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VF-1 バルキリー(ブイエフ・ワン バルキリー)は、テレビアニメ『超時空要塞マクロス』以降の「マクロスシリーズ」作品に登場する架空の兵器。地球統合軍の可変戦闘機。
ペットネーム(愛称)の「バルキリー (Valkyrie)」は、北欧神話に登場する女性の半神ワルキューレ(独:テンプレート:Lang)の英語名。実在の試作戦略爆撃機XB-70から、作中でVF-1の愛称に引用された。デザインモチーフは、同じく実在するアメリカ海軍の戦闘機F-14 トムキャット。
なお、以降に開発される可変戦闘機も慣例的に「バルキリー」と呼ばれることがあるが、本項目ではVF-1とそのバリエーション機のみについて記す。
VF-1 バルキリー(J型) | |
設計・製造 | ストンウェル / ベルコム社共同開発 |
---|---|
全長 | ファイター:14.23m ガウォーク:11.3m バトロイド:4m |
全幅 | 主翼展張時:14.78m 主翼後退時:8.25m バトロイド:7.3m |
全高 | ファイター:3.84m ガウォーク8.7m バトロイド:12.68m |
空虚重量 | 13,250kg |
エンジン | (主機)新中州重工 / P&W / ロイス FF-2001 熱核反応タービン×2 (副機)液体ロケットブースター×3 |
エンジン推力 | (主機)11,500kg×2 (副機)8,333kg |
最高速度 | M2.81(高度10,000m) M3.87(高度30,000m以上) |
乗員 | 1名 |
標準武装 | マウラー RöV-20 11mm対空レーザー機関砲×2 ハワード GU11 55mm3連ガトリングガンポッド×1 |
選択装備 | 大気圏外用スーパーパーツ プロテクターウェポンシステム AMM-1 対空対地ミサイル×12 UUM-7 マイクロミサイルポッド×4 RMS-1 大型対艦反応弾 他多数 |
ゼントラーディ軍との第一次星間大戦において活躍した地球統合軍の主力戦闘機。航空機型のファイター、鳥型のガウォーク、人型のバトロイドの3形態に変形する可変戦闘機(Variable Fighter=VF)シリーズの初代量産機であり、優れた汎用性・発展性により傑作機と呼ばれる。
バトロイドの身長 (12.68m) に合わせて設計されたため、双発戦闘機としてはコンパクトな部類の機体である。主翼には速度に応じて最適の揚抗比を得られる可変翼を採用。これはバトロイド時に被弾面積を減らすメリットもある。可変翼特有の空力重心の変化には、機体パネル(バトロイド時の胸部)上のスリットから境界層流を吸い込むことで調整を行う。推力偏向二次元ノズルで上下方向の機動制御を行うため水平尾翼は不要となった。機首は宇宙空間での生存率向上を図り、胴体から分離しサバイビングセルとして機能する。また分離したコクピットは、ガンポッドのようにバトロイドの腕部に装着することが可能で、ファイター形態への変形にも支障なく、そのままの輸送が可能となっている。腕部には小型の補助マニピュレーターが内蔵され、自機や友軍機の自動修理プログラムを備えている。
主機の熱核反応タービンエンジンFF-2001は、VF計画の全領域性能の根幹となる新技術であり、取り込んだ大気を高熱圧縮して推進剤として噴射するため、大気圏内ではほぼ無限の航続性能を可能にする。一方、大気のない宇宙空間では水素などを強制推進剤とするが、機体のサイズ上搭載量が限られ、作戦行動時間は極めて短い(高機動モードでは約1分)。なお、機体の開発中、この熱核エンジンの小型化が最も遅れたため、統合戦争末期に試作された VF-0フェニックスでは通常のジェットエンジンで代用された。推進系はこの他、ガウォーク・バトロイド時の背部パックに液体ロケットブースターを3基、機体各所に姿勢制御スラスターを内蔵する。
