登録日:2021/08/13 (金) 22:29:39
更新日:2024/06/03 Mon 13:35:34NEW!
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SF TRPG まずは駒を作ろうか ウォーハンマー スペースオペラ ダークファンタジー ハイファンタジー
見知らぬ者たちよ。私たちはタウの名において、あなた方を歓迎します。
もしあなた方がこれを読んでいるならば、あなた方は私たちが遣わした伝令ドローンに遭遇しているはず。また、それ故あなた方は、宇宙航行技術を有した種族の一つに相違ないでしょう。あなた方は間もなく、タウの存在を証明する様々な物事に遭遇することになりますが、何も心配する必要はありません。
もしもあなた方が、私たちの艦艇の一隻、または私たちの前哨基地のひとつと遭遇を果たすことがあれば、どうかその出会いを歓迎していただきたいのです。私たちは誠実なる友人として、あなた方をお迎えする用意があります。私たちは五つのカーストによって形作られた一つの民であり、この宇宙に新たな、より善き道をもたらさんとする壮大な夢によって固く結ばれ、一致団結して〈大善大同〉のために働き続けています。
私たちがあなた方に望むのは、私たちの文化と技術を共有し、そしてともにタウ・エンパイアの守り手となる運命を受け入れることです。賢明なる者とは、変化を受け入れることを学ぶ者です。
私たちの運命を信じてください
696.M41(西暦40696年)においてコース星系で発見された異種族の無人探査装置からの翻訳文
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire) P40,P41イラストより
タウ・エンパイアとは、ウォーハンマー40Kに登場する正義の異種族国家である。狂信的で退廃的な〈人類の帝国〉とは異なり、進歩的でかつ、進んだ文明と高度な科学技術を有している。
彼らはこの暗黒の遠未来を生き残るため、タウ・エンパイアの国民は素晴らしき教えである〈大善大同〉と呼ばれる理念を持つ。これは多数にとっての利益は、個人の利益に勝るという理念であり、一人一人が大儀のために一致団結をして奉仕するというとても先進的な理念なのだ。
そして、彼らの持つ先進的な兵器の数々は、どこぞの〈帝国〉製のお粗末な武器とは違う。例えば不安定でかつ爆発の危険性があり、偽善的な自己犠牲精神が求められる〈帝国〉製のプラズマウェポンも、タウ製のものであれば安全でかつ高性能な品質を誇る。
また、〈帝国〉を支える機械はAIが禁止されているため、コンピュータの代わりに人間の脳や頭をコンピューター代わりにして生体パーツとして扱っている。そんな残虐非道極まりない〈帝国〉とは異なり、タウ・エンパイアはAIを積極的に活用している。
例えば、各種ドローンはコンピューターによるAI制御が行われており、人命を粗末にかつ残虐に扱うようなことは絶対にしないのだ。
今、タウ・エンパイアには様々な異種族(ゼノ)が我々が掲げる〈大善大同〉に賛同している。中には〈帝国〉から亡命した人間族も我々の仲間として受け入れている。
是非君たちも〈帝国〉の欺瞞と軋轢に対抗し、共にこの素晴らしき〈大善大同〉に参加しよう!
さぁ君も〈帝国〉の圧政から解放され、我らタウ・エンパイアの〈大善大同〉に賛同し、その素晴らしさを追記・修正しよう!!
大善大同のために!!
(C) Copyright Games Workshop Limited 2021. GW, Games Workshop, Citadel, White Dwarf, Tau, the Tau caste designations, 40K, Warhammer, Warhammer 40,000, the ‘Aquila’ Double-headed Eagle logo, Warhammer Age of Sigmar, Battletome, Stormcast Eternals, and all associated logos, illustrations, images, names, creatures, races, vehicles, locations, weapons, characters, and the distinctive likenesses thereof, are either (R) or TM, and/or (c) Games Workshop Limited, variably registered around the world. All Rights Reserved.
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▷ コメント欄
- 素晴らしい!暗黒の遠未来にこんな進んだ文明があったなんて! -- 名無しさん (2021-03-04 21:08:35)
- 俺ちょっと大善大同に賛同するわ。 -- 名無しさん (2021-03-04 21:09:02)
- やっぱ人類の帝国はクソ。はっきりわかんだね。 -- 名無しさん (2021-03-04 21:09:02)
- タウ・エンパイア最高!転向してよかったわ。みんなも大善大同のために戦おう! -- 名無しさん (2021-03-04 21:09:02)
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“大善大同の理想のために!”
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire) P40,P41イラストより
▽目次
タウ・エンパイアとは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族(宇宙人)の帝国のことである。銀河の東端に位置する「東部辺境宙域」にその国家は存在し、年々その版図と影響力を拡大させている。
異種族であるタウ族は、身体能力は人間よりも低いものの、高い技術力と私情を挟まぬ一致団結の精神を持つ。軍事面では優れた技術力の結晶である戦闘用ロボットスーツ「バトルスーツ」を主力とし、戦場に論理的でかつ圧倒的な戦術と戦力で敵を撃破する。
そして彼らは、〈大善大同〉(たいぜんたいどう)と呼ばれる理念を掲げ、第41千年紀の戦乱渦巻く銀河に新たな道を示そうとしているのだ。
なお〈人類の帝国〉の惑星に対しては、先程のようなプロパガンダを流布してタウ・エンパイアへの同化を促すような情報戦を仕掛けてくることもあるので、ここの記事を見ている読者は要注意だ!
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P18 イラストより
概要
我らの征服は必然であり、我らの台頭は時間の問題である。賢明なる者らは我らのもたらす運命を受け入れるであろう。
至高導師 アゥン=ヴァ
第41千年紀の戦乱渦巻く銀河に、己が版図を築かんと果敢に挑む新異種族、その名はタウ。彼らはこの荒々しき無秩序によって支配された銀河に、新たな道を示そうとしている。
既に無数の種族がタウの示す大義に従っており、目下それに抵抗している種族に対しても、タウの偉大なる恩恵はまざまざと見せつけられている。〈大善大同〉の名で知られる彼らの大義は、あらゆる“個”の我欲を捨て去り“公”のために一致団結し、日の出の勢いで成長を続けるタウ・エンパイアに貢献する事を要求する。
タウは、自分たちのテクノロジーで征服できない敵などおらず、克服できない問題などないと信じている。〈大善大同〉のために必要とあらば、彼らは恒星ですらも動かして見せるだろう。
【新興国家タウ】
無明の闇に突如生まれし太陽の如く、タウ・エンパイアの燦然たる威光は、今や遥か彼方にまで力強く放たれつつある。タウは極めて活動的な種族であり、大いなる志の元で一致団結し、この銀河でも他に類を見ない急激な速度で高度な技術を発展させてきた。
かつて彼らは夜空を見上げ、そこに瞬く星々に何があるのかという夢に思いを馳せた。今日、彼らは夜空を見上げ、そこに瞬く星々が、ことごとくタウ・エンパイアの版図である事実に思いを致している。
急速な版図拡張にあって、タウ・エンパイアは荒涼たる星々に発展をもたらした。彼らの知りえるテクノロジーを総動員して、タウは新たな入植惑星の大気を浄化し、生命体が活動しやすい環境と、文明が発展しうる素地を整えていったのだ。
かつては宇宙の虚無でしかなかった場所に建造された無数の人口惑星と衛星軌道ステーション、そしてシグナル中継装置の網が、タウの星間航行を確かなものとしている。老いたる他種族からは、しばしば「成り上り者」、「半人前」と揶揄されるタウだが、彼らは自分たちの進歩と発展が必然であると確信して疑わない。
新たな種族が古き種族よりも勢いがある流れは宇宙の真理である、と彼らは言う。老いた太陽は、渦巻く星雲より新たに生まれた太陽に取って代わられるのだ。
そして、老いた太陽ははガスで膨れ上がった体を持て余す冷たき巨星となるか、超新星爆発を遂げて四散するかのどちらでしかないと。国家の命運もまたそのどちらかでしかないのだ。
【一目瞭然たる運命】
タウは、自分たちが銀河を支配する運命にあり、今こそそれを実行する時であると信じて疑わない。彼らは自らの文化や科学技術が優れていることを深く認識しており、「タウこそが、退化の道を歩む暗く荒れ果てた銀河に、賢明なる理念をもたらせる唯一の希望である」と認識しているのだ。
彼らのテクノロジーは比類なき発展を遂げており、タウの科学者に解決できない問題や、タウの戦士たちに倒せない敵は存在しないと自負している。他種族もタウの実力を認めざるを得なくなるだろう。
やがては星々すらも、〈大善大同〉の理想の元に造り替えられてゆくのだ。
【無慈悲なる大攻勢】
タウ・エンパイアは発展の一途をたどり、その版図をさらに拡大し続けている。タウが継続的に支配領域を拡張し続けるということは、他種族によって既に占領されている領域へと進出し続ける事を意味する。
こういった場所でタウが遭遇するのは、無知と敵対心だ。しかし、これらが彼らの目的の妨げになる事はない。しいて言うならば、いかなる異種族との衝突もタウ全体の意思をさらに強固なものにし、彼らの目的をさらに明確なものにするからだ。
【タウの同化政策】
タウは発見したあらゆる惑星や領土を吸収し、そこで遭遇した全ての他種族をタウ・エンパイアに同化させようとするが、それは強引なやり方で征服するのではなく、巧みな誘引という手段によって実行されるからだ。タウは外交手段に秀でており、タウ・エンパイアに黙従する者たちに対しては大きな見返りを与える。
また外交面において、タウは忍耐強いことでも知られており、他種族の惑星を自らの領域へと完全に組み込むまで、その過程に何年、何十年とかかったとしても、彼らはその労力を惜しまない。しばしば、タウによる支配体制はあまりにも巧妙に現住種族の心に植え付けられてゆくため、現住種族たちは、それがあたかも自分たちの意思によるものであると錯覚してしまうことすらあるという。
しかし、他種族がひとたび抵抗を示すと、タウの姿勢はにわかに攻撃的なものへと変わる。タウによって交渉が満足のゆくように進まない場合、話し合いによる解決は即座に軍事的解決へと取って代わられるのだ。
【タウの技術力】
タウの軍勢は、研ぎ澄まされた死の武器と呼ぶにふさわしい切れ味を誇る。タウの戦士階級は生まれつきの戦士達であり、どの兵士も最先端の技術をふんだんに取り入れた武器を携え、〈大善大同〉のために尽力している。
またタウの精兵は、凄まじい火力を誇る兵装システムを数多く搭載したロボット兵器「バトルスーツ」を着装している。機動力に優れる機械化歩兵(兵員輸送車両を伴う歩兵)と反重力戦闘車両が組み合わされたタウの地上軍が強力な協調行動を見せる一方で、上空はタウの航空戦力が制空権を支配するのだ。
タウの指令たちは戦略に長けており、兵法に精通している。これまでのところ、タウ・エンパイアの拡大はほぼ停滞することなく進んでおり、その勢いが完全に阻止されたことは一度もないという。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire) P27イラストより
ゲーム上の特徴
基本戦術は徹底的に射撃戦や機動戦を行う形となる。射撃戦はかなり強いが、その代わり近接はかなり弱い。
更にサイカー(超能力者)がいないのでサイキックにも対抗できない。同盟関係にある異種族のユニットで弱点をある程度は補える。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P3 写真より
大善大同
異質なる者と共存すること・・。それこそ、我らタウの望みなり。〈大善大同〉の理想を分かち合う先に、我らが歩むべき本当の未来がある。〈大善大同〉のうちにこそ、我らの希望と、我らが果たすべき大義があるのだ。
導師 アゥン=エル・タウ・タム=イア
【概要】
タウ・エンパイアの精神的な柱を成すものとなっているのが、タウ語で「タウ=ヴァ」、すなわち「大善大同」(たいぜんたいどう)の思想である。これは「多数(社会)」にとっての利益は、「少数(個人)」にとっての利益に勝るものであるを意味するのだ。
個人的な利益の追求は二の次にして、〈大善大同〉のために奉仕する事こそがタウにとって最も重要であり、彼らはこの重要な理念を決して軽んじる事はない。全ての者が一致団結する事によってのみ、社会全体がより良い方向へと発展する、と考えているからである。
しかし、この教えは決して理念に反する他種族に対して寛容であることを意味しない。〈大善大同〉の理念に反する者に対しては、情け容赦ないレーザーの嵐が降り注ぐことになるだろう。
【〈フィオトーンの2人の導師〉】
この教えは、かつてのタウの暗黒時代の伝説〈フィオトーンの2人の導師〉を起源とする。M37(第37千年紀)末、タウはまだ宇宙に進出していない中世時代の文明社会であり、惑星「タウ」内は戦争と疫病によって今や種族は風前の灯火であった。
そんな中、フィオトーンと呼ばれる城町は、平原の氏族と空の氏族による連合軍の包囲下にあった。交渉を試みようとしても失敗し、もはや城町が陥落するのは時間の問題であった。
ある日の夜、フィオトーンの指導者たちは奇跡を願い誰一人としてそれを信じようとしなかったが、この時奇跡が舞い降りたのである。その夜、奇妙な姿をした一人のタウが、城町を包囲している連合軍の野営地へと現れた。
その人物はたった一言、「将軍に合わせてほしい」と頼み、野営地へと案内された。それと時を同じくして、フィオトーンの防壁内でも同じような人物が現れて「この城町の主に合わせてほしい」と頼まれ、その者を城町の指導者の元へと案内した。
城町の門が全て開け放たれたのは、それから一時間もしないうちのことである。そこには篝火に照らし出された敵の野営地を訪れる事を決意したフィオトーンの主と、彼を導く謎の人物の姿があった。
そして、彼らの前には連合軍の将軍ともう一人の謎の人物が立っていた。そして二人の謎の人物は「導師」(エセリアル)だと名乗り、城町の主と連合軍の将軍に座るよう促した。
導師は対立する二人の指導者に対して語り始めた。「各氏族が持つ能力や技術は独特なものであり、それらの力は正しく導かれ、役立てねばならない。各氏族が争いを止め、一致団結して力を合わせる事によってのみ、〈大善大同〉は成し遂げることが出来るのだ」と。
そして、朝日が地平を明かす染め上げるころ、遂に長年の宿敵たちは和解したのである。フィオトーンは始まりに過ぎず、惑星タウ内で新たな導師が次々と現れ、各地で〈大善大同〉の思想と平和が広まったのである。
この結果、各地の戦火はやがて収まって暗黒時代は幕を閉じ、タウはかつてない繁栄の時代を迎えることとなった。全ての氏族が力を合わせる事を誓ったあの日以来、全てのタウはいずれかのカーストに属し、さらなる〈大善大同〉を成し遂げるために種族が一致団結することになったのだ。
【タ=リッセラの儀式】
多くのタウは、他者との間に“血の契り”と呼ばれる契約を結ぶことによる集団を形作る。これは血生臭く厳格な儀式であり、タウ語では「タ=リッセラ」(契りの小太刀の儀式)と呼ばれる。
こうして契りを結び、〈大善大同〉の盟友となった者たちは、たとえどんな犠牲も払うことになろうともお互いを助け合うことを宣誓するのだ。この誓いは厳格であり、友を守るためならば、自らの命を投げ出す者もいる。
契りを交わしていない者は、契りを交わした者にたいして畏怖の念をもって見ており、彼らを究極の〈大善大同〉の奉仕者として敬意を表している。この儀式はタウ社会のあらゆる分野で行われているが、最も頻繁に行われているのはタウ・エンパイアの軍事組織である「ファイアウォリアー」であり、班友の間で堅き結束がなされている。
また、ファイアウォリアーは契りを交わしたチームのメンバーは、しばしば儀式用の小太刀を携行する。「バトルスーツ」を操縦するパイロットは、バトルスーツの機体に様式化された小太刀をペイントする。
この高潔なる儀式はタウ・エンパイアを前進させる原動力となっている。この象徴的儀式があるからこそ彼らは、“個”をより大きな社会集団や理想のために捧げることが出来るのだ。
種族の歴史
我々と同胞の間には、まるで網の目のごとく、様々な縁(えにし)が結ばれておる。因果応報の“理”を知っているな。我々のなす大儀は、必ず我々の栄光となって還ってくるのだ。我々がなさなければならぬことは一つ。〈大善大同〉を押し進めることだ。我々は、もう二度と恐怖の“モン=タウ”に戻ってはならぬのだ。
火のカーストの司令 シャス=ウォ・ヴィオルラ・カイス
画像出典:エキスパンション「Cities of Death」表紙イラストより
【概要】
タウ社会には「無明の暗黒より光は生まれ来たらん」という格言がある。彼ら独自のこの言い回しには「惑星タウに特有の突然で劇的な日の出」、「エセリアルの降臨にまつわる伝説」、そして「今なお銀河の暗闇へと広がり続ける、活力に満ちた天球拡張の波」という意味が同時に含まれているという。
銀河の「東部辺境宙域」(イースタンフリンジ)付近に存在する小さな惑星「タウ」。緑に乏しく、浅い海が存在するこの乾燥惑星には、獲物が豊富なサバンナと広大な平原に覆われた巨大な大陸が存在し、岩が散らばる砂漠地帯がこれらを分断するように横たわっている。
黎明期
【惑星タウの発見】
〈人類の帝国〉が初めてタウと接触したのは、789.M35(西暦34789年)のことである。この年、「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)の探査船「ランズヴィジョン」が、タウ族の母星である惑星「タウ」を発見し、調査が行われた。
初期調査によって、この惑星は森もわずかしかなく、陸地も大半が乾燥地帯であり、その一方で陸にも海にも生物があふれていることが判明する。初めてこの星を調べた帝国技術局の第一次調査チームは、「サバンナに住む異種族はすでに原始的な武器を使う段階に達しており、火を利用することも知っている。だが、種族としての価値は皆無であり、この異種族を存続させても、〈帝国〉の発展にはつながらない。」との調査報告をまとめた。
この報告に従い、通例通り「原住生物を完全浄化後に入植開始」という決定が下され、〈帝国〉の植民船団が送り出されたのである。しかし、航海の途中、船団は突如として発生した巨大な〈歪みの嵐〉(ワープストーム)に呑み込まれ、優秀な航海士と船長が揃っていたにもかかわらず、あえなくすべての船が消息を絶ってしまった。
その後も惑星タウの付近で発生した〈歪みの嵐〉は消えず、いつまでも当該宙域に留まり、その猛威を振るい続けたのである。この怪現象を前にして人々は、「あれは呪われた星だったのだ」と囁き合った。
真実はどうであれ、じきに〈帝国〉は他の物事に関心を寄せることになった。〈歪みの嵐〉の向こうにある惑星タウよりも、もっと差し迫った問題に対応しなければなかったからである。
当初、〈人類の帝国〉は、聖教会首座と第361代帝国行政局至高卿を兼任する「コージ・ヴァンダイア」によって〈血の軛〉と呼ばれる圧政の暗黒時代が訪れていたのだ。運命のいたずらか、惑星タウ周辺で吹き荒れた〈歪みの嵐〉はその後も長きに渡って猛威を振るい、惑星タウを守り続けた。
〈歪みの嵐〉が吹き荒れる間、原始的なタウの文明は〈帝国〉の脅威になりうるほどのレベルまでに発展していくのである。
【石器時代】
タウ星人の黎明期、彼らはこれらの平原で狩人として生活を営んでいた。部族が大きくなるにつれ、彼らは獲物の大移動を追いかけるようになり、自然災害を避け、そして高まる対立関係を避けながら、様々な土地へと広がっていった。
やがて数世紀が過ぎるにつれ、惑星全土に散らばっていったタウの各集団は独自の進化を始め、選択した住環境に適応するように各々の才能を開花させていった。外界から隔絶された山頂を住処としたタウの支族は、薄い膜の翼を用い、暑い平原から上昇気流に乗って空高く舞い上がる技を身に着け、使者や斥候としてタウの他支族から重宝されるようになった。
また川は流れる谷間へと移住した支族は、農耕のための施設を備えた共同体を形作った。彼らはここから冶金学、道具作り、水耕技術などを発達させてゆき、ついにはタウ史上初の大規模な集落を築く。
また特産物が集落ごとに違うことに気づいた者たちは、離れた場所に住む者たちの仲介役となり、それぞれの技術を取引し、価値を立たしく評価する事を生業とする支族となった。平原に残ったタウの支族は、よりたくましくなり、狩人としての技と勇猛さに磨きをかけてゆく。欲しいものは必ず手に入れる。
そのために、名誉ある戦いがあればなおよい・・。それが平原の戦士たちの信条であった。
【さらなる進化】
石器時代を経て社会が発展し、進化してゆく・・。そのような話はこの銀河中に掃いて捨てるほど存在する。
タウが抜きん出ていたのは、ある段階から次の段階へと文明が移行する、その発展の速さにあった。タウが史上初の集落を築いてからその数世代後には、これらのタウは空を飛ぶ支族と手を組んだ平原の支族から襲撃を受けるようになり、彼らは都市を守るために要塞を築き、黒色火薬を使用した武器で武装するようになったのである。
通商路が分断される中、支族間での同盟締結を阻止すべく、部族同士の仲介役を買っていた支族が襲われるという事件が相次いだ。間もなくして、惑星で最も大きな大陸で、大規模な戦争が勃発した。
タウ同士が原始的な銃器を使い、激しい戦いが繰り広げたのである。この戦争は何年も続き、各陣営から何千人もの犠牲者が出てもなお、一向に終わる気配はなかった。
また、この戦争による生活環境の悪化、そして新鮮な食料と水の不足は、大陸全土で伝染病の大流行を引き起こした。これにより、戦争の犠牲者を上回る数のタウが病によって命を落とすことになったのだ。
だが、その後も戦争の勢いは衰えず、戦いは泥沼の殺し合いへと発展させてゆく。もはや、タウという種族が自らの野蛮さゆえに自滅する事は、避けられない情勢となりつつあった。
【エセリアルの到来】
恐怖の「モン=タウ」の時代、戦争と疫病によってタウ族はもはや風前の灯火であった。第37千年紀末(西暦36000年代末)には、夜空に明滅する光が浮かんでいるのを見たとか、現れては消える人影を山中で見たなど、奇妙な予兆が相次ぐようになる。
多くの者は、これらは終末の日が近付いていることの徴であり、滅亡は目前と考えたようだ。しかし、かかる末法の世にあって、滅びを逃れる方法を説く先導者たちが現れたのである。
それが〈フィオトーンの2人の導師〉と呼ばれし伝説に語られている中で最も偉大な存在である。
伝説の舞台となったのは、山中の平地に築かれた、7千人近いタウが住む巨大な城町、フィオトーンであった。当時、この城町は、平原の支族と空の支族の連合軍に包囲されていた。
交渉を生業とする支族の者たちは、必死に平原の支族を説得していようとしたが、その努力はむなしい結果で終わってしまう。平原の支族は血気にたぎり、ひとたび銃口を向けた都市は、何があろうと攻め滅ぼす気でいたからである。
5つの季節が巡ってもなお、フィオトーンの大砲は敵を撃退し続けていた。しかし、防壁の内側では食料が底をつきかけており、多くの者が病で倒れつつあった。
血で血を洗う戦闘の日々が続くそんなある日の夜、フィオトーンの指導者たちは奇蹟の到来を祈った。もちろん彼らとて、そんな願いが叶うと本気で思っていたわけではない。
しかし、その夜奇蹟が舞い降りた。その夜、闇の中から奇妙な姿をした一人のタウが城町を包囲した連合軍の野営地へと現れ、その人物はただ一言「将軍に会わせてほしい」と見張りに頼んだという。
その口調はあくまでも静かだったが、声には抗いがたい威厳が籠っていた。彼に話しかけられた戦士たちは、何か大きな力に突き動かされたようにして、その人物を将軍の元へと案内した。
それと同時期に、フィオトーンの防壁内でも同じような人物が番兵の前に現れていた。その人物はどうやって防壁を超えたのかは語らず、「この城町の主に合わせてほしい」と番兵に頼み、彼は城町の主との面会を許された。
フィオトーンの城町の門が全て開け放たれたのは、それから1時間もしないうちのことである。そこには篝火に照らし出された敵の野営地を訪れる事を決意した城町の主と、彼を導くようにたたずむ、謎の人物の姿があった。
だが、彼らが敵の野営地まで足を運ぶ必要はなく、門前には、連合軍の将軍がすでに立っていたからである。将軍の隣には、城町の主と一緒にいる者のうり二つの人物が立っていた。
2人の謎めいた人物は、自分たちは「導師」(エセリアル)だと名乗り、城町の主と将軍に座るように促したそうだ。白々と輝く清らかな月の下で、導師2人は語り始めた。それぞれの支族が持つ力はたがいにとって大きな利益になる事。
戦いをやめ、力を合わせれば、より善き事を成し遂げられること。これら〈大善大同〉の思想を彼らは夜通し語り続けたという。
2人の言葉には力が満ち溢れていた。そして朝日が地平を赤く染め上げる頃、遂に長年の宿敵は和解を遂げたのだ。
【カースト制度の誕生】
フィオトーンは始まりに過ぎなかった。やがて、新たな導師たちが次々と惑星タウの各地に現れ、彼らの説く〈大善大同〉の思想を惑星全土に広めていったのだ。
この新たな思想はタウの間で急激に浸透してゆき、それに伴って戦争は集結へと向かい、タウはかつてない繁栄の時代を迎えることとなった。主大陸には立派な街や都市が次々に築かれ、通商路は復旧し、翼を持つタウは知らせを携えて都市間を頻繁に行き来するようになっていった。
他のどの支族よりも頻繁に、導師たちは平原の住民たちの元を訪問した。というのも、タウの中で最も攻撃的な支族である平原の支族の戦士たちにとって、この新たな状況は受け入れ難く、さらなる説得が必要であったからだ。
しかし、他の支族たちが続々と大きく立派な居住地を築いてゆくのを目の当たりにした平原の戦士たちは、その偉大なる進歩を認めざるを得ず、最終的に導師たちの正しさを認めるに至った。これ以降、導師たちと各氏族の長老から構成される評議会によって「タウ社会はカースト制度によってまとめられ、各カーストは〈大善大同〉を成し遂げるため、夫々にふさわしい役目を果たすべし」との取り決めが成されることになった。
