剣持警部の殺人(金田一少年の事件簿)

ページ名:剣持警部の殺人_金田一少年の事件簿_

登録日:2012/04/16(月) 01:46:40
更新日:2023/08/21 Mon 13:37:56NEW!
所要時間:約 17 分で読めます



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『罪深き者達』に『罰』を与えるのはあなた自身――。


あなたが『死刑執行人』になるのです。



『剣持警部の殺人』とは、「金田一少年の事件簿」で金田一少年が解決した事件の一つ。
単行本上、下巻に収録。全12話。
テレビアニメでは「R」第19話~第22話として2014年8月16日~9月6日にかけて放送された。
登場する怪人は「死刑執行人」。
「金田一少年の事件簿」の中でも被害者の鬼畜度がトップクラスであり、事件の要因となった出来事がシリーズの中でも胸糞の悪い内容になっている。




【あらすじ】

三年前に起きた女子高生死体遺棄事件。
その犯人たち三人は「少年法」のおかげで重い罰を逃れた。
しかし、その犯人のうちひとりが襲撃されたのを皮切りに、元少年たちが次々と殺されていく。


そしてその「処刑」を行ったのは…まさかの剣持警部!?






(以下、ネタバレに注意してください)



【事件関係者】

  • 毒島陸ぶすじまりく

CV:丹沢晃之
三年前の女子高生死体遺棄事件の主犯とされた、左の眉に傷を持つ強面の男。20歳。
出所直後にわざわざ剣持のオッサンを呼び出して、当時の自分達の反省の念は全て出任せである事を自ら暴露する悪辣ぶりを披露。


早速その日の夜に住宅街で何者かにより拳銃で襲撃されるが負傷するだけにとどまる。
その後は入院していたものの魚崎死亡後に身の危険を感じたのか勝手に退院していく。
その前後に剣持を疑い、自分勝手に振る舞う姿は一にも嫌悪感を抱かせた。


三番目の標的として『絞首刑』に見立てられビルの一室で首を吊られた状態で発見されるが、
発見が早かったためか一たちの必死の救命活動により息を吹き返す。



  • 多間木たまきたくみ

CV:内田雄馬
三年前の女子高生死体遺棄事件の共犯。20歳。
父親は大病院の院長。20歳だが、鑑別所に1か月間入れられてアメリカに雲隠れしていたのを留学と偽って不動高校に編入した。
チャラ男系のイケメンで爽やかさを武器に女の子をとっかえひっかえ遊んでいたが、本性はキレやすく傲慢。


『火あぶり』に見立てられ、不動高校の駐車場に止めてあった車に仕込まれた発火装置にて二番目に焼死*1



  • 魚崎葉平うおざきようへい

CV:小田柿悠太
三年前の女子高生死体遺棄事件の共犯。 20歳。
弁護士の湖森に連れられて十神まりなの仏前に謝罪に来たが、
出所してからも不良仲間と夜の街を遊びまわっている事が目撃されており、
全然反省していないことを匂わせる。
基本的には無表情なうえ台詞がほとんどない為三人の中では影が薄い。
『水責め』に見立てられガムテープでグルグル巻きにされた上にホテルのバスタブで漬け込まれて最初に溺死している。
どうやら魚へんじゃなくても、「魚」がつくと死亡フラグである。


  • 十神とがみえりな

CV:中村千絵
三年前に亡くなった十神まりなの妹。17歳。
今もなお心に深い傷をもっている。
まりなの仏前に白々しくも手を合わせに来た魚崎を激しく非難し、彼の死を知った時は「こいつにはお似合いな最期」と黒い笑みを浮かべる。
毒島が一命を取り留めた上に剣持と同じ病院に入院してると聞いて難色を示す。


  • 青井零児あおいれいじ

CV:玉木雅士
警視庁不動山署刑事課刑事。25歳。
長身で短髪なイケメン。十神まりなと交際していた。
事件当時は大学生。本来は弁護士志望だったらしい。
一の事は最初から知っていたが…
一と同様に『剣持無罪説』を前提に推理しようとする明智に対し、捜査が偏っていると苦言を呈する。


