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超時空要塞マクロス | |
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ジャンル | ロボットアニメ |
アニメ | |
原作 | スタジオぬえ アートランド(原作協力) |
シリーズディレクター | 石黒昇 |
シリーズ構成 | 松崎健一 |
脚本 | 石黒昇、富田祐弘、松崎健一 大野木寛、星山博之、河森正治 |
キャラクターデザイン | 美樹本晴彦 |
メカニックデザイン | 宮武一貴、河森正治 |
音楽 | 羽田健太郎 |
製作 | 毎日放送、タツノコプロ、アニメフレンド |
放送局 | MBS・TBS系列 |
放送期間 | 1982年10月3日 - 1983年6月26日 |
話数 | 36話 |
コピーライト表記 | ©1982 ビックウエスト |
小説 | |
著者 | 井上敏樹 |
出版社 | 小学館 |
レーベル | アニメノベルズ (新装版はスーパークエスト文庫) |
巻数 | 3巻 |
ドラマCD:超時空要塞マクロス・インサイドストーリー マクロス・クラシック | |
脚本 | 山口宏 |
発売元 | ビクターエンタテインメント |
発売日 | 1996年8月21日 |
収録時間 | 63分 |
話数 | 4話 |
漫画:ゼントラ弁当マクロス風 | |
作者 | アキバ鉄工 |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | マクロスエース |
発表期間 | Vol.001(2009年1月) - |
関連項目 | |
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テンプレート:ウィキプロジェクト アニメ
『超時空要塞マクロス』(ちょうじくうようさいマクロス)は、タツノコプロ・アニメフレンド制作の日本のロボットアニメ。テレビシリーズアニメとして1982年から毎日放送発TBS系列で放送された。
「超時空シリーズ」および「マクロスシリーズ」の第一作である。
テンプレート:超時空シリーズ『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』により隆盛した1980年代前半のアニメブームを象徴する作品のひとつ。ロボットアニメにSF、ラブコメ、アイドルといった当時の若者文化の流行をちりばめた個性的な作風が特徴である。
放送開始後、ファンの支持や関連商品の好セールスを受け、13話の延長が決定し、当初予定の23話(半年2クール)から36話(9か月3クール)へ延長[1]。さらに放送終了翌年の1984年、劇場作品『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が公開され、その人気を決定付けた。
その後も本作のスタッフが関わり、世界観や基本要素を継承する形で「マクロスシリーズ」の作品が発表されている。
本作が『ヤマト』や『ガンダム』と大きく異なるのは、制作側スタッフとしてSFもしくはアニメーション等のファンないしファンダムの層からアニメ業界に入ってきた若いスタッフが数多く参加していることである。
メカニックデザイン・絵コンテ・監修担当の河森正治、キャラクターデザイン担当の美樹本晴彦らは慶應義塾高等学校からの同級生であり、本作の企画をまとめる中心となった。河森は劇場作の共同監督に抜擢される。本作で脚本家デビューした大野木寛、参加していないが漫画家の細野不二彦も高校・大学の同級生だった。河森と大野木は本作の放送中も慶應義塾大学の学生だった。また、平野俊弘(現:平野俊貴)、板野一郎ら既にキャリアのあったアニメーターも、本作をきっかけに注目を集めることとなった。プロ以外にアマチュアの学生も参加しており、山賀博之は本作で演出家デビューし、庵野秀明や前田真宏、貞本義行は原画を担当している。
これらの若いスタッフは作品に「自分達が観たいものを作る」という実験的な方向性を持ち込み、結果的に視聴者層と世代感覚を共有することになった。また、その姿勢やセンスを認め、力を引き出したのがアートランド社長も務めるチーフディレクターの石黒昇だった。
SFビジュアル分野で活躍し、ロボットアニメ作品を支えてきたスタジオぬえによって企画された作品として、リアリティーを感じさせる精巧なデザイン・設定が注目を集めた。『ガンダム』以後の一大ムーブメントの影響下にあった時代の作品であり、当時の水準では十分にリアルといえるSF公証・軍事考証に基づいて運用されるロボット兵器が多数登場するため、「リアルロボットもの」作品の一つと言える。
作中に登場する可変戦闘機バルキリーや陸戦兵器デストロイドは、戦闘機や戦車などの現用兵器がマクロスより解析された異星の超科学(オーバーテクノロジー)により発展したものと設定されている。『ガンダム』のモビルスーツ以降、人型巨大ロボットが軍事用兵器の一つとして登場するためのSF的設定(理由付け)が為されるようになり、人型巨大ロボットもまた量産される機械という性質を持たされる様になった。この傾向を促進したのが「スタジオぬえ」が関わったムック本『ガンダムセンチュリー』であり、ミノフスキー物理学やAMBACなどの架空理論でモビルスーツの存在理由を説明した。本作では「人間が身長10mを超える巨大異星人に対抗するために使用する」と説明しているが、河森正治によると「ひと目見て、納得というか、あきらめてもらえる方法」として考案したとある。
一方で、巨大な宇宙戦艦マクロスが人型形態(強攻型)へトランスフォーメーションするという奇抜なアイデアや、必殺技としてダイダロスアタックを使う点などは「スーパーロボットもの」の要素を含んでいるとも言える。