かくして、建築者や職人たちは「地のカースト」、情報を運ぶ使者や斥候たちは「風のカースト」、商人や行政官たちは「水のカースト」、そして平原の戦士たちは「火のカースト」として知られるようになったのだ。こうしてタウを滅びと退廃から救った導師たちは、この上ない崇敬の念を集める存在となっていった。
タウという種族の未来を予見しそれを他者に伝えることが出来る導師たちは、全てのカーストの中で最も少数でありながらも、タウ社会全体を束ねる導師階層となっていったのだ。
宇宙への進出
画像出典:TRPG「Deathwatch: Rising Tempest」P6 イラストより
【大いなる飛躍】
その後タウは、新たな発明や急激なる進化によってもたらされた前代未聞の激変期に突入した。各カーストは〈大善大同〉の理想を前進させ次なる段階へと推し進めるために絶え間ない努力を続け、それによって多くの成功がもたらされた。
冶金学、工学、エネルギー生産、武器製造などに関する新技術が次々と発明されていったのだ。毎日のように飛躍的進歩を遂げ、苦難や病気が激減すると、惑星タウの人口はすぐに人口過密問題を抱えるようになった。
これを解決に導いたのもまた、導師たちであった。彼らの命令に従い、地のカーストは試作型ロケットの製造に取り掛かり、風のカーストは操縦士としての新たな役割を担うための訓練に入った。
この発達の過程において、火のカーストだけが取り残されていった。彼らは新たな武器やテクノロジーを駆使して、タウに住まう巨大な捕食生物を絶滅させていったが、このような軍隊が必要とされることがほとんどなかったからである。
この不満が増大するのを予期していた導師たちは、火のカーストに厳しい規律に基づいた軍事訓練を重点的に取り組ませた。その指針として火のカーストの者たちに従ったのが、古の平原の狩人の部族の頃から受け継がれてきた〈火の掟〉の教えだ。
この“戦士道”の思想を中心に、火のカーストは一生涯続く訓練制度を生み出したのである。これが、今日まで受け継がれる火のカーストの伝統様式の始まりであった。
【宇宙時代の幕開け】
「タウの未来は星々の中にあり」という考えは、あらゆるカーストに強く支持されることとなった。最初の数機のロケットが惑星大気圏を無事突き抜ける事に成功すると、タウは衛星軌道上に速やかに宇宙ステーションを築き、最短距離に位置する月「ル=ヴァル」に宇宙基地を建設してゆく。
その他にも、偵察船や無人探査機、長距離スキャン装置などが宇宙のさらなる深奥へと送られていった。その結果タウは、自分たちの惑星が密集した星団の中に存在し、周囲には多くの惑星がそう遠くない距離で浮かんでいるという事実を突き止めたのだ。
そして探査データによってもたらされた情報から、これらの惑星の多くには、生命を維持しうる環境が整っているという事実を突き止めたのだ。衛星軌道上に巨大な宇宙ドックを建造することで、さらに大きな宇宙船の製造が可能となり、間もなくして、惑星タウに隣接する惑星への入植が開始された。
新たな冒険の時代の幕開けである。
【他の惑星への入植】
爆発的な勢いで支配領域を拡張し続けるタウであったが、この探索の時代の初期には、失われたものも多かった。宇宙航行を始め、これまでとは全く異なる新たな環境の中で、多くの命が失われていったからだ。
また母星から遠く離れるにつれて、タウは異星に住まう数々の野蛮な原住生物(そのほとんどはタウに危険をもたらす)と遭遇し始めたのである。遂に、厳しい訓練を積んだ火のカーストたちが自らの存在価値を証明すべき時が到来したのだ。
惑星「ドゥアノイ」では巨大な爬虫類じみた獣が生息し多くのタウ入植者を貪り喰らっていたため、火のカーストの戦士たちは迅速にこの惑星に展開し、正確無比なる一斉射撃によってこの巨大生物たちを撃退した。また獰猛なる肉食獣がはびこる砂漠惑星「サシーア」では、火のカーストがこれらの獣を狩り絶滅に追い込んだことによって、ようやく入植者たちがこの地へと降り立つことが出来るようになったのだ。
【異種族との遭遇】
これらの拡張初期において、タウは異種族との遭遇も果たした。知性を持つ異種生命体の文明を、いくつも発見したのだ。
火のカーストの戦士たちは、獰猛なる獣を絶滅させたと同時に、タウに抗う全ての異種族を滅ぼさんとする構えであった。しかし導師たちはこの遭遇を、戦争の機会ではなく、異種族を契合して彼らに光をもたらすまたとない機会であると捉えたのだ。
導師たちは、惑星タウでの戦争を終わらせ共通の目的を達成させるために支族を束ねた時と同様、異種族たちを受け入れて、彼らにも〈大善大同〉に貢献するための機会を与えるべし、と説いたのである。導師たちは、たとえその異種族がどれだけ奇妙なものであろうともこれを受け入れるよう、他のカーストを導いていった。
今だ文明化されていない未開の異種族であれ、原始的な迷信に囚われた異種族であれ、まだ自分たちの前に広がる素晴らしき運命の偉大さに気付いていないだけの異種族であれ、導師たちは全ての者を新興のタウ・エンパイアに迎え入れるべきであると述べたのだ。
【タウ・エンパイアへの統合】
これ以降、新たなる異種族と遭遇するたびに、導師たちは「タウの各カーストは指定された役割に邁進せよ」という基本政策を採用し続けた。新たな惑星にはまず、風のカーストによってスキャニングされ、その価値を判断される。
価値ありと判断された惑星に対しては、さらなる調査が重ねられた。異種族の文明が発見されると、水のカーストの大使が派遣され、長年にわたって磨き続けられた微妙なニュアンスを駆使した交渉術によって、彼らとの接触を図るという任務が与えられた。
水のカーストの大使たちは、通商協定の締結や、外敵に対する防衛戦力の提供を申し出たり、あるいは地のカーストによって生み出された高度なテクノロジーを提示するなどして巧みにい種族の関心を引き、彼らをタウ・エンパイアへと迎え入れていったのである。多腕の「スラシアン」、無脊椎動物の「クルート」、そして「ナイカッサー」など、多くの異種族に対しては丁寧なるあいさつと共に、タウ・エンパイアへの誘因が行われた。
彼らは皆、タウ・エンパイアに加わることが求められ、相互防衛や貿易、あるいは技術支援といった魅力を武器に、続々と同盟が結ばれていったのだ。原始的な異種族たちは朗々と語る水のカーストの使節を前にして速やかに服従し、それ以外の異種族たちも徐々に黙従の姿勢を見せていった。
いずれの場合も最終的な結果は同じであり、遭遇からわずか数年の間にタウは文化的主導権を握り、各異種族は〈大善大同〉を支援すべく邁進し始めたのだ。例えば、豊富な水をたたえた異種族「グリート」の母星「イスラース」の大洋上には、地のカーストによって多数の浮遊工場を建設する事を許可されたが、この見返りとしてイスラースの衛星軌道上にはタウの宇宙ステーションが築かれて防衛体制が強化されたため、グリートは外敵の脅威から守られながらより効果的に〈大善大同〉に貢献できるようになったのである。
【統合への反発】
全ての異種族が協力的であったわけではない。協力を拒否した者たちには、厳しい最後通告が送られる。
これにも応じない異種族に対しては、火のカーストによる全面攻撃が待っていた。攻撃命令が下されると、待機していたタウのファイアウォリアーたちは衛星軌道上から惑星地表へとただちに降下して一連の武器で強襲を行い、敵が反撃態勢を整える前に素早く撤退してゆくのだった。
相手に全くの反省の色が見られない場合は例外として、このような攻撃が加えられた後には通常、その異種族に対して再考の機会が与えられた。ファイアウォリアーによる攻撃によって惑星の基盤産業がマヒし、長距離通信が妨害された状況下で、異種族の大半は自分たちが分断され孤立してしまったことに気付くだろう。
遠く離れた他地域の仲間たちがタウの条件を飲んで降伏したかすらわからない、極めて不安な状態へと追い込まれるのだ。この「分断に続く征服」という戦術によって、ほとんどの反抗的な異種族が交渉の場に引き戻された。
むろん、時には大虐殺を伴う戦争が避けられない場合もあったが。人口は急激に増加していたが、タウ・エンパイアの版図拡張はそれを上回る規模で進んでいたため、火のカーストの戦士数はすでに不足し始めていた。
このため彼らが、多くの戦場で兵数面での振りを強いられたが、兵法を巧みに駆使する指令たちは「敵がどれほどの大群で自分たちを待ち受けていようとも、十分に練られた急襲を実行し、圧倒的な火力を注意深く精密に用いることで、あらゆる敵を跪かせることが出来る。」ことをすぐに学び取っていった。血みどろの殺戮を受けるか、あるいは併合の道を選んで急成長を続けるタウ・エンパイアの一員として生き残るか。
この選択肢を突き付けられた異種族は、よほど強固な意志をもって抵抗しようとする者たちでない限り、避けえない併合の運命の前に膝を折ったのだ。だが唯一オルクだけは、この明らかな例外といえる異種族であった。
【グリーンスキンたちの脅威】
''緑の肌を持つことからグリーンスキンとも呼ばれる異種族「オルク」たちは、獰猛な性質と高い繁殖力を有し、どれほど些細な問題であっても暴力によって解決しようとする特徴を持っている。''タウは最初の入植惑星である「タウ=ン」周辺の惑星において、初めてオルクと遭遇を果たした。
それから間もなくしてタウは、あらゆる点において自分たちと本質的に異なるこのオルクという異種族が、探査を行った全ての星系に散らばるように生息しているという調査報告を得たのである。高度に発達したテクノロジーを有するタウは速やかに、スキャニング装置を用いてオルクに特徴的な生息兆候を特定するための方法を確立した。
惑星や月、アステロイドベルト、その他にも生命を維持できるありとあらゆる場所において、彼らのスキャニング装置はひっきりなしに、オルク生息兆候の警告を発したのだ。タウは他の様々な異種族文明に対して成功した方法を用い、オルクを同化吸収しようとも試みたが、数多くの戦闘を繰り広げた後にようやく、この無駄な試みを断念する事にした。
この怪物に対し、交渉の余地など存在しなかったからだ。導師たち自身も最終的に、この異種族は啓蒙の見込みがない事を認め、オルクをタウ・エンパイアに迎える試みを見送るように命令を修正した。
彼らは「オルクを迎え入れない方が〈大善大同〉のためである」事を、遂に宣言したのである。この極めて厄介な異種族に遭遇した時に行うべき標準的な行動は、全力を挙げてオルクを迅速かつ徹底的に撃滅するか、あるいはこの獰猛なる異種族が生息するエリアの境界線上に警告ビーコンを設置することで安全な領域を確立するかの二者択一となった。
これらの対処方法は理にかなったものではあるが、どちらの方法も絶対確実なものではなく、グリーンスキンの行動は全く持って予測不可能であるという事実を、タウは辛い経験をもって学ぶこととなる。オルクたちは長期に渡る戦争すらも楽しむ上に、彼らを根絶する事はほぼ不可能に近い、という事実が証明されたのだ。
オルクの脅威が完全に排除されたと宣言されて久しい惑星上でさえ、再びオルクの姿が発見されることも珍しくない。またオルクの侵略艦体は、センサー群による監視を据え居ぬけて消えたかと思うと、タウ・エンパイア版図内の別領域に再び忽然と姿を現して大規模な破壊をもたらすという、極めて憂慮すべき特徴を有していたのである。
その後、長い年月を経て、タウは「怠ることのない警戒と迅速な対応こそが、オルクに対して取りうる唯一の効果的な対抗手段である」という結論に至った。
第一次天球拡張
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire)P8 イラストより
【天球拡張計画】
タウ・エンパイアの興隆は、〈天球拡張〉、すなわち三期におよぶ急激な版図拡張計画が基盤となっている。この新規コロニー獲得の大波は、まず長期間にわたる資源の蓄積から始まり、その後に絶え間ない探査団派遣の波が続く。
そして必要とあらば、これに続いて遠征軍が送り込まれ、武力による版図拡張が行われるのだ。植民惑星が安定した居住地に変わると、これらの惑星群が次なる〈天球拡張〉の足がかりとなる。
後に〈第一天球拡張〉と呼ばれる、千年にも及ぶ最初の版図拡張期が終わりを迎える頃、タウ・エンパイアは星々の間へと広まり、完全に植民が完了した星系は「家門」(セプト)と呼ばれ、その数は八個にのぼっていた。各家門はその星系の「第一惑星」(プライムワールドもしくは「家門惑星」(セプトワールド)と呼ばれる)にちなんで名付けられ、また各家門には何個でも植民惑星や月を組み込むことが許され、加えて「リスニングホスト」や「センサーフィールド」、防衛衛星、衛星軌道都市、採掘基地なども追加できる。
これら全ては、宇宙ステーションや広大なコミュニケーション網によって接続され、シグナル中継装置が主要地点同士を繋いでいる。家門が個性を確立するまでには何世代もの年月が必要となるが、こうして生まれる各家門はそれぞれ異なる独自の文化を有し、各カーストの比率や異種族の人口率なども異なっているのだ。
【星々をまたぐ問題】
いくつかの要因が組み合わさって、タウの第一次急成長期は終わりを迎えた。タウの人口は爆発的に増えてはいたが、それを上回る勢いで版図を拡大してしまったために密度が薄くなり、各カーストはより多くの人数を必要としていたことが、その最大の理由である。
中でも特に、火のカーストの戦士たちが数多く必要とされた。彼らは惑星征服のために数々の戦役を戦ってきたため、単純にそれだけの代償を支払わなければならなかったのと、未だ継続中の戦闘も存在し、それらに投入するためのさらなる兵が必要とされていたからだ。
〈第一次天球拡張〉が終了した二番目に大きな理由は、単に星系間の距離によるものであった。惑星タウの周辺にある多数の惑星に入植を果たした後、惑星間の物理的な隔たりは増大する一方であったからだ。
当時の技術力では、タウ・エンパイアの領域を全てめぐる事は一生涯かけても不可能であり、星系と星系の間に横たわる暗い宇宙空間を渡るには、何世代もの時間が必要とされた。タウが新たな宇宙航行方法を模索しなければならないことは、もはや明白であった。
【クルートとの邂逅、そして同盟】
〈第一次天球拡張〉の末期、「ダルイス家門」を出発した探査艦体は、異種族「クルート」の乗る宇宙船「ウォースフィア」がオルク艦隊から攻撃を受けているという長距離スキャニング情報を受信した。未知の異種族クルートは、かなりの劣勢に追い込まれながらも、惑星クラスにおける自らの領土を守ろうとしていたのだ。
当初タウは、その経過を観察する事だけを意図していたが、風のカーストの提督と火のカーストの司令は共に、下劣なオルクどもが勝利を得ようとする事に我慢ならず、この戦闘に引き込まれていった。優れた戦闘能力を持つ艦隊を展開したタウは、性能で劣るオルクの艦艇を次々と撃破してゆく。だが、このオルクの艦隊が実は巨大なオルク侵略軍の単なる前衛部隊に過ぎなかったことをタウ側が悟った時、彼らは既にオルクによって包囲されてしまった。
かくして戦いは長期化し、宇宙空間と惑星クラスの両方で戦闘が繰り広げられた。この戦争は後に、タウとクルートが初めて肩を並べて共に戦ったことにちなんで、「邂逅戦争」と名付けられる。
この突発的な同盟が功を奏し、サシーア星系からの増援部隊が到着するまでの間、彼らはオルクからの猛攻撃をしのぐことができ、最終的にはオルクに対して勝利を収めたのだ。クルートの勇猛ぶりに感銘を受けたタウは、オルクから攻撃を受けている他のクルートの領土を開放するために、この同盟関係を延長する事にした。
それから十年間、タウはオルクをクルートの惑星から駆逐すべく協力して戦い続け、最終的にクルートの最高指導者である「アンゴホゥル・プロク」の強い要請によって、タウは彼らの母星である「ペック」を訪れることになる。そしてクルートの指導者は、聖なる〈誓約の石〉の前でタウ・エンパイアとの同盟締結を宣言し、〈大善大同〉の実現のために戦士たちを派遣する事と、定期的に報酬を受ける事を条件にその誓約を誓ったのだ。
この誓約、そしてこの二種族間の同盟は、今日にいたるまで維持され続けている。クルートは、タウ・エンパイアのために戦う異種族義勇軍の中で、最も頻繁にその姿を目撃される種族だ。
タウは、クルート族から派遣される戦力を高く評価している。その一方で、タウは自国の洗練された文化や感性に触れさせ続ければ、いずれクルートたちも自分たちの野蛮さに気付き、“共食い行為”という悪しき風習を捨てるに違いないと期待しているという。
【とどまることを知らぬ発展】
どれほど遠方までその版図を広げようとも、惑星タウはタウ・エンパイアの精神的象徴であり続けた。遠く離れた家門出身の者たちは、その誰もが最も古きタウ家門に対して大いなる敬意を払ってきたが、祖先たちが生まれたこの母星を訪れることが出来たのは、限られた高位の者たちだけであった。
惑星タウでは、霊のカーストに属する最も古き導師たちの英知を頼り、各カーストの最高位の官吏たちが輝く大ドームの元に集う。版図拡張の命令は常に、惑星タウの至高評議会から下され、タウ・エンパイア領の隅々までに行き渡るのだ。
至高評議会において導師たちは、全てのカーストがさらなる成果に向かって邁進するよう、彼らを突き動かした。〈第一次天球拡張〉に続く半世紀の間、タウは広範囲に展開し手薄になってしまった軍を再構築し、インフラをより強固なものにし、次なる拡張のための準備に追われることとなった。
またタウ・エンパイアの版図外に虚無の湾のごとく広がる宇宙空間の先を調査するために、自動応答型の無人探査機が宇宙空間に向けて発射され、これが新しきタウのテクノロジーであるAI(人工知能)を用いる最初の機会となったのだ。水のカーストは、タウの人口不足を補うために、現在種族の移住惑星をタウ・エンパイアに組み込むための努力を倍増させた。
これは様々な方法で達成されることとなる。例えば、頑強で知能が低い「アンスラゾッド」は、小惑星での採掘作業という非常に骨の折れる作業に適している一方で、地のカーストが発明した最新型「プラズマジェネレーター」の細かい製造作業には、惑星「ブラチュラ」を母星とする指先が器用な小型甲殻類型異種族ほどの適任者はいなかった。
しかし、これらの中で最も大きな変化をタウ・エンパイアにもたらしたのは、クルートとの同盟に他ならない。というのも、理想と考えられていた方式よりもやや“傭兵的”な方式ではあったが、クルートがタウ・エンパイアに加わったことによって、ごく短期間のうちに火のカーストの群は〈大善大同〉実現のための戦いに必要とされる膨大な数の追加兵力を得たからだ。
各カーストが発展を続けていく中、地のカーストのみが設定された目標を達成することが出来ずにいた。各家門に設置された技術開発センターが熱心に研究を重ね、地のカーストは数え切れないほどの技術革新をもたらしたが、導師たちが要求した発明、すなわち宇宙船をより早く移動させるための新たな推進技術を生み出すことが出来なかったのである。
だが最終的には、「ファルシア家門」が「ZFR ホライゾン・アクセラレーター・エンジン」の開発を遂に完了させ、飛躍的進歩がもたらされた。まさに天才的偉業と呼ぶに相応しいこの強力な新メカニズムによって、タウの宇宙艦艇はほぼ光速に近いスピードを得られるようになったのだ。
第二次天球拡張
【亜光速を超えて】
いまやタウ・エンパイアは、亜光速で航行できる宇宙艦隊を手にし、さらにクルートの「カーニヴォア・スカッド」を加えることで軍の厚みを増した。これを見たタウの至高導師「アゥン=ウェイ」は、大規模な国力増給の期間がいよいよ完了したことを宣言する。
そしてタウ・エンパイア領の隅々にまでに行き渡る大号令を合図に、〈第二天球拡張〉が開始されたのだ。〈第一天球拡張〉期に生まれた植民惑星の各拠点から、さらに外側の暗い宇宙空間に向かって枝分かれするように、大規模な艦体がいくつも飛び立っていった。
母星タウが小さな光の輝きにしか見えないほど遠く離れた惑星にまで、〈大善大同〉の理想を広めるために。〈第二天球拡張〉は、〈第一天球拡張〉よりも更に劇的に展開されていった。
タウ・エンパイアの領域は拡大を続け、新たな家門をさらに増やしていったのだ。
【清流の英雄】
この時期、火のカーストから一人の偉大なる英雄が誕生した。この時代(そしておそらくタウの史上において)最も偉大なる戦略家にして軍事哲学者として讃えられた「清流たる司令」(コマンダー・ピュアタイド)である。
“清流たる司令”は戦士達を率いて迅速に勝利を積み重ね、彼が率いた征服戦役によっていくつもの星系が次々に陥落していった。「エルシエア」や「タシュヴァール」など、〈第二天球拡張〉において誕生した新たな家門の多くは、“清流たる司令”の素晴らしき戦略がなければ、存在すらしていなかっただろう。
またオルクの侵略軍を撃退し、オルクの脅威にさらされていた「アゥタール家門」を救ったのも、清流たる司令が繰り出した奇襲攻撃の賜物であった。一説によると、初めのうちオルクもといグリーンスキンらは奇襲を受けながらも戦闘を心から楽しんでいたが、回避的戦法と痛烈な打撃を織り交ぜる清流たる司令の戦略の前に戦闘の楽しみも徐々に奪われてゆき、最終的には当のオルクたちでさえも彼が率いる軍勢に対して恐れを抱くようになったと言われている。
清流たる司令が残した戦術や軍事哲学は隅々まで記録され、全ての〈火階の兵学校〉において、今日でもなお教授され続けている。
【ダモクレス湾の向こうへ】
〈第二天球拡張〉における最後の急進展は、「ダモクレス湾」の横断成功であった。銀河東部に位置するこの謎めいた一帯は、タウによるあらゆる通過の試みを長年にわたって阻止していたのだ。
この航行不可能と考えられていた宇宙空間の対岸に到達すると、タウは迅速に多くの植民地や前哨基地を築いていった。そして間もなく、銀河最大勢力の一つである〈人類の帝国〉(インペリウム・オヴ・マン)と遭遇することとなる。
タウは長期に渡る巧みな活動を経て、人類から〈極限の宙域〉(ウルティマ・セグメントゥム)の「ティンブラ星区」と呼ばれる領域において、数多くの惑星へと平和裏に浸透していった。間もなくこの領域で苛酷な戦争が勃発したが、それは今までタウが経験したことのあるどんな戦争とも異質だった。
そしてこの血で血を洗う戦争が、〈第二天球拡張〉の幕引きを告げるものとなる。
【〈帝国〉との接触】
宇宙に進出して以来、タウ・エンパイアは次々と成功を重ねていった。導師たちに導かれることで、各カーストは目の前に立ちはだかるいかなる障害をも乗り越えてゆき、タウの支配的立場を疑う者など誰も存在しなかった。
しかし、遠く離れたダモクレス湾で、タウは他に類を見ない新たな敵である〈人類の帝国〉と対峙することとなる。そしてそれに続く大規模な戦闘は、全く新たな戦争の時代の始まりを告げることとなったのだ。
タウ・エンパイアが最初に遭遇した人類は、〈人類の帝国〉の支配勢力ではなく、〈帝国〉の強大なる版図の辺境で密かに活動していた反乱分子であった。〈人類の帝国〉がこの銀河系において最大規模の支配勢力を誇る勢力であることは間違いないが、その野放図に広がった境界線の内側には、版図内の大部分が未だ未開拓の状態で残されている領域や、あるいは歴史の中で忘却され顧みられなくなった領域などが数多く存在していたのだ。
ダモクレス湾の周辺もそのような見捨てられた領域であり、タウはこの領域に浮かぶ人類の惑星を、自らの帝国の版図として組み込む余地ありとみなしたのである。
【征服への先触れ】
タウはまず、人類の傭兵隊長、宇宙海賊、また自分たちの起源や遠く離れた母星との関係をとうの昔に忘れ去り、〈帝国〉からも忘れ去られてしまった人類の入植地と接触を持った。これら最初期の接触に対して人類が見せた反応は、交易に関する有効的な交渉から、瞬時に敵意を表してくるものまで、実に多種多様なものであった。
自分たちの遭遇したこれらの人間たちが、実は想像を絶するほど巨大な星間国家である〈帝国〉から見捨てられた残存者や追放者たちであるという事実を水のカーストたちが掴むまで、いくらかの時間が必要であったとされる。これらの反乱分子の惑星に対してどのようなアプローチを取るべきかは、様々な意見が交わされた。
通常通り、各カーストの高位の者たちは導師の前で議論が行うこととなる。至高評議会のメンバーの中には「〈人類の帝国〉はあまりにも強大であり、あからさまに攻撃的な態度を示しても、勝つことの出来ぬ戦闘へとタウを導くだけである」という者もいた。
火のカーストの指導者たちは戦争を求める声を上げたが、至高導師「アゥン=ウェイ」に次ぐ権力を持つ「アゥン=ヴァ」は「水のカーストは〈帝国〉に忠誠を誓う人類の惑星へと浸透し、その惑星総督府へと巧妙に入り込むべし」との決定を下した。この結果、〈帝国〉内に存在する惑星のいくつかはタウとの通商を開始し、やがて〈帝国〉の惑星間での貿易よりも、タウとの交易を優先させるようになっていった。
異種族からもたらされる交易品の数々、特に地のカーストの技術は需要が多く、〈帝国法〉に違反していることは明らかではあったが、これらの禁制品はみるみるうちに人類の惑星の市場へと流通していったのだ。そしてついに、アゥン=ヴァが下した命令の第二段階を実行すべき時が来た。
【反逆の時】
機が熟したとみなされた人類の惑星では、“見込みある者たち”に対して、水のカーストの特命施設によって周到に準備された言葉が囁かれていった。こうして反逆の種は蒔かれ、ゆっくりとこれが育てられると、果実が一つまた一つと実ってゆき、最終的には惑星総督たち自らが〈帝国〉の暴虐的支配に対抗するための反乱戦争の開始を宣言するに至ったのだ。
この謀叛に対して〈帝国〉側からの返報がもたらされたのは、かなり時間がたってからである。しかし遂にそれが到着すると、その内容は非常に厳しいものであった。
〈帝国〉はタウを危険な異種族であるとみなし、タウの駆逐を目的とした「ダモクレス征戦」が開始されたのだ。〈帝国〉の送り込んだ軍勢は極めて強大であり、十を超す主力戦闘艦を中心として編成され、「帝国防衛軍」(アストラ・ミリタルム)の連隊が十九個、スペースマリーンによる十二個の戦団から緊急編成された中隊が五個も含まれていた。
〈人類の帝国〉の宇宙艦隊から突然繰り出された痛烈な打撃によって、孤立していたタウ側前哨基地は破壊され、辺境に存在する入植地の数々が排除され、最初の戦闘は〈帝国〉側の大勝利に終わった。この短期間の激しい衝突により、タウはダモクレス湾の向こう側まで押し戻されてしまったのだ。
ただ、これ以降の戦闘では、〈帝国〉もそう簡単には勝利をつかむことはできなくなってゆく。タウが退却した後の惑星群は、〈帝国〉から過酷な仕打ちを受ける事ととなった。
そこに残された人間たちの前に〈異端審問庁〉のエージェントが現れ、皇帝の導きを拒否した者らに対し、残虐なる罰を与えたのだ。一方で〈帝国〉の征戦軍は、ダモクレス湾の向こう側へと後退するタウを追撃し、タウ・エンパイアの版図内へと侵入する。
【ダルイスの抵抗】
ダルイス家門最外縁部に位置する惑星「プライエン」に設置されたスキャナ装置から、〈帝国〉の侵攻を示す最初のシグナルが送られてきた。通常では考えられない奇妙なスキャンデータを受信したタウは、長距離観測用の光学望遠装置に映像を切り替え、宇宙空間に巨大な亀裂が生じているのを発見して愕然とする。
