登録日:2019/11/26 Thu 07:40:00
更新日:2024/05/23 Thu 12:54:36NEW!
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ウィッカーマン(wicker man)とは、
1.ガリア戦記に登場する祭器。
2.↑をモデルに作られた映画作品。1973年のオリジナル版と2006年のリメイク版が存在する。
ここでは順に、主に2について説明する。
【1の概要】
古代ケルトの時代にドルイドが祭事に用いていたと言われている祭器で、木を組み合わせて作った巨人のような外観の檻。
特定の祭事の時に作られていたとされるが、この檻の中に燃料となる藁や小枝の他、様々な作物や生きたままの家畜、そして同じく生きたままの人間を閉じ込めて燃やす。
この灼熱の炎をもって人々は“神への供物”を捧げるのである。
現在スコットランドでは「ウィッカーマン・フェスティバル」という音楽祭で、アメリカ合衆国のネバダ州の砂漠では「バーニングマン」というイベントで、
それぞれ似たような人形を作成して燃やすのを見ることができる。(当たり前だが生け贄はいない)
オタク文化的には、Fate/Grand orderに登場するサーヴァント、クー・フーリン(キャスター)の宝具(=必殺技)「灼き尽くす炎の檻」の元ネタである。
【2の概要】
1をテーマとして作られた映画作品。正式なタイトル名は「The Wicker Man」。
宗教信仰をテーマとした「フォーク・ホラー」の先駆けとなった作品であり、日本国内での知名度はそれほど高いわけではない(吹き替え版も存在しない)ものの、
その衝撃的すぎるラストから知る人ぞ知る伝説の作品とも言われている。
【あらすじ】
スコットランドのハイランド地方西部の警察に勤めるニール・ハウイーの元に手紙が届く。
手紙には匿名でヘブリディーズ諸島のサマーアイルという孤島で行方不明になった少女を探してほしいという旨が書かれていた。
島に着いたハウイーは独自の雰囲気に嫌悪しつつも調査を続けるうちに、少女がまだ生きているということと、この後始まる感謝祭において少女が殺されることを確信する。
しかし飛行艇は故障したために本土から応援を呼ぶことができず、ハウイーは単身で少女の救出に向かう。
果たしてハウイーは少女を救うことができるのか?
【主な登場人物】
- ニール・ハウイー 演:エドワード・ウッドワード
主人公。スコットランドのハイランド地方西部の警察に務めている。年齢は中年くらいで、階級は巡査部長。独身。匿名の手紙を受け取り、単身サマーアイルに調査に向かう。
厳格なクリスチャンでもあり、島の乱れきった風習に嫌悪感を抱いている。
- サマーアイル卿 演:クリストファー・リー
島の権力者。雰囲気も言動も色々と怪しい男。
彼の話では「凶作が続いたためキリスト教を捨て古代の宗教儀式に戻ったところ、島は豊かになれた」らしいが……?
- ウィロー 演:ブリット・エクランド
島の宿屋の主の娘。
ハウイーを妖しい雰囲気で誘惑するも断られる。
【用語】
- サマーアイル
物語の舞台となる島。飛行船でしか行き来することができない。
島民はキリスト教ではなく独自の宗教を信仰しており、そこかしこで性行為に及ぶなど、良くも悪くも怪しげな雰囲気。
- 愚者パンチ
島の宗教に登場する人物。
- 五月祭
島で行われる祭りで、凶作の年には生け贄が捧げられる。
ハウイーが探している少女は去年の主役を務めていた。
- ウィッカーマン
本作では上記の愚者パンチをモデルに作られている。
町外れの海辺の丘に立っており、ハウイーは少女がこれに入れられて生け贄にされると確信するが……
結末のネタバレ。“色々な意味”で観覧注意。
五月祭の主役である愚者パンチの扮装をして五月祭の行進に紛れ込んだハウイー。ウィッカーマンの目の前でいよいよ祭りが始まり、探していた少女が生け贄にされかける。
ハウイーはすんでの所で少女を救出するも、島民達に取り押さえられてしまった。そして扮装を暴かれたハウイーの目の前で、サマーアイル卿は衝撃的な真実を語る。
予定していた生け贄とは少女のことではなく、ハウイーだった。
サマーアイル卿曰く生け贄は「愚者パンチのように童貞で、賢くかつ愚かな者でなければならず、王の代理として自由意思で来なければならない」という。
ハウイーは信仰のために貞操を守り続けており、政府の警官=女王の代理として自ら島へやって来た、ということで見事に生け贄の条件を満たしたのである。
