ザ・留守録パニック!の巻(こち亀)

ページ名:ザ_留守録パニック_の巻_

登録日:2022/11/16 (水) 23:05:00
更新日:2026/08/23 Sun 15:46:46NEW!
所要時間:約 14 分で読めます



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「ザ・留守録パニック!の巻」は、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のエピソードである。
(あの「伝説の最終回」も読める)単行本第69巻に収録されている。


あらすじ

当時(1991年)、一般家庭での所持率が60%を超えるまでに普及した家庭用ビデオデッキに焦点を当てた回。


今やすっかり懐かしいものとなったVHS方式ビデオ。そんなビデオの録画予約を巡る騒動を描いたエピソードである。オチではお馴染み「武装おしおき」も登場。


あらすじ


いつもの派出所にて。
夜勤の寺井に業務の引き継ぎを済ませた大原部長。寺井にはついでにもう一つテレビ番組の録画も頼んでいた。


今夜はMHKで放送中の大河ドラマ「幕末の春」がついに最終回を迎えるのだが、この日は出張が重なったことと自宅の録画機が故障のため修理中であることから、急遽派出所にあるビデオで録画してもらうことになったのだ。
大の時代劇ファンである部長は「幕末の春」も毎週楽しみにしてきた。最終回に限って見逃すわけにはいかない。


そんな中、引き継ぎの内容も聞かずに麗子に金を貸すようせがんでいた両津を叱責(ついでに署内アンケートで『結婚したくない男No.1』に選ばれた点についても言及)し、部長は派出所を後にするのだった…。




その夜、時刻は間もなく深夜12時。
両津はいつものように本業もそっちのけで内職に熱中。
寺井はというと、裏の休憩室でビデオデッキを前に正座していた。



「何してんだよ!そんな所で」


「12時15分から録画するんだよ」



部長から直々に「幕末の春」を録るよう依頼された寺井。開始時間になり録画ボタンを押すまでスタンバイしているらしい。
タイマー録画機能もちゃんと付いているのだが、心配性な寺井は「もし録れていなかったら取り返しがつかない」と信用せず、手動での録画に固執する。


呆れた両津は寺井を一人にし、再び内職に取りかかる。
鉄道模型をハンダゴテで弄っていたところ、どうも電力が足りない。
既におびただしい量のタコ足配線にさらに2,3本のハンダゴテを繋げ無理やり火力増強。


しかし、次の瞬間…。




パッ


「ぬおっ!!」




電気を一度に使い過ぎたため派出所が停電に。
録画待機していた寺井が大慌てで駆け込んで来る。


ブレーカーを確認したところヒューズが完全に溶けきってしまっていた。針金で代用し一時は復旧するものの…。



ボン


「うおっ!」
「ぎゃあ!」



電熱器などのスイッチを入れっぱなしだったためまたもや停電。最悪なことにブレーカーも完全に焼けてしまい修理不可能に。


「えーっ どうするんだよ ビデオは!?」


パニック状態の寺井。番組開始まで残り一分しかない。


「最後の手段だ!」


突如両津はビデオデッキを抱え外へ飛び出す。電気を確保できる場所まで急行することになった。テレビはあくまで「受像機モニター」でしかないためビデオデッキさえあれば十分だと言う。
電源は自販機のコンセントを拝借。%%※立派な窃盗罪です%%


しかし、ここで電波を受信するための「アンテナ」がない事に気がつく。
長い針金による即席アンテナの先を寺井に電柱の上まで辿らせ、なんとか電波を拾わせる手段に出る。
テレビがない事には録画状態も判別不可能だが、一応終了時間まで録画させることに。




翌朝、朝一で電気屋に来てもらい派出所の電気も無事復旧。だが、肝心のビデオの中身は…。





ザーーー






「針金アンテナのチューニングがまずかったようだ!」


「ひえっ」



案の定というべきか、ブラウン管に「幕末の春」など影も形も無かった。


こんな事になったのも、元はと言えば停電を招いた両津が原因。泣きながらその事を激しく非難する寺井だが、対し両津は冷静な面持ちで寺井を落ち着かせ、こう答えた。


「ちゃんとこのビデオにおさめたということにすればいい」


「部長の見る前に何かが・・・おきればいいわけだ」


「やな予感がする」



不穏な一言を残す両津の作戦とは…。




夜の出張から帰って来た部長。
パトカーの中で部下達と「幕末の春」の話をしていたところ、「最終回は報道特別番組で中止になり、来週改めて放映されることになった」という話を聞く。
勤務中に録画を頼んだ寺井に「悪い事をした」と思いつつ、部長は派出所前で車を降りる。