この亀裂から〈帝国〉の宇宙戦艦や支援艦隊が姿を現したのだ。タウ艦隊と、惑星プライエンの衛星軌道上に築かれた完全武装の宇宙ステーションは、〈帝国〉艦隊に対して大打撃を与えるも、〈帝国〉の征戦軍は間もなくして、惑星「ダルイス・プライム」への進軍航路を拓くことに成功する。
〈帝国〉軍は惑星ダルイス・プライム地表へと降下を開始し、この戦争における最大規模の戦闘が勃発した。しかも今回、〈帝国〉の征戦軍は最近同化吸収されたばかりの旧〈帝国〉領惑星やタウの新規入植惑星などではなく、多大な人口を抱えるタウ家門惑星の一つを踏みつけた。
〈帝国〉の降下部隊は、大気圏内で多数のタウ側戦闘機と交戦することになったが、最終的には降下拠点を築くことに成功。急先鋒を担う巨大ロボット兵器「巨人機」(タイタン)や機甲部隊が〈帝国〉地上軍として迅速に展開し、大都市「ゲルブライン」に向けて無慈悲に進軍していった。
しかし、〈帝国〉軍の前進は、丘陵地帯の向こう側から降り注いでくるミサイルの嵐によって阻まれる。〈帝国〉側はタウの「観敵手」(スポッター)を後退させるために部隊を送り込んできたが、この部隊は「クローキング・フィールド」によって身を守るタウ側のジャンプ・トループによって攻撃を受けた。
その後も〈帝国〉側は、幾度となく戦局を覆そうと試みたが、その度に火のカーストが繰り出す時宜を得た反撃を受けることとなる。人間たちにとって、夜はまさに悪夢であった。
最先端テクノロジーの数々を搭載した「バトルスーツ・チーム」が、夜陰に乗じて迅速かつ痛烈な奇襲攻撃を仕掛けてきたからだ。タウの持つ優れた光学技術によって、〈帝国〉側の機甲部隊が多大な損害を受ける一方、〈帝国〉側はタウにほとんど損傷を与えることが出来ずにいた。
人類の精鋭である「スペースマリーン」がタウ側戦線の背後に到着し、戦闘の主導権を握ろうとしたが、この作戦も、重装バトルスーツチームに搭載された恐るべき兵器によってスペースマリーンの兵員輸送機が撃墜されたことによって、あえなく失敗に終わる。これらの犠牲にもかかわらず、〈帝国〉は進軍を止めようとしなかった。
家門惑星ダルイス内のいくつもの地域が破壊され、他の地域でも戦火から逃れるために住人は避難を余儀なくされたのだ。しかしタウの援軍が徐々に前線に到着し、また〈帝国〉艦艇がダルイスの衛星軌道上に留まることが難しくなってゆくにつれ、〈帝国〉側の命運は遂に尽き果てた。
遂に彼らは多くの戦力をその場に残したまま、惑星ダルイスからの撤退を強いられたのだ。タウ軍は〈帝国〉の征戦軍を包囲し、その退路を断つことも可能であったが、導師の強い主張により、水のカーストが〈帝国〉との対話の場を持つことになった。
そしてタウは〈帝国〉との停戦に同意し、この侵略者たちに対して平和的撤退を許したのだ。
【嵐への備え】
ダルイスでの戦闘終結後、戦争によって引き裂かれたダモクレス湾の両岸に、不安定な平和がもたらされた。〈帝国〉側の多くは再びタウ・エンパイアに対する攻撃態勢を整えようとしていたが、より差し迫った自体や問題が〈帝国〉内でいくつも発生していたため、人類の精鋭たちは銀河の別な領域へと再配備されていった。
〈帝国〉はその力の一部のみをタウに知らしめただけであったが、タウ・エンパイアを押し戻すには十分であった。一方でタウも、〈帝国〉との戦闘の中から多くのことを学習していた。
中でも火のカーストは、人類の兵法について様々な知識や推測を得ていた。〈人類の帝国〉はオルクのように多大な犠牲を支払う戦法を好むが、奴らと違ってより様々な戦術を駆使し、また遥かに優れた武器が配備されていることを、彼らは知りえたのだ。
戦争終結後、導師たちは捕虜としてとらえた人間や、あるいは戦場から回収した人類の機械装置を徹底的に研究するよう命じた。地のカーストは、人類の持つテクノロジーの大半がタウよりも劣る物であり、中にはプラズマ兵器のように、あまりの不安定性から試験すらも躊躇してしまうような危険なものまで存在することを報告した。
しかし中には、タウが目を見張るような発見もあった。地のカーストは、彼らが得た宇宙航行用のワープエンジンが一体何なのか見当もつかずにいた。それは〈歪み〉(ワープ)として知られる分野に関して一切の知識や理解を持っていないタウは、この装置が一体何なのかが全く想像できなかったのだ。
タウはそれを操作していた人間たちを捕虜として捕えていたが、それは失望に終わった。彼らはこの機器についての知識を何も持っておらず、迷信的な儀式や詠唱によってこれを作動させていたからだ。
【〈帝国〉の視点】
〈人類の帝国〉の大多数の者たちは、タウは排除すべき忌々しい異種族(ゼノ)の一つと見なしているに過ぎないが、深い洞察力を持つ者の中には、この新興種族に対して不快感の交じった驚きを禁じえない者もわずかながら存在する。この異種族は、白兵戦ではそれほど手ごわい敵ではないが、強襲や反撃の達人であり、極めて優れた戦術を持つことが証明された。
またタウが高度なテクノロジーを保有していることは明白であり、なかでもレールガンなどの武器は、恐れられるべくして恐れられている。過密惑星に比べると、タウの都市は効率性を絵にかいたような都市だ。
多くの者たち、特にスペースマリーンの中隊長(キャプテン)らは、タウが高潔なる敵であり、敬意を表すべきであると述べている。他の「異端審問官」(インクィジター)の誰よりも、異端審問官「ガリウス」はタウに対して強い危機感を募らせていた。
彼が最も衝撃を受けたのは、タウの愚直さ、優れた技術、そして進化への揺るぎない信念が、〈技術の時代〉として知られるかつての人類の絶頂期に関する書物を思い起こさせたという事実である。現在、〈技術の時代〉に関して明らかになっている事実は少ないが、中には「人類の知識に対する傲慢と、機械や人工知能に対する誤った依存が、恐怖と暴力に満ち溢れたかの恐ろしき〈不和の時代〉へと導いた」と信じる者もいる。
もし、タウがこれと同じ道を歩むのであれば、彼らはやがて〈人類の帝国〉のみならず、この銀河全体にとって、想像を絶するほど大きな脅威と化すだろう。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire) P4イラストより
二人の英雄
【進化は続く】
〈帝国〉との戦いの後、アゥン=ヴァは至高評議会において、自らが抱く懸念事項を述べた。ここでアゥン=ヴァは、人生の晩年に差し掛かっていた至高導師「アゥン=ウェイ」に対し、タウが失ったものを奪回するための機会と権限を与えてくれるよう請うたのである。
かつてタウは、自身の運命に対して揺るぎない自信を持っていたと同時に、自分たちの手法にかなう者はないという断固とした信念をも抱いてもいた・・。しかし、ダモクレス湾を越えて長い距離を撤退し、〈帝国〉の恐るべき軍勢との直接対決を経験した今、タウの多くは自信喪失に陥っていたのだ。
タウはこれまでの長期に渡る〈天球拡張〉の中で、一度たりとて敗北を味わったことがなかったからである。アゥン=ヴァは「ここで行動を起こさなければ、慎重に積み上げてきた信念の土台に亀裂が生じる」と主張した・・。
そしてこれを是が非でも避けねばならないと。この言葉に真実を見出した老齢の至高導師は同意し、計画の詳細と指揮権をアゥン=ヴァに任せたのであった。
【アゥン=ヴァの一手】
〈帝国〉によって奪われた惑星の数々は、巧妙に操作できるであろうとアゥン=ヴァは認識していた。加えて、傍受に成功した〈帝国〉側の通信情報により、ダモクレス湾周辺の星域に追加の増援が到着する事はないという事実も把握していたのだ。
かくしてアゥン=ヴァは、再び宇宙の境界線たるダモクレス湾を超えることを火のカーストに命じ、急成長を続けるタウ・エンパイアの版図を、再び〈人類の帝国〉の領域内にまで拡張してゆくことを求めた。今回は、タウ・エンパイアが近年失ったコロニーの数々を取り戻すための戦いであった。
自らの選択にまだ多少の迷いはあったものの、アゥン=ヴァは軍事面の総指揮を執らせるための総司令官として、「オ=ショウヴァー」を選んだ。かの英雄“清流たる司令”の弟子である司令オ=ショウヴァーは、意志が強く活力に満ちた指導者で、近年繰り広げられたオルクとの戦いで名将としての頭角を現わしてきていた。
この若き司令は、その卓越した戦術により、すでに「先見者たる司令」(コマンダー・ファーサイト)の異名を勝ち得ていたのだ。“先見者”の異名の通り、彼はまるで敵の戦略をはじめから知り尽くしていたかのように、敵軍の行動を正確に予測し、それを打ち砕くことが出来た。
当初、アゥン=ヴァはによるこの人選は正しいことが証明された。奪還目標として掲げられた惑星群が、たちまちのうちに再征服されていったからだ。
軍勢の大半が他の戦線へと駆り出されていたため、これらの惑星に残されていた〈帝国〉側の防衛戦力は、先見者たる司令が得意とする圧倒的な近距離攻撃や大胆なる猛攻といった戦術に対して、なす術もなかった。そして先見者たる司令が収めた勝利の報せが届けられるたびに、タウ・エンパイア全体が沸き立ったのだ。
【タウ・エンパイアとの決別】
だが、再入植計画も残すところあと1個の惑星を残すのみとなったところで、長年の宿敵であるオルクのために、この計画は中断を強いられてしまう。奪還したばかりの領域の境界線でグリーンスキン生息の兆候が発見されたため、先見者たる司令の遠征軍はこれを奪還すべく急襲を仕掛けた。
だがそれは間もなくして、武骨なアステロイド型宇宙基地を拠点として移動する大規模なオルク氏族連合軍との長期的な戦闘へと発展してしまったのだ。やがてオ=ショウヴァーの遠征軍は、この侵略軍を率いるオルク大族長を追跡すべく敵支配領域の内側へと深く斬りこんでゆき、遥か昔に〈帝国〉によって見捨てられた遺跡惑星(アーティファクト・ワールド)「アーサス・モロック」に到達。
ここで“先見者たる司令”の軍勢は、神秘的なポータルから出現した獰猛なる未知の敵(おそらく渾沌の悪魔?)と交戦状態に入ることとなる。一方、この状況に混乱したオルクの軍勢は退却していった。
この戦闘中に遠征軍に同行していた導師たちが全て死亡してしまったことや、また謎の敵がいずこかへと消え去りアーサス・モロックは再び無人の荒野に戻ったということ以外、この戦闘についての情報はほとんど何も報告されていない。しかしその裏で、先見者たる司令はその恐るべき未知の敵と交戦し、それらを退けるために遺跡に眠っていた謎の武器「暁の刃」を用いて戦闘に勝利した。
そして多大な損害を受けてなお戦意を失わなかったオ=ショウヴァーは、本国から帰投せよとの直接命令が下されたにも関わらず、タウ・エンパイアの他軍勢への再合流を拒み続けたのだ。帰投する代わりに彼は、自ら残された残存勢力を引き連れてオルク軍の後を追い続けたのである。
間もなくしてオ=ショウヴァーの遠征軍はタウ・エンパイアの通信網の外側へと達し、今までいかなるタウも足を踏み入れたことのない遠方の領域へと向かって消えていった。タウ・エンパイアは、通信ビーコン網や、星系の境界線上にあるアクセラレータ・リレイなどを通じ、オ=ショウヴァーの遠征軍が消えていった未知なる宇宙空間の深奥に向けて数多くのメッセージを送ったが、いかなる応答ももたらされることはなかった。
両者を隔てる宇宙空間があまりにも広大であるため、もしくは何かの奇妙な妨害によって、これらのメッセージが受信者に届かなかった可能性も考えられたが、数年間にも渡って通信が途絶してしまった状況を踏まえ、オ=ショウヴァーの遠征軍はもはや失われたものとみなされた。タウ・エンパイアは秀抜なる司令の一人である先見者たる司令こと「オ=ショウヴァー」を失い、深い悲しみに暮れることとなる。
しかし後に、先見者たる司令が最後にその存在を確認された領域へと到達した無人探査機が、ある不気味な情報を送信してきたのだ・・。オ=ショウヴァーはまだ生きており、ダモクレス湾の向こう側に自治領である〈先見者の隔絶領〉(ファーサイト・エンクレイヴ)を築いたということを。
〈大善大同〉へのこの不可解な裏切り行為は、今日に至るも、タウ・エンパイアを悩ませ続けている。
【オルクの再襲来】
タウ・エンパイアの至る所では、新たな天球拡張の始動を予期するかのように、近頃建造された植民船団が衛星軌道ステーションを満たしていた。こうして準備が着々と進められる中、タウ・エンパイアの各地に配備された警告シグナルが明滅する。
長年の敵であるオルクたちが想像を絶する規模の大軍勢となって戻ってきたのだ。オルクたちは、「ウエスタンヴェイル星雲」の向こう側から、何の前触れもなく現れた。
寄せ集めのオルク大艦隊は、まるでどこからともなく実体化したかのように、渦巻くガス運から突如その姿をあらわにしたのだ。グリーンスキンの艦隊規模があまりにも膨大であったため、スキャナー装置が最初にそれを感知した際、地のカーストの技術者たちは装置の故障を疑った。
オルクの侵略艦隊は、十数個に分かれた〈いくさだァァァア!〉(グァァァグ!)から構成され、各〈いくさだァァァア!〉を率いる大族長たちが全軍の総指揮権を賭けて争っていた。手下のオルクたちも内輪もめに終始しており、オルクの宇宙船自体もかなり老朽化していたため、タウ・エンパイアは辛うじて対抗策を講じるための時間を得られたのである。
迫り来るオルクの大軍勢を前に、タウの大半がパニックを起こし浮足立っていたが、そんな中「常の如く、タウ・エンパイアの力を結集すれば、この大軍勢さえ恐るるに足らず。」と説き続ける者がいた。当代の至高導師「アゥン=ヴァ」である。
彼は静かなる水面の如く冷静に、あらゆるタウに対してこの信念を思い出させると、各家門から指導者を招集し、どのように行動を起こすかの総合戦略を練っていた。この結果、オルクの脅威から最も近い家門、すなわち「ヴィオルラ家門」、「サシーア家門」、「タウ=ン家門」がオルクを足止めするための連合軍を形成し、その背後には、他の全家門が緊急派遣した兵や艦艇が前線目指して続々と発進し、反撃の第二波を繰り出す態勢を整えることとなったのである。
【生き残りをかけた団結】
風のカーストは、帝国中にある様々な宇宙船を直ちに集結させた。彼らは商船や植民船を改造し、緑の津波を駆逐するために必要な兵を収容できる輸送船へと改造したのだ。
迫り来るオルクと対峙するために、タウの連合軍が進撃し、タウ・エンパイアのもっとも外側に位置する領域で、最初の戦闘が繰り広げられた。タウ宇宙軍は、衛星軌道防衛ステーションの範囲内に展開するオルクの追跡船を誘導するために、奇襲攻撃を繰り出していった。
オルクの破壊工作船がタウ側の巨大建造物に体当たりを喰らわせ、更にその船内から無数のグリーンスキンがあふれ出して大損害を与えたため、いくつかの宇宙ステーションが破壊されてしまったが、タウ艦隊、そして破壊を免れた衛星軌道ステーションの火力が組み合わさって、オルク側は膨大な戦死者を出した。
防衛を担う残りのファイアウォリアーたちは、すぐに残りの衛星宇宙ステーションに展開し、これに続いて宇宙空間の深奥で激しい戦闘が繰り広げられてゆく。これらの戦闘の中には、数か月間にも及ぶ長期戦に発展したものもいくつか存在したという。
グリーンスキンの軍勢が個々の獲物を求めて分裂し始めたことで、この戦争は様々な領域へと拡散してゆき、二十を超える戦場で地上戦が展開された。オルクが惑星強襲を敢行した場所があれば、たとえそれが不毛の月面であっても、タウ地上軍の増援が直ちに到着してその区域の守りをさらに強固なものとした。
そして、タウ・エンパイア領内でこの異種族による物資の略奪を徹底的に阻止し、またそこに橋頭堡を築かれるのを防ぐための策が講じられた。
【眠れし“清流たる司令”の弟子たち】
オルクの大軍勢によって一気に押し潰される危機をかろうじて回避する事に成功したアゥン=ヴァは、今こそ自らの大計画を次なる段階へと進める時と判断した。今から何百年以上も前、“清流たる司令”が急激な衰えを見せ、その死期が間近に差し迫った時、導師の至高評議会において、とある緊急対応策が取られていた。
その一環として、地のカーストはこの偉大なる師の如き姿や行動パターンを持ち、また何よりも重要な事として彼のような思考が可能なAIホログラムを作り出すため、清流たる司令の記憶を長年にわたって保存し続けたのである。だが当時はまだ、タウにとって必要不可欠なこの指導者の代理が、人工知能ホログラムに務まるという保証がなかったのだ。
そのためその保険として講じられたのが、清流たる司令の弟子たちの中で最も優秀な者たちを数人選び出し、当時新たに考案されたばかりの「ステイシス装置」・・すなわち時間経過に耐えるための休眠装置の中で休眠させることであった。つまりこれによって、将来勃発する戦争やさらなる天球拡張の際に、必要に応じてタウ・エンパイアが兵法の達人を召喚することが可能になる事を意味していたのである。
そして今、かつてないほどの規模でオルクの侵攻を経験したアゥン=ヴァは、大いなる運命を導く新たな英雄の必要性も確信したのであった。
【彼方からの襲撃】
〈第二天球拡張〉に続く国力強化期間において、タウの前哨基地から新たな脅威の到来が警告された。彼らの領域に''異種族「ティラニッド」の巣窟艦隊「ゴルゴン」が侵入してきたのだ。''今まで銀河に現れたことのある他の巨大な巣窟艦隊に比べれば、ゴルゴンは小規模な分岐艦隊に過ぎなかった。
しかしタウ・エンパイアは、銀河系間を行き来し惑星の全生命体を貪り喰らうこのティラニッドという異種族の脅威と対峙したことは、今まで一度もなかったのだ。ティラニッドは、驚異的なまでの環境適応能力を見せた。
タウの防衛戦力を打倒するため、戦闘の度にその肉体を進化させていったのだ。彼らの猛攻に対して、タウは絶えず戦略の変更を強いられた。
ティラニッド側は、火のカーストが用いた各戦略、地形、およびテクノロジーの利点に対抗すべく、常に新たな個体群を送り込んできたからである。ティラニッドは数多くの生命を貪り喰らっていったが、森の覆われた惑星「シャドレイグ」において遂にタウが大規模な防衛戦を展開し、一時的ながらもその前身を停止させた。
この惑星は最終的に〈侵食〉されてしまったが、タウは惑星「ケルシアン・プライム」で万全の防衛態勢を整えるための時間を稼ぐことに成功したのである。運命のいたずらか、家門惑星「ケルシアン」を最初に襲撃したのは、〈帝国〉の軍勢であった。
かつてダモクレス戦役を支援するために派遣され、そのまま〈歪み〉空間の中に五百年間消えていた〈帝国〉の艦隊が突如ワープアウトし、惑星ケルシアンに到着したのだ。共通の敵であるティラニッドに直面したタウと〈帝国〉の指導者たちは、互いに一時停戦に合意。
ティラニッドは二つの軍勢に対して同時に順応する事はできず、最終的に全滅させられ、巣窟艦隊ゴルゴンの脅威に終止符が打たれた。一方人類の軍勢も、遥か以前に計画された攻撃を続行するほどの兵力は残っておらず、彼らはその支援に対する栄誉をタウから与えられ、領域からの撤退を許可された。
ケルシアンの地のカーストは、戦争によって荒廃した家門の復旧に直ちに取り掛かりをはじめ、導師たちは、この敵のどちらか、申しくは両方が万が一戻ってきた場合に備えておくよう、彼らに言い渡した。
【タウの新たな英雄】
緊急時に備えてコールドスリープ状態で眠り続けていた清流たる司令の弟子のひとり「オ=シャセラ」は、近年、指令の位階に昇格したばかりであった。彼女と同世代のファイアウォリアーの中で、彼女の大胆さと有能な戦術に匹敵する戦士はただ独りしか存在しなかった。
その戦士とは、コールドスリープ状態で眠ることのなかった”先見者たる司令“ことオ=ショウヴァーであった。彼は〈帝国〉との戦争のあと、おのれの目的を追い求めるがため、率いていた遠征軍と共に独立自治領〈先見者の隔絶領〉をダモクレス湾に築いてしまった。
オ=シャセラの再教化が終了するまでに、戦争は6年もの歳月が経っていた。そのころには、莫大な規模のオルク侵略軍が、数多くの家門の境界線に散在していたのだ。
タウの軍勢は数で劣るが、優れた武器と結束力によって、まとまりのないオルク軍を辛うじて抑えることが出来ていた。結束力に欠けるグリーンスキンたちは、家門惑星に向けて進撃する機会を掴めず、だがその一方でタウもまた、これらの領域からオルクを根絶するための決め手に欠け、手詰まりの状態であった。
【“影の太陽たる司令”の誕生】
「狩猟部体」(ハンター・ケードリ)の指揮を引き継いだ司令「オ=シャセラ」は、直ちにこの戦いに加わった。大胆不敵なる一連の勝利を導いたオ=シャセラは、多数の部体から構成される「司体」(コマンド)の総指揮を任されることとなった。惑星「サシーア・プライム」の最大の月である「ヴァイ=ハラ」からオルクを一掃したという声明が発せられる頃までには、司令オ=シャセラの名声はすでに知れ渡っていた。
ここから彼女は「コムルサン」の「薄明惑星」(ドーンワールド)群において大勝利をもたらし、最終的に〈クレシュ拡張戦役〉でも勝利を収めたのである。オ=シャセラが勝利を手にするたびに、それまで膠着状態に陥っていたタウ軍は次々に目の前の戦闘から解放され、分断されたグリーンスキンの軍勢にさらなる圧力をかけた。
〈クレシュ拡張戦役〉で大敗を喫した後、ついにオルクの戦力は崩壊する。後に〈大同盟戦争〉とも呼ばれることになるこの戦争は、何年にもわたって続いたが、これによってタウの心の中にある新たなる英雄の誕生を確固たるものとした。
そして現在、「影の太陽たる司令」(コマンダー・シャドウサン)と呼ばれるようになったオ=シャセラは、新たなる世代に己の力量を証明したのだ。彼女は数多の作戦を見事な指揮によって成功させてきたが、彼女自身もまた英雄的な武勲の数々を収めていった。
巧みに浸透戦術と一撃離脱を駆使する彼女の戦いぶりは、既に伝説となって久しい。タウの目前には、輝かしく前途洋々たる、新たな未来が待ち受けているのだ。
第三次天球拡張
画像出典:コデックス「インペリアルナイト7版」(codex:Imperial Knights) イラストより
【新たなる拡張】
オルクの侵略軍が破れ、火のカーストを率いる新たな英雄が出現したことで、これを千載一遇の好機と見たアゥン=ヴァは、〈第三天球拡張〉を宣言する時が到来したと悟る。資源を供給できる家門がさらに増えたことで、タウ・エンパイアの領域拡大に向けた天球拡張への機運は、これまでにないほど高まっていたからだ。
以前の天球拡張期において、タウ・エンパイアは大胆で劇的に拡張を進めてはいったが、その版図は母星タウを取り巻く密集した星団の範囲内にとどまっていた。このような拡張ではその範囲は限定されてしまう。
タウはこれ以上遠くに拡張してゆくために必要な人口を有しておらず、彼らは大儀達成の助けとなるであろう他種族の戦力をどのように利用できるかをまだ学び取っていなかったからだ。他にも、地のカーストが星系間を無の空間として広がるためにその労力を注ぎ続けており、技術的制約も発展の足かせとなっていた。
アゥン=ヴァは、今こそタウがその運命を掴む時であるということを確信していた。タウ・エンパイアは〈大同盟戦争〉によって総力戦の状況にあり、導師たちは各カーストにより多くの生産性と効率性の増加を求めていたからである。
侵攻し続けてくるオルクとの戦いは、火のカーストにとって厳しい試練となったが、先の戦争で失われた戦士たちの代わりとなる新たな兵が次々と増員されていった。それに加え、多くのファイアウォリアーや、彼らを率いる司令たちは、掛け替えのない経験を手に入れたのである。
彼らは他の家門や、タウ宇宙軍と連携しながら行動する事を実践から学び、火のカーストに配備される異種族の軍勢は、クルートを筆頭に更に増加していった。拡張に先立ち、広範囲に展開する先遣隊から報告の上がっていた遠方の星系に到着するために、他のカーストが改良した最新装置がタウの大艦隊に配備されてゆく。
宇宙船の推進システムも改良されていた。「インパルス・リアクター」が生み出す途方もないエネルギーによって、より高速で航行可能なエンジンが開発されたため、タウの宇宙艦艇はこれまで想像だにしなかったスピードで宇宙を駆け巡ることが出来るようになったのである。長期に渡る宇宙航行で、宇宙戦上での負担をより減らすために、地のカーストは、輸送船に巨大なステイシス装置を搭載した。
これによって、狩猟部体や指揮官たちは、到着までに何か月、あるいは何年かかったとしても、遠方の戦闘領域に足を踏み入れるまで、肉体に廊下の及ぶことがなくなったのである。
【〈大善大同〉に帰服すべし】
この偉大なる拡張に向けて全ての家門は艦隊を派遣したが、最も大規模な軍勢が集結したのは、タウ・エンパイアの北と西の境界線上であった。ダルイス、サシーア、ヴィオルラの港や衛星軌道ステーションに、巨大な艦隊が集結したのである。
タウ宇宙軍は宇宙戦艦に加え、戦闘要員や入植者、プレハブ式のドーム、ドローン製造者、その他ありとあらゆる装置を積むための輸送船の大船団を供給していた。この巨大な軍勢の陣頭指揮を執った者こそ、新たに火のカーストの最高司令官として任命された“影の太陽たる司令”こと「オ=シャセラ」に他ならない。
これらの艦体は、グリロック小惑星帯を越え、ダモクレス湾を横断するという航路を取っており、その目的地は慎重に練られていた。植民地化にふさわしい全ての惑星と衛星は艦隊のホログラム地図にはっきりと記されており、これらの惑星には土着の現住種族がいたが、平和的に同化を進めるために、あらかじめ水のカーストの貿易商や大使がそれらの惑星を幾度なく訪れていたのである。
タウ・エンパイアが同化吸収を試みた惑星の中には、〈人類の帝国〉に属するものもあった。これらの惑星に関して言うならば、アゥン=ヴァの〈第三天球拡張〉はこの上なく素晴らしいタイミングで開始されたと言えるだろう。
水のカーストから派遣されたエージェント、および「グウェ=ヴェサ」(タウ・エンパイアに忠誠を誓う人類の助力者)たちは、地のカーストが事前に傍受していた「これらの惑星の境界線上に配備されていた〈帝国〉の防衛戦力の大半は、銀河の他領域で継続中の他の戦争へと派遣され、守りは手薄になっている」との通信情報を裏付けたからである。〈帝国〉領惑星の中でも、賄賂や誘惑を受け入れる事に抵抗を持たない者たちが住まう惑星や、傲慢な専制君主による厳しい支配体制から逃れる事を望む理想主義者たちが住まう惑星は、タウ・エンパイアに抵抗することなく速やかに武器を捨てていった。
彼らは水のカーストの大使を歓迎し、タウ・エンパイアへの協力を誓ったのだ。しかし人類のほとんどの惑星は、タウの提案を退けた。
全ての異種族に対する根深い不信感が彼らの間に存在することも一因だろうが、大半はおそらく、タウ・エンパイアに加担する事によって受けることとなる“己が同胞からの制裁”を恐れたのであろう。むろん、タウ・エンパイアに対して抵抗した開拓惑星に対しては“影の太陽”率いる軍が精密な強襲作戦を次々と展開していった。
〈帝国〉の防衛戦力はタウを撃退するどころか、その勢いを鈍らせることすらできなかったのである。タウは、ダモクレス湾を越えた北端の区域全体を、ただちに支配下に置いていった。
