Processor Base Power(PBP)」と、フルパワー時の最大消費電力を示す「Maximum Turbo Power(MTP)」を考案・採用した。
一方AMD CPUでは「TDP=最大消費電力」と考えてもほぼ間違いなかったため、特に大きな問題にはなっていない模様。


  • 内蔵グラフィックス(内蔵GPU)

製品によっては、CPU内部にGPUの回路を搭載しており、後述のグラフィックボードがなくとも映像出力ができる(≒そのままPCが使える)。
ただし大抵の場合性能は低く、あまりゲーム用途には適していない。(AMD Ryzenシリーズのうち、型番に「G」とつくものは除く)


内蔵GPUを搭載していないものは以下の通り。
Intel Core: 型番に「F」または「X」とつくモデル
AMD Ryzen: 型番に「G」とついていないモデル(ただし7000シリーズ以降を除く)



ここから下は選び方にそれほど影響してこないが、予備知識として覚えておくと便利。


  • コア数・スレッド数

コア数とは物理的な演算回路の数で、スレッド数はOSで認識される論理上のコアの数のこと。前者は「物理コア」、後者は「論理コア」と呼ばれることもある。
基本これらの数が多ければ多いほど単体のCPUが同時に処理できることが多くなり、総合的な処理速度も速くなる。


2023年1月末現在は4~8コアが主流で、10コア以上はやや玄人向け。
また、最大64コアとかいう冗談みたいなコア数のものも一般販売されている


1コアにつき2スレッドで動作するのが基本的だが、第12世代以降のIntel Coreシリーズ に限り若干事情が異なる。
同世代からは、高性能だが消費電力も高い「Performanceコア」(Pコア)と、性能はそこそこだが電力効率が良い「Efficientコア」(Eコア)を組み合わせた設計になっている。
Pコア側が1コアあたり2スレッド動作可能だが、Eコア側は1スレッドに留まる。


  • 動作クロック

「クロック周波数」とも言われる。
「●.●GHz」の数字が高ければ高いほど性能が良い…のは確かだが、実際には、CPUの設計思想がグレードや世代ごとに違うため、性能の指標として単純には比較できない。
現実には「同じグレードかつ同じ世代のCPU」であれば、動作クロックが速いほうが高性能と考えて良い。
例えばクロック数の高いCore i3より、クロック数が低くてもi5の方がシングルスレッドの性能も高かったりする。


また、大半のCPUには、定格のクロックの他に「ブーストクロック」が設定されている。
これは、マルチコアを上手く活かせないソフトウェアを動作させる際に、一時的に特定のコアだけ定格を超えたクロックで動作させる技術である。
オーバークロック(後述)とは違って、保証の範囲内の動作なので、これ自体が故障につながることはまずない。


余談ながら、2000年代前半までは今ほどCPUのグレードはなく、せいぜい上位ブランドと廉価ブランドがあって、その2種類の中に動作クロックの違うモデルが数種類ある…といった程度だった。
その頃はIntelもAMDもひたすらクロック数を上げることに邁進していたのだが、高クロック化に伴い発熱も増大していき、やがて処理しきれないほどとなってしまい(掃除機並みの爆音でクーラーのファンを回してもなお冷やしきれない)、クロック数は程々にマルチコア化やクロックあたりの効率を上げる方向に両社とも舵を切ることになる。


  • キャッシュメモリ容量

「L3キャッシュ◯MB」などの数字。大抵グレードの高いCPUほど多く積まれている。
地味ながら性能に大きく響くが、ユーザーが弄れる部分でもないので「多いほどよい」という程度の認識でOK。



【メモリ】 ※必須

メインメモリ、RAM(Random Access Memory)とも呼ばれる、作業中のデータを展開しておく部品。
一般には「勉強机の広さ」に例えられ、CPUと並んでPCの処理速度・マルチタスク性が上がる重要なパーツ。
このメモリ(とCPU)が一般的な意味での「PCの性能のよさ」を左右する、つまりメモリとCPUにどれだけお金を掛けたかでPCの性能が決まると言っても過言ではない。
動作のもたつかない快適なPCを作りたいなら、ここの出費はケチらないようにしておきたい。


マザーボードのスロットに接続するため、マザーボードがサポートしている種類を選ぼう。
たまにCPUとの相性で正常に動作しないことがあるため、心配なときは店員さんに確認してみよう。ショップによっては「相性が出たら別メーカーのに交換します」という保険金が付けられる場合もある。*3
QVLとしてマザーボードベンダー側で動作確認したメモリのリストがあるため、その中のものを買うのも手。


2018年頃より「光らすためのダミーメモリ」という物体も登場。
うぃらめぇ時代のRDRAMを思い出したらおっさん確定。*4


  • 規格

「DDR◯」がメモリの形状規格。
「DDR◯L」など、末尾にLがつくものは形状は無印と同じでありながら低電圧で駆動する。
またSO-DIMMと呼ばれるものはノートPC用メモリなので注意。超小型のPC(後述のベアボーンキット等)になると、デスクトップ型でもSO-DIMMを使う場合がある。
あとMacの一部モデルやXeonやEpycといったサーバー用CPUは、Registered DIMMという専用のチップを積んだメモリしか受け付けない。
普通に出回ってるUnbuffered DIMMに比べるとちょっと高い上に数自体少ないので注意。


2023年12月末現在はDDR5が主流。



  • 動作速度

上記のDDR5の場合、「PC5-◯◯◯◯◯」「DDR5-△△△△」という数字が大きいほど高性能なメモリになる。
ただし、CPUやGPU(後述)ほどは性能向上に寄与しない上、「PC5-57600 (DDR5-7200)」などの高速過ぎるメモリを選ぶと、OSの起動に失敗するなどトラブルの可能性も高まるため、よくわからなければ「PC5-38400 (DDR5-4800)」のような、程々の速度にしておくべき。


またCPUが「デュアルチャンネル対応」と宣言している場合、同じ32GBでも、32GB×1本より16GB×2本に分割すると高速化する。市販のメモリモジュールに2本セットが多いのはこのため。
ただ、マザーボードの特定の2スロットに刺す必要があるので注意。マザーによって隣り合った2本なのか、1本空けて2本なのかが異なる。


なお、「PC5-◯◯◯◯◯E」とか「PC5-◯◯◯◯◯R」とか、末尾にアルファベットのついたものは大抵特殊用途向けなので、よく調べてから買うこと。


ちなみに2023年末現在主流であるDDR5メモリには、4本差すと動作速度が低下するというCPU側の都合による仕様が存在する。
例えばDDR5-6000のメモリを4本差すと公称の6000MHzではなく4800MHzで動作する、といった所。
とは言え先述の通りCPU等よりはPCの性能に寄与しないため、速度よりも容量を重視する場合は4本差しでも特に問題はない。
どうしても気になる場合はちょっと奮発して4本分の容量のメモリ2本のセットを買うといいだろう。



  • 容量

読んで字のごとく、メモリの大きさ。PCの性能においては上の動作速度よりもこちらの容量の方が重視される。
基本的に大きいほど良いが、その分値段も跳ね上がる。
不足するとPCの動作が遅くなるので、使いたいOSやソフトの「推奨スペック」を参考に決めよう。


2023年1月末時点での主流は、最低でも8GB、一般的には16GB。画像処理や動画エンコードを多用する人は32GB以上。
OSやソフトは高速化、ディスクアクセスの減少といった理由のため、あればあるほど使うようになっているため多く積んで損はない。もはや8GB未満はありえないという意見があるレベルでガンガン消費する。
また、マザーボード側で認識できる最大容量というものがあるので、それにも注意。128GBのメモリを買ってきてもマザーボードが32GBまでしか認識しない場合は完全に無意味。


なお、32bit版のOSは仕様上4GBまでしか認識しない……それどころか、実際は32bit版OSが使われているであろう古いハードの制約上3.0~3.5GB程度までしか認識しないと思った方が良い。設定などで無理やり4GBまで認識させることが可能な場合もあるが致命的な不具合をやたら起こしやすくなる。
また、その手の界隈の人以外だと昨今では見かけることは稀だが、古いハードに64bitOSを入れた時も同様の問題が生じる場合がある。
一応これらの場合でもソフトを使えば残りの容量をRAMドライブとしては使用可能。



  • 共有システムメモリ(VRAM共有)

グラフィックボードを使わない(CPU内蔵GPUを使う)場合限定。
CPU内蔵GPUは、GPUが使うVRAM(ビデオ出力に使用するメモリ)領域をメインメモリから割り当てる必要がある。
そのため、メインメモリの動作速度とデュアルチャンネル動作の有無がグラフィック周り(特に3D描画)の性能に影響するため、なるべく高速なメモリをきちんとデュアルチャンネルで使いたいところ。
容量についても、最大でメインメモリの半分までを上限に自動で変動させるようになっているが、3Dゲーム等をやる場合は2GB以上をVRAMに割くことがあるので少し多めに積んでおこう。


【冷却装置】 ※必須(付属品でも可)

文字通り、PCの出す熱を処理するための冷却装置。CPUを冷やすCPUクーラーやケースに取り付けるケースファン等。
PCパーツは使用しているとかなりの熱を発し、その熱によって性能が劣化したり、最悪壊れてしまう可能性がある。それを防ぐため、PCにはファンを始めとした冷却装置を取り付けることが必須となっている。
最近のものは自身の温度を常に測定し、一定の温度に達するとリミッターがかかる*5機能がついているが、折角の高性能な部品の性能が制限されてしまうのは勿体ない。*6
冷却性能を高める他にも、騒音を小さくするため可能な限りファンを減らす、あるいは完全なファンレス化を目指す、掃除の手間を減らすために正圧化*7してフィルターをつける…といった方向性もある。
空冷クーラーやケースファンを使っている場合はホコリは避けられない問題で、内部がホコリまみれになってヒートシンクの隙間にも入り込んで冷却できなくなって最悪PCが強制終了する。また、喫煙者の場合はヤニまみれになったり、超音波加湿器をかけているとカルキがPC内部で結晶化したりすることもある。


手っ取り早く高い効果を得たいからといって、冷えピタなどの冷却ジェルやアイスまくらをPCに使ってはいけない。本体内部に結露が発生して故障の原因になる恐れがあるからだ。


  • CPUクーラー

CPUに取り付けるクーラー。必須である。必ず用意しよう。
ただ、CPUを買うと大抵備え付けのものが一緒についているため、基本的にはそれを使えば問題はない。
クーラーが同梱されていないCPUを買った場合など、何らかの理由で別売りのCPUクーラーを使う場合は使うCPUに対応していると謳っているものを選ぶか、CPUのTDP値を目安に探すことになる。
大型のCPUクーラーは、ケースやメモリー等と接触・干渉して収まらないこともあるので特に注意が必要。
昔はサイドパネルに穴を開け、ダクトや小型ファンを設置し、ダイレクトにCPUクーラーに外気を導く手法が流行っていたが、最近あまり見られなくなった。
サイドフロー型CPUファンが一般化してダクトに干渉するようになったりだとか、CPUだけ冷やしてもあまり効果がなく、ケース全体でエアフローを考え整えないと意味が無く、他のパーツの発熱(主にM.2 SSD)で悪影響が出やすくなったというのもあるか。
横から見た時に目立つパーツである為、クリアパネル等で中が見えるようにしているケースを利用しているなら、此処に拘るとカッコ良くなりやすい。


余談というか注意事項だが、AMD Ryzen 5000シリーズまでの場合はCPU固定方法の仕様上、CPUクーラーを外そうとすると、CPUロックを掛けていてもそのままCPUごと引っこ抜けてしまう場合がある(通称・スッポン)。
これをやらかすとCPUのピンが折れてCPU全損どころか、最悪マザーボード側のソケットが壊れて全損になるので注意。
CPUクーラーを掴み、左右にねじりながら外すとスッポンを回避できる。
Ryzen 7000シリーズでIntelと同じロック方式になったため、スッポンは解消された。


IntelのCPUは枠でCPUの周りをロックするシステムなので、相当変な外し方をしない限りはスッポンしないが、CPUクーラーをロックする押しピンが、外す時に壊れやすいので注意。
予備というかピンも4本購入するか、ネジ止め式に変更するキットを一緒に買っておいた方が手間がかからずに済む。


  • ケースファン

PCケースにつける送風機。基本的にこれも必須だが、一部の上級者がごくまれにファンレスのマシンを組むことがある。


こちらも、ケースには最低限のファンが同梱されているため購入の必要はない。しかし、それ以上の性能を持つ別売りのファンを購入するユーザーもいれば、光らせて見た目を良くしたいがためにLEDつきのファンに換装するユーザーもいる。
標準のファンは縦横120mm、厚さ25mmとなっている。基本的にサイズが大きいものほど冷却性能が高くなっていくため、より高い静音性*8と冷却性能を求めるのであれば縦横140mm以上のものを、静音性を投げ捨ててでも冷却性能を求めるのなら厚さ38mmのものを使うといいだろう。
現在一般的に出回っているケースファンは縦横230mm程度が恐らく最大サイズ*9。当然冷却性能も静音性も段違いだが、何分デカすぎて付けられるケースは限られる。
またそもそも180mm以上のファンは流通量が少なくなかなか手に入らないので、基本的には140mmを上限に考えよう。


ここまでにちょいちょい「静音性」という言葉が出てきているが、基本的には「ケースファンが立てる音の大きさ」のこと*10
初めて自作するのなら「音が大きくても平気平気!」とナメてはならない。
というのも、静音性の弱いもの(とくに、主にサーバや産業用で使われる38mm厚のファン)はめちゃくちゃうるさいのだ。下手するとヘッドホンやイヤホンを貫通して音が聞こえるほどに。よっぽどの騒音に慣れている人でなければ不眠症、耳鳴り、難聴などの健康被害がほぼ確実に発生する
音で体が削られていると表現する人もいるが、まさしくそう錯覚するほどにうるさいのである。


  • サーマルペースト

冷却機構そのものではないが冷却に関わる内容。
クーラーやヒートシンクなどは単純にCPUなどチップの上に置いただけではそれほど熱が移動せず冷却力は低い。間に残る僅かな空気などで熱伝導率が落ちる為だ。
これを緩和する為にサーマルペーストという粘着物で隙間を埋め、熱を伝わり易くする必要が有る。
基本的に油性ペーストを使用するため、俗称は「グリス」。
CPUクーラーなどには付属品がついているか最初から塗られていたりして大体それで十分なのだが、ここでもこだわる人は自分で選択したグリスを塗る。


基本的にはシリコングリスに熱伝導の為の金属粒子等を混ぜた物が多いが中には「液体金属」製という物も有る。
グリスに関してはかなりオカルトめいた情報が飛び交っており、その割には塗り溢しなどがあるとショートして故障する等そこそこリスクの有る物。
特に液体金属ははみ出たら確実にアウト。また塗った時は大丈夫でも、熱膨張で膨らんではみ出しショートするだとか割れるだとかのトラブルもある。


なお、時間経過で乾いてダメになるという話がよくあるが、実は単に乾いただけなら(グリスの素材にもよるかもしれないが)大丈夫だったりする。
ただし、乾きと振動などで中途半端な接続になったり、内部に空洞が出来ることは往々にあるので、そうなったら添付品のものでもいいので古いグリスをふき取って塗り直した方が良い。
外さないと分からないので、目安としてはエアフローに注意していてさほど酷使もしていないのにCPUが高熱な時(あるいは熱が原因のシャットダウン機能で気づくこともあるだろう)に行う程度。
上にも書いたけどRyzenの5000シリーズ以前を使っている人は、塗り直そうとする時にスッポンしないように注意。
メーカー既製のPCやデフォのパーツに付属している物でも冷却機能は基本十分であり、PCを多用していても10年以上普通に保ったりもするので、この辺りに手を加える必要性はほとんどなく、基本的には性能というよりは細部へのこだわりや興味本位によるところが大きい。


なお、グリスの他にも熱を伝えやすいシート(サーマルパッド)というのもある。



以上で述べた他にも、PCは様々な部位が発熱するものなので、専用の冷却装置が取り付けられることも多い。特にCPUに供給する電力を調整するVRMやコントローラーが高音になるM.2 SSDについては冷却が重要で、ほとんどのマザーボードにヒートシンクが付属している。ヒートシンクで飽き足らず、特定の部位にファンや水冷用の水枕を接続して直接冷却する、なんてことも近年で珍しくない。


  • 空冷

ヒートシンクでCPUの熱を吸収し、それをCPUファンによる風で放散させる一般的な冷却方法。構造がシンプルな分安価で信頼性も高い。
CPU上部から風を吹き付けるトップフロー型とヒートシンクを立てて横から風を通すサイドフロー型の2種類がある。
トップフロー型はCPU以外のパーツもついでに冷やすことができ、サイドフロー型はケース内をスムーズに風が流れるためCPUの冷却性能が高くなる。好みで選んでも問題ないが、サイズの吟味は欠かさずに。
トップフローで高い冷却性能を得るために変態と化すCPUクーラーも稀によくある。スサノヲとかジェネシスとか。
CPUを購入すると付属するのは基本的にトップフロータイプの空冷クーラー。部品自体の精度や質は決して悪くないのだが、付属品という性質上*11静音性は劣悪で冷却性能もCPUを使用する最低限度となっている。
変わり種としては、巨大なヒートシンクによってケース内のエアフローのみで冷却を賄うファンレスタイプもある。
空冷式の現時点での究極として、ケース外板が表面積の多い形のアルミ製になっておりヒートパイプでマザボやCPUの熱をケースに伝導させて放散する、いわばケースそのものが巨大ヒートシンクとして機能するというトンデモマシンも市販されている。


  • 水冷

CPUの熱を冷却液に吸収させ、それをファンによる風で放散させる冷却方法。空冷のヒートシンクを冷却液に変えた感じだが、冷却液はパイプを使って移動させられるので、より冷えやすいようにケースの外側付近まで運んでから冷やすことができる。
これによるメリットとしては、冷却性能の割に小型化できること、空冷に比べて冷却性能の上限が高いことなど。
デメリットとしては高価であることと、組み立てやパーツ換装に手間がかかること、作った後の冷却水や配管の定期点検が必要なこと、駆動部が多くなるため故障率が上がることなど。
場合によっては水漏れや結露など致命的なトラブルを起こす可能性もあるため、挑むにはそれなりの覚悟が必要になる。
CPUクーラーに「オールインワン型」「簡易水冷」という、水冷に必要な機能をコンパクトに収めたものが出回っているので水冷が気になったらそれから試してみよう。
それとは逆に、自分で全て組み立てるタイプの水冷クーラーは「本格水冷」と呼ばれることが多い。


究極を求めようとすると、チップセット等のすべての発熱機器にヒートシンクを付ける事もある。
クーラント(冷却液)に蛍光塗料を少々混ぜ、ケース内にブラックライトを設置すると、各パーツを連絡するクーラントパイプがいい感じで光るので、見た目を重視するならぜひ。BYOCイベントでは超目立つぞ。


  • ペルチェ素子

電圧を加えることで一方の面を低温、もう一方の面を高温にできる素子。CPUに低温側を貼り付けることで、CPUを常温以下の温度に冷却できる。
熱力学を学んだ人なら分かると思うが、高温の面はCPUの温度を下げた分よりもさらに熱くなる。もちろんそのままでは継続的な冷却は不可能なので、空冷や水冷の接着面に利用して限界性能を高めるための補助的な手段として使われる。


……のだが、ペルチェ素子はそれ自体の消費電力も大きいため、電力効率としては非常に悪い冷却方法である。
さらに、素子の温度が他の部位や外気に比べて相当な低温になるため、温度に合わせてうまく出力をコントロールしないと結露の危険性も出てくる。
これらの弱点から、2000年代前半に一時期注目されたものの、すぐにこの冷却方法は廃れてしまった。2010年代末以降は、温度調整プログラムと併用してペルチェ素子を採用した水冷クーラーが再び登場したものの、やはり主力にはなっていない。


  • 殻割り

※上級者向けです!!真似しないでください!!
CPUと言えば、多くの人が緑色の基盤の上に大きめな鈍色の金属が乗っている様を想像するだろう。
しかし、あの金属は実はただのカバーであり、CPU本体ではない。本体であるチップセットはその内部に隠されている。
そのカバーを取り外し、チップセットを直接冷却することで最大の冷却効率を目指す、というのが「殻割り」である。
もちろんメーカーが想定している使い方ではなく、取り外す方法も万力などで強引に取り外すという力業であるため、取り外す段階から実用する段階に至るまで大きなリスクが伴う。
実用上意味があるほどの違いが感じられるわけでもないらしいので気軽に真似してはいけない。


  • 油冷、海冷など

極めし者は更なる冷却効率を求めてより高みを目指すという。
検索すれば分かるが、これらはある意味究極の冷却方法。なんとPCの基幹部分全てを冷却液の中に沈めるというとんでもないやり方。
※超上級者向けです!!真似しないでください!!


