登録日:2017/03/23 (木) 17:58:55
更新日:2024/02/06 Tue 10:45:14NEW!
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はやみねかおる 小説家 小説 文学 作家 三重県 伊勢市 児童文学 赤い夢 推理小説 冒険小説 名探偵夢水清志郎シリーズ 怪盗クイーン 都会のトム&ソーヤ 怪盗道化師 勇嶺薫
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はやみねかおる
日本の小説家。1964年、三重県伊勢市に生まれる。名前の響きから間違えられがちだが男性。
三重大学教育学部数学科卒業で、元・小学校教師。主にジュブナイルミステリーを執筆する。
「勇嶺薫」(読みは同じ)という漢字名義で、大人向けの作品も発表している。
ちなみに『都会のトム&ソーヤ』内で「なんでこれで「はやみねかおる」って読むんだよ(意訳)」とネタにされていた。((主人公は始め「ゆうれいかおる」と読んだ。まぁそうなるよね。
ちなみに名前の由来はゆう・れい・かおる→幽霊がおる。*1
小学校教師として本嫌いの子どもたちに本を勧め、自分でも書き始めた。
数回の応募ののち、「これがダメだったら小説家は諦める!」と子どもたちに宣言した『怪盗道化師』が第30回講談社児童文学新人賞に佳作入選し、1990年にデビュー。
以来、教師と小説家の二足の草鞋を続けたパワフルな御仁。
※本来、教師は特定の組織との癒着を防ぐなどの理由で副業禁止だが、小説家は例外に当たる。
しかし体調不良から両立は難しいと判断し、2001年をもって14年間の教師生活にピリオドを打ち、以降は小説家としてのみ活動。
現在もそのバイタリティは全く衰えていないらしく、サイクリングや山登りに行った様子をブログで報告することもある。
時には骨折したことを報告して、読者をハラハラさせるなど。
自宅(書庫&書斎&事務所&住居)の周りには三重県の自然があふれ、たまにサルが散歩にやって来る。
また、本棚には膨大な数の推理小説や漫画作品が並べられている。
作中にしばしば登場する小ネタ(後述)も、こういったところから来ているようだ。
児童向けにしては本がかなり厚くなっていることで知られ、「児童小説界の京極夏彦」とも呼ばれる。
小説のあとがきではほぼ必ず自分の妻・2人の息子、そして本を製作するにあたって協力した人に対し感謝の意を述べるのが恒例。ちなみに最初期から順番に著作のあとがきを見ていくと、結婚したことや息子たちの成長具合がちょっと分かる。
【作風】
◇ひらがな名義
主に使用するのはこちらの名義。
登場人物、特に少年少女に語らせる一人称視点の物語が中心で、話し言葉による軽快な語り口と独特の叫びや擬音が特徴。
三人称視点で語られる『怪盗クイーン』シリーズでも、地の文に心の声が入ってくることが多い。
ひらがな名義で書く際は基本、児童に配慮して殺人事件は扱わないという。
これに関してはデビュー時、ある作家に「推理小説家というのは、紙の上のこととはいえ、人を殺すことだ」と言われたことが理由。
人が死なないミステリーの代表格として知られるゆえんである(ただし、あくまで「現実の殺人事件」を扱わないというだけであり、それ以外の要因による死や作中作等ではその限りではない)。
その代わり漢字名義ではえげつない殺し方をしている。これについては後述。
『夢水清志郎』や『虹北恭助』など、日本の現代社会が舞台の物語では十代の心の動きも描き、特になかなか進展しない恋愛模様の描写に定評あり。
しかし同じ十代が主人公の『都会のトム&ソーヤ』ではピンチを切り抜けるサバイバル技術が登場し、世界中を舞台にした冒険小説『怪盗クイーン』ではゴリゴリの戦闘シーンや個性の暴力のような登場人物たちも出てくる。
本当にこれは児童向けかと目を疑うような展開が多い。繰り返すが児童向けである。
それでも最後は必ずハッピーエンドで終わる。大人のオタクが読んでもきっと楽しめるだろう。いや本当に。
これらの作品の影響でオタク街道まっしぐらという読者も多いのではないだろうか。
随所にパロディや小ネタが仕込んであるのも特徴の一つ。
特に過去の推理小説へのオマージュがふんだんに盛り込まれ、ミステリー入門編としての役割も担っていると言えるだろう。
『怪盗クイーン』ではジョジョネタなども仕込まれており、作者もはっちゃけているところがある。
例を挙げると、
- 赤い夢
小林信彦の小説「大統領の晩餐」に「赤い夢」の記述がある。