一方で、銀河の西方にある「レッドサン星系群」からは、フラドやオルク、人類の反逆者らが次々と駆逐されてゆく。タウの同化政策を受け入れる異種族に対しては、水のカーストの現住種族仲介使節団が派遣され、長期に渡る同化吸収プロセスが始まっていった。
地のカーストは、新たに版図に組み込まれた惑星群を熱心に探索すると共に、新たに植民地化された惑星の中でも特に資源が豊富な地域に生産ドームを投下してゆく。銀河の外側へとさらに帝国を拡張してゆくためには、拡張の最前線周辺で燃料源の確保が必須であったからだ。
この〈第三天球拡張〉が開始されて以来、すでに数十個もの新たな惑星が版図に組み込まれ、タウ・エンパイアへの中心部へと膨大な「コムリンク網」によって繋がれていた。しかしこれはまだ〈第三天球拡張〉の幕開けに過ぎなかったのである。
【アグレラン戦役】
当初の勝利に勢いづいた“影の太陽”は、率いる軍勢を〈帝国〉の支配領域の奥深くへと一気呵成に突入させた。あたかも同時にあらゆる場所に現れたかの如く、彼女は東奔西走して軍勢を鼓舞し、進撃の加速を図っていた。
タウ軍の先頭では、タウの一大軍勢が新たに征服した惑星の地表に降下する頃には、火のカーストの先遣部隊がすでに次なる標的へ向かっているという有様で、彼女の速度に追いつくのはことのほか困難であったという。“影の太陽”はここで「速やかなる攻撃で勝利の後に続くべし。さすれば新たな勝利を得ん」という“清流たる司令”の古き訓えに従ったのである。
“影の太陽”が〈人類の帝国〉の領内を横断し、これまで以上の抵抗に遭うと、彼女は自軍の戦線があまりにも広く展開し、攻撃の勢いがすっかり失っていることを見て取った。そこで彼女は防備の硬い惑星に闇雲に攻撃を仕掛ける代わりに、艦体を二分割したのである。
分裂後の各艦隊は、苛烈な一撃離脱戦術で〈帝国〉を攻撃し、〈帝国〉の反撃を封じていった。そしてついに〈帝国〉は、重要拠点として残ったほんのわずかの惑星の防備でさえ満足に整えられない状況へと陥ったのである。
ここで“影の太陽”は再び同じ戦略を用いると決めた。というのも、そうすることで分割した艦隊を再び統合し、標的として選んだ惑星に総攻撃を仕掛けることが可能となるからである。
彼女の最初の標的は過密惑星「アグレラン」。〈帝国〉領に属する、豊かな星々へと至る航路の玄関となる惑星であった。
新たなファイアウォリアーを満載した輸送機と、無数の試作型新兵器が戦いの最前線に投入された。これらが戦いの趨勢を左右する、枢軸となることは間違いない。
アゥン=ヴァが直々に火のカーストたちを鼓舞するために現れ、彼の姿を目にしたタウたちはことごとく勝利を確信していった。そしてついに、大型バトルスーツがこの戦場にて披露されたのである。
“影の太陽”の比類なき統率力の下、その新型バトルスーツの途方もない性能は遺憾なく発揮された。まさに、その巨体が一歩踏み出すごとに、その惑星での勝利が転がり込んできたのである。
その威容に相応しく、「XV104 リップタイド・バトルスーツ」は最後の戦闘で必殺の一撃を放つと、惑星首都にあたる多層都市の門を守備していた〈帝国〉側の巨重戦車は、ことごとく残骸と化したのである。戦い続けていた〈帝国〉の兵士たちは、今やタウにも広く知れ渡っていた玉砕覚悟の気概を見せていたものの、やがて多層都市の街路におびただしい血が流れ、ごくわずかの抵抗勢力を残して壊滅した。
惑星アグレランは惑星「ムグラス」と改名され、その周辺は〈ム=グラーフの入り江〉と呼ばれ、周辺の惑星はタウ・エンパイアの支配下に入ってほどなく星系全体も陥落したのであった。予想通り〈帝国〉の反撃が「ゼイスト星域」で激しく加えられたが、これは“影の太陽”の計画に織り込み済みの反応であった。
この広大な星域は、陽動作戦の場として、〈第三天球拡張〉という名の公の利益、すなわち〈大善大同〉の理念に捧げられるべき尊い犠牲となったのである。人類の精鋭戦力たる「スペースマリーン」によって多くのコロニーが陥落させられ、ゼイスト星域におけるタウの版図拡張の努力は人類の遠征軍によって摘み取られたが、それと同時に、より望ましき近隣の星系をタウ軍の本体によって奪取する事を可能にしたのだ。
アグレラン戦役で勝利したタウ軍とシャドウサンであったが、しかし〈帝国〉の実力を甘く見積もっていた。
【〈帝国〉の反撃】
惑星ムグラスを手にしたタウ・エンパイアはある目的を元に、軍を侵攻させていた。ムグラスそのものには大きな価値はないが、その後に連なる「ドヴァール星系」は多くの貴重な戦略物資が眠っている宝庫であり、連戦を続けるタウ・エンパイアにとってそれらは無視できないものであった。
アグレランの戦いで勝利したタウ軍とシャドウサンは、すぐさま〈帝国〉への追撃を開始する。しかし、〈人類の帝国〉は軍を故意にゆっくりと封建惑星「ヴォルトリス」へと退却させていったが、これは慢心したタウ・エンパイアへと仕掛けた罠だったのだ。
惑星ヴォルトリスは巨大ロボット兵器「インペリアルナイト」を駆る貴族「テリン宗家」が治めている惑星であり、封建的な政治体制が取られていた。惑星内では 〈帝国〉の精鋭であるゲリラ戦の達人「ストラーケン大佐」率いる「カタチアン連隊」を初め、スペースマリーンからは「コルッサーロ・ハーン」率いる「ホワイトスカー戦団」と「ケイヴァーン・シュライク」率いる「レイヴンガード戦団」が秘密裏にがタウ・エンパイアの軍勢を待ち構えていた。
ヴォルトリスへと侵攻してきたタウ軍は、得意とする衛星軌道からの戦力解析に自信を持っており、地表の様子をうかがってから惑星へと降下するという戦術を取っていた。しかしこの時、惑星の地表には濃い霧がかかっており、彼らは表示されたデータには疑問を持たず惑星への降下を開始した。
しかし、それは〈帝国〉が仕掛けた異能(サイキック)による罠だったのだ。レイヴンガードとホワイトスカ―のスペースマリーンたちは、「風見師」(ストームシーア)が異能の力で呼んだ霧に隠れており、降下してきたシャドウサンに奇襲を仕掛けたのだ。
〈帝国〉軍はアグレラン防衛戦から作戦方針を変更し、タウ軍を率いる司令官であるシャドウサンの首を取ろうという作戦を仕掛けたのだ。その後、シャドウサンは信頼している精鋭部隊による尊い犠牲の下、命からがらその場を脱出することに成功する。
しかし、シャドウサンは深い傷を負ってしまったために彼女は戦場を放棄せざるを得なくなり、ヴォルトリスの戦いはタウ軍の敗北に終わった。この時、“影の太陽”たるシャドウサンは、身を呈して自らを救出してくれた仲間たちの犠牲を無駄にしないためにも、この〈第三天球拡張〉を必ずや成功させてみせると心に誓ったのである。
【プレフェクティア戦役】
ヴォルトリスでの敗北にくじけることなく、タウ軍は次なる目標を要塞惑星「プリフェクティア」と、ドヴァール星系とその彼方にある豊富な資源を有する惑星に狙いを定め、軍を進めてきた。それと同時に、シャドウサンは「ゼイスト星域」の駐屯軍に死守命令を出し、〈大善大同〉のために少しでも長く敵軍をその場で足留めするように命じた。
要塞惑星プリフェクティアは東部からドヴァール星系へ入るための通過点となっており、〈帝国〉はこの惑星を強固な関門として要塞化を進めていた。その一方で、この惑星を手にすることが出来ればドヴァール星系を陥落させるのには絶好の起点として用いることもできるのだ。
先の戦いで活躍したレイヴンガード戦団とホワイトスカ―戦団は再び、ヴォルトリスで用いた奇襲戦術をさらに大規模な範囲で敢行した。その一方で、惑星プリフェクティアでの戦いは苛烈極まりないものであった。
レイヴンガード戦団の第五中隊は、再びタウの指揮官に狙いを定めて、導師「アゥン=ドゥ」の搭乗している降下艇「オルカ」への攻撃を開始する。オルカは襲撃によってそのコントロールを失って墜落するも、アゥン=ドゥ本人はなんとか脱出に成功した。
しかし、周りにはレイヴンガードらがアゥン=ドゥを捜索しており、それに対してタウ側も多くの兵士をスクランブル発進させて導師の捜索へと向かった。タウ軍は更に「シャス=ウィ・スターシュラウド」率いる部隊へレイヴンガードへの応戦を任せると、得意とするゲリラ戦によって相手側を圧倒する。
そして、導師アゥン=ドゥはフォースフィールドを展開して降下艇が助けにくる時間を稼ぎ、辛うじて救出されたのだ。その一方、レイヴンガード第三中隊長のケイヴァーン・シュライクと、ホワイトスカ―第三中隊長のコルッサーロ・ハーンは共に戦場へと参戦し、両者ともシャドウサンの首をいち早く狙うために躍起になっていた。
ホワイトスカー戦団はいち早く惑星南部の多層都市への襲撃を開始する。戦団が誇る多数のバイクと反重力車両で構成された機動部隊は、タウ軍へと電撃戦を仕掛け、タウ軍は都市の主要な高速道路に簡易防衛施設「タイドウォール」を配置して、得意の戦術「カゥヨン」の罠で待ち受けていた。
カゥヨンの罠にかかってしまったホワイトスカ―戦団は、移動可能な「タイドウォール」の防御壁に包囲されて、タウ軍の防衛線を打ち破ることが出来なかった。窮地に立たされたコルッサーロは航空支援を要請し、その隙をついて一時撤退に成功した。一方、同時期にレイヴンガード戦団は浸透戦術による襲撃を開始する。
待ち伏せによりタウの司令(コマンダー)を襲撃し、スナイパーのスカウトが敵将を討ち取るが、これはレイヴンガード戦団の位置を割り出すためのタウの囮作戦であった。隠れていたクルートの部隊がレイヴンガード戦団に襲いかかり、航空支援と追加戦力の投入を要請したが、タウはすぐさま戦闘機「レイザーシャーク」によって妨害を行い、残存勢力に大きなダメージを与える事に成功する。
ここで防戦一方であったレイヴンガードはさらなる窮地に陥る。影の主として活動していた同胞「コーヴィン・セヴェラックス」は、シャドウサンを討ちとったかに見えたが、しかしそれは影武者であった。
タウの最新バトルスーツ「X95 ゴーストキール・バトルスーツ」に搭乗したシャドウサンは、コーヴィン・セヴェラックスを討ち取ったのだ。これに対してレイヴンガードたちは、熾烈な復讐を敢行するため不仲であったホワイトスカ―戦団との同盟を固めてタウ軍に敢然と立ち向かっていったのだ。
ホワイトスカ―とレイヴンガードは互いの能力を発揮し、タウ軍に多大なる損害を与えた。恐るべき反撃にタウ軍も反撃に出たが、ストームシーアの放つ異能による嵐とテリン宗家のインペリアルナイトによって、リップタイド・バトルスーツは大きなダメージを受け、バトルスーツ・チームによる側面攻撃もスペースマリーンたちによって阻止された。
ここでさらなる新兵器である「KV128 ストームサージ・バトルスーツ」の登場によって、ホワイトスカ―のストームシーアたちはことごとく撃破された。さらにタウは大型のバトルスーツである各種バリスティックスーツを、インペリアルナイトに対して攻撃を集中させてゆく。
戦況の流れはタウ軍優勢に変わってゆき、ホワイトスカ―とレイヴンガードそしてテリン宗家らは撤退を余儀なくされてしまった。その後、タウの援軍が続々とプリフェクティアへと到着すると、惑星内にあった最後の〈帝国〉の要塞は陥落し、惑星プリフェクティアの戦いはタウ・エンパイアの勝利で幕を閉じた。
やがて、惑星プリフェクティアは「ヴァスタロス」と改名され、タウ・エンパイアではこの勝利を英雄シャドウサンと共に祝福した。そして、この報せは後に〈先見者の隔絶領〉にも届き、コマンダー・ファーサイトは民衆を集めてタウの歴史を大きく変える戦争へと身を投じることとなる。
【第二次アグレラン戦役】
プレフェクティア戦役で勝利を収めたコマンダー・シャドウサン率いるタウ軍。その後すぐに至高導師「アゥン=ヴァ」は、再整備と再配備を行うため勝利を収めたタウ軍の半分を〈ム=グラーフの入り江〉へと帰還させた。
しかし〈帝国〉はプリフェクティアの喪失させた代わりに、大規模な報復艦隊を〈ム=グラーフの入り江〉へと差し向けて、そこを奪還しようとしていたのだ。「ホーク提督」率いる「タスクフォース・リトリビューション」の帝国海軍部隊は惑星「ムグラス」の近くへと到着するが、軌道上に展開しているタウ軍の防衛戦力が高すぎるために、地上戦が展開できずにいた。
そこで、レイヴンガード戦団の戦団長に任命されたケイヴァーン・シュライクはレイヴンガード戦団を率いて、軌道上の防衛プラットフォームに忍び込んでプラズマリアクターにメルタボムを爆発させて、それらを連鎖的に破壊する事に成功した。難攻不落の防衛網を破壊され、タウ軍は人類の攻撃の速度と規模に衝撃を受けた。
すぐさま、シャドウサンは地表の砲台に迎撃命令を出し軌道上の〈帝国〉軍を撃破しようとするが、敵に惑星への降下を止めることが出来なかった。〈帝国〉軍は「ロードジェネラル・トロスクザー」率いる「帝国防衛軍」(アストラミリタルム)の「ケイディア連隊」と、レイヴンガード戦団、ホワイトスカ―戦団、そして「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)を投入し、ムグラスの地表へと降り立ったのだ。
トロスクザーとシュライクはこの惑星の3つの主要拠点、すなわち「中央」、「東部」、「西部」三つの拠点を中心として軍を展開していった。これら三つの軍は最終的に、惑星におけるタウ最大の都市である旧首都のハイヴシティー、「アグレラン・プライム」へと集結するようになっている。
〈帝国〉軍は上陸地点を確保した後、西部戦線を率いてアグレランの砂漠を突き進んだ。タウ軍は直接的な抵抗戦は避け、ヒット・アンド・アウェイ戦法を用いて戦線を維持しようとしたが、レイヴンガードの駆る強襲揚陸艇「サンダーホーク・ガンシップ」によって阻まれた。
その一方でタウ軍は、アデプトゥス・メカニカスと、帝国防衛軍の機甲部隊との戦闘が繰り広げられた。中でもタウ軍の機甲部隊は伝説のタンク・エース「ロングストライク」に率いられており、見えない位置から「ハンマーヘッドガンシップ」で〈帝国〉の戦闘車両を血まみれの大混乱に陥れた。
しかし、〈帝国〉軍からもかの有名なケイディアのタンクエース「パスク大令騎士」が参戦していたのだ。ロングストライクとパスクは互いに熾烈な戦車での戦闘を繰り広げ、十分なダメージを与えた後にタウ軍はすぐに撤退してしまうが、パスクが率いるケイディア超重戦車部隊が突如として現れ、撤退を阻まれてしまう。
すぐさまシャドウサンは援軍を投入し、オルカからバトルスーツ・チームを投下させて超重戦車部隊の反撃を封じたのだ。その後黒き遺跡での戦いの後、〈帝国〉の西部先鋒隊は、アグレランにおけるタウ軍最大の軍事複合施設へと進軍を開始する。
スペースマリーンとスキタリの軍勢による猛攻でタウ軍の防衛ラインは、第二、第三と撤退し、もはやシャドウサン自身も窮地に立たされたその時、空が赤く染まったのだ。その場に颯爽と登場したのはなんと、「先見者たる司令」(コマンダー・ファーサイト)率いる〈先見者の隔絶領〉の軍勢だったのだ。
ファーサイトに引き続いて彼の親衛隊である「八勇傑」(ジ・エイト)たちが急接近戦法「モント=カ」を〈帝国〉軍に仕掛け、ファーサイト軍はタウ軍を援助したのだ。〈大善大同〉に反し、独自の領地を有する裏切り者である〈先見者の隔絶領〉が、再びタウ・エンパイアのために戦う姿は、多くのタウに衝撃を与えた。
それまで勝利を確信していた〈帝国〉軍の流れは一気に覆され、展開していた軍を退却せざるを得なくなった。そのまま退却する〈帝国〉軍を追撃するタウ軍は、「ブラックフォッシル・リッジ」全域で激しい戦闘を展開する。
タウ軍は〈帝国〉軍の「オグリン」からの反撃で停滞していたが、ファーサイト率いる八勇傑たちは反撃を何とか食い止める事に成功した。〈帝国〉軍側も新たな援軍を投入するも、「ストームサージ・バトルスーツ」やロングストライク、そしてファーサイトがそれらを退けることが成功した。
しかし、南の方角から〈帝国〉軍のさらなる援軍が到着し、タウ軍は数の上で不利な状況に陥ってしまう。タウ軍はすぐさまヒット・アンド・アウェイ戦法に切り替えて、シャドウサンはファーサイトたちを支援していった。
【暗殺者の脅威】
〈帝国〉軍はこの戦役での勝利が困難だと判断し、遂に必殺の切り札を投入することとなる。それは、「帝国暗殺局」(オフィシオ・アサシノルム)のエージェントを投入し、タウの政治中枢と軍事中枢の重要人物を暗殺する作戦を決行したのだ。
たとえ、アグレランを異種族から取り戻せなかったとしても、タウは優秀なリーダーや司令官を失うであろうと目論んでいた。その一方、タウ軍はヒット・アンド・アウェイ戦法を続けつつも更に戦いは激化していった。
そして、タウ語で「ロ=ヴァシュタウ」と呼ばれている都市は、ケイヴァーン・シュライクとコルッサーロ・ハーン率いるスペースマリーンたちによって攻撃が敢行された。タウのパスファインダーとドローン・スナイパー・チームは待ち伏せを行い、攻めてくるスペースマリーンたちを食い止めていった。
その時、〈帝国〉軍から主力部隊の猛攻撃が始まり、雷鳴のような砲撃とそれに続いてやって来るインペリアルナイトと超重戦車が大きな波となって襲いかかってきたのだ。戦闘が激化する中、帝国暗殺局のエージェントたちが到着し、まずはコマンダー・ファーサイトを抹殺するために狙撃手暗殺者である「ヴィンディケイターアサシン」が戦場へと降り立った。
タウの副指令「ダークストライダー」率いるパスファインダー隊の包囲を突破し、ヴィンディケイターはファーサイトを狙撃しようとしたが、八勇傑の一人である「コマンダー・ブレイヴストーム」が庇って戦死してしまう。ファーサイトは助かったが、ダークストライダーによる反撃でアサシンは撃破されるも、彼を除くパスファインダーは全員戦死してしまう。
更に間髪入れずに暗殺者「エヴァ―サーアサシン」は複数のクライシススーツを撃破し、ファーサイトへと襲いかかるが、八勇傑の一人である「オブロタイ9-0」が重傷を負いながらもエヴァ―サーアサシン撃破に成功する。その一方で、シャドウサンはタウ軍を集結させて〈帝国〉軍の攻撃を次々と退けていった。
しかし、彼女は移動式の指令室にいた際、導師「アゥン=カァ」に扮した潜入を得意とする暗殺者「キャリダスアサシン」に襲われてしまう。シャドウサンは負傷してしまうも、その場にいたボディーガードとの共闘にて撃退する事に成功する。
タウ軍内部に放たれた暗殺者たちは次々と撃破されていく中、遂に最大の悲劇が彼らにもたらされる。〈帝国〉の包囲を受けていたムグラース湾にて、導師アゥン=ヴァが指揮を執る秘匿掩蔽壕を暗殺局のエージェントに発見されてしまう。
対異能者の能力を持っている「キュレクサスアサシン」は秘匿掩蔽壕へと侵入し、異能力によって索敵センサーやAI、反重力装置をことごとく誤作動や機能停止に追い込んでしまう。導師の護衛をしていた兵士は異能力で発狂死してしまい、アゥン=ヴァはその場から逃亡してしまう。
しかし、至高導師アゥン=ヴァは逃走中に遂にキュレクサスアサシンによって殺害されてしまったのだ。この時、タウ・エンパイアは優秀な指導者を失ってしまったのである。
【厳しき辛勝】
この戦いで〈帝国〉軍は大きな損失を被ってしまった。ホワイトスカ―戦団の第三中隊はすぐさま拠点惑星である「チョゴリス」がケイオススペースマリーンの「レッド・コルセア」に包囲されているため、直ちに帰投してしまう。
その直後、トロスクザーに代わって新たな主将が指揮を執り、アグレランからの即時撤退を命じた。撤退の際、スタークザーンが負傷し、帝国の前進を妨げる嵐が不思議なことに収まった。
撤退作戦中、〈帝国〉軍は待ち伏せや空からの攻撃に耐えていたが、大半は惑星から脱出することに成功する。しかし、ホーク提督は最後の悪あがきとして、避難が完了した後にアグレランに対して「究極浄化」を実行した。
〈帝国〉軍が放った特殊な魚雷が惑星の北半球を燃やし、数百万のタウと残された人間は浄化の炎に包まれて焼き殺された。〈帝国〉軍が撤退し、シャドウサンはタウの宇宙船で治療を受けて、以前に受けた傷から回復していた。
シャドウサンはタウの至高評議会からファーサイトを逮捕するように命令を受け、不本意ながら彼を逮捕しようとしたが、実は彼女は事前にファーサイトとへとその情報を提供し、かつての盟友に逃げる機会を与えいていたのだ。無事にファーサイト率いる〈先見者の隔絶領〉の軍はその場を離れたが、後にファーサイトは異種族「ティラニッド」の巣窟艦隊「リヴァイアサン」から惑星「テ=ラスラ」を救うための決心をしたのであった。
だが輝かしき勝利の裏には、偉大な指導者を失った暗き現実が後にタウ・エンパイアを襲うのであった。
第四次天球拡張
【銀河の亀裂】
第41千年紀末期に起きた第二次アグレラン戦役の後、タウ・エンパイアによる天球拡張は困難な状況に陥っていた。〈ム=グラーフの入り江〉を経由して版図拡大を続ける進路は塞がれ、東部辺境宙域からはティラニッドの巣窟艦隊「ゴルゴン」の侵攻によって不毛な「死滅惑星」(デッドワールド)が増え続け、西側には機械異種族「ネクロン」の「ソーテク王朝」が艦隊を揃えて守りを固めていた。
そんな中、銀河に未曾有の大災害が発生する。銀河を横断する〈歪み〉の裂け目である〈呪わしき傷跡〉(シカトリックス・マレディクトゥム)が発生し、銀河を南北に二分したのだ。
〈呪わしき傷跡〉は〈大亀裂〉などの様々な異名で呼ばれているが、タウ語では「モンテ=ィヘヴァ」(希望を貪り喰らう者)として知られている。荒れ狂う異空間のエネルギーの大波と超自然の暗黒を放出し、無数の惑星や艦隊、軍勢が裂け目へと呑み込まれており、タウ・エンパイアもその被害を受けていた。
そして何よりもタウ・エンパイアによって重大な問題が、偉大なるリーダーであった至高導師「アゥン=ヴァ」を失ったことによる指導者不在の問題であった。第二次アグレラン戦役の後、タウの至高評議会はアゥン=ヴァの戦死を民衆に発表せず、勝利演説を放送する際は彼のホログラムを用いてその場をしのいだ。
至高評議会はその後、彼の記憶と個性を忠実に再現したAIホログラムをデバイスに移植し、死後もホログラムとして仮初めの復活を遂げたのだ。天球拡張を行うための新たなルートは四方八方塞がりとなってしまい、度重なる困難が降り注ぐ中でタウ・エンパイアは、問題が山積みとなっていったのである。
【ワームホールを抜けて】
様々な災禍が降り注ぐ中、至高評議会は議論を重ね最終的にはリスクが伴う事を承知し、〈第四次天球拡張〉を始動する事を決定した。しかし、導師たちも考え無しで計画を実行するわけではなかった。
地のカーストはクルートたちが捕食した人類方得た知識を元にして、ついに念願のFTL(超光速)技術を実現する「AL-38 スリップストリーム機関群」が開発されたのである。この新技術は反物質の膜を生成し、それで宇宙船を泡のように包みこむことによってタウ艦隊は光を超える驚異的なスピードで航行することが可能となり、「コマンダー・スレ・ストライク」指揮の下、新たな天球拡張の開始が宣言されたのだ。
しかし、この装置を開発した「フィオ=ヴレ・カ=ブート」によれば、初期の試運転は成功したものの、更なる試験と改良の必要性を訴えた。しかし、導師たちはその懸念を一蹴し、天球拡張を開始したのである。
まずは「ヌメナール・ポイント」と呼ばれる宙域に集結したスレ・ストライク艦隊はFTL航法を実行しようとしたが、スリップストリームによる航行を行うには艦隊の規模が大きすぎたため、艦隊に災害が発生してしまった。反物質フィールドによる複数の現実の乱れが連鎖反応を引き起こし、時空間に大きな裂け目を作ってしまったのだ。
裂け目はタウ艦体を襲い、そのまま呑み込んでしまったのだ。この惨事はタウ・エンパイア全体に中継され、導師たちはこの大惨事に関するすべての情報を封じ込めるために奔走した。
しかし、この裂け目が予想だにしていない結果をもたらした。悪夢のような異次元に呑み込まれた艦隊の3/4は、タウにとって未確認の怪物によって破壊されてしまった。
生き残った艦隊は、そこで物質世界を超越した謎の存在と遭遇することになる。それはタウ族の思念によって作られた渾沌の神のようであり、〈歪み〉の内部に潜む多腕を持つ謎の存在によって生存した艦隊は、最終的に〈人類の帝国〉の領地である「チャルナス・エクスパンス」へと現れた。
艦隊は長い年月を経て通信ドローンを用いて裂け目からのワームホールを経由し、タウ本国との連絡が開始される。このワームホールは「スタータイド星間結合」と呼称され、後に〈第五天球拡張〉の足がかりとして利用されることとなった。
タウ艦隊は早速、スタータイド星間結合で到達した最初の領域を要塞化し、そこを〈ネム=ヤール環礁〉と名付けて版図を拡大した。被害は出たものの、ワームホールを経由して新天地を目指すこととなったタウ・エンパイアだったが、あの惨事を目の当たりにした生存者は次々と狂気に駆られ、第四、第五天球拡張時には不可解な事件が数多く発生したという。
第五次天球拡張
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P4,P5 イラストより
【疫病の申し子】
遂に新天地を手にしたタウ・エンパイアは第42千年紀の時代に〈第五天球拡張〉を宣言し、コマンダー・シャドウサン率いる艦隊はコマンダー・スレ・ストライク率いる〈第四天球拡張〉の生存者艦隊と合流し、スタータイド星間結合を通じて〈ネム=ヤール環礁〉へと艦隊を率いた。ワームホールの先で待っていたかつての〈第四天球拡張〉における生存者たちに迎え入れられ、〈ネム=ヤール環礁〉からの版図拡張を開始する。
その後、シャドウサンはワームホールを抜けた生存者を自らの艦隊へと組み込み、〈ネム=ヤール環礁〉の拡大を進めた。しかし、その数か月後、渾沌の神「ナーグル」を信奉するケイオススペースマリーンの一団「デスガード」の大艦隊が現れ、シャドウサン率いる艦隊へと迫ってきたのである。
不意を突かれたシャドウサンの艦隊は直ちに領域拡張は中止し、散らばっていた軍を集結させて腐敗の軍勢に立ち向かったのである。デスガードたちはスタータイド星間結合を通じてタウ・エンパイアの本国へと侵攻しようとしており、シャドウサンたちは決死の防衛戦を強いられることとなったのだ。
【スタータイド星間結合の戦い】
遂にタウ・エンパイアは、未知の軍勢である渾沌勢力との本格的な大規模戦闘が繰り広げられることとなった。〈ネム=ヤール環礁〉へと侵攻してきたデスガードの大艦隊は、まず環礁内にあるスタータイド星間結合を防衛している軌道ステーションへと攻撃を仕掛ける。
攻撃を受けたタウ軍は驚異的な速度で対応してデスガード側の艦船を次々と撃破したが、あまりにも多い艦船の数に圧倒されてしまう。そのまま進撃してきたデスガードたちは、衛星軌道ステーションへと侵入し、内部で激しい白兵戦が繰り広げられた。
戦いはデスガード側が優勢となり、タウ軍は何千人もの兵をスタータイド星間結合防衛のために損失させてしまう。ステーションへの襲撃を知ったシャドウサンは直ちに援護へと向かい、自らの艦隊を複数の小規模戦闘グループへと分割して、それぞれのグループに独自の目標を持たせて行動するよう命じた。
あるグループは防衛拠点の確保を行い、またあるグループはデスガード艦隊との交戦を行い、さらにおとりの作戦を仕掛けるグループなど、それぞれグループは着実に自らに課された任務を遂行していった。しかし、これらの努力にもかかわらず、デスガードの進撃を止めることが出来なかった。