……言うまでもないが相当な手間がかかる。
やってる人間はいないこともないが、それこそどこぞの大学の研究でだったり、スパコンのような大規模なサーバマシンを保有する巨大IT企業だったり、あるいはアニヲタwikiを見る時間すらPCの改造につぎ込むような究極のド変態だったり、と正に「研究」と呼ぶべき領域であり、人生を捧げるレベルにのめり込まないと割に合わないのが現状である。
これをすると思わぬ影響でむしろすぐに壊れたり、壊れずともメンテナンス困難になることで簡単に修復できなくなるため(そのため個人でやる場合は壊れても良いマシンをぶちこむ)、あくまでも理由は特殊な用途・研究・ネタのためで基本的に一般人の実用目的ではない。


  • 扇風機・サーキュレーター

上記の極まった者たちとはまた違った、開き直ったアプローチ。
ケースを必要最低限の骨組みで済ませるか、もしくはサイドパネルを取り外し、扇風機の風を直接当てて冷却する方法も存在する。
ケースファン方式の極致とも言え、ケース内のエアフロー(空気の流れ)をそこまで考え無くても良いため、当然ながらケースファンと比べ圧倒的に冷却性能は高い。
冗談みたいな方法だが、特に夏場は冷房の風を直接当てることも可能なため、これで凌いでいる者は少なくない。
何より最大の利点は家電なので入手性に優れること。そこら辺のホームセンターでもより取り見取り。
弱点としては、当然ながらパーツ類がむき出しなので飲み物をこぼす、物を落とす、あるいは虫(場合によっては動物)の進入に気を使わなければならないことと、
ホコリに対してはフィルターを付けることも出来ないため完全な無策となり、特にCPU・GPUファン周りはホコリがべったり、という事態になりやすいのでマメな掃除を心がけよう。
またPCのケースにはエアフローを整える役割もあるため、単にサイドパネルを開けているだけではエアの流れがどこかで滞り、却って冷却性能が低下することもあるので、一概に開けっ放しが有利という訳ではない。ただ気軽にメンテ開始できる長所もあるのでペットが居ない環境且つ諸々を気を付ければやはり便利。
過去には株式会社サイズが『Propela』という扇風機サイズのケースファンがついたケースを販売していた。


【マザーボード】 ※必須

CPUやメモリなどを接続する基板で、PCの拡張性を決めるパーツ。
他のパーツを支えるための土台のような存在なので、買うときはコレ以外のパーツを先に決め、それに対応しているマザーボードから選ぶようにするとよい。
また、無線LANに対応したものもあるので、家のネット環境とも相談する必要があるだろう。


最新のCPUに最新のマザーボードを組み合わせることで、パーツの性能を最大限まで引き出せる。


  • フォームファクタ

マザーボードの形状規格。
代表的なものでは大きい順に「Extended ATX」「ATX」「microATX」「Mini-ITX」などの規格がある。
拡張カードの数から固定用のネジ穴の位置までこれで決まる。ケースの対応フォームファクタに合わせて決めよう。
ちなみに、初めての人におすすめなのは「microATX」。
Mini-ITXは小さすぎて配線やパーツ選びの難易度が上がり値段も高く、逆にExtended ATXとATXはサイズがデカい分対応ケースの重量も重くなりやすいので、組み立て後の重量が10kgくらいになる。


  • 拡張性&接続パーツの規格

「PCI Express」や「SATA」「USB」、そしてメモリやケースファンなど、各種拡張スロットや拡張ポートの数。
上記のフォームファクタ次第で概ね決まってしまうが、モノによってはわざわざ旧規格の拡張ポートを残していたり、USBポートを大量に装備してたりと特徴がある。
PCの構成や使いたい周辺機器を確認しておき、いざ組んで見たら「あれが足りない…」なんてことがないようにしよう。
マザーボードにはPCの部品のほとんどがつながる関係上、また後々増設する可能性を考慮して、ある程度余裕をもたせることができれば尚良い。
CPUの項でも少し記載したが、CPUとメモリには複数の規格があり、それらとマザーボードの規格を合わせないと全力が出せないどころかパーツがセットできずそもそもPCを完成させられない、というトラブルも起こりうるので、購入前はそこに気を配ること。


なお、挿さるからといって適当に挿し込むと、パーツが認識されなかったり全力が出せないということになるため、説明書はしっかり読もう。


具体例
■PCIe x16スロットを2つ同時に使っていると、各スロットはx16ではなくx8で動作する
■M.2スロットを使うと、SATAポートの一部が無効化される
■マザーボードによっては、メモリを挿す場合にスロットの順番を指定しているものがあり、これを守らないとPCの起動に失敗する


  • チップセット

CPUと他のパーツを中継・接続する役割を持った部品。これはIntelでもAMDでも各世代ごとに3~4種ほどのグレードに分かれている。
どのチップセットを使っているかによってマザーボードのグレードが決まり、上位のものでないとオーバークロックやマルチGPUに対応していないことが多いため、事前によく調べよう。
また、チップセットの世代によってCPUソケットも違うので、CPUとの組み合わせはよく確かめるようにしよう。


Intel
CPUソケットローエンドミドルレンジハイエンド
LGA1700H610B760・H770Z790
B660・H670Z690
LGA1200H510B560・H570Z590
H410B460・H470Z490
LGA2066X299

AMD
CPUソケットローエンドミドルレンジハイエンド
Socket AM5A620B650・B650EX670・X670E
Socket AM4A520B550X570
B450X470
A320B350X370
Socket sTRX4TRX40
Socket TR4X399

上の表を見てわかる通り、Intel・AMD両社ともにチップセットの名前が似ていて紛らわしい。
実際、チップセット名だけで判断して買い間違いをしてしまった事例も散見されている。


  • オンボード機能

マザーボードに内蔵されている機能をオンボード機能と呼ぶ。
拡張カードなどで後付けする場合に比べて性能・機能は限定されることもあるが、サウンドやLAN機能などはマザーボードに内蔵されているもので充分なことも多い。
それらにはコストからRealtek社製のIC(通称:蟹チップ)が使われていることが多い。あなたのPCでもきっと蟹が働いている……
サーバや産業向けのものでは、2D画面が表示できればいい程度の簡易なGPUが内蔵されていることも。
後述するRAID機能を内蔵したものも増えている。


  • 電源回路(VRM)

後述の電源ユニットから受け取った電力を、CPUやメモリなど各パーツに配分するのもマザーボードの主な仕事の一つ。
通常あまり気にする必要は無いものの、多コア高クロックのCPUでは電源回路の発熱も激しく、ここの温度が高い場合でも調整機能が働き性能が低下するため、特にハイエンド帯ではマザーボードのパーツ品質やヒートシンクの造りが重要となる。
高価なマザーボードは電源回路の品質を売りにしていることも多い。
USBポートの中にも、たまにVRMを介して電力を安定化してから給電する機能が備えられている場合がある。
電力供給の変動に起因してオーディオ機器にノイズが生じることを防ぐことができるので、USB給電のオーディオ機器を接続する際にはVRMに繋がったポートを接続するとよい。


【電源ユニット】 ※必須

PC内部で動作に必要な電力を確保する。厳密にはコンセントから供給される家庭用交流電力をPC用に変換供給するパーツ。
単体で電源ユニットを売っている場合もあれば、ケースと一緒になっているものもある。
CPUは「高けりゃいいってもんじゃない」と言われるが、こちらは逆に「高ければ高いほどいい」とされる。
これは、PCに繋げる全パーツ分の電力を賄える出力がなければいけない、土台的なパーツだからである。
この電源ユニットが供給する電力よりも要求する電力が多い状態、すなわち容量(ワット数)不足になると、起動できなかったり動作が不安定になったりする。余裕を持たせたい。


安定した電力供給は、PCの安定動作はもちろん、各パーツの長寿命化にも繋がるため、人によっては最重要パーツに位置づけられており、掲示板等でアドバイスをもらう際には「電源だけはいいモノを買っておけ」と言われることもしばしば。
場合によってはHDD、SSDなどの突然死の原因として電源の不具合によるものが挙げられる。(不安定な電圧、過電流等)
そして、全てのPCの根幹を成す存在でありながら最も流用性が高いパーツ*12でもあるため、余裕があればなるべく良い物を買っておこう。


また停電などを見越してノートPCのバッテリーの様な働きをする「UPS(無停電電源装置)」を追加するのも有りだが、UPSで確保できる電力は基本的に停電時のセーブやバックアップ時間を確保できる程度のものだと覚えておこう。
更に最大の注意点として、多くのUPSは瞬間停電を含む停電発生時にバッテリーからの給電に切り替わるのだが、その際に給電が一瞬止まるものが多い。つまりUPSをつけていても停電でPCが落ちる
止まってもその後作業続行できれば良い機械なら問題ないが、PCを絶対に落としたくない目的で検討する場合は大きくなりやすく値段も高くなりやすいが常時インバータ給電方式*13の様なタイプが必要になる。
つまり個人でそこまで対策することはあまりないと思われる。


  • 形状規格

電源の大きさにも様々な規格がある。代表的なものとしては「ATX電源」や、やや小さめの「SFX電源」など。
メジャーなのはATX電源なので基本的にそちらを購入すれば問題ないが、小型のケースの場合、SFX電源でなければ入らないものもある。オフィスや事務所等で見かける細長いPCにはSFXが多い。
ちなみに、ケースを買うと一緒についてくるタイプもある。
ケーブルの位置やファンの方向などはマチマチなので相性が悪いと筐体や他のパーツに接触してしまうことがある。小型PCを組むときは特に注意しよう。
一応ある程度までは筐体の形を無理やり変えたり切断する手もある。
思い切って外側に出す場合もあるが熱問題があるのでスペーサーなどでユニットを浮かせる必要がある。
変わったものでは自作用PC用ACアダプタなどもあるが、これもケースの電源ユニット部分に接続するため規格は確認しておこう。


  • 容量

「定格出力」とも言われる、その電源ユニットが供給できる電力の大きさ。電源に書いてある「◯◯◯W」という数字がそれ。
この定格出力というやつはいわば「上限」なので、もちろん常に容量分消費し続けているわけではない。
750Wの電源ユニットを使っていても、接続されたパーツの消費電力が200Wなら電気代もその分だけなので安心しよう。


上記の通り容量が足りないとPCが動かず、逆に闇雲に大容量の電源ユニットを用意しても持て余してしまう。電源容量は自作を始めるにあたって恐らく最も悩むことになるだろう。
とはいえ、どちらかといえば「容量が足りない」場合のほうが問題が大きいので、「迷ったら余らせておく」方向で良い。*14
正確な消費電力を計算するのは難しいが、PCパーツメーカーなどがWEBサイトで提供している消費電力シミュレータで、自分の構想だとどれくらいの電力が必要か見積もることができるので参考にしよう。


  • コネクタ数

問題になることは少ないが、場合によっては「組もうとしたらコネクタが足りず買い替えるハメに…」ということも起こりうる。
容量の小さい電源や安価な電源はコネクタ類の数が最小限になっていることもあるので、特にパーツを増設する時は電源についているコネクタやケーブルの数をチェックしておくと失敗がない。
また、HDD/SSD用の「SATA電源」や4ピンの「ペリフェラル電源」などのコネクタが余っていれば変換ケーブルで賄えることもあるので、コネクタが足りないという場合は落ち着いてまず変換ケーブルを探そう。
特に補助電源が必要となるミドル帯以上のGPUには、そうした変換ケーブルが付属されていることが多い。


  • プラグイン(着脱式)ケーブル

電源ユニットから各パーツへと接続するケーブルが着脱式のもの。
最近は、光学ドライブはおろかSATAのSSDすら使わない構成もあるので、必要なケーブルだけで済ませられるのはケース内のエアフロー的にも好ましい。
最低限の電源構成だとマザーボードとCPUの電源だけあればいいので、それらのケーブルだけ電源から直接生えていて、それ以外はプラグインという製品も増えている。
特にマザーボードのケーブルは殆どが24ピンという幅を取るものなので、これを直接生やす形にすると、電源側の他のケーブルの配置が楽になったり、抜き差しがしやすくなるメリットもあると思われる。


一方で格安の怪しい電源や、構成の決まっているメーカー製PCの電源は電源ユニットから直接ケーブルが繋がっているものが多く、構成の変更やパーツを追加した時にケース内がぐちゃぐちゃになりがち。
さらに言えばコストを抑えて作られているということもあり、絶妙にケーブルの長さが足りないと言ったトラブルも起きやすいので、筐体内のサイズを把握して多少長めのものを選ぶことが大切。
少し高くなるが前述のプラグイン対応電源の購入の検討も有りだが、このプラグインケーブルも機種ごとに電源側のピン配列が違う可能性がある。
同じ形だからとケーブルを使い回すとMBを焼く原因になるので、電源を新調したらちゃんと仕様確認するか今までのケーブルを全部捨ててしまうのが吉。


  • 80PLUS

電源ユニットは交流から直流へと電力を変換しているが、その変換効率を保証する規格がこの「80PLUS」である。
その品質に応じて、スタンダード・ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ・チタニウムの6段階に分かれる。
80PLUS認証を取得した電源は最低80%以上の変換効率が保証され、上位グレードほど高効率になっていくが、その分値段に跳ね返ってくる。
「変換効率の高い電源=発熱が少ない電源」と考えてよく、効率の良い電源は部品や回路設計も高品質のため必然的に壊れにくく、出力される電気の質も良くなり他の部品への悪影響も少なくなる。
認証取得にはある程度のコストがかかる都合上、効率が良くても認証を取っていない製品もたまにある。
逆に認証を取得していないのにマークを掲げている「詐欺電源」もあったりするため、怪しそうな製品(特にグレードに不釣り合いに安いもの)を見つけたときは80PLUS公式サイト(英語)のリストにあるかどうか確認してみるといい。


主流は、値段と品質のバランスが取れているゴールド。


  • Cybenetics ETA

2019年頃より登場した、80PLUSより新しい認証規格。
ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナ・チタニウム・ダイヤモンドの6段階という点は80PLUSと似ているが、80PLUSよりも厳格かつ明確な基準が定められている。
2023年1月末現在はこの認証を受けた製品はまだ多くなく、あまり知名度も高くないが、80PLUSのみならずETAまで受けている電源ユニットであれば、よほど品質に自信があるとみていいだろう。


  • Cybenetics LAMBDA

同じCyberneticsという機関が行う認証だが、こちらは変換効率ではなく静音性の認証。
S < S+ < S++ < A- < A < A+ < A++で、右に行くほど静音性が高い。
SがAよりうるさいのは日本人の直観には反するが、SはStandardの略なので当然ではある。
この認証があるとはいえ、電源装置がコイル鳴きしたりファンが轟音を発したりするのは基本的にCPUやGPUがバリバリ働いている時。
特にGPUを使っている場合は基本的にそちらのファンの方がうるさくなるので、『GPUのファンをデカくて静音性に定評のあるメーカーのやつに付け替えるぜ!』みたいなことでもやらない限りそれほど良い認証のものを選んでも実用的なメリットが薄いことも。
電源と消費電力にマージンを設けてPCを構築しているなら尚更。



【ストレージ】 ※必須

データを保存しておく場所。
「机の引き出しの多さ」に例えられ、PCとしては「補助記憶装置」にあたる。
ファイルや画像や音楽、PC用ゲームのデータなどなど、一般に「PCのデータ」と呼ばれるものは全てこのストレージに格納されているので、新しいPCにデータの引き継ぎを行いたい場合、最悪このストレージさえ残っていればなんとかなることが多い。
おすすめはしないが、古いノートPCから引き抜いて新しい自作PCに挿せば(ドライバなどがなんとかなれば)そのまま使える。
……というのが主流だったが、Windows11以降はBitLockerという、ストレージを暗号化する仕組みが導入された為、移行元がWindows11だと差し替えても機能しない。
心当たりがあるなら「回復キー」を手元のUSB等にインストールしておこう。


HDDとSSDの2種類に大別され、どちらにも一長一短があるので目的に合わせて使い分けるのが賢いやり方といえる。簡単に言えば、HDDは安いが遅く、SSDは高い分速い。
容量が足りるならどちらでも良いが、もちろん両者を一挙に搭載するのもアリだし、殆どのPCケースには最低でもストレージを3つ以上搭載できるスペースが設けられている。
音楽や画像フォルダなど、頻繁に記録データを書き換えたり、ある程度大きなデータを保存する用途にはHDD、読み出すほうが多く書き込みの少ないOSやソフトウェアのインストール先にはSSD…といったように使い分けることも多い。
また変わったところでは両方搭載した上でソフトウェア的に統合することで、キャッシュとしてHDDに書き込む前のデータや頻繁に使うものをSSDに置くことで、SSDの速度とHDDの大容量を実現するものがある。
と言っても、現在は大容量のSSDもそれなりに出回ってきているため、普通に使うのであればSSDだけで十分なことも多いが……
詳しくはStoreMI、Optane memory、Bcacheで調べてみよう。
HDDの磁気ディスクの直径がストレージのサイズの基準となっており、現在は3.5インチと2.5インチが主流。


