金田一少年の決死行(金田一少年の事件簿)

ページ名:金田一少年の決死行_金田一少年の事件簿_

登録日:2012/02/08 Wed 01:38:40
更新日:2023/08/12 Sat 19:28:32NEW!
所要時間:約 17 分で読めます



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必ず見破ってみせるさ!


名探偵と言われた俺のジッチャンと


俺自身の誇りにかけて‥‥!!



金田一少年の決死行とは、金田一少年の事件簿での事件の1つであり、金田一少年が遭遇した事件。Case7上下巻収録。全16話。*1
92年に始まったシリーズ第一期最終作。
テレビドラマでは第4シーズン(neo)第5話・第6話として2014年8月16日と23日に、テレビアニメでは「R」第26話~第29話として2015年10月3日~24日にかけて放送された。


長編シリーズでは珍しくタイトルに「殺人」は愚かそれを仄めかすキーワードすらも使われていない。(他に殺人と付かないのは殺戮のディープブルーくらいである)
アニメ「金田一少年の事件簿R」第2シリーズでは、原作とは逆に最初の事件となった。
(『R』1期から数えると10番目)
容疑者リストの順番は上段が左からマスクマン、藤井、松岡、四之宮で、下段がフォン、ジャン、ナン、チャウ(チャン)でバックはR共通。


登場する怪人は「巌窟王」。







【ネタバレ注意】










【あらすじ】
香港ツアーの広告でマスクマンという怪しげなマジシャンの広告を見かけた金田一。高遠の可能性を疑い、いつきの手配で香港へと飛び立つ。
また、明智警視もこの広告に気付き、単独で香港へ向かっていた。


しかし一は旅先のキングドラゴンホテルでマスクマンに催眠マジックを掛けられ、その夜死体となった藤井と共に発見された。
さらにその後、美雪と李刑事がホテルの旧館で一が明智警視を刺す場面を目撃してしまう。心当たりの無いままに次々と殺人の疑いを掛けられる一。
これは催眠マジックで目覚めた殺人願望なのか? それとも何者かの罠なのか…?



【事件関係者】


  • 藤井文香

CV:魏涼子/演:伊藤裕子
宝石商。32歳。ゴテゴテ身に付けた宝石があくどい雰囲気を醸し出す女性。いつきとは雑誌取材で縁がある。
一番目にキングドラゴンホテルの一室で死亡。ガイドブックによれば刺殺。名前の由来は藤井フミヤ?


  • 四之宮徹

CV:武虎/演:駿河太郎
古美術商。35歳。痩せぎすでガラの悪そうな典型的な殺され顔。
神山ほどではないが、商売はあまりうまくいっていないらしい。
巌窟王が閉じ込められていた廃墟ホテルで、喉をナイフで切られて死亡。藤井や松岡と何か過去にやらかした模様。
ドラマで演じたのは笑福亭鶴瓶の息子である。


  • 松岡修治

CV:楠大典/演:KREVA
金融ブローカー。38歳。2人同様悪人顔で、羽振り良さげなサラリーマン風。
一と龍道を監禁して仲間を殺した犯人を探ろうとしたが、裏路地で何者かに頭と胸をを撃たれて死亡した。
亡霊学校殺人事件』の松岡修吉と同じく、名前の由来はもしかしなくても修造だが、『ゲームの館殺人事件』の登場人物と違って同名ではなかった為か、ドラマとアニメ共に名前は変更されなかった。
ドラマ版ではIT投資家となっている。演者はラッパーのKREVA。


  • 江健一(ジャン・ジェンイー(けんいち))

CV:新垣樽助
原作版とアニメ版で大きく設定の異なるキャラ。
【原作版】
日本語新聞の中国人記者。23歳。いつきの知り合い。
日中ハーフで5歳まで長崎に住んでおり、日本語も流暢に話せる。
空港で一行を出迎えたり、犯人を出し抜くため偽記事を書いたり、地味に協力してくれていた良い人。
麗晶とは恋人関係であるが、最後は真面目にやったのに報われてないちょっとかわいそうな人になっている。
【アニメ版】
「キングドラゴンホテル」のフロント支配人。
麗晶とは恋人関係にはなっておらず、王オーナーの愛人と疑い問い詰める場面もあるなどかなり気難しい性格に変更された上、
原作版とは違ってほとんど目立たず空気である。
悪人でないことは確かだが、単なる憎まれ役に終わっており、これはこれで報われずちょっとかわいそうな人。


  • 南麗晶(ナン・レイチン)

