ガンダム・エアリアル

ページ名:ガンダム_エアリアル

登録日:2022/10/28 Fri 07:41:28
更新日:2024/06/27 Thu 10:59:31NEW!
所要時間:約 13 分で読めます



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責任なら、勝って果たします。


私とエアリアルは…


あんなのに負けません!


あんなのだとぉ……!?



画像出典:機動戦士ガンダム 水星の魔女 第1話「魔女と花嫁」2022/10/2放送分より ©創通・サンライズ・MBS



機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するモビルスーツ(MS)で、本作の主人公機。



型式番号:XVX-016
頭頂高:18.0m
重量:43.9t
製造:シン・セー開発公社


パイロット


デザイナー:JNTHED



●機体概要~魔女のモビルスーツ~

スレッタがアスティカシア高等専門学園に編入する際、水星から持ち込んだMS。
白を基調に青、黄、赤を組み合わせた装甲色、額とこめかみ付近から生えた2対4本のブレードアンテナ、双眼型の頭部センサーが特徴。
また、頭頂部や胸部、大腿部などには半透明の黒いカバーがあり、時折内側に赤い線状の光が灯る。
エアリアルとは「大気」を意味し、風の精霊を指す言葉としても知られている。


スレッタにとってエアリアルは長年共に水星で過ごした家族同然の存在で、少なくとも彼女が4歳の頃には存在していたとみられる。
公式サイト掲載の小説『ゆりかごの星』では11歳の彼女と共に人命救助も行っていた。


内部ストレージには大量の娯楽メディアが保管されており、幼いスレッタはその中のデータで暇つぶしをしていた。
中には『ゲーム』という名目の本機の操縦シミュレーターとみられるものも存在していた模様。
学園に持ち込まれるにあたって学園側の定めたレギュレーションに合わせてコクピット周りを改修しているらしく、
本編開始時点でコクピットコンソールには学園生徒手帳のデバイスを装着するブロックが設けられており、
起動時にはここに登録されているスレッタの生徒手帳を装着する必要がある。
といっても生徒手帳がありさえすればスレッタ本人以外でも起動や操縦は可能(一応、生徒手帳の貸借は校則違反である*1)。



基本構造は他企業のMS同様、人体を模した関節をEMT(電動モーター)で駆動させるものだが、ガンプラHG1/144の説明書の記載によれば、その性能をフルに引き出せるのはスレッタのみであるとされる。
実際、第1話でミオリネが無断借用した際には、動かしたりビームライフルを撃ったりという操縦こそ出来ていたものの、
本人のスキルの低さもあってか、たどたどしい動きしかさせられず、ビームライフルを撃てば反動で右腕を吹っ飛ばされて情けなく転ぶなど、本当に「一応動かせる」範疇であった。





エアリアルはガンダムではありません。

我々シン・セーが開発した、新型ドローン技術です


その正体はGUNDフォーマットを採用した『呪いのモビルスーツ』、GUND-ARM。
かつてその危険性から現ベネリットグループ総裁にして監査組織カテドラル統括代表、デリング・レンブランの主導で根絶され、
本編時点ではカテドラルの協約によりその運用を凍結・禁止されている代物である。
しかし、対外的にはその事実は隠されており、学園にも「エアリアル」の名で登録されている他、
そもそもパイロットであるスレッタ自身もエアリアルをガンダムだと認識していなかった。またしても何も知らないスレッタ・マーキュリーさん(17)
ベネリットグループ御三家の一社・グラスレー社が提示した本機の稼働データでは
『パーメットの流入値は基準を超えているものの、GUND-ARM最大の懸念点であるデータストームは検出されていない
との結果を弾き出しており、審問会に出席していた面々をざわつかせた。
6話で本機を一時借りたエランがPMETスコア2でリンクした際には機体も反応しており、おそらく何らかの形でGUNDフォーマット由来の技術を用いていると思われるが、
他のGUNDフォーマット搭載機のような不快感やパーメットの発光反応が確認出来ないなど差異も少なくない。


製造元はアスティカシアを運営するベネリットグループ内において、売上高の序列が157社中151位の弱小企業、シン・セー開発公社。
が、それを示す企業のロゴ等も入っておらず、特徴的なシルエットもあって生徒達からはスレッタ独自のハンドメイドの機体だと思われていた。
そのCEOであり本機の開発責任者でもあるスレッタの母・プロスペラは、審問会でのデリングの問いに上記のように答え、シラを切り通している。
しかし、ダブスタクソ親父ことデリングは「私がそう決めた」と本機をガンダムと断じた。言ってる事が滅茶苦茶である。
またエアリアルはガンダムで自分は魔女なのかとの娘・スレッタからの問いにも「スレッタとエアリアルは違うわ。私の娘だもの」と答えており、あくまでガンダムではないとしている。
どこぞのガンダム馬鹿がこの流れを見たら何を思うのだろうか(尤も、彼の拘る『ガンダム』とはMSのことではないのだが)


