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超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか | |
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監督 | 石黒昇 河森正治 |
脚本 | 富田祐弘 |
製作 | 大西良昌 吉田健二 |
出演者 | 飯島真理 長谷有洋 土井美加 |
音楽 | 羽田健太郎 |
主題歌 | 『愛・おぼえていますか』 飯島真理 |
撮影 | 橋本和典 |
配給 | 東宝 |
公開 | 日本の旗1984年7月21日 |
上映時間 | 115分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
製作費 | 4億円 |
allcinema | |
キネマ旬報 | |
AllRovi | |
IMDb | |
表・話・編・歴 |
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(ちょうじくうようさいマクロス あい・おぼえていますか)は、日本のSFアニメーション映画。テレビアニメ『超時空要塞マクロス』(1982年 - 1983年放送)の劇場用作品である。
1984年7月21日(大阪・名古屋地区では7月7日)より東宝洋画系にて公開。総製作費は約4億円[1]、配給収入は7億円[2]。
テレビシリーズが好評を博したことから、劇場版製作とロードショー公開が決定。この例では続編(番外編)か総集編+新カットというケースが多いが、本作はテレビシリーズ第4話から27話までを再構成した上で全編新作フィルムで制作された。設定やデザインの変更、要点の抽出とオリジナルの味付けにより、テレビシリーズとは趣の異なる正統派の作風に仕上げられた。男女の恋愛や普遍的な文化(歌)を通して地球人や異星人たちが絆を結ぶ様を描き、「生まれも育ちもちがう複数の人物が、その差を乗り越えてひとつになり得るか[3]」というテーマを簡潔に語っている。
監督はスタジオぬえの河森正治と、アドバイザー役の石黒昇。当時24歳の河森はテレビシリーズでバルキリーのメカニックデザイナーとして注目されたが、本作で人物の細やかな心情表現など映像作家としての感性も示した。作画陣には美樹本晴彦、板野一郎、平野俊弘らテレビシリーズの作画監督に加え、若手の実力派アニメーターが参加している。
夏休み公開のアニメ映画としてはヒット作となり、リン・ミンメイ役の歌手飯島真理が歌う主題歌『愛・おぼえていますか』はオリコンチャート最高7位を記録。飯島は『ザ・ベストテン』『ザ・トップテン』といった人気歌番組に出演した。ビデオは1984年のオリコンビデオチャートにおいて、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(輸入版)や『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』を抑えて年間1位を記録[4]。初期のビデオソフト市場におけるメジャーヒット作となった。
テレビシリーズは斬新な感覚が支持されたものの、厳しい制作スケジュールゆえの限界、とりわけ作画面の乱調が評価を損ねる原因となった。制作スタッフはその悔いを晴らすべく、テレビシリーズの経験と若手アニメーター達の熱意を支えにクオリティーの向上を目指した。また、演出面でもテレビシリーズ第27話「愛は流れる」でみせた歌と映像を一体化する試みを追求した。
結果、スクリーン映えする緻密な画面造りは当時のセル制作アニメの最高水準となり、歌やBGMと一体化した展開は「SFミュージカル」とも評された。アニメ界においても『風の谷のナウシカ』、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と並ぶ、1984年を代表するアニメ映画作品と賞されるようになった。