CV:井上麻里奈/演:美波
王オーナーの美人秘書。23歳。美雪からも「綺麗な人」と評されている。
原作版では江とは恋人同士の関係だが、アニメ版ではその設定はなくなっている。
王オーナー自身の希望で「キングドラゴンホテル」に招かれたが、本人とは殆ど会ったこともなく、素顔も見たことがない。
王オーナーの愛人か隠し子ではないかと噂されていたが…
実は物語の重要なキーを握っていた。(後述)
ドラマ版では「南麗子」という名の日本人に。


  • 香胡蝶(フォン・フーティー)

CV:松浦チエ
童顔巨乳なマジックショーのアシスタント。22歳。
催眠術に掛かった一に抱き付かれ、ぱふぱふされた。
うらやま死刑。
ちなみにぱふぱふの場面はアニメでもカットされずに放送された。
アニメスタッフが自重しなかったのである。GJ


  • 周龍道(チャン・ロンタオ)

CV:釘宮理恵/演:高橋楓翔
ホテルのボーイを務める10歳の少年。
マスクマンのサクラとして登場したところ一に目を付けられ、その後殺人犯の疑惑を掛けられた一と行動を共にした。
ドラマ版では「道場龍(みちばりゅう)」という名の日本人で、「子供コンシェルジュ」としてホテルで職業体験をする少年になっている。
元は養護施設にいたが、そこから逃げ出し一人暮らしをしていた。
アニメだと声優や中国訛りのせいで某万事屋のチャイナ娘を思い出した人もいるとかいないとか。


  • 王劉仁(ワン・リュウレン)

「キングドラゴンホテル」オーナー。
事件の3日前から身代金目的で誘拐されている。
包帯で顔を隠した素性不明の人物。
ドラマ版では「王子弘一郎」という名の日本人に。


  • 神山

CV:西村太佑/演:林泰文
松岡達のグループのメンバー。
分け前を食い潰して落ちぶれていたことや、元来の小心者な性格もあって、高遠が潜伏していた教会へ懺悔に来てしまい、罪を白状した後に毒入りの聖水でコロッと殺された。
旋盤に巻き込まれた際に出来た、特徴的な傷が右手にある。
登場早々退場するが、脅迫プレゼントやトリックなどに有効活用される。
ドラマ版では下の名前が「康介」と設定され、元・投資コンサルタントとなっている。
高遠を洞窟の中へ案内したが、巌窟王からの不意打ちで殺害された。


  • 狩谷周平

CV:松山鷹志/演:半海一晃
狩谷純の父で大学教授。当時29歳。にしては物凄く老け顔である。
松岡曰く自己中心的で、「缶コーヒー1本でもケチる」ほどの吝嗇家。
本編では既に死蝋と化していた。
純は当時10歳だったことから、19歳ですでに父親だったことになり、大学教授であるためこのときまだ学生であったため、妻とは学生結婚だったと思われる。また、20代で大学教授になるのは現実的に考えてほぼ無理だと思うのだが…。


  • 友利圭

演:佐藤二朗
神奈川県警刑事。李の代役のドラマ版オリジナルキャラクター。
警察なのだが、元ヤ○ザなんじゃないかと思いたくなるほどガラが悪い。
状況が状況だったとはいえ、一を頭から犯人と決めつけた。
それは一の推理によって真犯人が暴かれる瞬間までその考えを変えることはなく、一しか犯人はいないと断定し、一を早く逮捕したいがために身の潔白を明かすための事件の調査の時間をわずか9時間しか一に与えなかった。
これは原作版で言うと、初期の長島警部のようなキャラクターである。


  • 川上剛史

演:川上剛史
催眠術師。ドラマ版のみ登場。実在の人物であり、[[まさかの本人出演。>本人役(配役)]]
ただし高遠が変装した偽者。



【主要人物】


毎度お馴染み主人公。本編二度目の冤罪逃亡。
香港で知り合った面々が何故か自分のいる場所で次々に殺されていく。
犯人が後追いで殺した金田一少年の殺人と異なり、今回の殺人は一の近くで発生した。
ちなみに髪を下ろした姿はこの作品が初である。
高遠に電話で負けを認めろと迫られた際には「バカ言ってんじゃないよ~♪」と『3年目の浮気』の歌詞で切り返し高遠を動揺させる。
そして「高校生相手に連敗してる犯罪芸術家気取りはどこのどなたでしったっけ~!?」と啖呵をきった後で、ジッチャンと自分自身の誇りに賭けて必ず事件の謎を解き明かすと記事冒頭のセリフで宣言していた。


