アーマロイド・レディ

ページ名:アーマロイド_レディ

登録日:2022/05/31 Tue 13:52:30
更新日:2024/06/18 Tue 13:54:56NEW!
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コブラ・・・あなたわすれたの サイコガンは指じゃなく心で撃つのよ



“アーマロイド・レディ”は、寺沢武一の漫画作品『コブラ』の登場人物で、本作のシンボル的キャラクターの一人。
作中では単に“レディ”(初期のみ“レディー”表記もあり。)と呼ばれることもある。


主人公コブラの相棒となるアーマロイド(“Armor(鎧、甲冑)”と“Android(人間型ロボット)”を組み合わせた、本作に於ける“戦闘用人間型ロボット”を指し示す造語。)で、本作を代表するヒロインでもある。


演じた声優

  • アーマロイド・レディ

榊原良子(TVアニメ、OVA、アーケード版ゲーム)
■石川悦子(PCエンジン版ゲーム)
■藤田淑子(PS版ゲーム)


  • エメラルダ・サンボーン

高山みなみ(OVA)



【人物】

主人公コブラが本編開始以前の整形以前からコンビを組んでいる女性型アーマロイドで、他にも劇中にて登場したことがあるコブラの仕事仲間が、あくまでも互いの腕を見込みあった友人やらプロフェッショナル同士の付き合いという感じであったのに対し、レディの場合はコブラ個人に利害関係なしにプライベートも含めて付き従う相棒であり“女房役”となっている。
アーマロイドなので、コブラに買われたことで付き従っている……という訳でもなく、連載初期からあくまでも(互いに)対等な立場で接している。


コブラからは基本的に愛船タートル号の全てを預けられている立場でもあり、裏を返せばコブラにとって自分の本当のねぐらを守ってもらっている相手である。
不死身と呼ばれるコブラだが、劇中ではレディが居たからこそ助かったという場面も少なくなく、そういう意味でもコブラの現在進行形の伝説を共に支えている存在でもある。*1


『コブラ』の世界観ではアーマロイドやロボットの類であっても、ちゃんと人格があるものについては普通に“個人”として認められている印象があるが、以上を踏まえてもレディの描き(描かれ)方は普通の女性キャラクターのそれであり、初見の読者にはその辺の倫理観を理解できていないと違和感が生じるかも知れないが、まぁそんな感じである。


実際、アーマロイドではあるが人格的にはコードネーム通りのレディ淑女であり、コブラと妙に艶かしい雰囲気を醸し出すこともある、本作でも最古参のコブラガールズ……どころかメインヒロインと呼んでも差し支えがないキャラクターであり、同作を代表する名台詞の一つであるレディー おまえがおしえてくれたんだ サイコ・ガンは心で撃てとな…が飛び出した『サイコガンの秘密』編等のように、レディが印象的な活躍をする回も少なくない。
同エピソードは本格連載開始前のパイロット版の一つなのだが、この時点でスランプに陥ったコブラにサイコガンの本質を思い出させると共に上記の通りの逆転のきっかけとなる言葉をかけており、更には無機物と同化する能力を持つジゴバに乗っ取られかけた際にも咄嗟の機転により同化から逃れており、ロボットとは思えない発想をジゴバからすら称賛されている。
この頃から漠然としたイメージはあったのかもしれないが後の正体を考えると見事な伏線である。


外見はシンプルながら無駄がなく流麗な女性型ロボットであり、矢張り元ネタなのだろうが、古典SF映画『メトロポリス』のマリアにも通じる完成度の高いデザインも特徴。
“アーマロイド”ということもあり、四肢や肩が鎧を思わせるデザインだったり、トゲトゲが付いている一方で、目元が松本零士作品の非人間型ヒロインにも通じる睫毛の長い白目であり非常に色っぽい。(因みに瞳には瞼もあり閉じられる。)


カラーリングは最初期でのイメージは銀だったが、後にはアクセントの為かカラーイラストにて青みがかった色が加えられるようになり、コブラの赤タイツ(実際にはタイツじゃないけど)を定着させた旧アニメ版『スペースコブラ』にてレディも青みがかったカラーリングで塗られていたことで、現在までに光沢のある青が基本カラーとして定着することになった。


実は、原作の方では初期から登場しないエピソードなんかも多かったりしたのだが『スペースコブラ』では原作では登場していなかったエピソードにも出番が設けられたり、活躍するシーン自体が増やされている。