注意点として、1000GBのストレージを買ったとしても画面ではでは931GBと表示される、といったようにOS側の表記と製品の容量表示は異なる。
EFIといった内部処理用に予約された領域もあるのだが、GB、TBクラスのストレージが一般化した現在では、単位変換の原因の方が主である。
これは普通に使われる単位系の接頭辞(G、kなど)とプログラム分野で使われる接頭辞が示すものが異なるため。普通k(キロ)は1000倍の数を表すのだが、プログラム分野では2進法の都合上2^10=1024倍の数を表す単位として慣用されてしまっているのだ。
kB単位ではそれほど問題は起こらなかったのだが、単位が繰り上がるたびに1024が掛けられるために容量がでかくなるほど相乗的に影響が大きくなってしまう。結果、1000GB=1,000,000,000B≒931.3*1024^3Bとなり、ほとんど1割もの容量が減ってしまうのだ。
メーカーとしてはちゃんとSI接頭辞の1TBのストレージを作って売っているわけで、もちろん製品に欠陥があるわけではない。これはいわゆる『天使の取り分』現象と呼ばれ、度々物議を醸している。
これを避けるために国際単位系ではSI接頭辞を1024の冪乗を示すことを禁止しており、代わりにGiB(ギビバイト)、MiB(メビバイト)のような別の接頭辞を使うように指導しているのだが、あろうことかOS側が従わずに1024BをkBとして表記してしまっている。
OS側も今更変えるのは大変なのだろうが、消費者としては理解せずに損した気分になふことは請け合い。これによるクレームを避けるために(前述の通り、ストレージメーカーには一切の非はないのだが)OS側で認識する容量を併記するようにしていることも多い。


基本的にケースの内部にドライブベイという空間が設けられており、その中に入れてネジで固定する。


  • ハードディスクドライブ(HDD)

磁気ディスク。
容量あたりの単価が安く、書き換え回数の上限が比較的高い。
それと他のストレージやパーツでも同じだが高性能なほど熱くなりやすいので熱対策に注意。
転送速度の面ではSSDに譲るため、主に大きなサイズのデータの保管に使われることが多い。
というか昨今はSSDもかなり大容量化しているため、安価な保管庫やバックアップとしてのみ使われるケースが殆ど。
限界が近づくと「ガガッ」という異音が出てくる、一部書き換え不能の領域が発生するなど、完全に壊れるまでに分かりやすい予兆と猶予期間が発生しやすい。
万一壊れてもデータの吸い出し技術が確立されており、何もかもパーなんてことはほとんどない。*15
2.5インチと3.5インチの2サイズがあり、2.5インチは大雑把に言うとノートPC用。自作PCでは3.5インチがよく選ばれるが、低発熱省電力という点から2.5インチHDDを選ぶユーザーも一定数存在する。
PS4に代表されるPC以外の使用先が生まれて行っていることなどからHDD全体の出荷量では2.5インチの方が多い。


2014年頃からそれまで停滞していたHDDの大容量化を促進させるため、「SMR」という新しい記録方式を用いたものが販売され始めているが、書き込みがそれまでのと比べてかなり遅いため、大容量のキャッシュメモリを搭載することで速度を補っている。
最近はそれらの技術が確立されたことから、SMRでコストダウンした一方、各メーカーは今度は容量競争にシフトしており、今や8TBは当たり前、大きいものでは10TBや12TB、サーバー向けともなると22TBというとんでもない容量が出回っている。
自宅サーバーなどが目的でなければ3TBもあればいい方なので、容量より値段で選んでしまっても問題ない。
ただし、使用頻度的に安くてもいいからって思うと、古くて低速なハード&規格のせいで覚悟していても堪えられないほど低速なんて場合もあるので、使用用途や回転数などには気を付けよう。前述しているがOSインストールするストレージは性能のボトルネックになりやすく、低速だと遅くなるどころかバックグラウンドプロセスですら時間がかかり、PCがまともに動かなくなってしまうことすらある。*16


かつては、国内外十数社以上のメーカーがHDDを製造していたのだが、競合他社の吸収合併が繰り返されたり、HDDよりもはるかに製造が簡単なSSDが台頭したりした結果、2020年6月現在、Western DigitalウエスタンデジタルSeagateシーゲイト、東芝の3社しか残っていない。
また、2010年頃のSeagate製一般向けHDDの品質が悪かったため、「Seagateは粗悪」として同社を忌避する自作erがいるが、現在は改善されており、Western Digital製のものとほとんど変わらなくなっている。


ちなみに、強い磁石を近づけてはいけない。ディスクの書き込み・読み出しをするための針が磁石に吸い寄せられて壊れ、書き込みも読み出しも二度とできなくなる。


  • ソリッドステートドライブ(SSD)

フラッシュメモリを使ったストレージで、USBメモリと似ている。
軽くて衝撃に強く、駆動音も静か。おまけに動作がHDDより遥かに早く、消費電力も少ない。
…といいこと尽くめに思えるが、HDDより容量あたりの単価が高いのと、壊れる時は何の前触れもなくぶっ壊れるという弱点がある。
その上壊れたが最後、中にあるデータは復旧不可能なので、バックアップは念入りに取っておくべきだろう。
もう一つの短所として同じ製品でも品質の当たり外れがHDDよりも激しい(ように感じる)。外れを引いた場合ある程度容量が埋まるととたんに遅くなったりする。使用用途に対してある程度余裕のある容量を持たせたり、値段のみならず自分が信頼できると思った製品を選ぶと良いだろう。
それとHDDに比べて基本的に発熱量は少ないが、高温になったら熱を抑えるために速度が低下するので(※もしも速度低下機能がない場合は故障確率が飛躍的に高まる)モニタリングソフトでちょくちょく温度は確認した方が良い。もし簡単に高温になるようなら筐体や環境、SSD自体の変更*17を検討しよう。


フラッシュメモリ(NAND型メモリ)の特性として、長い間通電していないとデータが正常に読めない、消滅するということがあるため、長期間のアーカイブ用途には向かない(同じフラッシュメモリを使うUSBメモリやメモリーカードも同様)。
そのため、SSD向けの健康管理ソフトを導入したり、定期的にSMARTデータ*18を確認するのが推奨される。
SSDではSMARTデータのReported Uncorrectable Errorsの回数増加具合と、TBWと照らし合わせた総書き込み量が故障直前、NANDの書き換え限界の目安となるだろう。
SSDを購入後しばらくして、自身の利用傾向を調べたら単純計算で10年以上持つって出た(´・ω・`) というのはよくある話。ぶっ壊すつもりでひたすら書き込みを続けたら公称TBWの10倍を超えてもピンピンしていたという記事もある。
SSDが普及し始めたころの古いOSではデフォルト機能や設定ではSSDを長期的に使えないなんて場合もある。Windowsでいえば8以降なら完全に大丈夫*19


注意点として、フラッシュメモリの記憶素子の種類が存在する。
主にSLC、MLC、TLC、QLCの4種類があり、右に行くほど書き込み速度は遅く、書き換え回数は少なく(=寿命は短く)、容量は大きく、容量単位の価格は安くなる。
2023年12月時点ではTLCが主流……というか、SSD≒TLCと言っても過言ではないほどにTLCが席巻している。
磁気ディスクを搭載しないのでサイズの制約は特にないが、基本的にノートPCにも搭載できるようにと2.5インチHDDの規格で取り付けられるように作られている。2.5インチ用のドライブベイがあらかじめ用意されているケースでなくても、3.5インチまたは5.25インチのドライブベイに取り付けるための変換マウンタがあるため、ほとんどのケースに使うことができる。


  • M.2 SSD

上に挙げたSSDの亜種。2.5インチより更に小さい、スティック型のストレージ。
性質は通常のSSDとだいたい同じだが、マザーボードに設けられた専用のスロットに取り付けて使う。
マザーボードに直接はめ込むSSDであるためデータと電源用のケーブルを用意する必要がなく、ケース内の配線がぐっと楽になる。
また、マザーボードとストレージの両方がNVMeという接続規格に対応していればSATA接続と比べて2~6倍の転送速度が得られるため、性能だけ見るなら上記のSSDよりさらに上。
(ただし、最近は数少ないもののSATA接続のM.2 SSDも存在している)
ハイエンドマザーボードともなると4~5枚は挿せるように作られており、ストレージは全部M.2という自作erもちらほらいる。


一方、その速度の代償として、ストレージ上のコントローラが無視できないレベルまで発熱するため、ストレージのための冷却手段(ヒートシンクなど)を用意してやる必要がある。
一応壊れないように温度センサーが内蔵されており、発熱が一定値を超えると速度を抑えるようにはなっているが、遅くなっては元も子もないし、位置によっては冷却が非常に難しく、また放出する熱で他のパーツを温めてしまうこともある。
そのため、M.2は上級者向けと言われることがあるが、2023年12月現在ではBTOもほとんどがメインストレージにM.2を使用しており、ストレージのメーカーもM.2の開発を主軸に据えている。
マザーボードによっては、M.2 SSD用のヒートシンクが付属していることもあるので、積極的に活用しよう。
配線が無いので組み立てやつけ外しが楽…かと思いきやCPUやグラフィックボードの近くに取り付けることが多いので、つけ外しの際はそれらも外す必要が出てきたりと大仕事になりがち。
またネジ止めが必要な点も含めて案外煩雑なので、あまり交換する必要が無いように容量の大きいものを採用すると良いかもしれない。


  • ソリッドステートハイブリッドドライブ(SSHD)

HDDにフラッシュメモリをキャッシュメモリとして搭載したもの。2.5インチと3.5インチの両方がある。
HDDよりは早く、SSDよりは大容量で安価というだいたい両者の中間くらいの位置付けだった。
いいとこ取りと言えば聞こえはいいが、総合的に見るとどちらと比較しても中途半端と言う見方が強い。
出たばかりの頃は何かと持ち上げる動きもあったが、SSDの低価格・大容量化に早々に押されてしまい、2023年現在新規の製造は見られない。
残念ながら時代の徒花と言ったところか。


  • RAIDレイド

正確にはストレージの種類ではなく、HDDやSSDを複数台まとめて一台として扱う利用方法。
自動的にコピーを作成する、複数のドライブに交互にアクセスする…などの方法で信頼性を高めたり、読み書きを高速化させる。マザーボードにRAID機能が組み込まれているものもあれば、RAID用の拡張カードやRAID機能搭載の外付けHDDケースなどを使うことも。
いくつかの形態があり、「RAID0」、「RAID1」、「RAID5」などが代表的。それぞれを組み合わせてRAID1+0、RAID1+5、RAID5+0といったことも可能。
個人用のPCでデータの保護が目的なら定期的にバックアップをとるほうが手軽で楽、かついずれのRAIDも程度は違うもののコストパフォーマンスが悪化するという点は同じなので自作PCで使われることは多くないが、自宅サーバーを作ったり性能を追求する場合に採用する例はある。
しかし全部まとめてぶっ壊れたり、復旧中に残ったディスクもダメになることが意外と多かったり、RAIDコントローラが壊れた時に構成情報もぶっ壊れている時があったり、復旧作業を間違えたり(冗談の様な話だがPCに精通している者でもよくある話)など、例えRAID6とて安全とは言い切れないのでRAIDを組んだからと安心せず、むしろRAIDを組むほど大事なシステム・データならば別口で定期バックアップも取っておきたい。冗談ではなく。
なお、多くのRAIDでシステムを動かしたままでも復旧(RAID再構築)出来ることも長所なのだが、復旧に時間も負荷もかかるので、出来ればシステムを動かさずなるべく最低限の動作で復旧させた方が安全。


  • ネットワークアクセスストレージ(NAS)

小型のPCのような機器をローカルネットワークに接続し、外部ストレージとして利用する方法。
同じネットワークを利用する機器で容量をシェアしたり、一度設定してしまえば簡単にデータの受け渡しも行える。VPNを使えば外部からアクセスすることもできる。
ネットワーク上に置いておけるので、構築さえできればPCの外部のバックアップを自動で出来るようになるという利点も。複数機器のバックアップもお手の物だし、RAIDが設定できるので擬似的な多重バックアップにもできる。
小型のPCのようなものなので、自作PCほどではないが組み込むストレージを選んだりカスタマイズも可能。
弱点としては、これ自体が1つの機器なので、起動している間ずっと電力を消費し続ける上に、ストレージを共有するため使いすぎるとストレージ寿命もゴリゴリ減っていく。


  • ハードウェアとしてのRAMディスク

まずRAMディスクとはメモリの一部をストレージとして使うソフトのことで、それのようにRAMを搭載したストレージ装置がi-RAMやANS-9010などである。基本的に過去の商品であり、現在は製造されていない。普通のSSDなどよりも圧倒的に早く、あくまでハードウェアなのでOSなどをインストールすることもできるが、その場合はバッテリーバックアップが必要で、データが消えたときのバックアップのHDDやSSDも必要になるのでかなり手間がかかる。



ちなみに、Windowsでは自動でバックアップを逐一取ってくれる機能があるので、普通にPCとして使うならバックアップ用のHDDかSSDをもう一台用意するだけで十分。



【ケース】 ほぼ必須

取り回しやメンテナンス性、安全性を無視するのであれば無くても良い。が、よほどのことがない限りこれも買うべき。ケース無しで運用しているときに水でもこぼしたら、目も当てられない事態になる。
物理的に基幹となる部品のためかBTOでも完全に自由にできない場合が多く、ケースを選べるというのも自作PCの醍醐味と言えるかもしれない。
たかがケースとは言えど、ファンや電源ボタンやUSBコネクタ等、無いと地味に困る機器はこっち側についているので、自信あるからと調子に乗っていきなりケース無しに挑戦した結果、電源ボタンがなくPCを起動できないなんて笑えない状況に陥りかねない。
ケースもまたピンからキリまで色々あり、冷却性重視のケースに防音マットが貼られた静音ケース、ガラス張りのスケルトンケース、中身剝き出しのオープンフレームケース、中にはなんとボタン部にカギをかけて起動を制限できる業務用*20まで存在する。
極め付けにはデスク一体型という異色なものもある。文字通りケースを机として利用できる代物だが、ケース単体でハイエンドBTOパソコン1~2台分ととてつもなく高価。
直接PCの性能を左右するわけではないものの、値段のするケースはその分配線が繋ぎやすくすっきりまとめられる、大型のパーツ(≒高性能なGPUなど)を積める、騒音を抑えてくれるなど作業を快適にしてくれる工夫が凝らされている。そして何よりも、組んだ後のガタつきが少ない。これも是非良いものを買っておこう。
ただ、やはり直接PCの性能には影響しない事もあって、大抵は予算を絞られ貧相なケースになってしまうわけだが…
昨今は大型化するグラフィックボードが下に垂れ下がらないようにするための支え棒なども搭載されている。


  • 大きさ

大きく分けてミニタワー・ミドルタワー・フルタワーの3つに分類されている。
置き場所に合わないとそもそも置けないという意味では最も重要な部分。事前に設置場所を考えて選ぼう。
部屋のスペースにある程度余裕があればケースに合わせて設置場所を作ってもいい。
また、小さいケースは拡張性に難があるのはもちろんのこと、ケーブルの取り回しや部品同士の接触、排熱効率が低いなど組み立てる上でも難度が高い。
特に気をつけるポイントは、「冷却装置」の項にある「CPUクーラー」と、後述するGPUことグラフィックカード。
この2つはケースサイズが小さいと物理的に入れられなくなってしまう。特に最近のグラフィックカードは大型化が進んでいるので、それぞれの大きさは把握しておきたい。
冷却性能を重視したり、多数または大型のパーツを入れたくなったりすると必然的にフルタワーへ選択肢が移行するが、フルタワーを選ぶとケース単体で10kg超がザラなのでケースを設置場所まで持って行けるかどうかも考慮する必要がある。
特にこれといったこだわりがない場合はミドルタワーから選び、それから目的に応じて拡大・縮小するのが安全。
パーツとして見るとこれ以上大きなものは組み上がった本格水冷くらいしかないかさ張るパーツなので、ある意味CPUやグラフィックボード以上に購入前の吟味が必要になる。



  • 対応フォームファクタ

そのケースがどの規格のマザーボードに対応しているか、という意味。先述のサイズ分けはここで判断されていると考えて問題ない。
一部の規格には互換性があり、ATX対応のケースにMicroATXのマザーボードを使うなども可能だが、スペースを余らせるメリットはあまり無い。



  • パーツ固定方法

基本というか安価なのはネジ止め型のシステム。
ガッチリ固定されるので、長期的に使うのであれば安全でもある。
ちょこちょこ仕様を変える…等の用途であれば、ロック装置や専用のスペーサーを入れる事で、嵌合固定するタイプ(スクリューレスとかツールレスとか呼ばれる)を選ぼう。
ただ、圧力で固定されるので、使ってる間にズレて接触不良になったり、プラ製のロック装置が熱で壊れたりする。
中には交換機会の多いHDDだけスクリューレスで、グラボ等はネジ止め式などの折衷式のもあり。
同様にグラボ等の端子を出す孔は、プレスで撃ち抜いただけなので折って使うのと、ネジやロック装置で開けたり塞いだり出来るタイプの2種類がある。



  • ドライブベイ数

そのケースに搭載できるHDD/SSDやDVDドライブの数。そのケースがどのような用途を想定しているかで大きく変化するため、ある意味では最もケースの個性が出る要素。
ケースの外に露出したドライブベイを「オープンベイ」と呼び、光学ドライブを搭載する5.25インチベイ、FDD*21やカードリーダーを搭載する3.5インチベイなどがあるが、FDDや光学ドライブの需要が減っているため3.5インチ/5.25インチを問わずオープンベイを持つケースは徐々にその数を減らしつつある。
オープンベイにはディスクドライブ以外にも温度計やファンコントローラーや小物入れや水槽(!?)など色々なものをつけられる。蓋をしておけばシャドウベイとしても使えるので無駄にはならないだろう。
逆にケースの外からは見えないドライブベイを「シャドウベイ」と呼び、こちらは3.5インチベイと2.5インチベイがある。
シャドウベイはHDD/SSDを搭載する以外に用途はないが、ストレージの項で説明したRAIDを構成するなど、多数のドライブを搭載する予定があるなら不足しないようよく調べておこう。


最近では大型のケースであってもシャドウベイは減少傾向にあり、その分のスペースは長大化したグラフィックボードや水冷装置のための場所になりつつある。ゲーミングPCを作るのであれば問題ないが、サーバー用途にするにはモノ選びに苦労するかもしれない。
あとHDDを後から増設するような使い方をしている人は、HDD増設がしやすいように、サイドパネル側にシャドウベイの開口部があるケースを選んでおこう。
MB側に開口部があるケースにHDDを追加しようとすると、そのためだけに一度グラボを外す必要が出てきたりする。
そしてそういうケースに限ってグラボのバックパネルをネジで固定する仕様だったりする。



  • 電源の有無

中には電源ユニットがセットになっているケースもある。大抵は安物の電源なので避けられることも多いが、中には80PLUS認証つきなど一定以上のグレードを使っている場合もあり、ケースに合う形状の電源なので選定の手間を省けるなどメリットもある。
よく見ないで買うと電源が無かったり、電源が丸ごと一個余ってしまったりするのでチェックはしておこう。