毎度お馴染みヒロイン。
一の無実を信じて帰りを待ち続けた。
グランドフィナーレでは一とキスをする。


ロリコンジャーナリスト。
マスクマンの広告を見つけ、一に香港行きを提案。飛行機なども彼が手配した。


1コマだけ登場。死後は主に幽霊となってコマの端に出ていたが、今回はフルサイズで登場。
幽霊となり、手にビデオを持って一の背後でニヤリと笑っていた。
アニメ版では生存しているため、他の事件と同じように一と美雪に同行する。


一と美雪に同行。「竜太兄さんが出たらセンパイが犯人にされる」と言う能天気な発言を行ったら、その後本当に一は犯人にされた。
事件発生中は目立たなかったが、最後の重要な場面でビデオが謎解きの手掛かりとなる。
また、グランドフィナーレでは最も重要な2人のファーストキスの場面で勝手にビデオを撮影している。


一の危機を知って香港へと飛び立ち、一をサポートし続けた。
ドラマ版ではオーナー誘拐事件の捜査でホテルにいたところ、原作の明智の役割を担ったため胸を刺されて死にかけた。


単独で香港へと飛び立つが、高遠に拉致られ巌窟王に刺されて死にかけた。
どうにか一命を取り留め、車椅子に座っていつもの推理力を披露。


  • 正野刑事

剣持の部下。
香港で明智が刺されたことと、その容疑者が一であることを剣持に知らせる。


上海魚人伝説殺人事件にてお世話になった刑事。28歳。
上海公安局から香港警察に異動になった。マンガ版では初登場。
王オーナー誘拐事件の捜査でホテルにいたために偶然遭遇。殺人容疑の掛かった一を追い詰めるが、その真意は一の保護と護衛だった。
アニメ版では後述の李白龍刑事が彼の代役として登場し、ドラマ版では舞台が変更されたため未登場。


CV.千葉一伸
アニメ版のみ登場。香港九龍財宝殺人事件のゲストキャラだったが、アニメでは李波児の役回りとして登場している。
李波児が10年以上前に出てきたゲストキャラで、視聴者には分かりにくかったのでこれは良い配慮と言えるだろう。ちなみに台湾警察所属の彼がどうして香港の事件に関与しているのかについては特に言及されていない。
原作では上の香港九龍財宝殺人事件にしか出てきていないが、アニメ版とドラマ版(獄門塾殺人事件に登場。)では出番が増えた。
(なお、アニメ版についてはどちらも香港の事件で第1話である。)


一の親友。
李波児刑事同様にマンガ版初登場。日中合作映画の撮影中に偶然遭遇。事件解決のため一に最後まで協力した。


人気アイドル。
たまたま香港で日中合作映画を撮影していた。小龍が連れてきた一をかくまってささやかに協力した。


マスクマンと言うマジシャンに扮して広告を出し、一を香港へおびき寄せる。
本編では巌窟王の復讐に協力する傍ら、一に殺人犯の濡れ衣を着せて追い詰めていく。
直接電話をしてきた際には「負けを認めれば助けてあげよう」と告げるが、逆に一の闘志を燃え上がらせることになる。


余談だが、流石に一のぱふぱふは予想外だったらしく、マネージャー時代以来のギャグチックな表情を見せていた。


ドラマ版のみ登場のレギュラーキャラクター。
オカルトミステリー研究会部長ゆえに催眠術に興味をもち一たちに同行。身体を張って剣持生存のメッセージを伝えた。


  • 畠山高徳

剣持の部下。ドラマオリジナルキャラクター。
誘拐事件の捜査に関わっていたが、剣持が刺された後は友利と同様に一を犯人と断定し行方を追う。
工業地帯で一と出くわすと容赦なく拳銃を取り出し、警察を撒こうとする一を執拗に追った。