  • 湖森こもり涼介りょうすけ

CV:阪口周平
弁護士。35歳。
清楚な短髪で、眼鏡で感情の読めない硬い表情。
弁護士としては優秀で、毒島たちを減刑させたのも彼。
多間木の父親に雇われており、彼のボディーガードも兼ねていた。
アニメのFile.1・File.2のEDでは苗字が「小森」とクレジットされていた。



【その他の人物】

  • 十神まりな

CV:渡邉佳美
故人。享年17歳。
三年前の事件の被害者。事件当時は高校生で、毒島と同じ学校に通っていた。
高校生だった多間木、魚崎、毒島によって毒島の部屋で下着以外の服を奪われて監禁、凌辱、拷問を受け、
窓から逃亡を図り転落死してしまい、都内の空き地に埋められていた。


被害者達が受けた『水責め』『火あぶり』『絞首刑』の見立ては、実は彼女が被害者達から受けた暴行内容の一部であった事が判明する。



【主要人物】

ご存知高校生探偵。
オッサンの無実を信じて奔走する。
今回途中毒島の悪辣ぶりにキレて「(毒島が再犯した暁には)どっかの「傀儡師」も真っ青の完全犯罪計画してやるぜ」と過激な発言をして
直後に明智に「そして計画したあげくに実行しないんでしょうね」ともっともなツッコミを入れられた。
まさかその「どっかの傀儡師」が黒幕だなんて知る由もなかっただろう。ある意味伏線である。


今回影が薄めだが、実は多間木に狙われていた。ごく初期、(多間木の実態を知らない頃に)多間木と仲良く話をしていた場面もあった。
ヘタをしたら十神まりなの二の舞になっていたかも…
幸い(?)多間木が殺されたため、何事も起こらなかった。


タイトル通り、今回の実質的な主役であり容疑者。
十神まりなは剣道の教え子であった。主犯格の毒島が釈放されたと聞いて、『「願う」ぐらいしかできないんでしょうかね…我々は…』と悔しそうな口調で語っていた。
状況証拠はすべてオッサンが犯人と示すものだったが…
年齢が48歳と公表されたが、過去のエピソードから考えると、明らかに辻褄が合わない


ご存じイヤミ警視。
剣持が最重要容疑者だと知るや否や一に協力を要請する。
事件が事件な為か、今回はイヤミはなしで終始冷静。
警視の立場では剣持を追うも、心の中では「刑事の先輩」である剣持の無実を信じ、一を完全サポートしてくれた。
そしてこの事件に「あの悪魔」の影を見る…。


ご存知一の友人。
今回はあまり出番なし。転校してきた多間木の事をよく思っていなかった。


  • 正野刑事

CV:高木渉
オッサンの部下だが、今回は明智警視のサポートに回る。
アニメ版では一応一般の高校生である一に対し、明智が証拠の開示や現場の鍵を預けたりする毎に「良いんですか!?」と驚いていた。会うの初めてじゃないくせに。
この人次の番組自分に似た声の刑事小学生相手にそういう事してるの見たら、大層驚くんじゃないだろうか。


  • 剣持和枝

CV:皆口裕子
オッサンの奥さん。
オッサンを宿六扱いしていたが、内心ではオッサンの身を案じていた。
ちなみにアニメではこの場面が初登場だった。













【以下、事件の真相…。更なるネタバレ注意】










あんたらの言う通りだよ…!


多間木と魚崎を剣持の犯行に見せかけてぶっ殺した!




