Y染色体D1a系統

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Y染色体D1a系統

アフリカ大陸の北東部にいた古代のある一人の男性の遺伝子に起きたYAPと呼ばれる因子を持つ系統。この系統は、Y染色体上の長腕部「DYS287 Yq11」に、約300塩基からなるAlu配列(Alu sequence)の挿入多型を余分に持つことで知られる。

 

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(左)D1a系統の分布図   (右)D系統の拡散経路を示す想定図(2017)


picture from:http://www.ranhaer.org/thread-35391-1-1.html

picture from Wikipedia

 

Y染色体ハプログループD1a系統(Yap+) 【チベット系】

チベット人

チベット人の約半数にあたる49%は、ハプログループD1a(D-Z27276)系統に属している(注1)。また、チベット人からはD系統とE系統の祖形DEから分岐したDE*系統の人もわずかにみられる(注2)。父系系統で比較する場合、日本人と最も近い民族がチベット人である(注3)。

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        (ダライラマ14世)

注1)Karafet, T. M.; Hallmark, B.; Cox, M. P.; Sudoyo, H.; Downey, S.; Lansing, J. S.; Hammer, M. F. (2010). "Major East-West Division Underlies Y Chromosome Stratification across Indonesia". Molecular Biology and Evolution 27 (8): 1833–44. doi:10.1093/molbev/msq063. PMID 20207712.

注2)Shi H, Zhong H, Peng Y et al. (2008). "Y chromosome evidence of earliest modern human settlement in East Asia and multiple origins of Tibetan and Japanese populations". BMC Biol. 6: 45. doi:10.1186/1741-7007-6-45. PMC 2605740. PMID 18959782

注3)京都大学理学博士 蔵琢也『天皇の遺伝子』2006.6.10、207頁より。「チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマもハプログループD型の可能性が高い」とあり。

 

阮廌

ベトナム後黎朝大越国の建国の功臣・阮廌(げんせん, グエン・チャイ, 1380-1442)のY染色体は、ハプログループD1a1(D-M15)である(注1)。これは阮の子孫によるデータに基づくものである。阮チャイは、ベトナム独立のため藍山(ラムソン)で蜂起した黎利軍に参加して参謀格となり、漢民族の明の支配に抗戦した。1428年、黎利が後黎朝を建てて黎太祖となった時、阮は宰相となって太祖を補佐し、諸制度の整備に努めた。阮は、今なおベトナム史上の偉人として国民の人気が高く、彼の名を冠した「グエンチャイ通り」はベトナムの各都市にある(注2)。ハプログループDから分岐したハプログループD1は、アラビア半島からインド、南アジアの沿海岸を通って東南アジアに到達した系統である。

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          (阮廌)

picture from:http://vietnamdefence.com/Home/quansuvietnam/danhnhanquansuVN/Nguyen-Trai-1380--1442/20099/48737.vnd

注1)『越南抗明英雄 阮廌:D1(D-M15)』(baidu)

注2)阮廌(越南文:Nguyễn Trãi,1380年-1442年),號抑齋,藍山起義勝利後受後黎皇室賜姓,故又名「黎廌」,是越南後黎朝開國君主黎太祖黎利的策士與摯友,也是越南著名的政治家、儒學者以及文學家,亦通漢文。他輔佐黎利成功脱離中國明朝的統治,使越南取得再度獨立,是後黎朝的主要開國功臣。

 

王三春

民国土匪・王三春(本名:王汝仁, 1884-1939)のY染色体は、ハプログループD1a1(D-M15)である(注1)。王三春は、四川省巴中(現 平昌)の出身。

 

注1)『民国土匪 王三春:D1(D-M15)』(2014.12.10)

 

ベトナム人男性

ベトナム人男性のY染色体を調査したところ、ハプログループD1a1(D-M15)が4.17%検出された(注1)。

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picture from Wikipedia

注1)"Taiwan Y-chromosomal DNA variation and its relationship with Island Southeast Asia."(2014.6.26)

 

台湾人男性

台湾人男性のY染色体を調査したところ、ハプログループD1a1(D-M15)が0.28%検出された(注1)。

taiwan.jpg

picture from Wikipedia

注1)"Taiwan Y-chromosomal DNA variation and its relationship with Island Southeast Asia."(2014.6.26)

 

Y染色体ハプログループD1a1a1a1a2系統(Yap+) 【日本固有種】

大阪人男性

大阪人男性のY染色体を調査したところ、ハプログループD1a1a1a1a2(D-F729, subclade-Z43928, BY15199)が検出された(注1)。

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注1)Family Tree DNA "Y-DNA D Haplogroup"(Kit Number:N200584, Inoue)

 

Y染色体ハプログループD1a1a2系統(Yap+) 【ラオス少数民族・カナダ原住民系】

カナディアン・インディアンの男性

バンクーバー近郊に住む、カナディアン・インディアンの男性のY染色体は、ハプログループD1a1a2(D-F1070, subclade-BY12738)である(注1)(注2)。この結果により、このカナディアン・インディアンとラオスのモン族とは約9,200年前に共通祖先から分岐したことが明らかとなった。

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 (カナディアン・インディアンの男性)

注1)FTDNA"Y-DNA D Haplogroup Project"(Kit Number:N131537, Adams)

注2)『カナダの原住民から「D-F1070」が検出される』(2015.5.29)

モン族

苗(ミャオ)族のうちラオスに住むモン族(Hmong)のY染色体は、ハプログループD1a1a2a1(D-F941)が多数である。これは、モン族(Hmong)の男性複数名から得られたデータに基づく(注1)(注2)。

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       (モン族の男性)                   (モン族の子供)

注1)The Genographic Project 2.0 "OUR STORY"

注2)"Y-SNP calls for Kostenki 14"

 


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