【以下、事件の真相】













俺、日の当たる場所で普通の人間として生きたかったんだ……。


友達や、愛する人の近くで――。


  • 周龍道

この事件の犯人「巌窟王」
彼の正体は松岡達によって12年間防空壕跡に閉じ込められていた日本人青年・狩谷純。
父の狩谷教授が防空壕跡で見つけた金塊を独り占めしようとしたため、松岡による金塊強奪計画の巻き添えとなった。
極限状態の環境下に置かれて12年間成長が止まっており、実年齢は22歳なのだが外見は10歳当時のまま殆ど変わっていない。まさに見た目は子供、頭脳は大人状態
にわかには信じられない話だが、明智は「マリー・アントワネットが投獄され、一夜にしてストレスで白髪になった」という伝説を引用し、人間は極限状態におかれるとそういうこともあるとこの説を肯定した。
太陽の光を浴びられなければ成長ホルモンの分泌も鈍るだろうし、まともな食事や運動もする機会もなかったであろうから、おかしな話ではない。
それを利用し、防空壕跡に残っていた金塊で巨万の富を得、復讐の舞台としてキングドラゴンホテルを購入。自らは中国人の子供として行動し、無警戒のターゲットを次々に殺害した。
鏡を使ったトリックで、美雪たちの目を錯覚させるために、別室にいる一があたかも明智を刺したかのように見せかけた(一が持っていた凶器と血の付いた凶器をすり替えたトリックは不明)。また、藤井がいたと思われたエレベーターで鏡と赤い服、マネキンの脚を使い、一緒にいたと思い込ませられた。
一は龍道から見せられた1年前の写真で、香港返還後のはずなのに領事館にイギリス国旗が掲げられていたこと、地下壕に本来あるはずの子供用の靴がなかったことから、龍道が幼いころの姿で成長が止まった純だと見破った。


一を逃がしていた理由は、濡れ衣を着せて犯人に仕立て上げるためである。
しかし一と接する内に情が湧いてしまい、高遠に「これ以上一を犯人に仕立て上げるのはやめてくれ」とまで頼んでいる(当の高遠に拒否されたが)。
松岡殺害時に一の持っていた銃とは全然違う銃を使っているが、これは一に先手を打たれたと言って良く、ミスと言えるかどうかは微妙である。
本来なら松岡殺害時は一が現場にいたことだけ目撃させれば良かったのだが、一は無実の証明と証拠保全のために銃を謎解きの場までずっと持ち歩いており、狩谷の想定を超えていた。
普通の高校生なら拾った銃器を用もなくいつまでも持ち歩くほうがおかしいため、これは完全に予測不可能と言って良く、誤魔化すためのフォローを入れ損ねるのも当然と言える。
一方、高遠は高遠で、変わりつつある彼の姿に感慨深げな表情を見せていた。冒頭のセリフはその時のものである。(だが同時に彼曰く「嫌な予感」がし始めていたらしい。)


なお王オーナーの正体であり、さらには麗晶とはかつて香港で出会った、互いに初恋の人であった。
狩谷が暗闇の中でも必死で生き延びたのは、再び彼女と出会えることを信じていたのもある。
麗晶も狩谷のことは覚えており、正体が判った時には涙を流して声をかけている。


原作版においては、狩谷の回想によると父親の周平はとんでもない外道であり、地下にある金塊欲しさにホテルを放火して何人もの命を奪っている。
自分はともかく父親に関しては自業自得だったのではないかとも語っている。


罪を認めた直後に高遠によって劇場の照明を落とした際に毒入りのダーツを喉に刺され、病院に搬送された。その後は無事一命を取り留めた模様。
相応の苦痛は伴ったようだが、高遠に唆されたとはいえ復讐対象とは無関係の明智にまで重傷を負わせたことを考えるとこのくらいは仕方が無いのかもしれない。


事件後、警察病院に入院。大量の血液を投入されたことにより、一命を取り留め、更に極限状態から解放されたことで年相応の身長へと急成長。声変わりも始まった。
本人曰く、「生死の境を彷徨って、もう一度生まれ変わったのかもしれない」。
彼のお見舞いに訪れた麗晶はその姿に嬉し涙を流し、純を抱きしめた。



  • 藤井文香
  • 四之宮徹
  • 松岡修治
  • 神山康介

12年前金塊目当てで狩谷周平とその息子の周龍道(狩谷純)を防空壕跡に閉じ込めたクズ達。


いわゆる「魔が差した」と言う感じではあったとはいえ、よくよく考えてみるとなんともゲスい事をしでかした被害者たち。
放火魔の周平はともかく、故意ではないとはいえ何の罪もない当時10歳の純(龍道)を閉じ込めたのはいただけない。


主犯は松岡だが、監禁している一達に食糧を買ってきたりいざとなると一達に過去の罪を全て自白したりと、根っからの悪人ではなかったことが伺える。
過去の罪に関しては、「バカな事をした」「今でも自分が信じられない」と後悔の念は持っていた。
その懺悔とある意味哀れな姿は、純(龍道)に長年こびり付いていた復讐心に「俺は本当にこいつらを殺したかったんだろうか」という疑問を持たせたが、彼はもはや後戻りすることはできなかった…(既に2人を殺害している事や、松岡が純(龍道)の顔を思い出してしまったため)
松岡はもしもこのとき顔を思い出さなかったら、命だけは助けてもらえたかもしれない。
なお、監禁致死の時効は10年であるため、この罪で逮捕・起訴することはもう不可能。*2