俺が「死刑執行人」だ




  • 毒島陸

この事件の真犯人『死刑執行人』
今まで見せていた外道な振る舞いは全て演技で、本来の姿は温和で父親思いの勤勉少年
十神まりなに叶わぬ恋と知りながらも淡い恋心を寄せていた。
(まりなと話をしていた時に、彼女に想い人がいることを察していたようで、赤面していると同時にちょっと残念そうな表情をしている)
素行の悪い噂はデマであり、幼少期からの付き合いの多間木と魚崎に脅迫まがいのやり方(毒島の父親の医療機器会社は多間木の父親の病院の受注で成り立っていた)で、多間木らの起こした問題を無理やり被せられた為であった。
もちろん多間木らとは関係を断とうとしており、多間木が受けるであろう大学よりも上のレベルの医大を志望し、受験勉強のために父親にアパートを借りてもらっていた。
医者志望だったのは、多間木の件だけではなく、父親の医療機器会社のためにもなると考えてのことであった。


実は三年前の事件で毒島本人が加担『させられた』のは死体遺棄のみで、彼女の監禁・暴行に関しては全くの無関係
多間木と魚崎に渋々上記のアパートの部屋を貸す事になり仕方なくファミレスで勉強していた毒島が、そこでバイトしていたまりなと会話していたら既に彼女に目を付けていた魚崎および多間木が会話に割り込んできた。
その一週間後、まりなが行方不明になったのを知る。
不審に思いながらもまりなの帰りを待っていた一か月後、異変を感じた毒島はアパートに駆け付けた。
しかし時すでに遅く、彼の目の前で二人の拷問で衰弱しきっていたまりなは窓から逃亡を図るが、転落死。
初恋の人が目の前で死んだショックで半ば精神が崩壊し、多間木達に「この状況ではお前も共犯者だ」「親父に頼んで仕事を全部お前の家の会社に回してもらう、そうすれば借金もチャラになる」と言いくるめられた結果無理やり協力させられ、罪をなすりつけられてしまった。
その為毒島はむしろ被害者の側であり、彼もまたスケープゴートであった。
死体遺棄はともかく、監禁・暴行に関しては完全な冤罪である。


多間木・魚崎に罪になすりつけられた彼は取り調べで最初は黙っていた(というより、ショックで何も言えなかった可能性が高い)が、二人の証言を鵜呑みにした剣持にまりなが持っていたストラップを突きつけられた毒島はまりなも自分も犯人と思っているに違いないと考え絶望。
ついに自分がやったと自白し、そのまま殺人犯の汚名をかぶることになってしまった。


そして入所した途端多間木に裏切られ、父親の会社も潰されて父親は行方不明。
その後、牧師に扮した高遠に「剣持は多間木の父親から賄賂をもらって告発の手紙を揉み消した」と騙された。
更に絶望した彼は剣持、多間木と魚崎、そして彼女を救えなかった自分自身への復讐を決意。
第三の首吊り未遂では本当に死ぬつもりだった


その演技は明智をして「アカデミー賞もの」といわしめ、一たちも一時は完全に騙されていたが、多間木が死亡した直後に発した「あいつみてーに」という一言がきっかけで犯行が露呈してしまった*2
最後は揉み消した真犯人である湖森の謝罪と事情に、剣持とまりなの関係を知り、剣持への誤解を解き彼に詫びながら逮捕された。


「剣持警部… すまねぇ…」


逮捕後はまりなが遺した遺言を聞いたことで、憑き物が落ちたかのように涙を浮かべて一に礼を言った。


剣持に殴られた際、毒島は自分はどうしようもない流され屋と評した。
彼は、多間木に罪をかぶるように頼まれて流され、剣持に罪を認めろと言われて流され、高遠に犯罪に手を染めろと言われて流された。
流されるだけ流され続けた彼が立ち直るには、流されることのない心の強さが必要になると思われる。
(そして毒島のオヤジさんが自殺をしていない事を祈るばかりである…)



  • 多間木匠
  • 魚崎葉平

やはり最低最悪のゲス野郎達であり、この二人こそが三年前の事件の真犯人だった。

冒頭で(外道のふりをしていた)毒島の言っていた通り、どちらも三年前の事件を全く反省しておらず、再犯の可能性も極めて高かった*3


特に多間木はまりなを拷問・凌辱漬けにして殺害しただけでなく、*4
その罪をでまかせを言って毒島になすりつけ、案の定約束を反故にして彼の全てを壊した。
ここまでのド外道もなかなかいないだろう。いすぎても困るが…


