南海奇皇_ネオランガ

ページ名:南海奇皇_ネオランガ

登録日:2015/05/22 Fri 19:42:30
更新日:2024/03/15 Fri 22:31:33NEW!
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―確かに見たものが電話線を通した途端、リアルさを失う。1つボタンを掛け違ってその情報は消えていった―

―だから、勿論彼らはその名を知ることがなかった。バロウ島では当たり前なのに―

―彼の名はランガ―

南海奇皇ネオランガ


南海奇皇ネオランガ』とは會川昇による日本のテレビアニメ作品。WOWOW(オリジナルアニメ枠)にて、第1期が1998年4月6日から9月28日まで、第2期が1999年4月6日から9月27日まで放送された。全48話(第1期:24話 / 第2期:24話)


概要

WOWWOWにおける初のノンスクランブルアニメである。現代を舞台にしたSFアクションコメディ作品であり、今までのWOWWOWのアニメとは大きく違う作品である。第1期前半は、怪獣を呼び寄せたことで疎まれる主人公達が街の名物として受け入れられる物語を描き、後半は日米政府を巻き込んだ陰謀に翻弄される姿を描く。第2期前半は一変した世界情勢の中でコメディを主体にした明るい作風で大怪獣バトルが展開し、後半はシリアスな物語となっている。
怪獣と戦うロボットアニメかと思えば怪獣の方が主人公側でが陸に居座って社会に組み込まれ、ヤクザを相手に戦ってたら政治が絡み、陰謀を巡らせるカルト教団と戦ってたら超越存在と哲学バトル、と無理のない流れではあるが相手の規模が大きくなるにつれてジャンル自体が変わっていくような奇妙な作品。
會川によるとスタジオぴえろとポニーキャニオンから「新世紀エヴァンゲリオンのようなアニメ」を注文されて特撮要素を入れたとのことで、
明確にエヴァの影響下にありながらキリスト教的世界観のエヴァと対照的に多神教的な世界観がベースになっており、
さらにはローカルな犯罪やご近所トラブル、小さな悪意、報道と大衆といったエヴァにまず出て来ない要素が大きく扱われ、
典型的なセカイ系とは似て非なる……というか、ここまでくるとむしろ似てもいないという怪作。
それだけに地上の破壊や水煙などはこだわりの作画で描かれているが人物の顔が時折一定せず、まだ作画崩壊という言葉は一般的ではなかったが、作画のことでいろいろ言われたという。
また、ラスボスと思われた存在について語ることをやめ、不死の敵幹部をひとまず退けた段階で「いつ来るか分からない終焉について争うのは止めてとりあえず楽しめるなら笑って生きる」というラストは賛否両論を呼んだ。
會川はその後の作品で「不死の存在との戦いの果てに近づいた避け得ぬ滅びを、戦いを放棄することで永遠に先送りする」という結末を本作以上に直截的に描いており、本作のリベンジと推測する説もあるとかないとか。

ストーリー

――人は変化を嫌うが祭りは好きだ――
貧しくもたくましく生きる島原三姉妹が、南の島バロウ王国の王位継承者となり、神ネオランガを託される。東京武蔵野を舞台に、マスコミや軍部、政治の黒幕などの敵に狙われる。楽園はそこにある。
支配されていることに気付き戦う三姉妹。表舞台に出た虚神会が政権を樹立して日本のトップに立ち、武蔵野の一部が暫定独立領としてバロウ領土になる。楽園を探して。
戦いの果てに宇宙がタオに支配されていることを知ってしまった。知らなければ、運命だと受け入れていたはずの終わりを。楽園はまだない。

登場人物

島原三姉妹: 海潮、魅波、夕姫。それぞれ異なる性格と能力を持ち、ネオランガと共に成長していく。

母方の実家は南九州で神の子孫と語り継がれている一族。

島原海潮

主人公。島原三姉妹の次女で中学三年生。頭頂部からゼンマイが飛び出した赤毛のショートカットで青い瞳。正義感の強いサッカー部員。兄の訃報を受け容れられずネオランガを相続放棄しようとしていたが、兄の遺品として受け入れその力で人々を救うべく同調する。
ランガの使用武器は七支刀。
実力行使による勝利でも解決しない問題に直面し、正しいことを知ると言うランガに判断を委ねるが、そこでランガが虚神スレイヤーと化し、他者に縋ることをやめる。
消防団の新村との出会いで自己犠牲による救いは助けられた側に重荷を負わせると否定的になり、最終話にてラヴレの犠牲を見てネオランガを眠らせ戦いをやめる決断を下す。
設定資料に貧乳と明記されており、カットによっては下手をすると夕姫より小さく描かれていたりするが一貫して容姿は優れているものとして描かれ、ランガで脅迫をやらかした夕姫をカメラから庇おうとしたらカメラが撮っていたのは海潮の方だったという場面もある。