部長の帰還に震える寺井、そして毅然とした態度で出迎える両津。



「昨日のビデオのことだが…」


「もちろん!バッチリ録ってあります!!」



想定外の返答に驚く部長。


「なんたって大切な最終回だものな!寺井!」


「ちゃーんとここに!」


「幕末の春の最終回が入ったビデオ」を誇らしげに見せる両津。




「そのテープに『幕末の春』の最終回が入ってるのか?」


「そうです!ちゃ――んと録りました!!」


満面の笑みでそう答える両津は、疑いの目を向ける部長にテープを手渡す。


部長が手に取った瞬間…。



「あっ! 押さないでください部長!」グイッ


「なに!?」


2人ともビデオを掴んだ状態で、突然「部長に押された」フリをして後ろに仰け反る両津。


「あ~~~~っやめてください部長!!」
「部長!!何をするんです!」


「テープが!テープが!!」


「部長ともみくちゃになった挙げ句中身のテープが引き摺り出てグシャグシャ」…という強引な流れを作る両津。もちろん部長は何もしていない。



「うわっあぶない!!」
ガシャッ


ついにはわざとストーブの上にテープを放り出し…。



ジュウゥ…


テープに引火、証拠隠滅である。



「おどろいた!何かうらみがあるんですかいきなり!!」


「わしは別に…」


状況を全く理解できず戸惑う部長を両津は激しく責め立てる。


「ひどいことするなァ!部長! せっかく録ってあげたのにパアにしてしまった!」


「オニ!悪魔!!不届き者!!」


落ち着きを取り戻した部長は、ひたすら因縁を付けまくる両津に問いかける。


「お前は最終回を見たのか?」


「もちろんですとも!見ながら録画したんですから!」
「あんなおもしろい最終回はなかったよ!な!(寺井に向かって)」


これに対しても両津は自信満々に答える。ところが…。



「じゃあいってみろ!!」



「えっ」


「どういう最終回だった?」





「え えーとたしか…男がでてきて…」
「江戸時代の話でしたね………ちょっと記憶が…」
「寺井くん どういう話だっけ?君詳しいよね時代劇!」


ただでさえ(雑学的な部分を除く)日本史には疎い上に、件の「幕末の春」についても「あんなつまらない超ドマイナーなドラマを観ているのは部長一人だけ」「一年間も観るのは拷問に近い」と徹底的に貶していた両津。最終回の内容など咄嗟の嘘でも答えられるはずがなかった。


「両さんあの…」


「そう黒船が出たんだ!!」


「もう…だめだよ」


消え入りそうな声で呟く寺井の声を掻き消すように両津はなおも誤魔化し続ける。


「そうだ!『証拠は燃えた』というセリフがでてきたな!そうだよ!」
『心配いらん』というセリフもあちこちにでて…」



(放送すらされていない)最終回など観ているはずがないことは誰の目にも明らかだった。
ここで部長は初めて「幕末の春」は中止になったと種明かしする。


「そうだ!!今思いだした!中止でしたよ!部長!」


「もうおそいぞ 手遅れだ!」



こうして隠蔽工作は全て筒抜けに終わった。
平謝りする寺井を快く許す一方、見苦しい言い逃れと嘘によってミスを誤魔化し通す両津には例の如く鉄拳制裁をお見舞いする部長だった…。


