登録日:2012/03/16(金) 00:00:01
更新日:2023/11/02 Thu 12:56:27NEW!
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■四天王
『四天王』は大乗仏教に於いて、世界の中心たる須弥山(しゅみせん)の頂上に住む神々の王「帝釈天」に仕える四柱の神。
六欲天の第一、四大王衆天の主。
須弥山中腹の四天王天の四方を守護する護法善神の諸氏族の王達で、四大王とも呼ばれる。
須弥山は広大な仏教世界では下部に位置し、須弥山の上位に仏(如来)や菩薩の住む「天」を支えるとされているのだが、四天王はその須弥山を囲む四つの大陸……。
即ち、
■東勝身洲(しょうしんしゅう)
■南贍部洲(せんぶしゅう)
■西牛貨洲(ごけしゅう)
■北倶廬洲(ぐるしゅう)
を守護しているとされている。
この、古代インド神話に由来するとされる世界観から後には仏を奉る場を須弥山の縮図=須弥壇と呼ぶようになり、
その四方を守護する神(護法善神)とされる様になった。
元来は福徳や財宝を司る神であったらしく、インドでは穏やかな顔の貴族めいた姿で顕されたらしいが、
大陸を渡り歩く内に守護神と云う役割に併せてか、忿怒相の武人の姿へと変化。
我が国でも唐代の甲冑を纏った鬼神、戦闘神として伝えられる事になった。
※メンバーを順に「持増広多(地蔵買うた)」と覚えるトリビアがある。
【概要】
日本では仏教の伝来にも尽力した聖徳太子が戦勝祈願を掛けた事で名を知られ、
飛鳥時代に制作された奈良・法隆寺の四天王像は現在まで四天王の姿を顕す時の基本形となっている。
仏典では「金剛明経」に説かれ、元来の福徳財宝神の性格に依るのか息災を祈る「四天王法」の功徳も修されるが、
矢張り戦闘神として主に武士階級の崇拝を集め、
中でも四天王中でも最強の神とされた多聞天(毘沙門天)は「昆」の旗印を掲げた上杉謙信を始め、源義経や足利尊氏らも熱い信仰を捧げた事でも有名である。
以上の事から四天王の名は古くから日本人に馴染んでおり、
ここから様々なジャンルに於いて優れた人間をグループ化して呼び顕す、所謂「○○四天王」の流行が誕生している。
尚、本来的には四天王の仕えるリーダーとして中央に帝釈天が置かれるのが仏教式なのだが、○○四天王の場合は四人のみで完結するケースが少なくない。
「仁王護国般若経疏」では、本来の天竜八部衆の記述とは離れるが、独尊形式の神を二体ずつ眷属としている。
【メンバー】
■持国天
梵名:ドゥリタラーシュトラ
東方・勝身洲=プールヴァヴィデーハを護る。
仏教では東南西北の順で順列が決まる為に、一応は持国天が四天王の首位(リーダー)となる。
法隆寺の作例に倣い右手に「剣」を持つ姿で顕されるのが基本形。
叙事詩「マハーバーラタ」にも登場する技芸に優れた精霊であるガンダルヴァ(乾闥婆)の王に由来し、
元来の名(サンスクリット語=梵名)の意味を「国の守護」と訳せる事から持国(治国)天と漢訳されたらしい。
「仁王護国般若経疏」では乾闥婆と毘舎遮を配下に置くとされ、一般的にも乾闥婆王として解釈される。
※東勝身洲は「銀」で出来ているとされる地。
中国の古典創作『西遊記』では主人公格の斉天大聖こと、神通力を持つ岩猿「孫悟空」の生まれた花果山のある場所として表記されている。
■増長天
梵名:ヴィルーダカ
南方・贍部洲=ジャンプードゥヴィーパを護る。
四天王としては三つ叉の戟(槍)を持った勇ましい姿が基本。
……だが、名の意味を「芽生えた穀物」と読み取れる事から、本来は五穀豊穣を司る自然神だったとされる。
後には豊作が富を生むと云う発想からか、商売繁盛の神ともされており、生命を延ばすと云う意味により「増長天」と漢訳された様だ。
「仁王護国般若経疏」では鳩槃荼と薜茘多を配下に置き、一般的にも鳩槃荼王として解釈される。
※南贍部洲は「瑠璃(ラピス・ラズリ)」で出来ているとされており、
古代インドでは北倶廬洲にある人間世界の空が青いのは、反対側に位置する南贍部洲の「瑠璃」の青が光って見えているからだと考えられていた。
■広目天
梵名:ヴィルーパークシャ
西方・牛貨洲=アパラゴーダーニーヤを護る。
筆と巻物を持った姿で顕されるのが基本形。
元来の名の意味を「醜い目を持つ者」と訳する事が出来るが、これを「尋常ならざる目を持つ者」と解釈する事も可能である事から広目(衆目)天と漢訳された。
衆目の読みから、醜目とする例もある。
上記の名の意味の拡大解釈から「尋常ではない目」=「千里眼」の持ち主であると考えられており、
この事から額に第三の眼を持つヒンドゥーの最強神シヴァの原型となった古代神に由来するとの説もある(※他のシヴァ神に由来する神仏に比べマイナーな意見だが)。
広く世界を見通すとされる能力から無病息災の神とされる。
「仁王護国般若経疏」では竜と富単那を配下に置き、一般的にも竜王として解釈される。
※西牛貨洲は「水晶」で出来ているとされており、本来の世界観からは違うものの、大乗仏教の世界観に沿って描かれた『西遊記』では、
天竺(インド)のある場所として表記されている(※中国から見た場合のインドが西にある為)。
■多聞天
梵名:ヴァイシュラヴァナ
北方・倶廬洲=ウッタラクルを護る。
単独では毘沙門天の名で呼ばれる。