SFアニメとしては異星人とのファーストコンタクトを扱っている点や、異星人を地球に招き入れたことを理由に、マクロスや市民が地球を放逐される流れなど、『伝説巨神イデオン』に近いものがある。一方で、従来は異星人側から攻撃してくる所を図らずも人類側から先制攻撃してしまう点や、地球から進撃するのでなくいきなり遠方に飛ばされて地球に帰還しようとする点など、従来のパターンを破る試みも行われている。
一話を通してまったく主人公が出撃しない、戦闘シーンがまったくないといった回も珍しくないなど、戦争もののアニメとしては異色の存在だった。これは当時のリアルロボットものに目立つ「戦争の過酷さ」や「政治劇」などのシリアスな描写を避け、主人公の輝とミンメイ、未沙の三角関係という恋愛ドラマを軸に、戦時下で営まれる市民社会の活力を描くという意識的な演出だった。この路線において「文化」というキーワードが、物語を収束する意味を持つことになる。
マクロス艦外の宇宙戦争と並行して、艦内ではリン・ミンメイが一介の少女からアイドル歌手になってゆくシンデレラ・ストーリーが繰り広げられる。ミンメイの歌う歌謡曲を単なる劇中歌ではなく、物語の根幹にかかわる要素に位置付けたのは画期的な試みであり、以後のマクロスシリーズでも「歌」が重要なテーマとなっている。
ミンメイはアニメ(虚構)と現実をつなげるバーチャルアイドルの先駆例となり、声優と劇中歌を担当した飯島真理は本作終了後にシンガーソングライターとしてデビューした。
テンプレート:ネタバレ西暦1999年、突如宇宙より飛来し太平洋上の南アタリア島に墜落した巨大物体は、全長1,200m超もの宇宙戦艦だった。これにより異星人の実在と彼らの間の戦争の存在を知った人類社会は、宇宙からの脅威に対処すべく地球統合政府を樹立。世界規模の紛争(統合戦争)を経て、墜落艦を改修し「マクロス」と命名する。
2009年のマクロス進宙式当日、地球付近に異星人の一方の陣営ゼントラーディ軍の艦隊が出現する。その存在を感知したマクロスの主砲システムが勝手に動作し、戦艦群を撃破してしまう。マクロスの正体はゼントラーディと敵対する陣営、監察軍が仕掛けたブービートラップであり、人類は否応なく第一次星間大戦に巻き込まれることとなった。ゼントラーディ軍の包囲網から逃れるため、マクロスはフォールド航行により月の裏側への待避を図る。しかし制御に失敗し南アタリア島一帯を巻き込み、冥王星軌道付近に到着する。さらにフォールドシステム自体も消失し、通常のロケット推進のみでの地球への長い帰還の旅を強いられる事になる。
その途上、南アタリア島住民5万8千人はマクロス艦内に街を再建し、戦争の傍らで普段の生活を営んでいた。アクロバットパイロットの 一条輝は戦火の中で出会った少女 リン・ミンメイを守るため軍に入隊し、可変戦闘機バルキリーのパイロットとなる。艦内で人気アイドル歌手となり、輝から離れていくミンメイ。一方で喧嘩相手の上官、早瀬未沙の存在が少しずつ大きくなっていく。
やがて、戦いの中で次第に判明するゼントラーディ人の実態。彼らは遺伝子操作により人種改良された、生まれつき戦うことしか知らない戦闘人種であり、地球人を「文化」を持つ人種プロトカルチャーと恐れていた。文化との接触で次第に変容していく地球攻撃艦隊を、マクロス、地球共々消滅させるべくゼントラーディの大艦隊が出現する。
存亡の危機を迎えた人類とマクロスの未来、そして翻弄される輝、ミンメイ、未沙の恋の行方が描かれる。
その他の登場人物・キャストについては「超時空要塞マクロスの登場人物一覧」を参照
「超時空要塞マクロスの登場メカ一覧」および「ゼントラーディ軍の兵器」を参照
その他の後継シリーズ作品でも使用される用語については「マクロスシリーズの用語一覧」を参照
詳細はスカル隊を参照
パープル小隊プロメテウス所属のバルキリー隊。名称のみ登場する部隊だが、プレイステーション2用ゲーム『超時空要塞マクロス』においてはプレイヤーが操る主人公(パープルリーダー/フルネーム不詳)率いる部隊として大幅にクローズアップされる。その他ブルース・ルーデル、エディ・ユーティライネンからなる3機編成。なお、ステージ2以降の分岐で劇場版ルートを選択した場合はARMD-01所属のアポロ小隊(こちらも劇場版本編に名称のみ登場する)所属となる。エンジェルバーズ統合軍のアクロバットチーム。デモカラーをペイントされたVF-1Aの5機編成。マクロス進宙式にてデモフライトを行うが、一条輝のファンレーサーに乱入される。テンプレート:ネタバレ終了
企画の発端は放映の2年前、1980年8月まで遡る。アートミックの前身である「ウィズ・コーポレーション」から発注を受けたスタジオぬえが、テレビアニメ企画『ジェノサイダス』を提出したことから全ては始まった。
だが、『ジェノサイダス』はガウォーク形態の戦闘機が登場するだけの地味なもので、シリアスSFという内容に対するスポンサー企業などの反応はぬえ側の期待を裏切る鈍いものであった。そのため、急遽もう一作、スポンサー受けを目的としたダミーの企画を別途作成することとなり、「変形する巨大宇宙戦艦」「艦内の市街地」「敵は巨大異星人」などのアイデアを一夜漬けでまとめ上げ、巨大戦艦の名前より『バトルシティ・メガロード(仮)』と命名し提出。河森によると「メガロード」の由来は「巨大な道(Road)」と「巨大な君主(Lord)」を掛け合わせたものである。いわゆる「当て馬」として気軽に作った代物であり、内容自体もコメディ・パロディ色の色濃い肩肘張らずに見られるコミカルなもので、一部スタッフ曰く「壮大な能天気ドラマ」になった。この時点でのメインメカは「ブレストファイター」という飛行機で、すでにリン・ミンメイの原型となる「ラーメン屋の娘が人気が出て歌手になっちゃう」という設定も見られた[3]。