そんな本機の姿はかつてフォールクヴァングで開発され、行方不明となったガンダム・ルブリスに酷似している。
共通点としてパイロットと機体間で膨大な情報処理を可能とする制御端末・シェルユニットを搭載。GUNDフォーマットの稼働レベルが一定以上になることで赤く発光する。
一方でルブリスと異なる点も多く、そちらと比べると


  • 頭部ブレードアンテナ並びにシェルユニット増設*2
  • 各部スラスターの近代化
  • 下半身を中心とした装甲増加
  • バックパックの小型化
  • ビットオンフォームの配置変更
  • GUNDフォーマットを介さずに操縦が可能

と、カラーリングを除いても汎用性を高め、機体構成が実戦向けに再構築されていることが分かる。
いずれにせよ、本機とルブリスには何らかの関係があることは間違いないと思われるが、正確な関係性は現時点では不明。


そもそも資金もインフラもモビルスーツ技師の登録履歴もない水星でどうやって本機を組み上げたのか、学園側では全くつかめていないのが現状である。
第5話では、スレッタが入寮した地球寮のメンバーがエアリアルを分解整備するシーンがあるが、
その際オジェロは「(構造が)複雑すぎてわけわかんねえ」、ヌーノは「(システムは)神業レベルで統合されている。一級エンジニアをどんだけ動員したんだか」と述べており、
エアリアルの開発には高度な技術力が投じられたことがうかがえるのだが……


他にも謎が多い機体であり、現時点でも、


  • ガンプラ各種に付属する謎の赤いカメラアイ及び後頭部カメラのシール
  • モニター上のOSのバージョンの記載が『Ver E.S.』と読める*3

といった不穏な要素が作品内外問わず提示されている。
これらが意味するものとは一体…?



なかでも創作関連でもっとも有名なのは、シェイクスピアを代表する喜劇の1つであり、氏の最後の単独執筆作とされる『テンペスト』の登場人物だろう。
ストーリーの概要としては、


『ナポリ王アロンゾーとミラノ大公アントーニオの一行を乗せた船が難破して島に流れ着く。
島に住んでいたのは魔術と学問を研究する父プロスペローと娘ミランダの親子だった。
プロスペローはアントーニオの兄であり、12年前に追放されたことに対する復讐の手始めとして、
しもべの妖精エアリアルの力で嵐を起こしたのだった。
プロスペローはナポリ王子ファーディナンドと娘を恋仲になるように仕向け、試練を乗り越えた王子を娘の婚約者として認める。
一方で、アントーニオはアロンゾーの暗殺を企て、プロスペローに恨みを持つ怪物キャリバンもプロスペローを亡き者にするために暗躍する。
エアリアルの機転によって彼らの計画は阻止されたのだが、混乱と窮地に立たされたアロンゾーの一行を見たプロスペローは復讐の虚しさを悟り、彼らと和解。
一同をナポリへと送り届け、娘と王子の結婚を見届ける。同時にエアリアルを自由の身にする』


要所要所で本作と似通った展開や名称が散見されるため、モチーフの1つになっていると推測されるが……。



●武装

  • ビームライフル

シリーズお馴染みの携行火器。
長めの銃身に丸型スコープと伝統的な意匠を持ちながら、レールガンよろしく2枚のパーツの間からビームが発射される開放式バレル型の銃口をしている。
バックパックに携行することも可能で、必要に応じて自律的に推進し、手に収められる便利機能付き。
後述のガンビットを銃口に装着することでロングバレル化する他、高出力のビームブレイドを展開可能。


  • ビームサーベル

こちらもお馴染みの近接兵器。
背部バックパックに二基装備されている。
グリップ部分のセンサーと連動し、ビーム刃を発振する。


  • ビームバルカン

頭部に配置されたバルカン。
シリーズ全体を通しても珍しく、ブレードアンテナよりも上に配置されている。


  • エスカッシャン

本機最大の特徴である、『ガンビット』と呼称されるビットステイヴ11基で構成された多目的攻防プラットフォーム。
プロスぺラは新技術によって制御される「ドローン」と称しているが、その本質はGUNDフォーマットを採用した次世代群体遠隔操作兵器システム。


待機状態では機体の各部にパーツのように装着され『ビットオンフォーム』と呼ばれる状態となり、エアリアルの機動力・防御力を強化させる。
そして一度展開されれば青き紋様をたなびかせながら縦横無尽に飛び回り、ビームキャノンで攻撃を行う機動砲台となり、オールレンジ攻撃を実現する。