島原夕姫

三姉妹の三女で小学六年生。青いロングヘアに黄色い瞳。一見すると早めに来た中二病で生きるためには悪いことでもやると嘯き12歳にして男心を弄ぶ醒めた皮肉屋だが、好戦的で海潮とは別の方向に潔癖な面を持つ。当初はネオランガの力で街にはびこる腐敗政治家や政邦協会の支配を排除し自由を求めていたが、一件落着しても根本的な問題は元のままというオチに苛立つ。
ランガの使用武器はトマホーク。
笑顔を強制されているように感じるという理由でクリスマスも嫌うほど支配されることを何より嫌い、
人を超えた力を得た勝流をも「神の使い走り」と失望し、タオへ挑むことを主張するが、自分たちも持たされた力によって戦いを強いられていることを海潮から指摘され戦いの放棄に同意する。

島原魅波

島原家の長女で芸能プロ「スターホール」を経営する24歳。褐色のロングヘアに赤い瞳。赤字のため新聞配達と水商売のアルバイトもして家計を支えている。妹達を守るため島原三姉妹の現実的対応を担当する。
ランガの使用武器は指を鋭く融合させて貫手(武道)
現実的であるが故にランガのことも芸能出演させたりするのでランガと同調できないのではないかと思っていたが、
銀行強盗に巻き込まれて自身がランガの管理者であることを材料に交渉した末、実は職場の横領を内部告発する目的だった強盗が政邦協会の暗殺ヘリに殺されたことに激昂して初めてランガと同調し、ヘリを撃墜し、戦いと正義を求める。
勝流への思慕は兄妹を逸脱しかけているが『家族』を守る意志が魅波の原動力であり、海潮を殺す気の勝流を拒絶する。

島原勝流

島原三姉妹の兄。
失踪して10年の間にランガに選ばれユリエルと結婚し、息子のジョエルも授かってバロウ島の王になり、
バロウ島で行方不明となって二年、死亡したものとされる。
しかし実際にはスーラを信仰しながら、生命と対置するタオに寝返って力を得たキュリオテスとなっていた。
元は家の重荷や育児ノイローゼでに悩んで酒をしこたま飲み、どちらが多く股の間にビール瓶を挟めるか競争するような普通の青年だったが、
キュリオテスとなった勝流は宇宙の摂理にのみに従う事が楽園とし、血の繋がった妹と愛し合うことにも始末するのに躊躇がない人間性を捨てたものとなり果てていた。
神の死体バンガと一体化して操る力や、タオのために敵と戦い続ける限りタオの元で不死の力を持つ。
タオを目覚めさせず、その力を独占することを目論む。
西洋の唯一神(Y・H・V・H)と東洋の道教がチャンポンなネーミングとなっているが、これは先にイスラエル・中国・アメリカに現れたキュリオテスが名乗った名前に準じているため。

トゥーリ

ランガの伝承を語り継ぐバロウの3長老。それぞれの名はンボ、ラノ、ガル。
常に民族衣装を身に着けバロウの伝統に関しては厳かだが、日本での日常ではテレビ番組を楽しみにしていたり親しみやすい面もある。


藤原和王

勝流の友人で夕姫の担任教師。勝流亡き三姉妹の兄的存在。夕姫にたじたじの常識人と思いきや、夕姫に高い下着をプレゼントしてるわ「君の足長おじさんになりたい」と囁くわのロリコン。
実は虚神会の若手幹部であり、日本においてランガを悪者に仕立て上げるが、島原三姉妹への善意(とロリコン)は本心であり、第2期虚神会の作戦で島原三姉妹にダイレクトアタックしないのは彼の意向もある。
イブキ神を唯一神とする理想の国家のためイブキ神に乗り込みランガを苦戦させるが本物の唯一神の手先となった勝流により、彼の信奉する正義は誰からも、虚神会の内部でさえも共有されていないことを突きつけられる
基本的に老人の組織である虚神会において若い彼の地位が高い理由は古い家柄とだけ説明されているが、
第1期序盤で計画されたランガ爆破に伴う残骸の買い取りの資金源に関連して「フジワラ銀行」が政邦協会と虚神会のメンバーに闇献金を行っていることが内部告発により明かされる描写がある。