エンジン出力及び空戦能力はVF計画発動当時の通常戦闘機レベルだが、新素材導入により大気圏突破も可能な機体強度を持つ。更にバトロイド時には、余剰推力を用いたエネルギー変換装甲で格闘戦への備えが図られている。それでも陸戦兵器としては、火力・装甲の弱さとエンジンの大出力のアンバランスさが運用面のネックとして疑問視されていた。航空機としては破格の強度だが陸戦兵器としては脆弱、というVF-1のこの耐弾防御性能はシリーズ第1作『超時空要塞マクロス』オンエア当時の各種メディア[1]では公式設定として扱われており、アーマードバルキリーも防御力及び余剰出力問題の解決策であるとされていた。しかし、その後の続編で「エネルギー変換装甲」という新設定が後付けされ、VF-1やその原機VF-0の装甲脆弱問題はなかったことにされている。
操縦系はバトロイド形態とファイター / ガウォーク形態とで別々の物を用いる。ファイター / ガウォーク形態は従来の戦闘機に近い有視界コクピットで、メインコンソールは3つの全面モニターを備えたグラスコックピットになっている。またガウォーク形態用の腕部操作グリップが設けられている。後期生産型では一面モニターとなり、他に照準や敵機シンボルなどが視界に直接3次元投影されている他、バトロイド形態も加えてサイドスティックとスロットルレバーが腕部操作にも用いられる。
一方バトロイド形態ではキャノピーが防弾・防熱カバーに覆われ、視界は全て頭部カメラ映像のモニター表示に頼ることになる。コクピットが機体前面の真正面に位置するため、後世のバトロイドと比べると、格闘戦闘では生残性に難がある。なお、バトロイド形態におけるパイロットの乗降・脱出の際は、頭部が前方に折れ曲がった後にシートがせり上がるようになっている。
バトロイド形態ではほぼ人間と同様の動作が可能で、ブリタイ艦に乗り込んだマクシミリアン・ジーナス機がゼントラーディ兵から奪った軍服を着て歩き回ったこともある(あまつさえ、そのままガウォークに変形した)。
他に敵ミサイルを誘爆させるフレアディスペンサーを備えている。
変形は形態選択レバー(後期生産型ではスロットルレバー)の操作のみで全自動で行われ、各可動部の高速パルスアクチュエータが熱核反応エンジンからのエネルギー伝導により、加減速Gや空気抵抗に逆らい機体各ブロックの移動・組み換えを行う。通常ファイターからバトロイドへの変形所要時間は約3秒。作中ではアクション演出により、ほぼ瞬間的(0.5秒以下)に変形するように描写されている。その一連の変形プロセスは以下の通り。
後の可変戦闘機に比べVF-1の変形プロセスはまだ洗練されておらず、所要時間も戦場において実戦的とは言いがたい。しかし、用法次第ではドッグファイト戦術に新たな可能性が開けることが、歴戦のエースパイロット達によって証明されている。
ファイター・ガウォークからバトロイドへの変形時の脚部移動は、設定どおりに再現すればいわゆる「組み替え変形」になるが、独自解釈により取り外すことなく変形できる玩具も多い。
1999年、地球に墜落した宇宙戦艦(のちのSDF-1 マクロス)から、身長10m強の巨大異星人の存在が判明。オーバー・テクノロジーを用いた対抗兵器のひとつとして、空軍・海軍・海兵隊は高機動力と格闘能力を兼ね備える全領域可変戦闘機=VF (Variable Fighter) 計画を発動した。艦隊防空・地上支援・特殊任務などあらゆる用途を検討した結果、航空機と人型ロボットを融合する奇抜なコンセプトが創出された。
航空メーカー、ストンウェル社・ベルコム社共同の設計チームは、陸軍系のデストロイドよりも早く2001年2月に結成されたが、前代未聞の新兵器のため開発は難航した。動力系の新中州重工と陸軍系のセンチネンタル社の協力で、2007年2月に試作機VF-X1が初飛行。当初変形モードはファイター、バトロイドの2つであったが、テスト中に偶然ガウォークの有用性が見出され、急遽機体設計に盛り込まれることになった。2008年7月にはマヤン島沖のプロトカルチャー遺跡争奪戦において、従来型エンジンを装備した先行量産機VF-0が実戦投入されて反統合政府勢力のSV-51と可変戦闘機同士の対戦を行い、その実戦データはVF-1の開発にも大きく貢献することとなった。
