登録日:2021/07/13 Tue 02:13:40
更新日:2024/05/30 Thu 11:40:11NEW!
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葬送のフリーレン 封印 魔族 魔王軍 強敵 天才 安元洋貴 角 巨漢 無限に株が上がる男 寝起きドッキリ 人類の敵 異端児 序盤の強敵 ある意味mvp 死後のほうが輝いてる 魔法使い 腐敗の賢老クヴァール クヴァール 腐敗の賢老 人を殺す魔法 一般攻撃魔法 勇者一行が勝てなかった相手 ゾルトラーク デファクトスタンダード
久しいのう、フリーレン。何年経った?
出典:葬送のフリーレン、3話『人を殺す魔法』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。
■概要
『腐敗の賢老クヴァール』とは『葬送のフリーレン』に登場する魔族。
CV:安元洋貴
『腐敗の賢老』の異名を持ち、同じ魔族からも天才と呼ばれるほどの実力者。
姿形は数mほどの背丈で体躯は屈強。非常に長い顎鬚を蓄え口端と瞼の端が縫い合わされた「羊の仙人」のような化け物といった具合で、
後に登場する魔族と比べ見た目には人間らしさを欠片も感じさせない。
長らく魔王直属の幹部『七崩賢』の一員なのか不明だったが、63話にて『七崩賢』ではなかった事が判明した。
七崩賢最強と言われる黄金郷のマハトとは友人関係だったようで、少なくとも同格程度の立ち位置ではあったようだ。
本編の約80年前に表舞台に現れ、中央諸国を侵略。*1
クヴァールが開発した史上初の貫通魔法『人を殺す魔法』は当時の人類の装備の耐性、防御魔法では防ぐことができなかった。
結果として中央諸国の冒険者の四割、魔法使いに至っては七割もがこの魔法によって殺されたという。
そんな状況下で現れたのが勇者ヒンメル一行だった……が、彼らでさえクヴァールに勝つことはできなかった。
最終的にフリーレンが一計を案じ、クヴァールの身体をグレーセの森林近くに封印。『人を殺す魔法』の脅威はひとまず落ち着くこととなった。
フリーレンはあくまで「負けた」と認識しているが、周辺の国々にとってはとてつもない朗報だったに違いないだろう。
なお、ヒンメルは魔王討伐後も50年間に渡ってクヴァールの封印の状況を確認し続けていた。
ヒンメルのお人好しさと、毎年確認しなくちゃいけないクヴァールのヤバさがわかるエピソードである。
そのためかクヴァールさんと呼ぶ読者も多い。
■人物
一人称は「儂」。
怪物然とした外見に反して老人めいた言動は何とも飄々としており、自らの封印を解除したフリーレンに対しても「久しいのう」と宣ってみせた。
- 魔王が死んだと知って仇討ちをしようとする
- フリーレンと魔法談義を繰り広げる
など堂に入った立ち居振る舞いも見せ、見た目は人間らしくても総じて中身は人でなしな他の魔族達とは一線を画する人間臭さを持っている。
ただし「魔王様」に関してはこれ以降口に出すことはなく、またアニメでその事を述べる口調は比較的軽い感じ。
どちらかというと「エルフと人間の小娘に自らの力を示して殺す、仇討ちはついで」のようにも取れる。
この辺りはやはり他者とはわかり合えない魔族であることには変わりないのだろう。
だがフリーレンも彼に対しては一目置いていたのか、「大人しくするなら楽に殺してやる」と基本魔族に容赦のない彼女にしては慈悲を見せていた。
とはいえ彼も魔族、人類とはどこまでいっても交わることのない存在であり、結局は魔法による殺し合いという形で決着をつけることになるのだった。
あるいは「魔族を欺いて殺す」スタンスのフリーレンとクヴァールの恐ろしさを考慮するとこの言葉は慈悲ではなく、余計なリスクなく始末できる可能性を狙ってただけなのかもしれないが。
■本編
ヒンメルの死から27年。
封印の効力も限界に近づいたため、フリーレンは自ら封印を解いてクヴァールを討伐することを決断する。
クヴァールは得意の『人を殺す魔法』でフリーレンを狙うが、同行していたフェルンが防御魔法を展開し防ぎきる。
切り札をあっさり防がれたクヴァールとともに、かつて人類を震撼させた魔法を目の当たりにしたフェルンにも一つの驚きがあった。
…フリーレン様、これはどういうことですか…?