藤井と四之宮は罪悪感を抱いているかは描かれなかったが、アニメ版の藤井は子供の純まで閉じ込めようとすることは良しとしない発言をしていた。


神山は神父に懺悔しに行った為、4人の中では、もっとも罪悪感を抱いていたが、その神父である高遠の手で殺害されることになる。
相手が高遠でなければ、死なずにすんだのに(まぁ、相手が高遠だったからこそ、純は外の世界に出れたのだが)。


4人とも同窓だったらしいが、やけに歳が離れている。



  • 狩谷周平

この事件の元凶。
金塊目的でホテルに放火し、何人も死亡させながらもなんの罪の意識も抱いていないドクズ野郎。
その上、普段から教え子への態度が横柄だった上に超のつくほどの吝嗇家だったらしく、教え子たちを「教授は本当に分け前をくれるのか」という疑心暗鬼に陥らせることになった。
ぶっちゃけ巌窟王が誕生したのはこいつのせいである。
アニメでは金塊の在り処を見つけてから人が変わってしまったと言う設定になった。
被害者の犯したこともかなりのものだが、コイツに関しては自業自得・因果応報であったとしか言いようがない。


一応弁護しておくと、作中にはコイツがホテルに放火したことを決定づける描写はない。
あくまでも電話の様子から純が「おそらく間違いない」と語っているまでである。
だが仮に放火が無実であったとしても、炎上するホテルを前に、それも息子との会話で「チャンスだ!」と言い放つ有様は人間として崩壊しており、同情の余地がないことに変わりはない。


ドラマ版では放火の件がカットされ、純(龍)の話によれば息子を生かすために一切食料を口にしなかったなど、原作よりはいくぶんかマシな人物として描写されている。
ただし、松岡たちを手伝いに駆り出した上(自身の名前を利用することを教え子たちに許可したことで、彼らの調査がやりやすくなったという点はあるが)、金塊の在り処を調査しそれを直接特定したのは松岡たちであるのに、「お前たちに分け前はやらん」と宣言するばかりか、それに反発する松岡に向かって「お前らみたいな三流学生の言うことなんか世間の連中は信じると思うか」という、今のご時世で言うところの『アカデミック・ハラスメント』にあたるひどい言葉を浴びせた。
このようにやはりどこか人間的に欠落した部分が見受けられ、その点において全くもって同情できないのはそのままである。
そこだけ見ると松岡達の方に同情すらできてしまうほど。
あるいは、松岡たちへの暴言は大量の金塊を目の前にして一時的に欲に目がくらんだ結果であり、普段はそれほど悪い人間ではなかったとも考えられるが、その場合は大量の金銭を得られるという欲望に人格が飲まれてしまった哀れな人間とも言える。





【事件とは別の真相】

  • 南麗晶

実は狩谷純(周龍道)の幼馴染であり、互いに初恋の人
純との出会いは、10歳の時。
彼の父親である周平が上述の教え子4人らとともに香港へ来た際、日本語を喋れたことから香港市内のガイドを担当したことがきっかけである。
彼らと何日間も行動を共にするにつれて、純とは互いに恋愛意識が芽生える。
家が貧乏のため市内ガイドを務めることで生計を立てていたが、
日本が好きで本当はもっと勉強したいということを、純には密かに打ち明けていた。
それを聞いた純からは「日本に来て自分に会いにくればいい」と彼の住所を教えてもらい、「約束」を意味する指切りを交わすなど、半ばプロポーズ並みの愛の告白を貰っている。
アニメ版でのこのときの二人のやりとりは、両名の中の人の演技力も相まって、子供ながら大人顔負けのニヤニヤ甘酸っぱいので必見である。
その翌日、純は上述の通り、4人によって地下壕に閉じ込められ地獄の日々を送ることになり、
麗晶は何年も純に手紙を送り続けるが、当然、中の身である純に一度も手紙が届くことはなかった。
事件解明の最中、事件を解決に導く鍵となった写真に写っている少女が麗晶本人であることを金田一らに明かす。
純に問いかけ、純も麗晶をずっと覚えていてくれたこと、そして当時から変わらず麗晶を愛し続けていたことを打ち明けられ、喜びの涙を流した。