制式採用型VF-1のロールアウトは2008年11月、マクロス進宙式のわずか4ヶ月前だった。生産1号機にはデモカラーが施され統合軍の新型戦闘機として発表されたが、当初は人型に変形する事は公表されなかった。1号機はその後、頭部とエンジンを交換しS型の1号機となった。OTMによる超高性能ゆえに、1機あたりデストロイド20機分という陸上兵器としては問題外の超高価格となったが、航空兵器の範疇で見ればさほど常識外とは言えないため量産の妨げとならず、マクロス進宙までに1,000機以上が実戦配備された。むしろ、在来機からの機種転換が課題となり、バトロイド形態の操縦に戸惑うファイターパイロット達が多かった。
開発企業名に関して[]作品世界の架空の設定では、2007年から2009年に掛けてストンウェル( Stonewell )とベルコム( Bellcom )が合併して、ストンウェル・ベルコム(Stonewell & Bellcom)社として、本機の開発を推進したとされている。
しかしながら、VF-0 フェニックス・シリーズの開発企業名 の記載にある通り、メタフィクション構造[2][3][4]を採用するマクロスシリーズの作品構造上、この解釈が必ずしも作品の根拠となった「マクロス世界の現実の開発企業」とは限らないとも言える。
また、上記企業名称は下記の我々の現実世界にかつて実在した企業、或いは現に存在している企業のアナグラムである。
1.ストンウェル ( ロックウェル・インターナショナル / Rockwell International ) - 1996年12月、ロケットダインを含めた宇宙部門全体と防衛部門の大部分をボーイング統合防衛システム部門に売却し消滅。
2.Bellcom ( ベル・ヘリコプター・テキストロン / Bell Aerospace Textron ) - 1960年、テキストロン社によってベル・エアロスペース社は買収され、ベルエアロスペースはベルエアクラフト社の3部門で構成された。その中にはヘリコプター部門も含まれ唯一の航空機生産部門となる。ヘリコプター部門はベル・ヘリコプター社と名前を変え、テキストロン社中で最大の部門を創出した。1976年、テキストロンは名前をベル・ヘリコプター・テキストロンに変更し、「固定翼航空機」製造企業としては姿を消した。[5]
なお「陸軍系のセンチネンタル社」のアナグラムの 解読であるコンチネンタル (Continental AG, 略称コンチ)、あるいは航空用エンジン開発企業部門である テレダイン・コンチネンタルモータース(Teledyne Continental Motors)については、デストロイド#企業名に関しての項目を参照のこと。
ゼントラーディ軍との開戦後、SDF-1マクロスにはフォールド事故に巻き込まれた攻撃空母プロメテウス所属の航空部隊が配備された。おもに防空迎撃任務に就き、一条輝、ロイ・フォッカー、マクシミリアン・ジーナスら名パイロットの活躍で、マクロス捕獲をはかる敵艦隊や機動兵器の襲来を退けた。大戦末期には宇宙戦用の追加パーツを装備したスーパーバルキリーが投入され、最終決戦の「リン・ミンメイ作戦」では、反応弾による対艦一斉攻撃で多大なる戦果を挙げる。
戦後は新統合軍下で治安維持活動などに従事。主力機の座をVF-4 ライトニングIIIに譲り2015年に生産終了となるが、使い回しの良さから10年以上現役機として活用される。2020年以降は退役が進み、民間へ払い下げられスポーツ・レジャー用とされた例も多いが、アップデートにより2040年代まで配備された機体もある。