彼らの人間性を曲がりなりにも信じ、更生させようとしたと思われる多間木の父親や湖森までも、彼らによって人生を台無しにされた可能性が高い。



  • 湖森涼介

実は娘の病気の弱みがあり、多間木父子を庇い毒島の告発をもみ消していた。(娘は治療の甲斐なく死去)
結果的に助からなかった失意からか、毒島の真実を揉み消したまま放置してしまった。
これらのことは因果応報。弁護士失格。と、自身も振り返っていた。


しかし、毒島の告発が真実である証拠は、警察も毒島も見逃したストラップの録音機能以外に無く、湖森も気づいていなかった。
仮に湖森が剣持に真相を告発する手紙を送ったとしても、剣持がストラップの録音機能に気づくか、多間木や魚崎が真実を喋り出さない限り、状況は変わらなかったと思われる。
剣持が送られた手紙を読んだとしても、ゲスな犯人同士がまだ醜い責任のなすりつけ合いをしている――と見るのが普通だろう。(金田一は剣持警部に手紙が渡っていたらもう一度必死に捜査しただろうと言っているが。)
まして、毒島の知る真実を記した手紙は多間木への告発そのものに他ならない。
どんなにゲスであれ、依頼者を売る行為は弁護士として違法行為である。(道徳的問題ではなく違法行為である)


二人とも全く更生していなかったという結果は重いが、弁護士としての湖森の立場も八方塞がりだったことには注意しなければならないだろう。
だが、彼は毒島の依頼人でもあるので、これはこれで私欲のために依頼人を売ったのと何ら変わりない。毒島に真実を告発する手紙を自分の立場上警察に渡せないことを話さず、手紙をもみ消してた行為はやはり正しいとは言えない。
このようなことをしておいて金田一に疑われた時に「弁護士である私を疑うとは」と自身の職業を盾にしているので、本気で過去の自分の行いを反省しているとは言い難い。


まりなと同じく剣道をやっていて彼女とのミッシングリンクを想起させ、しかも二期の過去作における犯人と同じく名前に「さんずい」が含まれているという、いかにもな犯人臭さを匂わせた今回のミスリード要員である。


  • 青井零児

最初から剣持を疑い、あまつさえ拳銃まで向けてしまい、読者の反感を買った。
そもそも刑事になったのも毒島達への復讐の為という意味合いが強く、隙あらば毒島を殺すつもりだった。
とはいえ、明智も認める通り剣持が状況上極めて疑わしかったのは間違いなく、彼の責任とは言い難い。
なにより、彼自身恋人を殺されたという意味では事件の被害者である
剣持への対応が良かったとは言えないが、それで彼を責めるのも酷な相談であろう。


ただし、事件関係者と個人的に特別の関係がある場合、捜査官は捜査から外してもらうよう上司に申し出なければならない(犯罪捜査規範14条)。
そうすると、青井が捜査を担当したのはルール違反であるし、青井が申し出たのに捜査をさせたなら上司にあたる明智に問題があると言える。


  • 多間木の父親

声のみの登場。多間木記念病院の院長。多間木自身事件が起きた時には父親への発覚を恐れており、かなり厳格な親父である様子。
心臓手術のプロらしいが、湖森の娘は残念ながら救えなかった。


息子が刑務所に服役することもなく、裁判でも早期に釈放される程度と認められたのであるから、息子は毒島に流されただけでその環境を直せば更生できると思うことは無理もない。
実際、事件後も湖森に指導させ電話もかけてくる、息子を犯罪に引っ張り込んだ人間関係を断ち切らせるために取引を打ち切るなどの手を打っていた。
病院長ならば多忙であり、多くの患者を抱えなければならない状況や心臓手術のプロとして多くの人を救ってきた代わりに息子には構いきれない中では手を尽くしたと思われる。
湖森が心臓手術が進まないことを恐れて握りつぶしたのも、勝手に不安を覚えてやってしまったことであり、父が何らかの圧力をかけたという訳ではなかった。
また、息子の将来を考えて高卒の資格を取らせるため、不動高校に新たに通わせるなどもしていた。


