登録日:2018/11/10 Sat 01:09:20
更新日:2024/03/26 Tue 11:30:54NEW!
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ニーチェ 哲学 格言 ミイラ取りがミイラに 深淵 クトゥルフ神話 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ クトゥルフ コメント欄ログ化項目 フリードリヒ・ニーチェ みているよ
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」は19世紀のドイツの哲学者・フリードリヒ・ニーチェの格言。
本項ではこちらを使用させていただくが、
ドイツ語を日本語に訳したものなので翻訳によっては「深淵をのぞく時、深淵もまたお前を見返しているのだ」、「おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」、「汝が久しく深淵を見入るとき、深淵もまた汝を見入るのである」など表記は揺れる。
【概要】
原文は『Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein.』であり、
こちらだけが一人歩きして知られているが厳密には直前の『Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, dass er nicht dabei zum Ungeheuer wird.』(簡単に訳すと「怪物と戦う時は自らも怪物にならぬよう、心せよ」)から一続きの文章。
『善悪の彼岸』(原題:Jenseits von Gut und Böse)という書籍の第146節にあたる。
深淵からだけだとイマイチ意味がわかりにくくなるが、怪物から通して日本の諺でいう「ミイラ取りがミイラになる」という状況に陥らないように警告している言葉である。
感染症や呪いに通ずる考え方であり、観察対象から五感を通して、あるいは理解を通じて情報を受け取る以上、望ましくない情報をも受け取ってしまう危険性は常につきまとうのである。
犯罪行動研究の権威で元FBI捜査官のロバート・K・レスラー氏が講義などで頻繁に引用していたことでも知られており、凶悪犯罪関連の作品・書籍などでこの言葉を意識したと思しき言い回しがしばしば見受けられる。
【引用・オマージュした作品】
上で述べたように本来は「ミイラ取りがミイラになる」という意味合いの言葉なのだが、なんとも中二心をくすぐる言い回しではないだろうか?
特に深淵で眠る邪神の名を冠し、実際に化け物が深淵から覗いてくるエピソードも多いクトゥルフ神話との相性は良く、そうでなくても著名な言葉なので引用する作品も時折見られる。
というかクトゥルフ神話発祥の言葉だと勘違いしてる人も少なくない。
- スナーク狩り(宮部みゆき)
ルイス・キャロルの同題の詩からタイトルを引用したミステリー小説。
原作の詩におけるスナークとは誰も目にしたことのない怪物。もしもブージャムだったとしたら捕まえた者は影も形もなく消えてしまうという。
本作は、このスナークとニーチェの言葉が掛け合わされている。姿もない怪物を追った者の末路は……。
- 深淵を歩くもの
同題の短編集収録の小中千昭の短編小説。
とある存在が誘導していたせいでもあるのだが、勝海という男が深淵に誘われ、最期には自ら深淵に足を踏み入れてしまう。
深淵もまた、そんな彼を観察していた。
- 薄紅雪華紋様
朱川湊人の小説シリーズ。
覗くと正気を失うと噂される井戸と、とある少女の闇を描いた「汝、深淵をのぞくとき」というエピソードが存在。
めぐみんが初登場時に発言。
何故かTシャツとして商品化されている。
シールケが闇に触れた際に回想したフローラの言葉。
深淵の部分が「闇」に言い換えられている。
世界の真実を知り死を選ぶが失敗し、目覚めぬまま光と闇の間を漂うナウシカを見てセル厶が発言。
こちらでも闇と言い換えられて引用されている。
作中で引用されている他、狡噛慎也の在り方を示している。
ATLUSのゲームシリーズ第三作。
石碑に刻まれた古の賢者の言葉として引用されている。
本作のラスボスは深海に潜む邪神であり、それを表した直球の伏線となっている。
まあ、そんなラスボスを倒せる冒険者も怪物と言って差し支えないだろうが。
- 恐竜はどこへ行ったのか?
世にも奇妙な物語のエピソードの一つ。登場人物の田口教授が発言。
彼も人間が触れてはならない深淵を覗いてしまった結果、向こうからも覗かれるようになった者であり、発狂したふりをして深淵の存在を秘匿しつつ警告を送っていた。
詳細は当該項目参照。
CHAPTER 6「THE ABYSS GAZES ALSO」(邦題:深淵もまた見つめる)とエピソードの表題に使われ、最後のコマでも引用されている。
(日本語版では最後の引用部分は「お前が深淵を見つめる時、深淵もまたお前を見つめているのだ」と訳された)
このエピソードは逮捕されたウォルター・ジョセフ・コバックス/ロールシャッハのカウンセリングを行う精神科医の視点で進められる。
精神科医は、面談を重ねるごとに徐々にロールシャッハの精神性に寄り添っていき、最後に彼から叩きつけられた「世界の真実」によって同様の狂気を発露させてしまう……という展開になっている。
「深淵をのぞくと、めっちゃ深い」
「ないです。ニーチェはそんな語彙力ゼロの学生みたいな格言は残していない」
「女の子はスカートに深淵を、男の子はズボンに怪物を隠しているのよ」
「ニーチェを下ネタおじさんみたいにするな。一言も言ってないからそんなことは」
連載初期のエピソード「地獄流し」より。
逃走中の銀行強盗犯は、たまたま迷い込んだ鬼太郎の家で見たこともない不思議な景色が映る宝石を発見する。時間を忘れて宝石の中の景色を眺めていたところ、向こう側からもこちらを覗く眼が現れて……。
作者の水木しげるは青年時代にニーチェを始めとした哲学書を読みふけっていたため、当エピソードがその影響を受けて描かれたであろうことは想像に難くない。
余談だが水木は同じテーマ、同じ宝石というガジェットを用いて別の短編を執筆しており、そちらでは異界の景色に魅入られて破滅へと向かう大学教授の姿が描かれている。
物事の暗い側面ばかり見がちなトレギアに対しタロウがある地球人の言葉として引用したが、トレギアは好奇心を抑えきれず深淵を覗き続け狂気に飲まれた。
- 深淵への覗き込み/Peer into the Abyss
Magic the Gatheringのソーサリー。ライフ半分を対価に深淵を除き込みデッキの半分という莫大な知識を得る、もしくは深淵を覗き込んだことで狂気に飲まれ消耗する、といった効果。
とはいえ手札を増やすカードとしてはコストが重すぎ引く枚数が多すぎ、他のプレイヤーのライフを削る呪文としては「現在値の半分」であるためトドメはさせず多くて10点程度のダメージに留まり効率が悪い。
相手がドローするたびにダメージを与える《地獄界の夢/Underworld Dreams》や自分がドローするたびに相手のデッキを削る《テフェリーの後見/Teferi's Tutelage》と組み合わせて一撃必殺が主な用途。
- 魔王JUVENILE REMIX
伊坂幸太郎の小説「魔王」のコミカライズ作品。週刊少年サンデーにて連載されていた。第1話の序盤にて引用されている。
【余談】
この言葉をGoogleで検索しようと打ち込んで行くと、この言葉に混じって「深淵をのぞく時深淵をのぞいているのだ」という、ただ深淵を覗いているだけな一文がサジェストされる。
どうやら2chの誤用が発祥とされるコピペらしい。
追記・修正する者は、その過程で自分自身も追記・修正を受けることのないように気をつけなくてはならない。
Wikiをのぞく時、他のアニヲタもまたWikiをのぞいているのだ。
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