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VF-19 エクスカリバー (Excalibur) は、テレビアニメ『マクロス7』及び関連作品に登場する架空の兵器(可変戦闘機)。
ペットネーム(愛称)のエクスカリバーはアーサー王伝説中に登場する聖剣の名。
エクスカリバー | |
型式番号 | VF-19 / YF-19 |
設計 | 新星インダストリー |
乗員人数 | 2名(F型以降は単座のみ) |
空虚重量 | 8,750kg(YF-19) 8,620kg(S型) 8,550kg(F型) 8,400kg(C型) |
エンジン | 新星 P&W RR FF2200(YF-19)、FF2550J(S型)、FF2550F(F型)熱核バーストタービン×2 |
バーニアスラスター | P&W HMM-6J(YF-19)、HMM-7(S型及びF型)、HMM-6R(C型) |
推力 | 56,500kg×2(YF-19) 67,500kg×2 |
武装 | マウラーREB-30G対空レーザー機銃(S / C型×2、F型×1) マウラーREB-23半固定レーザー機銃×2 ピンポイントバリアシステム×1 ヒューズGU-15ガンポッド×1 マイクロミサイル×24 中距離ミサイル×6他多数 |
ファイター時:Fighter mode | |
全長 | 18.47m |
全幅 | 14.87m |
全高 | 3.94m |
最高速度 | M5.1+(高度10,000m) M21.0+(高度30,000m) |
AVF(Advanced Variable Fighter:次世代全領域可変戦闘機)開発計画、スーパーノヴァ計画に基づき開発された新地球統合軍の主力可変戦闘機。従来、VF-17 ナイトメアなど一部の特務機、試験機などに搭載されていた新世代エンジン熱核バーストタービンを汎用主力機として初めて搭載した機体であり、ファストパック無しでの大気圏外活動が可能となっている。
基本的には前世代主力機VF-11の発展型と言える機体で、競合機として開発されたゼネラル・ギャラクシー社のVF-22 シュトゥルムフォーゲルIIに比べ、新技術の導入は必要最低限に抑えられている。その分実用機としての信頼性・完成度の面で優っており、結果的に従来のVFシリーズを凌駕する性能を持つに至った。超AIシステムの導入を始めアビオニクス面も大幅な改良がなされ、片道20光年のみという制限はあるものの、フォールドブースター装備による単独フォールド航行を可能としている。
また、ピンポイントバリア (PPB) システムとアクティブステルスを可変戦闘機としては初めて搭載した[1]機体でもあり、防御能力及び隠密性にも優れている。従来は格闘戦(≒殴り合い)になった場合にマニピュレーターを破壊する可能性が常に付きまとっていたが、その可能性はPPBシステムによって大幅に低下し、その破壊力も向上している(ピンポイントバリアパンチ)。エンジン出力の70%を必要とするためバトロイドモードでしか使用できないという制約があるものの、従来VFの構造的問題であった陸戦格闘時の装甲の脆弱性の解決と有り余る高出力の活用が、運用上の制限が多いプロテクター・ウェポンシステムに頼ることなく実現されたとして問題にはならなかった。
外見上の最大の特徴は前進翼を採用している点。この翼形状は大迎角飛行での空力特性に優れており、本機の高機動性に寄与している。可変翼であるため従来の後退翼やデルタ翼状態にする事も可能。また一部型式を除きカナード前翼も装備している。この他にも機首のVFC[2]や肩部のアクティブ空力制御装置など、大気圏内での空力運動性能を極限まで追求した設計がなされている。こうした優れた運動性能を最大限に生かすため、バトロイド形態での外景表示スクリーンの広面積化に加え、ファイター/ガウォーク形態においてもコクピット下部にキャノピー視界以外の範囲をカバーする外景スクリーンが設けられ、パイロットの視認性を高めている。
可変構造は頭部・腕部の接続されたバトロイド形態の上半身が機体後方から前方へ覆い被さる様に移動する斬新な方式が採られている。これにより変形所要時間が20%短縮されただけでなく、VF-1 バルキリーやVF-11のバトロイド形態では胸部前面にあるコクピットが本機では背中側に配置され、パイロットの生存性が向上した。他にも、従来機では背中に配置されていた主翼が本機では腰部に刀の鞘の様に位置する。