配備開始から50年後を描いた『マクロスF』では美星学園高等学校本校舎の屋上に動態保存状態で実機がモニュメントのように配置されている(後述)。
また、VF-4やVF-5000スターミラージュなどの後継機もVF-1の基本設計をベースに開発され、汎用機という思想も正統な後継機VF-11 サンダーボルトに受け継がれることになる。50年後、AVF(次世代可変戦闘機)計画以降の高性能機が現われる頃になっても、VF-1は最も愛された機体として抜群の知名度を持ち、ペットネームの「バルキリー」は可変戦闘機シリーズの代名詞として一般に定着している。
基本設計を同じにし、カラーリングや頭部の違いでキャラクターごとの登場機体の個性を出すと言う手法でいくつかの派生型(バリエーション)が設定された。また、劇場版製作時には細部の設定をリニューアルしており、後に生産ブロックの違いという設定が後付けされた。以下、関連資料による設定。
マクロス進宙に部隊配備が間に合うよう各社で平行生産されたため、同じ生産時期、ブロックでも仕様に相違がある。おもにブロック1から4までの初期型と、ブロック5以降の改良型に大別され、ブロック5以降は大気圏外戦闘を主目的として、アビオニクス及びコックピットの大幅改造が行われている。ブロック4までの変形レバーは操縦系とは別個に設置されており、一瞬とはいえ戦闘中の変形にタイムロスを発生させる要因となっていた。ブロック5以降の改良型の操縦系は変形モードがスロットルレバーと統合され、容易に瞬時の選択が可能となり、キャノピー内面に識別表示が立体投影される。
また、機体を活用して練習用、偵察用などの派生型も生まれ、VF-1A 5機編隊による統合軍曲技飛行隊(アクロバットチーム)「エンジェル・バーズ」も結成されている。
VF-1は運用の柔軟性を拡げた結果、作戦ごとの要求性能を満たさない点が課題となった。このため開発当初から脱着・使い捨て式のサブシステムが計画され、新中州重工により開発された。これらの追加装備により、VF-1は真のマルチロールファイターとして評価されるに至った。
GBP-1S(プロテクター・ウェポンシステム)陸戦における装甲の脆弱性、及び必要以上の高出力といった問題点を解消すべく開発されたバトロイド形態用の全身装甲兵装システム。これらを装着した状態は「アーマード・バルキリー」と通称され、外観は格闘戦用デストロイド「スパルタン」に酷似している。この状態ではバトロイドのみに形態が固定されるため、当然変形は不可能となるが、装甲は戦闘中でも任意で瞬時にパージする事が可能である。固定武装は両腕に‘エリコーンGA-100 高速徹甲クラッシャー’3連×2(1基あたり弾数3発、計18発)、全身に「エリコーンGH-32 グレネード・クラッシャー」計56発(次発装填無し、一斉射分のみ)。本来は陸戦用限定の装備であり(マクロスでは大気圏外運用が禁じられていた)、おもに強行突入や単独迎撃などの特別任務でしか使用されないが、マクロス艦上ではデストロイド部隊に混じって対空戦闘にも参加する。その際の運用実績により、近距離まで接近してきた敵機には、無数のミサイルで弾幕を張るのが最も効果的だと判明する。重装甲と全身のミサイル装備により、陸戦能力は局地戦兵器デストロイドに比する。自重は倍加するが、剰余推力によりホバリングが可能である。初期は開発メーカー(新中州重工)の関連からJ型にしか対応インターフェイスがなかったが、後には複座型を除くほぼ各型に対応可能なように改良がなされた(アリイ1/170プラモデルシリーズでは、複座型のアーマードも商品として存在している)。ガウォーク形態専用のプロテクター・ウェポンシステムも存在し、こちらを装備した機体は通称アーマード・ガウォークと呼称される。一部の武装はバトロイド時用のものと共通だが、やはりこの状態での変形も装甲をパージしないかぎり不可能である。