グラマンF6F ヘルキャット

ページ名:グラマンF6F ヘルキャット

登録日:2012/05/23(水) 10:16:42
更新日:2023/11/20 Mon 11:49:13NEW!
所要時間:約 3 分で読めます



タグ一覧
軍事 兵器 戦闘機 艦上戦闘機 太平洋戦争 グラマン鉄工 名機 艦上機 グラマン 零戦キラー マリアナの七面鳥狩り ジム←強すぎるジム←お前のようなジムがいるか 名機←だが使い捨て リサイクル?知らんな 猫戦闘機シリーズ第二弾




グラマンF6Fヘルキャットは第二次大戦中の米軍艦上戦闘機。



◆概要

直訳すると「地獄の猫」だが、「性悪女」の意味がある。実質的にF4Fワイルドキャットの後継機。急きょ零戦対策として開発されたというのは間違い。
2000馬力の強力なエンジンとグラマン鉄工と言われるような重装甲で零戦を始め日本軍用機を落としまくった。


武装:12.7mm機銃×6
生産数は12275機




◆開発

F4Fの後継機としてF4U コルセアを開発していたアメリカだが、そちらには新技術を取り入れまくっていた為、失敗した際の保険機として開発された。よって、零戦の対策機として完成した訳ではない。
その固さから零戦乗りからグラマン鉄工と呼ばれた。防弾ガラスをはじめ96kgもの増加装甲を施せたのは2000馬力級のエンジンだったから。
単純かつ信頼性のある技術のみを使う極めて保守的な設計でF4Fの長所だけを伸ばした感じである。


また欠点もありその機体重量の重さから同クラスのエンジン搭載機に比べて総合性能では劣りがちだった。


しかし、癖のない良好な操縦性と堅牢な機体は、多くの初心者を一流の戦士へと育て上げる機会を提供した。



◆実戦

零戦に苦戦を強いられたF4Fの代替機として登場。運動性が悪いと思われがちたが、実は400km/h以上の速度域では零戦より旋回性能が良い(旋回半径が小さいわけではない。念の為)。そのため高速戦闘に徹したらスーパーエース以外の零戦では歯が立たない。
事実、あの坂井氏も「ゼロ戦にここまで食い付いてくるのはF6Fだけ。他の機体だったらとっくに撃墜してた。」「最も手強い」等、高く評価している。
紫電改より運動性が良かったという日本軍パイロットも。


結果、配備数の多さも手伝って大戦を通じて最も日本機を叩き落とした機種になった。
一説には日本機を一万機撃墜した…などと言われるが、これは誤りである。でもキルレートは1:20近くにまでなる。誤認込みとはいえ、圧倒的……。


マリアナ沖海戦では日本のパイロットの練度の低下も深刻で、零戦含め250機以上が撃墜され、マリアナの七面鳥狩りと呼ばれた。
しかし2000馬力級にしては速度が遅く、機体が大型で護衛空母での運用が困難で、紫電改、疾風などが現れる時期にようやく本命のF4Uの艦載機運用が始まり、機種換えされ、太平洋戦線から次第に退いていった。


ちなみに終戦の報が入った時、太平洋上でF6Fを輸送していた空母では、余ったのでそのまま海中投棄という暴挙をしている。
贅沢は素敵だ。


その後も他の連合国では使われ続け、発展途上国では終戦後も長く使われた。




◆その他

大重量のため車輪の足が折れやすいという艦上戦闘機にあるまじき欠点がある*1のだが、大量の予備機を用意することでカバー。折れたら海に捨てる。
ぶっちゃけありえない、当時の日本では考えられない解決策だ。よくこんな変態国と渡り合えたものだ。



第二次大戦を扱ったゲームに登場。ヤラレメカのF4Fと違い強力な機種として登場。
経緯も機体の特性もコンセプトはジムなのだが、おまえのようなジムがいるか。



◆グラマン鉄工所の落日

このように性能・実績共に申し分なかったのだが、ゼロキラーでありながら「ゼロ戦相手の格闘戦自重」とマニュアルに明記され、
実際に末期までそれを守るパイロットが多かったのである。
本来は確かな格闘戦能力があったにも拘らず、低速域での運動性の悪さから格闘戦では最後までギリギリのせめぎ合いを余儀なくされた。
零戦相手に返り討ちに遭ったり引き分けに持ち込まれたりと辛酸を舐めさせられた機体も少なくない。


また、上記の重量過多による主脚の破損率の高さからコストパフォーマンスも相当宜しくなかったと思われる。


何より、(非常に失礼な言い方になるが)F4Fの延長戦及びF4Uの保険程度に過ぎなかった存在意義が次第に本機そのものを追い詰めていくことに。
先進的で先を見据えたF4Uに対し、最初から基礎設計と基本性能で水を空けられていた本機は保険というポジションも相まって、
F4Uの艦載が進むにつれて徐々に片隅へと追いやられ、最終的にはとうとう主力艦載機の座から引きずりおろされてしまう。
運用の幅が狭かった本機は本国では終戦と同時に大半が退役し、数少ない現役機も無線操縦のラジコン爆弾(無人特攻機)として朝鮮戦争で使い潰されてしまった。


余りの圧倒振りから日本軍パイロットからも時には敬意を払われたことさえあった名機・ヘルキャット。
米海軍の救世主でもあった彼女は有終の美とは程遠い、余りにも残酷で寂しい終焉を強いられたのである





追記・修正は性悪女を乗りこなしてからお願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,6)

[#include(name=テンプレ3)]


  • F4Uを本命としてたらこっちの方がよかった。米軍機はこういうピンチヒッターが本命になっちゃう話が多い -- 名無しさん (2015-02-03 21:28:11)
  • でも、朝鮮戦争まで活躍したのがF4Uなんでやっぱこっちが大本命だったんでしょ。F6Fはすぐ退役しちゃったし。お陰で所詮は低性能の日本機相手にしか活躍できないボンクラ扱いされることも。実際にはヨーロッパでもドイツ機相手に無双したのに。 -- 名無しさん (2015-07-31 15:33:30)
  • F4Uは戦闘爆撃機として活路を見出せただけなような -- 名無しさん (2015-07-31 19:23:05)
  • そもそもF4Uみたいに低空格闘戦が弱い艦戦なんて艦戦じゃないですやん・・・低性能の日本機じゃなくて艦上機相手に活躍できるってのが正しい。んで艦上戦闘機をまともに使ってたのは日本だけ(当時の英国の艦戦は産廃しかいない) -- 名無しさん (2015-08-05 17:52:38)
  • F6Fの方がかっこいいイメージがある -- 名無しさん (2017-01-08 12:59:17)
  • コンセプトはジムだけどいきなりジムカスタムが出てきたと言う感じ -- 名無しさん (2017-09-25 10:29:35)
  • 成程……機体を頑丈にして搭乗者の生存率を上げることでパイロットの腕を成長させる発想の逆転 -- 名無しさん (2017-09-25 10:42:02)
  • 必要充分な力を備えて現れ、果たすべき役割をきっちり果たしてさっさと退場したその生涯は、理想的と言えなくもない。 -- 名無しさん (2018-05-30 15:27:28)
  • 強力なエンジンさえあればその他は多少ボンクラでも問題ないということを証明した機体 -- 名無しさん (2018-07-30 12:18:42)
  • 本命の保険という意味では日本でいうと零戦52型か?それとも紫電改の艦上機型? -- 名無しさん (2020-08-23 06:11:23)

#comment

*1 相当頑丈な方なのだが、それでも自重が重すぎて支えきれなかった

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