- 「鵺のなく夜に気をつけろ」
横溝正史『悪霊島』冒頭のセリフから。
- ネズミのジェリーくん
おなじみ『トムとジェリー』より。
- 「七十二時間、はたらけますか?」
某栄養ドリンクのキャッチコピー「24時間タタカエマスカ?」
- 4大ゲーム『子牛缶殺人事件』『モグラ・マグロ』『ジャムへの荷物』『匣の中の溌剌』
4大ミステリーが元ネタ。
『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)『ドグラ・マグラ』(夢野久作)『虚無への供物』(中井英夫[塔晶夫])『匣の中の失楽』(竹本健治)
- 「グロンギ語でもいい?」
- 「世界一ィィィィィ!!!」
- 「バレなければイカサマではない」
などなど。
子どもと一緒に読んでいる親御さんがクスリとくることも多いのではないだろうか。
また全ての作品は世界観を共有している。
つまり、
御曹司とサバイバーの最強中学生コンビも、
生活力・記憶力がないのに生命力はある名探偵も、
世界中に敵を作りながらパートナー(親愛なる友人)と飛び回る大怪盗も、
地球とシンクロして世界を滅ぼしそうなドジっ子女子高生も、
全てがこの世界に内包されているのである。ヤバすぎる。
2017年1月のトークイベントにて、「60歳で引退する」「引退の前に、ここまで広げまくった大風呂敷を畳んでいく」と表明、ファンをざわつかせた。のちに作品のあとがきでも風呂敷畳みを公言している。
2023年12月には、引退を92歳まで伸ばすことにしたと宣言。風呂敷自体は65歳までに畳むことに変わりはないとのこと。*2
現在、様々なシリーズで他作品の人物やその子どもが徐々に登場し、作中世界のつながりが明確になるとともに世界の謎が少しずつ見えてきた。
そして同時に、世界は危機へも近づきつつある……。
◆漢字名義
はやみねかおるのもう一つの顔。
こちらで発表した中で、単行本化されているのは『赤い夢の迷宮』のみ。(あとは短編)
児童向け、人が死なない、ハッピーエンドという3つの要素をすべてぶっ壊し、惨憺たる殺人、闇から抜け出せない恐怖を前面に出してきている。
それでも根幹を成しているのが子ども時代の感情なあたり、ある意味さらに恐ろしい。
……実は『迷宮』に限らず、ひらがな名義の作品でも、漢字名義の片鱗を見ることはできる。
人の心の闇や、「赤い夢」の存在、覚めない夢への恐怖。
明るい日向の裏に、夜の闇はいつも立っているのだ。
【著作】
◇シリーズ作品
- 名探偵夢水清志郎シリーズ
- 怪盗クイーンシリーズ
- 都会のトム&ソーヤシリーズ
- 少年名探偵 虹北恭助の冒険シリーズ
- モナミシリーズ
- 少年名探偵WHOシリーズ
- 大中小探偵クラブシリーズ
- ディリュージョン社の提供でお送りしますシリーズ
- ルームシリーズ
◇単発作品
- 怪盗道化師
- 夏休み3部作*3
- バイバイスクール -学校の七不思議
- オタカラウォーズ -迷路の町のUFO事件-
- 恐竜がくれた夏休み
- ぼくと未来屋の夏
- 僕と先輩のマジカル・ライフ*4
- オリエント急行とパンドラの匣*5
- 赤い夢の迷宮(勇嶺薫名義)
- ぼくらの先生!
- 復活!! 虹北学園文芸部
- 打順未定、ポジションは駄菓子屋前*6
- 帰天城の謎 ~TRICK青春版~
- 4月のおはなし ドキドキ新学期
- めんどくさがりなきみのための文章教室
- 令夢の世界はスリップする 赤い夢へようこそ -前奏曲-
◇短編作品
- ◎午前零時のシンデレラ(勇嶺薫名義)
- ◎神隠島(勇嶺薫名義)
- ◎教授の初恋(勇嶺薫名義)
- ◎魔女の隠れ里 未解決の謎
※以上4作品には夢水清志郎が登場する。
- 天狗と宿題、幼なじみ
- 幽霊屋敷にて人喰い鏡を見る
- 砂人形おどる校庭で
- 決戦!インチキ屋
※以上4作品には『僕と先輩のマジカル・ライフ』のキャラクターが登場する。
◎が付いている作品は、未刊行作品であり、以前は氏の"裏"ホームページで閲覧できた。
しかし現在は閉鎖されているため、アーカイブから跡地を確認することができるのみである。
この他にも「未発表原稿」としてホームページのみで読むことができた作品が幾つかある模様。
但し、『魔女の隠れ里 未解決の謎』は講談社文庫版の『魔女の隠れ里』に収録されている他、『午前零時のシンデレラ』も雑誌『メフィスト』に掲載されたことがある。
追記修正は、この夢から覚めた後に。
Good night, and have a nice dream.