また、全機を合体させて腕に取り付ければ大型シールドである「コンポジットガンビットシールド」を形成してより強固な防御力を発揮し、
ビットオンフォームは前述の機能の他に本体からの電力や推進剤の急速補給を兼ねる。
なお、「コンポジットガンビットシールド」形態は宇宙世紀のガンダム作品でお馴染みの「Iフィールド」と同じようにビーム射撃兵器への耐性が高く、
ビーム兵器が主流となっているA.S.(アド・ステラ)の世界では非常に優位な装備である。ただ、実体弾への耐性があるかは不明。


全体的にフィン・ファンネルを彷彿とさせる攻撃・防御・牽制・援護を単機で賄えるスーパーウェポンであり、
一部で主人公の初期機体に載せちゃいけない代物と言われていたが、第1話の決闘で実際その通りになってしまった。
完全な初見殺しの様相を呈しており、機体性能差もあったとはいえ、長きに渡りホルダーの座についていた横恋慕さんもといグエルは何も出来ずに自身のディランザを達磨にされてしまっている*4


上述の通り、プロスペラはこの装備について「ドローン(技術)」と称しているが、同じく無線誘導兵器であるダリルバルデのサブアームや、
エアリアルと同じ「ガンダム」であるガンダム・ファラクトのガンビットと比べると、非常に滑らかで有機的な動きをするのが特徴*5
また、ファラクトとの戦いでは、ファラクトのガンビットの攻撃によって動きを止められた端末を(スレッタが指示をしたとはいえ)救助しようとする等、
ただのビットではなく、まるで一基一基に意思があるかのような動作が見られた。


なお、オープニングや本編放送前に公開されたPV、ガンプラ等の立体物では発振されるビームの色は青になっているが、現状本編劇中では緑のみになっている。
1期終盤で、この緑ビームは威力を抑えた決闘用仕様であったことが明かされた。実戦仕様に機能制限すると青色になりさらに威力が増すが、緑色でも十分な威力はあるし人命を奪うことも不可能ではない。


  • オーバーライド

第6話でのエラン戦で突如発動した機能。
エアリアルを囲んだ11基のビットステイヴが蒼白の光を放った瞬間、ファラクトのビットが機能を停止。
光を浴びたファラクト本体も何らかの干渉を受け、エランが苦痛に呻いている。
それだけではなく決闘の様子を中継していた周辺のカメラや通信設備にも影響を与え、一時的に機能不全に陥らせてしまった。


第9話でのグラスレー寮戦ではアンチドートによってGUNDが封じられた中、スレッタの決意に呼応するかのようにガンビットが再起動。
多面体のフィールドを形成し、内部のアンチドートの制御を乗っ取って強制停止させた。
この後エアリアルのシェルユニットは青く輝き、スレッタはビットの分の視界も得たかのような超反応を見せている。


後に、グラスレー戦ではエアリアルとスレッタのパーメットスコアが6に達していたこと、パーメットスコア4以上はアンチドートが通用しないことが明かされたが、
エアリアルとそのビットの秘密については2nd Seasonへ持ち越しとなった。


追加装備

  • フライトユニット

第6話でのエランとの決闘において、宇宙空間でのファラクトの高機動力に対抗する為にニカ達地球寮の面々がDIYで用意した追加装備。
バックパック部分に覆いかぶせるような形で取り付けられた中央部と、その左右に接続された二基のフレキシブルスラスターユニットで構成されている。
中央部とスラスターユニット後部にメインのスラスターが配置され、左右ユニットの側面に内蔵された展開式の補助スラスターとの連動で機敏な挙動を可能とする。
また、装備位置が重複しているビームサーベルはスラスターユニット下部に収納する形にして装備されている。
なお、名義は「フライトユニット」であるが、飛行機能を付けるユニットではなくあくまで高機動ブースターのような役割と言ってもいい。


戦闘中に一瞬の隙を突かれてファラクトの射撃を受け大破したものの、この装備のお陰でエアリアルは機動力で上回るファラクトを相手に互角に渡り合う事が出来たといっても過言ではない。


しかし、元々は倉庫で埃をかぶっていたジャンクパーツを寄せ集めて修理したものだったため*6
決闘時の機動性を目の当たりにしたニカは何らかの違和感を抱いているようなそぶりを見せていた。



● XVX-016RN ガンダム・エアリアル改修型

グラスレー寮との決闘にて左腕・左脚の喪失等の大ダメージを修復すると共に強化改修されたエアリアル。
あまりにも損傷が激し過ぎて、地球寮では技術的にも予算的にも修復は不可能だと判断された事で、シン・セー公社に修理を依頼する事になったという事が、プラモデルHGの組み立て説明書にて明かされている。