一説には、ノーマルタイプのバトロイド形態に先駆けてアーマード形態がマスメディアには公開されていたと言われており、当時はまさかこの機体が航空機に変形するなどと想像する者はいなかったという(『超時空要塞マクロス ホビーハンドブック 1 GBP-1S プロテクター・ウェポンシステム』)。半世紀後の2050年代にマクロスフロンティア船団で開発されたVF-25では、装着したまま三段変形が可能なタイプのアーマード装備が登場する。FASTパック(スーパーパーツ)FAST Packとは現用戦闘機F-15Eのコンフォーマル式燃料タンク(Confomal Fuel Tank)の別名で、FASTとは英語で " Fuel And Sensor Tactical " の略で『燃料、及び戦術センサー』を意味する。従来型航空機の燃料を、宇宙空間で必要となる推進剤(プロペラント / propellant )に置き換えた上で、追加装備の印象から劇中追加装備の命名として引用したものである。一般的には「スーパーパーツ」という別名で呼ばれる。任務に応じて複数の選択装備を運用するVF-1 において、この類の装備はパイロットや整備員達から「スーパーパック」の通称で呼ばれる。VF-1全型用ファストパック大気圏外運用時のネックである稼動時間、行動範囲の延長、さらに機動性と火力の向上を図ったユニット。構成は背部の化学式液体燃料ロケットブースター2基、両エンジンナセル側面の反応エンジン用大型プロペラントタンク、両腕のミサイル装甲ブロックからなる(各パーツは爆発ボルトによる分離が可能)。これらを装着した状態の正式名称は「FASTパック装備型VF-1 (VF-1 w/FAST PACK)」であるが、兵士達がつけた愛称「スーパーバルキリー」が一般化し、FASTパックも「スーパーパーツ」と呼ばれるようになった。なお、開発時は「ブービーダック」のコード名で呼ばれた。これらのパックはVF-1各機種に装着でき、GBP-1Sと異なり三段変形の利点を損なわない。戦闘時の加速力・機動力・火力すべてに数倍の性能を引き出し、宇宙におけるバルキリーの標準装備となる。またVF-11など後継の可変戦闘機にも継承されている。VF-1S用ファストパック通常、背部両ロケットブースターの前部ハードポイントにはマイクロミサイルポッド2基を装備するが、正面左側、パイロットから見て右側に2連装ビームカノンを付けるオプションもある(機構上では左右どちらも装着可)。ただし高価で取り扱いが難しいため、S型(隊長機)しか使用を許可されない。この仕様は「ストライクバルキリー」と呼ばれる(劇場版のみ登場。劇場版ではスーパーバルキリーが大気圏外運用時の標準仕様とされたため、隊長機の差別化のため設定された)。大気圏外脱出用ブースターVF-1を地上基地から宇宙へ打ち上げる際、機体後部に連結される。全長18.9m、通常型ロケットエンジンを使用(推力22,500kg×4×4)、分離後は補助翼を広げ自動操縦で基地に帰還する。一部にゼントラーディ系技術を導入したため、従来の地球兵器とは異なるフォルムを持つ(TV版30話のみ登場)。スタンピードパックPC-9801ゲームの『超時空要塞マクロス・ラブストーリーズ』、『超時空要塞マクロス・スカルリーダー コンプリートパック』に登場するゲームオリジナルの機体、スタンピードバルキリーの特殊装備。通常のスーパーバルキリーやストライクバルキリーではゼントラーディ艦を相手では火力不足であることが指摘されていた為、攻撃力に特化した変形可能なアーマードバルキリー的な機体として登場した。特殊な変形を可能とする為に頭部や腕部の取り替えなど機体の事前改修が必要であり、またガウォーク形態が存在しない。荷電粒子砲、クラスターミサイル、ガトリング・ガンポッドなど、戦艦を撃沈するに十分な強力な火器を装備しているが機動性に欠けている。マクロスシリーズのメインクリエーターであるスタジオぬえの河森正治が宮武一貴の協力を得てデザインした(劇場版では宮武がマイナーチェンジを担当)。