登録日:2010/12/23(木) 05:53:01
更新日:2023/08/17 Thu 22:59:38NEW!
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文学 歴史 古典 平家物語 諸行無常 平安時代 琵琶法師 鬱展開 22年冬アニメ フジテレビ 日本史 軍記物 平清盛 ギオン・ショウジャ 耳無し芳一 サイエンスsaru nhk 人形劇
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。
『平家物語』とは、学校の教科書に冒頭部分だけ引用されがちな軍記物語である。
かの日本古典文学における最高峰『源氏物語』が光源氏の性へk……恋を中心に、平安貴族のセックs……雅な物語を描いたとするならば、
『平家物語』は平家一門の栄華と没落を縦糸に、〈雅〉な貴族と〈俗〉な武士の人間模様を横糸に、激動の時代を奥行きとして紡がれる無常な物語であるといえる。
世間的には
「祇園精舎がどうのこうの……和漢混淆文で琵琶法師がどうのこうの……」
「ショッギョ・ムッジョ!」
「ああ、ヤシマ作戦の元ネタね」
「義経=チンギス・ハーン説」
「ギオン・ショウジャって書くとジオンの軍人っぽくね?」
──といったところだろうか。だいたい合っている。
【あらすじのようなもの】
時は平安時代末期。地方の武士たちが反乱起こすは飢饉があるはで国土は荒廃。
宮中を見れば『源氏物語』時代のキャッキャウフフからは程遠く、相次ぐ権力争いからの刃傷沙汰で正にリアル世紀末状態。
そんな中、頭角を現していったのが平清盛という人。
まあ、最後にはみんな消えて無くなるからどうでもいいんですけど。
【登場人物】 ※ごく一部です。
《平家SIDE》
◆平清盛
平家の大黒柱で前半部分の主人公。
親の七光りと政権へのコネと実力とで大出世を遂げるも、晩年は残念なことに。
最近は温厚で情け深いという評価の方が強まってきている。
平家物語内でも恩人の息子に報恩したり、後白河法皇を幽閉する際にその違約や態度の悪さを糾弾したりする等、善性や相手側の非も取り上げている。
ある意味三国志の曹操ポジ。
◆平重盛
清盛の長男。平家の良心にして清盛の暴走を止められる唯一の人。
身を挺して国家安泰・御家安泰のために尽力するが清盛より先に死去。
人格者ではあったようだが、史実だと重盛の暴走を清盛が止めることも。
◆平宗盛
清盛の三男で政治担当。ちなみに次男家盛はさっさと死亡。
非力の一号。ヘタレ・デブ・陰湿と無能な二世演出の被害者。
史実でもあまり高評価のもらえない人だが、一番人間味溢れているとも言える。
◆平知盛
清盛の四男で軍事担当。
技の二号。ウィットに富んだ会話も出来る素敵な御仁。相手が義経でさえなければ…
史実でも清盛の信頼が最も厚いと評される程、人格と能力が優れていたが病弱と言う致命的な欠点があり、出撃すると勝つが、敵に止めを刺す前に自分が熱を出して医者に付き添われて後送されると言うパターンが恒例化していた。
そもそも、当時の武蔵の知行国主、即ち平家の関東方面軍の総責任者と言う立場であり、彼が寝込んで指示どころでは無かった為に源氏側に先立って大軍を集めた関東方面の平家軍の統制が取れずに脱走者多発→崩壊に至ったので、重い敗戦の責任がある。
◆平重衡
清盛の五男でこれまた軍事担当。頼朝からも認められるくらいの人物で、更に美男子。
奈良で好き放題する僧兵を鎮圧しようとした際、東大寺の大仏を燃やしてしまうと言う大ポカをやらかしてヘイトを集めた結果処刑。
◆平維盛
重盛の息子で軍事担当・・・なんだが肝心の戦でヘタレ。ある意味平家の末路の象徴。
父・重盛から越前、遠江の知行国主を受け継いでおり、よりにもよって頼朝と義仲の進撃路の行政と軍事を担当していたのが運の尽きであった。
◆平教経
清盛の弟・教盛の子で弓の名手。通称「能登殿」。平家の武の象徴のような人。
義経の「八艘跳」を演出した人。
◆平敦盛
清盛の弟・経盛の子で十七歳くらいの美男子。笛とか上手い美男子。ギギギギ。
織田信長が好んで舞ったという『敦盛』のモデルの人。
『敦盛草』と呼ばれる栽培が非常に難しい幻の花もある。
◆平時忠
清盛の妻・二位尼の兄。平氏ではあるがだいぶ遠縁。
平家にあらずんば人にあらずと言った人だが、政治家としてもかなり有能な人。
平家滅亡後も何とか命は助かった。
◆平頼盛
清盛の弟。頼朝の命乞いをした清盛の義母・池禅尼の実子。
勝てないと見て平家が西国に逃げる中で置き去りにされたため平家を離脱。
助命の恩もあり、また朝廷とのパイプ役が欲しい頼朝に保護された。