このダミー企画『メガロード』はその目論見通りに確かにスポンサーからの受けは良かったが、その結果、ある意味では皮肉なことに本命の『ジェノサイダス』よりもこちらが採用される気配が濃厚となったため、急遽企画内容の修正を図り、極力パロディ要素を除き宇宙戦争を舞台にした恋愛ドラマ(ラブコメ)路線へシフトさせてゆく。これにより、地球の存亡を賭けた戦いと、主人公達の三角関係を同等のレベルで描く、という方向性が固まった。「ブレストファイター」は取りやめ『ジェノサイダス』からはガウォークの設定が流用され、それをロボットに変形させるバルキリーが誕生した。さらに、メカニックデザインがリアル指向に転じたことで、ミリタリー的要素(航空戦)も加わった。その後、ウィズ・コーポレーションが組織変更の関係で企画から離脱した影響でスタジオぬえが企画母体となる。かくして、作品が『マクロス』として結実する下地は形成されていった。
未発表ではあるが、宮武一貴が『宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙海賊キャプテンハーロック』、『わが青春のアルカディア』に登場するヤマト、アルカディア号を巨大ロボットに変形させるデザインテストを行っていた。また、艦内に市街地を置くアイデアは、河森が参加したフランスとの合作アニメ『宇宙伝説ユリシーズ31』の企画時に出した案だったが、フランス側に承認されず没となっていた。河森は「『ユリシーズ』のときに出したアイディアが、だいぶ通らなかったので、それで『マクロス』が出来たともいえるんです」と述べている[3]。
広告代理店ビックウエストが『メガロード(仮)』を採用し、タカトクトイスなどのスポンサーと番組放送枠を獲得。スタジオぬえと親交のある石黒昇が主宰するアートランドが参加し実制作の中心となるが、下請けスタジオで制作能力が不十分なため、大手のタツノコプロが元請けとなり、アートランドやタツノコプロの子会社のアニメフレンドなどが下請けという形態をとった。
シリーズ構成は4クール(1年分)の全52話から48話、更に1クール減らした39話となった。この構成で作画作業に入った1982年5月になり、製作側から23話への短縮が要請された。このため、ゼントラーディ軍の敵対勢力の監察軍の出番を全てカットし、制作と並行して内容を圧縮する改編作業を強いられたが、この過程で大宇宙戦争にアイドル歌手の歌を絡めるというオリジナルのテーマが生まれた。
タイトルはビックウエスト社長大西良昌の発案で、マクロ(巨大さ)と『マクベス』(壮大な人間ドラマ)を組み合わせ「マクロス」と改題された。副題は放送直前まで「超弩級要塞」だったが、「弩(ど)」が読めない、という理由で「超時空要塞」に変更された。マクロスの形式名SDF-1=スーパー・ドレッドノートクラス・フォートレス(=超弩級要塞)も、後にDをディメンションに変更されている。なお、「メガロード」の名は1987年発売のOVA『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』に登場するマクロス級2番艦メガロード-01に転用されている。
1982年10月3日に放送開始。しかし、スタッフの経験不足、実験的なデザインや演出、話数削減による再構成などの理由で放送開始前から制作スケジュールは逼迫した。一応、動画用に細部の省略されたメカの設定書もあったが、当時のテレビアニメ制作では避けられていた「戦闘機の高速アクション」「登場人物の衣装替え」などの手間のかかるシーンを多用していた。河森正治は「他のアニメで上手くいった手段は絶対に使いたくなかった」が「やってみたら本当に大変だった」と述べている[4]。
さらに同日スタート予定だった『愛の戦士レインボーマン』の制作が遅れたしわ寄せで、1・2話を連続放送せざるを得ないという不測の事態も追い討ちをかけた。第11話「ファースト・コンタクト」では動画作業が間に合わず原画部分のみを撮影、「アニメーションというよりテレビ紙芝居」と揶揄された。スケジュール苦緩和の一策として、第17話「ファンタズム」は新規作画は一部のみで、既存フィルムを再編集して制作した。
また、アニメフレンドがクレジットではすべて「スタープロ」と表記される韓国のスタジオに発注したものは作画レベルが著しく低く、日本での修正が間に合わないまま放送された。このためアートランドの主力スタッフなどが担当したストーリーの構成上重要な「作画の良い回」と、外注分の「作画の悪い回」の差が極端になり、これらが交互に放送されるという混乱した状況が続いた。戦闘シーンの描写もミスがあり、VF-1 バルキリーの尾翼にミサイルが搭載されていたり、機首からビームを放つなど、本来設定にない武装が描写される戦闘シーンも散見された。また、度々配色ミスが見られ、特にマックスは、軍服の襟の色が輝と同じになったり、機体色が一般機と同色になる、等、機体や髪、軍服の色が違うことが多い。
その一方で、板野サーカスに代表されるような、アニメ史に影響を残した描写も随所に登場する。特に、第27話「愛は流れる」におけるデストロイドモンスターの発進シーケンスの描写はアニメ雑誌でも話題となり当時の視聴者をうならせた。モンスターは画面上で歩かない前提のデザインだったが、新人時代の庵野秀明が3か月を費やして格納庫の床を踏み抜くワンカットを描いた。