原案は「飛行形態を持つ変形パワードスーツ」つまり衣服や鎧の延長線上の位置づけで進められており、初期デザインの「ブレストファイター」まではアニメロボットらしい角張ったデザインであった。しかし、両腕の収納法を実在する戦闘機F-14トムキャットから閃いた事をきっかけにリアル志向に転じ、極めて現用機的なフォルムの完成に至った。一般的に「F-14をモデルにロボットへの変形をデザインした」と表現されることが多いが、実際は「ロボットからリアルな戦闘機形態を生みだした」アプローチであったといえる。さらに玩具の試作過程で、スタジオぬえの没企画で日の目を見なかった二足歩行兵器(ガウォーク)のアイデアも導入され、かつてない3段変形のメカニックデザインが誕生することになった。
なおバルキリーが変形する事は、放映開始直前のアニメ誌(アニメック等)の記事でガウォーク形態が発表されるまで伏せられており、第1話・2話を合わせた一時間スペシャルの前半ラストで、リアルな形状の戦闘機形態からロボット形態に一瞬で変形するシーンは、板野一郎の作画とも相まって視聴者に強烈なインパクトを与えた。なお、初放映時の一時間スペシャルのオープニングでは、ファイター形態からバトロイド形態へ変形する印象的なカットが使われていない。
この「リアルな戦闘機がロボットに変形する」というコンセプトは続編やゲーム版などに登場する後継機種に受け継がれ、河森のライフワークとも言える物になっている。スーパーロボット的なけれん味と兵器的なリアリティーという相反する要素を備えたVF-1の変形機軸は、ロボットアニメのデザイン史上に画期的な功績を残した。SFアニメで初めて、航空機を主役メカとしたのも本作である。
キャラクター商品としてもバリエーション展開が豊富で、タカトクトイスの1/55変形玩具は高学年層にも支持され、シリーズ累計100万セットを超える大ヒット商品となった。これらの魅力から、後続の「超時空シリーズ」をはじめとする変形メカブームが起こり、ロボットアニメの主流である日本サンライズ系作品においても、番組後半から飛行形態をもつ変形主役メカが登場するパターンが見られた(ビルバイン、エルガイムmk-II、Ζガンダムを参照)。
21世紀に入り、複雑なメカニックデザインが多くなってからもVF-1の流麗なフォルムは人気を保ち、玩具・模型(ガレージキット)などでプロポーションと変形の完全再現を目指した商品化が続いている。2000年にはスケールモデルのハセガワがキャラクターモデル進出に際してファイター形態をキット化、放送当時のファンの夢を実現したと言われ、後にFASTパック装備型に続きバトロイド形態もキット化された。日本国外においても『ロボテック』の登場メカとして人気があり、Toynami社から各種商品が発売されている。
84年よりハズブロ社の玩具展開で始まったトランスフォーマーシリーズのラインナップとして、タカトクトイス製のVF-1Sの金型を流用した「Jetfire」という名のキャラクターが、ごく短期間、海外でのみ販売されていた。このJetfireはアニメ版にも「航空防衛戦士スカイファイアー」(日本国外でもアニメではSkyfireに変更されている)の名で登場するが、デザインは頭部を中心に大きく変更されており、作中での登場期間も短い。登場の経緯などは「スカイファイアー」の項目を参照。
日本でのトランスフォーマーの玩具は一部を除いてほとんどがタカラ製の玩具であり、ハズブロが販売していたもののタカラ製でないスカイファイヤーは日本では販売されなかったが、後のシリーズでの同名キャラクターの登場やリメイクは続いており、2008年より展開された玩具シリーズ「変形!ヘンケイ!トランスフォーマー」にもアニメ版準拠のデザインでラインナップされている。この玩具にはバルキリーの頭部をイメージしたバトルヘルメットが付属している。ただしガウォークへの変形はできない(強引に近い形態にすることはできる)。
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