中川「いい訳すればするほどドロ沼だ…」






数日後、部長の家にて―――。



この日は待望の「幕末の春」最終回。
既に修理を終えたビデオデッキでテープ5本分も録り続けてきたこのドラマも今夜でついに見納めである。




時を同じくして、大原邸の屋根にアンテナを細工する怪しい人影が2つ…。



「両さん やめようよ!」


「だめだ!やるといったら絶対やる!」



あれだけ絞られて黙っている両津ではない。復讐を決行すべく(なぜか寺井を巻き込んで)部長の家に忍び込んでいたのだった。


「自作のすばらしい番組を見せてやる」





そんな事とはつゆ知らず、間もなく始まる「幕末の春」に備えビールを注ぐ部長。
いよいよ、テレビとビデオデッキの録画スイッチを入れる。


一時画面が映らないという事態があったもののすぐに復旧し安堵する部長。




しかし。






「どうも部長!」


「うわっ」



両津の顔がドアップで映る。



「な なんで両津がテレビに……」


うろたえる部長に、テレビの両津から重大発表が告げられる。




「今夜は『幕末の春』の予定でしたが めでたく中止です!!」





「これから報道特別番組


『両さんのおげれつテレビ』

が始まります!」




「まずは部長のキライなおげれつビデオのフルコースをどうぞ!!」


いや~~ん ばか~~ん うふ~~ん


ブラウン管には、大河ドラマとも報道特番とも程遠い過激な映像が…。


「いやぁ素晴らしい!次はオカマさんたちの水泳大会で~~す!!」





「幕末の春」が観られなかったばかりか、両津のあまりにも卑劣な仕返しを受け、怒り狂う部長…。


「くそ~~両津の奴、家にまで仕返しに来るとは…」



そして夜が明け――。













「両津の大バカ者はどこだ!!」





「両津!でてこい!!」




甲冑姿・二刀流の部長が派出所へ乗り込む姿がそこにあった……。




「寺井さんと長い旅へでると電話がありましたが…」


◆アニメ版


アニメ版「こち亀」では第65話「留守録シンドローム」のタイトルで1997年12月21日に放送された。正確には当該回と、同じくビデオ録画を題材にしたエピソード「音声予約でコンニチハ!の巻」(単行本75巻)のストーリーを合体させたエピソードである。


「停電→録画失敗→復讐→武装オチ」という基本的な流れは原作通りだが、後半の復讐シーンは「音声予約…」をベースにしている。


原作との主な相違点

  • 「幕末の春」のタイトルは「幕末の花」に変更。新選組副長・土方歳三を主役とした作品であるなど作品内容も少しだけ明らかとなっている。視聴率も30%超えの人気番組とのこと。「大河ドラマ」とは一言も言われておらず、番組前にCMらしき映像が流れる事から民放ドラマのようだ。
  • 冒頭、部長の機械オンチぶりが炸裂。ビデオデッキが故障した原因もリモコンに疎い彼の当てずっぽうな操作によるもので、他にもエアコンやミニコンポも同時に故障させている。デッキが壊れた弾みで最終回直前回の録画もパーになった模様。
  • 以前からブレーカーのヒューズに針金を代用した事になっており、一回目の停電で既に復旧の目処が立たなくなった。

盗電による屋外録画時にはポータブルテレビも携行。リアルタイムで映りが確認できるようになった。

  • アンテナには捨ててあった傘を代用。寺井の代わりに両津が電柱に登り一時は電波を拾うものの手を滑らせ感電、そのまま落下。原作よりは健闘したものの録画は失敗に終わる。
  • 証拠隠滅の手段がストーブでの焼却から、路上へ放り投げトラックに轢かせるというものに変更。
  • 最終回が延期になった事実を部長が知るきっかけが少し遅く、テープが破壊され両津に責め立てられた時点では本気で動揺していた。その後、麗子と中川の証言により事実が発覚する。
  • 部長からゲンコツこそ喰らわなかったものの、追い詰められた弾みで製作途中のEF58形鉄道模型が破損してしまう。原作では散々罵倒された事に腹を立てていた両津だったが、アニメ版ではこの事が両津の復讐心に火を点ける最大の要因となった模様。
  • 部長への復讐に寺井は一切関わっておらず、全て両津一人で実行している。
  • 復讐映像の冒頭は最初「幕末の花」から入るも土方に扮した両津により「幕末の鼻」と化し、お下劣ビデオの題も「幕末のケツ」と称して水着女性の ヒップカットと喘ぎ声になった。
  • 両津の逃亡先と目的が「南極へシロクマを見に行った」というものに変更された。



ちなみに、オチでは原作と同じく鎧武者姿の部長が派出所へ殴り込みをかけるのだが、実はアニメ版こち亀で「武装おしおき」が行われたのは後にも先にもこの回のみである。







追記・修正時には、途中で停電になってPCが落ちたりしないようご注意ください。


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