登録日:2017/01/10 Tue 02:33:29
更新日:2024/02/02 Fri 11:02:17NEW!
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Black or white
背中合わせの愛と絶望たち 万華鏡のように
Good and evil
美醜を纏い それは混沌の源へと
―心に潜って闇を斬れ。―
【概要】
雨宮慶太原作・監督の特撮番組『牙狼-GARO-』の劇場用作品第6作にして、『絶狼-ZERO- BLACK BLOOD』に続くスピンオフムービー第4弾である。
シリーズ本作は、『牙狼外伝 桃幻の笛』と同じく魔戒法師の活躍を重点に描いており、『牙狼-GARO- 魔戒ノ花』第18話「紅蓮」にて初登場した『闇の狩師』こと『闇斬師』・媚空を主人公に物語は展開する。
また、入心の術による人の心の中の描写を初めとする、斬新な映像表現も見どころのひとつである。
監督は『桃幻の笛』と同様に大橋明が務める。
大橋監督は第18話の監督を手掛けており、魔戒法師に縁のある人選といえよう。
主演の秋元才加氏は、その鍛え上げられた肉体を駆使したアクションシーンを披露する他、本作では自ら主題歌も担当している。
共演者には、媚空に憧れる魔戒法師の青年・代知を実写版『シマウマ』の須賀健太、媚空の師匠である白海法師をミッキー・カーチス、白海に仕える魔戒法師・紗夜を朝倉えりか、物語の重要な鍵を握る女性・アズサを伊藤かずえ、そしてキーマンとなる絶心を佐野史郎が演じ、ベテラン勢の高い演技力が物語に深みを与えている。
基本的に牙狼シリーズはダークファンタジーとヒロイック要素で成り立っているが、『桃幻の笛』と比べると今作は「心」に赴きを持っているため、全体的に暗くシリアスなサイコ・サスペンス的展開となっており、本作のオープニングや媚空の孤高な人物像も相まってどこか寂寥感の漂う内容に仕上がっている。
更には、いわゆる『衝撃のラスト』が待ち構えているのも本作の特徴とも言える。
なお、秋元氏が歌う主題歌『繊月~光と闇の傍で~』の歌詞も本作の世界観と見事にマッチしており、元AKB出身の歌唱力も相まって必聴の価値あり。
【あらすじ】
闇に近づき闇を討ち、闇に消える闇斬師、女魔戒法師・媚空。
闇斬師として闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師を討伐する媚空の元に、代知と名乗る青年が現れる。
代知は、魔戒法師のウサミが闇に堕ちているかどうか確かめよ、という元老院からの指令を媚空へ伝える。
ウサミを追って行動開始する媚空、闇斬師になりたいと勝手に同行する代知。
媚空は入心の術を用いて見つけ出したウサミの心の中=精神世界へと突入する。しかしそこには、媚空の想像とは違った状況が発生していた。
ウサミの精神世界に異状を感じた媚空は、その真相を確かめるべく、師匠である白海法師を訪ねる決意を固める。
だがこれが、深く暗い闇への入口であることを媚空はまだ知らなかった…。
果たしてウサミの真相、入心の術の秘密、代知を待ち受ける運命とはなにか? そして、闇に潜む最大の敵は誰なのか?
孤高の闇斬師が、黒い野望を打ち砕く――!
【登場人物】
- 媚空(演:秋元才加)
入心の術を用い、闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師を討伐する闇斬師。
自身も魔戒法師であり、他にも様々な法術を発動させ、優れた体術を会得している。
常に冷静沈着で感情を露わにすることは少ないが、熱く正しき心を秘めている、
闇に堕ちた魔戒騎士である弟を自ら討伐した過去を持つ。
『魔戒ノ花』におけるエイリスとの戦いの後、代知と共に事件の黒幕と思われる絶心を追う事となる。
本作では入心の術で人の心の中に精神世界に入り込んでその中心部にある「心の玉」が白か黒で討伐対象を選別している事が明らかとなっており、中盤では精神世界で露出度が高い純白のミニスカ衣装で白海と決闘していた。
地球防衛隊の隊長としてフューチャーアースを守っていたかどうかは不明。
終盤のネタバレ ※クリックで展開
終盤の決戦で超絶心に苦戦するが、正気を取り戻した代知の力を受けて天生媚空という姿に変化。背部に巨大な筆をイメージした装飾が現れ、衣装もメタリックなビキニアーマーのような鎧に変化している。ついでに化粧が濃くなっている。
ここは願い通りになる世界。代知の想いがお前の闇を照らす!