  • 外観

基本中身の見えないPCにおけるある意味「華」とも呼べる部分。
見た目より中身が大事なPCにおいては「たかが見た目」ではあるが、やはり毎日のように使う製品なんだからお気に入りの見た目の方が使ってて嬉しくなるというものだろう。
中には、最初にケースを見た目重視で選び、ケースの方に合わせてパーツを選定する、という人も。
最近ではマザーボードを始めLEDを搭載しているパーツが増えているため、主にマザーボードを取り付ける側と反対側の側板をアクリルやガラス製の透明板に変え中身をバッチリ見られるようにしているケースも多い。EMI(電磁波)対策などの面で心配されることもあるが。



  • ▼PC検証台

「パーツをとっかえひっかえする予定があるなら…」と書いたが、そういう人向けに外装の無い板だけのケース(?)が売られてたりもする。「テストベンチ」あるいは「まな板」などとも呼ばれる。
もちろんパーツ類はきちんと固定できるようになっているわけだが、むき出しでホコリ避けもないのでそのまま長期間運用するのは推奨されない。
また、外装が無い…と書くと安そうに思えるがさにあらず。しっかりしたものは並のケースより高かったりもする。



  • ▼ベアボーンキット

予めケースにマザーボードと電源が組み込まれており、CPU、メモリ、ストレージ、OSを追加するだけでPCとして完成する半完成品の自作キット。
近年ではIntelの「NUC」など、CPUまで一体化させたものも増えている。
あまりメジャーではないものの、通常の自作PCと異なり安価で、超小型のPC*22を組めるなどのメリットがある。



  • ▼ライザーケーブル

主にグラフィックボードやNVMeのSSDを取り回すためのPCIe及びNVMeの延長ケーブル。
大きなケースで内部に余裕があれば不要なものだが、小型ケースに大きなグラフィックボードを積みたい時によく使われる。(一部では光っているファンを正面に向けたいという謎需要もある)
グラフィックボードをマザーボードに直角に挿すとそれだけで無駄な空間が生まれがちだが、これをライザーケーブルでマザーボードと平行に配置するだけでかなりスッキリする。
当然だがグラフィックボードの取り付け場所がないと困るので、対応したケースを買うのが前提。
それ以外にも、手のひらに乗るような超小型PCで本来はSSDを入れるNVMe接続端子からPCIe端子に変換してグラフィックボードを利用するという本末転倒な用途も。


延長ケーブルとなると信号の劣化や損失による性能低下が心配されるが、ケース内を取り回す程度ならばまず発生しない。あっても誤差レベル。
ただし、最新の規格であるPCIe 4.0は対応していない製品もあるので要確認。



  • ▼自作ケース

基本は自分のPCの構成に合った既成品のケースを買ってくるわけだが、熱心な自作erジサカーの中には自分でケースを作ったり、業者にオーダーメイドで注文を出したりする人もいる。
なおパーツを固定できて通風孔や開口部を設けることが出来れば、だいたい何でも使用できる。ネットには一斗缶や電気ポット、果てはビールサーバーや酒瓶、ストーブ、机をPCケースにした例が上がっている。
最近だと3Dプリンターが普及してきたからか、なんとゲームキューブなどのゲーム機の筐体をPCに改造する猛者もいたりする。
また超小型PCのラズベリーパイ(後述)のせいで余計変なのに挑戦されることに…まあこれは自作PCより電気工作に近いんだけど。



  • フロントパネルコネクタ

電源・リセットスイッチや各種ランプとマザーボードを繋ぐ細いコード群。
そこそこ自作に慣れた人でもマザーボードの取扱説明書とにらめっこしながら接続することがある、自作において最も面倒な部分の一つ。視力が低い人の永遠の敵。
それぞれのスイッチやランプのコネクタを対応する箇所に差し込むのだが、これが本当に小さい。マザーボードのピンを折らないように注意。
更に各コネクタを差す箇所は決まっている上、コネクタにはプラスとマイナスがあり、間違えると動作せず差し直しになる。
これらのコネクタをまとめて脱着できるケーブルが安価で売られているので、マザーボードやケースの交換の予定がなくても持っておいて損はない。
そろそろケースやマザーボードのメーカー側であらかじめまとめておいて欲しいものである



【GPU/グラフィックボード】 構成により必須

主に画像処理を担うパーツ。
厳密に言うと、実際にパーツとして使うのはGPUではなく「そのGPUを採用した『グラフィックボード』」。詳細は後述。
グラボ」という略称が頻繁に使われる。


「負荷の高い3DゲームやVRゲームを遊びたい!」
「お絵かきや画像処理の仕事でAdobe Illustratorなどを使ってます」
「PCにディスプレイを3、4個繋ごうかなと考えています」
藤井聡太くんが使ってるRyzenって奴使ってみたいんだけど」
「画像生成AIをやりたい」
……あなたが上記いずれかに当てはまるのなら、これは必須アイテムと言えるだろう。


逆に、上記のどれにも当てはまらないのならば無理に導入する必要はない。CPUにグラフィック機能が内蔵されているならば、それを使っておけば問題ない為である。
デバイスマネージャーを開いて、ディスプレイアダプタの項目に「Intel UHD Graphics」「AMD Radeon(TM) Graphics(「RX」の表記がないもの)」的な名前があれば、CPU内蔵のグラフィック機能で動作している。
単体のGPUに劣るとはいえど、CPUの性能に合わせてグラフィックの機能も順当に強化されているため、ブルーレイの再生や動画サイトを1080p/フルHDで楽しむ位ならこれだけでも十分。
また、電源や排熱に遠慮する必要が無い分、同世代のノートPCよりも高スペックになることが多く、軽めの3Dゲームならグラボが無くてもなんとかなってしまうことも。
とは言っても、本格的な3Dグラフィックを駆使した3Dゲームやドローソフトを本格的に動かすとなるとやはり力不足になってくる。
ちなみに、万が一ドライバが壊れたとかでこの機能が無効になっても、最低限モニタを映す位はできるのでご安心を(当然性能はガタ落ちするが)。


グラフィックボードはかなり電気を食うので、電源ユニットの性能も考えて選ぼう。やりたいゲームが決まっているなら、そのゲームの推奨スペックを参考にするといい。
また性能が上がるにつれ加速度的に価格が上がる、PCパーツきっての金食い虫。
一応ミドルレンジまでのGPUは他のパーツと同等以下の安価に収まっているが、ハイエンドを求めると他のパーツの合計価格に迫り*23、予算オーバーになりかねないので宝の持ち腐れ*24にならないよう欲張らずに選ぶべし。
他のパーツと比べると世代交代が早く、型落ちが起こりやすいのも悩みの種。ゲーマーたちの懐をこれでもかと攻めてくる。
逆に言えば、ちょっと前までハイエンドとして高額で売っていたものが、型落ち品として安価で手に入るようになる、ということが起こりやすいパーツでもある。
正直選ぶのに困るほど多種多様で複雑だが、上述したような「やりたいこと」から必要な仕様を整理すれば自ずと絞り込めるはず。


なお、「GPUの外付けは(モニターの分配用等を除いて)原則不可能*25」というのが長らくパソコン界の常識だったが、最近では「Thunderbolt」という新しい通信規格に対応した「グラフィックボードと補助電源を接続できる外部ケース」なんてものも出始めている。
当然CPUやメモリ等の他のパーツ、極端な話ケース自体がボトルネックになる恐れ*26はあるし、そもそもPC側がThunderboltに対応していなければ使えない*27わけだが…。
対応さえしていれば本体内部にスペースがなくともグラフィック性能の強化が図れる他、外付けにすることで本体側の発熱や電源の負担を軽くしたり、必要な時以外は外しておいて消費電力を抑えるという使い方も可能になると思われる。
ただ、グラフィックボード本体に加えてケースの方も割と高価な上、ガンガン排熱する構造上熱が籠もり易い…というより、その前提でケース自体がかなりデカいので予算や置き場所は余裕を持って確保しておきたいところ。
まあ元々「デスクトップリプレイスメント」とも呼ばれる、持ち運ぶことをあまり重視してない大型ノートPC向けの技術なので、自作機のほとんどを占めるデスクトップ機ではあまり意味が無い技術ではある。


ちなみに冒頭のGPUとグラフィックボードの違いだが、GPUは内部にあるチップセットのこと。画像処理専門のCPUみたいなもので、これ単体では小さなチップしかない。
対してグラフィックボードはそのGPUを基盤に乗せ、更に必要な冷却機構やコネクタ類諸々も組み合わせてモジュール形式に作ってあるパーツのこと。画像処理専門の小型PCみたいなものである。
つまり同じGPUを搭載したグラフィックボード同士でも、更にメーカーによって見た目やサイズ、コネクタ類の数といった仕様の違いがある。
ゲームの必須環境等で指定されるのは基本的にGPUの型番。グラフィックボードはそのGPU搭載の中から自分のPCや機器に合うものを選ぼう。


  • チップの種類

グラフィックボードの処理性能や機能は、搭載しているチップ(GPU)のメーカーとグレードでほぼ決まる。
現在の主流は、NVIDIA製の「GeForceジーフォースAMD製の「Radeonレイディオンの2種類。ゲームを楽しみたいなら、このどちらかを選ぼう。
正直どちらも性能面においては常にしのぎを削っており、決定的にこちらがおススメというのは言いづらい。
人気で言えばGeForceが優位だが、その人気のせいで在庫が無くて買えないということもありがち。
でもRadeonも最前線で使っていくには全然問題ない性能なため、メーカーに拘りがなく迷ったら在庫があった方とか、安い方を選ぶといった感じでもよいだろう。
なお、2022年下半期からはIntelも「Arcアークというグラフィックボードシリーズを売り始めたが、ハードウェアドライバが成熟していないためにあまり人気がない。


他にも、NVIDIAからはGeForceを冠さない「RTX Aシリーズ」や「Tシリーズ」(旧世代: Quadroクアドロ)、AMDからは「Radeon Pro」(旧世代: FireProファイアープロ)も用意されているが、これらは3DCGやCADの作製、量子化学計算など、クリエイターやエンジニアが業務用に使うGPUであり、まずゲーム用に推奨されない。
そもそも、GeForceやRadeonのような一般消費者向け製品と比べると割高であるため、よほどの事情がない限りまず選ばれることはない。


ブランド←低高→
GeForceGTX 1630
GTX 1650(Super)
RTX 3050RTX 3060(Ti)RTX 3070(Ti)RTX 3080(Ti)RTX 3090(Ti)RTX 4080RTX 4090
RTX 4060RTX 4060 TiRTX 4070RTX 4070 Ti
RadeonRX 6400
RX 6500 XT
RX 6600RX 6600/6650 XTRX 6700/6750(XT)RX 6800RX 6800 XTRX 6900 XT
RX 6950 XT
RX 7600(XT)RX 7700 XTRX 7800 XTRX 7900 XTRX 7900 XTX
ArcA310
A380
A580A750
A770

なお、現行のグラフィックボードでは、接続端子に「PCI Express」という共通規格が使われているので、CPUとは違って端子形状を気にする必要はない。



  • 対応解像度とリフレッシュレート

解像度は画面のドットの数。多いほどより広く、より精細な映像を出力できる。
大抵ドット数を直接「(横のドット数)×(縦のドット数)」と表記したり、特定の縦横のドット数の組み合わせに名前がついて「4K(3840×2160)」「WQHD(2560×1440)」「フルHD(1920×1080)」などと言われたりする。
リフレッシュレートは1秒間に表示されるコマの数で、多いほど動画がなめらかになる。多くは周波数として「Hz」で表記される。ゲームなどで特に重視されるが、それ以外の用途でも画面の動きがカクつくとストレスになりがちなので、60Hz以上は欲しいところ。


解像度とリフレッシュレートはトレードオフの関係にあり、片方を上げるともう片方が下がる。*28
表示できる限界はディスプレイで決まるため、使いたいディスプレイの仕様に合っていれば問題ない。


なお、グラフィックボードの宣伝文句として「WQHD向け」「フルHD向け」という文言が使われることもあるが、これはそのグラフィックボードが得意とする解像度を指しており、その解像度以内ならば、高いリフレッシュレートでゲームを快適に遊べるということである。
逆にそれを超える解像度だと、グラフィックボードの性能の限界に達してしまい、リフレッシュレートがガクッと落ちる。



  • 出力端子

昔のアナログ接続時代なら「アナログ端子(ミニD-sub15ピン)」でほぼ間違いなかったが、デジタル接続になってからは液晶テレビなどでおなじみの「HDMI」や、PCに多い「DisplayPort(DP)」が主流となっている。
これも使う予定のディスプレイが対応してる形式に合わせれば概ね問題ない。それぞれ変換ケーブルもあるが、変換すると問題が起きることもあるのでできるだけ合わせたほうが良い。
あとHDMIはケーブルに世代があって、昔のケーブルだと60Hz以上出ないというのもあるので注意。ディスプレイ付属のはディスプレイの規格に合わせてあるはずなので、それを使うのが無難。


余談だが、デジタル接続の黎明期には「DVI」という端子がよく使われていたが、2023年末現在では、一部のローエンドモデルに搭載されるにとどまっている。



  • モニタ同時接続数

同時に接続できるモニタの数。付属する端子の数で変わってくる。
モニタの数を増やすほど1台あたりの解像度の限界が下がるため、どの解像度で何台繋げられるかはしっかり確認しておくこと。
コネクタを追加するために余分に拡張スロットを潰すものもあるため、どのような形で接続するかも重要。



  • 占有スロット数

PCIeスロット接続のグラフィックボードの場合、多くは冷却ファンのスペースが必要なため拡張スロット2本~3本分のスペースが必要で、隣の拡張スロットが塞がれて使えなくなる。小型のPCの場合は拡張スロットが足りなくなったりすることもあるので注意が必要。
もちろん1本分に収まるものもあるが、小型な分性能は限定される。
ハイエンドモデルになると、4本も占有するものまで売られている。



  • 長さ

読んで字のごとくグラフィックボードの全長。特に小型のケースでは使用できるボードのサイズに制限がある。
ケースによっては装着可能な最大長が明記されていることもあるので、ケースの形状や仕様はよく確認しよう。



  • 高さ

こちらは拡張カードの幅。「フルハイト」などと呼ばれる*29通常のものと、薄型のPCケースに使われる「ロープロファイル」に分かれる。ロープロファイル仕様のPCケース自体あまり無いが、ケースに合わせて選ぼう。
グラフィックボードに限った話ではないが、ロープロファイル仕様の拡張カードは端子が出てる枠を交換することで、フルハイトとしても使えることがほとんど。



  • 冷却装置

ファンを搭載したものがほとんどだが、静音性を重視したファンレスのものもある。ファンレスのものはケース内のエアフローを考える必要があるため使用に際して気を遣う。
メーカーによっては最初から付属ファンの冷却性能がチップメーカーの標準仕様よりも強力なことがあり、その場合ちょっとクロックが上がってたりして性能と消費電力が上がっている。
CPUと同様に、より高い冷却性能を求めて冷却装置を交換したり水冷化したりすることも可能。冷却装置を強化することで熱暴走のリスクを低下させつつ、額面通りのスペックが発揮し易くなるが、CPUに比べてハードルが高め。*30



  • VRAM容量

VRAMとは、グラフィックボードに搭載されているメモリチップのことで、先述のPCのメモリ(メインメモリ)とは異なる。
主に映像データや、ゲーム内のテクスチャなどのデータを展開しておく部品。
特に高解像度のディスプレイでゲームを遊ぶときに、この容量が多いとフレームレートが落ちにくくなるなどの恩恵がある。


しかし、VRAM容量とGPUグレードには比例関係があり、高い容量が欲しい場合にはほぼ必然的に高いグレードのグラフィックボードを買うことになる。
メインメモリと違い、VRAMだけを後から自分で増設することができないからだ。
特に画像生成AIではVRAMの消費が非常に激しく、1024x1024以上の画像サイズでは10GB以上食われるので、どうしてもハイクラスのグラフィックボードになりがち。
また、グレードの割にVRAMを多めに積んでいるモデルが用意される*31こともあるが、1世代のラインナップの中で1種類のグレードにしか用意されないことがほとんど。



  • 消費電力

NVIDIAは「Total Graphic Power(TGP)」、AMDは「Typical Board Power(TBP)」と表記している。
グラフィックボードに最大の負荷がかかっているとき、グラフィックボード全体で消費される電力がどれくらいになるかを示す。
上で「性能が上がるにつれ加速度的に価格が上がる」と書いたが、消費電力も同じようなもので、ロー~ミドルクラスなら100~150Wで済むが、ハイエンドになると200~300W、ものによっては400Wを超えるものも。消費電力に比例してグラフィックボードの熱も上がっていき、現状のハイエンドモデルだとフル稼働中なら冗談抜きで暖房代わりになるくらい発熱する。ハイエンドグラボを利用する際はケースのエアフローはしっかりと。
極端な例として、AMDはかつて、消費電力が500Wにも及ぶトンデモGPU「Radeon R9 295X2」を作っていた。もはや電子レンジである



  • マルチGPU

さらに高みを目指すとグラフィックボードを複数枚挿すこともできるが、そうなると本当に天井知らずに値段と消費電力が上がっていく。
マルチGPUに対応しているソフトでなければ効果が無く、必然的にCPUやマザーボードの仕様も奢る必要があり、また電源ユニットや冷却への配慮など色々と気を遣うため、ハードルは非常に高い。


NVIDIAでは「NVLink」(旧世代では「SLI」)という名前で提供され、マザーボード側がNVIDIAからライセンスを受けていることと専用のブリッジ回路が必要で、対応製品は高価となる。
ただ、RTX 2000番台以降からだんだん使われなくなっていて、3000番台ではRTX 3090にしか対応しなくなり、4000番台に至っては完全に廃止された。


AMDでは「mGPU」(旧世代では「CrossFire」)と呼ばれ、そちらはブリッジ回路やマザーボード側の対応が必要ない上、現行のRX 7000番台でも無くなってはいないので導入ハードルは低い。
が、NVLinkと比べると効果は高くない。


またDirectX12以降で使用可能になった「EMA」というマルチGPU環境ではメーカーを問わず柔軟に構成可能になったが、これもDirectX12かつマルチGPUに対応したゲームでないと有効にならない点に注意が必要。


【音響装置】 構成により必須

グラフィックボードと同じく音を聞かないのであれば別に不要ではあるが、今のOSは音声案内機能も普通にあるので需要が皆無という事は少ない。
少なくとも自作するのであれば程度の差はあれど「全く音を鳴らさない」という事は考えにくい。
だが現在のシステムでは特に考慮しなくてもよいケースが増えているので、そのあたりも触れていこう。


まずPC上の音響のシステムは、PC→サウンドカード(音声出力端子)→スピーカーまたはヘッドホン、という流れになる。
この中でサウンドカードは一般的なマザボがオンボードとしてだいたい搭載しているので、これを考慮する必要はまずない。
形式が分かれるのは音の出し方である。
たとえばスピーカーの形式は多様化しており、誰もが想像するであろう箱型の装置限定ではない
従来では音声出力はオンボードの各音声ジャックから外部スピーカーやヘッドホンに繋ぐのが一般的だったが、今やディスプレイにスピーカーが内蔵されているものは珍しくなく、例えばHDMIケーブルなら映像と共に音声も伝送できるので、この場合は独立したスピーカーは不要となる。
しかもモニターによってはさらにヘッドホン出力端子を持つものがあり、こうなるとPC側ではオンボード端子すら全く使用しない。
つまり「音が出ればいいや」というだけなら音声伝送可能な映像規格とディスプレイを選択すればいいのである。