◆平忠度
清盛の末弟。薩摩守。源氏の武士を上回る武勇を持ち和歌にも通じていた文武両道の超人。
死んだときは敵味方から惜しまれた。
読みが「ただのり」のため、キセル乗車の隠語「薩摩守」の由来にも。
◆悪七兵衛景清
平家の武士で腕力が尋常じゃない人。強い。
地獄から甦って仇敵の源頼朝を倒しに向かったり、ロボット兵器のモデルになったりもしたが、それはまた別のお話。
《源氏SIDE》
◇源頼朝
ご存知、鎌倉幕府の人。そんなに登場しない。というか出た時は負けてることの方が多い。
「兄より優れた弟の不可実在理論」の信奉者。
◇源義朝
清盛初期のライバル。保元の乱では清盛とともに活躍するが、平治の乱で仲違い。
仲違い以降は清盛の策略のかませに。
◇源義経
ご存知、頼朝の弟(厳密には異母兄弟)。後半部分の実質的主人公で八面六臂の大活躍。
それ故にお兄ちゃんから疎まれることに。合言葉は「門出良し!」。
◇源範頼
頼朝の異母弟で義経の異母兄。よく義経と一緒に出陣するが一般的な知名度は低い。
史実で任されてた役割は義経以上に重要なものもあったのだが。
◇常盤御前
義朝の妻で義経の母親。清盛の妾となって生き長らえ、このため義経は命を助けられる。
昭和時代、妾になった妻にも親権を認めるべき!!と常盤御前を引き合いに出して説いた弁護士にちなんで「常盤御前判決」と言われた裁判がある。
◇源義仲
「木曾義仲」とも。平家を京都から追い出したまでは良かったが、京都の貴族世界に慣れず粗忽に振舞い続けてしまう。
追い詰められて法皇を幽閉して義経と戦うが、もはや勝負にはならなかった。
◇巴御前
義仲の愛人。並の武将より強く、義仲の部下が残り5騎になっても従っていたほど。
全国に墓がある。
◇梶原景時
源氏の武士。義経のやんちゃを頼朝に告げ口するお目付け役だがおかげでヒールに・・・
◇那須与一
源氏の若手スナイパー。ピンヘッドもお手の物。
でも出番はそこしかない。
◇武蔵坊弁慶
空気。いるだけ。
《その他》
◆後白河院
絶賛院政中で朝廷のトップ(治天の君)。よく幽閉されるが、水面下では……?
◆俊寛
平家一門相手にクーデターを起こそうとして失敗し流刑になったまではよいが流刑になった後がみっともない。
が、番外編で救済される辺り捕まった他の面々に比べてまだ幸せな部類か。
◆安徳天皇
わずか八歳で壇ノ浦に散った御方。いわゆるショt
後鳥羽天皇と在位が重なった時期がある。
◆文覚
頼朝に平家打倒を勧める破天荒な怪僧。口が悪い。本名は遠藤さん。
◆祇王&仏御前
うわさのフォークデュオ。低い。
【物語の発展】
繰り返すが『平家物語』は主に“平家の”物語である。が、時代が下っていくにつれ、
「刀や弓でチャンチャンバラバラやってる方が面白い」
「義経の逆落としカッコイイ!」
「頼朝に狙われて義経可哀そう」
「敦盛マジ人間五十年」
など本筋以外の所──義経関係や壮絶な最期を遂げる人──にやたらと人気が出てきて、結果大量のスピンオフ作品・派生作品が作られていった。
あれやこれやそれみたいなことは昔からあったのだ。
最初にどこでどうやって成立したかすら仮説の域を出ていないのが実情である。
同時代の『愚管抄』『玉葉』と言った九条関白家視点の資料と共通部分が多い事から、彼等に近い人物が『怨霊鎮魂』『戦死者の慰霊』『仏教の布教』を兼ねて制作した可能性が高いと言われている。
比較的有力な人物としては、源義経や義仲の右筆(代筆担当の秘書役)だった人物が候補。
その上、『平家物語』自体も多くの人の手により増補・削除・編集を繰り返し洗練されていった。
特に『耳なし芳一』の怪談からも分かる通り盲目の僧の副業である琵琶法師の語り芸の演目でもあったのでそういった者達が演じる際には独自アレンジが施され易かった。
異形なものになると歴史資料やら中国古典やら噂話やらを参照しながら増補を繰り返し行い、当社比で三倍以上の分量になるものまで現れた。
執筆者の執念を感じる作品である。冗長? 知りません。
こんな状態なので、中身が史実であるか否かは限りなく疑わしい…というより、史実でない要素がかなり入っていると思っていい。
壇ノ浦の戦いなど、平家物語ではドラマチックに描かれるが史料性の高い公式な史書ではちょびっとしか書かれていなかったりする。
この時代の史料自体が割と乏しく平家物語だけに詳細に収められている部分も多いため、「信用性は乏しいが、少ない史料の穴埋めにはある程度使える」と言った所である。
しかし、怨霊鎮魂や戦死者の慰霊、そして布教の為に、琵琶法師が全国で語って回った事で日本語の統合と言う面では非常に貢献している。