ネオランガ

「正しい事を知る」と言われバロウで神と崇められる身長18メートルの巨人。赤い渦巻き模様の入った黒い鎧のような体の関節部からは濃緑色の部分が覗き、
仮面のような顔を持ち、尻尾を含めた全長は25mを超える。
勝流はランガに選ばれ王となった。基本的に島原三姉妹の命令を聞くが、三姉妹の正義感が昂ると、普段は穴のような目にその時同調している姉妹と同じ色の瞳が浮かび上がり、同調者に応じた武器を使用する。
命ならば宇宙の摂理が相手でも抗うべきと唱え滅ぼされた神「ランガ」でなく新たなる神であるという意味で勝流により名付けられた。
なのでゴウランガとは関係ない。正しくないと思った相手にはヤクザだろうと容赦しないし友の亡骸を利用した兵器には白目を見開いて虚神スレイヤーと化すけど
どう新しいのかは明言されず、フルネーム「ネオランガ」、愛称「ランガ」程度の呼び分けとなっている。
島原三姉妹とはテレパシーのようなもので繋がっており、誰がビキニを着ていたら一番イヤかの大喜利が始まった際に海潮がネオランガの名を出した際にはその場にいないにもかかわらずうなされるようなリアクションを見せている。
日本にやってきた当初に爆破が決定されるが、魅波がバロウ王国の国王に就任することで法的にはバロウ大使館の備品という扱いとなる。
始めは武蔵野の商店街の住人からも敬遠されたり奇異の目で見られたりする一方で便乗商品が売られたりと微妙な関係だったが、
島原の母方の実家のある九州南部の祭りにゲスト出演した時はリモコンで操作される偽物の神だと疑い暴露を目論んだ地元民から三姉妹の私物が盗まれる騒ぎが起きていたが、
エピソードの合間にいくつものバラエティ番組に出演してすぐにブームが終わっていたりと着々と知名度を上げていき、
虚神会政権下の日本側でも神がいるのが当たり前というプロパガンダが行われているので二期の頃には完全に定着している。
実は中に操縦席のようなものが存在しており勝流そっくりのスーラという存在が封印されている。
ここに直接入って操縦した王の体にはランガのダメージに連動して赤い渦巻き模様が浮かび上がる。
殺人犯と対峙した海潮が、自分の中にも憎悪と殺意が存在することに気づいたことに呼応するようにスーラが解放される。
邪悪な存在と語り継がれるスーラは、昏々と寝て、勝手に食い漁り、ラヴレしか宥められない、
と三大欲求や闘争心の塊とも言える衝動的存在で、スーラが封印されていることは、欲求が抑圧されている事、そして勝流が人間性を置いて行ったことを暗示している。


虚神会

日本古来の神を敬う宗教結社。名前がついたのは昭和からで存在自体は昔からあった。
元ネタは半村良の「嘘部」シリーズと「神を広告代理店が宣伝する」という発想は山田正紀の『神々の埋葬』の渡虹会。
虚神とは神の死体に人の操縦と機械を組み込んで動かした存在。彼らの暗躍の副産物で、自衛隊は戦車ならぬ戦脚が発達し1期序盤から登場するASEが実現している。
2期ではプロパガンダにより日本人は虚神の中に人などいないと思っている。
1期では鉄球クレーン車でネオランガと戦うヤクザ政邦協会が数々の事件を起こす陰で日本政府をも不思議な手回しで操り日米安保まで使ってネオランガという存在を追い詰め、
2期ではコッテコテの悪の組織めいた珍作戦に基き大怪獣バトルを繰り広げるが、これは別に急に頭が悪くなったわけではなく虚神会が日本の政権そのものを取り手回しも手続きもいらなくなった結果、心置きなく本来の目的である日本民族から西洋の呪縛を抜き去ることに邁進できるようになったため。
とはいえ(夕姫がクリスマス嫌いだから)和王の進言で採用されたクリスマス中止作戦に
虚神会の老人が「昔は娘とパーティをやったものだが娘婿がきてからは嫌いだ」と明かな私怨を打ち明ける始末なのは脱力もの。
彼ら自身はかつての神の本名を知らず、虚神の名は勝手に命名しているのだが、
ここでいう日本古来は縄文時代を志向しており、虚神第一号の名がミナカタ、保存状態が最も良く虚神会の象徴となる神にはヤマトタケルノミコトを殺した伊吹の名を冠し、
大和王朝を引き合いに出して東征ルートを遡るように陸奥から常陸に進軍することを計画したりと無茶苦茶きな臭い。
彼らの信奉するアニミズム的な神を滅ぼしたのは唯一神タオなわけだが、
ユリエルの妹でキュリオテスであるナイエルにより道(タオ)は単なる凄い神の力、ランガはその独占を目論んだ神と吹き込まれ、
虚神会の象徴たるイブキ神がバロウの邪神ランガを倒すことで、アメリカと対等な立場に立てると信じ
古代タオの恐れた最強の神イブキ神を目覚めさせたことでタオを目覚めさせキュリオテスのお膳立てをすることとなる。

天の声

神の視点からうえだゆうじ(当時の名義は上田祐司)が淡々と、設定説明から心情解説から事の経緯からテーマ掘り下げまで素早く詳細に解説を入れる。登場人物ではないが短い放送枠の本作で個性的な登場人物それぞれの視点からの発言を理解するためには欠かせない人物。


追記・修正は楽園を探してお願いします。


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