遂にデスガードの艦隊はスタータイド星間結合の入り口に向かって進み、シャドウサンはもはや勝利は不可能と確信していた。彼女はタウ・エンパイア本国に、デスガードの襲来を警告するためのドローンを送り込んだ。
デスガードの艦船はスタータイド星間結合へと侵入したが、なぜか一部の艦船は突如撤退をしてしまった。さらに不可解なことが起こり、ワームホールへと侵入したデスガード艦隊が、タウ軍の防衛艦隊の待つ本国側から出てこなかったのだ。
その後、タウ軍は数か月間、万全を期す準備を行ってワームホールから出てくるであろう、デスガードの軍勢を待ち構えていた。しかし、デスガードの軍勢は現れず、熾烈な防衛戦は謎を残したまま終わりを告げた。
デスガードは何か別の目的があって撤退したと思われるが、タウはそれを知る由もなかった。
【新たなる拡張】
多大な代償を支払って、デスガードを退けたタウ軍であったが、シャドウサンは次なる戦いに備えるためにスタータイド星間結合の防衛を再構築し、新たなるコロニーを探すために〈第五天球拡張〉を再開した。入植対象となる惑星を見つける事は難しくなかった。
そうした惑星の多くは、拡大を続けるタウの命脈を支え、豊富な資源を誇ることができる、〈ネム=ヤール環礁〉の近くに位置していた。だが、これらの惑星の大半は〈人類の帝国〉の領土であり、シャドウサンは通常通り人類の諸惑星に対して、〈大善大同〉への服従と引き換えに平和と保護を約束した。
彼女の指揮下であった水のカーストの外交官は、かつて〈帝国〉に属していたタウ領諸惑星が現在どれほどの繁栄に浴しているかを情熱的に説いていった。だが、それは全く奏功せず、惑星の大半が断固としてタウを拒否する結果に終わってしまった。
シャドウサンは要求を拒んだ各惑星へと宣戦布告する前に、落胆して首を横に振り「リアトフ」、「タクサリル」、「エンヌア」、「ユーセニア」で知られる〈帝国〉の諸星系の命運を、各方面軍の指揮官に委ねられた。シャドウサン率いるタウ軍はいくつかの惑星で混乱した情報が発生した状況を発見した。
一部では〈帝国〉の制服を着用した軍隊同士で紛争が繰り広げられていた。衛星軌道上では〈帝国〉の艦隊同士が激しい戦闘を行い、死の砲火を交えていたのだ。
傍受された〈帝国〉の通信は混乱し、いずれも発信元がパニックに陥っていたことは明白であった。人類の大半が「星辰波」(アストロノミカン)の途絶、皇帝の灯火が喪失した事態を話題にしていた。
一部には、星々の神々の降臨に備えて立ち上がるよう、主張する「ジーンスティーラー教団」による呼びかけも入ってきた。もはや惑星間の相互通信は事実上断絶しており、各惑星は混乱の渦に巻き込まれていたのだ。
こうした混乱状態の標的を制圧する事は容易であると確信したシャドウサンは、帝国防衛軍とジーンスティーラー教団が激闘を繰り広げている戦場へ、一気呵成に打って出たのである。タウ艦体はレールガン砲兵部隊やイオンキャノンアレイ、起動爆撃によって惑星の防衛ステーションを破壊し、地上降下以前に敵の支援火力を沈黙させることに成功する。
〈帝国〉の艦隊同士が戦闘を開始する中、タウ艦体は砲撃の的になる事を避け、「ブリーチャー・チーム」を動員して〈帝国〉の艦船に乗船してでの攻撃を敢行した。船内で発見されたのは、予想通り負傷し、疲弊した人類の乗組員たちだったが、一部には不安定な行動の部分的な説明となる、異質で不穏な存在を供述していた。
その一方、地表への強襲降下を果たしたタウ地上部隊もまた、彼らに対峙した憎悪の中に予期せぬ存在を発見し、驚きを禁じ得なかった。
【潜んでいた敵】
タウが強襲降下作戦を展開した〈人類の帝国〉の諸惑星は内乱状態に陥っていた。〈帝国〉の通信網が必死に伝えようとしていたのは、異種族、叛乱、武装蜂起に関する情報だった。
タウ軍は強襲降下に際して激しい対空砲火があるものと予想し、攻撃タイミングの数分から数時間における大きな損失の可能性を考慮した。だがその予想に反し、「マンタ」及び「オルカ」の降下艇は一発の対空砲火を受けることもなかった。
地上の砲手たちは、全く別の敵によって制圧されていたのだ。ファイアウォリアーとクライシス・バトルスーツチームは、複数の戦線で交戦状態となっている状況に気付いた。
彼らは帝国防衛軍の徹底抗戦に備えていたが、大半は鋭い鉤爪を備えた三本腕の怪物に奇襲され、多大な損害が生じていた。不自然に盛り上がった額、腕が三本ないし四本ある異種族が戦場で待ち受けていたという事実がタウの指揮系統の上層部に到達した。
これが〈帝国〉の歴史を通じて収集されたデータと相互参照された結果、シャドウサンは冷静に事実を認識した。タウの敵は、人間とティラニッドのおぞましきハイブリッド(混合種)である可能性が高かったのだ。
だが、これの意味するところをまだタウが理解する事は出来なかった。〈大善大同〉の大儀の前には、いかなる脅威に対する敗北も許されぬことだけは明白だったが・・。
【皇帝陛下のもたらす奇跡】
主な戦場となったのは、〈帝国〉の聖地である「ザクサリル」星系の礼拝惑星「アストラギウス」であった。カゥヨンの達人であるシャドウサンは、まず惑星が内戦寸前に混乱するまで数か月待ったうえで、上陸部隊を出撃させた。
大聖堂都市の砲撃が火を噴いたが、タウ軍は現地協力者からの情報で都市の安全な区画に落着する。タウが得意とする一撃離脱戦法と、〈帝国〉の火力重視戦法がぶつかり合い、地上での戦いは本格的に激化し始める。
戦況はタウ側が有利となり、〈帝国〉側の降伏は早いように思われたが、人類側のゲリラ戦による抵抗がシャドウサンの予想以上に激しいものとなった。更に前線から報告される、帝国正教の司祭による「信仰の奇跡」が次々と〈帝国〉軍側に幸運をもたらし、非科学的な現象にシャドウサンは困惑していた。
こうした”皇帝陛下による奇跡“を目の当たりにしたタウ軍に所属する人類の間から、嘆きながら皇帝に赦しを請い、再び〈帝国〉に戻る者まで現れてしまう。勢いづいていたカゥヨンは、不可解な錯乱と狂気にかかった混乱へと落ちていき、タウ側は徐々に不利となっていく。
この騒乱に乗じて「修道聖女会」(アデプタ・ソロリタス)の「神薔薇修道会」が参戦し、彼らが出くわした全ての異端者を一掃しながら、皇帝陛下に忠実な者たちを救出した。
【狂信は〈大善大同〉に勝る】
タウ側の軍がかかった不可解な狂気と混乱には原因があり、タウが「希望をむさぼるもの」と呼ぶティラニッドと遭遇したときに発生した現象であり、このことは導師たちの間で秘匿されていた。そして、人類の間に奇怪な異形が目撃されたと証言したタウ兵は、すぐさま隔離収容された。
人類の熱狂的な信仰心をくじくため、シャドウサンは惑星最大の聖堂都市である「イグレソール・マグナ」の攻略を軍に命じた。ここが陥落すれば、人類は皇帝陛下のもたらした奇跡など存在しないことを悟り、敵軍は〈大善大同〉に与するであろうと考えたのだ。
イグレソール・マグナはタウ軍によって完全に包囲され、リップタイドとゴーストキールのバトルスーツによる待ち伏せによって、敵側の援軍も撃破された。シャドウサンはひとつだけ逃げ道をあけて人類側の必死の抵抗をやわらげ、投降をうながそうとしたが、〈帝国〉軍はそれでも抵抗を続けた。
タウ軍は残存勢力を殲滅するため、市街地への侵攻を開始するが、しかし敵側からの反撃はなく街中は不気味なほどに静まり返っていた。この状況を見たシャドウサンは敵側の罠であると予想したが、そうした抵抗を粉砕する事で、敵の士気を減滅させることができると見ていた。
だが、その予想は人類を侮り過ぎていたことをこの後実をもって知ることとなる。市街地には礼拝堂や聖堂が無数に集まっており、ファイアウォリアーとバトルスーツの部隊が遭遇したのは、幾多の建物や地下壕に隠されていた帝国防衛軍の秘密陣地であった。
すぐさまタウ軍はそれらを排除しようとしたが、敵の陣地の守りは固く、巨大な建造物や地下道、各種通路などで熾烈な市街戦が繰り広げられた。戦いは激しい消耗戦となっていったが、タウ軍は包囲網を狭めてゆき、〈帝国〉軍をじわじわと追い詰めていった。
だが、それでも人類は降伏せずに抵抗戦を続けた。更にシャドウサンは、タウ軍における人類部隊に広がる捕虜虐殺と略奪の蛮行に頭を悩ませていた。
ティラニッド起源と思われる悪しきサイキックがタウ軍内部の人間たちを狂わせていたのである。イグレソール・マグナ内での最終局面で帝国防衛軍は大挙突破による一か八かの賭けに出た。
追い詰められた〈帝国〉軍は機甲車両と兵士を集めて全面攻勢を仕掛け、市街地からの脱出を図ったのである。一時は都市西部を席巻していたが、クライシス・バトルスーツ・チームとデビルフィッシュ隊によって全面攻勢は阻止された。
最後の賭けに敗れた〈帝国〉軍は士気を打ち砕かれ、脱走する兵士は次々と降伏していく中、市街地に残った残存勢力は完全に殲滅された。イグレソール・マグナは陥落し、その様子はシャドウサンによって惑星全土へと大々的に放送されたのだ。
しかし、惑星アストラギウスではまだ戦闘が続いており、シャドウサンは次なる戦場へと赴いた。そんな中彼女は、あまりにも大量の血が流されたことに衝撃を受け、深い悲しみに包まれた。
斃れた者の死を無駄にしないために、シャドウサンは戦い戦い続けるしかなかったのだ。
カースト制度と身体の特徴
画像出典:ゲーム「Battlefleet Gothic: Armada」 「Tau Empire Trailer」より
【概要】
〈大善大同〉の理念を完全吸収したタウは、その目的に向かって邁進するのみならず、自らの種族の容貌までも〈大善大同〉の理念を具現化するものへと変わっていた。タウ先史時代(モン=タウ、すなわち〈死の時代〉と呼ばれる)より、タウの社会は厳格なるカースト制度へと分けられており、いずれのカーストも、社会の中で特定の役割を担ってきた。
このカースト制度は階級による支配ではなく、個人が持つ専門の技術や技能に応じて役割が決定されるというものだ。各カーストが自らの専門的な役割に貢献することで、全体として極めて強い総和の力を発揮するのだ。
【身体の特徴】
タウ族は皆、姿かたちは人類によく似ているが、大きな蹄のような足先を持ち、また青みがかった灰色のなめし革のように硬い肌によって覆われている。細かい色調は異なるが、植民惑星が太陽に近ければ近いほど、そこに住む者たちの肌はより青みが強くなる傾向にあるようだ。
長い時の流れの中で、タウの各カーストは自らに与えられた役割に応じて更に進化してゆき、タウという大きな種族の中の亜種として独自の発達をとげてきた。タウは生まれながらにしていずれかのカーストに所属しており、異なるカースト同士で子供を産むことは、導師(エセリアル)・・・すなわちタウ・エンパイアの支配階級である謎めいた第五のカーストに属する者たちによって禁じられている。
また、タウ族の筋力は人間族よりも劣っており、白兵戦では大変不利な状況に追い込まれる。
【タウ・エンパイアの各カースト】
タウの社会を構成する各カーストは以下の五種類である。
【概要】
火のカーストはタウの戦士階級であり、その使命は他のカーストを守り、タウ・エンパイアの理念に背く愚かなる敵を排除する事にある。火のカーストは、平原に住んでいた古の狩猟民族を起源とするが、当時から彼らの強靭さと攻撃性は全てのタウの中で群を抜くものであった。
そして時が経つにつれ、火のカーストとして望ましい特質である頑強さが増し、より大きな体格を持つようになり、力なき者たちは淘汰されていった。彼らは〈火の掟〉(これはタウ語で「戦士道」を意味する)と呼ばれるルールによって導かれている。
彼らは〈火の掟〉を厳格に守っているが、だからといって彼らは融通の利かない頑固者ではない。彼らは荒々しい接近戦よりも火器による射撃戦を好んでおり、もともと接近戦に弱いタウ族の道理に合っている戦術をとっている。
〈火の掟〉は、「栄誉」、「忍従」、「奉仕」、そして「自己犠牲」の四代規範に重きを置く。ゆえにタウの軍事組織である火のカーストは、戦闘や、それに備えた訓練に、自らの生涯を費やす。
彼ら火のカーストが遵守している〈火の掟〉を新兵に叩き込むのが、〈火階の兵学校〉と呼ばれる教育機関である。〈火階の兵学校〉は、過酷な集団訓練を通して、肉体の鍛錬と狙撃兵の本分、小規模部隊の戦術と火力支援の重要性を徹底して教育する。
その後、男女関係なくある一定の年齢に達すると、まず初年兵として「兵士」(シャス=ラ)として最前線に送られる。4年後、生き残っていた者だけが最初の〈火の試練〉が課され、それを乗り越えた者だけがタウ・エンパイアの誇るロボット兵器「バトルスーツ」の操縦が許可される「古参兵」(シャス=ウィ)のランクに上がる。
それはタウの間にとっては大いなる名誉とみなされており、火のカーストに属するあらゆるタウたちの目標となっている。その後、更に4年間生き延びた兵は第二の試練が待ち構えており、それを乗り越えた者はさらに「英雄」(シャス=ヴレ)の位階上がる。
シャス=ヴレの位階は火のカーストに所属する真の英雄としての称号である。そしてその称号を得て、さらに4年間生き延びた者には第三の試練を受ける資格を得る。
それを乗り越えた者は「貴族(あるいは騎士)」(シャス=エル)すなわち司令官見習いとなり、さらに武勲を重ねていけば、最終的には「司令官」(コマンダー)、すなわち「シャス=ウォ」となるのだ。その4年後、生きて司令官としての職務を全うした者は退役を認められ、以後は「識者評議会」の議員として、政界で重要な役割を果たすことになる。
自身の死を除けば、これ以外に火のカーストが軍務を離れる方法はない。彼らが軍務を果たすその間は絶えず戦術を磨き続けており、戦闘技術を向上させることに余念がないのだ。
【階級】
タウ語 | 意味 |
---|---|
シャス=サール | 士官候補生 |
シャス=ラ | 兵士 |
シャス=ウィ | 古参兵 |
シャス=ヴレ | 英雄 |
シャス=エル | 貴族(あるいは騎士) |
シャス=ウォ | 司令官 |
【概要】
地のカーストには、職人、建築者、労働者が含まれており、その人口は他のカーストに比べて群を抜いて多い。機械を製造し、住居を築き、タウ・エンパイアの他階級に食料を供給するのは、すべて彼らの仕事だ。
地のカーストが存在しなければ、農場は食料を生産せず、工場は操業しない。地のカーストの中でも単純作業者たちは、頑強なる労働者たちであり、労力を惜しむことなく働き続ける。
そして、地のカーストの中でも頭脳明晰なる者は、エンジニアや科学者、発明家となるが、彼らの能力は比類なきものだ。エンジニアや科学者は、テクノロジーの捕手と発展に全責任を負っており、自分たちが作り出した機械の仕組みを完全に理解している。
古代技術の模倣と崇拝しかできない、どこぞの〈人類の帝国〉の「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)とは訳が違うのだ。タウ・エンパイアのあらゆる階級の社会に普及する最新式の機械を製造したり、多くの技術革新をもたらすのは、まぎれもなく彼ら地のカーストなのである。
【階級】
タウ語 | 意味 |
---|---|
フィオ=サール | 見習い労働者 |
フィオ=ラ | 一般労働者 |
フィオ=ウィ | 熟練労働者 |
フィオ=ヴレ | 監督 |
フィオ=エル | エンジニア |
フィオ=ウォ | プランナー |
【概要】
水とは、あらゆる生物に普遍的に存在する元素である。水か流れ続けているからこそ、生物は生存していられるのだ。
役人、政治家、交渉官、行政官などの職は、水のカーストに属するタウによって担われている。水のカーストは商人や外交官でもあり、他のカーストや、タウに組み入れられた他種族たちとの間を取り持ち、社会が円滑に機能するよう気を配っている。
彼らは相手の恐れを軽減し、あらゆる交渉事を極めて効率的に運ぶ。タウの中でもこの役割を担う者たちは、昔から言葉を操る才能に長けており、長い時の流れの中でこれをさらに発達させてきた。
水のカーストは他種族の言語を容易に習得できるほか、コミュニケーションにおける微細なニュアンスでさえも模倣できるという、卓越した能力を持つ。
水のカーストに所属する者は、しばしばタウの軍勢に交渉官として同行することもある。軍付の交渉官は、他種族が支配する星系を通過する時の安全確保や、タウの商人や入植者の通行許可を取り付けたりするようだ。
【階級】
タウ語 | 意味 |
---|---|
ポー=サール | アシスタント |
ポー=ラ | 官僚 |
ポー=ウィ | 使者 |
ポー=ヴレ | 行政官 |
ポー=エル | 外交官 |
ポー=ウォ | 大使 |
【概要】
古代、風のカーストに属するタウは、使者として社会に貢献していたが、現在彼らは宇宙船の操縦士や乗組員であり、必要とされている場所に物資や人々の輸送を行うという役割を担っている。彼らが惑星に降り立つことは稀であるため、“人目に付く事無き集団(あるいは“見えざるカースト”と呼ばれることもある)として知られている。”
風のカーストに属する者が人生の大半を過ごすのは、宇宙航行や宇宙ステーションの中だ。彼らの体はこの新たな環境に合わせて進化し、かつてのように翼を持つことはなくなったが、その代わりに低重力での生活に合わせてその体格は細く長くなり、そして軽くなっていった。
骨の中が空洞になっているため、風のカーストの操縦師は急激な加速に耐えることができる。だがその反面、惑星地表部の重力下では、彼らの動くは弱々しくぎこちないものになってしまう。
戦闘において、風のカーストは打撃戦闘機のクルーとして空から死の雨を降らせたり、地上で戦うファイアウォリアーを爆撃機によって支援する役割を担っている。
【階級】
タウ語 | 意味 |
---|---|
コー=サール | 配達人 |
コー=ラ | メッセンジャー |
コー=ウィ | キャリアー |
コー=ヴレ | パイロット |
コー=エル | キャプテン |
コー=ウォ | 提督 |
【概要】
エセリアル(導師)たちは、タウ・エンパイアを形成する各カーストを束ねる紛れもない指導者たちだ。エセリアルは他のカーストよりも長命であり、精神的そして政治的な指揮を執る事を目的としている。
霊のカーストは、ばらばらだったタウの諸氏族を統一した謎めいた一団をその祖としている。彼らの指示によって、タウ・エンパイアのあらゆる面は、誰もが疑う余地もないほど完璧な方法で形成され、進行してゆくのだ。
彼らは究極的なまでの権限を有しており、最も賢明な導師たちによって構成された「最高代表評議会」をその最高意思決定機関としているという。各カーストの中でも最高位の一族は、彼らへの進言を許可されてはいる。
だが、ひとたび「最高代表評議会」の裁断が下れば、それに異を唱える事は何者にも許されてはいない。導師たちは、一種のフェロモンによって他のカーストの精神構造に干渉し、支配しているのではないか、との推測もある。
実際、タウは導師たちに対し、決して揺らぐことのない絶対的な忠誠心を抱いている。仮にエセリアルがタウに自決を命じるならば、彼らは一瞬もためらうことなく、その場自らの命を絶つであろう。
【階級】
タウ語 | 意味 |
---|---|
アゥン=サール | 卿 |
アゥン=ラ | prince |
アゥン=ウィ | 高位聖職者 |
アゥン=ヴレ | king |
アゥン=エル | 聖人 |
アゥン=ウォ | 導師 |
各種アイコンの画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau_Empire) P7イラストより
タウ・エンパイアの版図
【概要】
自らの惑星の大気圏から脱出して以来、タウの星間国家は成長を続け、五度の〈天球拡張〉によって多くの星々の間にその版図を広げている。彼らの植民星系である「家門」(セプト)のみならず、タウ・エンパイアの版図内には様々な環境の多種多様な惑星や、重要な異種族の拠点惑星や、タウが作り出した各種宇宙ステーションなどが浮かんでいるのだ。
タウの自国領内は宇宙船で亜光速移動を行い、〈帝国〉が用いる〈歪み〉を経由した危険なワープ航法による移動を行わない。そのため、自国領内では安全に移動することが可能となっている。
更にタウ・エンパイアは、遥か遠くの宙域〈ネム=ヤール環礁〉まで移動できるワームホールである「スタータイド星間結合」を手にし、さらなる版図拡大を目論んでいる。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P26イラストの図表を元に解説を追加
【宇宙要塞タ=シーロ】
家門と家門を隔てる宇宙空間に浮かぶのは、「タ=シーロ宇宙要塞」だ。これは宇宙潮流に逆らって半永久的に星間の定位置に浮かび続けるのに十分な出力のブースターと武装を有した宇宙ステーションである。
これらの巨大浮遊要塞については複数の型式と発展の歴史が存在するが、それらの中でも最も巨大なものは、大陸規模の都市にも匹敵するほどの人口を内部に抱えることが可能だ。
【〈パーダスの亀裂〉】
タウ・エンパイアから銀河北西方向に進むと、〈帝国〉の艦船の進入が以前から禁じられている宙域がある。宇宙探索に乗り出したタウも、その過程で、艦船の遭難事故が相次ぐこの危険宙域は通称〈パーダスの亀裂〉と呼ばれている。
この宙域では、〈歪み〉のエネルギーによって実在空間が蝕まれている。物理法則が限界を超えて歪められたかのような宙域では、時間と空間はもはや意味を成さない。
それどころか〈パーダスの亀裂〉は“悪夢の住人”がさまよい出てくることさえある。事実、〈パーダスの亀裂〉の近くに位置する「ダルイス家門」では、この亀裂から突如として現れた未知なる敵に対応すべく、非常動員令が発動されたことが、これまでに何度かある。
だが、幸いなことに、これまでそのような状況は極めて稀にしか起こっていない。現在、この宙域にはエセリアルたちによって進入禁止令が出されている他、〈パーダスの亀裂〉の奥に潜む恐怖の進入に目を光らせるため、風のカーストの艦隊がその周辺を常時パトロールしているようだ。
【クルートの惑星】
クルートはタウ・エンパイアの中で最も一般的に見られる義勇兵の異種族であり、各家門内には何十個ものクルートの小領土が存在する。彼らは流浪の種族であり銀河全域に散らばっているが、いかなるクルートもいつしか痛切なる望郷の念に駆られて、いずれは母星へと帰還するのだという。
全てのクルート種族の真の故郷、惑星「ペック」へと。
【シャガラッド】
惑星「シャガラッド」は、マインドコントロール能力と高い知性を持つことで知られるワーム(芋虫)状の小型異種族「ナギ」の母星である。初めて発見された時、ナギはマインドワームと呼ばれ嫌悪の対象となっていたが、最初の暴力的衝突を経た後、ナギは和平条約に賛成しタウ・エンパイアの一員となった。
現在では多くのナギが導師たちの相談役として仕えているという。
【ヴェスピッド】
闇に包まれたこのガス状巨星は、ヴェスピッド族の母星である。またこの惑星は、豊富なクリスタル鉱脈を持つことでも知られている。
【サンバースト】
恒星からエネルギー吸収を試みる過程で、多くの恒星が超新星爆発事故を起こしてきた。これまでのところ、地のカーストはこれらのエネルギー源からエネルギーを獲得する試みに失敗しており、これらの領域に侵入する事は推奨されていない。
エネルギー源としての利用に失敗した後、地のカーストは敵星系を壊滅させる「サンキラー兵器群」の実験を開始しているが、これまでに提示されたどのような解決策も、未だタウの手には負えないほど不安定で扱いにくいものである。
【沈黙領域】
ティラニッドの巣窟艦隊「ゴルゴン」によって荒廃をもたらされた領域であり、全ての生態系を破壊された不毛の惑星ばかりが残されている。
【シグナル中継ビーコン(タル=ヒェン)】
タウのコミュニケーション航路は、誘導シグナルが届く範囲までだ。それゆえタウは、宇宙空間の“湾”を渡るためにシグナル中継ビーコンを配置し、シグナルの鎖を維持している。
中継ビーコンは効果的な情報伝達の手段であるが、星間距離を一個のホロビデオ映像が送信されるまでには数か月の時間を要し、さらにその通信品質も中継ビーコンの個数や外的要因(宇宙塵や太陽風)の程度によって異なる。
【イスラース】
水に包まれた惑星であり異種族「グリート」の母星でもある。しばしば「ファルシーア家門」の一部とみなされる。
【先見者の隔絶領(ファーサイト・エンクレイヴ)】
タウ・エンパイアの版図ではないが、かつてのタウの英雄「先見者たる司令」(コマンダー・ファーサイト)ことオ=ショウヴァーに率いられ出奔した一大勢力がこの領域に定住している。タウ・エンパイアはこの包領に対して無人探査機を送り込んでいるが、配備された武装宇宙ステーション群がこれらを撃破しているため、この軍事家門の正式名称は未だ不明である。
【レッドサン星系群】
無人探査機が得た情報によると、この六個の赤色太陽の周囲にかなりの密度で惑星群が存在しているが、現在は異種族のオルクが支配している領域があまりにも多く、タウによるこれ以上の植民を妨げている。
タウはこれらの星系群を「センサー・ブイ」によって環状に取り巻き、グリーンスキンたちが内輪もめを止めて周辺の星系を攻撃し始める予兆を早期に観測しようとしている。
【コー=ヴァトラの衛星軌道都市群】
全ての家門には、タウ宇宙軍(コー=ヴァトラ)の大型宇宙ドックが何十個も組み込まれているが、これに加えて多くの家門は大規模な衛星軌道都市(コー=シュトー)群を有している。衛星軌道都市を安定した座標に移動させ固定すれば、そこから大規模な調査や戦役や植民などに出向するための出発点として利用できるからだ。
【スタータイド星間結合】
〈第四天球拡張〉が開始され、FTL航法によるワープを行った際に事故が発生。その影響で偶然にも時空間に裂け目が生じ、遠くの宙域へと移動可能なワームホールである「スタータイド星間結合」が生成されてしまう。
タウ・エンパイアはワームホールを利用し、沈黙領域から遥か数千光年離れた〈ネム=ヤール環礁〉まで一瞬で移動を行い、〈第五天球拡張〉を遂行するための足掛かりとしている。この不可解な宇宙現象の正体は地のカーストにとっては全く解明できず、さらなる研究を行うための研究ステーションを、ワームホールの両端に建造している。
【〈ネム=ヤール環礁〉】
タウ・エンパイアからスタータイド星間結合抜けた先に広がっている新天地であり、〈第五天球拡張〉による版図拡大の中心地となっている。タウ・エンパイア本国からはるか遠く離れているこの隔絶された宙域には、多くの宇宙ステーションや宇宙要塞が建造されており、周辺の星系には新たな家門が設立されている。
タウ本国周辺からの版図拡大が手詰まりとなった今、新天地である〈ネム=ヤール環礁〉周辺への版図拡大に力を入れている。そして、ここはタウ・エンパイアにとっての激戦区でもあり、〈人類の帝国〉やジーンスティーラー教団、敵対的な異種族をはじめとした様々な脅威から常に攻撃を受けている。
そのため、この重要な地域の防衛に割り当てられてる軍事資源は、タウ内でも大きな割合を占めているという。
主な家門
【概要】