超絶心が召喚した無数の魔獣を全て筆のような装飾に変換、飛び蹴りの態勢となった自身を軸に全ての装飾で体を包み金属の傘のような姿に変え、激しくドリル回転しながら超絶心を一撃で撃破した。
- 代知(演:須賀健太)
元老院付の魔戒法師。
闇斬師になりたいと考えており、勉強に精を出している。
本来はウサミ討伐指令を媚空へ届けるのが任務であったが、媚空の意思を無視して付き人の如く帯同してしまう。
右手には幸運の徴と呼ばれている“アラヤシキの徴”が刻まれている。
母親は闇に堕ちた魔戒法師であり、3年前に媚空に討伐されたが、当の代知は媚空を恨むどころか闇に堕ちた母親を討った闇斬師に憧れるようになった。
自由の戦士に変身したりはしない。
『魔戒烈伝』では、彼のその後の活躍が描かれている。
- 紗夜(演:朝倉えりか)
女魔戒法師。
元老院の命を受け、白海を監視しながら身の回りに世話をしている。
黒を基調としたコートが特徴のお姉さんキャラであり、媚空と共に現れた代知に興味を抱く。
本作の核心に関わるネタバレ ※クリックで展開
彼女の正体は、絶心と彼の長女との間に生まれた子供。……つまり近親相姦である。
その背景には「優秀な血筋を絶やさぬように父と娘の間に子を作る」という絶心の家訓があり、物心ついた時から前述の異常な家庭環境で育った影響から絶心を嫌悪するどころか盲目的に慕っており、更には彼女自身も家訓に従って絶心の子を産む事を目指している。おまけに劇中では他人の肉体を借りた絶心とディープキスしていた。
白海の世話係を担当していたのも彼から情報を引き出すためであり、それを利用して絶心を完全復活させようと暗躍していた。
中盤では、かつての絶心と同様に「アラヤシキの徴」を持つ代知を絶心の新たな肉体にしようと目論んでいた。
ちなみにコートの中には無数の刃物を仕込んであり、戦闘時にはコートを脱ぎ捨ててセクシーなミニスカのワンピース姿を披露していた。
このように一見すれば典型的な獅子身中の虫に見えるが、その行動原理は決して野心や悪意などではなく、子供のように純粋な信念で父親の役に立ちたいという切なる思いからであり、彼女の心の玉は黒く染まってはいなかった。
人間性といい在り方といい、ある意味では代知のネガとも呼べる。
終盤で時間稼ぎをするために媚空と交戦するも、最終的に彼女に敗北。
経緯は不明であるが、エピローグで廃人の状態となって元老院の施設に幽閉され、直後に白海に肉体を乗っ取られる様子を示唆するシーンを最後に物語から退場した。
- 絶心(演:佐野史郎)
入心の術を編み出した天才魔戒法師。
入心を多用した結果、自らの心が崩壊して闇に堕ちて白海に捕縛された末、現在は廃人同然となっている。
本来なら待ったなしで闇斬師に討伐されるべき人物であったが、彼を不憫に思った白海が元老院にかけあって彼を監獄へと幽閉させる形で生かして現在に至る。だが、媚空と代知が監獄へ尋ねた際には絶心は既に死亡していた……
宇宙警察総裁でも パックマンのコスプレをしたマッドサイエンティストでもない。
終盤のネタバレ ※クリックで展開
実は肉体こそ死亡しているが、入心の術で他人の肉体を乗り移りながら生きながらえていた。
その目的は自身に適合した肉体を乗っ取って完全復活する事であるが、それにとどまらず、自身の精神世界を現実世界と繋げて同化させて全ての世界を支配しようと目論んでいる。ぶっちゃけ力を持った厨二病
媚空達が尋ねて来る以前に娘の紗夜の手引きで連れてきたウサミの肉体を乗っ取って監獄から抜け出すも、肉体が適合せずに崩壊していき、ちょうどウサミを追っていた媚空と交戦。
肉体が限界に迫ったところを偶然通りかかったタキイに乗り移ってその場から逃走。しかし、タキイの肉体もまた自分に適合せず、以後彼が経営しているクラブに身を潜めていた。
以前は家族がいたのだが、近親相姦で長女との間に紗夜を儲けた後、次女除く一家全員を惨殺した。
終盤で紗夜が連れてきた代知の肉体を乗っ取って完全復活を遂げ、ビルの屋上で媚空と対峙。
その際、紗夜が媚空の足止めに失敗した事を知るやいなや「アレが俺の娘とは完全に失敗作だな」と父親失格なセリフを吐き捨てていた。
一瞬の隙をついて入心の術で代知の精神世界に入り込んだ媚空を待ち構えるかのごとく、生前の姿で彼女の前に現れた。
どうだ、これが俺の世界だ。美しいだろう?