前置きが長くなったが、この項における音響装置の必要性とはこれの逆、つまり「それなり以上の音」を欲する場合に必須となる。
ここで挙がるのがサウンドカードやUSB DAC。
先に断っておくと、現在ではサウンドカードの需要はほぼ絶滅している
理由として昔はオンボードの音質がイマイチだったためサウンドカードの需要が高かった*32が、昨今はオンボードサウンドの高品質化が進んでいるため。
具体的には普通の音源(CDと同じ無圧縮音源)とハイレゾ(可聴範囲外の音も収録した音源)を聞き比べて違いが分かる性能は有している。そのためスピーカーやヘッドフォンに左右されるところが大きい*33
デスクトップPCのオンボードサウンドなら5.1chや7.1chも大抵は対応しているので、こちらも解決している。
パソコン自体がノイズの発生源となっているため、サウンドカードはプリメインアンプの代わりにもならない。
代わりに主流となっているのがUSB-DAC。
DACとはD/Aコンバータ、つまりパソコン上のデジタル音声信号を実際の音(アナログ)に変換する装置で、USBで繋いだ外付けの変換機という事。
パソコン内部ではパーツや配線等によってノイズから逃れにくいため、内臓型であるサウンドカードよりも外付けに需要が移るのは必然と言える。
また、外付け機器にする事によりパソコンケースのサイズに依存せず、ジャック(端子)の数・種類など機能面でも有利となる。
USB接続なので持ち運び・使い回しに便利な点も見逃せない。
スピーカー自体もいろいろ種類があり、好みの製品を拘ることが可能。とにかく音が出ればいいというなら、100均のスピーカーやヘッドホンや、ディスプレイ内蔵のスピーカーでもいいかもしれないが、家電量販店で売っているようなものも数を増やしている。昔ながらの巨大なコーンのついたスピーカー以外にも、細長いサウンドバーや首掛けスピーカーなどがある。
…ここまで来ると「自作パソコン」というカテゴリからは少々外れるかもしれない。


  • ノートPC(※自作PCとしては一般的ではないがハードをいじる場合もある)

音質以前の話でジャックを付けるスペースの余裕がなく5.1chなどにはまず対応していないため、ノートPCでそれを求める場合はUSB DACなどを付ける必要がある。疑似的にステレオを5.1chに変換する機能が付いている場合があるのでそれで満足する手もある。


  • 本格的に実況配信したい人

オンボードでも入力端子はまず付いているが、音質が悪すぎたり入力レベル(音量)が不足する場合がある。そしてそこらがセーフあるいはアンプやDACあるいはサウンドカードで対応しても、「手元で入出力の様々な操作をしたい」「入出力端子の数不足」「ループバック機能が欲しい」あたりで事足りないことが多いので、オーディオインターフェースかオーディオミキサーのどちらかを選ぶ事になる。


  • 音楽・音響制作(作編曲、歌・楽器・声・効果音の録音など)をしたい人、

作曲には高音質でモニターできる環境が重要なことはもちろん、録音時の音質にも大きく関わってくるため、ほぼ確実にオーディオインターフェース一択
先に述べたようにサウンドカードの需要は少なく、昨今のDTM事情においてすら選ぶ理由はあまりない。
ただしオーディオインターフェースはUSB-DACの上位互換のため、その分お値段も高いのが難点。
(一応、USB-DACはただのUSB外付けのD/Aコンバータを指す用語に過ぎない=オーディオインターフェースも当然DACを内蔵した機器なのだが、用途の違いからかオーディオインターフェースとUSB-DACは区別されている。この辺は、モニター用の偏りがないフラットで解像度の高い音を求めるクリエイター向けのものと、聴き心地の良さを追求したリスニング向けのものと考えると分かりやすい)
また、多人数で同時録音したいというケースは話が変わってくるが、自作パソコンでスタジオ的ユースというのはかなり稀だと思われる。
音楽制作をしない場合でも、近年では動画編集を行う人も増えており、動画のジャンルによってはあった方がいいケースがある。
例を挙げると音声や会話とBGMのレベルバランス、マスタリング等。
気になる音がどのソースから鳴っているのか探すといった時などでもオンボードとは明確に差が出る。


  • 音質に拘りたい人

音の高さのどこに重きを置くかの好みの違いは人それぞれだし、いつの世も音質にとことん拘りたい人々は居るため需要はある。結局ここがサウンドカードやUSB DAC最大の用途。
音の強弱の問題だけならイコライザで解決する事もあるが、抜本的な音質向上においてはやはり専用機器に優るものはない。
しかし高価なサウンドカードやDACを用意してもヘッドホン側が安物では意味がないし、逆にオンボードでは高価格帯のスピーカーやヘッドホンの性能を生かせない。片方だけでは大した効果は得られないので、違いの体感にはグラボと同じくかなりのコストを覚悟する必要がある。
ちなみにそこまで音質にこだわるならWASAPI排他モードやASIOなどのソフト面の検討も必要だが、原音を出力出来る代わりにソフトが対応している必要があったり1つのアプリしか音が鳴らなくなるので恐らくマイナー。


  • 何らかの事情で周波数特性を変えたい人

低音が聞き取りやすかったり高音が聞き取りやすかったりすると有利な場合もなくはない。
例えば、多人数戦FPSゲームではただの環境音とゲーム的に有効な音を聞き分けやすくしたり、足音を増幅して接近する他プレイヤーにいち早く気付けるようにすることにサウンドカードが用いられることもある。
ハードウェア構成の変更、すなわち実力ではない外部的な要素ででゲーム上の有利を得る行為であり、いわゆる『ハードウェアチート』として嫌う人もいるので注意。
この用途ではPC内部にあってもノイズが悪さをすることが少ないので、内蔵型サウンドカードが用いられることも比較的多い。



【光学ドライブ】 ※初回立ち上げ時のみ必要なときも

CD/DVDドライブやBlu-rayドライブのこと。PCの場合、ビデオデッキについてるCDの出し入れ口が単体で販売されている。
OSやドライバのインストールに際して必要になることがあるので、出来ればあったほうが良い。
……のだが、人によっては使うのがその最初だけ、という事もなくはない。
近年では光学ドライブを付けられない仕様のPCケースも多く、そういった場合でも、USB接続の外付け光学ドライブがあれば事足りる。
実際SATA接続の内蔵光学ドライブの優位は価格面くらいで、よほど頻繁に使うのでなければ内蔵型にこだわる必要性は薄い。*34


それ以前に光学ドライブ自体がそもそも必要ない、という環境も珍しくなくなっている。
Appleが2008年に発売したMacBook Airが光学ドライブ非搭載という割り切った仕様で商品展開して以降、2020年6月時点ではDVDドライブを廃したノートPCも増え、OSのインストールやリカバリーはUSBメモリから実行するものが大半を占める。
実際、Windows10のリテール版の中身はUSBメモリとライセンスキーである。また改造パーツでも光学ドライブベイを2.5インチドライブやM.2ドライブに置き換える様な物も販売されており、ノートPCでのRAID環境確保などに使われている。


それに配慮してパーツ付属のドライバも海外の一部企業ではUSBメモリを添付するものが増加しつつあり、添付されているのが光学ディスクだったとしてもメーカーのサイトから直接ダウンロードすれば問題ない…どころか、最新版をダウンロードしてきたほうが良いという側面もある。
それ以外のソフト(所謂アプリ)についてもインターネット上でのダウンロード販売が一般化しており、Microsoft Officeを筆頭に店頭で買った場合でも入っているのは「ダウンロード用コード」だったりとディスクで流通するもの自体が減っている。
総じて「個人用なら必須とまでは言えない」のが現状だろう。


とまあ、CD/DVD/Blu-rayにとって苦しい時代であるのは確かだが、光学メディアはバックアップ用の記録媒体に適する*35ほか、データを配る予定がある場合*36など未だ使い途はある。



【OS】 ※必須

正式名:オペレーティングシステム。
人間でいうなら「脳とそれ以外の部位を繋ぐ神経」に相当するパーツで、これを入れないとPCはまともに動かない。立ち上げたとて、無機質な設定画面が表示されるのみである。
……というわけなので、これも必須パーツ。


「パーツ」とは言ったが、実際にはソフトウェア……ようはデータの塊なので、多くの場合、「OS」等と書かれたCDやUSBメモリを買って読み込ませる(インストールする)ことになる。


OSにはWindowsやLinuxなどの種類があるが、これは自分の好みで。よく分からないのであれば、とりあえずWindowsにしておけば失敗はない
市販のゲームやアプリケーションはWindowsでの起動を前提としたものも多くく、下手にLinuxなどにすると起動できないなどのトラブルに見舞われる可能性もある*37
なお、MacはそもそもAppleが自作パーツを売ってないので、当然OS単体では買えない。欲しいならお店でiMacやMacBookを買おう
一時期MacOSがまだディスクメディアによるアップデートを行っていた時、iMac用のMacOSが一部の自作PCにインストール出来るというネタがあった。パーツ単体がそれぞれ非公式に対応してないとインストールの途中でエラーを吐いて止まるという茨の道だったらしいが。
一応スマートフォン向けのOSであるAndroidをインストールすることもやろうと思えば出来る。


また、ITエンジニア界隈を中心にOSを自力で構築するという離れ業をやってのける人もちらほらいる。



  • Windowsウィンドウズ

Microsoft社が開発しているOS。多く、というかほとんどの家庭用PCで使われており、店で買ったノートPCであればMacBookを除けば100%コレ。もはや世界基準と言っていいレベルで普及している。
既製品でなくとも、ディスクなどの形で単体で売られてもいる。正規品はだいたい一万円。
利用者がメチャクチャ多い上に製造元のMicrosoftが定期的にアップデート、サポートしているため、困った時の対処法やソフトなどがすぐに見つかりやすい。
このためその手の変態とグラフィックデザイナー系の人以外は、なるべくならこのWindowsを選ぶことが推奨される。(なお現在はグラフィックデザイナーも環境と設定さえ整えればWindowsを使っていて困る場面は他OSとのデータ共有以外では少ない)
ユーザー数が多いのでWindowsを狙ったコンピュータウイルスも多いとよく言われるが、他OSもそこらの注意点は全く同じなのでウィルス対策はどのOSでも気を付けること。


  • Macマック OS

Apple社が開発している、UNIXベースのOS。基本的にMacBookなど、Appleが販売する製品に組み込む形で販売されており、OS単体で入手することはできない。また、これらのApple社が開発しているPCはすべてMac OSで固められており、MacBookにWindowsなどの別OSをインストールするのは不能だった。
2012年以降販売のIntelCPUが使われているMacであれば、BootCampという公式のユーティリティと、Windows(非アップグレード版)のディスクイメージがあればインストール可能になっている。
2020年発売のM1チップ仕様のMacBookはIntelCPUで無いので今の所不能。
ただし、どこかからARM版のWindowsを入手できれば動くらしい(ARM版は一般向けには販売されていないので、現在可能なのは一部の業者のみ)。
iPhoneに導入されている「iOS」も同社開発かつこのMac OSの系列にあたり、このためApple社の製品同士ならデータのやり取りが円滑に行える。
ヌルっとしたやたら滑らかな動作が特徴で、いくつかの歴史的事情からグラフィックデザイナーや絵などのクリエイターにとってはWindowsよりもこちらの方がなじみ深いだろう。
反面、Windowsよりも対応しているゲームソフトが少なく、これまたいくつかの事情からソフト開発などが面倒だったりするのが欠点。Steamがインストールできないこと、「.exe」が動かないことはとりわけ問題になりやすい。
一部ソフトはWindowsエミュレーターアプリで動作することも一応可能。


  • Linuxリナックス

アメリカのプログラマーである「リーナス・トーバルズ」によって開発され、有志の手で改良が繰り返されてきたOS。
コイツについてはLinuxLinuxディストリビューションに項目があるので、気になる方はそちらを参照。


ざ~~っくりとした説明をすると、「オープンソース」*38という仕組みを採用しており、タダで入手できる上に自由に改造できるのが特徴のOS。


Windowsほどにはサポート体制がしっかりしていないというデメリットはあるが、裏を返せば「余計なソフトが入っておらず軽量である」「カスタマイズにおける制約が少なく改造がしやすい」という特徴もあり、エンジニアなどの技術職…の中でもOSをとことんいじりたい層や上級マシンオタクに好まれがち。


デメリットは上に挙げたとおり、サポート体制がしっかりしておらず扱うのが難しいこと。

  • 「WindowsでもMacでも使えるのにLinuxには非対応」というアプリがそれなりに存在する
  • CUIを扱うスキルが半ば必須
  • 日本語対応が遅れ気味で、ある程度以上の英語スキル・検索スキルを要求する
  • そもそもLinuxといっても、いくつもの種類(ディストリビューション)に分かれている(後述)
  • 単に無料だからと始めようとしたことを他OSでやる場合とで比較すると時間と労力的に割に合わないことも多い

…など、利用難易度面でのデメリットが大きく、PC初心者には基本的にお勧めできない。



無数の技術者によって改造・独自アップデートが重ねられた結果派生形が多数存在しており、「ただのLinux OS」というものは事実上存在しない。
レトロゲームに特化したものから、WindowsやMacの挙動をパクったもの、サーバーに使う業務用、通常の家庭PC用、宇宙ステーションの制御に用いられているもの(!)、などその種類は多岐にわたる。


GUIがない(つまり、プログラマがよくやる真っ黒い画面をカチャカチャやって操作しなければならない)タイプが多いため、
利用するには「Linux Desktop」と呼ばれるタイプのものを導入しなければならない。
よく使われるLinux Desktopは「Ubuntu」「Fedora」「Linux Mint」などがあるので、
この辺りを選んでおけば失敗はない。
無論、パソコンに疎いならWindows OSをまずは推奨するのだが...


改造版のLinuxの中には「USBからブート可能」な物もある。OSが壊れて起動しなくなった時のデータレスキュー用に1個持っておくと便利。

  • Android-x86アンドロイド

PCにインストールするAndroid。ソシャゲなどをPCでしたい場合はこれでなくてnoxなどのWindowsに入れるエミュレータで十分かもしれない。


自作パソコンはとりあえず最新のWindowsを入れておけばいいのだが、いざWindowsを買おうとするとHomeやProといったエディション違いのものがあって迷うこともある。
EnterpriseやEducationは定期購入のみであったりと購入のハードルが高い上に追加機能も個人では持て余すようなものばかりであるので、本項では扱わない。また、リストがあまりにも長大になるため、自作パソコンではあまり使わない機能についても省かせていただく。

エディションHomePro
最大メモリ容量128 GB2 TB
最大CPU数1ソケット2ソケット
最大コア数64コア128コア
リモートデスクトップクライアント(※1)のみ
Hyper-V(仮想化)
サンドボックス
BitLockerシステムドライブのみ
Kiosk(機能制限)モード
アップデートの延期35日365日(※2)

※1 ここでは操作する側のこと。操作される側はサーバーと呼ばれる。
※2 機能更新プログラムのみ。不具合やセキュリティの更新はWindows Updateの更新の一時停止から最大35日間停止可能。


  • Hyper-V

PCの中に仮想的なPCを作り出す、いわゆる仮想化機能。VMwareやVirtual Boxといった名前を聞いたことがあるかもしれないが、それに相当する機能がPro版では付属するようになる。
これを利用すればWindows11上のウィンドウの中で古いバージョンのWindowsやLinuxなどを動作させることができる。
また、OSが対応していれば、クリップボード(コピー&ペースト)を利用して簡単にファイルの移動が可能。
仮想化したPC内の変化は元のPCに影響を及ぼさないし、巻き戻し技能も搭載しているので、セキュリティ保護の一助にもなる。
また、Pro版では安全でないプログラムを自動で判別して、自動でHyper-V上の動作に切り替える機能も存在する。
サンドボックスも似たような仮想化機能。こちらはデータの保存ができず、1から環境を構築してテストを行ったり、さらに無茶なテストを行うのに向く。


  • リモートデスクトップ

PCをネットワーク上の別のPCから遠隔操作する機能。VPNを挟むことで、別のネットワークから遠隔操作をすることもできる。
USBなしで簡単にデータの共有を行うことも。クリップボードで同じPC内と同様の操作でファイルを移動できる。
うまく活用すれば、ハイエンドなPCを適当なノートPCで操作することで、重い動作をハイエンドPCに肩代わりさせることも。遅延の関係でゲームこそおすすめできないが、画像生成AIなどならばデスクトップに向き合わずともできるようになる。
セキュリティ上の知識がないならVPNを利用した遠隔操作はあまりおすすめできない。セキュリティの穴を突いてハッキングされると怖い。


  • OS側で認識する性能の限界

Home版ではメモリが128 GB、CPUのコア数が64コアまでしか認識しないが、Pro版ではメモリ2 TB、128コアまで認識することができる。
いくらマルチタスクや大容量の作業をするにしても、一般的な用途で128 GBを超えることはほぼない。なんなら1/4の32 GBでもよほど頑張らなければ使い切れない。
CPUのコア数に関しては、実際に販売されているCPUと比較してみるのが早い。それこそRyzen Threadripperの中でも64スレッド(論理コア)を上回るのは7980X以上に限られる。Core iXに至っては、64スレッドを超えるものは存在しない。
デュアルCPU環境に関しても、余程の超高性能を目指さない限りは構築する機会はない。対応している超高額のマザーボードを買うくらいならばその値段で高いCPUを買ったほうが、コスパ良く性能を上げることができる。


  • Windows Update for Business

Pro版のWindowsでは、Windows Updateの高度なオプションが追加される。他のPCを同時にアップデートしたりと様々な機能があるのだが、やはりいちばんの目玉はWindows Updateを任意で後回しにできることだろう。
Windows Updateは強制的にアップデートが適応されるため、使用している環境との互換性を保つことが難しいこともある。
マイクロソフト側のセキュリティに対する責任や不具合に対するクレームを避ける面では仕方のない部分もあるのだが、Windowsの難点として強制的なアップデートを挙げる声は大きい。
その点Pro版では、アップデートを最大で1年間止められるようになるので、環境との互換性問題を気にする頻度が少なくて済むようになる。これも完全ではない上、不具合修正やセキュリティに関するアップデートは避けられないが、無いよりは相当マシになる。
Home版でもアップデートを一時停止することで後回しにできるのだが、いちいち操作するのは面倒くさいし、最大で5週間しか止められない。


他にも、Proでは他のPCやデバイスの管理が可能な機能が多く含まれている。



  • 結局どっちを選べばいいの?