八方天や十二天にも名を連ねる強大な護法の尊格で、仏教では主である帝釈天(インドラ)以上に軍神としての崇拝を集め、寧ろ単独の神としての方が有名な位な四天王の最強神。
大日如来の守護者たる不動尊に対し、釈迦如来の守護者であるとする説も存在する。
古代インド神話の夜叉(ヤクシャ)と羅刹(ラクシャーサ)を率いるヒマラヤの王クベーラが仏教に取り込まれた神であり、
毘沙門天が北方を護るとされたのは、ヒマラヤがインドから見て北に位置していたからに他ならない。
夜叉と羅刹の王に相応しく、戦闘神としての性格も持つが、
毎日宮殿を埋め尽くされない為に有り余る財宝を焼却処分していたと云うクベーラの伝承を取り入れられた福徳財宝神としても有名であり、
日本では民間にも膾炙していた「仏教」「神道」「道教」から、それぞれ福徳のキーワードにより集められた「七福神」の一柱としても特に有名であり、
同グループの大黒天、弁財天と合体した三面大黒天像は商売人の信仰を集めた。
梵名のヴァイシュラヴァナはクベーラの別名で、クベーラが釈迦の説法に良く聞き入り帰依を決めたとされた説話からついた渾名。
意味は「広く(良く)聞く者」となる事から、多聞(普聞)天と漢訳され、ヴァイシュラヴァナをそのまま音写(当て字)したものが毘沙門天となったとされる。
四天王の一柱の多聞天としては右手に宝塔を掲げた姿で顕されるが、矢張り有名なのは右手に戟(槍)や棒を携えた勇ましい毘沙門天としての姿の方であろう。
日本では中国伝来の「兜跋毘沙門天」を読み違えた軍神「刀八毘沙門天」の信仰も武士階級に起きている。
他に、現在ではヒンドゥーの慈愛の神ヴィシュヌの妃として知られるラクシュミーはバラモン教の時代にはクベーラの妃であったらしく、
その当時の神話が取り込まれた仏教でも吉祥天(ラクシュミー)は毘沙門天の妃とされている。
「仁王護国般若経疏」では原典通りに夜叉と羅刹を配下に置き、薬叉(夜叉)王とも称される。
※北倶廬洲は「金」で出来ているとされた。
大乗仏教の世界観では人間世界は、この北倶廬洲の端っこに位置すると考えられた。
【四天王の原点】
『四天王』の原点になっているのは古代インドの方位守護神、或いは世界守護神と呼ばれる、方位を守る神々である。
城塞、都市を守るべく、または力を得る為に対応した神性を配すると云うのは東西に関わらず見られる思想だが、仏教ではその役目を『四天王』が担わされたのである。
尤も、平安時代に弘法大師により本格的な密教が持ち込まれた後には、単に四方のみならず、小宇宙たる寺院の守護者として、四方+四維+上下+昼夜の守護神として『十二天』が重要視されるようになったと云うが、此方はより呪術的で実践的な側面が強いためか一般にまでは広まっていない。
仏教での十二天は東方 帝釈天、東南方 火天、南方 焔摩天、西南方 羅刹天、西方 水天、西北方 風天、北方 多聞天、東北方 伊舎那天、上方 梵天、下方 地天、昼 日天、夜 月天であり、インドでの陣容とは一致していないが多聞天(毘沙門天)のみはインドと同じく四天王から一尊のみ含まれている。
【主な登場作品】
■ゲーム『女神転生』シリーズ
「鬼神」の種族により多数の登場を誇る他、関東を守護する英雄「平将門」に仕えるTOKYOの四方の守護者としても抜擢されている。
■漫画『聖伝』
大ボス帝釈天の部下として登場。
広目天こそ分かりやすい悪役として描かれたものの、他3人は敵ながら「自らの信念」に拠って戦う真っ当な武人として登場。
後先代が亡くなった後を継いだ現代持国天の正体は(名前などで伏線こそ張ってあったが)衝撃的。
■アニメ『新ゲッターロボ』
ゲッター線の進化を危惧する神々の世界の尖兵として、何故か物語上のラスボスポジションで登場。
石川賢のSFオカルト世界の影響を前面に打ち出した同作とは云え、仏様とロボットが戦うのは何かシュール。
デザインイメージも石川作品の『虚無戦記』から。
ちなみに彼らの声を当てた声優は音響監督の岩浪美和氏曰く『低音おじさん四銃士』と称されるほどの大御所(映像特典『竜馬が斬る!』より)で、二度と集められないキャスティングだった。
■リボルテックタケヤ
本来なら固定の仏像を自由に可動させられるリボルテックとして発売されている。
現実の仏像ポーズはもちろん、エヴァと戦ったり、ウッディを懲らしめたり、バイクに乗ったり、美少女を襲ったりと仏罰が落ちかねない勢いで遊び倒されている。
追記・修正は「仏」に仕える身となってから願います。
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- 西遊記や封神演義と言った中国の小説でも活躍が拝める。4人揃った時の暴れっぷりは必見。四天王が漫画やアニメで何故良く登場するかの理由がよく解る。 -- 名無しさん (2013-08-13 20:08:20)
- でも西遊記だと孫悟空に負けてるんだよね。火の鳥で日本の神々を虐殺する四天王の姿はある意味壮絶 -- (2015-11-21 01:30:37)
- 渾身の手刀やドロップキックを繰り出したり -- 名無しさん (2018-06-09 04:01:08)
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