全ては闇という混沌から始まった。愛と裏切り、恐怖と歓喜、全てが紙一重
振り子のように迷いながら一体となる混沌とした闇…それこそが美しい
絶心の邪心を反映するかのごとく辺り一面が瞬く間に血のように赤く禍々しい混沌の世界へと変わり…
水も風も炎も天も大地も、人を喜ばせるためにあるものだ
人は誕生した時から、すべからく破滅する運命だったのだ!
自身の精神世界を意のままに操る能力で媚空を圧倒、彼女を強制的に現実世界へと引き戻させると同時に混沌の世界の一部を建物と同化させ始めたが、その直後に媚空が代知を救うべく再び彼の精神世界へと入り込んでしまう。
そして、本気を出すかのごとく超絶心へと変化。能面のようなマスクが貼りついたオブジェとも言える異形の姿となり、周囲に召喚した複数の鏡から巨大な腕や無数の棘を放って媚空を苦戦させた。
だが、クライマックスで代知の力で天生媚空となった媚空の猛攻で一気に形勢逆転されて敗北し、元の姿へと戻った……
かつて入心の術を使えば世界を闇から救えると思っていた
しかし、黒か白か……人の心はそんなに簡単ではない。俺がかつて味わった苦しみをお前も背負う日が来るだろう
そして……その時、お前は闇に堕ちる
絶心もかつては守りし者であり、入心の術を極めて魔戒法師としての使命に励んでいたが、その信念が皮肉にも彼自身を苦しめる事となり、肉親を手にかけた末に闇へと堕ちてしまった。
野望を打ち砕かれた絶心は白か黒かの単純な二元論では片付けられない闇の深さを語り、媚空も自身同様の結末を迎える日が来ることを予言。それに対し媚空は……
その時は私もお前と同じく斬られるのみ
……と、闇に堕ちる可能性を否定することなく闇斬師を続ける気でいる彼女の言葉を聞いた絶心は穏やかな表情を浮かべながら消滅した。
現在に至るまでの所業自体は論外であるが、同じ入心の術の使い手である媚空のように己の正義を貫き続ける事ができず、自身の間違いを正してくれる第3者不在のまま突き進んでしまったのが彼の不幸だったのかも知れない。
しかし、絶心が最期に残した言葉は媚空の信念に大きな変化を与え、結果的に彼女の成長を促す事となる。
- 白海(演:ミッキー・カーチス)
媚空の師匠である魔戒法師。
かつては媚空と同じく闇斬師として活動していたが、ある任務で元老院の命令を無視した罰で紗夜に監視されながら幽閉同然の軟禁生活を強いられている。
しかし、実際は若い女性達とハーレムを作りながら贅沢な生活をする等、幽閉とは程遠い人生を送っている。マジでそこ代われ
自分を訪ねてきた媚空に絶心の情報を教え、自身が与えた試練を乗り越えた彼女に絶心を封印する術を授ける。
なお、精神世界内では賢者のような白いローブ姿となり、術を授けるシーンではその試練として精神世界内でどこぞの死刑執行人のようなマッチョ姿に変身して、彼女の前に立ちはだかった。
終盤のネタバレ ※クリックで展開
実は本作の真の黒幕。
作中で絶心が引き起こした一連の騒動は白海がそうなるように仕向けたものだった。
その動機は闇斬師を蔑ろにする元老院に対する復讐であり、絶心を生け捕りにしたのも彼を計画の道具として利用するためであった。
更に自分の元に訪れた媚空や世話役を装った紗夜をも利用して本人達に気づかれる事なく陰で暗躍していたのである。
そして、思惑通りに媚空が絶心を討伐した事により闇斬師の功績が認められ、闇斬師を認めざるを得なくなった元老院の鼻を明かす形で見事に復讐を達成。そのおかげで自由の身となった。
元老院が闇斬師を長年体よく利用しながらも冷遇してきた事は覆しようのない事実であるが、その不遇を理由に行なった復讐は個人的なエゴに過ぎず、結果的に媚空達の命を弄んだ行為は全く褒められたものではない。
騒動の後、真相を知った媚空からは「闇斬がどう思われようと、どうでもいい事」と一蹴されたものの、当の白海は「自分は手を汚してないし心の玉が真っ白だからセーフ(意訳)」と意に介すことなくその場を後にした。
しかし、絶心との戦いを経て「白か黒か人の心はそんなに単純ではない」と考えを改めた媚空は白海を見逃す気など毛頭なく、去り際に彼女に仕込まれたトラップで心の玉を破壊されて死亡するという因果応報の末路を辿った。