ここまで書いたが、ぶっちゃけ理由がなければHome版で良い。なにせ、ここに書いてないほとんどの機能はHome版でも完全に使えるのだ。
特に自作パソコンにおいてはなおさら。企業内で頼まれてPCを自作するのならばともかく、Pro版の機能の多くは他のPCとの協働を助けるものとなっているため持ち腐れになるものも多い。
ただ、上記の機能のうち1つでも魅力を感じたのならばPro版を買う充分な理由となる。
リモートデスクトップはセキュリティ面も含めて使いこなせればゴツいPCで行う作業を小さい端末から命令できる。
変なプログラムを入れる前に仮想化環境でテストしたり、Hyper-Vの仮想化で昔のWindowsでしか動かないエロゲプログラムを擬似的に最新のPCで動かすこともできる。
筆者には思いつかないがめちゃくちゃメモリを使ってなんかすることも、使う人には分かるのだろう。
特にアップデートによる不具合をある程度制御することが出来るのは魅力。
実売価格の差としては数千円だが、いずれも必要に応じた選択肢となるはずだ。


  • Pro for Workstationsについて

文字通りワークステーション……つまり、業務用の超高性能PC向けのWindows。こちらはEnterpriseと異なり、個人ユーザーでも永続ライセンスが導入可能。
Windows11 Proの全機能に加えていくつかのワークステーション向けの機能が追加されており、サーバー用CPUと組み合わせることで最大メモリ容量は6TB、最大CPUソケット数は4つまで強化される。
メモリ内容を不揮発性メモリに常時バックアップするNVDIMM-Nメモリに対応していたり、ストレージの内容を複製して、データが壊れても即座に自動修復するような機能なども搭載している。
……とまあ、強力な安定動作と限界性能を誇るのだが、多くの機能が専用のパーツを要するために普通のPCに入れればまず持て余す。
通常のProと比べてもかなり高額なので、これを個人で導入するのは『逸般の誤家庭』の域だろう。


【ディスプレイ】 ※必須

要は画面。今で言えば液晶ディスプレイが殆どを占める。
ノートPCに慣れている人にありがちな勘違いだが、本体と画面が一体化しているテレビやタブレットと違い、自作パソコンは上述したCPU〜ケースで構成されるPC本体とディスプレイが揃って初めて成り立つ。
というか、電子機器とは本来そういうものである。PC本体だけ作っても何も見えないし、ディスプレイだけ買ってきても何も映らない。
組み上げたPCの全ての結果が表示される機器であるため、ディスプレイに予算を多めに割く人も結構多い。
なお、最近のテレビではディスプレイとして使えるものも存在するので、ディスプレイを買い忘れたうっかりさんはHDMIケーブルをテレビに繋いでみよう。
多くは机に置いて使うので、サイズは20〜32インチで縦横比16:9〜16:10のワイド画面が、個人で使うのに適した大きさ。解像度やリフレッシュレートはGPUの性能とのバランスを考えよう。
横方向をワイドにしたものも登場しており、21:9だったり中には32:9なんてものもある。横に長すぎると視線の移動が激しくなって目と首が疲れるので、本当は縦に積んだ方が良いらしいが。あと某漁師集団は32:9大好き*39


ディスプレイは大抵1台あれば十分だが、ビジネス用途など一度に表示できる情報量を増やしたい場合は2台以上接続することも。
実際一般人でもデュアルモニターを使ってみると、いろんな事がすごく捗る。サブモニター側に「チャットツール、Twitter、音楽再生ソフト、動画再生ソフト(youtubeなども可)」を逃がすだけでも、タスクバーへマウスを動かす回数がめちゃくちゃ減り、最大化最小化でイライラすることも減る。
メイン画面にゲーム、サブ画面に攻略サイトとするのもおすすめ。Twitter用の縦長ディスプレイも存在する。
特に株やFXといった取引を長時間行う個人投資家などは3~4台使うことも。そういった作業で目が疲れないよう画面の明滅を軽減したもの*40もある。
複数ディスプレイを使う場合に異なるサイズや解像度のものを用いたい場合もあるだろうが、最低限サイズあたりのドット数*41は揃えておくと扱いやすくなる。拡大・縮小の関係でウィンドウが見にくくなったり、マウスカーソルの物理的な位置と内部的な位置が対応せずにカーソルを見失ったりすることを防ぐことができる。


見た目が見た目なので、PCに詳しくないお父ちゃん/お母ちゃんがPCと勘違いしてコイツだけを買ってきてしまい、子供や知り合いに相談する、というほほえましくも悩ましい問題が起こりがちなパーツでもある。


同様に、Windows 8発売時にOSの機能としてタッチパネル対応を謳っていたのだが、コレを「Windows 8を入れればPC(モニター)がタッチパネル操作できるようになる!」と勘違いしてしまう人が続出した。
実際には無論そんなことは無く、ノートPCも含めタッチパネル操作に対応したディスプレイを別途購入しなければならない。


  • ディスプレイの種類

◇ブラウン管
CRTとも呼ばれる。昔の頃に一般的だった画面。液晶よりも応答速度が速いのでゲーマーには好まれていた。
置き場所をとる上に電力消費も多いため、液晶が普及するにつれて衰退していった。
今では中古販売店でしか見かけない。


◇液晶ディスプレイ
現在の主流である画面。省電力省スペース長寿命で比較的安価だが、後述の欠点がある。
それらを克服するために各社が様々な技術を投入している。


◇有機ELディスプレイ
液晶よりも色鮮やかで省電力だが、ラインナップが少なすぎる上に値段も極端に高い。
また動作原理上、液晶よりも応答速度は極めて高速。
欠点として、長期間の使用で画面の焼き付きが起きる可能性があり、その防止のため輝度を抑制する処理が入る場合がある。


◇micro-LEDディスプレイ
小さなLEDを並べて作ったディスプレイ。
有機ELも含めた他のディスプレイよりも黒のコントラスト比が高く、応答速度、省電力性能も最高。
欠点は値段。最新技術であるため4Kディスプレイ1枚が1500万円以上(2024年現在)。大きさも100インチ前後のものしかない。
現状自作PCに使うにはあまりにも高額なものであるが、メーカー各社が開発競争を進めているため安くなるのを待とう。


◇プロジェクター
映画館のように光を壁やスクリーンに当てて画像を映す装置。新製品なら一般的な液晶より電気代のかからないことが多く、天井に映すこともできる。
デメリットとしては明るいところでは画像が薄くなる、起動音がする、起動時間がかかるなどがある。


  • パネルの種類

液晶ならば「TN」「VA」「IPS」の3つに分けられる。


◇TN(Twisted Nematic)
3つの中では最も安価。GPUの項目でも触れた、リフレッシュレートが高い製品が数多く揃っているのが特徴。ゲーム用途でオススメされるのはだいたいコレ。
応答速度も上げやすい。
しかし、視野角が狭いため、複数人で鑑賞するような用途には向かない。一人だけで使うなら無問題。
また、黒と白の比率であるコントラスト比も低い。例えば、真っ黒な画面を表示すると、少し明るくて灰色っぽい黒色になってしまう。


◇IPS(In-Plane Switching)
ゲーム向けを謳っていない、一般的な液晶ディスプレイでは主流の存在。製品数も3タイプの中では最も多い。
視野角が圧倒的に広く、色もかなり鮮やかに描かれる。
2024年現在、IPSのゲーミングディスプレイの開発が進み、TNに匹敵するような高リフレッシュレート、低応答速度のものも増えている。
今やTNとそれほど変わらない価格で同じリフレッシュレートを実現できるようになったため、こちらのオススメ度も高くなっている。


◇VA(Vertical Alignment)
TNで問題となっていた、視野角の狭さや、変に明るい黒色を改善するために開発されたタイプ。
3つの中では圧倒的にコントラスト比が高く、黒色の表現力はIPSすらも凌ぐほど。映画などの映像作品の鑑賞用途に強い。
黒色が強すぎてゲームに向かないとも言われていたが、こちらもゲーミングディスプレイ向けの開発が盛んに行われており、曲面ディスプレイになっている場合に採用されていることが多い。


  • 解像度

高い解像度ほど画面に映し出せる情報量も多くなるが、GPUの負荷も大きくなったり、自分の目で追い切れなくなったりと一概に高ければいいというものでもない。
特に目が追い付くかどうかは選ぶ上で最も重要なポイント。とはいえディスプレイ側で縮小できたりするので、大は小を兼ねるという選び方もOK。
2023年現在では「FHD(1920×1080)」「WQHD(2560×1440)」「4K(3840×2160)」の3つの解像度が主流。複数ディスプレイを駆使して8K以上の超高解像度を実現する猛者もいる。
分かっているとは思うが、「解像度」と「ディスプレイのサイズ」は別物なので注意。
同じ24インチパネルでも、解像度と駆動速度の違いで複数のモデルを制作しているメーカーが多く、品番も少し違うだけとややこしいので選ぶ際には注意。


  • 表示遅延

液晶ディスプレイはPCから送られてきたデータを綺麗に処理してから表示する仕組みになっている。
このため、信号が入力されてから画面に表示されるまでにどうしても若干の遅延が発生してしまう。そのため、ゲーム用の場合はこの「表示遅延」対策がどの程度行われているか、を重視することが多い。ミリ秒単位のシビアな勝負を繰り広げる場合でなくても、程度によっては違和感を持つ人も居るらしい。
現実問題、5フレーム*42も遅れていれば大抵の人は違和感を覚え、0.1秒遅れるとクリボーを踏むのも困難である。現在ではそこまで遅延の酷いモニターは少なくなったが、遅延が問題になり始めた頃は「アクションゲームをやりたいなら液晶テレビは買うな」と言われたりもした*43
表示遅延の少ないディスプレイを選ぶにはカタログに「スルーモード搭載」等と記載のある商品を選択すること。スルーモードとは前述の「映像を綺麗にする処理」を省いて表示するモードのことであり、その分映像の綺麗さとはトレードオフである。商品によっては「遅延○○ms」と明記されていることもあるが、メーカーの自己申告でしかないのが辛いところ。表示遅延を計測するソフトもあるが、「基準となるディスプレイ*44とデュアル出力し、表示されるタイマーをデジカメで撮影する」という手間のかかる計測方法になる。


  • 応答速度

上記の表示遅延と似たイメージで紛らわしいが、単に「応答速度」と書かれていた場合は「液晶パネルが”黒→白→黒”という変化をした場合にかかる時間」といった意味になり*45、この数値が小さいほど表示を素早く切り替えられるため、残像が少なく動画の表示に適したディスプレイと考えられる。
このため「応答速度◯ms」などと謳われていても、上記の表示遅延時間とは無関係である点に注意が必要。ひどい場合はショップ店員や雑誌まで混同している時がある。
また表示遅延と同様に応答速度の表記もメーカーの自己申告でしかなく、実は最も良い条件の数字のみ記載していたり*46、そもそも応答時間・表示遅延共々測定方法・記載方法に統一された基準がなく各社マチマチだったりとなかなか悩ましい状況が続いている。


  • リフレッシュレート

画面を1秒間で何回書き換えられるかという数字。単位はHz。
従来は「1/60秒以下の書き換えは人間の目では分からない」として、基本的には60Hz出てればいいとされてきた。
しかし実際60Hz以上で書き換えると「なんとなくにゅるにゅる動く」と、実際には60Hz以上も判別出来ることが発覚。
現在は倍速駆動と呼ばれる120Hz、更にブーストした144Hz、240Hz辺りのモニターがゲーム用途向けに販売されている。昨今流行りの対戦FPSを遊ぶプレイヤーは要チェック。
ただし60Hz以上を出すにはPCのスペックも必要となるため、この辺りの高速液晶はハイエンド構成でないと発揮できないので注意。ハイエンドでなくても設定変更で144Hzを引き出す事も(ゲームによっては)可能だが、実際に自分が遊びたいゲーム、遊びたい画質で144hz出るかどうかはPC構成の際に店員さんに聞くとよいだろう。
一応整数倍なら綺麗に動くので、144Hzモニターで72Hz出力ならミドルレンジでも実用的に運用可能。
ただ、処理落ち等でリフレッシュレートと実レートがズレると「ティアリング」と呼ばれる画像の乱れを引き起こすので注意。


  • 画素ピッチ

ディスプレイを構成する画素…すなわち光るドットが並ぶ間隔。画素の大きさと言い換えることもでき、「表示領域の寸法÷最大解像度」で計算できる。
注意したいのは、安価なディスプレイの中には稀に縦方向と横方向の画素ピッチが違う機種があるという点。
縦横の画素ピッチが揃っていないということはつまり画素が長方形の液晶パネルを採用しているということで、こういったディスプレイでは表示内容が画素の形に引き伸ばされて実際の印象が変わってしまう。
「安い」という点以外にそのようなディスプレイを使うメリットは皆無であり、特にイラスト制作やCADといった表示に厳密さが求められる用途では避けたいところ…なのだが、メーカーによってはそもそも画素ピッチが公開されていなかったり、ボカした表記になっていることもある。
気にする場合は「0.△△mm×0.△△mm」といった具合に、両方の画素ピッチを明記している機種から選ぶのが無難。


  • エルゴノミクス

人間工学。要は、モニターを支柱上で動かして扱いやすい位置に動かしたり傾けたり、あるいは90度回して縦置きしたりする機能。
ゲームでも仕事でも、長い間同じ姿勢でいることが多いPCではちょうどいい位置にディスプレイを置いておくことでQOLが段違いに上がる。
特に縦置きが出来るものは省スペースで作業領域を稼いだり、論文や攻略サイトなどの縦長の文章が読みやすくなったり、ある種のサイドバーとして活用するなど活用法も増える。


  • ▼曲面ディスプレイ

2019年~2021年頃に各社が売り出したディスプレイの形状。2022年以降は下火になりつつある。湾曲モニターなどとも呼ばれる。
その名の通り画面が物理的に曲げられ、両端が前面にせり出している形のディスプレイ。
画面の中央と両端の視線の距離差が少なく、ゲームや映像への没入感を高められるメリットがあるが、平面ディスプレイより高価、人によっては画面酔いしやすいなどといったデメリットもある。特に自分の正面にディスプレイを置かない人は酔いやすい。
パネルの種類はほとんどがVA。メーカーサイトなどでは「1800R」や「1500R」といった表示があるが、これはディスプレイの曲がり具合を示しており、数字が小さいほどキツいカーブになっている。



  • ▼タッチ操作

主にモバイルディスプレイに搭載されている。特に今のWindowsはスマホのようなスワイプなどがあり、力を入れている。厳密には違うが液タブもこのたぐいかもしれない。



  • ▼ディスプレイアーム

モニターアームとも。最初から付属しているスタンドの代わりにディスプレイを取り付けるロボットアーム状のパーツ。
ディスプレイの位置を上下前後左右自由に調整でき、付属のスタンドではデッドスペースになりがちなディスプレイ直下部分が空いてデスクを広く使えることがメリット。
1台用はもちろんのこと、2台以上のディスプレイを同時に取り付けられるアームも用意されている。
ディスプレイとアームの接続には「VESA」という規格のネジ穴を使うことがほとんどだが、VESA規格にもいくつかサイズがあるほか、VESA非対応のディスプレイも多い。ディスプレイとアームの両方が同じネジ穴を備えているかどうか、調べておくと後が楽。*47
アームの基部はデスクや壁に固定する。デスクに固定する場合、主にクランプ式とグロメット式*48の2種類。
ちなみにWindowsには画面の向きを縦横変えられる機能がある。縦の画面を使いたい場合は、タブレットスタンドを使うこともできる。



【入力機器】 ※必須

キーボードやマウスなど。いろんな機種で使いまわし出来るので手持ちがあればわざわざ改めて買う必要もない…が、使い心地に大きく響くためこだわる人も少なくはない。
当然消耗品でもあるのだが、仕事にせよ趣味にせよ、使用頻度が高いと肉体への負担が深刻になるのでヘビーユーザーほどお金をかける傾向にある。「キーボードを交換したら肩こりが治った」とか「マウスからトラックボールに替えたら腱鞘炎が改善した」などの声も…
基本的に好みで選ぶものだが、ちゃんとした良いものを買うことをお勧めする。
良いものはやはり値が張るものの、痛めた目や指や腰を治療する為に病院に通うよりは、高級機器でそれらを未然に防止する方が結果的に安上がりだ。
機械も人体も、壊れてしまう前にケアするのが最善である。ディスプレイと同じく外部機器であり、自作PCの範疇とはいえないので市販のPCを使う人もこだわりたいところ。


  • キーボードの種類

◇メンブレン式
接点シートを内部に敷いただけの簡素な構造で、キーを押して接点が導体に触れることで入力される。
最も安価だが性能や押し心地も値段相応。
かつては富士通から「Libertouch」という高級メンブレンキーボードも発売されていたが、2021年現在は絶版になっている。
キーを押し切らないと反応しないので、指を痛めやすいという指摘もある。


◇パンタグラフ式
キーが電車のそれと似たような支持構造になっている。薄型化が可能なため軽い打ち心地になる。
それ以外はメンブレンと同じ仕組みでこれも安価。ノートPCや折りたたみ可能なキーボードに採用されている。
一部のゲーマーは「ストロークが短い」「キーが平面なので指を滑らせやすい」という理由でフルサイズパンタを愛用していたりする。


◇メカニカル式
キー1つずつにスイッチとバネが組み込まれた方式。
しっかりとした打鍵感と耐久性があり、長時間操作しても疲れにくい。ゲーミング用途での主流。
構造が複雑であり、値段も高め。
あと故障率が他と比べると桁違いに高い。
メカ式=バキバキ鳴るというイメージが強いが、それは「Cherry MX Blue」を筆頭とした「あえて音が鳴るように作ってある」スイッチを使ったキーボードである。
一応「Cherry MX Blown」も音は鳴るが、Blueほど極端な音は出ない。
下の静電タイプ同様、押し切らなくとも反応するが、そっちよりはちょっと手応えがある分誤入力はしにくいとされている。
ただ「Cherry MX Black/Red」の様に、反応する所で重さが変わらないタイプのスイッチを使ったキーボードは若干慣れが必要。
近年はストロークを減らした「ロープロファイル」と呼ばれるスイッチも登場している。


◇静電容量無接点方式
物理的な接点がなく、キーを押し下げるとセンサーが反応する方式で、耐久性が高い。
文字入力*49が主のプロ向けで、これも構造が複雑なため値段が数万円と高い。
他と違って「キーが極端にふわふわしている」「キーを押し切らなくても反応する」という特徴があり、これは利点でもあり欠点。
特に押下圧30gモデルでは、キーの上に手を投げ出してたらソレだけで押したと判断され、勝手に文字が入力されるなんて事も。
そのため「リアフォ*50ってどうよ?」と聞いた時に
「リアフォじゃないと生きていけない」という人と、「リアフォはピーキー過ぎて使えない」という人と、どちらにしろ極端な感想が帰ってくる事が多い。
これだけは必ず持ってる人に使わせてもらってから購入したいところ。
リアフォ以外だと変態配列で有名なHappy Hacking Keyboard Professionalシリーズ*51ぐらいしか採用例が無い。



  • 無線/有線

どの機器も、大きく分けて有線式と無線式の2つに分かれる。
どちらを選ぶかは人の好みにも依るが、優劣というよりは相互互換に近いので自分に合うものを見つけたい。


◇有線式
コードの都合上置き方や配置に制限がある上、PCのUSBポートを占領する。
しかし、電池交換や充電の必要がなく、トラブル時(初回起動時やデータ復旧時等)も安定して使える。無線式を使っている人でも、トラブル復旧用に1台持っておくと何かと便利。
マウスの場合は電池不要な分軽くなるので、配線が問題なければ地味にストレス軽減しやすい。


◇無線式(Bluetooth以外)
コードを気にせず好きな場所に置けるし、有線同様にトラブル時も安定して使える。
しかし定期的な電池交換または充電が必要になる上、レシーバーがPCのUSBポートを占領する。そして、入力に遅延が発生する。


◇Bluetooth式
好きな場所に置けるのは上述の無線式と同じだが、こちらはUSBポートを占領せず、USBポートのないタブレット等にも接続できる。
しかし電池交換や充電が必要な事に変わりはない。Bluetooth設定をしないと使えないのでトラブル復旧時に使えなくなる。
そもそも、つなぐ機器にBluetoothが搭載されてないと、試す事すらできない。そして、入力に遅延が発生する。


ポートを占領*52したりいちいちコードを引きずるのは嫌という人は無線式がお勧めだが、充電や電池交換が手間だったり、肝心な時の電池切れやラグが嫌という人は有線式がお薦め。
特に少しのラグが命に直結する様なアクションやFPSをやり込みたい場合は有線式がベターと言える。
無線派の人も、有線式の予備を持っていると電池いらずで何かと便利だったりする。



  • USBか? PS/2か?