全ては仕組まれた罠だった。あの手紙も、島の住民達も、助けようとした少女ですらも、最初からハウイーを陥れる予定だったのだ。
そして島民達はハウイーをウィッカーマンに閉じ込め、火を投じた。
死への恐怖と絶対に助からない絶望感から逃れるため詩篇23章を絶叫しながら焼かれるハウイーと、来年の豊作を願い陽気な歌を歌う島民達の場面で、物語は幕を閉じる……
【余談】
- 「ミッドサマー」は本作からインスピレーションを受けて作られたと言われている。
- 2006年には同名のタイトルでリメイクされた。主演は「ゴーストライダー」などで有名なニコラス・ケイジ。しかしその評価はというと……
追記、修正はウィッカーマンを燃やしてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 術兄貴の宝具演出で出てくるアレ -- 名無しさん (2020-11-26 12:41:50)
- ドーモ、ウィッカーマン=サン -- 名無しさん (2020-11-26 12:44:32)
- 強姦魔から女の子を助けようとしたら、相手が狙っていたのは自分のケツだったというオチか… -- 名無しさん (2020-11-26 14:40:19)
- 『女神転生』シリーズでは『デビルサマナー ソウルハッカーズ』で初登場した悪霊で、こちらは人の頭部を模りケルト十字をつけた、西洋風ねぶた人形といった感じの意匠にアレンジされている。人身御供なんて(少なくとも現代の価値観では)人道のじの字もない蛮行だし、焼かれた人が人形と同化して悪霊になっちゃうのも無理はないかな。おそらくこの映画の作中の人の魂も……。 -- 名無しさん (2020-11-26 15:11:20)
- ↑そうそう、ハッカーズで知ったわwベルセルクでもゴーレムみたいな感じのもあったな -- 名無しさん (2020-11-26 17:52:26)
- 閉鎖的なコミュニティの狂気を描いた傑作。 死者はわずかに1名だけど、数に頼らなくても恐怖を演出できる良い例。 -- 名無しさん (2020-11-26 18:32:22)
- ドゥークー伯爵を演じたクリストファー・リーが出演してるのね -- 名無しさん (2020-11-26 20:28:18)
- 無粋と知りつつも突っ込みを。もしハウイーが来なかったらどうしていた?必ず来ると踏んでいたとして、閉鎖的な島の中でそういう人物であるとどうやって調べられた?そもそも他所から島に来た人を殺したら怪しまれね? -- 名無しさん (2020-11-26 20:31:32)
- ガリア戦記に登場する木製巨大ロボットです。 -- 名無しさん (2020-11-26 22:27:10)
- ↑2 恐らく島の外に協力者がいる。あの生贄の条件からして完全に島の外と断絶していたら連れて来れない。だから島の外に人間を送り込んで生贄にふさわしい人間をピックアップしているのだろう -- 名無しさん (2020-11-26 22:40:49)
- 某映画レビューの「ペ○スに聖属性を付与した男」で本当に笑った。 -- 名無しさん (2020-11-26 23:22:30)
- 説明だけだと分からんけど、飛行艇の故障で応援呼べずってのも島民に仕組まれた事なのかな -- 名無しさん (2020-11-27 09:37:58)
- ただの狂気の島を描いたのではなく、宗教観の違いを現した映画。一見島の連中が狂ってるように見えるが実は自分の価値観を相手に押し付けてるのは主人公も一緒。そのテーマは、対照的に見えて実はやってることはほぼ一緒なラストシーンに全て詰まっている -- 名無しさん (2020-11-27 11:33:17)
- 2006年のリメイク版は評価が悪いのよね。細かな設定変更は元より、ニコラス氏みたいな派手なアクション俳優とカルト映画とは相性が悪かったのかしら…… -- 名無しさん (2020-11-27 21:02:37)
- ↑エロいシーンを削ったからだって言うな。あの(ハウイーにとって)異常な世界観こそが作品のテーマなのに、そこ削ってどうするんだって -- 名無しさん (2020-11-27 22:29:26)
- スコットランドってことだと、どの神に捧げてるの? -- 名無しさん (2020-11-28 19:54:38)
- 米津玄師の「WOODEN DOOL」のMVの元ネタ。 -- 名無しさん (2023-07-03 02:24:35)
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