玩具セールスの出足に満足したスポンサーの要請により、放送開始後間もなく再び36話への延長が決定する。時間的に再々構成は難しいため、実質的に最終回の内容となった第27話「愛は流れる」を区切りにして、回想編的な構成を提案するも却下され、残り9話はその約2年後のエピソードを描くこととなった。さらに1983年3月には劇場作の製作が内定。主要スタッフが劇場版や後番組の『超時空世紀オーガス』の準備にシフトしたため、1-27話(戦争編)と28-36話(戦後編)では多分に趣が異なった作品となっている。制作事情に悩まされたスタッフの忸怩たる思いは、1984年7月公開の『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』において、当時最高水準の作画クオリティに結びつくことになる。またこの延長エピソードにおいて、新首都マクロスシティや宇宙移民計画、地球人類・ゼントラーディ人とプロトカルチャーとの関係の解明など、後のシリーズ作品に繋がる重要な設定が生み出されている。
新規アニメ枠開拓を狙い日曜午後2時に放送されたが、休日の在宅率の低い時間帯のため視聴率は平均6.4%[5]に留まった。ただし、水曜午後5時30分に放送した系列外の山形テレビでは視聴率36%を記録した[6]。
本作はビデオグラムが好調で、1984年のオリコン年間ビデオランキングで『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が34050得点で1位を獲得。この記録を破るアニメは1991年の『魔女の宅急便』まで存在しなかった。サウンドトラックは4作がオリコンLPチャートで10位以内にランクインした[7]。
また1989年にバンダイビジュアル初のLD-BOXの作品として本作が選ばれている。
アニメ誌でも高評価で、大徳哲雄は「『OUT』が最も売れたのは、数字的には『マクロス』のとき」と述べている[8]。
作曲家羽田健太郎は主題歌、BGM、リン・ミンメイの劇中歌などの劇伴音楽を作曲し、「ヘルシー・ウイング・オーケストラ」を率いて演奏も担当した。第1回日本アニメ大賞音楽部門を受賞した。
ハードSF的なメカ、軍隊、星間戦争などの要素と、芸能界、日常的恋愛ドラマといったソフトな要素が渾然一体となった斬新な作風については、新世代アニメとして歓迎する意見と戦争描写などに戸惑う意見の両方がみられた[9]。また、延長話(28-36話)について制作スタッフ内には、内容が煮詰められず付け焼刃で作った感じのため「第27話が本当の最終回」と延長話に否定的な意見を持つ者も存在した[10]。
マクロスの成功により、「マクロスシリーズ」の作品以外でもビックウエストによる「超時空シリーズ」(『超時空世紀オーガス』『超時空騎団サザンクロス』)、『機甲創世記モスピーダ』、『メガゾーン23』などの類似コンセプトを持つ作品が登場した。特にアートランドが制作し、マクロスのスタッフが参加した『メガゾーン23』はOVAジャンル初の大ヒット作であり、「メカと美少女」という現在に続く潮流[11]の先駈けとなった歴史的な作品である[12]。また、本作の「恋愛」「和平」「古代文明の遺産」等のテーマに強い影響を受けて、後に『機動戦艦ナデシコ』のようなオマージュ的リアルロボットアニメも多数生まれている。
本作や『うる星やつら』の人気により、20歳台前半の若手クリエーターの台頭が顕在化し、永野護などの個性が注目されることになる。ガイナックスの前身となるダイコンフィルムは自主制作アニメ『DAICON3 オープニングアニメ』の出来をスタジオぬえに買われ、山賀博之と庵野秀明が「技術研修」の名目で上京し、アートランドでマクロスの制作に参加した。その後制作した『DAICON4 オープニングアニメ』には、宮武一貴や板野一郎、平野俊弘、垣野内成美らが原画協力として参加している。作中にはパロディとして、両腕に宇宙戦艦ヤマトとアルカディア号を付けた通称マクロス超強攻型や、頭部レーザー砲がビームサーベルになるバルキリーが登場する。マクロスに触発されたアニメーターも多く、結城信輝は本作の27話「愛は流れる」を観たことが、アニメ業界に転身するきっかけとなっている[13]。
本作における主要メカのひとつである「バルキリー」は、実在する機体(F14トムキャット)に酷似した戦闘機がロボットへ一瞬にして変形するアイデアが革新的であり、後のロボットアニメに強い影響を与えた。マクロス放映終了から半年後に製作された『聖戦士ダンバイン』では、途中から主人公メカとなった「ビルバイン」が戦闘機型に変形可能であり、二年後に製作された『機動戦士Ζガンダム』でも、Ζガンダムが戦闘機形態に変形可能な他、同じ様な可変メカが多数登場する。そういった事から「ガンダム」と並ぶ「リアルロボットアニメの2大金字塔」として、「バルキリー」はリアルロボット群に変形ブームを巻き起こした革命機と言える。また、一部のライターは、バルキリーでの戦闘シーンに触発されて、実写映画『トップガン』が制作されたという説を唱えている[14]。
本作以前にも「さすらいの太陽」や実在する歌手が登場する『ピンクレディー物語 栄光の天使たち』など歌手を主人公とする作品は存在するが架空のアイドルにタイアップする形で新人歌手がデビューするというパターンは、メディアミックスの手法として『魔法の天使クリィミーマミ』における太田貴子、『メガゾーン23』における宮里久美、『アイドル伝説えり子』における田村英里子などでも見られた。シリーズ最新作『マクロスF』ではヒロインの一人ランカ・リー役に公募により選ばれた中島愛が同様にデビューを果たしている。
その他、制作スタッフの若手の一部が使用していた「御宅」という二人称呼称を本作の登場人物に使用させたことで、この呼び方はアニメファンたちの間に広まって使われるようになり、これが後のおたくという言葉(の用法)が広まる一因になったという説もある[15]。ただし、「オタクという言葉を使い始めた」と指摘されている河森正治は、『アニメージュ 2001年6月号』にて「僕らより少し上の世代が使っていた言葉」とコメントしている。