過去にはキーボード・マウス共にPS/2接続だった。
2021年7月現在はUSB接続がほぼ全てを占めるようになったが、それでもなお、USBドライバ無しでも動く事や同時押し制限数の無さから、古い規格であるPS/2コネクタを利用したキーボードの人気が未だ根強い。
元々は多くのメーカーがPS/2を全廃する中で、変態企業AsRockが1ポートだけ残していたら、その後何故か他のマザーボードメーカーも、ゲーム用上級機を中心に1ポートだけ搭載するようになった。
その後もAsRockはクリエイター向け高級機と最廉価品以外でPS/2を継続搭載する傾向があり、昔からの自作erの財布に非常に優しい。Z790(Core i7 13Gen対応)世代になっても未だにPS/2を用意するほど*53
AsRock「いつも通りユーザーが『低コストで新プラットフォームへ移行する』為*54に残しておいたのにどうしてこうなった」
とはいえ現在はPS/2キーボードの方がほぼ壊滅しており、余り考える必要が無くなってきた気がする。あのリアルフォースですらRシリーズにフルモデルチェンジした際、PS/2モデルを廃止してUSB1本になっている。
…とはいえこのリアルフォースシリーズ、静電スイッチを採用しているため本当に壊れない。筆者の106S(日本語配列30g荷重、PS/2接続)はポンジュース×2回、加糖コーヒー×4回をぶっかけた経験があり、中に入ってる鉄板もこの影響でサビまくり。しかしトラブルはキーの戻りが悪くなった位で、キーの洗浄によってそれも元通り。購入から15年経過して未だ現役である。
正直壊れたら変えようとか思って既に5年以上経過しております…。


  • サイズ

手の大きさが人によって大きく異なる以上、マウスやキーボードのサイズも大小さまざま。
使いやすさに直結する要素であるが、使って見ないとわからない部分でもある。
キーボードの場合はキー同士の間隔やキー自体のサイズも重要になってくる。


  • テンキーの有無(キーボード)

テンキーとは、キーボードの右端(エンターキーより右側)についていることがある、電卓のような配列のキーのこと。キーボードによって付いていたり付いていなかったりする。
数字だけを打ち込む場合は(慣れれば)便利なのだが、文字を打ちつつ数字も打ち込むような場合は、配置の都合もあってあまり使わない。
そのため使わない人は本当に使わないキーであり、キーボードがデカくなって邪魔になることもしばしば。
メインのキーボードと独立してテンキーだけを付けられる製品もあるため、あまり使わないようならテンキーレスを買うのが無難だろうか。


  • マウスについて

今主流なのはマウスとトラックボールだろう。トラックボールは一見昔ながらのボールマウスを逆さにしたような見た目だが、仕組みは光学マウスのセンサに窪みをつけて中にボール入れたといった感じ。
◇両者の比較
マウスとトラックボールを比較すると、マウスは直感的な操作感があるため、初心者でも使いやすく、手首を左右に動かすことでカーソルを移動させるため、より自然な操作感が得られる。
一方、トラックボールは、直接手を動かさずに球体を転がすため、手首を安定的に保つことができ長時間使用しても手首の疲れが少なく、デスクトップのスペースをとらず、いというメリットがある。しかし、トラックボールの操作感覚に慣れるまでには時間がかかり、初心者には使いにくいというデメリットがある。~
親指ボール型はあまり癖がない代わりに親指に負荷がかかるのがネック、大玉型はトラックボール特有の癖がモロに出るのと、ドラッグが非常にやりづらいのが難点。
また、マウスはある程度形が決まっているが、トラックボールは比較的自由。手のひらサイズだったり、キーボードに内蔵されているものも。
◇DPI
DPIとは「Dots per inch」の略で、マウスを1インチ動かした時にカーソルが移動するドット数である。DPIが高いほど、カーソルの動きが早くなる。Windows側の設定を真ん中にするとDPIと移動距離が1:1対応するので、そこからDPI変更で好みの速さに調整するのが正解。


◇ボタン数
マウスのボタンが2つだったのは大昔のこと。今は普通に売っているマウスではなくとも3(3つ目はスクロールホイールを兼ねる)から5個(大抵4、5個目は戻る・進むボタン)あるものも多い。
また、ゲーミングマウスには、通常のマウスに比べて多くのボタンがついていることがある。これは、ゲーム中によく使用する機能をボタンに割り当てることで、素早く操作することができるようにするためだ。また、ゲーミングキーボードやPC本体にも言えることだが、光る。ネオンサインのごとく光る。
ただ昔ながらのFPSゲーマーは「そんなもん増やすなら軽くしろ、マウス振り回しながら左右クリック以外を押すとか無理、エイムがずれる」という人も結構いる。
この世界の一番極端な人は「射撃ボタンすらキーボードに割り振る」という人だったので…。



なお、PC上級者の中にはモノホンさながらのハンドル・ペダルや、ゲーム機のコントローラーを繋ぐ強者も。
Xbox360やPS4のコントローラーはUSBやBluetooth接続になったせいで普通にPCに繋がる(Xbox360のものは純正品のWindows版もあった)ので、本体を持って無くてもパッドだけ持ってる、なんて人も。
ドライビングフォースGTとかPS3用に出た奴も、PC用のドライバが用意されている場合が多い。
最近では、主に絵描きの人がNintendo SwitchのJoyコンを片手で使える補助入力デバイスとして利用しているケースもあったり。
昔からUSBパッドを左手に持って…というのはあったが、Joyコンのおかげで軽くなったのである。ちなみに便利なダイヤルなどが搭載された専用の左デバイスも存在する。
後PC向けのアーケードスティックはひっじょーに出来の悪い安物ばっかりだったので、PS3/4/Xbox用のスティックを流用することが多い。
Xbox360用はネイティブ対応、PS3用は非公式だが対応*55、PS4用はスイッチでPS4用の信号とPC用の信号*56を切り替えられるようにして両対応という物が多い。



作業上の注意

パーツの接続は基本的にコネクタやスロットにパーツやケーブルを挿し込んだり、ネジで固定したりするだけの単純な作業だが、いくつか注意すべき点がある。


【静電気】

パーツは基本的に静電気に非常に弱いので、静電気対策だけはバッチリ行う必要がある。

  • 出来れば雨の日や湿度の高い梅雨の時季に行うのが望ましい。冬場は特に警戒すること。
  • 作業の直前に水道で手を洗うと、体の静電気を除去できるついでに回路類の劣化を早める垢や皮脂なども取れる。洗った後はちゃんと手を拭こう。
  • 各パーツを触る直前に金属製のドアノブなどに触って静電気を逃してやる。ケースの外したサイドパネルも有効。
  • 服装もナイロンやポリエステル製の服ではなく、静電気が帯電しづらい綿製の服がいい。
  • 静電気を防止する手袋もあるので、手の怪我や手垢の付着を防ぐ意味でも持っていて損はない。
  • 理想を言えばアースバンド(手首にアース線を接続するリストバンド)が欲しい所だが、ケーブルを引っ掛けたりするおそれがあるため、それはそれで十分注意が必要。

一部界隈では「PCは裸で組むもの」なんて人も稀に見かけるが、そこまでする必要はない。というか危ないので服は着ること。

静電気はまずいんだって。服は脱いじゃった方がいいらしいんだ


【汗】

ポタポタと垂れるほど汗をかきながら作業する人もいないだろうが、特に汗かきの人は注意。
冷房を利かせるか、涼しい日の作業を推奨。
万が一パーツに汗が垂れても起動していなければ十分間に合うので落ち着いて拭き取って乾かそう。


【怪我】

ケースは基本的にギリッギリのサイズの上、内側はバリも出てたりするので何かしらの角に手を引っ掛けて切りやすい。
ケースにお金をかけると、作業性も内側の仕上げも良くなるが、ケースの宿命として、どこかしら出っ張っていたり、狭い空間での作業は避けられない。
また、CPUクーラー固定用のプッシュピンや、メモリがうまく入らずやたら硬かったりすると、手が滑ったときに突き指してしまったり、
PCが組み終わった後も狭い場所で配線する際に頭をぶつけたり、PC自体も結構な重量になるので筋肉痛になったり、
デスクの下で変な体勢をしてたら足を攣ったりと、作業が終わったときにはどこかしら痛んでいることが殆ど。
運動不足?へ、変な体勢でいただけだから…。


筋肉痛くらいならまだいいが、うっかり気づかず出血してたりすると、清掃が不可能な場所に血が垂れて、最悪の場合はパーツどころかPC全体がダメになる可能性もあるので、上述の手袋くらいは欲しいところ。


【差しが甘い】

特にメモリを差すときなんかに起こりやすい事故なのだが、初心者は「強く差すと壊れそう」と思って差しが甘くなりがち。実際はむしろ差しが甘いほうが壊れるリスクが高い、というか最悪起動すらしないので、怖がらずにしっかり差すべし。
ロックが「カチッ」と音を立てるまで差すのが基本である。


中古パーツってどうなの?

ここまで自作のパーツを探していた貴方は、ふと気づくかも知れない。
「お店の片隅やネット通販の隅の方に『中古パーツ』のコーナーがあるけど、すごい安そうで良くない?」
結論を言うと、自作PC初心者の方にはおススメしづらい、というかおススメしない。


特に顕著なのがグラフィックボードで、昨今マイニングにより酷使された筐体が多く出回っており、
買取側のマイニングの使用歴に関しては確認しづらかったりする為、故障寸前の個体を引き当ててしまう可能性が高い。


また、メモリは高速なモデルに関してはメーカーもばらばらな物を購入してしまうと起動しない可能性がある、
電源は中古で消耗したものを利用すると起動しないどころかショートを起こし最悪火災に繋がる、等、
「安価である」事を引き換えに相当なリスクを背負い込む可能性がある事を覚えておこう。


仮に購入するならきちんとしたショップで。メルカリ等のフリマサイトは間違ってもおススメしない。
そして買うようになったら、ようこそジャンカーの道へ



自作ならではの要素・楽しみ方

【見た目にこだわる】

「どうせならカッコイイほうがいい」はPCにも当てはまる。
ケースの外観だけでなく、簡単な所では内部の基板やパーツの色を統一したり、電飾(LED)で各パーツを光らせたり等々…何から何まで好きにできるのは自作の最大の利点である。
電飾については自前で発光制御基板から設計するツワモノが昔からいたが、近年ではASUSの「AuraSync」等の様な規格が発表され、対応パーツを買い集めるだけで各パーツの発光パターンを簡単に制御できる様になるなど、次第にやり易くなっている。
ケースの中にフィギュアを入れるなんてのも…


【ベンチマークテスト】

パーツやPCの性能を測定するプログラムを走らせ、そのスコアを競う。
メジャーなものでは「Cinebench」というレンダリングの速度によってスコアを出すソフト等がある。
後述のオーバークロックや各種設定の微妙な調整などのトライアル&エラーを繰り返し、ハイスコアを目指す…
手段と目的が逆転している?競技スポーツではよくあることです。
もちろん「世界最高スコアを叩き出したパーツ」というステータスはメーカーとしても無視できないため、パーツメーカーやチップメーカーがベンチマーク結果を公表して宣伝材料にしたりもする。まあメーカー側のベンチマーク対策も色々闇深かったりするが*57
但しベンチマークソフトは「意図的に高負荷をかけるソフト」の様な物なのでやり過ぎるとパーツ全体の寿命が縮む点に注意。


【オーバークロック】

パーツを通常の動作クロックを超えた速度で無理やり動かす事を「オーバークロック」という。可能なパーツは主にCPU、メモリ、GPUの3つ。
もちろん保証されている動作ではないのでパーツを痛める可能性が高く、ユーザーが行う場合は自己責任となる諸刃の剣。


  • パーツメーカーのオーバークロック

自作パーツメーカーが、最初からオーバークロックさせた状態で売っているパーツ。
言葉に矛盾を感じるかもしれないが、つまりチップのメーカーの保証する数値をパーツのメーカーの責任で弄っているということ。
ハイエンドのGPUボードなどによく見られる。古くはチップセットをオーバークロックしたマザーボードも販売されていた。
オーバークロック状態前提の設計に応じ、通常よりも冷却性能が強化されていたりする。
どこまで攻めるかはメーカーの腕次第だが、これについてはパーツメーカーの保証が利くためユーザーが行うオーバークロックとは違い比較的安全に使える。


逆に「省電力化(≒低発熱化)」を求め、クロックを落とす場合もある。例えばIntel Core iシリーズの場合、製品名の末尾に「T」とついているもの(Core i3-10300Tなど)は標準でクロックを落とされており、TDPも35Wとかなり低い。


  • ユーザーのオーバークロック

ユーザーが自らの手で「UEFI」(旧「BIOS」)というマザーボード側の設定を変更したり、OS上で専用のソフトを使って行うもの。
いずれのパーツでも軽いオーバークロックであれば処理が速くなったり、ゲームがよりなめらかに動くようになるが、あくまで自己責任である事は忘れないように。
自作パーツを使っているBTOパソコンであってもオーバークロックだけはできないように、MBのメーカーにUEFIを改造してもらい、設定をロックしているメーカーが多数。そりゃ勝手に倍率変更されて勝手に過負荷で壊されて保証修理させられたら、メーカーもたまったもんじゃないので当然ではあるが。
慣れて感覚が麻痺してくると、若干オーバークロックさせた状態で使うのを前提にパーツを選ぶ様な人もいる。また「自作PCが明確にBTOに勝っている部分はここだ」と力説される事が多いが、定格で使ってナンボという宗教もあるので、むやみに喧嘩しないように。


  • 競技のオーバークロック

一部では「どれだけ高いクロックでWindowsを起動させられるか」なんてのが競技になっている。
当然クロックの上昇に従い発熱量も莫大になるので、最終的に液体窒素*58で冷却し、CPUそのものもオーバークロックに向いた個体を厳選し…等々、一般人には理解不能な世界が広がっている。冷えすぎてると起動しなかったりする為、バーナー等で熱することも普通。
ここまで来るとパーツも使い捨て同然の扱いになり、実用性は皆無。完全な趣味と言っていいだろう。
一応「空冷部門」とか「標準クーラー部門」とか、大会によってレギュレーションがあったりする。
チップ/パーツメーカーなどから見ても自社の技術力をアピールする絶好の機会である為、規格を無視して電源等に徹底的な改造や、UEFIの設定項目を凄まじく細かくしたオーバークロック用マザーボードが販売されたり、メーカー主催のオーバークロック大会が開催されたりもしている。
2020年8月にはベセスダの「DOOMを超オーバークロックで1000fpsで動かしたぜ!」というものがニュースになったので、そこで液体窒素冷却の光景を初めて見た人も居ると思われる。


Raspberry Pi

超小型デスクトップPC。
ケースの項でも軽く触れた様にPCの自作よりは電気工作の領域に踏み込んでおり、使われているCPU等もどちらかと言えばスマホの物に近い。
クレジットカードや免許証と同じサイズのマザーボードに、ストレージ代わりのSDカード、マウス、キーボード、ディスプレイを繋げて制作でき、実際のデスクトップPCと同様に利用できる。
性能はもちろんデスクトップPCに劣るが、その安さと、小型故に様々な機械の中枢部品として活用できるのが強み。
詳しくは項目参照。
甘くておいしいお菓子……ではない。間違っても。




自作パソコンが登場する作品

主人公組3人が組み立てたジャンクパーツ製自作パソコン「ジャンク」が登場。
見た目こそ洗練されていないがネットワーク通信、プログラミング、CG作成、水質調査など色んな事ができる。
グリッドマンはこの自作PCがダウンしてしまうと活動できなくなる。
アニメ「SSSS.GRIDMAN」にもこの「ジャンク」が登場、主人公・響裕太とグリッドマンをつなぐ重要な要素を担っている。


TRIP6「メモリがいっぱい」は自作パソコンがテーマ。主人公のタモツがPCの自作に挑戦するシーンがある。


98巻収録の「インターネット駄菓子屋の巻」と109巻収録の「シルバーインターネットの巻」に自作パソコンが登場。
98巻では両さんがケースを木で作ったオリジナルPC「山田28号」を制作、109巻ではあちこちのパーツショップから格安のパーツを仕入れ、お年寄り相手に格安PCを販売して一儲けして、後で「ちゃんと自分でクレジットカード使ってネット料金払うように」と説明した上で暫定的に自分のカードを貸したら、そのカードでネット使うどころかインターネットギャンブルの詐欺集団に大量に振り込まれてカードの使用停止になるという災難に遭っている。会員規約違反とか言わない。
余談だが、109巻で両津が自分用に組んだものは、HDD4GB、メモリー512MBという、連載当時の1998年の時点ではメーカー品にも無い様な超高性能機であった。
しかし2010年代以降の現代基準で見ると恐ろしく低スペック*59だけどマザーボードはメモリーが16枚も刺さる異様なものだった
20年以上も昔の話なので当然だが、PCの進化のスピードを実感させられるエピソードである。
そのパーツをどこで手に入れたかというと、元々持っていたパーツと最新のパーツを勝手に交換したものである。メモリーも32MBずつ拝借していった。
ちなみに老人用に組んだものは当時でもきついメモリーたったの8MB。中川いわく起動に10分、ネットを見るのに半日かかるらしい。というのも、そのPCは父親の銀次にのために3万円の予算で組んだもの。一応、今でも3万円予算の自作PCというのは偶に見られる。
パーツの中にどう見てもブラウン管のモニター、フロッピードライブ、モデムボード(電話線と繋いでネットを使うもの)、CDROM(決してDVDでもBDでもない)があるのも時代を感じさせる。
ちなみに「メモリー」という表記は作中で見られた表現である。
「いいねェ!!「{思い出メモリー泥棒」って響き!!アイドル歌手の歌みたいで!」