アーマロイドとしては最高レベルということで戦闘能力も高い……筈なのだが、実は負けたり捕まったりしてしまうことが多く、印象と違ってあんまり活躍していなかったり。
ゲーム『コブラ・ザ・アーケード』*2ではコブラのもう一つの愛銃であるパイソン77マグナムを手に2Pとして活躍しているが、実際の漫画では銃器を使う場面はイラストを除いては存在していない。
ではどうやって戦うのかというと、圧倒的なボディの強度を活かして敵の攻撃を無視して近付いての徒手空拳というスーパー系な戦い方であり、拳の一撃でトマホーク(海賊ギルドの装甲バイク)も、後述の自分の複製コピーと化したアーシュラ中佐のボディも破壊している。
これだけのパワーと強度があれば小型ミサイル並の威力と呼ばれるパイソン77マグナムの引き金にかかっている電子ロックを力づくで外し、その反動にも耐えながら撃ち続けることができるかもしれない。引き金の方が耐えられないかもしれないが。


因みに、コブラが血腥い毎日に疲れはてると共に整形して顔を変えた上に完全に記憶まで消して地球でサラリーマン生活をしていた本編開始前には、“ベン”を名乗る昔のブリキの玩具みたいなポンコツメイドロボットに文字通り扮してコブラの世話を焼いていた。
……が、この“ベン”に扮していた時にはコブラを起こす為に思い切り頭に目覚まし時計を投げつけたり、アニメ版に至ってはコーヒーをカップをひっくり返した状態で注いで受け皿までビチャビチャにした状態で出す……等の主人を主人とも思わないようなぞんざいな扱いをしている。オマケに口調も慇懃無礼でおかしい。
この“ベン”のメーカーに返品や品質について訴訟されてもおかしくないレベルの暴挙については、コブラことジョンソンもスクラップにしてやると息巻いているのだが、記憶を消したとはいえ潜在意識下では“自分を守らせている者”として刷り込みでもさせていたのか実行はせずに毎朝のようにドタバタ漫才を繰り広げていた模様。*3


そして、この“ベン”の所業がコブラの正体を悟らせない為なのは勿論だが、何らかのプログラム(による別人格の形成)の賜物なのかレディの普段の恨みも込めた演技だったのか?は、マニア層の定番ネタにして議論の的の一つである。


話は逸れるが“ベン”はコブラの正体を知って襲撃してきた海賊ギルドの刺客からポンコツが嘘のように真っ先にコブラを庇って破壊されてしまうことになるのだが、破壊された“ベン”から正体を現したレディが登場する時のポーズが妙に艶かしくえっちぃことでも有名で、レディと言えばということでイラストやらフィギュアのポージングでこの場面を再現されることが多い。


【設定の変遷と補完】

……という訳で、実は作者は割と思いつきで描いてるので案外とアバウトなこともあってレディの過去や正体については何か深いものがありそうなのだが暫くは掘り下げられることはなかった。


ジャンプ本誌に於ける最初の連載*4の区切りであり『スペースコブラ』の最終回ともなった『シドの女神(『サラマンダー』)』編の頃までは、コブラに対する警告と裏工作としてタートル号が爆破された際に諸ともに巻き込まれてボディの大半が破壊されてしまい、
ドゴール星に住む優秀な科学者にして医師であるマゼラン博士に修復を依頼した際に「アーマロイドとしては宇宙最高」と言われた位であった。


……そして、後の『六人の勇士』編の終盤にて、同シリーズに登場した宿敵であり復活する度にレディに近い姿のサイボーグとなっていったアーシュラ中佐との一騎討ちにて、ロボット(通常のアーマロイド)の電子頭脳を狂わせる電磁波を物ともせずに撃破したことで「お前はロボットではないの…」と問われる展開*5から、コブラとクリスタル・ボーイの戦いの中で光明神の力を宿すシルバー・ストーンと暗黒神の力を宿すブラック・ストーンが合わさり宇宙が創生当時の姿に戻されたことで、生命有るものが本来の姿を取り戻すということでレディが人間の女の姿となったことで、レディが以前は人間だったということが確定された。


前述のようにレディの“正体”については作者にも漠然としたイメージがあったと思われる描写もあったので伏線を回収した、とも見てとれるがこの時点ではコブラはレディの人間当時の姿を見ても単純に驚いていただけであった。
この後、此方も整形前の本来の姿に戻っていたコブラは生涯で最大の恐怖を刻み付けられ、自らの左腕を奪った相手であるサイボーグになる前のクリスタル・ボーイと改めての決着を付けると共に恐怖を克服。
最後はレディの意思も汲んでシルバー・ストーンとブラック・ストーンを引き剥がし、宇宙をコブラ達の知る現在まで戻した。