装甲やスラスターが増設されており、特に上半身がよりマッシブなシルエットに変化。頭部形状とアンテナの変更により鋭くなった目つきも相まって、より「戦闘向き」であることがうかがえる容貌となった。
カラーリングも赤い部分が大きく減らされ、ディープブルーが主体となったトリコロールに変更。
改修前は追加装備だったフライトユニットが標準装備となっており、11基のビットステイヴ全てをビームライフルに連結させる機能も追加された。
この形態は「ガンビットライフル」と呼ばれており、通常のビームライフルよりも遥かに強大な威力を発揮させる事が可能。
大きく様変わりした外見に「歴代のガンダムらしい外見になったけど、エアリアル特有の特徴が薄れてこれはこれで寂しい」との声も。
ちなみに色合いから「機動戦士MOONガンダム」の主人公機のムーンガンダムに似ているとか、G-UNITの機体っぽいと言う声も。
なお新型ビームライフルは連結しなくても出力が大幅にUPしているようで、ダリルバルデのダヤ・アンビカー(改良されたシールドドローン)を一発で溶解させている。*7


2nd Seasonでは12話では見せなかったオーバーライド機能も発動させているが、相手のGUNDフォーマットを無力化するだけでなくガンビットの制御権を乗っ取ってエアリアルの意のままに使役するという主人公ロボにあるまじき性能を発揮。
更には対象がGUNDフォーマット非搭載機のビットでも制御権を強奪することが可能、それどころか一定範囲内であれば有人機すら操れてしまうという事まで判明している。
レンブラン夫妻が密かに進めていたクワイエット・ゼロの、夫妻が想定する機能(兵器を全て制御下に置くことで戦争を起こさせないようにする)を体現したような機体であるが、
唯一にして最大の弱点は有効範囲が比較的限定されているという事で、これまではビットステイヴが形成するフィールドの外の兵器には影響を与えられなかった…はずだった。
だが、その弱点も21話において無人MSのガンドノードにデータストーム・ネットワークを中継させる事で遂に改善されており、クワイエット・ゼロの制圧検挙の為に大量に出撃した、連合議会の最新鋭機である大量のカラゴールを一瞬にしてオーバーライドしてしまった。


1st Seasonから通して決闘仕様レギュレーションが採用されていたが、19話でプロスペラの操縦によって地球に赴いた際に、ミオリネには何の相談も無しに遂にレギュレーションが解除された*8事が示唆されている。



●戦績

(エアリアルだけではなくこの作品のMS全てに言えることだが)活躍自体は少ないものの、スレッタの卓越したパイロット技能と追い詰められたらエアリアルの中身がやりたい放題するおかげで戦績は良い…というより、
決闘では最後の一戦を除き無敗、実戦でも20話時点で実質的に負けなしという脅威の戦績を誇る。
唯一の敗北である最後の決闘においても決め手となったのは裏工作であり、全ての機能を最大まで活用したエアリアルに真っ向勝負で勝てるMSは居ないのではないかとさえ思わせるものとなっている。




●機体性能

上述の通り、本編でのチートもとい獅子奮迅の活躍から相当な性能があると思われるのだが、実はGUND-ARMが無ければ並みか少し機体性能が高いぐらい。*9*10
武装もオーソドックスでエスカッシャンを除けばバルカン、ライフル、サーベルの3種類と極めてシンプル。


Season1での決闘もダリルバルデ戦においては、鍔迫り合いに押し負けてビームライフルを持った右腕を切断される*11、ファラクト戦ではフライトユニットを駆使しても追いつけず被弾してパージ。
アンチドートによって一時的にエスカッシャンを封じられたグラスレー寮戦では左腕を失い、頭部破壊をギリギリ避ける形で右上半身が半壊、その後に真の力を発揮するも最終的に左足を切断されて戦闘不能となり、機体の全面改修を受ける事になってしまった。
総じて言うと攻める分には非常に強いが、守勢に回ると脆いといったところか。*12


この機体を(性能面で)唯一酷評したのがヴィム・ジェタークで「時代遅れのガンダムが我が社のダリルバルデに勝てると思うなよ」と語ったが、これはヴィムや他の人物からすれば至極もっともな言い分である。
というのもエアリアルはスレッタが幼少の頃から作られており少なくとも10年以上前の機体*13、しかもGUND-ARMの技術に関しては21年前に封印された代物である。
つまり10年以上前の「旧式」が当時NO1シェアを誇った会社が作った「最新機」に挑んだのだからヴィムの心情も良く分かる言い分である。


逆にシステム面に置いては神業レベルで統合されており*14、現代のAIよりも遥かに優れていると思われる。
つまりガンダムの名に相応しく、この機体を特別足らしめているのは良くも悪くもGUND-ARM故であることが分かるだろう。
というか10年以上前の旧式が最新機、しかも複数の機体相手にすら優位に立てるということを踏まえると、如何にエアリアルのGUND-ARMが馬鹿げた性能をしているかの証左でもあるのだが…
改修型は前述の通り基礎スペック事態引き上げられていると思われるが、それでも無茶苦茶な強さの根幹はオーバーライド……というか「エアリアル」そのものであると思われる。



●その機体に宿る意思?


