登録日:2011/03/18(金) 22:42:31
更新日:2023/08/07 Mon 15:23:15NEW!
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拳銃 銃器 銃 プラスチック ポリマーフレーム おもちゃ?←いいえ、実銃です five-seven cz75 vp70 グロック usp aug tmp pp-2000 銃器用語解説 狙撃銃 突撃銃 機関銃 やはり銃は鉄と木に限る
誕生当初は鉄と木が素材だった銃も、発射機構や形状の技術革新と共に材質も変わってきました。近年ではアルミ合金、ステンレス製のものもあります。
ここでは近年、注目されている「ポリマーフレーム」と「ポリマー素材」についてお話しましょう。
○そもそもポリマーって?
合成樹脂、所謂プラスチックのこと。これで製造されたフレームの事を「ポリマーフレーム」という。
ポリマーとは正確には『重合体』あるいは『高分子化合物』の事を指す(日本だと某タツノコプロのヒーローの事も指すが)。
が、銃器の世界では強化プラスチックやナイロン素材を指していると思っていい。
合成樹脂に対して天然樹脂がある。ロジン(野球の投手がぱふぱふする白いあれ)や天然ゴム、アスファルトが代表的である。
「ポリマー素材を使った=ポリマーフレームの銃」では無いので間違えないように。
○銃とポリマーの歴史
銃火器は強度を必要とする工業製品ではあるが、実際にはグリップパネルやマガジン等、それほど強度を必要としない部品も少なくない。(例えば古い銃でもP-38のグリップパネルなどはベークライト製である)
また一方でプラスチックも技術の向上により耐久性を増した、発砲時の熱や衝撃に耐えうる素材(エンジニアリングプラスチック等々)も発明、発見され始めていた。
拳銃で初めて一体成型のポリマーフレームを取り入れたのはH&K社のVP70である。だが、銃自体の性能面での問題や特殊な性格の為一般には受け入れられず、商業的には奮わなかった。
ポリマーフレーム拳銃初の成功作としてはオーストリアのグロック社が初めて開発した拳銃、グロック17が知られている。軍・現場の要望を生かし、枯れた技術を組み合わせ作られた本銃の成功で、ポリマー素材は一躍注目を浴びることとなる。
よく「ポリマーフレーム拳銃はグロック17が元祖」という人がいるが、
元祖はVP70である
元祖はVP70である
大事な事なので二度(ry
まあ拳銃に限らずライフルなども含めればもっと前からあるのは内緒だ。
○利点と欠点
利点
- 金属と比べて加工の際に大きなエネルギーを必要としない(簡単だとは言っていない)
- 金型を使えば複雑な形状でも大量生産がしやすい(コストダウン)
- 金属と比べて軽い
- 熱伝導性が低く、射手が火傷や凍傷にならない
- 樹脂に着色すればカラフル銃も可能(砂漠迷彩、森林迷彩、黄金銃とか。塗装ではないので剥げない)
- 悪環境でも劣化しにくい。鉄の様に錆びて朽ちたり、木材の様に腐ったりしない
- 撃った時に微妙に変形してくれるので、リコイルがマイルドに感じる。
欠点
- 生産/加工にある程度の工業力(技術力・資金・設備)を要するため、新規開発やライセンス生産のハードルが高い*1。
- 原材料として石油が必要
- 金属に比べて剛性が低く、強度を確保するために大型化してしまいやすい*2。
- 化成品のため、必要な条件を満たす樹脂の配合を開発するのが難しい*3
- 短期的な劣化は起こりにくいが、歴史が浅いため数十年~百年単位での経年劣化については未知数。同様の理由で、想定外の問題が発生する可能性がある*4。
○現在では……
メリットの認知に伴い各国各社から次々とポリマーフレームやポリマー素材を使用した銃が開発・生産されている。
グロック17の成功を受けてH&K社も再び開発に着手し、USPを発表している。
突撃銃ではAUGが成功を収め、ポリマー素材を用いたものも現れている。さらには、フレームやレシーバーのみの使用だったポリマー素材をハンマーや機関部にもポリマー素材を用いたG36も発表されており、ポリマーフレームは今も進化し続けている。
H&K社はポリマーが大好きな様で多くのモデルを出している。
今のところ、拳銃や突撃銃など比較的小型な銃器に使用される傾向が多い。強度が必要な対物ライフルや重機関銃など大型の銃器は金属が主流である。
○主なポリマーフレームの銃
グロック17
VP70・USP・MK23
ワルサー P99