「マクロス」は同じタツノコプロ制作の『超時空騎団サザンクロス』や『機甲創世記モスピーダ』と同じ世界・同じ時間軸のストーリーとして再編集した“ROBOTECH”(ロボテック)の第一シーズン “THE MACROSS SAGA”(マクロス・サーガ) としてアメリカ合衆国、カナダ連邦、欧州連合諸国、南米諸国ほか各国で放映され大人気となり、現在まで続く日本国外での日本アニメブームの先駆けとなった。それ以前に輸出され人気のあった『宇宙戦艦ヤマト』や『科学忍者隊ガッチャマン』は、編集によりストーリーが全く異なったり、暴力描写やメインキャラクターの死などがカットされているのに対し、ROBOTECHでは三作品を繋げるための設定変更やキャラクターの名前の変更、一部バイオレンス描写のカット以外は、ほぼそのまま翻訳して放映されている。その後オリジナルストーリーの続編が作られた他、本人自身も上記作品の中核ファンである「トビー・マグワイアを主演・プロデュースに据えてワーナーブラザーズが実写映画化を計画中と報じられた。詳細はロボテック#実写映画化を参照。なお『マクロス』単独のハリウッド実写映画化企画も存在したが、実現しなかった。
英語吹替え版の『Super Dimension Fortress Macross』は1984年に1-3話収録のビデオが発売されたが、ROBOTECH人気の影で全話収録版は長年発売されなかった。2001年に英語字幕版(日本語音声)で全話のDVD化が行われ、2006年にはADV Films社が英語吹替え・5.1ch音声版のDVDシリーズを発売した。このADV版では米国在住の飯島真理が「英語で」再びリン・ミンメイ役を演じている。
詳細はロボテックを参照
その人気から続編製作を求める声は多く、1992年にOVA『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』が製作された。これはスタジオぬえは関与しておらず、内容的にも前作の焼き直しではあったが、セールス的には結果を残した。逆に河森ら旧作スタッフがこれに触発され、1994年に新型主力可変戦闘機のトライアルを題材にしたOVA『マクロスプラス』、および正統な続編としながら多くの新要素を加えたTVシリーズ『マクロス7』が製作された。さらに2002年には統合戦争を舞台とした前史となるOVA『マクロス ゼロ』 、2008年にはシリーズ25周年記念のTVシリーズ『マクロスF』が製作されている。他にもスピンオフ企画やゲーム作品など多くの派生作品が生み出されている。
詳細はマクロスシリーズを参照
2001年から2005年にかけて東京地方裁判所、東京高等裁判所にて、本作の知的財産権を巡る民事訴訟が行われた。
著作権製作会社のタツノコプロが、広告代理店のビックウエストと企画のスタジオぬえを相手取り、著作権はタツノコプロにあると主張して訴訟を起こした。経済的責任(制作費の支出)を担ったことが評価されて、映画の著作物としての権利はタツノコプロが所有すると認められた[16]。図柄(デザイン)本作のキャラクターデザインとメカニックデザインを巡る裁判も起きている。今度は、ビックウエストとスタジオぬえが共同して、タツノコプロを訴えるという攻守が逆転した裁判だった。こちらはタツノコプロが敗訴し、キャラクターデザインとメカニックデザインはビックウエストとスタジオぬえの共有であるとの判決が出た[17]。作品名さらにタツノコプロは、『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』『マクロス7』『マクロスプラス』『マクロス ダイナマイト7』『マクロス ゼロ』などについて、同社の関与のないまま類似名称の作品が制作・販売されているとして、バンダイビジュアルやビックウエストを相手取り、名称の使用差止めと賠償を求める訴訟を起こした。しかし、申し立ては却下された[18]。AMTアーテル社よりXB-70の1/72スケールのプラモデルが市販された際、日本国内にて代理店を通じて販売されていた物には、ビックウエストの版権シールが貼られた。本作の主役メカ、VF-1バルキリーのネーミングはXB-70の愛称「バルキリー」にちなんだものだったが、この名称をビックウエストが商標登録していたため、架空のメカの名称が、実在の機種をモデルとした商品に影響するという異例の事態となった。この事は『「XB-70バルキリー」という呼称を用いることは版権侵害にあたるのではないか』と関係各方面にとって問題となり、模型雑誌におけるXBー70のプラモデル製作記事において、緊急避難的に「ヴァルキャリー」と表記されるなど一時混乱を招いた。
詳細は商標問題#アメリカ合衆国を参照
その他の劇中歌についてはリン・ミンメイ#歌唱曲を参照
放送日は原則としてキー局の毎日放送における日付[20]。初回放送は「マクロス・スペシャル」のタイトルで第1・2話分をまとめて各話の区切りをつけずに午後1時から一時間枠で行われ、再放送からは下記のサブタイトルで30分枠の単独回となる。『マクロス』の30分前に放送される番組『愛の戦士レインボーマン』の第1話が放送を落としたため、スペシャルとして放送されたという[21]。第3話より毎週日曜日午後2時放送。第28話以降は放送延長回。
話 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 作画監督 | 動画作監 | 美術担当 | 放送日 |