僅かな登場でも上記のような努力が垣間見えるだけに、父親が多間木の更生を心から願っていた可能性は高く、そんな父親の努力を台無しにして更生しなかった多間木のゲスさが際立つ。
ただ、厳格と言われながら更生が不可能と思えるまで息子が増長してしまったのもまた事実である。
元々の父親(&母親)の育て方がまずかったのか、父親の努力ではどうしようもないほどにゲスだったのか。それはこの作品からは分からない。


もちろん、父親が息子の本性に気づいていたのなら、3年前の事件の主犯が毒島でなく息子であることも見抜いていたはずなのだから、自分の子供に犯した罪を償わせないどころか、他人に罪をなすりつけたことも黙認した父親失格の人物ということになるが、作中で気づいていたことを示す演出は見当たらない。


彼の最大の過ちは、医者という最も命に対し真摯で向き合わなければならない仕事に就きながら、自分の息子にそのことを教え込めなかったことでは無いだろうか。


  • 十神えりな

毒島が姉の仇を取ってくれたのと同時に彼の真意を知り、少しは心が救われた。
物語の最初はゴミを見るような目で「毒島」と呼び捨てしていたが事件解決後は親しみを込めて「毒島」と呼ぶようになり、毒島に対する態度は劇的に変わった。
案外毒島が出所したら結ばれるかもしれない。
この娘には姉の分まで幸せになってもらいたいものである…。


  • 十神まりな

実は毒島に食事を奢ってもらったお礼にプレゼントされたストラップには録音機能が付いており、その中に毒島が無罪であることを告白する遺言を遺していた。
いい娘すぎる…。
もし青井ではなく毒島と付き合っていたとしても、幸せになれていただろう。


  • 剣持勇

やっぱりスケープゴート。
毒島の不甲斐無さを目の当たりにして、「やっぱりお前も共犯だ」と彼を殴ってしまう。
(まあ脅迫されてとはいえ、惚れた女を殺した相手と一緒にその死体を遺棄して事件を隠蔽しようとしたと聞かされたら殴りたくもなるだろうが、やはりアニメでは流石にマズかったのか毒島を殴った理由が変更された)
事件解決後は、刑事として復帰。刑事としてしっかり犯人を検挙していくことを改めて決意する。


しかし、刑事という専門職でありながら

  • ストラップの存在に気づき、出処に聞き込みにまで行っていながらその機能を見落とす
  • 無実の少年を自白させる
  • 一時の怒り任せて人を殴る
  • 最も罰されるべき少年に騙される

というコンボを盛大にやらかした点についてはいかんとも擁護できない。
作中で特に剣持が処分を受けた描写はない(このような事件に巻き込まれたこと自体が報いと言えなくもないが)が、一部の読者の剣持警部への評価に暗い影を落としている。
また、殺しをやったのは剣持ではないだけで既にこの時点で毒島の復讐対象とする意見もある。


ただし、毒島は事実を知った後は剣持を特に責めずに詫びているので、毒島個人的にはそのことは問題ではなかったのかもしれない。
毒島の父親が行方不明になったのは毒島に罪をなすりつけた多間木・魚崎だけだなく冤罪を作った剣持達警察の責任でもあり、もし自殺していたらどのように責任を取るのだろうか。


なお今回の事件で彼の捜査能力が殊更改悪された……というわけではない。
古参ファンは思い出してほしい。剣持が一と最初に出会った事件では少し現場を調べればすぐに殺人だとわかる事態において、彼は現場をロクに見ようともせずに事故と断定しようとしたことを。
この事件で無能化したのではなく、一と出会う前の彼は元々そんなレベルの無能ポンコツだったのである。
三年前の事件より以前に一と出会えていなかったのが剣持の不幸であり、毒島にとっても不幸であったと言える。



  • 金田一一

事件解決後毒島のところへ面会に行き、ストラップの録音機能からまりなが毒島が無罪であると告白していた事を教えるなど、従来通り犯人の心を救っている。その後この事を剣持警部にも伝えている。