もちろん、一緒にいるよ。

だって僕らは、家族だから。



公式サイト掲載の小説『ゆりかごの星』によれば、どうやら明確な意思があるらしく、実際第1話ではモニターがスレッタの呼びかけに応じているかのような反応を見せている。


グエルとの最初の決闘では、そもそもスレッタとミオリネにはパイロットとしての技量にかなりの差があると目されることを抜きにしても、
それぞれの搭乗時で露骨なまでに性能が違ったため、視聴者から「スレッタ以外が乗るとやる気がなくなる」等とネタ混じりに邪推されている。
しかも本機にスレッタが乗り込んだ途端、「コミュニケーションモード」のシステムがオンになっていることから、搭乗者の判別もしている可能性がある。


スレッタの事は大事に思っており、同時に自分の開発者であるプロスペラが娘を復讐の道具にしようとしている事も知っている。
学園行きが決まった直後はスレッタに逃げてほしいと思っていたが、スレッタが「逃げれば一つ。進めば二つ」の信条を元に進む事を決めたことを受け、
エアリアルもその意思を汲み、スレッタが失うものよりも多くのものを手に入れられるよう、彼女と共にいる事を決めた。


そんな本編での挙動や小説『ゆりかごの星』、それを原作とした第一クールOP主題歌『祝福』の内容に触れ、
感情移入を強めた一部視聴者からは『エアリアルくん』と敬称付きで呼ばれ、「スレッタとミオリネの関係に気ぶるエアリアルくん」等のFAが描かれることに。
もっとも、『ゆりかごの星』における描写が「本編内にも反映されていく描写」か「擬人化としての描写」かは現状明確にはされていない。


また、本編外での話になるが、Youtubeで公開されているショートアニメ『ガンプラくん』では、本機をSD化した『エアプラくん』が登場。
初代ガンダムを模したガンプラくんが握手を求めるも、そっぽを向いて拒否してしまっている。
その様子が上記の要素と相まってキャラと合致しているとの意見もある模様。
実際には極度の人見知りならぬプラ見知りで、尊敬するジムプラくんを前に緊張してしまいアームが動かなかったそうな。


エアリアルの意思の正体は『PROLOGUE』に登場したエリクト・サマヤそのもの。
幼い彼女は水星の過酷な環境に耐えられず落命してしまったが、『PROLOGUE』に登場した白いガンダム・ルブリスと完全に同調しており、
彼女の母であるエルノラ・サマヤ……後のプロスペラ・マーキュリーの苦肉の策としてルブリスのデータストームに彼女の生体コードを移し、データストームの中だけではあるがエリクトを存命させられるようにしたのである。
つまりガンダム・エアリアルはガンダム・ルブリスの改修機にして、エリクトの新たな肉体でもあるのだ。


後にスレッタの前に姿を現したエリクトはスレッタがエアリアルと共に歩んだ記録を追想しており、その際に「僕」と名乗っている事から『ゆりかごの星』の描写とも一致する。
(スレッタの誕生年からして『PROLOGUE』から数年は存命であったと思われ、その間に一人称が変わったものと思われる)
プロスペラはエリクト(エアリアル)をパイロットの介入なしで自由に動けるようにするための計画を進めており、その大目標が「パーメットスコア8」であった。
ちなみに初期からスレッタが会話していたのはエリクトその人であるのだが、スレッタとしてはそれがまさか自分そっくりの少女だとは全く思っておらず、あくまでエアリアル(MS)を家族と定義して会話していた。
「きょうだいは居ない」と発言していたのはこのためである。


この事実をエリクトから聞かされ、色々あって地球寮の仲間達にカミングアウトしたスレッタはそれ以降エアリアルを「エリクト」と明確に呼ぶようになっている。



●立体物

流石に主人公機なだけあり、ガンプラ、フィギュア、食玩、ガシャポンなど様々な媒体での立体化が決定している。
ガンプラではHG1/144スケールが本編放送開始前日の2022年10月1日に発売したのを皮切りに、
SDEXスタンダード版が同年10月15日に、2023年4月に1/100スケールFULL MECHANICSにて発売された。