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1 | ブービー・トラップ | 松崎健一 | 石黒昇 | 高山文彦 | 美樹本晴彦 板野一郎 | 藤高栄光 | 多田喜久子 | 1982年 10月3日 |
2 | カウント・ダウン | 河森正治 | 津田義三 | 勝井和子 | ||||
3 | スペース・フォールド | 山田勝久 | 康村正一 | 朴炯仁 | - | 佐藤広明 | 10月17日 | |
4 | リン・ミンメイ | 石黒昇 | 高山文彦 | 美樹本晴彦 平野俊弘 | 勝井和子 | 10月24日 | ||
5 | トランス・フォーメーション | 富田祐弘 | 康村正一 | 鈴木英二 板野一郎 | 藤高栄光 | 佐藤広明 | 10月31日 | |
6 | ダイダロス・アタック | 石黒昇 | 高山文彦 | 美樹本晴彦 板野一郎 | - | 勝井和子 | 11月14日 | |
7 | バイバイ・マルス | 松崎健一 | 山田勝久 | 康村正一 | 平野俊弘 | 藤高栄光 | 宮川佳子 | 11月23日 |
8 | ロンゲスト・バースデー | 山田太郎 | 圓出漫 | 鈴木英二 板野一郎 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 佐藤広明 | 11月28日 | |
9 | ミス・マクロス | 富田祐弘 | 山賀博之 | 美樹本晴彦 板野一郎 | - | 勝井和子 | 12月5日 | |
10 | ブラインド・ゲーム | 松崎健一 | 高山文彦 | 吉田浩 | 鈴木英二 鄭裕祐 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 佐藤広明 | 12月12日 |
11 | ファースト・コンタクト | 富田祐弘 | 黒河影次 | 高山文彦 | 美樹本晴彦 | - | 勝井和子 | 12月19日 |
12 | ビッグ・エスケープ | 秋山勝仁 | 平野俊弘 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 佐藤広明 | 12月26日 | ||
13 | ブルー・ウインド | 松崎健一 | 山田勝久 | 田中宏之 | 朴炯仁 | - | 多田喜久子 | 1983年 1月9日 |
14 | グローバル・レポート | - | 石黒昇 | 美樹本晴彦 板野一郎 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 1月16日 | ||
15 | チャイナ・タウン | 松崎健一 | 知吹愛弓 | 高山文彦 | - | 勝井和子 | 1月23日 | |
16 | カンフー・ダンディ | 大野木寛 | 康村正一 | 鈴木英二 平野俊弘 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 佐藤広明 | 1月30日 | |
17 | ファンタズム | - | 黒河影次 | 石黒昇 | 美樹本晴彦 板野一郎 | 多田喜久子 | 2月13日 | |
18 | パイン・サラダ | 星山博之 | 石黒昇 | 高山文彦 | - | 勝井和子 | 2月20日 | |
19 | バースト・ポイント | 富田祐弘 | 黒河影次 | 秋山勝仁 | 平野俊弘 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 佐藤広明 | 2月27日 |
20 | パラダイス・ロスト | 松崎健一 | 山田勝久 | 吉田浩 | 朴炯仁 | - | 多田喜久子 | 3月6日 |
21 | ミクロ・コスモス | 大野木寛 | 石黒昇 | 笠原達也 | 美樹本晴彦 板野一郎 | 野田昭子 | 勝井和子 | 3月13日 |
22 | ラブ・コンサート | 星山博之 | 秋山勝仁 | 朴炯仁 | - | 佐藤広明 | 3月20日 | |
23 | ドロップ・アウト | 大野木寛 | 康村正一 | 鈴木英二 平野俊弘 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 多田喜久子 | 3月27日 | |
24 | グッバイ・ガール | 富田祐弘 | 高山文彦 | 美樹本晴彦 板野一郎 | - | 勝井和子 | 4月3日 | |
25 | バージン・ロード | 三家本泰美 | 吉田浩 | 朴炯仁 | 佐藤広明 | 4月10日 | ||
26 | メッセンジャー | 松崎健一 | 秋山勝仁 | 平野俊弘 | 藤高栄光 宮崎葉月 | 4月17日 | ||
27 | 愛は流れる | 黒河影次 | 石黒昇 笠原達也 | 美樹本晴彦 板野一郎 | 藤高栄光 | 多田喜久子 | 4月24日 | |
28 | マイ・アルバム | 星山博之 | 石黒昇 | 高山文彦 | しまだひであき | - | 勝井和子 | 5月1日 |
29 | ロンリー・ソング | 富田祐弘 | 康村正一 | 朴炯仁 | 佐藤広明 | 5月8日 | ||
30 | ビバ・マリア | 大野木寛 | 高山文彦 | 笠原達也 | 鈴木英二 | 多田喜久子 | 5月15日 | |
31 | サタン・ドール | 富田祐弘 | 秋山勝仁 | 平野俊弘 板野一郎 | 豊島光子 | 勝井和子 | 5月22日 | |
32 | ブロークン・ハート | 大野木寛 | 山田勝久 | 吉田浩 | 朴炯仁 | - | 佐藤広明 | 5月29日 |
33 | レイニー・ナイト | 星山博之 | 石黒昇 | 笠原達也 | 鈴木英二 | 多田喜久子 | 6月5日 | |
34 | プライベート・タイム | 大野木寛 | 西森明良 | 秋山勝仁 | 朴炯仁 | 佐藤広明 | 6月12日 | |