「家門」(セプト)は、タウの星間国家において最も重要な概念である。各家門はその「家門惑星」(セプト・ワールド)または星系内第一惑星の名前を持ち、これを中心として支配体制を築き、複数の植民惑星、衛星、宇宙基地などを自らの家門内に含むことができる。
〈第一天球拡張〉の時代に築かれた古参の各家門は、最も人口密度が高い。どの家門の出身なのかは、そのタウが持つ個性の大部分を形作っているといってもいいだろう。
各家門の持つ文化はそれぞれが微妙に異なり個性的だからだ。各家門には全てのカーストが存在するが、各カーストの人口比はそれぞれの家門で異なっている。
【〈第一天球拡張〉期の家門群】
タウの母星。アゥン=ヴァがかつて議長を務めていた至高評議会がここで行われ、ここで決定した法令によって、帝国全体が形作られてゆく。
惑星タウは、タウの文化や官僚機構の中心的存在であり、火のカーストの戦士たちがここで数多く生まれる。惑星タウの威光に匹敵できる家門は無く、その力に対抗できるのは、唯一ヴィオルラ家門のみであろう。
最初に新設された家門。タウ=ンの衛星軌道上には巨大な宇宙ドック網が存在し、風のカースト最大の宇宙ステーションを制御している。
各家門はタウ艦体(コー=ヴァトラ)の宇宙艦艇群を保有しているが、タウ=ンほど多くこれを保有する家門はほかに存在しない。
この家門惑星に存在する双子の月にちなんで名付けられた。ドゥアノイは、激しく異常な宇宙嵐による長期間の孤立を切り抜けてきた。
またこの家門は、かの悪名高きオルクから何度となく攻撃を受けている。
ボルク=アンの家門惑星は、教育と学問の中心地であり、その星系には数多くの採鉱惑星が存在する。ボルク=アンでは地のカーストの比率が高く、ボルク=アン出身のファイアウォリアーはプロトタイプの武器や装備が支給されることも珍しくない。
ダルイス家門は、ダモクレス征戦において、大損害を被った。遠方にある多くの植民星や家門惑星の都市がい来るか破壊されてしまうなど、多大なる被害を受けたが、活気ある貿易港のおかげで、復旧は迅速に進んでいる。この家門では多くの異種族が見られる他、水のカーストに属する腕利きの商人や外交官がいる事でも有名である。
ファルシア家門からは、数多くの技術革新がもたらされてきた。武器や防具、各種支援システムのプロトタイプを最初に使用するのは、ファルシア家門出身の火のカースト戦士であることが多い。
ヴィオルラは連星の周囲を公転している惑星で、名前の意味は「血気盛んなる者」。特に攻撃的で技量に優れた戦士が生まれることで知られる。
オルクの侵略の多くがこの家門によって阻止されている他、ヴィオルラには最も立派な火のカーストの学舎が存在する。
惑星「サシーア」は、タウ・エンパイアの惑星の中で最も暑く、そして最も人口密度が高いことで知られる。サシーアは、〈第二天球拡張〉の時期において、植民艦隊の建造を最も多く手掛けた。
サシーアの戦士たちは、特に名誉を重んじる戦士とみなされている。
画像出典(アイコン):コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P13イラストより
【〈第二天球拡張〉期の家門群】
アウタール・プライムは、緑豊かな美しい家門惑星であり、名誉ある英雄のみがここで退役後の生活を送ることが許可される。
この家門はかつては栄えていたが、その大部分が放棄されてしまっている。その理由を知るのはエセリアルたちのみだ。
〈バーダスの亀裂〉の近くに位置したこの家門は、異種族から何度となく侵略を受けてきたため、他のタウよりも異種族に向ける信頼が低い。ケルシアンの艦隊と火のカーストの艦隊は、ティラニッドの巣窟艦隊「ゴルゴン」との戦闘からようやく兵力を回復したところである。
人口密度が高く、多くの月が周回している。またこれらの月の大部分で、バトルスーツの製造に使用される貴重な功績が採掘される。
タウ・エンパイアの辺境に位置するこの家門は、オルクによる攻撃や宇宙海賊による略奪を頻繁に受けてきている。この結果、タシュヴァーの人々は頑固で忍耐強い気質を持つようになった。
〈天球のはざまの惑星〉とも呼ばれる家門。地のカーストの作った装置がこの大気を呼吸可能なものにするまでにかなりの時間を要したため、〈第二天球拡張〉の末期になってようやく居住可能となった。
風のカーストの主要艦隊と多くの防衛プラットフォームがこの家門惑星周辺にドッキングされている。
トゥルクには、数多くのエセリアルの大寺院や、多種族の施設が存在することで知られている。異種族の大使らがこの施設に数多く招かれるが、彼らはここでタウの文化や慣習について学んだ後、それぞれの母星へと帰還してゆくのだ。
画像出典(アイコン):コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P15イラストより
【〈第三天球拡張〉期の家門群】
〈第三天球拡張〉期の新たな家門の最初の一つに数えられていたクシムイエンは、以前〈人類の帝国〉の支配下にあった数多くの惑星の一つだ。〈大善大同〉に忠誠を誓ったこの惑星の人類たちは、その身の安全を確保し、またタウ・エンパイアへの適切なる同化措置を施すため、タウ・エンパイアの中心部へと送られた。
タウはこの第一惑星をオルクの大族長の手から奪い取った。フィリオス星系の完全浄化にはかなりの犠牲を伴っている。
ドヴァール星系の玄関口に位置する。「ダモクレス征戦」で“影の太陽たる司令”とアゥン=ヴァの両者によってもたらされたタウの勝利で知られており、本格的な家門創設の過程にある。
生き残ったタウたちは、人類の軍勢に対して激しい憎悪を抱いている。
画像出典(アイコン):コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P20イラストより
【〈第五天球拡張〉期の家門群】
〈第五天球拡張〉の植民艦隊によって最初に設立されたフェサーンは、そびえ立つ山々に囲まれた荒涼とした環境が残る美しき惑星である。水のカーストはここに植民を行うための拠点を設立し、新たに遭遇した異種族や同化を行った異種族の処理及び、新天地での〈大善大同〉への統合を推し進める部署を統括している。
惑星フェサーンの3つの衛星には巨大なタウ艦隊の造船所があり、〈ネム=ヤール環礁〉の中心地に位置するため、戦略上重要な拠点として機能している。またこの惑星には、コロニー化やパトロールを行うための艦隊が絶えず派遣されている。
コータル家門は通常の家門と異なり、恒星ではなくブラックホールの周りを周回している。熱誘導シールドと人工衛星のフレアによって、この常に暗闇に包まれた過酷な惑星を生存可能な土地に変えてくれる。
地のカーストは、この星系のブラックホールに存在する事象の地平線から純粋な暗黒物質を採取するために、何十ものAIで自動化されたドローンポートを設置している。この貴重な資源は主に「XV104 リップタイド・バトルスーツ」のリアクターの動力源をはじめ、様々な産業で使用されている。
ヨーヴァイは矮星を周回する巨大な円盤惑星の上に設立された家門である。この異常な惑星の起源については地のカーストにおける天文物理学者の間で激しい議論が交わされている。
最も一般的な説は、円盤全体が古代文明によるテラフォーミング技術によって形成されたというもので、これによって主要なランドマークの奇妙な幾何学模様と、惑星の核が存在しないというものだ。円盤惑星の起伏がある谷や大平原は、火のカーストの訓練場として使用されており、特にガンシップのパイロットの間で人気が高く、その起伏がある草原で延々と模擬戦闘が行われている。
画像出典(アイコン):コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P25イラストより
タウの文化と言語
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P29 イラストの図表を元に解説を追加
【概要】
タウの言語は非常に複雑で、意思疎通の手段として高度な発展を遂げている。その響きはとても抒情的で柔らかい。
また、豊富な語彙を持っており、音は同じでも、イントネーションやアクセント、更には発話時の姿勢によっても、言葉の意味は様々に変化するようだ。多音節の単語が複数組み合わさった語句は、人類の声帯では正しく発音するのが極めて難しい。
音声通訳テクノロジーがなかったら、どれほど優秀な人類の言語学者であっても、タウの持つ基本的な単語や文節を発音する事すら難しかったであろう。
【タウ族の命名規則】
タウ族の名前は複数の単語から構成される。名前の最初にはそのタウが生まれたカーストを示す単語が付けられ、それは名前の中でも最も重要な部分であると考えられている。
タウのカーストを構成するのは、「火(シャス)」、「地(フィオ)」、「水(ポー)」、「風(コー)」の四つである。第五のカーストは「霊(アゥン)」と訳されることが多い。
タウの名前のうち、所属カーストに続く部分は、社会的地位を表している。階級や専門技能に貴賤を見出していないという点において、タウの文化は非常に特異だ。
つまり、どのタウにも社会の中で果たすべき役割があり、その役割ゆえに軽んじられることは決してない。個々の役割は全て何かの形で公、すなわち〈大善大同〉に貢献しているという思想が、その根底にあるためであろう。
だが、タウ以外の種族、とりわけタウ・エンパイアと接触を持ち始めたばかりの異種族などは、明らかに火のカーストの司令や霊のカーストの導師が崇拝にも似た敬意を受けていると指摘する。これを説明するには水のカーストの代表は、決まってタウ語の中でも二十以もの微妙な意味の違いを持つ単語を口にし、「平等な地位の中から選ばれた代表者」といった言い回しを用いるという。
タウのカースト内における位階は、大きく五つに分かれている。呼び名は共通だが、意味はカーストごとに微妙に異なるようだ。
また、年齢が上がるにつれてその位階も上がるのが通例となっている。ここでは火のカーストを基準に、それぞれの位階を例示する。
=サール:士官候補生
=ラ:兵士
=ウィ:熟練戦士
=ヴレ:英雄
=エル:高貴なる者(あるいは騎士)
=ウォ:司令官
タウの名前で、この次に記されるのが「家門」(セプト)である。これは一族や出身地という意味に翻訳できる。
名前の中でもこの部分は様々な解釈が可能なため、他種族が理解するのは容易な事ではない。例えば、長い歴史を持つ家門の出身者は、それよりも歴史の短い家門出身者より、賢く洗練された人物とみなされてることが多いようだ。
家門によっては、その名前自体が何らかの意味を持ち、その家門の出身者が備えている特徴を暗に示している場合もあるという。例えば、「ヴィオルラ家門」のヴィオルラとは「血気盛ん」という意味で、この家門は特に勇猛な兵士を輩出している。
一方で、「ボルク=アン家門」出身者は、頭脳明晰で沈着冷静であると見なされている。
最期に来るのが個人名だが、彼らは誕生と同時に名前を授かるのではなく、何かを成し遂げて初めて自分の名前を得る。そのため、これはタウの名前を理解する上で、最もわかりづらい部分である。
「ショウヴァー(先見者)」や「カイス(熟達者)」などのように比較的理解しやすい名前もあるが、未だ意味が判明していない名前も無数にある。また、偉業を成し遂げた者が、一生の間に名前が長く連なってゆくこともあり、極めて優れた者になると、数十の名前を連ねている事さえあるという。
そのようなタウの名前をよく短縮され、簡単な通り名で呼ばれている。
【命名規則の例】
長いタウの名前の例として「先見者たる司令」こと「コマンダー・ファーサイト」の本名である
「シャス=ウォ・ヴィオルラ・ショウヴァー・カイス・モント=イル」
という名前を分解してみよう。この人物は、火のカースト(シャス)に属し、司令官(=ウォ:文頭になった場合は「オ=」となる)の位階にある。
そして惑星ヴィオルラ出身であり、個人の名前は、「先見の明のある(ショウヴァー)」、「熟達した(カイス)」、「血を流したもの(モント=イル)」という意味を持っている。
しかしこの名前はあまりにも長いため、普段はコマンダー・ファーサイトの本名は「オ=ショウヴァー」つまり「先見者たる司令」という通り名で呼ばれるのだ。
【簡単なタウ族の単語一覧】
タウ語 | 人間の言語で最も近い意味 |
---|---|
アゥン | エセリアル/エーテルの/神々しき |
ベ=ゲル | オルク |
ダ=ノー | 地のカーストによって未だ解明されていない謎 |
フ=ルラッソ | 水のカーストによって調停されるべき政治的紛争(直訳は“呪われた精神の結び目”) |
グウェ=ラ | 人類 |
グウェ=ロン=シャ | スペースマリーン(文字通りに直訳した場合“改造された人類の戦士”) |
グウェ=ヴェサ | タウ・エンパイアに加わった人類(直訳は“人類の支援者”) |
コー=ヴェサ | ドローン(直訳は“忠誠篤き支援者”) |
コ=ヴァシュ | ~に向け邁進する(直訳は“崇高な目的”) |
ルハス=リェン=ナ | 気高き犠牲高位や崇高な犠牲に対し用いられる婉曲表現(直訳は“砕けた翡翠玉”) |
マル=カオール | 蜘蛛 |
マル=コー | ヴェスピッド |
モン=タウ | 恐怖、タウ最悪の悪夢 |
モント=イル | 流血 |
ム=イェン | 見通せぬもの |
オル=エス | 強大な |
ポー=スラル | プロパガンダ・キャンペーン |
ラン=アル | 小型の遮蔽物またはバンカー |
シャス=アー=トル | 火のカーストの高位司令部 |
シャス=レン=ラ | 注意深き戦士 |
スィ | 勝利 |
タ=リッセラ | 交流/吸収合併/結構/絆で結ばれたもの |
タウ=ヴァ | 〈大善大同〉 |
ヴェス=ロン | ロボット的な存在 |
ヴラール | 値切り、基盤を揺るがし弱体化させる行為 |
イ=エルディ | 特に有能な操縦士に対して与えられる風のカーストの名前(直訳は“翼持つ者”) |
イ=ヘェ | ティラニッド(直訳は“貪り続ける者”) |
【五つのカースト、一つの民】
彼らは単一民族ではあるが、タウのカースト制度は極度に発達しているため、各カースト間では外見的特徴でなく、より深い部分での分化が発生している。それぞれのカーストは、独自の方法で行動し、話し、そして考えるのだ。
一見しただけでも、タウのカーストは簡単に見分けることができる。だがタウ社会における地位や出身家門などは、かなり詳しく詮索しなければわからないだろう。
【身体的特徴】
タウのカーストを見分けるのは簡単だ。それぞれの身体的特徴で、すぐにそれとわかるからだ。火のカーストは大柄で筋肉質であり、地のカーストはがっしりとして実直な印象を与え、水のカーストは表情豊かであり、風のカーストは背が高く細身だ。
霊のカーストは痩せ細ってはいるが、高い気品が備わっている。ほどんどのタウは、厳しく冷静な様子をしていて、その平らな顔にはほとんど表情がない。
だが例外は、激しい怒りをあらわにする火のカーストと、他のタウたちよりも穏やかで表情豊かな水のカーストである。
【皮膚の色】
タウの皮膚の色でカーストだけでなく、彼らが故郷と呼ぶ家門を見分けられる場合がある。一般的に、火のカーストは色黒であることが多く、風のカーストは色白だと言われている。
タウの青みを帯びた灰色の皮膚の色が濃くなればなるほど恒星に近い惑星に住んでいるということを示しており、惑星ヴィオルラ出身のタウが惑星「ポルク=アン」出身のタウは、緑色を帯びた太陽の奇妙な影響のため、多少皮膚の色がまだらになっている。
【発音の違い】
全てのタウは同じ言語を話すが、各カーストは独自の話し方をし、各家門ではイントネーションがかなり異なる。実用的な面を重んじる地のカーストは、淡々とした話し方をする。
それは火のカーストが早口に命令を下す時の話し方と似ているが、もっと単調な響きがあるという。ただどちらも、風のカーストの甲高い声や、霊のカーストの静かだが驚くほど響く声は、耳にしただけで違いが聞き取れるのだ。
水のカーストは、会話をする相手の話し方や癖、それに声の高さを模して話すのが普通なため、彼らのイントネーションが実際どのように聞こえるか判断することは、非常に難しい。だが、彼らが同じカースト出身者と話す時には、その話し方や声色は、タウの中でも最も音楽的だという。
〈第一天球拡張〉以来の長い歴史を誇る家門出身のタウたちは一般的に、歴史が浅く、タウ・エンパイア外縁に近い惑星出身のタウよりも、より洗練され、豊富な知識の持ち主であるとみなされている。そのため、彼らの用いるイントネーションが最も由緒あるものだと思われても、当然であろう。
【タウの時間間隔】
タウの年周期は「タウシル」と呼ばれている。1タウシルは6カイロッタに分かれ(6つのカイロッタのうち、5つは地水火風霊の各カーストの名が当てられ、残る1つはタウのカイロッタと呼ばれている)、1カイロッタは80ロッタに分かれている。
さらに1ロッタは10テックという時間単位で構成され、大半のタウ人は1、2テック(約3時間)しか睡眠を必要としない。人類で用いられているテラ時間へと換算を行うと、タウの一年単位となる1タウシルは地球でいう300日に相当する。(正確には297.4日)
したがって1カイロッタは約50日、1ロッタは15時間、1デックは1時間半となる。逆に換算すれば1日は1.6ロッタ、1か月(30日)は約48ロッタ、1年は約1.1タウシルとなる。
【〈大善大同〉の実現を目指して】
タウの持つ文化の特徴として、彼らは〈大善大同〉の実現を何よりも優先し、個人的な利益を顧みることはない。それゆえ、個人的財産や個人による所有はあまり見られず、全ての財産を共同所有することが規範となっている。
また全てのタウは、まず何にも増して導師に最上級の敬意を払い、次いでタウ・エンパイア全体に、次いで自らの家門に、最後に自らのカーストに忠実であるよう教えられている。彼らはカースト内の教育機関で育てられるため、家族意識は彼らには無縁の考えだ。
おそらく、家族に最も近い概念は、互いに助け合うことを誓い合ったタウたちの盟約である、タ=リッセラの儀式で結ばれた班友の関係であろう。この契約は、タウたちが互いに示す友愛の心を最も強く表したものであり、大いなる存在の一部になるために個を犠牲にするという精神を象徴してもいるのだ。
いかなるカーストにおいても、年齢と経験に重きが置かれている。タウは普通、東部に一房の弁髪を生やしているが、時にその弁髪は位階を示す輪で飾られていることがある。
この弁髪の飾りが豪華になると、異界や地位が高いことを意味するのだ。また、どのカーストの出身かに関係なく、タウたちは地位が高くなるにつれて、ドローンや大型通信装置など、より高度な技術が応用された機器を数多く装備するようになる。
このように、各カーストの間には大きな違いが存在するが、全てのタウは共通した揺るぎない自信によって満ち溢れている。彼ら一人ひとりが、「タウの道」を歩み自分たちの方がいかなる異種族よりも優れていると、心から信じているからだ。
彼らは〈大善大同〉の名のもとに、自分たちの帝国を拡張するという共通目標を、一致団結して遂行しているのである。
主要キャラクター
- 「コマンダー・シャドウサン」(影の太陽たる司令)
タウ=ヴァ(大善大同)以外に道はなし。タウ=ヴァの道を外れること、それは私たち全員の破滅を意味してしまう。共に集い、勇気と規律をもって事にあたるしか、勝利を掴む方法はないわ。さあ、火と勇気をもって戦いなさい。そうすれば、私たちの行く手を邪魔できない!
【概要】
「影の太陽たる司令」の異名で知られる「オ=シャセラ」は、〈クレシュ拡張戦役〉にて力強く活動的な指揮官としての手腕を発揮し、現在の名声を獲得した。この戦役において彼女は、オルクの脅威を封じ込めるのみならず、自らのケードリ(部体)が被った死傷者数を、史上まれに見る低い人数の抑える事に成功したのだ。
“影の太陽”の収めた勝利は全て、比類なき効率性を特徴としているが、これは彼女が“清流たる司令”ので死の中で最も将来を有望視されていたことを考えれば、なんら驚くに値しないだろう。
【清流たる司令の弟子】
〈第三天球拡張〉から約三百年以上前、オ=シャセラは若く有能な女戦士であった。〈火階の軍学校〉で収めた優秀な成績により、彼女はタウ・エンパイアで最も優れた指揮官とみなされるようになってゆく。それ故彼女は、老い衰えてなお伝説的な指揮官であった清流たる司令に、個人的に師事するという名誉を与えられたのだ。
清流たる司令の弟子の中で最年少であるにもかかわらず、オ=シャセラは模擬戦闘訓練において優れた成績を収め、他の弟子たちを出し抜いた。ただ一人、清流たる司令から最も寵愛を受けていた司令「オ=ショウヴァー」を除いて。
この時から二人の間には激しいライバル関係が存在していた。この二人の才能豊かな司令は、衰えなく師匠に認められようと懸命に切磋琢磨したのである。
【二人の司令官】
〈帝国〉の〈ダモクレス征戦〉は遂に頓挫するきっかけとなる家門惑星「ダル=イス」での戦闘において、最も注目を集めたのはオ=ショウヴァーこと「コマンダー・ファーサイト」による大胆な反撃であった。だがそれは、オ=シャセラが〈帝国〉の戦列を引き伸ばし手薄にさせるという辛抱強い働きがなければ、成し得ることはできなかっただろう。
このように二人の司令による競争関係はなおも続いていたが、それは師匠である清流たる司令の逝去によって中断することとなってしまった。この時点ではまだ、導師評議会は地のカーストの技術者たちが作成した脳情報をキャプチャー装置とホログラム装置がこの伝説的指揮官の教えを再現することが可能かどうか、まだ確信していなかっただから。
かくして清流たる司令の偉大なる教えを未来に伝えるため、特に優秀な弟子たちがステイシス装置の中で眠ることになった。導師評議会の命令を受け、オ=シャセラ含む一握りの弟子たちは彼らが必要とされる時が来るまで、すなわち大いなる拡張と苛烈なる戦闘の時代が到来するまで、肉体活動は停止し、年を取らない状態で眠り続けたのである・・。
【目覚めし司令官】
アゥン=ヴァはオ=シャセラを〈第三天球拡張〉開始時に目覚めさせる予定でいた。だがオルクの大群がタウ・エンパイアへ侵攻してきたため、この最も偉大なる導師たちの計画は急遽早められることとなった。しかし賢明なるアゥン=ヴァは、この危機をも有利に変えた。
危急の時に目覚めたオ=シャセラは、ここでもまた、慎重な戦略と迅速な行動によって忍耐強い女狩人としての能力を発揮したからだ。今日〈大同盟戦争〉の名で呼ばれるこの戦いの中、沢民構築された射撃陣地へと敵を誘い込むオ=シャセラの優れた能力によって、オルク軍の大半は容赦なく殲滅してしまう。
しかもオ=シャセラは、戦況に応じてさらに大胆な作戦も実行に移した。〈クレシュ拡張戦役〉においては、過酷な戦闘を早期に決着させるため、彼女は「ステルス・ケードリ」をオルク側の陣地深くまで浸透させ、必殺の攻撃を繰り出したのだ。その奇襲攻撃は、人工的に操作された日食と同じタイミングで敢行され、低空飛行するオルカ降下艇から続々地表へと降り立った。
人工的に生み出されたこの暗闇の中で、グリーンスキンたちは何か攻撃を仕掛けて来ているのかさえ理解できなかった。オルク側の指揮官たちがバーストキャノンの攻撃に戸惑いを見せたその瞬間、「フュージョンブラスター」から発射された炎が彼らを一網打尽にしたのだ。
オルクの大軍の中から大族長を探し出して攻撃標的として補足したのは、オ=シャセラその人であった。そして彼女は正確無比なる射撃でこの筋骨隆々たるグリーンスキンを打ち倒したのだ。
オルク軍が大混乱をきたしたのを見て、オ=シャセラの率いる残りの各ケードリがこの戦闘に雪崩れ込んできた。大族長の指揮を失ったオルク軍の大半はパニックに陥り散り散りになって逃走したが、その先には巧みに配置された戦士たちが彼らを待ち伏せていたのだ。
太陽がその光を遮っていた覆いから再び姿を見せる事には戦闘は終結し、火のカーストの新たな伝説が生まれたのだ。
【“影の太陽”】
アゥン=ヴァは、この献身的な指令をすぐさま昇進させた。彼女こそは〈大善大同〉実現のために火のカーストが取るべき高潔なる行動を体現するものであると、彼は考えたからだ。
事実、オ=シャセラは与えられた任務を決して違えず、人々への誓いの言葉を忘れず、またアゥン=ヴァへの忠誠心を絶対に欠くことのない司令であった。そして〈第三天球拡張〉の宣言時、アゥン=ヴァは火のカーストの戦士たちに対し、「この最も重要な遠征の急先鋒を担うのは、“影の太陽たる司令”である」と告げたのである。
オ=シャセラは、先の大勝利を記念して“影の太陽”または「影の太陽たる司令」(コマンダー・シャドウサン)と呼ばれるようになっていった。かつて“先見者たる司令”こと「オ=ショウヴァー」が訓練を受けたことで名高い「モンティール」の戦闘ドームで、オ=シャセラは最高司令官としての最初の演説を行った。最新型の試作型バトルスーツ「XV22」に身を包み、凛々しい姿でその場に現れたコマンダー・シャドウサンは、見るもの全ての戦意を鼓舞するのに十分だった。
全ての火のカーストが見守る中、“影の太陽”がライバル関係を持っていたオ=ショウヴァーこと“先見者たる司令”の彫像に向かって射撃を放つと、彫像は一瞬にして純白の炎に包まれ崩れ落ちた。舞い上がった粉塵が晴れるのを待って、コマンダー・シャドウサンは自分たちが間もなく出陣する戦役について、またその大いなる栄誉と、神聖なる〈火の掟〉、そして最も重要な「タウ=ヴァの法」(〈大善大同〉)について語ったのだ。
演説を終えると、全てのファイアウォリアーは声を一つにして大歓声を上げ、この新しい司令にどこまでも付いてゆくことを誓ったのだった。
【〈第三天球拡張〉の始まり】
数日のうちに、〈第三天球拡張〉が開始された。コマンダー・シャドウサンの指揮の下、タウ・エンパイアは破竹の勢いで快進撃を続けていた。〈帝国〉の注意が他に向けられ、ティラニッドとオルクの脅威も一時的とはいえ減じていたため、火のカーストの先鋒隊はダモクレス湾のみならず、さらに遠方の星系へも進撃していった。
常に最前線に立って指揮を執るコマンダー・シャドウサンは、まるで複数の戦場に同時に立っているかのような活躍ぶりを見せ、また彼女が〈帝国〉の過密惑星「アグレラン」への強襲を成功させたことにより、タウは「ドヴァール星系」全域へと進撃路を拓くことに成功したのだ。かつてのライバルであるオ=ショウヴァーは失踪し、正確な所在は依然として不明だが彼がタウ・エンパイアに残した不和の影は、現在のところ鳴りを潜めている。
“影の太陽”の目覚ましい勝利の報せが、続々とタウ・エンパイアに届けられるからだ。一部の者たちの間では「“影の太陽”は、家の裏切り者を拘束し裁きの場へと連行するよう、極秘任務を受けている」とも囁かれている。この先、善き好敵手であった二人の対決は避けられないであろう。
画像出典:キャンペーンブック「Psychic Awakening: The Greater Good」 表紙イラストより
- 「アゥン=ヴァ」
ああ、灯は儚きもの。我が子らの放つ命の灯火は、かく儚きもの。なれど、〈大善大同〉の理想によりてこそ、その命は煌々たる輝きを放つのだ。まばゆいほどの輝きを!