事件後、入院中の純を何度もお見舞いに赴き、急成長した純を見て嬉し涙を流しながら彼を抱きしめた。
原作版では恋人の江がいるため、その後どうなるかは不明(おそらく状況的に江はピエロになるだろう…ドンマイ)だが、
アニメ版では江とは恋人同士ではないため、失われた年月を埋めるかの如く純との愛を育んでいくに違いない。


なお、アニメ版では後日談として麗晶が近況の手紙を送り、明智経由で金田一に手渡された。
麗晶からの手紙の内容を見た金田一と美雪は嬉しそうに笑っていたところで物語は幕を閉じている。


純も麗晶も忌まわしい事件により十数年間引き裂かれたわけだが、幼い頃からの純愛を貫いた結果、見事再会を果たすことができた。
辛い思いをしてきた分、彼らには是非とも幸せになってほしいものである。


  • 剣持勇

実は香港で活動していた剣持は高遠の変装。
無事に救出され、逃亡しようとする高遠に手錠をかけ、最後の最後で活躍した。



  • 高遠遙一

巌窟王が罪を自白すると、彼を殺害しようとした。
剣持に変装したがちょっとしたミスで一に正体を見破られて追い詰められ、呪いの言葉と共に高層ビルから飛び降り自殺を遂げた…。












     *      *   *     +  うそです      n ∧_∧ n  + (ヨ(* ´∀`)E)       Y     Y    *



…ように見せかけて再び剣持警部に変装。
日本へ逃げようとしたがそれを見抜いた一と明智、そして救出された本物の剣持警部によって逮捕された。
この逃走を一が見抜いた理由が、ある意味マジシャンとしての彼を褒める様な内容(あくまで「マジシャンとして」だが。)だと知った高遠は、少し嬉しそうな顔をしながら敗北を認め、一番下に書かれた言葉を言い残して、連行されていった…。


後に金田一&明智が高遠と再会するのは、獄門塾殺人事件になる。



ドラマ版では剣持の部下・畠山高徳(演:宮下純一)に変装。
一に銃を向ける際の利き目の違いから正体を見破られる。
小型爆弾付きの矢を投げ、爆破スイッチを盾に逃亡した。



【グランドフィナーレ】
金田一少年の事件簿第1期最後のエピソード。決死行の後語りの更に後語りで、金田一少年の事件簿を締め括る真の最終回となっている。
ある日帰宅した一の元に差出人不明の手紙が届き、内容を見るや否や一は突如として旅行を決意する。
しかし費用が足りないため、同居人のフミ、知り合いの警察関係者、不動高校ミス研の仲間、更には速水玲香やたまたま出会った怪盗紳士からまで一口500円のカンパを集め、母親からも小遣いを前借りして目標額を達成する。
玲香は数万円規模の大金をカンパしようとしていた。それをもらっていたら目的金額に余裕で到達できたが、いくら親しいといえど貰いすぎと思い流石に断っていた。


そしてたまたま風邪を引いて寝込んでいた美雪の元を訪れ、別れの挨拶とファーストキスを交わしたあと、自転車でどこかへと旅立っていった。
なお、このとき単行本には「第1期完結」と書かれており、作者もこの時点で既に「また会いましょう」的なことを書いている。
以後なんやかんやで復活するのはアニヲタ諸君もご存知であろう。


過去の作品で登場した刑事さんたち。一への旅費をカンパしてくれた。
猪川警部以外は何度か登場した人達で、猪川警部も登場作品でストーリーに非常に深く関わっている(そして俵田警部と長島警部はこの作品の後に発表された作品にも登場する)。


ご存知一のライバル。
タクシー運転手に変装して一に近付き、リターンマッチを申し込みに現れる。
しかしこの時一は旅に出ようとしていたため勝負をパスされ、さらに盗んだ依頼料の代わりとして友人同然の扱いで旅費のカンパを払わされた。
その前に、行灯の制作費と、車と料金メーターをどこから調達したのか小一時間問い詰めたいが。


ご存知フミ。
一に毒を吐きながらも、一への旅費をカンパした。


  • 島本麻衣

フミの友人。
金田一家に遊びに来ていた。
帰宅した一に挨拶したがフミに「あんなやつに挨拶なんてしなくていいよ」といわれた。



【謎解きについて】
ストーリーや設定は大掛かりな一方で、トリックに関しては割とシンプルな部類。鏡を使って犯行現場を偽装するなんてのは最初期の頃からやってることだし。
犯人についても、赤い服の女とエレベーターで乗り合わせていたり、一の行く先々で殺人が行われているのだから、ほとんどの読者は真っ先に一と行動を共にしていた龍道に疑いを向けたはず。最終回故のサービス問題ってことなのだろうか。
ただ、如何せん12年間成長が止まったという異常状態には思い至りにくいのでそこでハマってしまった人も多いだろう。