35 | ロマネスク | 富田祐弘 | 高山文彦 | しまだひであき | 勝井和子 | 6月19日 | ||
36 | やさしさサヨナラ | 河森正治 | 康村正一 | - | 豊島光子 | 多田喜久子 | 6月26日 |
すべて本放送当時のもの。
無印=同時ネット局 ※=時差ネット局 ○=フジテレビ(FNS)系列 ●=日本テレビ(NNS)系列 ▲=MBS/TBS系列局の長崎放送では無く、系列外局での放送
本放送終了後、早朝に再放送が行われ、以後も地上波各局・BS・CS放送などで何度も再放送されている。2001年7月から1年間、テレビ朝日系列のBSデジタル放送・BS朝日にて再放送。本放送の第1話放送から25周年にあたる2007年10月3日深夜(4日未明)から2008年3月26日(27日未明)まで、水曜深夜26時57分-27時27分(木曜2時57分-3時27分)にTBSにて久々の地上波キー局再放送が行われた。次回予告有(一時期特番予告)、エンディングは省略されていた。
変更点[]第11話の修正本放送時、前述のように作画に問題のあった第11話「ファースト・コンタクト」は、早朝時間帯に行われた最初の再放送ではある程度修正が行われていた。しかし、それでもまだ動画が足りない紙芝居状態であり、後にさらに動画が追加された。修正後、長らくお蔵入りだった第11話本放送分は、2008年2月から1年間期間限定生産されたDVDボックス『超時空要塞マクロス メモリアルボックス』[22]の特典ディスクに収録された。この映像はフィルムが現存しないため、アニメ評論家氷川竜介の私蔵ビデオから収録している[23]。日本国外版のROBOTECHでは修正済みのバージョンだった。SD版オープニング1990年代前半にテレビ東京で再放送が行なわれた際、当時販売されたバンダイのSDマクロスプラモの販促として、オープニング映像が2頭身のメカとキャラクターによるコミカルなスーパーデフォルメタッチに差し替えられた。このSD版OPアニメはIGタツノコ(現・Production I.G)が作画を担当し新規に制作したものであり、オリジナルに比べると時間が若干短縮されたバージョンとなっている。DVDボックス『超時空要塞マクロス メモリアルボックス』・DVD『マクロス20周年プレミアムコレクション』、『マクロスアルティメットフロンティア 超時空娘々パック』に収録。話数の間引き・短縮2007年10月から2008年3月のTBS再放送では、第14話「グローバル・レポート」(総集編回)、第16話「カンフー・ダンディ」、第17話「ファンタズム」(実質総集編回)、第28話から第36話(戦後編)が放送されず27話までで終了。プロ野球日本シリーズなど番組編成の都合上、放送時間変更や休止となっている週が複数ある。この翌週からマクロスシリーズ最新作『マクロスF』の放送が始まった。テンプレート:Seealso
超時空要塞マクロス Flash Back 20121987年発売。リン・ミンメイの歌と映像を収録したミュージックビデオ。『超時空要塞マクロス』のタイトルが付く様々なゲーム作品が発売されているが、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の設定に基づくものや、オリジナルストーリーを追加したものが多い。以下はTV版エピソードを選択可能なゲーム作品。
超時空要塞マクロス2003年、バンダイより発売のPS2用ゲーム。劇場版ストーリーとの分岐選択式。マクロスアルティメットフロンティア2009年、バンダイナムコゲームスより発売のPSP用ゲーム。初代マクロスのキャンペーンはTV版・劇場版が選択可能。詳細はマクロスシリーズ (ゲーム)を参照
玩具・プラモデルの商品展開が行われ、いずれも1982年の年末商戦では一部商品が品薄になるほどのヒットを記録した。また、量産機体を区別するためのカラーリング・細部変更によるバリエーション展開が作品中にあったため、主人公を始め登場パイロット達の各々のカラーリング変更・一部パーツ替えによる商品展開が、プラモのみならず玩具でも多種行われた。
プラモデルはイマイと有井製作所が共同でシリーズを展開。プラモデルは基本的に同一メカに対して1/72と1/100の2スケール[24]で、モデルによって片方のスケールをイマイとアリイが担当していた[25]。さらにニチモもピタバンシリーズでスポンサー参加という当時としてはめずらしい形態を取った。放送開始前からプラモデルが発売開始されたのも異例なケースだった。
また、バンダイが発行していた「模型情報」と同様の小冊子「(超時空要塞)マクロス情報」も、イマイとアリイの共同編集という形で商品化と平行して発行された。1冊目だけは表紙に『超弩級要塞マクロス』のタイトルロゴが使用されており、編集時には初期タイトルで企画が進行していた事が伺える。なお本作の放送終了後は後番組『超時空世紀オーガス』を同じイマイとアリイで引き続いてスポンサード=商品化したため、冊子名は「超時空情報」に変更された。以後は『オーガス』と平行して本作及び本作劇場版の商品情報や記事、作例を掲載している。
本放送時はタカトクトイスがスポンサーとなって玩具を発売。タカトクの上層部は当初マクロス艦を中心とした商品展開を行う意向であったが、企画課はバルキリーを中心とした商品展開の方が「玩具として楽しいものになる」との見解からそれを望んでおり、両者の意見が食い違った状態であった[26]。この状態を解消するため、1-2週間程度掛けて上層部や同社内の他セクションと意見交換や話し合いを行った結果、上層部の理解を得てバルキリーを中心とした商品展開を行う方向となった[26]。試作(スケールモデル)はスタジオぬえ側が担当したいと提案を行い、それをタカトク側も受け入れて2か月程度でバルキリーの試作木型モデルが完成、それをベースにマツシロが担当となり変形モデルとしての完成度を優先した試作品の完成を経て、タカトクが完成品モデル『1/55バルキリーシリーズ』を1982年11月に発売した[26]。