【概要】
全てのエセリアルの中で最も老齢かつ最も賢明なものとして知られるのが、導師「アゥン=ヴァ」である。タウ・エンパイアの歴史における大いなる勝利や成功の背後には、必ずや彼の関与が見られるだろう。
エセリアルは他のカーストよりも長命である。中でもこの〈大いなる導き手〉は、他の最高齢のエセリアルよりもさらに数倍の年月を生きているが、その事実が疑問視されることはない。
その長寿すらも、アゥン=ヴァの数多き伝説のうちの一つとして受け入れられているからだ。導師至高評議会の中でも最高位にあったアゥン=ヴァの言葉は、タ=ウ家門のみならず、タウ・エンパイア全体における究極の法である。
全てのエセリアルは他のカーストの者たちから最大級の敬意が捧げられているが、中でもアゥン=ヴァはこのカーストの他のエセリアル以上に尊敬されている。この偉大なる指導者がタウ・エンパイアのコロニーの一つを訪れるという噂だけでも、その地域の地のカーストの工場の生産量が倍増し、惑星中が祝祭の活気にあふれるという。
その高齢と、タウ種族全体の精神的指導者という重要な地位にも関わらず、アゥン=ヴァは民の中に身を置くことを好む。自らが最前線に立つときにこそ、最も効果的に民を導けると知っているからだ。
タウの歴史には、拡張戦争のさなかにアゥン=ヴァが火のカーストを鼓舞して偉大なる英雄行為へと向かわせたり、あるいは彼自ら戦場に姿を現わして戦士たちの士気を高めたりといった記録が、数多く残されている。アゥン=ヴァがいたからこそ、タウ軍の各ケードリは血みどろの過酷な戦役を完遂するための戦意を保ち続け、「スィ=コーア星系」からかの憎むべき異種族「リーク」を駆逐することが出来た。
またサイオンの山腹においてアゥン=ヴァは、オルクの「グログニック族長」率いる〈いくさだァァァア!〉が辿るべき運命を予言したが、その言葉がファイアウォリアーらを鼓舞し、火のカーストの戦士たちは燃えるような正義の怒りとともにその予言を現実のものとしたのである。
【戦場に立つ導師】
近衛である「オナーガード」や、浮遊玉座を包み込む「フィールドシールド」によってその身が守られているとはいえ、自ら直接戦闘に加わるのはアゥン=ヴァのやり方ではない。アゥン=ヴァはむしろ、自らの叡智と能力を使ってファイアウォリアーらを導き、彼らに本来ならば不可能と思われた手柄をたてさせる事を得意とする。
威厳にあふれたアゥン=ヴァお堂々たる姿を見るだけで、ファイアウォリアーたちはより正確な一斉射撃をくり出し、接近してくる敵を切り捨て、致命傷すらも振り払って戦い続け、圧倒的戦力差で押し寄せる敵の攻勢にも屈せず最後の最後まで持ち場を守り続けるという。
【受け継がれし至高導師の責務】
まだアゥン=ヴァがエセリアルの一人として仕えていた頃、長年にわたって最高指導者の立場にあった先代の至高導師「アゥン=ウェイ」は〈最後の歩み〉を行う時が来たと悟った。〈最後の歩み〉とは、この秘密に満ちた「霊のカースト」の長老が、神秘的なドーム状寺院の中へと永遠に姿を消す時に行われる儀式である。
そしてその出立の前には、導師評議会の新たな長となるべき後継者を指名するのが伝統となっていた。かくして、アゥン=ヴァが〈偉大なる導き手〉である至高導師の役割を引き継ぐことになった。この地位は“滅びざる精霊の司”あるいは“〈大善大同〉を導く者”を意味する。
この選択は、遥か以前から既に決定されたものであった。というのも、アゥン=ヴァは若き頃からすでに、このカーストの長となるべき資質を示していたからだ。
テクノロジーの力を借りることなく、彼は近くにいる兵士を鼓舞し不可能と思われた英雄行為を成し遂げさせたり、あるいは相手の意思を曲げて自らの命令に従わせたりすることが出来た。さらに、これら生来の能力の効果がテクノロジーの援用によって高められるとき、アゥン=ヴァは生涯効力を失わないほどの強力な自己暗示を他者の精神に深く刻み込み、決して揺らぐことのない忠誠心を得る事すらできたのだ。
至高評議会の他のメンバーからは「アゥン=ヴァが質問する時には、回答者がすでに答えが渡されているのではないか」との囁き声も聞かれる。アゥン=ヴァの能力はかくも自然で、彼が執る方法はかくも強力であるため、彼の助言に同意する者は、自らの意思で同意したのかどうかすらもわからない。
長い人生の中で、アゥン=ヴァの意思に抗うことが出来たタウが一人だけ存在するが、誰もがその名前を口にすべきではないことを知っている。
【威風堂々たる演説】
これまでにアゥン=ヴァが行った演説の中で最も影響力が高いものといえば、それは〈第三天球拡張〉の開始宣言であろう。厳めしい儀仗兵らが左右に待る中、アゥン=ヴァはまずゆっくりとした調子で語り始め、その言葉は次第に熱を帯びてゆき、ついには武器を取れと呼びかけ、タウは星々の間でさらに繁栄せねばならぬと求める叫びへと変わった・・・。
それは「タウが手にすべきものを、すべからく奪取すべし」という命令であった。〈大善大同〉の導きの光を、野蛮という名の暗黒の中に囚われている星々へと届けねばならない。彼の演説が終わり、その残響が静寂に飲み込まれると、議場の外に立つ者たちや、タウ・エンパイア全域に放送された言葉を聞いていた何十億人あるいは何百億人ものタウが、一斉に頭を下げたという。
アゥン=ヴァは民の成した偉業や功績を褒めたたえ、さらに高みへと到達するよう熱心に説くことを心がけていた。彼は地のカーストの最新発明品に対して常に驚きを示し、また異種族の外交使節団が適切に対応されているのを見ては水のカーストを称賛した。
風のカーストに対しては彼らの貢献を讃えるための特別な時間を用意し、さらに火のカーストに対しては、この年老いたエセリアルは浮遊玉座から身を起こし、古の狩人の作法に則った敬礼を示したのだ。この光景を目にしたファイアウォリアーの中で、心を動かされぬ者は一人たりとていなかったという。
アゥン=ヴァはまた、同じカーストの輩(ともがら)である他のエセリアルたちにも助言を与えた。「他者を導く唯一の方法は、最前線に立って彼らを導くことなり。銀河中に存在する野蛮な種族は、文明の光によって啓蒙される日を待ち望んでいる。全てのカーストが団結し、〈大善大同〉を実行することで、これらの野蛮なる種族にも〈大善大同〉の光をもたらすことが出来るのだ」と。
このようにしてアゥン=ヴァは、全てのカーストをかつてないほど高揚させていったのである。
【英雄と裏切り者】
アゥン=ヴァが次に行ったことは、“先見者たる司令”ことオ=ショウヴァーを裏切り者と断定し、“影の太陽たる司令”ことオ=シャセラをタウ・エンパイアの新たな英雄として認め、彼女を総司令官に任命したことである。コールドスリープから目覚めたシャドウサンは、アゥン=ヴァと一対一で話すこととなった。
彼はオ=シャセラに対し、“先見者”の裏切り行為をこれ以上ないほど言葉巧みに語ったのだ。〈大善大同〉をないがしろにした“先見者たる司令”についての物語を聞き、若き女司令はこの時激しい怒りに打ち震えたという。
この日以来、アゥン=ヴァの心から火のカーストの忠誠心に対する不安は無くなり、タウ・エンパイアの拡張へと全ての精神を傾けることが出来るようになったのだ。その後、シャドウサンは〈第三天球拡張〉を率いることとなったが、彼女一人に全てを背負わせることはないと、アゥン=ヴァは宣言した。
彼自身もまた最前線へと赴き、コマンダー・シャドウサンを、そしてタウ・エンパイア史上最大の軍勢を導くために助言を与える事にしたからである。出撃前夜、アゥン=ヴァは全ての聴衆に向けて最後に演説を行い、タウ・エンパイアの〈大善大同〉のために個を犠牲として捧げることが全てのタウに求められているのだと、改めて説き直した。
【導師、先頭に立つ】
自らの宣言通り、〈第三天球拡張〉の最初期において、アゥン=ヴァは危険を顧みず、常にその最前線に姿を現した。アゥン=ヴァの存在は、ファイアウォリアーたちを鼓舞し、彼らをさらに前進させたのだ。
至高評議会の他のエセリアルたちは、このような危険な場から退くようにアゥン=ヴァを説得したが、最前線から送り返されてきたホロヴィッド映像を見た時、自分たちの言葉など無意味であることを理解した。どれほど多忙な家門惑星の工場労働者であろうと、また将来の居住地として不毛な月面基地に大気を送り込んでいる大気圏技術者であろうと、全てのタウがこの重要映像を視聴するよう求められたという。
それらの映像には最前線での戦いの様子が映され、アゥン=ヴァが浮遊玉座に乗って破壊された〈帝国〉の要塞内部へ入っていく姿や、最新テクノロジーを駆使した「XV104 リップタイド・バトルスーツ」の傍らに立つ姿(その背後には破壊されて間もない敵戦車が山積み重なっている)などが記録されていた。また、帝国防衛軍の生き残りに対し、武器を置くように説得しようと試みるアゥン=ヴァのけ高き行為を見た時、全てのタウが強い感銘を受けたという。
遺憾ながらこの野蛮な異種族はその申し出を拒み、その結果根絶されねばならなかったが、これは全てのタウの心を湧きたて、誇りと決意に満ちた行為へと向かわせる大きな原動力となった。
【不退転の決意】
アゥン=ヴァは「勝利を達成するためには、それを背後で支える全ての市民だけではなく、槍の穂先の如く拡張の急先鋒をつとめる戦士達一人ひとりの献身が必要不可欠である」ことを熟知していた。〈第三天球拡張〉において、タウ・エンパイアは総力戦の構えを取っている。
この銀河は敵意に満ち溢れており、これを征服して支配するためには、タウ・エンパイアの全ての惑星が勝利に向かい一心不乱に邁進しなければならない。この戦いにおいては、「市民の総意」(ツァイトガイスト)が重要な意味を持つこととなるだろう。
進歩と発展に対する揺るぎない信念と、自らの優位性を信じ続ける事が今後数年間のタウを支え続けるであろうと考えられるからだ。タウ・エンパイア全域において民の士気は高い。
全てのカーストはアゥン=ヴァが導いてくれる限り、タウの運命が失墜することは決してないと信じており、彼によってタウは、この銀河に公明をもたらすであろうと思われていた。しかしその願いに反して、皮肉な最期が彼を待ち受けていたのだ。
【至高導師還らず】
〈第三天球拡張〉を達成すべく激戦が続く中、「第二次アグレラン戦役」にて彼はいつものように最前線でファイアウォリアーたちを鼓舞し、導いていた。〈帝国〉軍のタウ軍の熾烈な戦いはタウ側に傾いていたその時、〈帝国〉軍は切り札である「帝国暗殺局」のエージェントたちを戦場に投入したのだ。
一流の暗殺者であるアサシンたちは、次々と要人を殺害していき、遂に暗殺者の魔の手がアゥン=ヴァにも伸びてきたのだ。〈帝国〉の包囲を受けていたムグラース湾にて、アゥン=ヴァは秘匿掩蔽壕にて指揮を執っており、暗殺局のエージェントにその場所を発見されてしまう。
特殊な異能を持つキュレクサスアサシンによってAIなどの機器が役に立たなくなってしまい、護衛の兵士は異能力で発狂死してしまう。アゥン=ヴァはその場から逃亡するも暗殺者から逃れられず、遂に彼はキュレクサスアサシンによって殺害されてしまったのだ。
アゥン=ヴァの死後、第二次アグレラン戦役はタウ側の勝利で幕を閉じ、至高評議会は勝利演説の際にはアゥン=ヴァのホログラムを使用して、彼が戦死した事実を隠ぺいしてしまう。アゥン=ヴァの最期を知る者は今現在ほとんどいない。
彼は今、記憶と個性を忠実に再現したAIホログラムとして仮初めの復活を遂げている。しかし、彼がこの世を去った真実が明るみに出ればタウ・エンパイアには大きな悪影響がもたらされるであろう。
アゥン=ヴァはタウ・エンパイアに栄光をもたらしたと同時に、暗き時代をもたらしてしまうのかもしれないのだ。
画像出典:deviantart JuliaZolotareva氏のイラスト「Aun'va triumphant」 より
- 「清流たる司令」(コマンダー・ピュアタイド)
後方に身を置きつつ指揮すべき時、最前線に指揮すべき時、それらの最も高度な判断力は教えを受けること能わず。いずれも己が力で見出すべきものなり。
ただ勝利のみが、最後の審判とならん。然るに我、ここに重ねて銘ずる。常に目指すべきは、危険を最小限に留めたる勝利なり。
【概要】
火のカーストの規範を体現し、全身全霊を掲げて〈大善大同〉へ貢献した英雄でかつ司令官として知られている。晩年、重傷を負った彼は隠遁し、それまで蓄えた英知と経験を次の世代に託すために余生を送った。
彼は自らが編み出した「偏りのない、調和の保たれた戦い方」を後世に伝え、彼亡き後もその優れた兵法が受け継がれていくことを望んでいたのだ。火のカーストのあらゆる軍学校では“清流たる司令”が実戦で使用した戦術を教えており、おそらく一世代に一人の割合でしか現れないであろう最優秀の評価を得た学生は、AIホログラムで再現された“清流たる司令”直々に軍学の教えを授かることが出来るのだ。
【甦る清流たる司令の教え】
この選び抜かれた弟子は、地のカーストによる光学プログラム技術によって蘇った古の師と寝起きを共にするのである。師の姿は在りし日の記録画像に過ぎないが、人工知能と連動した対話型映像は、考えたり質問に答えたりすることが可能なのだ。
霊のカーストによる厳格なアクセス管理がなされるものの、必要な条件を満たした数少ない者は、惑星「ダルイス・プライム」にある「カン=ジ山」の頂にある“清流たる司令”の隠居を尋ねることが許される。この優れた指導者は、この地で弟子を導き、問い、そして教えを授けるのだ。
だが彼の努力にも関わらず、生前も、また現在の姿を取ってからも、彼の弟子の中で、調和を重んじる教義の全容を理解し得た者は皆無に近い。現在でさえも、教え子たちの間では戦争の遂行に関する見解に競合が見られるのだ。
各々の見解を信奉する者たちは己が正しさを信じるあまり、“清流たる司令”の教えの一面の実を強調し、他を受け入れようとはしないのである。
- 「ロングストライク」
【概要】
ガンシップの伝説的操縦士、「シャス=ラ=タウ=シャン」。現在では「遠撃」(ロングストライク)の二つ名のほうがより広く知られている。
彼は火のカーストの戦士として戦場に出るや、瞬く間に輝かしいタンク・エースの座へと昇りつめた。彼は「ハンマーヘッド・ガンシップ」を操る天賦の才能を有していたからである。
〈第三天球拡張〉の開始に伴い、彼の持つ技量は激しい戦火の中で試されることとなった。
【タロスでの戦い】
この若き操縦士が“遠撃”の二つ名を獲得したのは、惑星「タロス」でのことであった。ここは彼にとって、人類の戦争の方法に不快感を覚えた最初の戦場でもある。
彼は当時、「脅威停止機甲部体」(アーマード・インターディクション・ケードリ)の一員として、西部の砂漠地帯で戦うコンティンジェント(集体)に配属されていた。乾燥した平坦な地形が広がるこの領域では、無数のハンマーヘッド・ガンシップが帝国防衛軍の「レマン=ラス」重戦車中隊から総攻撃を受け、撃墜されていたのだ。
人類の戦闘車両は、もうもうと煙を吐き出しながら駆動する実に前時代的な構造であったにも関わらず、その存在はタウ軍にとって大きな脅威となっており、さらに数の面でもおよそ六倍もの差が生じていた。
戦端が開かれて間もない頃、シャンはその冷静さと卓越した狙撃の技量を遺憾なく発揮した。彼が砲撃を繰り出すたびに、地平線上には炎を上げる新たな残骸が一つ生み出されていったのだ。
だがこの戦いは、タウ側にも高い代償を強いてきた。当時ガンシップ操縦士の間では、彼ら独自の独特な「タ=リッセラの儀式」を行って絆を結ぶことが流行っていたが、シャンはそうした班友たちもみな、この戦いの中で戦死してしていたのである。
人類の戦車兵たちは、負傷し大地に横たわったタウの戦士たちの上を無慈悲に通過して轢いていくのみならず、中には瀕死の者を狙って積極的にクローラーで轢き殺そうとする者まで存在したという。シャンは自らのハンマーヘッドを徐々に後退させ、敵の砲撃と時機の間に遮蔽物を取りながら、尚も戦い続けた。
彼のレールガンが咆哮を放つたびに、はるか彼方のレマン=ラス戦車から爆炎が上がった。レイザーシャーク・ストライクファイターの編隊が頭上を飛び行くと、この長い戦車戦はようやく終わりを迎えたが、“遠撃”の伝説はまさにここから始まったのである。
タロスから撤退しようとする人類を相手に戦い続けたシャンは、〈帝国〉の機構戦力を次々と撃破していった。その中には、かの強大なる巨人機「ウォーハウンド・タイタン」を仕留めた名高き必殺の一射も含まれているのだ。
【新たなる装備】
その正確無比な狙撃技術の腕を買われて、ロングストライクは新型である「XV02 パイロット・バトルスーツ」の実践試験を行うべく抜擢された。数々の最新鋭インターフェイスを介し、彼はハンマーヘッドに備わった様々なAI機能に対して高速で反応することが可能となり、まさしくハンマーヘッドと一心同体になったのである。
彼もまた、送信されてくるマーカーライトの情報をより効果的に活用し、より精確な狙いを付けることが可能となった。加えて彼は、ターゲット・リレイを搭載したどんなビークルよりも高い精度で支援射撃を行えるようになり、周囲に展開するチームをこれまでにないほど効果的にサポートすることが可能となったのである。
ロングストライクの驚異的な技量とXV02 パイロット・バトルスーツぼ組み合わせは、彼自身をより強大な戦士へと生まれ変わらせたのだ。〈ム=グラーフの入り江〉における大規模な戦闘へと赴いた際、ロングストライクは〈帝国〉の防衛ラインに築かれた無数の掩蔽壕と砲台を破壊した。
彼のハンマーヘッドはハイヴシティ内の狭隘な街路を戦闘を継続しながら移動し、物陰から一斉に飛び出してファイアウォリアーを襲おうとする敵に対し、電光石火の速さで射撃を加えたのだ。そして最後の抵抗勢力を撃滅した時、百発百中の腕前を誇る偉大なハンマーヘッド操縦士の伝説が、すでに火のカーストの間に広まり始めていた。
それが戦士全員に広がる頃、ロングストライクは既に〈第三天球拡張〉の戦いの場へ向かう輸送機に乗り込んでいたという。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P60 イラストより
- 「ダークストライダー」
【概要】
数多くの武勲を治めている副指令「エル=ムヤモト」。その名は火のカースト内で「闇駆」(ダークストライダー)の通り名で呼ばれている。
彼に対しては不穏な評判が付きまとう。火のカーストの全員がダークストライダーを卓越した戦術家にして戦士であるとみなしている一方で、伝統や正式な手法から逸脱しがちな彼の姿勢はトラブルの原因となり、組織内部に敵を作る一因となっているからだ。
【型破りな戦術家】
そもそもの発端は、タウ家門に生まれたシャス=ウィであるムヤモトが〈火の試練〉を経た時のことである。バトルスーツ着装者となってクライシス・チームに加わる栄誉を拒むどころか、それを侮辱したムヤモトは、続いてステルス・チーム、すなわち風変わりな手法で戦うことを許された特殊部隊に加わる機会を提示されたものの、これに対しても同じ態度と行動を示したのだ。
結局ムヤモトは、自らが最初に加わったパスファインダー・チームに戻る事を表明したのである。その後、彼は自らが率いるチームを何度も危険な状況に陥らせ、そのたびにそこから脱出して、ケードリに数々の名誉をもたらしてきた。
「ガルイスの月」で発動した異種族「ネクロン」の謎めいた機械を停止させたのも、「ネフタン」の採掘コロニーを恐怖に陥れた三つ首の怪物を狩ったのも、ほかならぬムヤモトである。この厳めしき指揮官に“闇駆”の二つ名が授けられたのは、〈大同盟戦争〉が繰り広げられたさなかのことであった。
この時、オルクの野営地に侵入した彼は、建造中の巨大歩行兵器「ガルガント」を発見してマーカーライトを照射し、また彼の率いるチームは、大族長「グラズガット」の「メカニカル・アーマー」に対して「ホーミング・ビーコン」を設置したのである。これらの偉業を打ち立てたにも関わらず、ダークストライダーは司令の位階に昇ることを拒み、敵陣への強襲および奇襲作戦を好んで敢行し続けている。
【前例のなき戦士】
火のカーストにとっては、伝統こそが全てだ。そして伝統は、〈火の掟〉の順守やタウ軍の中における階級や戦闘経験などのあらゆるものに先立って、まず何よりもエセリアルに敬意を払うことを要求している。
昇進を断るのみならず、目上の者と対話する際に、微妙に斜に構えた態度を取るムヤモトは常に、あとわずかで反逆者の烙印を押されかねないギリギリの危うい道を歩み続けているのだ。このような状況は、火のカーストでは前例のないことだ。
コマンダーの中にはダークストライダーと共に戦うことを拒み、評議会にその旨を公然と告げる者まで現れている。だが、ダークストライダーの奇襲戦術と勇敢さの価値を認めるコマンダーたちもまた存在し、とりわけコマンダー・シャドウサンも後者のコマンダーの一人だと目されている。
試作装置「ストラクチャー・アナライザー」を支給された彼は、近年〈帝国〉の精鋭兵士「スペースマリーン」を相手に多大な戦果を実らせ、〈ゼイスト征戦〉から帰還した。彼の戦い方は確かにバトルスーツ着装者の取る戦法とは大きく異なるが、敵の強大な戦力を封じその息の根を止めるというムヤモトの戦法が、しばしばタウの勝利に大きく貢献している事実を否定する者は、皆無である。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P50 イラストより
- 「アゥン=スィ」
【概要】
部門としてその名も高き「ヴィオルラ家門」から深い敬意を捧げられる不撓不屈のエセリアル、アゥン=スィ。彼は多くの開拓前哨地に赴き、そこで数多くのタウの戦意を鋼鉄の如く鍛え上げてきた。
無数の戦いを経てきた寡黙なる英雄アゥン=スィは、心中では平穏な隠居生活を望んでいたが、課せられた務めが彼を戦いの場に引き止め、また彼自身も〈大善大同〉の理想に向かって更に邁進する道を選んだのであった。
彼が見せる献身ぶり、そして戦いの儀式や軍事訓練にも徹底して参加する姿勢は、あらゆるタウの規範として火のカーストから大いに賞賛されていた。彼の長い軍歴と多くの偉業によって、アゥン=スィは火のカーストから“勝利の象徴”とも見なされており、彼は赴く先々で、深い崇敬の念と恭しき儀礼によって迎えられたのである。
【フィオ=ヴァシュの伝説】
アゥン=スィをタウ・エンパイアの英雄の座へと躍進させる戦いが起ったのは、彼が第一線から退き、自らのカーストの寺院で瞑想に耽りつつ余生を送ることを選択できる年齢に近づいた時であった。多くの功績により、アゥン=スィは「アゥタール」の楽園惑星で余生を過ごす資格を認められていたのである。
それは〈大善大同〉の実現に大いなる寄与をもたらした者のみ許される、無上の栄誉だ。そのような彼に与えられた最後の任務は、「ケルティア」と名付けられた入植地の支援であった。
入植した惑星がオルクによって汚染されていることが明らかになり、タウ植民都市の開発には遅れが生じていたが、増援部隊の到着と、対異種族戦の豊富な戦闘経験を持つアゥン=スィの指導によって、ファイアウォリアーたちは惑星最大の大陸からオルクを駆逐する事に成功した。これによって地のカーストが大都市の建設と、ケルティアの天然資源採取をより活発に行うことが可能となったのだ。
だがアゥン=スィは、最後の視察旅行の途上で、オルクの罠にかかったのである。彼が身を置いた「フィオ=ヴァシュ」の居留基地は、オルクの大軍勢によって包囲されてしまった。
オルク族長が「シャス=ヴレ」の首を刎ねるのを目の当たりにし、恐慌状態に陥るファイアウォリアーたち。だが、そこで猛然と身を翻したアゥン=スィは、名高き誉れの刃を振るってオルク族長を真っ二つに断ち割ると、まだ痙攣の止まらぬ死体の半身を、武器の両端の刃でそれぞれ突き刺し、高々と掲げて見せたのである。
この猛々しさに熱狂したファイアウォリアーたちは、ただちに防衛ラインを再構築したという。オルクは何度も撃退され、従来建設されていた境界線まで退いていた。
だが、死体の山がどれだけうず高く積み上がろうとも、グリーンスキンたちは手の届く所にあるタウの防衛ラインに対して攻撃を止めようとはしない。そんなオルクと対峙するため、アゥン=スィはその身を戦いの最前線に置き、疲れも見せずにこの獰悪なる異種族を叩き斬り続けたのである。
だが、それでもなお、オルクたちは果てしなく押し寄せ続けた。何度目であったものか、遂にオルクが目前に迫り、もはやこれまでかと思われた時、フィオ=ヴァシュに新たな救援部隊が到着したのである。
救援部隊は、フィオ=ヴァシュにただ一棟残っていた建物に到着すると、わずかな生存者を守ってアゥン=スィが立ち続けている姿に驚きを隠せなかったという。彼の刃からは、オルクの体液がおびただしく滴り続けていたということだ。
【生涯現役へ】
アゥン=スィの武勇譚は瞬く間に広まった。タウ・エンパイアに新たな英雄の存在が必要不可欠である事を熟知していたアゥン=ヴァの前に、日のカーストの間で生ける伝説となったエセリアル、すなわち〈フィオ=ヴァシュの救世主〉が現れたことを意味していた。
このような偉大な戦士をみすみすと隠居させることは許し難く、アゥン=スィは今後もその勤めを果たし続け、新たな遠征を続けるべき旨が宣言されたのであった。かくして、〈驚異の老師〉アゥン=スィは大いなる恩寵を火のカーストにもたらし、〈第三天球拡張〉の最前線において、彼らを更なる勝利へと導くこととなったのである。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau_Empire) P47 イラストより
〈先見者の隔絶領〉(ファーサイト・エンクレイヴ)
“私はお前たちが信じないであろう物事を目にしてきた。惑星全土が炎に包まれる光景、虚無の淵に連なる超新星爆発、宇宙空間に穿たれた大いなる穴。私は変わった。私は今や見捨てられ追放者の身・・。”
司令「オ=ショウヴァー」 自らの音声を録音す
【概要】
タウ・エンパイアはダモクレス湾の対岸部の星系群を〈禁断の領域〉と呼び、何度も探査機を送り込んできた。この調査に赴いて無事に戻った探査機は殆ど存在しない。
この領域に漂う奇妙な渦と予測不可能なエネルギー流が調査船に損傷を与えたり、漂流させてしまうからである。だが実のところ、それ以上の探査機が、自軍側の宇宙船以外の侵入を阻止する衛星軌道防衛基地から攻撃を受け、破壊されているのだ。
環状に配備された堅牢な宇宙要塞をいくつも超えると、その先に〈先見者の隔絶領〉が存在する。シグナルを何とかタウ・エンパイアへ送り返すことに成功した数少ない調査船のデータを分析した結果、〈先見者の隔絶領〉には建造物が密集した多数の人口を抱えた惑星がいくつも連なっていることが明らかになった。
これらの建造物には、入植ドームを中心に配備された複数の衛星都市や、工場群へと姿を変えた月面基地などが含まれている。かつて“先見者”の大連合軍が最後にオルク軍を追撃していく姿を目撃された時、彼らは出身家門のシンボルマークを帯びていた。
それは主に「ヴィオルラ」のものだったが、それ以外にも「サ=シーア」や「タウ=ン」など、他の家門も複数見られたものだった。だが数世代を経てから得られた最新の調査映像を分析すると、〈先見者の隔絶領〉の軍や戦艦は、タウ・エンパイアがかつて使用されていたものとよく似たシンボルや識別章を付けていることが明らかになったが、詳細な色や模様は解明されなかった。