……が、エンディングロール後のエピローグでは元老院に幽閉された紗夜に憑依して生き延びる事を示唆する不吉なシーンで本作は幕を閉じる。
- アズサ(演:伊藤かずえ)
雑貨屋を営む女性。
別の世界ではレオパルド拳の使い手だった。
彼女の正体 ※クリックで展開
その正体は絶心の次女であり、彼に惨殺された一家の生き残りであった。
現在は過去を捨てて一般人として生きており、媚空が尋ねてきた際には彼女に怯えつつも、絶心に関わる真実を語っていた。
- ムツキ(演:屋敷紘子)
冒頭に登場した魔戒法師で代知の母親。
カエンの術を奪うために仲間の魔戒法師を殺した罪で闇に堕ちた末に媚空に討伐された。
死後、前述の末路故に代知からも「最低の法師」と軽蔑されていた。
別の世界ではボルシティの住人だったり、オカマの鎌使いだったり、巨人だったりしたらしい。
闇に堕ちた真相 ※クリックで展開
媚空の推測によれば、過去に邪気の宿った魔導具を誤って壊した息子が邪気に蝕まれ、死にかけた彼を救うためにカエンの術を奪ったとの事である。
真相を聞かされた代知は母をずっと嫌いになれなかった本心を吐露しつつも闇に堕ちた母を許せずにいたが、
媚空からは「愛すればいい。息子のお前だけでも闇に堕ちてしまった母を信じてやれ」と諭され、その場で泣き崩れた。
- ウサミ(演:中村尚輝)
闇に堕ちたとされる魔戒法師。
鎖分銅付きの魔導筆を武器としている。
初登場した時点で既に絶心に肉体を乗っ取られていた。
- タキイ(演:五刀剛)
クラブのオーナーである男性。
媚空とウサミが交戦していたところを偶然車で通りかかった。
ウサミの肉体を乗っ取った絶心とすれ違った際、運悪く肉体を乗っ取られてしまった。
- イズモ
『魔戒ノ花』に登場した媚空の弟。
闇に堕ちた魔戒騎士であった上に石版のホラーの1体であるラテルに憑依され、最期は雷牙達との死闘で敗北した。
本作では幻影として媚空の前に現れている。
【用語】
- 闇斬師
『闇の狩師』の異名を持つ、闇に堕ちた騎士や法師を処罰する役目を背負う魔戒法師。
内部粛清を担当する処刑人である故に同業の騎士や法師からは忌み嫌われ、指令を下す元老院からも蔑ろにされている。
- 入心の術
その名の通り、相手の心の中にある精神世界へと入りこむ術。
闇斬師の場合、相手の目を見るだけで相手の精神世界に侵入できる。
- 精神世界
人間の心が具現化した世界。本作の目玉要素。
対象の人間の心によって風景や外観が異なる。
入心の術で行き来する事ができるのだが、そこで命を落とすと現実世界でも命を落とす危険がある。
- 心の玉
精神世界の中心部にある球体。
人間の心の状態を具現化させたものであり、それを破壊されると「心の玉」の持ち主である人間は死亡してしまう。
通常は色が白であるが、闇に染まると黒く変色してしまう。そうなると闇斬師の討伐対象となる。
追記・修正は入心の術で心に潜りながらお願いします。
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▷ コメント欄
- なんでこの人アイドルやってたんだろ… -- 名無しさん (2017-01-10 02:48:35)
- 公開当時は全然話題にならなかったけど普通に面白かった 牙狼の劇場作品はハズレ無いのがいい -- 名無しさん (2017-01-10 04:24:43)
- 魔戒の花に出た時からだったけど、迫力ハンパ無いよね。中の人はまだ20代半ばとかマジかよと当時思ったもんだ -- 名無しさん (2017-01-10 13:05:25)
- 人間の闇を斬る媚空の物語なだけに、出てくる人間の設定がおぞましすぎる -- 名無しさん (2017-01-10 21:59:20)
- 今後、媚空の話が続いてミッキーカーチスが出るとしたらレクター博士みたいな役割になるんかね… -- 名無しさん (2017-01-19 03:27:37)
- 個人的に牙狼シリーズの中でも屈指のえげつなさが甚しい作品(物語や設定自体はとても気に入っている) -- 名無しさん (2022-06-07 22:24:07)
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