『1/55バルキリーシリーズ』は変形メカニズムをパーフェクトに再現したギミックが受け、「小学生向け」というロボット玩具の常識を覆し、ヤングアダルト年齢層にも売れる人気商品となり、1983年末時点で同シリーズの出荷数は合計100万個を突破した[26]。飛行形態(ファイターモード)がアメリカ海軍のF-14に似ていたこともあり、厚木基地配属のパイロットたちが面白がって、日本土産としてよく買い求めていたという。
タカトクはこのヒットを推し進める形で次作の『オーガス』でもヒットを期待した生産体制をとり、さらには実在に近い形状のメカが不自然さ無くロボットに変形するコンセプトをある意味受け継いだ『特装機兵ドルバック』のスポンサーも務めた。その後、公開直前の1984年5月25日に1回目の不渡り手形を出し事業停止となった。
タカトクの倒産後、玩具の金型はマツシロを経てバンダイが引き継いだが、その金型も完全な状態でなかったため不足分の金型を新造して、劇場版設定のストライクバルキリー(バンダイの提案により商品化する際に河森が命名[27])などの種類がバンダイから発売された[27]。『20周年記念復刻版』『オリジン・オブ・バルキリー』は前述の金型も失われたため、完全新造となった[27]。
経営が悪化したイマイもバンダイにプラモデルの金型を売却。バンダイは劇場版仕様の玩具を発売した他、プラモデルの再発売、プライズゲーム景品の開発などを行っている。前述の『SDマクロス』のバリエーションとして、『超時空烈伝 真空路守』シリーズの「武者バルキリー」も発売した。2010年11月に一部のサブメカの再発売が行われ、その際には箱絵のデザインは変更されず社名のロゴがバンダイの物になっている。
その後ガレージキットも各種発売された。
本放送時、出版に関しては小学館が優先的な出版権を確保したようで、作品全体を統括する形の出版物は同社のムック「This is Animation」シリーズで発行された。模型の記事に関しても、ガンプラの記事を誌面の主力に据えて成功を収めた講談社の『コミックボンボン』に対抗する形で『月刊コロコロコミック』で大々的に展開。巻頭グラビアでのプロモデラーによる作例ではディオラマを主体にした迫力ある写真を掲載し、模型をモチーフとしたコミックもたかや健二『プラコン大作』、西東栄一『プラモ天才エスパー太郎』の2作品を同時掲載。後にスタジオぬえの監修によるメカニック発展史なども記述された模型作例ムックなども発行している。ノベライズは当時新人の井上敏樹が担当し、上・中・下巻構成で出版された。小学館からはこの他幼児向けの絵本や、児童向けムック「コロタン文庫」も展開されている。模型のムックに関してはイマイとアリイも模型流通を使って『オーガス』の作例記事も掲載した物を含む2冊発行。アニメ関連については、キャラクターやメカニックに主軸を据えるスタイルのものが徳間書店のアニメージュ文庫などからも発売された。
2000年代に入り、現用戦闘機を始めとした所謂「スケールモデル」を販売していたハセガワがキャラクターモデル参入第1弾としてVF-1バルキリーのファイター形態を発売し、以降各商品が発売されている。この商品はスケールモデルメーカーらしい、現用戦闘機に近いディテールが施されている。
2000年代中盤以降、株式会社やまとがバルキリーの各形態をプロポーションの破綻なく再現した、完成品モデルの商品販売展開を行っている。最初に発売した1/60VF-1バルキリーは、タカトク版のバルキリーなどと違い、バトロイド時とファイター時で太腿ジョイントの位置を手で指し変えなければならず一部差し替えが必要なタイプがある。しかし、後に発売した1/48スケールVF-1バルキリーは、大腿部の変形を独自解釈で差し替えなしの変形を実現している。2008年に発売を開始したリニューアルである1/60スケールVF-1バルキリーも、1/48の変形構造を参考にしている。
主題歌・エンディングテーマを収録したEPの他、LPでは羽田健太郎作曲のBGMやリン・ミンメイの歌謡曲を収録したサウンドトラック4作、ドラマレコード2作が発売された。LPがオリコンLPチャートトップ10に入るなど好調なセールスを記録し、アニメ音楽に参入して間もないビクター音楽産業(現:ビクターエンタテインメント)にとりヒット作になった。
1992年にはテレビシリーズと劇場版のサウンドトラック(未使用曲含む)をCD3枚に収録した『マクロス・ザ・コンプリート』が発売。作中の歌を集めたベスト盤、トリビュート盤、飯島真理のセルフカヴァー盤なども発売されている。
本放送時には第1・2話収録の「マクロススペシャル」、第4・27話収録の「リン・ミンメイスペシャル」、戦闘シーンを編集した「メカグラフティ」のビデオ3本を発売。1990年代にはビデオ9巻や豪華仕様LDボックスが発売された。2000年から2002年にかけてDVD9巻やDVDボックス3セットが発売され、2008年2月より1年間HDリマスター仕様のDVDボックス『超時空要塞マクロス メモリアルボックス』が期間限定発売されていた。また、同時期にDVDレンタルも始まった。
インターネット上のインターネットテレビやポータルサイトなどにおいて、テレビシリーズの動画配信(有料)が行われている[28]。25周年地上波再放送(前述)が行われた時期には期間限定で無料配信も行われた。
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