その後、続くジャンプ本誌掲載時の最終章となった『地獄の十字軍』編の終盤にて、コブラに対する最強の刺客として古代火星人が生み出した史上最強のバトル・アーマロイドであるブラックソード・ゼロが登場。
この際にレディは同じ古代火星人の生み出したアーマロイドとして、ゼロの情報を持っていることが明かされ、ゼロと同じく生命金属ライブ・メタル*6の、実は一般的な意味のロボットとは別物の、謂わば金属生命体とも呼ぶべき存在である可能性が示唆されている。


尚、この『コブラ』の世界では度々に言及される“神”の如く古代宇宙に君臨した古代火星人の存在は現時点でも詳細が明らかになっておらず、人類の歴史では明らかにされていないオーパーツ的な古代遺跡も古代火星人の残したものというのは確定されているが、その古代火星人に生み出されたというレディやゼロがいつ頃に生み出されたのか? 古代火星人が生み出したのならば遥か古代なのか? ──といった所までは不明のままである。*7


ただし、この辺は繰り返すが曖昧であり、本当に古代火星人自体が生み出していたとすると地球人類の想像も出来ない程に古くに生み出されていた……となってしまうためか、古代火星人の残した設計図を元にアーマロイドが生み出された時期というのが本編開始前の数十年程前にあり、ゼロもレディ(のボディ)もこの時期に生み出されたと解釈されている場合もある。



【更なる設定の変遷と正体】

……以上までが、連載形式で描かれていた当時までのレディに関連する情報だった訳だが、これが大きく改編されることになったのが、CG彩色されると共にエピソード毎に刊行されるようになった『タイム・ドライブ』編でのこと。
突如としてレディの存在が時のひずみに嵌まるかのように消えかけてしまうという現象が発生。
それを解決するためにタイムダイブに挑む中で、レディとコブラの出会いがこの時点の本編から20年前のことであり、その正体は滅亡させられたサンボーン公国の王女*8である“エメラルダ・サンボーン”であるとされた。


現在と過去のコブラとは、生国サンボーン公国とも占い師として付き合いながら、父であるサンボーン公爵を殺害して国を乗っ取った恐ろしい力を持つ不死身の怪物ギロスとの戦いの中で出会うことに。
この中で、エメラルダは未来の自分を知り自分を“レディ”と呼ぶ*9現在のコブラに助けられつつ、その後で予め存在を知らされていた過去のコブラに救われ、自らが首にかけていた王女以外が触れるとブラックホールが解放される秘宝である“ブラックホール・ダイヤモンド”を利用してギロスを倒したことで一緒に国を脱出すると共に恋に落ちた。


……しかし、ギロスは自分の配下や所有物の遺伝子を帰巣装置にセットして自動的に自分の許に返るような仕掛けを施しており、同じ仕掛けをエメラルダの身柄を捉えた時に行っていた。
そしてブラックホールに呑み込まれた影響で、20年越しにこれが作用したのがレディが消えかけている現象の原因だと看破する。
自らブラックホールの中で待つギロスの許へ赴き、復活したレディ=エメラルダと共に20年越しに完全にギロスを倒して現代に帰ったのであった。


尚、上記の通り20年前に一先ずギロスを倒した後に恋仲となると共に相棒関係となったコブラとエメラルダであったが、それから約10年程後の銃撃戦の中でエメラルダは致命傷を負ってしまう。コブラが死を偽装して顔を変えたのは23歳の時で、その時点ですでにレディはアーマロイドだったので辻褄が合わないような……まぁいいか細かいことは。
死の床にあるエメラルダの病室から出てきたコブラに対し、マゼラン博士は残された唯一の方法として生命金属ライブ・メタルと同化することで転生することを提案する。
残酷な現実の前に動揺を隠せないコブラはエメラルダが望まないと受け入れず、エメラルダの現在過去未来に至るまでの生涯が綴られた本の渡り鳥を捕まえてエメラルダが死なないことを確かめようとする。
だが波打ち際で手づから捕まえたエメラルダの本の渡り鳥にはエメラルダがここで死ぬことまでしか書かれておらず、次のページからは白紙であり読んだコブラは項垂れるしかなかった。
その間にエメラルダはマゼラン博士の提案を受け容れ現在のような“アーマロイド・レディ”へと転生し、博士と共にコブラの前に姿を現す。
彼女の人生を変えてしまった後悔を拭いきれないコブラに対し、レディが返した言葉は色々な意味で本作らしい、コブラとレディの信頼関係を表すものだった。


