登録日:2021/01/08 (金曜日) 09:56:40
更新日:2024/05/24 Fri 13:13:33NEW!
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リヴァイアサン revo 大塚英志 衣谷遊 終末を告げし獣 イメージアルバム
『リヴァイアサン 終末を告げし獣』(2005年3月2日発売、モモ アンド グレープス カンパニー)とは、Revoプロデュースで制作された、漫画『リヴァイアサン』のイメージアルバムである。
2020年12月にKING RECORDSから復刻発売されている。
●漫画『リヴァイアサン』について
(注:建て主は原作1・2巻と小説版しか持っておらず、『闇の紳士録』の原作回が分からないので、全編ご存知の方は追記お願いします)
『多重人格探偵サイコ』の大塚英志が原作、漫画版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で知られる衣谷遊が作画を手掛け、1999年~2005年に雑誌『電撃コミックガオ!』で連載された漫画。全12巻。
また講談社ノベルズ・電撃文庫から「ある作家が関係者から聞いた話」というスタイルで描かれた小説版(出来事の描写等がパラレル)も発売されている。
時はミレニアムの始まり、トルコ辺境の地「ギョレメ」で世紀末に消息を絶った5人の人間の中でただ一人、5人全ての死体から選ばれたパーツを繋ぎ合わされ*1数年ぶりに生還した日本人医師「三溝耕平」。
自分の身体を作る4人(内2人は女性)の要素から歪だが奇妙に綺麗な姿となり、「終末を告げに帰って来た」と嘯き「リヴァイアサン(終末を告げる獣)」にも擬えられる彼が戻って来た日本は、「移民」が増加し混沌と移民に対する軋轢が広がる奇妙な状態となっていた。
そんな中葬儀儀礼と心霊手術に長けた異能者と化した耕平や彼の元恋人の研修医「福山さつき」、ひょんなことから『ブラック・ジャック』のピノコの様に耕平と共にいるようになった幼女「飯田あかね」の周りで起こる、「移民」を巡るオカルティックな怪事件。
そして「東京」に潜む秘密と、それゆえに「東京」で「闇に近いものたち」と「光に近いものたち」が対立し策を巡らす中、彼らが巻き込まれる物語は…。
●概要
原作のエピソードをベースに、物語から想起されるイメージを歌やメロディーとして描くというスタイルで手掛けられており、Revo作品で言うと後の「Linked Horizon」活動に近い作風。
そのため曲の区切りとして「エピソード」、エピソードの終わりに原作で毎回ラストにつくロゴを再現した「Leviathan」というフレーズが挿入されている。
ちなみにアルバムと同時期に原作は終了しているのだが、アルバムの内容は原作4巻まで・クライマックスは3巻&小説版ラストの内容で終わっている*2。
●収録曲
- オープニングテーマ
1.March After Millennium
アルバム全体のテーマ曲であるインスト曲。作品が割りとグロ方向なのとは打って変わって明るい祭りの旋律となっている。
- エピソード1『終末を告げし獣』
2.辺境からの生還者(歌:RIKKI、ナレーター:若本規夫)
辺境より還りし男耕平の日本への帰還と、それと機を同じくしてさつきを襲う怪事件は、「現実」を入れ替える…。
原作1話のダイジェスト版的内容。若本語りが強烈である。
- エピソード2『ハルトゼーカーの小人』
3.少女曰く天使(歌:RIKKI、あかねの台詞:ゆかな)
父の顔を知らず、生前まだ見ぬ我が子を「天使」と呼んでいた母親の亡骸から生まれて来た(そして1週間で幼女に成長した)少女あかね。彼女は母を鳥葬で弔った男(耕平)に愛を感じ、傍にいることを決意する。
ヒロインの一人飯田あかねをモチーフにした歌。
4.メルトキアの女王
前曲と合わせあかね初登場回をモチーフとした楽曲でこっちはインスト曲。題名はあかねの母の故郷と、彼女がエピソードにある「ハルトゼーカーの小人」の女王だと耕平が例えたことから*3。
- エピソード3『闇の紳士録』
5.召喚という儀式(歌:Aramary、ナレーター:若本規夫)
19世紀のロンドンで起こる連続殺人と現代の東京に現れる多重人格者、闇に近い大使館で繰り広げられる紳士と車椅子の淑女*4の議論と決裂。そして民営化によるリストラで居場所を喪った男が、少年の囁きから「紳士録」を手に取る…。
RevoのメインフィールドSound Horizonに当時在籍していた歌姫あらまりを迎え、物語を語る様に紡がれる楽曲。
6.死刑執行(歌:Aramary、HAWK SPENCER)
「紳士録」から「殺人鬼」*5の名を選び、殺人者となった男。「紳士録」によって誕生した殺人鬼達を倒すため新宿署猟奇殺人課の刑事犬彦が立ち上がった!