HG版

発光する胸部シェルユニットを、表面に予め模様が転写されているインモールド成型*15で再現。
また、クリアパーツの裏に貼るために粘着面に絵柄が印刷されたダブルサイドシールといった新技術を採用している。ただその太もものシールを貼る難易度が鬼畜なのは内緒
エントリーグレードや同じくBANDAI SPIRITSが展開している30 MINUTES MISSIONSシリーズなどで培われた技術も活用されており、組み立てやすさと色分け、可動性を両立。
特に頭部に至っては組み立てるだけでシール無しでカメラアイまで再現してしまう凄まじい色分けを実現。要はいつもの楽しい刻を創る変態企業バンダイである
ただしビームサーベルとビームライフルのエフェクトの色が青色なので、劇中の決闘シーンを完全再現するには下記のスコア6仕様から緑色のビームサーベルを流用する必要がある*16


ビットの分離、合体ギミックも再現されており、シールドモードやオンビットフォームも忠実に再現可能。
ただしビットの展開状態を再現する為の台座は付属せず、2023年1月に発売された別売り台座「ウェポンディスプレイベース(¥税10%込で550円)」を入手する必要がある。
しかも11基のビットステイヴをフルで展開するにはディスプレイベースが2つ必要と、時勢的に複数買いが厳しい状況では難易度ハードな仕様。
入手出来ない場合にはコトブキヤから発売されているプレイングベースAなどを別途用意すれば代用出来るのだが、
このキットが発売されてからコトブキヤオンラインショップにおいて、それまで潤沢に在庫があったプレイングベースAが一瞬で完売するという異常事態が起きてしまった。考える事は皆一緒か。
中には100円ショップで材料を買い集めてベースを自作した猛者もいたそうだが、その100円ショップで買える材料さえも一部の店舗で即完売してしまうという異常事態までも起きてしまった。やっぱり考える事は皆一緒か。


なお、センサー及び目の部分に貼るシールは、通常の緑色に加えて赤色を選択できる。第1クールでは目やセンサーが赤く発光する事はなく、エアリアル自体も大きく改修されたのだが、第2クールでその謎の回収を期待する声も多い。


ちなみに同キットは発売に先駆けた同年9月29日からプレオープンを含めた四日間に渡り、東京・新宿で開催されたイベント「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」にて、
来場者の中から抽選(福引などのガラポン方式)で毎日400名にその場で無料でプレゼントされた。羨ましい。


2023年1月にはフライトユニットも発売。商品名は「ミラソウル社製フライトユニット」。
接続するにはエアリアルのバックパックを取り外す必要がある。
組み立て自体は非常に簡単だがシールを貼る難易度が結構高いので、素組み派の人は慎重に作業しよう。
規格が合えば他のプラモにも接続可能で、外箱や説明書にも一例としてデミトレーナーに接続出来る事も紹介されている。
またボーナスパーツとしてエアリアルの平手が同梱されているのだが、発売されたのが第1クール最終話が放送された直後だっただけに、ネット上では


「あのシーンを再現しろってか」
「商売が上手すぎるだろ」


などとちょっとした騒ぎになってしまった。
厳密に言えば、あのシーンを完全再現するには3月発売の改修型のHGが必要になり、実際に改修型HG発売後に完全再現してしまった人たちが多数現れる事態になってしまった。


  • パーメットスコア6

プレミアムバンダイ限定(2023年3月第一次受付開始、7月発送)のHGエアリアルのリカラーキット。
グラスレー寮との決闘終盤の姿を再現し、シェルユニットのカラーが青に、本体カラーも全体的に落ち着いたものに変更。
サーベルエフェクトも劇中の緑色に変更されている。
また専用台座やマーキングシールも同梱されている。


  • ガンダムエアリアル改修型

2023年03月18日に発売。
特徴は元のエアリアルと大体同じだが、新たに追加された要素としてビームライフルに全てのビットステイヴを接続したガンビットライフルがある。
ただし元のエアリアルで使われていたダブルサイドシールは使われていない。元々かなり貼りにくい代物だったので改修型では採用しなかったのかもしれない。


ビームライフルの銃身が二種類あり、片手持ちの普通のライフルは短い銃身、両手持ちのガンビットライフルは長い銃身を差し替えることで、それぞれを再現可能。
またフライトユニットも可動や展開が可能。
アクションベースを使えば一期最終話のポージングは勿論、少し難しいが両手持ちのガンビットライフルを構えた状態でもベース無しで自立させることも出来る。
カメラアイシールも同じく緑と赤の二種類付属。元の顔よりもシャープ化され、ソフィー曰く怖い顔もとい寄りガンダム顔に近い形になったので元の緑は勿論、赤い目も十分似合う。
ちなみに平手は同梱しない。単純に残念と思うか残当と思うかは購入者の倫理観が試される……かもしれない。