ただし、作中では戦争開始時の状況説明を省いているため、テレビシリーズの予備知識がない者にはマクロスが宇宙から地球を目指して航行している理由や、宇宙戦艦内に市街地がある理由などが解らず、独立した映画作品として鑑賞するには不都合な面もある。河森は「観客が設定に囚われず、物語の本質の人間ドラマに注目してもらえるよう、パターン的な説明描写はやめた[5]」と述べているが、スタジオぬえの先輩高千穂遙は「河森がテレビ版『マクロス』を見ていない一般観客を相手にした以上、その賭けは敗れたと見るほかはない[6]」と批評している。この序章部分については、のちに同名テレビゲームのオープニングムービーで補足されている(後述)。美樹本の衣装デザインは実在のアイドル(中森明菜)や女性ファッション誌を参考にしているが、本職の女性スタイリストは「ミンメイの衣装が異常にダサかったのをみて、アニメーションの世界にも絶対スタイリストが必要なんだな、と思いました」と感想を述べた[7]。アニメ誌のインタビューでは、デート服のホットパンツやステージ衣装が15 - 16年前の女の子という感じがして[8]、現実の世界に近い未来の話と衣装のチグハグな感じが気になったのかも、と語っている[9]。
50万周期にわたり大宇宙で抗争を続ける巨人族の二大勢力、男のゼントラーディ軍と女のメルトランディ軍。西暦2009年、その戦火は地球にも及び、ゼントラーディ軍の奇襲をうけた地球統合軍の巨大宇宙戦艦SDF-1マクロスは、脱出時の動力不調から太陽系外周部へ飛び出すこととなる。追撃をうけながら地球への自力帰還をめざす航海の5か月目、土星の衛星タイタン宙域から物語は始まる。
地球を離れる際避難した5万8千人の民間人は、広大な艦内に市街地を建設し生活を営んでいた。バルキリー隊パイロット一条輝はアイドル歌手リン・ミンメイや、上官早瀬未沙と近しい関係になっていく。そんなありふれた日常風景が、接触した巨人族たちの規律に思わぬ混乱を招くことになる。テンプレート:ネタバレ
「巨大異星人同士の抗争に巻き込まれた人類(マクロス)」という骨格はテレビ版と変わらないが、2時間の映画にまとめあげる上で設定の大部分にアレンジが施されている。映画予告編のナレーションでは「主演、リン・ミンメイ」「早瀬未沙、ゆれる女心を演じます」などアニメ世界内の映画(劇中劇)を思わせる演出がなされていた。
1990年代以降に製作された『マクロス7』などの続編作品内では、『愛・おぼえていますか』は「ゼントラーディ軍との第一次星間大戦(2009年 - 2010年)の戦勝20周年を記念して、2031年に公開された歴史映画」と位置付けられるようになった。これとは別に『超時空要塞マクロス』はシリーズドラマとしてテレビ放送されたもので、演出により描き方は異なるものの、両作品とも史実を題材にした物語であると説明されている。
『愛・おぼえていますか』が映画化された2031年当時は、人類の生活圏が銀河系全域に拡大した反面、植民惑星間の紛争やゼントラーディ人の武装蜂起が深刻化しつつあった。そのため撮影に全面協力した統合政府の意向で、先人が果たした「異星間交流」の意義をひろく再認識させたいというプロパガンダの意味合いも含まれている。公開後大ヒットした本作のメッセージは、14年後の2045年代を舞台とする『マクロス7』の登場人物の生き方にも影響を与え、ロックバンドFIRE BOMBERの活動に関係することになる。
テレビ版と劇場版の違い[]河森監督は両作品の特徴について、テレビ版は「ドキュメンタリースタイルなのでわりと日常的に作られていて、史実にやや近いという想定」、劇場版は「2時間でコンパクトにまとめなくちゃいけないのでドラマ的な編集がなされているという設定」と答えている[10]。また、劇場版の「劇場」には映画館での公開だけでなく、「舞台劇」という意味も込められているという[11]。
おもな相違点について以下に記す。
2003年発売のPS2用ゲーム『超時空要塞マクロス』ではプレイヤーの配属先として空母プロメテウスか宇宙空母アームド-01を選ぶことで、設定の異なるテレビ版と劇場版の2つのコースを体験できる。
幻のシーン[]本作は当初1984年8月公開予定[1]だったが、先行上映が7月上旬に繰り上がったため制作スケジュールが削られた(制作期間は実質半年間である[12])。また、尺の問題もあり脚本や絵コンテでは予定されていたもののカットされたシーンがいくつかある。
本編終了後にはエンディングテーマ『天使の絵の具』に乗って終戦後のリン・ミンメイのコンサートシーンが映し出され、主人公たち3人の未来が明示されて終わるはずだったが、作画が見送られ、公開版では暗転した画面にスタッフロールが流れる形式であった。監督の河森正治は、後になって考えると、このエピローグがあると観客の想像の余地がなくなるとして、カットされて良かった面もあるとしながらも、制作したいという願望を述べていた[13]。