【余談】
上記の通り、最終作ということでノベルス関連のキャラや話題も何度か出てきた。
ついでに今回は「マンガじゃ初めて」や「最終回なのに」と言うメタ発言がかなり多い。


事件エピローグの後には「グランドフィナーレ」と言う「金田一少年の事件簿」を締め括る最終回エピソードがあり、一はこのラストである人物からの手紙を受け取ったことをきっかけに自転車の旅へ出ていった。
また、最終シリーズということで、本編かグランドフィナーレで殆どの準レギュラーや、懐かしの刑事さん達が登場している。


更に、このシリーズが連載された当時はアニメの放送が終了しており、その後のアニメ化は吸血鬼伝説以降の新作を優先したため、10年以上映像化されなかった。
ドラマ版で放送されたのは原作発表から13年後、アニメ化に至っては14年後となった。


アニメ化されなかったエピソードが10年以上経ってからアニメ化されると言うケースは非常に珍しく、オムニバス形式の長期連載作品、かつアニメ1期と2期の間が10年以上離れている『金田一』ならではのものだろう。



なおこの作品のアニメ化により、金田一少年の事件簿のCaseシリーズの長編は無事に全作品のアニメ化が完了した。



また、作中で明智の口からマリー・アントワネットが白髪になったことが語られているが、これは『ベルサイユのばら』での出来事であって、実際の彼女は白髪になっていない。



【ドラマ版】
◇原作との相違点

  • 舞台を香港から国内(神奈川県川崎市)に変更。それに伴い、香港人だった人物も全員日本人に変更されている(連ドラのスケジュールと予算の都合&山田版は初回SPで香港の上海に訪れているので舞台被りを避けたのだと思われる)。
  • 冒頭にオリエンタルラジオ・藤森慎吾が国語教師役で登場し、一へのお仕置きがゲンコツから巌窟王の感想文に変更されている。
  • 催しをマジックショーから催眠術ショーに変更。一たちはミス研に贈られたショーのチケットで直接招待される。
  • 一に催眠術をかけるのに高遠が扮するのはマスクマンから川上剛史に変更。
  • 江健一、香胡蝶(に相当する人物)は登場しない。そのため、ショーの際に一が抱き付こうとするのは藤井文香になっている。
    (なお、原作ではしっかりと抱き付いているが、ドラマでは避けられている)
  • 藤井文香殺害後一を発見するのは剣持警部。一を見つける場所も廊下から厨房に変更され、一は包丁を所持していた。
  • 明智警視は登場しない。それゆえ、刺されるのは剣持警部に変更。
    • ちなみに本放送時、同日放送のアニメ版では「剣持警部の殺人」が放送されていたため、二連チャンで剣持警部が大変なことに…
  • 明智(剣持)が刺される事件で刑事や美雪達が現場に来た理由が異なる。原作では美雪達は李刑事、李刑事は巌窟王に呼ばれたが、ドラマでは美雪達は一、友利刑事は剣持に呼ばれた。
  • 神山は高遠と共に洞窟へ行き、そこで巌窟王に刺殺される。
  • 松岡達に送られたのが神山の右手から遺体の写真に変更。
  • 金塊を遺したのは旧日本軍から財閥に変更。
  • 12年前の金塊発見時、
    原作では「(狩谷教授のドケチな性格から考えて)分け前をくれないのではないかと危惧した松岡が先走って狩谷教授を攻撃した」ことになっていたが、
    ドラマでは狩谷教授が自ら「分け前はやらない」と公言したために閉じ込められた、という形になっている。
  • 美雪と佐木が一と再会する場所は龍の家。
  • 狩谷純の12年前の年齢が「10歳」から「14~15歳」に変更。すなわち現年齢は「22歳」から「26~27歳」に。
  • 明智(剣持)生存を伝えるメッセージは「偽の新聞記事内にモールス信号で『私は死んでいない』」から
    「偽のニュース中継に真壁が持っている『剣持生きてる』のアナグラム『地検も来ている』と書かれたスケッチブック」に。
  • 工業地帯での逃亡劇で一が高低差のある建物から飛び降りるアクロバティックなシーンが追加。一を追ってきた畠山も飛び降り一よりもきれいに受け身をとっている。さすが元トップアスリート。
  • 証拠となる写真の背景の矛盾について、「香港返還後のはずなのに領事館にイギリス国旗が掲げられている」から
    「2年前(2012年)のはずなのに2003年に完成したはずのキングドラゴンホテルが映っていない」に変更。
  • 高遠は剣持の部下の畠山高徳に変装している。正体を見破られた後、小型爆弾付きの矢を投げ逃亡を図った。
  • 松岡が死亡する現場を工業地帯に変更。またその場面を市民に目撃されていない。
  • 松岡殺害に使われた拳銃は原作では22口径の小型拳銃だが、ドラマ版ではトカレフに変更。また、金田一は松岡の拳銃をホテルへ持ち帰っていない。
  • 謎解きの際一と美雪の2人で行うマジックショーを変更。
  • 純(龍道)は正体を明かした後に原作では一人称が「俺」に変わるが、ドラマ版では「僕」のままである。
  • 一は純(龍道)が正体を明かした後も純のことを狩谷ではなく「龍」と呼んでいる。
  • 美波(麗晶)が純の面会に来るシーン、純の身長が伸び声変わりするシーンはカット。
  • グランドフィナーレに関連するシーンはカット