試作機のYF-19と初期生産型のVF-19A以外は、脚部がVF-17などとも共通する「ズボンの折り返し」の様な形状に変化している。この形状はVFCやカナード翼の様な機能を果たしており、安定性や操縦性を高めている。
本機の試作機であるYF-19は最新OTMを導入した、単独作戦能力に優れる高性能機として設計された。ライバルのYF-21が脳波コントロール(BDIシステム)などの特殊技術を用いたのに対し、YF-19は各種の空力制御装置を駆使した運動能力向上機であり、大気圏内での超絶な運動性能が売り物だった。カナード前翼+前進翼という組み合わせは空力的に不安定だが、それを逆利用し、わざとバランスを崩してアクロバティックな機動に繋げることを狙っている。VFCやアクティブ空力制御、推力偏向ノズルなどの装置も、失速するような無理な姿勢での飛行を追求するためにある(『マクロスプラス』作中のイサム・ダイソンが大空に竜鳥の「落描き」をするシーンで、その驚異的な機動性が示されている)。
だが、YF-21に対抗するためにピーキーなチューニングが施されたYF-19の飛行特性はナーバスで、じゃじゃ馬のような扱いづらい機体になってしまった。学習型A.I.システムに制御をサポートさせようとしたが、パイロットの操縦感覚と噛み合わず、腕自慢のテストパイロット達でも予想外の挙動に泣かされた。リタイア続出で殉職者二名を出した上に機体大破という窮地に陥った新星インダストリー社は、ポテンシャルを実証するため軍の問題児イサム・ダイソンの天才的操縦センスに賭けるしかなかった。
再開後の過酷なテストメニューを経て大きくポイントを挽回したYF-19だったが、無人機ゴーストX-9への高評価によるスーパーノヴァ計画の凍結や、シャロン・アップル事件への関与疑惑などにより開発中止の危機に陥るも、調査の結果逆にゴーストを含めた自動防衛システムの危険性が露呈し、疑惑も解消されてスーパーノヴァ計画も再開した。最終的にYF-19は採用コンペティションに勝ち、VF-19 エクスカリバーとして制式採用されることになった。初期生産型VF-19Aもやはり高度な操縦技量を要するため、少数精鋭の特殊作戦部隊に配備され、反統合テロリストの掃討作戦などで活躍した。その後は新統合軍主力機として量産化の運びとなり、量産試作型のVF-19PやVF-19改では、徐々に過激さから扱いやすい方向へリファインが行われた。そして、量産型VF-19Fおよび指揮官用VF-19Sでは一般兵士向けに若干性能を落とし、安定性重視の方向で全面改修が行われた。前進翼はむしろデルタ翼に近くなり、VFCやカナードが撤廃され、各部のバーニアスラスターで姿勢制御を行うようになった。また、艦隊護衛など宇宙空間での行動時間延長のため、VF-1やVF-11のようなブースター付き大型ファストパックが復活した。
後に遠隔操作型ゴーストの導入により有人機への性能要求が大幅に引き下げられたため、VF-17を汎用機として再設計したVF-171に主力機の座を奪われる事となったが、マクロスフロンティア船団に拠点を置く民間軍事企業”S.M.S”が運用を任されているマクロス・クオーターにはVF―22sと共にVF―19Aが配備され、2050年代には再び本機の流れを汲む高性能試作機YF-24が開発され、そのデータを基に各開発拠点にてフロンティア船団のYF-25、VF-25やギャラクシー船団のVF-27などの次世代機が開発されている。
モデルグラフィックス2002年6月号の特集記事では同誌オリジナルのバリエーションが創作され、これを元にハセガワ製『マクロスオプションデカール』も発売された。これらの図版や作例は塗装や一部のデザインを変更しているものの、機体形状はYF-19のキットに準じている。ムック本『THIS IS ANIMATION SPECIALマクロスプラス』に掲載された各VFカラーバリエーション設定のスタイルに則り、製作スタッフも一部重複しているが、以下は厳密にはオフィシャル設定として承認されていない為、その点に注意されたい。