FN Five-seveN
CZE Cz75(一部モデル)
シュタイアーM-A1
SIGSAUER Pro
ベレッタ9000s
ベレッタ Px4
ルガー LCR(リボルバー)
○主なポリマー素材を使用している銃
シュタイアー TMP
シュタイアー AUG
FN P90
H&K G36
H&K UMP
KBP PP-2000
(プラスチックを多用し~、等と書かれるもの)
〇余談
- 「プラスチックだから金属探知機に引っかからない」と言われているが、機関部はもちろん、弾薬も金属なので真っ赤な嘘。尤もX線検査では形が映り難い(内部構造だけが映るのでただの針金細工か何かと勘違いし易く短時間で多数の荷物を検査しなければならない搭乗手荷物検査などでこれを「銃である」と即時判断するには無理が有る)という事で、グロック社はマイナスイメージ払拭の為、フレームに金属粉を混入させ拳銃の形がハッキリ映る様にしている。
- 「銃ってのは手にグッとくる金属の重さが堪らないんだ」というユーザーもいるのでむやみに「ポリマー最高、金属クソ」とか言わないように。デザートイーグルで撃たれても知りませんよ。
- 国内トイガン製作会社としては作る上でかなり助かる要素と言える。日本の法律では、フルメタルのハンドガンだと例えトイガンであろうとお縄を頂戴する羽目になる。これを回避するためには銃身に詰め物etc…を行い、表面を金色にした無可動銃にしなければならず、スライドだけを交換したハーフメタルですらグレーゾーン*5。しかしポリマーフレームの銃をラインナップするならそもそも実銃からしてプラスチック製なのである。「感触が本物と似てればなぁ」なユーザーも納得のブツが手に入るのだ。
その一方で、トイガンの設計段階では従来とは異なる部分が出てくる。本物もトイガン同様に外装を射出成型で作っているという話になるため、パーティングラインやゲート跡といった「射出成型の痕跡」が邪魔者から一転、本物らしさを表現する重要な手段に変貌することとなる。よって、ポリマーフレームの銃のトイガン化に際しては金型分割やランナー配置を可能な限り本物に似せ、リアルなパーティングラインやゲート跡の再現に努める必要が出てくる。実際にTMP・SPPシリーズ(KSC)やグロック19(東京マルイ)等、宣伝文句でパーティングラインのリアルさを謳った例がいくつか存在する。
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- ポリマー多用した実銃は表面加工とかトイガン以上におもちゃっぽくなって実銃持つと拍子抜けする -- 名無しさん (2014-01-21 00:38:10)
- 某破裏拳なんたらは・・・関係ないわなw -- 名無しさん (2016-04-07 06:41:44)
- 最近は3Dプリンターで出力できる銃なんてのも出てきたよね。本筋とは逸れてる気がするけど。 -- 名無しさん (2016-12-31 20:35:13)
- ↑ ハンドメイドで作っていた時代が石器時代同然になってきたな... -- 名無しさん (2020-08-09 02:40:51)
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*2 加えて、フレームにマウントレールが刻まれているモデルでは、オプションパーツを固定するためにネジを締めたら形が歪んでしまったという事例がある
*3 故に高性能な樹脂は高価なことが多く、安価という利点を潰してしまいやすい
*4 実際、グロック17の最初期の個体などは発売から30年以上が経過して劣化してきているとか、G36の樹脂部品が高熱で歪むとか、少なからず問題が報告されている(いずれも製造元は設計上の欠陥ではないとしており、裁判で勝訴したものもある)
*5 ハイキャパシリーズ(東京マルイ)やSTIシリーズ(KSC)、SVインフィニティシリーズ(ウエスタンアームズ)といった所謂「2011系ガバメントクローン」は、一見すると工場出荷状態で「フレームだけ金属のハーフメタル」であるかのように見える。しかし、これらは引金やハンマースプリング、シアスプリングといった引金・撃発機構の重要箇所をグリップで保持する構造上、金属フレームのみでは機関部を構成できないためハーフメタルには該当せず、金属製グリップを装着しない限りシロとなる。
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