余談だが一期最終話のガンダム二機相手に大立ち回りをして、なにより[[あのラストシーン>逃げ出すよりも進むことを(水星の魔女)]]というガンダム史でも一生忘れられないだろう鮮烈(?)な初陣を飾ったので、この機体がプラモ販売された時はツイッターでもトレンドで堂々1位を獲得していた。



1/100スケール

鉄血2期から引き続きFULL MECHANICSシリーズでのリリースとなる。
大きなサイズならではの色分けの完全再現とハイディテール、可動に追従して連動する装甲などが特徴。
シェルユニットは赤いメタリックパーツにスモーククリアのパーツを被せる形で再現される。


SDEX

何と頭部前面の白パーツがブレードアンテナとの一体成型になっている。
武装はオリジナルの組み換え機能付き。エスカッシャンは肩に装備する青のパーツ以外は一体成型。背部の2軸穴の構造が同じなので、HGのバックパックの移植が可能。
そしてSDキットとしては珍しく、思い切った肉抜きが一切ない。


ネット上ではこれらのキットがSDEXと同時発売されたキットであるFigure-rise Standardのスレッタと並べられることが多い。
これ以外にもHGでいえば複数買いした本機やルブリスのビットステイヴを装備させたり、
SDEXではエスカッシャンを分割化し接続軸を設け、完全なビットオンフォームを再現しようとする剛の者まで現れている。
そしてやはりというか、FRSのスレッタと30 MINUTES SISTERSのカラーCボディとHGの本機を組み合わせてMS少女化した作例も存在している。


●ゲームでのエアリアル


主役機体なだけあって、放送が22年10月からながらも2023年6月現在エアリアルが使えるゲームが多数存在している。


機動戦士ガンダム アーセナルベース」にてダムゲー初参戦。
S03からエアリアルが一部のオフイベ等で先行配布され、S04からスレッタ共々本格参戦となる。
カードごとに傾向は異なるが、概ね遠距離武器のビームライフルがメインとされ、戦術技(必殺技みたいなもの)の1つにはエスカッシャンを展開して一斉発射する「ビットステイヴ斉射」が採用されている。
そしてLX02からは改修型が早くも参戦しており、これからも増えることが予想される。
因みにこのゲームのシステム上、搭乗者がスレッタでなくてもちゃんと機能してくれている。


SDガンダム バトルアライアンス」では有料DLCとして販売されている。家庭用ゲーム機としては初参戦。
タイプはシューターながらも伸びの良い格闘もあったり、強力な防御性能を持つサブ兵装を持つなどオールラウンダーに近い性能。
SPAの一斉掃射は当てやすさとめちゃくちゃなヒット数を誇る超性能を持つ。


機動戦士ガンダム Extreme vs. 2 OVER BOOST」ではリリース開始と同時に改修前のエアリアルが参戦している。コストは2000。
TVシリーズ最新作からの参戦ということもあってか、リリース直前には本機を特集したCMが公開された。ちなみにナレーションはこの人。
射撃と格闘の両面で癖のない攻撃が揃っており、初心者でも扱いやすい。特にビットが敵機に纏わりついて射撃するNサブ射撃と、射撃ガード付き単発ダウンの特殊射撃が優秀で本機の主力。
特殊格闘には[[デミ・トレーナー(チュチュ専用機)>チュアチュリー・パンランチ]]呼出が配置。三連射撃かスナイパーライフルで殴りかかるかを選択できるが、突撃の方が優秀なのでやたらと突撃するチュチュ先輩が見られる。
スタンダードかつシンプルな武装構成の反面、爆発力や逆転性に欠けるので押されると巻き返しが厳しい。如何に手堅く進められるかが鍵となっている。
ちなみにビームエフェクトは実戦用の青、ゲームとはいえEXVSは実戦らしい。


●余談


  • 本機のデザイナーであるJNTHED氏は本作がガンダムシリーズ初参加。本機とスレッタが描かれた第1話のエンドカードも氏によるものである。
    氏はかつて小島秀夫監督率いるコナミの小島プロダクションに所属しており、『METAL GEAR SOLID』シリーズや『ボクらの太陽』シリーズ、意外な所では『遊戯王OCG』の「フレイムキラー」等のデザインに関わっていた。
    その繋がりかは不明だが、小島監督も本作を視聴した旨をツイッターで発言している。

  • デザインコンペ時には『"魔女"という言葉に引っ張られ過ぎないように』とのオーダーがされていたが、JNTHED氏はこれに構わず魔女の帽子やローブ、箒といったメタファーを入れたデザインを提出した結果採用され、本機へと繋がったという経緯がある。
    …が、流石に本編用デザインへのブラッシュアップ時には、小林監督の指示で魔女要素はオミットされてしまった模様。一応腰部のスラスターが魔女のスカートのようにも見えるなど、女性的な要素は残されている。
    これはおそらくエアリアル自体の作劇上の立場の変化を踏まえてのものであると思われ、後に登場した「もう1体のガンダム」には思いっきり魔女を連想させる要素があったりする。