…今のは一般攻撃魔法です。
あらゆる防具・防御魔法を貫通する強力な攻撃魔法『人を殺す魔法』だが、皮肉にも「余りに強力過ぎたこと」が逆に仇となった。
彼が封印されていた80年の間で、『人を殺す魔法』は徹底的な研究がなされ、これを防ぐ仕組みが盛り込まれた新しい防御術式が開発されたのである。
結果、かつての凶悪な殺戮魔法は防御魔法を張ってさえいれば防げる一般攻撃魔法に成り下がった。
各種装備の耐性自体も向上しており、人を殺す魔法はすでに人を殺す魔法ではなくなっていたのだった。
時代の移り変わりによる技術の陳腐化を象徴するかのような展開となったが、そこは腐っても『腐敗の賢老』。
初めて見たはずの防御魔法をその場で分析し、「燃費の悪さ」という弱点を早々に看破。『人を殺す魔法』の乱れ撃ちによって魔力を枯渇させる戦法を取る。
自らの切り札を破られても冷静さを失わず、即座に対策を取ってくる老獪さは他の魔族には見られないものであり、メンタルの強さも抜きんでていることがうかがえる。
またアニメではフリーレンが80年前まで魔族の専売特許だった飛行魔法を使っても、「飛べるのか……!」と驚愕とも歓喜とも取れる言葉を発している。
相手が強者であれば心を震わせる辺り、やはり魔族としては異質であり厄介な相手と言えるだろう。
最後はフェルンに自身の『人を殺す魔法』を捌き切られ、その際に生まれた一瞬の隙を突いたフリーレンの放った大出力の『魔族を殺す魔法』によって、
肉体の殆どを消し飛ばされ絶命。そのまま塵となった。
…フリー…レ…
…儂の…魔法を…
■戦闘能力
なるほど。
なるほどのう。攻撃魔法に同調し威力を分散させる仕組みか…
複雑な術式じゃのう。
魔力の消費もさぞつらかろう。
魔王軍の中でも屈指の魔法使い。
魔力量こそフリーレンに劣るが、生涯を費やして開発した貫通魔法『人を殺す魔法』の殺傷力は折り紙付き。
魔族は生涯を費やしてひとつの魔法を研鑽していく習性を持つため、クヴァールは『人を殺す魔法』による中遠距離攻撃に特化した戦闘スタイルを取る。しかし真の恐ろしさは
- 自らの切り札を破ってみせた人類の防御魔法に感心してみせる胆力
- 一度見ただけで初見の魔法の仕組みや弱点を瞬時に看破してみせる観察力と考察力
の方であり、良くも悪くも魔族らしからぬ柔軟性は、単純な戦闘力以上の底知れない恐ろしさ・威圧感を放っていた。
結果的にはあっけなく討たれた形ではあるが、フリーレンが初見殺しの利を生かして上手く仕留めたと言った方が適切だろう。
……万が一にも仕留め損なって研鑽の時間を与えていたら、どんな対策を講じてきたかわかったものではない。
原作では戦闘シーンは僅か数ページなため描写が薄いが、アニメでは戦闘において
- 防御魔法の仕組みを見抜いた際に自分でも実際に生成してみせる。
- 飽和攻撃をフェルンに防がれてしまったので大出力の攻撃へと切り替えて、フェルンに防御魔法を広範囲で展開させる*2。
- フリーレンが空中にいることを驚きつつも即座に攻撃の体勢を取る*3。
などの描写が追加されている。
『七崩賢』の一員である断頭台のアウラや、魔王にさえ勝った勇者一行でさえ封印が精一杯だったということからその実力はわかるというモノ。
- 彼が編み出した後述する魔法の有用さ
- 80年掛けて発展した人類の魔法技術を一目見ただけで理解して欠点すら見破ってみせる優れた洞察力と適応力
- それでいて自らの切り札が陳腐な物になっても決して動じなかった精神力
は読者からも高く評価されている。
こうして、連載が進むごとに「逃がしたら絶対に自分の魔法を改良してさらに強くなっていた」「こいつには一日たりとも時間を与えてはいけない」