乃莉のPCは叔父が組み立てたもの。
スペックは不明だが、とりあえずフリーソフトを落としまくっても難なく使える程度。
美術科在籍の彼女がお絵かきソフトを使用してしている事から結構いいものを使っていると思われる。
なお連載開始が2004年で高校生が主役かつサザエさん時空不採用のため、上記のこち亀ほどでないにせよ「自作パソコン(とガラケー)で調べものができる」という点はかなり特異なものとして扱われている。


玩具コンサルタントの南信平が、子供用の玩具として売り出すつもりで製作した「ちびっ子コンピューター」なる自作ホビーパソコン*60が登場。
子供の半身程もある大きなケースに、小さなディスプレイと簡素なボタンやツマミなどがついている他、玩具故かアニメ調にデフォルメされた虎の顔がでかでかと描かれている。
ボタンを押すとディスプレイに映像が映り、音声ガイドがスタートする仕組みとなっている。
ホビーパソコンの隆盛時期(1980年代~1990年代中盤)を考えると、1969年(アポロ11号が月面着陸を果たした頃)にこれだけ高機能なホビーパソコンを製作した南の技術力は中々のものである。


秋葉原でジャンク屋を営む天才的エンジニア、工藤元による自作パソコンが登場。
本体だけでなく内部OSも独自開発しており、工藤曰く「世界にたった一つしかない工藤ちゃんオリジナル」。
メガギラスの高周波でプログラムを破壊されたブラックホール砲「ディメンション・タイド」の復旧に活躍した。
ちなみに、OSに搭載されているチェックプログラムのアイコンにナース姿の美少女キャラクターを使用していたが、終盤に本作の主人公である辻森桐子を模した「キリコ」ちゃんに変更されている*61


PCの改造が重要な要素としてある作品だが、明確に自作パソコンと呼べるものは少なかったりする。
アニメ版においては、1話で主人公lainの父、岩倉康雄のものが初登場となる。
大型のブラウン管モニタ6台を並べた様子は圧倒的。
複数のPC本体がそこに繋げられており、冷却にはペルチェ・クーラーを用いている。
康雄がそれを操作してワイヤード上のコミュニケーションを取ることにのめり込み、アルカイックな笑みを浮かべながら「ケヒャ!」と声を上げるシーンは有名。
以降、登場することはない。
次に登場するのはlainのもの。元は最新型の既成品だったが3話にて偶然入手したプシューケーを取り付けるため解体。スリップ1枚で口に精密ドライバーを咥えながら解体する様は官能的。それを見て驚く姉美香に対し、「静電気はまずいんだって」というシーンはシリーズ構成の小中千昭氏も認める名シーン。氏もメモリを増設する際、下着姿で臨んだが失敗したとのこと。
以降は急速に増設され、漏れた冷却液で床を水浸しにし、部屋を埋め尽くす程巨大なスパコンと化す。
ゲーム版においては、「おとうさん」制作の際に登場。アニメ版と比べるとかなり控えめで、規模としては本体とモニタが数台ある程度。冷却も空冷で済まされている。
「おとうさん」殺害の際、共にパイプで破壊される。


隠れPCオタクの「ネット番長」藤本貴一が自作PCに挑戦する回がある。
この回の説明は少年読者を置いてけぼりにするレベルでマニアックだが、オチは割といつも通り。
また、クロ高の生徒の一人は自作PCを特技としており、オフ会で藤本とも絡んでいる。


キリトこと桐ケ谷和人の自室にあるデスクトップPCは、和人が幼少時に母親の部屋に置いてあったジャンクパーツを使って組み上げた物。
な、なんという凄まじい少年なのだろうか…。


双葉がパレスの攻略において自作のノートPCを使用。
パレスでは電子機器が機能しないのだが、それでも使用できているのは彼女のペルソナのお陰なのかはたまた彼女自身の技術の賜物か…



PCが壊れ、ファフニールがハイエンドのジャンク品の自作パソコンを作る為、滝谷と一緒にパーツを買う事になるのだが


  • 最新モデルとほぼ同性能の1世代前のGPU(ファフニール曰く、大してスペック差が無いのに、新しいものがすぐに出て型落ちしたものの怨嗟が聞こえる)
  • デュアルチャネルに対抗する為にスロットを増やしまくって大きくなりすぎてしまったメモリスロット
  • 透明なケースに合わせて何故か透明にしてしまったパーツの数々

等、呪いのパーツを組み合わせた最凶のPCが完成、呪われている故の怪奇現象を度々引き起こすのだった…。


  • ミームいろいろ夢の旅

1983~85年放送の科学教養テレビアニメ。2年目からの新レギュラーキャラで7人の小学生「科学探偵団」による自作パソコン「レインボー」が登場。
キーボードとモニターを中心にゴテゴテと取り付けられた電話やカメラ、ファックスなど、外見はジャンク品そのもの。
作中の制作過程では電子部品を廃家電の基板から引っぺがす、はんだ付けを行うなどの描写がされた。


本作の解説キャラ「ミーム」の呼び出し、プログラミング、様々な情報の検索・分析のほか、ロボットの遠隔操作も可能。
当時の一般家庭においてインターネットは使われておらず、ネットワーク関連ではテレビ電話、簡単なネットゲーム、今は亡きキャプテンシステムやパソコン通信の利用が主だった。これらを難なくこなせるあたり性能はかなりのものと推測できる。
子供向けアニメにもかかわらずネットワーク関連の描写が細かいのは、電電公社およびNTTの1社提供番組として宣伝を兼ねていたため。
ちなみに先代レギュラーの大谷大介・さやか兄妹は既製品のパソコンを使っていた。


  • ウマ娘プリティーダービー

ゲーム版でエアシャカールがノートPCを自作している。
先述にあったOSまで自作しているほどのガチ勢ではあり、とんでもない性能を誇るのだが、どちらかというとゴッテゴテに貼られた大量のステッカーのほうが目を引く。まあ、彼女のセンスはかなり独特なので…。詳しくは該当項目で。
なお、レース予測だけではなくDTMの趣味にも活用している模様。


自作パソコンそのものを題材にしたシミュレーションゲーム。様々なメーカーの部品が使える。


余談

パーツを買う時期について

本来は家電やスマホ等でも使われるのだが、特に自作PC界隈でよく使われる「今は時期が悪い」というワードがある。
掲示板やSNS等で買い換えるにあたってアドバイスを求めると誰か一人はこの返しをしてくる。


  • 少し時間が経てば性能が向上した新製品が出るから、今は時期が悪い。
  • 新製品が出たけど今はまだ相場上の値段が高い。値段が落ち着くまで待て。だから今は時期が(ry
  • そのうち旧製品も値下がりするからそれまで待て。つまり今は時k(ry

ぶっちゃけ「じゃあいつ買えばいいんだよ!」までがセットであり、半分ネタみたいなもの。
ただし、下記の様に本当に時期が悪い時期があったりもした。とりわけ2022年は1年を通して時期が悪かった


  • 2011年秋~2012年冬: 多数のPCパーツ工場があるタイが洪水によって被災し、特にHDDやメモリが大きく値上がりした。
  • 2017年春~2018年春: 暗号資産が流行し、その採掘作業(マイニング)にGPUが適してた為、グラフィックボードの需要が高まり値上がりした。
  • 2020年末~2022年9月: ビットコインの相場が最高値を更新。同時期発売のRTX30シリーズがマイニング作業に非常に高い効率を発揮した事も相まって、暗号資産の流行が再燃し、各種グラフィックボードの品薄&値段の高騰が加速。*62
    • 2021年3~4月頃: 更には新たなマイニング方法としてHDDマイニングなるものが台頭し始め、大容量のHDDが市場から姿を消した。(しかしHDDマイニングの相場が大して上がらなかったこともあり、数ヶ月で終息した)
    • 他の各種PCパーツもコロナ禍で輸送コストの上昇に伴って値上がりし、過去イチで時期が悪いとまで評価する人もいるレベルである。
  • 2022年: 記録的な円安に見舞われ、多くのPCパーツが軒並み値上がり。(PCパーツはほぼ全て海外からの輸入品である)

このように、「時期が悪い」の原因は色々ある上にある程度PCの知識(一部は経済の知識も)に精通していないと分からないもの。
というか、それが読める人はもうその道の第一人者プロである。
なので、初心者であればそんなもん気にせずに勢いつけて買ってしまうのが吉である。どうせ損するんだし。


PCの置き場所について

あまり気にされないが意外と大事なことが、組み上げたPCを設置する場所である。
PCは基本的に床に直置きはNG。直置きはホコリが非常に溜まりやすいからというのが理由。
面倒だから、他に場所が無いから、と床に置いたまま使っていると見る見るうちにホコリが溜まる。
数cmでもいいので少しでも床から離しておけばそれだけでホコリが溜まりにくくなり、掃除の手間が減る。
床にしか置けないという場合でも専用のキャスターやラックなども売られているし、最悪スノコでも全然構わないので床から浮かせて設置することを心がけよう。



追記・修正は自作パソコンの組み立てに必要な予算を計算しながらお願いします。


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*1 BTO=Build To Orderの略。メモリ容量やグラボなど、パーツの仕様を選択発注して購入できる受注生産PCの事。
*2 ただし、型番を企業卸し専用にしてるだけで、実態は一般販売している製品と同品質な場合もある。
*3 今となっては昔話だが、第2世代Intel Core(Sandy Bridge)の頃はメモリとの相性がかなりキツキツで阿鼻叫喚の様相を呈しており「○○社のは絶対に買うな」なんて話が飛び交っていた。
*4 RDRAMは仕様上2本セットで刺さないと認識出来ないため、シングルチャンネルだが2枚目として最低限ダミーを刺す必要があった。
*5 サーマルスロットリング。高熱を発している部品の性能を制限して発熱を抑える機能。
*6 さらに高温になるとPC自体を緊急シャットダウンする機能も付いているが、CPUクーラーを付け忘れたりファンが壊れていたりでもしない限り基本的には起こらない。最低限のCPUクーラーがなければ流石に落ちるため、PC作業もあったものではない。
*7 ケースの中の気圧を高め、ホコリが侵入しにくいようにすること
*8 ファンが大きいほど音がうるさそうなイメージがあるが、実際にはむしろ逆。ファンが大きいと回転が遅くても十分な冷却性能が得られるため、小さいファンよりも回転数が遅くなりやすく、音は小さくなる。
*9 編集者が知る一般売りパーツでの最大サイズは、Scythe社のPROPELLERシリーズケースにセットされていた直径380mmの側面ファン。ファンというのは回転数が遅いほど音が小さいため、大きいファンをゆっくり回す設計は静音と低温を両立する意味で間違っていないが…結局定着しなかった。
*10 一応GPUやCPUのファンの音も出るが、それらが聞こえるレベルで高速回転するのは「高負荷が掛かるとき」なので、全体的な音の出る時間で言ったらごく短時間。
*11 小型のPCでも他のパーツと干渉せずに取付け可能にするために、大きさを抑えている。回転数で風量を確保して冷却性能を補う設計になっているため、静音性が犠牲になってしまう。
*12 期間にもよるがPCの寿命と言われる4~5年単位だと、大抵は規格が変わってマザーボード・CPU・メモリと買い換えるハメになることが多いが、電源に関してはコネクタに変換ケーブルをかませれば問題なく動作する場合が殆ど。
*13 普段から直流変換してバッテリー充電しつつ再度交流変換して給電するような方式
*14 電源ユニットには「消費電力(負荷)が定格出力の半分程度のときに最も変換効率が良くなる」という特性があり、容量を余らせすぎると変換効率が落ちるのだが、その差は僅か数%しかない。ただし例外的に定格出力の10%を下回ると変換効率がダダ落ちする。
*15 とはいえ壊れたHDDからデータをサルベージするには壊れ具合にもよるが結構な労力か、高額なプロの手を借りる必要があり、修理費や時間は決して安くない。バックアップマジ大事
*16 OSを入れたHDDが低速でもinteSRTの様なSSDを用いてHDDアクセスを高速化するソフトの使用や、アクセスの多いファイルを高速ストレージに移動させてシンボリックリンクでアクセスする力業な高速化もあるが、別途ストレージが必要な上にハード上の限界は越えられず、前者はSSDがこの機能専用になって後者は設定が手間な上に混乱を招きやすい短所がある。つまり素直に高速ストレージに交換した方が良い。
*17 発熱量が少ないといってもHDDよりも小型化しやすい影響もあり設計時点でかえって排熱が悪いなんて製品もままある。
*18 HDD/SSDの稼働状況を示すデータで、専用のソフトで確認できる。
*19 Windows7は情報が少し錯綜していて大丈夫そうだが細かいところは不明。逆にVista以前は明確にSSDに未対応で使用可能だが壊れやすくなる。
*20 SilverStone Rackmountシリーズなど
*21 フロッピーディスクドライブ、つまり3.25インチ規格のフロッピー用のリーダライタ。余談だがハードディスクの「ハード」とは、3.5インチ規格以前にあった8インチや5.25インチ規格のフロッピーが薄く柔らかい素材で作られていたため、それと比較・区別して言われるようになったとされる
*22 なんと文庫本と同じくらいのサイズ
*23 2023年9月末現在ではハイエンドGPU単体でBTOパソコン1台以上の価格。2023年12月には最上モデルのGeForce RTX 4090が40万円の大台に達した
*24 目的のゲームの推奨スペックを上回るGPUを用意してもゲームやCPUとの性能差によっては下位GPUと同程度の力しか発揮できない、「ボトルネック」という現象が発生する
*25 その為、元々グラフィックボードを差す場所がないノートや小型のPCではどうしても動かないゲームやソフトがあったりする。
*26 実際に試した人曰く、直接スロットに差し込む場合と比べて約8割程度の性能に落ち着くとのこと。無論、オンボードに比べれば十分過ぎる効果はある。
*27 基本的な端子はUSB TypeCだが、これを差せるからと言って必ずしもThunderboltに対応しているとは限らない。
*28 上記の搭載チップごとに対応する解像度とリフレッシュレートの組み合わせが異なるほか、最終的には後述の出力端子の規格とバージョンによって決まってくる。
*29 実は正式名称が存在しない
*30 もちろん製品にも依存する。元から簡易水冷化されているものもあれば、基板上のメモリチップ等の配置の関係で、各ボード用の専用品が必要な場合もある。
*31 例: RTX 3060の12GB版、RTX 4060 Tiの16GB版、RX 7600 XT
*32 ゲームがノイズ交じりになったり、立体音響に対応していないなどの弊害があった。
*33 余談だが同じオンボードでもフロントパネルのジャックがボードの設計上のバグでノイズが走るなんて場合もあったので、そんな場合は別のジャックを試してみる価値がある。
*34 ただし古いゲームソフトなどには互換性の問題かSATA接続じゃないと動かないものもあるらしく、内蔵ドライブを選ぶ余地が全く無いわけではない。
*35 USBメモリやHDDは長期間放置すると故障する可能性があるが、CD-RWやDVD-RWはディスクさえ無事ならまず読める。保管期限はディスクの品質による差が大きく、高級品は適切に保管すれば数十年もつとされるものの、激安の低品質のものは経時劣化が早く、1年程度でデータが消えてしまうことがある
*36 DVD/BDビデオを編集して誰かに渡す、同人活動で手焼きする等
*37 一応Linuxなどで起動する方法もあるが、大抵は動作保証外であり自己責任で行うものである。
*38 製作者が「自由に使ってね。改造してもいいし再配布してもいいし改造版を売ってお金を稼ぐのもOK」と公式に宣言すること
*39 ダラバーCSの推奨環境が16:9デュアルだが、32:9モニターであれば1枚で足り、画面の境目も無くせるため
*40 「フリッカーフリー」などと呼ばれる
*41 Dot per inch,dpiとも。
*42 1秒あたり60フレームとして、0.083秒ほど
*43 PC用液晶ディスプレイと違い、かつての液晶テレビは「遅延を重視しない」傾向が強かった。もちろんテレビや映画を見るだけならそれで問題ない
*44 遅延ゼロの液晶ディスプレイは存在しないため「他のディスプレイと比べて速いか遅いか」という判定しかできない。ブラウン管ディスプレイが製造されていた時代なら可能だったのだが、現代ではほぼ無理であろう
*45 見ての通り単位は「ms(ミリ秒)」で表されるため、厳密には「応答時間」と呼ぶほうが正しいらしい。
*46 液晶パネルの応答速度は白から黒にする場合、あるいはその逆を行う場合に最も速くなるが、中間色から中間色への応答速度はそれより遅くなるほか、その度合いも駆動方式等によって差がある。そのため「GTG(Gray To Gray:中間階調応答速度)」という指標が生まれたりもしているが、これも中身が曖昧であまり浸透していない。
*47 一応、非対応のディスプレイを接続するための変換パーツや大きな爪でディプレイを掴むような金具もあるにはあるが
*48 デスクに穴を空け、穴にボルトを通して固定する方式
*49 事務/経理やプログラミング等
*50 この方式のキーボードでは代表的なブランド「リアルフォース」の略称。
*51 Studioはメカ、Liteはメンブレンなので注意。
*52 Bluetooth内蔵とかでなければ結局子機が必要になるが。それでも有線式のプラグよりは大分スッキリする。
*53 ただ同時期のSocket AM5用MBでは全廃されているため、どうもAMD側は非対応にしてしまった模様、AM4用までは残っていた。
*54 コスパの良さでも知られるAsrockだが、このコンセプトの元で新規格の登場・移行時には珍妙な組み合わせの製品をリリースするため、変態メーカーの印象が強い自作erも少なくない。一見普通な商品でも2012年のZ77 Extreme6までFDD接続用のポートを残していたりとか。
*55 D-Input信号で動くゲームであれば対応。2010年台辺りからX-Inputに移行しているため、中途半端にしか動かない事もある。X360ceというパッドエミュレーションソフトで変換すれば大概使える。
*56 X-Inputを出力するのでPCで使用可能だが、画面にはXBOX360系のABXY表示が出るので注意。
*57 スコアが伸ばすため実際に使用するソフトよりもベンチマークソフトのほうに合わせた最適化を施されている…なんてのはむしろ良い方で、ベンチマークテストの最中だけ動作クロックを引き上げたり、テストの判定を狂わせてスコアを水増しするような細工をしたりといった例が実際にある
*58 実は少し性能のいいCPUと同等の価格で購入可能
*59 当時としてはHDD2GB、メモリー64MB程度が主流だった。2018年6月時点のスタンダードモデルは、HDD500GB、メモリー4GB。文字通り桁が違う。
*60 娯楽用パソコンの総称。パソコンが高価なビジネス用と安価な娯楽用で差別化されていた時代の産物
*61 ちゃんとG-グラスパーの制服を着ている
*62 コレに関しては転売も絡んでおり、販売店も転売対策としてグラフィックボード単品の在庫はあまり用意していない。但し、BTOやPC本体一式としてなら買える事が多いのでどうしても必要ならばそちらが狙い目。

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