  • 本作はストーリーと舞台などの関係もあって戦闘シーン自体がかなり少ないが、エアリアルは流石主役機だけあって最多の戦闘シーン数を誇る*17。とは言えこれは2nd Season後半まで通してみた時の話であり、1st中盤ぐらいまででは主人公機でありながら作中でのアクションシーンは少ないと評されていた。また、クソダサPVでダンスを踊ったガンダムとしても記録されるべきであろう。

  • その機体名称からヤマザキビスケットのお菓子『エアリアル』と結びつけてネタにする視聴者がいたが、後に本当に公式でコラボしてしまった。

  • アニメ本編で本機のパイロットであるスレッタを演じた市ノ瀬加那氏は、実際に本機のHGのガンプラを購入して制作し、可愛がっている事を公式発表している。
    市ノ瀬によると「完成させるのに3時間かかった」との事らしいが、素組みなのか塗装やスミ入れまで施したのかは不明。

  • YOASOBIが歌う主題歌『祝福』について、ボーカルのikura氏は「スレッタに寄り添い戦うエアリアルの想いを胸に歌った」(意訳)とコメントしており、歌詞についても、件の「エアリアルに意思がある」ことが発覚した小説などを参考にして書いたと語っている。



もちろん、一緒に追記・修正するよ。

だって僕らは、Wiki籠りだから。




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*1 一方で第1話でミオリネが無断借用した際には開始直前であったせいもあってか細かな確認などもなくそのまま決闘が開始されたので、ここら辺の校則は緩いのかもしれない。
*2 但し、胸部シェルユニットについてはルブリスが上部全面を覆っていたのに対し、本機はその面積が左右両脇に縮小されている。
*3 『PROLOGUE』に登場するエリクト・サマヤ及びエルノラ・サマヤとイニシャルが同じ。ちなみにルブリスのそれは『Ver.2.0』である。
*4 しかし、この時脚部からの逆噴射で咄嗟に下がろうとしていたり、ダリルバルデに搭乗しての再戦時にはビットの動きやスレッタの狙いを読んでいたりと、グエル自身の技量が高いことは彼の名誉のために補足しておく。
*5 ダリルバルデはAIによる制御なのでGUNDフォーマットと比べると性能で劣っていても仕方ないが。
*6 それでも修理だけで大赤字、決闘に勝利して掛け金で賄わなければ破産という自転車操業ぶりだった
*7 エスカッシャンの砲撃は正面ならダヤ・アンビカーで防げており、単発主力ではビームライフル>エスカッシャンであることが分かる
*8 収束するビームの色が青色であったため。なお事前にミオリネから「学園仕様のまま、非武装で」と釘を刺されていたので、搭乗者のプロスペラが勝手に解除し、武装も密かに持ち込んだものと考えられる
*9 本編でもエナオがGUND-ARMが無ければ凡庸と称している。もっともこの状態でもスレッタの技術とエアリアルの性能で複数機の攻撃を躱すだけは出来ていたが
*10 決闘を全部通して見るとエスカッシャン(ガンビット)とオーバーライドによる敵MSへの干渉に依存する部分が大きい
*11 グエルを支援するジェターク社側の妨害でビームの威力を減退させられて決め手を欠いた状態だったという条件もあった
*12 いくらビット兵器で攻守に優れているとはいえど防御の隙に漬け込まれたりそれを掻い潜って懐に飛び込まれて近接戦に持ち込まれてしまうと不利になりがちになったり、ビーム兵器しか武装が無いため、エアリアルと同じくビーム兵器を防ぐ機構を持つ相手や、スプリンクラー程度でビーム兵器の威力が落ちてしまったためA.S.(アド・ステラ)の世界にはいるかどうか不明だが、宇宙世紀のMSであるズゴックアッガイのような水陸両用の機体との水中戦では不利にもなる点が指摘される。
*13 10年以上という年月はUC世界で例えると一年戦争から逆襲のシャアまでである
*14 地球寮の評価
*15 フィルムに印刷された模様を金型に挟み込んで樹脂を射出することで、パーツ表面に絵柄を転写する技術。かつてBB戦士の一部キットシリーズで採用されるも、再現が不可能となりオーパーツ化していた経緯がある。
*16 エアリアルのサーベルエフェクトは取り付け基部が独自形状のため他キットから流用できない。
*17 本作では共通して戦闘に出てくるやられメカポジションのMSが居ないので、戦闘シーンだけで言えば量産機でも2回あればいい方である。それに対してエアリアルは最低でも9つのエピソードで戦闘を行っており、本作ではぶっちぎの最多となっている。

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