「かまわない、ウエストのサイズは元のままよ」


本の渡り鳥には、新たにアーマロイド・レディとしての物語が始まることが書き加えられていた。



【余談】

  • 読者に指摘され、過去には作者も認めていたことだが、初期には絵面のバランスをとった結果、レディは長身のコブラ*10と同程度~足底の形からコブラよりも長身に描かれていた
    しかし、現在では明確にコブラより頭半分は低く描かれており、これがレディの身長(180cm~185cm位?)ということになりそうである。

  • 一応3サイズの設定はあるようでコブラ曰く88・60・90とのこと。*11上述のアーシュラ中佐との戦いでは「上から下までちがってるさぁ」とそれを根拠にしてレディに扮した彼女の演技をあっさりと見破っている。
    因みに、アーマロイドの姿となった時には自ら上述のセリフを話しているので、3サイズには相当の自信と拘りがある模様。


追記スピード6.88に固定。今のところ修正なし。オート追記修正システムに移行します。


よろしくどーぞ


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  • 見た目は無機質だけれど実際は美しいし可愛い -- 名無しさん (2022-05-31 18:27:39)
  • 余談のスリーサイズ訂正しながら現れるシーンカッコよさとおもしろさに満ち溢れててほんと好き -- 名無しさん (2022-06-01 09:24:50)
  • 今時こういういい方はよくないと思うが、それでもあえて言うと「男から見た理想の女性」。おしとやかで強くてそれでいて支え合う仲。最もこんなのに釣り合う男はそれこそコブラレベルになるだろうが…。 -- 名無しさん (2022-06-01 10:57:57)
  • 対アーシュラ(複製レディ)との戦いでは、コの字型をした2連装ハンドドリルという武器を使っていた。触れるだけで身体が削り取られ、手のスナップで振り回しができ自分の手は安全というなかなかおもしろい格闘武器。アーシュラも同じものを持っていたので汎用品かもしれない。 -- 名無しさん (2023-08-17 21:57:34)

#comment(striction)

*1 尤も、コブラは後述のレディと出会う以前より既に“不死身”と呼ばれており、またコブラの不死身は肉体が頑健で強靭、生命力が強いのは勿論、某異能生存体と同様に如何に周囲を巻き込んでも生き残れる運命力の強さみたいなのも含まれるため、レディ自身がコブラの一部になってしまっているということなのかもしれない。
*2 『ジ・アーケード』じゃないのかって? よせよ、オレにもわからないんだ。
*3 この時の“ジョンソン”の設定が薄給サラリーマンなので劇中の台詞通りに金が無くて取り替えられないとも思われるが、実際の所の『コブラ』世界ではメイドロボットは一般家電やペット並に普及しているので、矢張り正体が“レディ”であることが理由なのだろう。
*4 『コブラ』は作者の寺沢が予想通り作画に対する異様な拘りを見せたことから週刊連載が不可能となり、この『シドの女神』編で一先ず連載を切り上げて、以降は新エピソード毎に短期連載を繰り返すという当時としては異例の措置を取られた。
*5 これ以前にもアニメ版の方での『ロボットはいかが?』の回で惑星中のロボットが操られて暴走している状況でレディは何ともないという描写があったりしたことがあったが、その時はコブラ自身もそれどころではない状況だったため特に指摘せず。
*6 初期の連載では単に“超合金の体”とされていた。
*7 寧ろ、この時点ではコブラがレディの正体を知らなかったことも含めてそう考えるのが自然と思われる描写であった。
*8 正確には公女であるが、解りやすくするためか作中では王女の表記。
*9 警戒を解くためにベッドインでもしなければ強く印象に残らないであろう首すじの南十字星のようなほくろの連なりの他、コーヒーの砂糖の数や父親の嗜好品と同じだったトルコ産葉巻の話題などを出していた。コブラがこうした行動に出たのはレディ=エメラルダ以外ではドミニク=シークレットのみである。
*10 2019年発売の新装版『コブラ大解剖』では約190cm。
*11 もっとも直後にレディからは恐らくはバストサイズだと思われるが「89よ」と釘を刺されている。仮にこちらの方が正しいのならレディの正式な3サイズは89・60・90ということになるが

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