前曲とは打って変わってスリリングな前半・問いかける中盤・アッパー系の後半からなるロックナンバー。歌い手の一人「HAWK SPENCER」は、エピソードラストのLeviathanコールを担当する円道一成氏の別名義とされる。
曲に登場する「犬彦」は『摩陀羅 転生編』等大塚氏の作品に複数登場する人物で*6、刑事設定初出の『摩陀羅 天使編』や転生編別解釈の『僕は天使の羽を踏まない』では苦い経験をしているが、本作では本来のやんちゃな面を見せている。
- エピソード4『なくしもの』
7.ブードゥーの心臓
ブードゥーの秘術で冥府より舞い戻った男は、「なくしもの」…自分の身体から奪われた臓器を取り戻すため凶行に走る。
原作の同名エピソードをモチーフにしたインスト曲。
- エピソード5『DayDream』
8.さつきの箱庭(歌:Geila Zilkha)
消息を絶った耕平を待つのに疲れ、心を病んだ薬漬けの駄目男と同棲してしまったさつき。
帰国してすぐ自分を助けてくれた元彼の元に帰れる程素直にはなれず、現彼の振るうDVにも耐えきれない彼女の心の行く先は…。
メインヒロインであるさつきの、原作でこの後幽体離脱してしまうくらい摩耗した現状を歌ったバラード。
ちなみに題の「箱庭」とは彼女の現状の暗喩であると同時に、モチーフになったエピソードに登場する「箱庭療法を薦める人物」から。だが彼の存在と真意は、彼女が「真実」を知る契機となる…。
9.砂の城(歌:Geila Zilkha)
さつきと耕平が直面してしまった「真実」、それは東京が既に…。
原作3巻・小説版クライマックスで明かされる「東京の真実」を示す楽曲。只小説版にてその直後耕平がさつきに問いかけた言葉からか、アルバム作者のRevoは曲ラストやライナーノーツにて「真実がどこにあるのか」をリスナーにゆだねている。
- エンディングテーマ
10.The Beast of the Endness(歌:おおたか静流、ナレーター:若本規夫)
「終末を告げる獣」…それが「東京」に示すものは。
「March After Millennium」のアナザーバージョンに当たるラストナンバー。
●ライブバージョン
本作は単独作品なのだが、2013年のライブ『Revo's Halloween Party』にて「召喚という儀式」後半~「死刑執行」のメドレーと「The Beast of the Endness」が披露され、BD『The Assorted Horizons』(初回限定版)に収録された。
ちなみに各エピソード最後のジングル音声(Leviathanコールを行う男性音声とエピソード名を告げるゆかなボイス)は差し替えられており、男性パートはライブ参加していたナレーターのサッシャ氏・女性パートは新録(担当不明)となっている。
- 「召喚という儀式」後半~「死刑執行」
女声ボーカルはLinked Horizonで『純愛十字砲火』を担当したDaisy×Daisy(MiKA)が同曲のアイドル衣装のままで勤め、ライブに参加した他の女性陣の内木村花代・栗林みな実(『Moira』のミーシャ姿)がコーラスを担当。
「死刑執行」の男声ボーカルは同ライブで披露されたサンホラCD『ハロウィンと夜の物語』のボーカル「The Halloween Night」が担当し、「死刑執行」前半では殺人鬼役となりショットガンを撃ちまくっていた。
…で、後半本来なら「犬彦」が登場する部分で、なぜかグラサンを掛けマントを外しベスト姿となった「ハロ彦」(The Halloween Night)とアイドルな「プリ彦」(MiKA)が刑事もののバディの様にピストルでポーズを決めあいデュエットし、
原曲で「行け、犬彦!(Go "The Dog")」となる部分で「Go "The アニキ!"」と、ちょうどライブに参加していた元「HOUND DOG」のギタリスト西山毅氏にコールする若干カオスな情景に。まさかRevo氏も原曲を書いた時、自分が白塗りグラサン姿で「死刑執行(Execution)!!」とか叫ぶことになるとは思わなかっただろう。
時は流れ2021年、『Sound Horizon Around 15周年記念祭』にて『Revo's Halloween Party』版ベースの「死刑執行」再カバー版が登場。
『絵馬に願ひを!』に登場するバイク乗りの学生「猿田犬彦」(演:DIAMOND☆DOGS所属の廣瀬真平)が男性パートでそのまま「犬彦」・同作で犬彦ルートとの選択式で登場するギャル女子高生「天野宮比」(演:石田彩夏)が「ギャル彦」となり、男性語りは仮面の「神社関係者」が担当した。
何せ歌い手が犬彦なので最初宮比から「犬彦!」とコールされた際は自分で反応したが、その後はまた「アニキ!」とこのライブにも参加していた西山氏にふっていたり。犬彦繋がりで『死刑執行』やらないかというファンの期待がマッハで回収される事にもなった。
- 「The Beast of the Endness」
こっちは前の2曲と打って変わって真面目に謳われており、『Marchen』のエリーザベトことJoelle氏が姫君姿のままで披露。ソフト版では歌詞に合わせたエフェクトも追加された。
ちなみに曲中の若本ボイスはサッシャ氏が代わりに担当している。
また未ソフト化であるが2008年のライブ『Dream Port』と2019年のディナーショーライブ『Revo's Acoustic Night』では「さつきの箱庭」が披露されていたという。
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- 原作漫画好きだったなぁ ブラックジャックのパク(ゲフンゲフン オマージュ隠さなくなった辺りはげんなりしたけど謎のフセインさんとか移民の意味合いや東京の真実辺りは楽しめたし -- 名無しさん (2021-01-08 19:00:25)
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*2 原作順に並べ替えると『終末を告げし獣』→『ハルトゼーカーの小人』→『なくしもの』→『DayDream』→『闇の紳士録』となる。
*3 ちなみにあかねが作中でピノコに例えられるのは立ち位置の他、母が多数の「ハルトゼーカーの小人」の種を畸形嚢腫として宿していた(≒女王)事から来ている。
*4 『辺境からの生還者』に名前が出てくる耕平とさつきの恩師で盲目の女性「菜々山」を指す。
*5 ちなみに曲中及び原作でその名として引用される「パトリック・ヘンリー・シェリル(殺人郵便野郎)」は、80年代のアメリカで実際に銃乱射事件を起こし自殺した郵便局員の事。
*6 さらに元を辿ると、『転生編』系列版の「犬彦綬陀矢」の「前世」である『魍魎戦記MADARA』の「聖神邪(ゲド・ユダヤ)」がルーツ。
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