「人類の80年を1分で理解した天才」「あの場で倒せていて本当に良かった」「物語序盤で出てきて良い敵ではないがあそこで負けてたら人類が詰んでた」と株を上げているキャラクターである。
彼の存在はフェルンにも印象的だったらしく、後にフリーレンが「自分より魔力の劣る相手に負けたことがある」と語った際は真っ先にクヴァールの名前を挙げていた。
当時クヴァールと戦って無事に生還した勇者一行と、そのクヴァールを従えていた魔王の株も上がっている。
余談として、彼の脅威によって防御魔法が進歩した結果、攻撃魔法の在り方も大きく変化した。
防御魔法に求められるのは「魔法に対する防御性能」と「発動から展開までのタイムラグを限りなくゼロにすること」であり、結果として展開による燃費が増大し、物理攻撃への防御力はほどほどに抑えざるを得なくなった。
ゆえに現代の攻撃魔法は「大質量の物体を操作して物理的に衝突させ、防壁を力づくで貫通する」ものが主流となっており、
フリーレンのような「防御魔法を展開させ続けて魔力を削り、ガス欠になるのを待つ」戦い方はオールドファッション扱いになってしまっている。
言うなれば『人を殺す魔法』が組み込まれた前と後で、人類の魔法体系そのものが大きく変動したのと同義。
人間の魔法の歴史そのものに大きな影響を与えたという点でも凄まじい魔族である。
使用魔法
- 人を殺す魔法
クヴァールが開発した史上初の貫通魔法。
ビジュアルは掌から発射される高出力ビームだが、あらゆる防御魔法・装備の魔法耐性を貫通して人体を直接破壊する驚異の性能を誇り、80年前の人類の装備品・防御魔法では防ぐことができなかった。
そのうえ速射性にも優れ、魔力消費も少ないという欠点らしい欠点がない魔法である。当時の人類からしたら文字通りの問答無用の即死、アバダケダブラみたいなもんだっただろう。
また貫通魔法とは言うが、この魔法は原子分解や空間破壊、概念的即死などといった「完全防御無視」の類ではない。
他のマンガで例えるとスペシウム光線やらかめはめ波やら虚閃やらと同じ「ただの純粋なエネルギー攻撃」である。つまりはただのビームに過ぎない。
人体だけに影響を及ぼすわけではなく、ビームが掠った地面は抉れ、草木も吹き飛ぶ辺り人間以外にも一応は有効。
その真髄は超越者による絶技ではなく、
- 人を一撃で即死させられる十分な殺傷力
- 当時の人類のあらゆる防御手段を確実に突破できる貫通力
- 従来の攻撃魔法を大きく上回る弾速
- 同時展開も容易い燃費と速射性
これらを余さず満たしつつ、決して過剰にはなっていない非常に高度なバランス配分であった。
そのため直撃すれば人間を絶命させるには十分ではあるが、大型竜のような高い耐久力を持つ存在を一発で仕留めるほどの威力は持たせていない。
原作で描かれたのは連射攻撃程度だったが、アニメでは空中にワープゲートのようなものを作って斜め方向から発射するなどの発展技を見せている。
後に作中でも、(その時は防御に関してではあるが)発動時間などを代償にするため、戦闘魔法のオーバースペックはあってはならないと語られる。このような知見もまた、『人を殺す魔法』によって齎されたもののうちの一つと言える
後の話において、クヴァールを一撃で殺したフリーレン愛用の攻撃魔法が『人を殺す魔法』の改良品であることが判明。
『人を殺す魔法』は一般攻撃魔法となり、そして『魔族を殺す魔法』に進化していたのだった。
魔族側にも『人を殺す魔法』の脅威は知れ渡っており、クヴァールの封印から30年が経過した*4頃には魔族も克服したことで十分な対策は講じられていたのだが、その上をゆくだけの優れた拡張性も持ち合わせていたわけである。裏を返せば魔族をもってしても克服するのに30年もかかったわけであるが
こうして『人を殺す魔法』の脅威に晒された人類が開発した新・防御魔法は「耐える」ことを諦め、「攻撃魔法と同調する事で威力を分散する」仕組みを取っている。