【アニメ版】
◇原作との相違点

  • 巌窟王が閉じ込められた年が12年前から18年前に変更。そのため狩谷純の現年齢も「22歳」から「28歳」に変更された。
  • 冒頭の神山殺害シーンはファイル3で高遠の回想として流れる。
  • 冒頭の授業シーンはカット。
  • 狩谷と高遠の遭遇シーンで会話を大幅に省略・変更。
  • 藤井や松岡が後悔するシーン、純が戸惑うシーンをカット。
  • 金田一達と同行する佐木はR1期に引き続き佐木竜太。
  • 金田一がマスクマンのショーを知ったきっかけはネットのCMを見たことに変更。
  • いつきの代わりに剣持警部が同行する。
  • 江が記者からホテルフロント支配人に変更。
  • 周龍道の読みを「チャウ・ロンタオ」に変更。
  • 李波児の代わりに李白龍が登場。
  • 脅迫プレゼントの中身に18年前の4人の写真も同封されている。
  • 玲香・小龍は登場しない。
  • 金田一が高遠と電話をする場所が松岡に監禁された倉庫内からキングドラゴンホテルに変更。またその際金田一が「3年目の浮気」の一節を歌う場面も大人の事情でカットされた。
  • 王オーナー(純)の指示書が見つかった後、原作では「麗晶はオーナーの愛人か隠し子ではないか」という噂がホテル内に流れ、戸惑う麗晶を江が励ますが、アニメでは江が前述の噂と同様の内容を麗晶に問い詰める。
  • 一の方から松岡に食事を買ってくるよう頼んでいる。
  • 写真の矛盾を指摘するタイミングが純(龍道)の靴の前に変更。
  • 決定的証拠となるケチャップの付いたハンカチのくだりはカット。
  • 高遠は自ら正体を明かした後に毒入りのダーツを用いて純(龍道)の始末を図る。
  • 剣持警部の安否確認はカット。
  • 高遠自殺偽装からの展開がカットされ、代わりに事件解決後、一と美雪が警視庁にて明智から高遠の遺体が偽物だったことが明かされるシーンに変更。また、偽物の遺体が神山のものだと明言されていない。
  • 麗晶からの手紙は明智から手渡される。
  • ドラマ版同様グランドフィナーレに関連する場面はカット。

File.5相当のエピソードをFile.4までに収めたので、かなりカットが入っており、原作発表からアニメ化まで14年も掛かったため、時代背景の変更に合わせて各所の設定もあちこち変更された。
原作では大団円と言う目的も兼ねて8年間に出てきたキャラ大集合の要素が多く、速水玲香など敢えて申し訳程度の出番を用意されたキャラも多かったため、設定の細かい変更やカットが多いのはやむを得ないだろう。
R1期ぐらいから見始めた視聴者でも分かるような構成にはなっているものの、可能な限り原作を損ねないように配慮されている。




……なるほど これが敗北の味というものか!


そう悪くはないな…


いずれ味わうメインディッシュの 少々苦い前菜だと思えば……


ククククク…


ーいずれ またお会いしましょう お2人さん
その時まで………


Good Luck!





追記・修正は香港or川崎の街を逃げ回りながらお願いします。


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  • 栄養不足と日光を浴びなかったことで小柄になることはあっても老けず子供の顔のままなんて無茶苦茶すぎる -- 名無しさん (2021-05-27 15:56:21)

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*1 マカジン連載当時は『金田一少年の最終事件』名義だった。
*2 ただし、松岡は拳銃を不法に所持していたため、銃刀法違反で逮捕される可能性はある

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