公開3年後の1987年、このコンサートシーンを映像化したOVA『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』が発売された。以後販売されたビデオ・LD・DVDソフトはエンディングの前半部分をOVAのコンサートシーン(「天使の絵の具 part1」)に差し替え、タイトルも『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 完全版』に変更している。2007年発売のHDリマスターDVDメモリアルボックスは「劇場公開版」と「完全版」のエンディング違いの2種類のディスクを収納している(劇場公開版は上映時のオリジナル音声を収録)。
他の幻のシーンとしては、最終決戦前のマクシミリアン・ジーナスとミリア639の結婚式がある(絵コンテ改稿段階でカット[14])。このシーンは『マクロス7』作中の回想シーンで新たに作画され、原画を美樹本晴彦が担当した。公開当時の雑誌・ムック本にはこれらの絵コンテやコスチュームデザインが掲載されているが、ミンメイのステージ衣装はOVA版よりもシンプルなデザインであった。
劇場版ストーリー[]1997年発売のSS・PS用ゲーム『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のオープニングムービーでは、テレビシリーズ第1話から3話のエピソードに相当する開戦時の状況が描かれている。この映像はDVD『マクロス20周年プレミアムコレクション』(2002年)や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか HDリマスター メモリアルボックス』に収録されている。
「2009年2月、SDF-1マクロスの進宙式典が催されていた南アタリア島に、突如ゼントラーディ軍上陸部隊が奇襲を仕掛け、島民はマクロス艦内に避難する。支援のため洋上の空母プロメテウスからバルキリー隊が発進するが、直後に衛星軌道上からのビーム攻撃でプロメテウスが撃沈。母艦を失ったロイ・フォッカー指揮下の一条輝・マクシミリアン・ジーナス・柿崎速雄らスカル小隊は南アタリア島へ急行する。バルキリー隊と敵機動兵器の交戦中、マクロスは地上付近で緊急フォールドを敢行(テレビ版と異なり南アタリア島は巻きぞえで空間転移しない)。脱出直後、間一髪で島にビームの集中砲火が降り注ぐ。
マクロスは大爆撃から逃げ延びたが、フォールドシステムの誤作動で太陽系外周の冥王星付近まで飛ばされ、地球の安否も分からぬまま7か月の帰還航海の途に就く。艦内には長距離航海用の仮設居住空間があり、南アタリア島市民は市街地を建設して生活を始める。その街でリン・ミンメイはアイドル歌手としてデビューし、映画冒頭の5か月目にファーストコンサートを迎える。
また、一条輝らが行方不明になっていた1か月間にマクロスは土星から地球まで航海しているが、ゲーム内では木星付近でのゼントラーディ軍放棄戦艦の調査(敵の正体の判明)、火星サラ基地での物資補給、テレビシリーズのダイダロスアタックに代わるアームドアタックなどのイベントが設けられている。テンプレート:ネタバレ終了
「超時空要塞マクロスの登場メカ一覧」および「ゼントラーディ軍の兵器」を参照
詳細は愛・おぼえていますかを参照
「リン・ミンメイ#歌唱曲」を参照
映像ソフトはビデオ(VHS、ベータマックス)、VHD、LD、DVDが発売されている。DVDの初版はLDジャケットサイズ仕様。2007年発売のHDリマスター版は通常版のほか、劇場公開版ディスク・特典映像ディスク・設定集・絵コンテ集・すかいらーくのマクロスフェアグッズ(復刻版)などを同梱したメモリアルボックスが限定生産された。このHDリマスター版では彩色ミス(色パカ)のカットが修正されている[15]。
日本国外では1987年に北米輸出用の英語吹替え版ビデオ『SUPER SPACEFORTRESS MACROSS』が発売された。また、アメリカのファミリー・エンタテインメント社からも『Clash of Bionoids』の英題で発売されたが、暴力的・性的とみなされる表現(人物の頭が砕けるシーンやミンメイのシャワーシーン)が全面的に削除された。
詳細はマクロスシリーズ (ゲーム)を参照
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