VF-19A+第8721戦術戦闘飛行隊 (8721TFS) に当初配備予定だった機体。地球環境適合型として尾翼が大型化されたブロック45型生産機である。しかし、8721TFSに配備を急いだために間に合わず、実際は増加試作機と同じ垂直尾翼を持つブロック2Dの生産機であるA型が配備された。「A+(Aプラス)」は通称名である。VF-19CA型をベースに操縦性を向上させた機体。エンジン出力自体は増加しているが、出力コントロールの反応速度を一段下げ、機体の反応と合わせるようにソフトウェアも書き換えられている。また、機体上面のアクティブフローコントローラーも換装され、より安定性の高いものとなった。頭部に小口径ビーム砲1門を装備する。ただし、A型に慣れたパイロットには「反応にフィルターがかかっている」として不評である。愛称は便宜的に「ランサー」と呼称することもある。VF-19ES民間企業をスポンサーとしたフォールドブースターによる速度記録飛行プロジェクト「フェートン」で使用された特別機。かつて開発に関わっていた一技師がスクラップを寄せ集めて再生した機体で、ペットネームは「ミステリー・シップII」と名付けられている。惑星エデンのニューエドワーズ空軍基地から地球のエドワーズ空軍基地へと1時間52分で到達し、見事新記録を樹立した。OVA『マクロスプラス』に登場したVF-19の試作型。新統合軍の時期主力可変戦闘機選定トライアル「プロジェクト・スーパーノヴァ」参画のため、2034年に開発計画が始動し、2040年には惑星エデンのニューエドワーズ基地において、VF-22の試作機であるYF-21とのコンペティションを行っていた。コールサインはα1(アルファワン)[4]。設計主任は弱冠17歳のヤン・ノイマン、テストパイロットはイサム・ダイソン中尉。彼以前にも何人かのテストパイロットが搭乗していたが、飛行テスト中の事故によりその全てが死亡もしくは更迭されている。なお劇中ではイサムが搭乗したYF-19は2号機という設定である。
作中では上記の通り運用試験が行われていたが、地球においてYF-19及びYF-21を含むあらゆる有人機を超える運動性を持つ無人機ゴーストX-9の開発が優先されたために試験は中止される。その後イサムとヤンによってX-9に一泡吹かせるために奪取され、地球へとフォールドを行う。追撃に向かったYF-21との戦闘の後に、自動防衛システムをジャックしたシャロン・アップルによって起動されたX-9と交戦する。最終的には損傷を負うもののマクロスシティに突入し、シャロン・アップルの中枢を破壊する事に成功した。なおコクピットは基本的に1人乗りだが、この際ヤンは後部の非常用補助シートに搭乗してイサムのサポートを行った。
設定上ではYF-19は1号機から3号機まで存在している。また模型誌上で発表された設定では4号機以降も存在する。ただし、YF-19 5号機の情報は一切不明である。
YF-19 1号機2度目の飛行試験で大破、テストパイロットは死亡。YF-19 2号機劇中でイサムが搭乗した機体。YF-21との総合的な性能比較試験が行われ、「シャロン・アップル事件」時にYF-21およびX-9ゴーストと初の実戦を行っている。グリップセイフティになっており、操縦桿を握らないと機体のシステムが起動しない様になっている。YF-19 3号機構造試験用の機体。モデルグラフィックス2002年6月号の特集記事では同誌オリジナルのバリエーションが創作され、これを元にハセガワ製『マクロスオプションデカール』も発売された。これらの図版や作例は塗装や一部のデザインを変更しているものの、機体形状はYF-19のキットに準じている。ムック本『THIS IS ANIMATION SPECIALマクロスプラス』に掲載された各VFカラーバリエーション設定のスタイルに則り、製作スタッフも一部重複しているが、以下は厳密にはオフィシャル設定として承認されていない為、その点に注意されたい。
YF-19 4号機「シャロン・アップル事件」後再開されたテスト飛行において、主にファイター形態での飛行特性のデータ採取に用いられ、変形することは滅多になかった。カラーリングはF/A-18の試作機風に、4号機が白地にオレンジとなっている。YF-19 6号機制式採用決定後に、地球のエドワーズ空軍基地における主にバトロイド形態でのエンジン・兵装の運用確認に用いられたが、ガンポッドの試射中爆発事故を起こし廃棄処分となった。カラーリングはF/A-18の試作機風に、6号機が白地に青となっている。他に「プロジェクト・スーパーノヴァ」におけるYF-19のテスト時に陸戦用オプションと見られる装備が登場しており、内蔵火器で標的機のデストロイド・モンスターを一撃で破壊している。
制作当時にファイター形態の3DCGモデルが製作されており、『マクロスプラス』でのYF-19フォールド航行シーンや『マクロス7』OPのVF-19改発進シーンなどに使用されている。
テンプレート:脚注ヘルプ
zh:YF-19/VF-19王者之劍
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