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▷ コメント欄
- 項目作成お疲れ様です。名探偵がまともに推理小説や日常をやってたり、中学生達が冒険していたりする世界と、次第にストーリーが進むにつれ密かにオーパーツによる世界規模の危機とか人外バトルとか繰り広げられ人外が闊歩するオカルトまみれになってきた世界が同一世界と思うと正直はやみねかおる作品世界カオス過ぎると言わざるを得ない いやどのシリーズも好きなんだけどね? -- 名無しさん (2017-03-23 18:14:31)
- あれ?公務員(教師)は兼業駄目じゃなかったっけ?教師と小説家の二束わらじだめじゃないの? -- 名無しさん (2017-03-23 18:41:21)
- ↑役所かどこかに許可をとればokなんじゃなかろうか -- 名無しさん (2017-03-23 18:56:09)
- ↑2 公務員が特定の組織と深い関係になりすぎたり本業に影響が出るのがNGなので、小説家はその辺の条件に引っかかりにくい例外の一つだったりする -- 名無しさん (2017-03-23 18:57:49)
- 「グロンギ語でもいい?」 が出てる作品知っている方いますか? 自分の本棚のはやみねかおる欄の本探しても見つかりませんでした… -- 名無しさん (2017-03-23 19:01:26)
- ↑確か『怪盗クイーンシリーズ』のはず。 -- 名無しさん (2017-03-23 19:20:14)
- 巌窟王の対決でパシフィスタ(だっけ名前)とレストランで会話するシーンじゃない? -- 名無しさん (2017-03-23 19:21:49)
- 『怪盗クィーンと魔窟王の対決』って書きに来たけど、もう書かれてた -- 名無しさん (2017-03-23 20:08:03)
- しばらく読んでなかったけどまた読みたくなったな -- 名無しさん (2017-03-24 04:35:12)
- まちトム11下でとまってるから早くよまな… -- 名無しさん (2017-03-24 07:11:44)
- WHOだけは劇中劇 -- 名無しさん (2017-03-24 07:35:16)
- 60歳に引退するのか…。ちょっと寂しいけどきっちり風呂敷畳む宣言は嬉しいな…。 -- 名無しさん (2017-03-24 22:38:04)
- 4月に講談社タイガから出る新刊、とつくにの少女の人が挿絵だな -- 名無しさん (2017-03-27 20:22:54)
- あと6年か・・・俺の活字デビューの人だから寂しいな。あとこの人のおかげで小学生時代国語の小説読解が妙に点数高かったの覚えてるわ。 -- 名無しさん (2018-01-17 16:44:19)
- 彼方側にいる奴らが日常を全力で楽しんでいるから時折見せるシリアスにぞくりとする -- 名無しさん (2018-02-08 12:35:25)
- Disる意味は全くない、というか肯定的なニュアンスだけど、凄まじく中二だよね。もはやおじいさんに片足突っ込んだおっさんが未だに色んな小・中学生をオタクの道に連れてってるかと思うと感慨深い。知識も経験も積んで人の心に向き合ってそれでもなお大人になれない最高の人 -- 名無しさん (2019-11-24 02:11:20)
- 都会のトム&ソーヤの映画化に怪盗クイーンのアニメ化と最近話題が多いけど、なぜ急に? -- 名無しさん (2021-07-13 00:10:37)
- 朝日新聞出版から出てるルームシリーズも「大風呂敷」に関わってくるんだろうか -- 名無しさん (2023-07-25 03:07:06)
- 本人が望むなら風呂敷を畳んで書きたいことを書ききって気持ちよく引退してほしいとは思うけど、今のペースだと60歳で引退って絶対無理だろうと思うんだが……そもそも引退してほしくないんだけど -- 名無しさん (2023-11-01 22:25:18)
#comment
*2 https://x.com/enimuya/status/1737431145976152331?s=20
*3 話同士のつながりがなく、シリーズではないとされる。ただし、バイバイスクールのみ明確に後の作品で再登場するキャラクターがいる。
*4 角川つばさ文庫版での表記はぼくと先輩のマジカル・ライフ
*5 上記夢水清志郎シリーズと怪盗クイーンシリーズのクロスオーバー作品
*6 元々アンソロジーに収録された2本の短編であったが、2018年に1冊にまとめ新作を加えたものが講談社青い鳥文庫から刊行された。
*7 ファンブックに書き下ろされたはやみねかおる作品全体のクロスオーバー作品。
*8 ディリュージョン社の提供でお送りしますシリーズのキャラクター並びに虹北恭助シリーズのキャラクターが登場する。
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