だが対策はあっても燃費・速射性等の面からも十分に優れた魔法であり、そもそも前述した通り直撃すれば人の命を奪える十分な威力はあるため、作中現代では文字通りの「“一般”攻撃魔法」として魔法使いの間に定着するに至った。
陳腐化したと言っても、作中現代の魔法戦はこの魔法の存在を前提とされており、唯一と言っていい対策である防御魔法の適切・迅速な展開は魔法使いの必須スキルとなっている*5。
フリーレンの方針で「一般攻撃魔法」に特化したフェルンの戦いぶりを見ても(彼女だからこそという部分もあるが)、この魔法の恐ろしさはよくわかるというもの。
この魔法を大魔族のソリテールも「極めて汎用性の高い優れた攻撃魔法」と評価している。
一方、その欠点について「人類でも理解して扱えるほど洗練された美しい術式構造をしていたこと」としている。
実際のところ、魔族の魔法、特に七崩賢の魔法は別種の精神性や物理的に脳の構造が異なることを理由に人類にはまるで理解もできないシロモノである。
人類が使用している魔族の魔法の例としては、現代の魔法使いが当然のように行使する飛行魔法があるが、それも未解明の術式のため、応用は全くできない。
ようはどういう原理で飛行を可能にしているかも分かっておらず、とりあえず元の術式をコピーしたら飛べたのでそのまま使っているだけにすぎないのだ。
“史上初”の“貫通魔法”などという性質を持ちながら、人類が発展・改良も可能なほどつまびらかにできた簡明さは、他に類を見ない性質のものだったのである。
魔法の習得にかかる時間もまた優秀で、例えば特異かつ強力な“呪い返しの魔法”は人類の魔法でありながら習得までに百年の時間を要する。
それに対してこちらは戦いの前提にされるくらいの普及性なのだから、なんともまぁ優れているのだろう。
前述通りの経緯と性質を持つが、その一方で「一般攻撃魔法」に分類されるほど流通した結果、人類同士の争いにおいても使用されていたらしく、南側諸国の人類同士の戦争では皮肉にも『最も人を殺した魔法』になってしまった。
さながら現実世界のダイナマイトやAK-47カラシニコフのようである*6。
■余談
単行本1巻で登場する、封印地点が勇者一行のスタート地点の傍、と言った事から序盤のボスといった感じのするクヴァール。
しかしヒンメルの死後27年目(魔王討伐から数えて77年目)の時点で「80年ぶりの再会」とのことなので、
勇者一行とは冒険7年目で戦った次第になる。ようするに中盤の大ボスである。どっちにしろあんな場所に居るような敵ではないが
「およそ80年」という意味で使った可能性もあるが、約90年と表現しなかった事から少なくとも冒険序盤で戦ったわけではないようだ。
名前の由来はドイツ語で「苦悶」を意味する『Qual』。
追記・修正は『人を殺す魔法』を防いでからお願いします。
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*2 防御魔法の破壊ではなく、広範囲展開による魔力切れを狙ったと思われる。事実フェルンは魔力を大量に消費したのか、戦闘後に膝をついてしまっていた
*3 クヴァールが封印された時代には人類は飛行魔法が使えず空中は魔族の独壇場だったので戸惑ってもおかしくはない。
*4 フェルンの旅立ちの半世紀前
*5 そもそも陳腐化するほど普及するということ自体が、その優秀さの証明である
*6 実際に既存の魔法体系に文字通り風穴を開けるような斬新さから「剣と魔法の世界にいきなり連発式ライフル銃が持ち込まれたようなもの」と例えるファンも居る。
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