ラジオもテレビも無い時代に関白家が集めた資料を元に語学力と文筆に優れた貴族が書いた面白い物語が津々浦々で公開されるのだ。
娯楽の少ない時代の人間なら夢中になって聞き入り、知的好奇心も刺激されるだろうし、そこらの悪ガキも源義経や木曽義仲と言った英雄・勇士の活躍に興味を持つだろう。
しかも、仏教知識のみならず、歴史や軍事、地理と言った社会科の教材として有益な内容を多々含んでいる。
遠く離れた土地に旅行するにしても「取り敢えず平家物語の真似をして話せば意思疎通が出来る」「共通の話題を平家物語の有名場面から引用出来る」と言うのは計り知れないメリットなのだ。
おかげさまで日本全国に「巴御前の墓」や「平家落人の里」ができることにもなったが。
【備考・余談など】
義経が持つショタっ子のイメージは幼少期の頃を描いたスピンオフ作品から来るものである。
特に謡曲「鞍馬天狗」はヤバイ。マジヤバイ。
年老いた大天狗が年端もいかぬ牛若丸(=義経の幼名)に恋慕してしまう話なのだが、この牛若丸の可愛らしさときたら!
いじらしさと愛くるしさを兼ね備えた牛若丸は最強に見えて、その上晴れ着を着たときの艶やかさは幻想的にエロい。
大きなお姉さんと一部の大きなお兄さん垂涎である。
声高らかに断言しよう。
牛 若 丸 は 、 シ ョ タ で 、 エ ロ い 。
平家が用いた赤旗、源氏が用いた白旗は、体育で使う紅白帽の色の元ネタになったと言われている。
1993年から1995年までNHKで『人形歴史スペクタクル 平家物語』が放送された。『人形劇 三国志』と同じ川本喜八郎が人形美術を担当しており、森本レオが出演している。
ちなみに本作品は2022年には大河ドラマの鎌倉殿の13人の放送に合わせてか、2022年8月9日早朝から11月17日未明(16日深夜)までNHK総合にて、深夜から早朝の時間帯に再放送が断続的に実施されていた。
また、2022年1月からは古川日出男が現代語訳した『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09 平家物語』を底本にしたテレビアニメ版がフジテレビ系列で放送されている。制作はサイエンスSARU。
追記・編集・その他何でも宜しくお願いします。
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▷ コメント欄
- 〆の灌頂の巻でも語られるが、賢礼門院は生きながら六道を天道から地獄道まで見て回った数少ない人だと思う(逆パターンは豊臣秀吉)。 -- 名無しさん (2014-05-04 02:01:28)
- ドラマの「平清盛」は色々叩かれてたけど、ここ数年の大河の中では一番面白かった -- 名無しさん (2015-10-20 02:21:30)
- 最後にはみんな消えて無くなるからどうでもいいんですけど←要約し過ぎだw -- 名無しさん (2018-08-30 14:34:23)
- 頼政の造反にしても「息子がまず以仁王の誘いに乗ってしまい、父はやむなく彼をかばうため清盛を裏切った」というのが真相らしく、結局のところ宗盛の「悪行」で確実なのは壇ノ浦で自害に失敗したことぐらいで、そこから尾鰭がついて殊更に悪意を以て描かれてしまったのはお気の毒。まあ乱世向きに出来てなかった人なんですな。 -- 名無しさん (2020-06-21 17:12:39)
- 俊寛法師は置いてけぼりこそ食ったけど、それでも慕ってた子に看取られて死んで、遺骨は京に戻って弔われた辺りまだ幸せか -- 名無しさん (2022-01-27 21:04:06)
- アニメ化されたけど、正直ゴンゾ制作でもっと大胆に弄った方が面白かった様な... -- 名無しさん (2022-01-28 08:59:16)
- アニメ -- 名無しさん (2022-02-01 15:12:36)
- ミス アニメは私は面白いと思ったし母が源平の時代が好きだから見せてみたけど、びわの言動やオッドアイ設定に「いくらアニメとはいえおかしい」と言ってきたので二話で「一人で見る」と決めた。 -- 名無しさん (2022-02-01 15:15:12)
- 牛 若 丸 は 、 シ ョ タ で 、 エ ロ い ← 結論がこれかよ!!!! -- 名無しさん (2022-02-01 19:32:56)
- アニメは志してた所は面白そうだったけど、実際出来上がったのは少ない話数にあれこれ詰めまくりダイジェストだったな -- 名無しさん (2022-12-12 03:58:52)
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