この事件の黒幕であり、読者にとってはミスリード要員。
(剣持のような格好をして、何度か毒島と会っていた。毒島が高遠の姿を見て驚くシーンを入れる事で、犯人から狙われている、という錯覚を読者にさせる形になる)
牧師を装って面会した出所前の毒島を騙し*5、剣持をスケープゴートにするよう仕向けた。
かつて恥をかかされたリベンジか?)
謎解きの場にいなかった(っていうか、登場したのは毒島の回想シーンのみである)上、毒島が自分自身も復讐の対象にしていたので、『黒魔術殺人事件』に続き、今回は「死の制裁」は行わなかった。


本事件で彼がやっている事自体は外道そのものであるものの、『獄門塾殺人事件』に続いて、またしても法の手に負えなかった社会悪を暴いたことになり、結果的にダークヒーロー的な立ち位置になっているのがやりきれないところである(そのためか前回同様、彼のやったことについて「高遠GJ」と言う読者及び視聴者もいる)。
ただし、毒島に嘘を吹き込んで剣持警部を陥れた時点でやはり許されることではないが。


ちなみに牧師と偽って毒島に面会した彼は変装をしていない。つまり指名手配犯が堂々と中に入っていた事になる。警察は何やってるんだ。*6












【アニメ版】

◇原作との相違点

  • 一・美雪と多間木の初対面のシーンで、「多間木視点の描写」が存在する(その際、明らかに美雪の胸を凝視している)。
  • 青井が犯行に使われた銃の説明をする際に、多間木に銃を一時向けるシーンはカット。
  • 一に暴力を振るい去っていく際の多間木の台詞が「二十歳前に事件起こしといて、ホント良かったぜ~」に。その際、一が多間木に食い下がるシーンが追加。
  • 二番目の事件の後、多間木が死亡した事が明言される。ちなみに原作にあった火達磨シーンはカットされ、車が爆発するだけにとどまっている。
  • 被害者達の殺害シーンにて、まりなへの暴行の内容がオーバーラップされる。
  • 暴行シーンの回想で、加害者側が多間木と魚崎のみがシルエットで登場している。
  • 三番目の事件の現場検証に同行する刑事が青井から正野に変更。
  • 湖森弁護士の娘が亡くなっている説明はカット。
  • 毒島がアパートへ駆け付けた際の回想の一部始終(特に魚崎の拷問シーン)を省略。
    まりなの死ぬ直前の描写が不明確になっており、遺体も画面に映らないようになっている。
  • 剣持が毒島を殴り飛ばす理由が、「まりなが行方不明になってから探しだすのが遅かった」(「もっと早く探していれば助かっていたかもしれないのに…」と泣き崩れる)に変更。「お前も共犯者」というセリフもカットされている(このセリフは自分自身が作った冤罪を正当化しようとしているように見えてしまうためでは無いかと思われる)。
  • まりながストラップに録音していた毒島の無実を訴えるメッセージの最後に、「私の知っている毒島君は、真面目で真っ直ぐな人だから」と毒島の本来の人柄についてのメッセージを追加。



追記・修正は撃たれる演技をしながらお願いします。


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*1 ちなみに原作では「あれじゃもうおそらく助からない」とは言われていたものの、いつ死亡したかは明言されていない。
*2 この時点では多間木が死亡したことは現職の警察官が容疑者だったこともあって公開されておらず、それを知る事ができたのは警察を除けば現場にいた不動高校の関係者のはずだったため。
*3 嘘をついて罪を軽くしようとしたり、まして他人に罪を着せるような人間が更生する可能性など0であることは間違いない
*4 アニメでは描写されなかったものの、魚崎も回想でノリノリでまりなをバスタブに沈める鬼畜っぷりを披露している。
*5 項目冒頭の台詞はあっさり騙された毒島が「あいつら、ぶっ殺してやりてぇ!!」と言った時に言ったもの
*6 毒島と顔を合わせた時に素顔だっただけで、面会の手続きや出入り等するときは変装していたのかもしれないが。

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