遠く離れた入植惑星と同様に、〈先見者の隔絶領〉で使用されている多くの装置や装備は、多少時代遅れであり、ちょうどファーサイトが姿を消したころによく造られたものと似ている。だがそれと同時に、この領域内には本来タウ帝国において重要機密扱いのはずの最新テクノロジーや試作バトルスーツなども存在しているという、大きな懸念を呼ぶ証拠も見出されている。
彼らはこれらの最新鋭装備をタウ・エンパイアから盗み出したのか、あるいは〈大善大同〉に背くものがタウ・エンパイア内部におり、〈先見者の隔絶領〉を陰ながら支援しているのか・・。その事実が究明するまでには、まだいくらか時間が必要だ。
【禁忌の英雄】
タウ・エンパイアでは、堕落した英雄であるコマンダー・ファーサイトについての言及を避けたり、彼を臆病故に敵前逃亡している姿で書くなどして歴史を描き直そうとしているが、既存の家門の中には依然として“先見者たる司令”を支援する動きがある。特に彼の故郷である「ヴィオルラ家門」出身の火のカーストの多くは、オ=ショウヴァーに対して偉大な先駆者のイメージを抱き続けている。
もちろん、エセリアルたちの前でこのような異議を大っぴらに唱えようとするものなどいないのだが。導師至高評議会は、銀河平面上の西方に対する旅行や通信を禁じてきた。
エセリアルと傭兵部隊からなる特別会議は、〈先見者の隔絶領〉と連絡を取ったり擁護している疑いがある者は、その後いずこかへと姿を消すのだ。時折、真紅のバトルスーツを纏い〈先見者の隔絶領〉特有の識別章を身に帯びた戦士が、タウ・エンパイア内で目撃されることがある。
このような事が起こると導師至高評議会は、まだ戦闘や衝突が発生していないにもかかわらず、非常事態宣言を発令するのだ・・。
画像出典:キャンペーンブック「War Zone Damocles: Mont'ka」 より
【八勇傑(ジ・エイト)】
【概要】
八勇傑は一体となって戦場を駆ける。彼らが身に纏っているバトルスーツのうちいくつかには、タウ種族がこれまで開発してきた中でも最も強力な技術の数々が投入されている。
大胆にして不適なる八勇傑は、“先見者たる司令”にとって最良の戦士であり、また助言者でもある。彼らは数十年に渡って戦いを共にした経験から生まれる完璧な連携と共に戦うのだ。
【勇猛果敢なる先見者】
“先見者たる司令”ことコマンダー・ファーサイトが戦場へと赴く時、彼は常に迅速さを重んじる。彼は「モント=カ」、すなわち最適な目標を素早く特定し、全力をもってこれを撃破する戦術の達人である。
ファーサイトは自ら先頭に立ち、上空に展開しているマンタ級ミサイル駆逐艦から強襲を敢行するのだ。ジェット推進を利用し、ファーサイトはあらかじめ注意深く選定した攻撃目標へと直接降下する。
敵の意表を突いて激しい攻撃を仕掛けることこそ、強襲の肝であるからだ。空中からプラズマライフルで射撃し、着地と共に敵をバトルスーツの重量で踏み潰すと、ファーサイトはまさしく暴風雨の如く敵へと襲いかかる。
彼は愛用する「暁の刃」で一薙ぎすると、刀身に宿ったエネルギーが一人残らず倒れ臥すまでその動きを止めることはない。ジャンプジェットを点火すると彼は天高く飛翔し、プラズマライフルから放たれる青いエネルギー弾によって獲物を正確に仕留めていく。
【八勇傑の仲間たち】
そしてファーサイトの背後には残りの八勇傑が控えており、各々のやり方で敵に死と破壊をもたらしているのだ。八勇傑のメンバーの間にはそれぞれ装備や戦法の面で大きな隔てりがあるものの、そうした違いをむしろ互いを補い合うために用いることで、彼らは完璧な連携を保つことが可能である。
彼らの用いる装備や支援システムは時と共に変化し続けているが、それでもそれぞれの将には独自の専門分野が存在し、たの勇傑もそれを深く理解している。“灯星たる副指令”はバトルスーツが着地するのも待たずに戦場を火炎で覆い尽くし、八勇傑の行く手を阻む者を焼却する。
一方で“光剣たる司令”の両手に装備されし「フュージョンブレイド」は、戦車の装甲を蝋細工のように溶解させてしまうだろう。“勇猛なる嵐の司令”はプラズマライフルで撃ち抜きつつ、大型目標には勇壮なる「オナガー・ガントレット」の一撃を加える。
戦地の後方では、“シャス=ヴレ・オブロタイ”が連射性に優れた「ハイイールド・ミサイルポッド」にて砲撃支援を加えている。オブロタイのAIは複数の攻撃目標を同時に攻撃することが可能なのである。
一方、前身を対歩兵武装で包んでいる“アーラ=コン”は最前線で戦うことを好む。飛び跳ねるようなジェット推進が輝くたび、アーラ=コンの去った後には数多くの遺骸が残される。
アーラ=コンがもたらす殺戮はあまりにも大規模であり、彼の戦った場所では死体で地面が埋まるほどだとまで言われている。しかし八勇傑の中で最も大規模な死と破壊をもたらす者といえば、“オ=ヴェサ”をおいて他にはない。
そびえたつような「XV104 リップタイド・バトルスーツ」は、主兵装たる「イオンアクセラレイター」から超圧縮されたエネルギーの猛爆を解き放つのだ。“シャス=ウォ・シャ=ヴァストス”は、プラズマライフルによる援護射撃を加えながらも敵の動きを読み取り、その戦術情報を中継する事で、八勇傑の“モント=カ”による強襲を支援し、敵の急所に圧倒的な破壊をもたらすのである。
【〈大善大同〉に従わぬ者】
タウ・エンパイア公式には叛逆者とみなされているものの、八勇傑こそはタウの戦士文化を体現する存在に他ならない。彼らにとって倒し得ぬ敵など存在せず、勝利し得ぬ戦いもまた存在しない。
彼らもまた、主流派と同様にタウ種族の覇権のためにその身を捧げており、そうした信念こそが、“先見者たる司令”ことコマンダー・ファーサイトの最精鋭たる八勇傑を度重なる勝利へと導いてきたのである。
画像出典:キャンペーンブック「Psychic Awakening: The Greater Good」P41 イラストより
- 「コマンダー・ファーサイト」(先見者たる司令)
「信仰とは確かに強きものだ。それは認めよう。だが、我らには我らの信仰がある。我らは同族を神として祀り上げるのではなく、同胞の宿命が分かちがたきものであるということを信じているのだ。」
【概要】
〈先見者の隔絶領〉の指導者でもあり総司令官でもある「オ=ショウヴァー」こと「先見者たる司令」(コマンダー・ファーサイト)は、タウの歴史の中でも評価の分かれる人物はいないだろう。ヴィオルラ家門の名高き戦士“先見者”。
彼が収めた最大の勝利は、惑星「アルクナーシャ」の赤き砂漠で繰り広げられた、オルクとの一台決戦においてのことだ。この戦役において、バトルスーツに身を包んだオ=ショウヴァーは、優れた戦術の才を発揮し、指揮する部隊より数百倍も数で勝る敵を撃破したのである。
師匠である“清流たる司令”に直接師事した彼は、地形を巧みに利用する方法と、勇猛果敢な一発の決定的攻撃によって敵軍を沈黙させる重要性を学んだ。またオ=ショウヴァーは遠距離攻撃を好まず、火のカーストの戦士たち特有の攻撃精神を鼓舞し、指揮下の部隊を率いて激しい近距離戦を挑み、多くの勝利を重ねていった。
そしてオ=ショウヴァーが見せた優れた戦術の数々により、彼は家の名高き“先見者”(ファーサイト)の通り名を得ることになったのである。
【問いかけの時代】
“清流たる司令”のもう一人の弟子、司令「オ=シャセラ」が率いる軍隊と共に、“先見者”の率いるハンター・ケードリはダモクレス湾の支配権を賭けた熾烈な戦役に出撃し、家門惑星「ダル=イス」への〈帝国〉軍侵攻を撃退せしめることに貢献した。オ=ショウヴァーがくり出す痛烈な攻撃は、次にどこに加えられるかを予想するのが極めて困難であり、〈帝国〉の軍勢は大きな同様に陥ったのだ。
だがダル=イスから〈帝国〉の軍勢を撃退する事に成功したとはいえ、タウ・エンパイアもその後、不穏な時代を迎えることとなってしまった。これまでは自らの方法論や能力の優越性に疑いを抱かなかったタウだが、彼らは新たに入植したばかりの惑星の多くをこの戦役の中で征服され、あまつさえ家門惑星の一つに直接侵攻を受けるという、ただならぬ事態に直面していたからだ。
エセリアルたちは、この時代を「ノント=カ」、すなわち「問いかけの時代」と名付けた。そしてエセリアルの説くタウの優越性に疑念を抱き始めた者がいることに気付いた彼らは、新たなる英雄を探し始めた・・。
タウの拡張精神に再び火をつけ、タウの正統なる運命、すなわち〈大善大同〉の究極の勝利を再構築するために。
【先見者の台頭】
ダル=イスでの勝利から間もなくして、導師評議会は最近失った入植惑星奪還のために大規模な再攻勢を命じた。多くの優れた司令たちが先遣隊の総司令官候補となったが、最終的にはコマンダー・ファーサイトがその優れた戦歴と劇的な勝利をもたらす才能を買われ、正式な儀式を経て導師至高評議会によって総司令官に任命されたのだ。
さらに水のカーストの率いる大規模なプロパガンダ活動が功を奏し、コマンダー・ファーサイトの率いる大連合軍を後押しした。これは極めて大規模な艦体と地上軍そして入植艦からなり、おそらく当時のタウ・エンパイア史上最大規模のものであった。
遂に〈帝国〉軍との大規模な戦役が開始されたが、その戦果を改ざんしたり粉飾したりする必要など全くなかった。続く数々の戦闘において、コマンダー・ファーサイトはその比類なき才能をいかんなく発揮したからだ。
〈帝国〉の軍勢の大部分は、他星区で継続中の戦役へと投入されていたため、タウ軍は瞬く間に星々を奪還し、これらを再び支配下に置く。コマンダー・ファーサイトの発揮する洞察力は超常的な予知能力にも匹敵するほど冴え渡り、苛烈な攻撃を加えるべき時、及び巧みな機動戦術や奇襲作戦を実行すべき時を完璧に見極めていた。
かつて清流たる司令が数々の勝利を収めた絶頂期以来、タウ・エンパイアがたった一人の戦士の行動によりこれほどまで沸き、これほどまで固く団結したときは無かったという。
【溝は深まる】
だが、〈先見者の遠征〉と名付けられたこの戦役は、予期していなかった新たな困難に直面する。〈帝国〉との戦いを続けるタウに対し、オルクが攻めてきたのだ。周辺にはオルクの侵攻を阻止するための防衛戦力が存在しなかったため、オルク率いるグリーンスキン軍は思うままに襲撃を加え、残虐なオルク大族長の気まぐれな侵略の手が近隣の諸惑星に及んだのである。
コマンダー・ファーサイトは再入植任務を放棄すると、オルク軍と対峙した。彼は与えられた戦力を駆使し、以降十年間にも渡って、多くの星々でオルクとの死闘を繰り広げたのである。多くの戦闘がタウ・エンパイアの境界外で勃発し、コマンダー・ファーサイトはこの新たなオルクとの戦争に没入した。
その中で幾多の勝利を収めたにもかかわらず、ファーサイトの心は苦々しさにあふれていった。彼は、この遠征軍が必要とする支援を十分に受けられていないと感じていたのである。彼に従う忠実な弟子たちも、ファーサイトの意見に強く同意した。
そして彼自身も密かに、霊のカーストに対して不信感を抱いていた。彼らは自らのカリスマ性でタウ・エンパイアを統率しているだけではなく、もっと良からぬな方法でタウ全体をまとめているのではないかと疑うようになった。
一方、遠く離れた惑星タウでは導師評議会が開催され、次なる一手が話し合われていた。多くのエセリアルがこのあまりに強靭な意思を持つ総司令官に対して不安を抱き、両者間の物理的距離とは関係なく、コマンダー・ファーサイトと自分たちとの剥離が徐々に大きくなっていることを感じ取っていたからだ。
アゥン=ヴァでさえも「我らの意に従わぬ“先見者”を総司令官の任から解任し、呼び戻すべし」との結論に達した時、新たな悲劇がタウを襲う。
【タウ・エンパイアとの決別】
その悲劇は、謎の古代文明の遺跡や廃墟と化した寺院を除き全域が荒れ果てた砂漠に覆われた惑星「アーサス・モロック」でオルク軍との戦闘が続けられている間に、ダモクレス湾の外縁部で起こった・・。
“先見者”の遠征に加わっていたエセリアル全員が正体不明の怪物に殺害されたのだ。神秘的なポータルから出現した敵から容赦ない攻撃を受けたコマンダー・ファーサイトは、彼は戦意を失うことなく、まずは自分たちを襲った怪物どもの正体を探るために一時撤退し、しかる後に報復攻撃を行うことにした。
コマンダー・ファーサイトはその恐るべき未知の敵と交戦し、それらを退けるために遺跡に眠っていた謎の武器「暁の刃」を用いてポータルを閉じ、辛くも戦闘に勝利した。この時、ファーサイトはエセリアルたちが語る理想よりもはるかに大きな脅威が存在する事に気が付いたのだ。
この惑星から敵が一掃されたことを受けて、ファーサイトはさらに前進を続け、退却するオルク軍を追い続けた。だが彼のこの行為は、タウの厳格な掟に違反する行為であった。
何故なら随伴するエセリアルの導きを失った場合、至高評議会に直ちに報告し、新たな命令を待たなくてならないというのが、火のカーストの司令の義務であったからだ。ほどなくしてファーサイト率いる遠征軍は、最先端の機能を誇るタウ通信網ですら届かない領域へと入り込み、タウ・エンパイアの勢力外で戦闘を開始する。
そこから数年後、ファーサイトからの通信は完全に途絶え、消息不明となった。「連戦連勝を誇った司令官もついに倒されたのだろう」「タウ・エンパイアの星々から遠く離れた惑星で、敵の手にかかって果てたのだろう」と結論が下された。
この偉大なる英雄の死がタウ・エンパイア中に放送されると、全家門に属する全てのカーストは頭を低く垂れ、冥福を祈ったのだ。
【〈先見者の隔絶領〉】
だが、実のところコマンダー・ファーサイトは生きていた。タウ・エンパイアの懐へ帰還するよりも、自らの遠征を追求する事を固く決意したファーサイトは、タウ・エンパイアから長らく放置されていたダモクレス湾の対岸領域に数々の要塞を築いたのだ。
現在でもなお、長距離無人探査機からの散発的なシグナルが至高評議会に届けられ、その領域は〈先見者の隔絶領〉として知られて存続していることが確認されている。彼のために製造された初期のクライシス・バトルスーツから発せられる固有の「シグネイチャー・シグナル」や長距離映像によって、ファーサイトが未だ健在である証拠もいくつか認められている。
だがこれは、新たな混乱と謎を招く事にもなった。なぜなら、これらの情報が事実であればファーサイトは少なくとも三百年以上は生存し続けてきたことを意味しているからだ。神秘的な存在であるエセリアルたちを除けば、この三百年という数字は、一般的なタウの寿命から見て明らかに長すぎるからである。
しかし、実のところファーサイトは”ある遺物“によってその長寿命が実現している。それはファーサイトがアーサス・モロックの遺跡で入手した魔剣「暁の刃」の魔力によって寿命が永らえ、通常のタウよりも長い時を生きることが可能となっていたのだ。
彼は独自の領地〈先見者の隔絶領〉で指導者として、そして総司令官としてタウ種族の新たなる道を切り開いていくこととなる。
画像出典:キャンペーンブック「Psychic Awakening: The Greater Good」P50 イラストより
- 「コマンダー・ブレイヴストーム」(勇猛なる嵐の司令)
【概要】
“勇猛なる嵐の司令”は惑星「ダルイス」における「ブラックサンダー・メサ」の戦いにて致命傷を負い、生命維持装置への接続を余儀なくされた。その宿命の日より以来、戦火に焼き焦がされしこのタウは、生命維持繭を「XV8-02 クライシス・イリジウムスーツ」に埋め込むことによって、バトルスーツ内でのみ生きられる体となったのである。
その苦境にも関わらす、ブレイヴストームは〈大善大同〉への情熱も明敏なる頭脳も失うことはなかった。戦場における彼の卓越した戦技と大胆さは他に並ぶものがない。
何しろ彼は既に恐怖も、そして死そのものも一度乗り越えているのだ。しかし、「第二次アグレラン戦役」にて〈帝国〉の暗殺者「ヴィンディケイター」はファーサイトを狙撃しようとした際に、ブレイヴ・ストームがその身を庇ってファーサイトを守って戦死した。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P97 イラストより
- 「コマンダー・ブライトソード」(光剣たる司令)
【概要】
“光剣たる司令”ほどの効率性を持って敵に死をもたらすことのできる者は数少ない。左右一体の「フュージョンブレイド」を帯びた彼は、配下の即時介入部隊を前線にて指揮し、その狡猾さによって数々の軍功を立ててきた。
この称号はこれまで数多くの戦士たちが背負ってきたものであり、当代の“光剣たる司令”もまたその伝統の重みを裏切るまいと誓っている。戦場において彼は常に最も強大な敵を第一目標として定め、ひとたび狙われたが最後、敵が彼のフュージョンブレイドから逃れる術はない。
彼はこれまで数々の巨大兵器や強大な怪物を撃破しており、その攻撃的な戦闘姿勢はファーサイト自身の戦術を原型にした者である。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P98 イラストより
- 「シャス=ウォ・シャ=ヴァストス」
【概要】
コマンダー・シャ=ヴァストスは“清流たる司令”の「記憶ニューロチップ」の最初の適応例となった戦士である。しかし何らかのトラブルにより、この試作型チップに急速な変異が発生してしまう。
無理やりチップを外せば廃人になってしまうため、外科手術を施すことを良しとしなかったファーサイトは、治療法が発見されるまで彼をステイシス装置でとどめておくことにした。幾十年の後、ついにファーサイトはニューロチップの再調整技術を手に入れ、シャス=ウォ・シャ=ヴァストスを覚醒させることに成功する。
こうして圧倒的な戦術能力を獲得したコマンダー・シャ=ヴァストスは、戦場に足を踏み入れる前から敵の戦闘計画を見抜くほどの戦略眼によって、部隊を次々に勝利へと導いていったのである。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P99 イラストより
- 「シャス=ウォ・アーラ=コン」
【概要】
「X85 エンフォーサー・バトルスーツ」に身を包み、数々の対歩兵武装を帯びて戦う「コマンダー・アーラ=コン」はいかに大規模な歩兵部隊であろうともたちまちに壊滅させることが可能である。“光剣たる司令”に大型目標を任せ、アーラ=コンは代わりに敵歩兵部隊を標的とする。
分析を重んずるアーラ=コンは、他の八勇傑たちに過去の戦いのホロビデオを見返し検討するよう勧めている。戦闘技術をたゆまず磨き続ける事こそ、彼の目標であるからだ。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P101 イラストより
- 「ブロードサイド・シャス=ヴレ・オブロタイ9-0」
【概要】
八勇傑と土のカーストの整備チームの他に知る者は居ないが、「ブロードサイド・バトルスーツ」たる「オブロタイ9-0」は血肉を持つ存在によって操縦されているわけではない。このブロードサイドは、かつて実在していた「シャス=ヴレ・オブロタイ」を再現した最新型AIによってコントロールされているのだ。
火のカーストの訓練ドームにおいて、若き日のファーサイトにバトルスーツ操縦技術の手ほどきを行ったのがかつてのシャス=ヴレ・オブロタイであった。「ヴェロシティ・トラッカー」と「改良型スキャンフィード」により、オブロタイ9-0は他の八勇傑に正確無比な援護射撃を提供するのだ。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P100 イラストより
- 「サブコマンダー・トーチスター」(灯星たる副指令)
【概要】
タウ・エンパイアからの亡命者である“灯星たる副指令”は、八勇傑の中で最も若く、その気性の激しさで知られている。2門のフレイマーを構え、彼女は無貌なまでの勇敢さで敵陣へと突撃していくのだ。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P102 イラストより
- 「オ=ヴェサ」
【概要】
八勇傑の末席に座するのがオ=ヴェサである。彼はシャス=ヴレでないどころか、そもそも火のカーストですらない。
彼はファーサイトの志に古くから共鳴せし土のカーストの技術者であり、高齢ゆえ自らの発明品である「マイクロドローン」によってなんとか生き永らえている状態だ。ファーサイトが火のカーストの伝統を頑ななまでに堅守していることを考えれば、他のカーストのタウが栄誉あるバトルスーツ、それもほかならぬ「XV104 リップタイド・バトルスーツ」の操縦者として選ばれるということが如何に例外的な措置であるかが分かるだろう。
それほどまでにこの二人の絆は強いのだ。彼のリップタイドの操縦席には彼自らが開発したAIソフトウェアの数々が組み込まれており、この技術的至宝を用いた操縦及び照準補正によって、彼は火のカーストが生涯かけて磨き上げる訓練や戦闘経験の欠如を補うのである。
画像出典:コデックス「Farsight Enclaves」(電子版)P95 イラストより
タウ・エンパイアの兵種と兵器
タウ・エンパイアには最新鋭のAIやプラズマ技術を始めとした先進的な兵器を多く配備している。ドローンによる自動射撃や反重力車両、安定したプラズマ兵器など、土のカーストが生み出した数々の兵器によってタウ軍の屋台骨を構成している。
中でも主力となる高機動・高火力を持つ人型ロボット兵器「バトルスーツ」は様々なバリエーションを誇る。そして、それらの兵器を用いる火のカーストの精鋭兵士は厳しき訓練と合理的な戦術を叩き込まれ、代々伝授された〈火の掟〉を元にタウ軍が構成されている。
〈大善大同〉を実現するタウ軍の戦力についてはこちらを参照されたし。
小ネタ
元々タウ・エンパイアの陣営は1990年代初頭に「Gavin Thorpe」氏によってベースとなる種族が考案され、最初はウォーハンマーFBに登場する「リザードマン」的なキャラとして設定付けされていった。その勢力は「シシエル」(Shishell)と呼ばれ、5つのカースト(地、空、火、水、霊)で構成された種族で、異能者(サイカ―)のカーストによって支配されているという設定が作られてる。
後の1999年に40Kの新たなアーミー開発を依頼されたGavin氏がシシエルのコンセプト設定を新たに練り直して考案されたのが、タウ・エンパイアとなる。その際にはアエルダリと区別をつけるため、サイキック設定は無くなってしまった。
今までウォーハンマー40Kを含むゲームズワークショップの作品は''トールキン氏の代表作である指輪物語シリーズに大きく影響を受けており、ウォーハンマーFBではエルフ(種族)やドワーフ(種族)といったキャラクターがそのまんま出てきている。それに対しタウ・エンパイアの文化や技術は日本のSF作品から大きく影響を受けた独自の種族として描かれている。''
これは他のウォーハンマー40Kの種族の持つ全体的なスペースファンタジーというテーマに興味を持たない人々を引き付けるための新たなアプローチとして実施された。
出典:「Gavin Thorpe」氏のブログ2017年6月26日の「The Origins of the Tau*」の記事にて。
何人たりともタウ・エンパイアが全てを統一することを疑うなかれ。何人も今や我らが支配する時代であることを疑うなかれ。進め、〈大善大同〉のために!
導師「アゥン=ヴァ」
多層都市「アグレラン」の廃墟の頂にて 火のカーストの狩猟部体を前にして演説す
追記・修正は〈大善大同〉に賛同してからお願いいたします。
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▷ コメント欄
- 銀英伝の自由惑星同盟の絶頂期を思い出した。まああっちと違って、多種多様な敵種族がアホほどいるからそうそう内部腐敗はしないだろうけど -- 名無しさん (2021-08-13 23:22:23)
- タウくん、いかんせん比較相手が異種族はすべて抹殺の帝国とかだったせいで最初期は共産主義だとか、でも帝国よりマシやろ、サイキックいないから混沌の腐敗も少ないしとかで物議をかもしたらしい(最近は適度に闇があることがあかされてるが -- 名無しさん (2021-08-13 23:27:45)
- 東方宇宙で発展=東アジア、目小さい、鼻無い顔=黄色人種、辮髪、人名の響き=中国、カースト制=インドやろな -- 名無しさん (2021-08-14 08:27:12)
- ファーサイトの真意とか、ヴェスピットは洗脳してるっぽいとか、結局エセリアルはフェロモンで同胞を従わせるっぽいとか、いずれは直面するケイオス汚染とか、きな臭い問題が絶えない奴ら、 -- 名無しさん (2021-08-14 08:32:09)
- 領土少ないとはいえ、ワープ技術ないと星間移動に何百年もかかって、救援とか手遅れになりそうだけでどうなんだろう? -- 名無しさん (2021-08-14 08:46:39)
- 設定読んでてスタートレックの惑星連邦っぽい勢力だと思った -- 名無しさん (2021-08-14 12:10:38)
- タ=シーロ宇宙要塞で噴いたwww -- 名無しさん (2021-08-14 12:34:18)
- どの勢力の項目でも必ず出てくるオルクが凄すぎる -- 名無しさん (2021-08-14 17:40:54)
- 「正式なフルネームは役職や自身の出自に深く関わる土地の名前が並び、凄く長くなる」ってなんだか身分の高い武士みたいだなあ -- 名無しさん (2021-08-14 20:13:03)
- ウォーハンマー40Kの項目はどれも全力で気合が入った作りで好き -- 名無しさん (2021-08-14 20:35:03)
- ただいくらキナ臭くても帝国の方が普通にやばいんだよな…。項目にもあるがタウから見ると帝国人民明らかにつらい方を選ぶので理解できんってなってるところとか -- 名無しさん (2021-08-14 23:46:46)
- 人類やアエルダリと比べて割とスマートにティラニッドやオルクを撃退しているのね -- 名無しさん (2021-08-15 00:08:32)
- 帝国は皇帝がほぼ半死状態になって宗教の統制が出来なくなってから壊れてしまった -- 名無しさん (2021-08-16 19:14:54)
- 帝国とタウ双方が多少でも譲歩すれば共存共栄は可能な気がする -- 名無しさん (2021-08-16 19:41:55)
- ↑ゼノ排斥を妥協した人類帝国はもう人類帝国じゃないし、大善大同を妥協したタウエンパイアもタウエンパイアじゃないから・・・多少共存できてるAoSと違ってとりあえず隣は殴れが40kクオリティ -- 名無しさん (2021-08-17 21:48:11)
- というか、そろそろ死に体の人類もエルダーも宿敵と相打ちになって、きれいさっぱり後進にゆずるべきでは -- 名無しさん (2021-08-17 21:49:21)
- ↑帝国ではグィリマンが目覚めてくれたんだ、これからマシになっていくんだ、悔しいだろうが仕方ないんだ -- 名無しさん (2021-08-17 22:02:20)
- ろくな種族が居ないなこの宇宙 -- 名無しさん (2021-08-25 18:48:46)
- ↑3お前ら混沌への備えできていないじゃん(他の勢力が出来ていると入っていない) -- 名無しさん (2021-09-15 17:08:15)
- 他の勢力より良さそうに見えるのは気のせいかな? -- 名無しさん (2021-12-03 15:28:49)
- もしかしたらタウ・エンパイアは“今は”他の種族の文明より幸福度が高いのかもしれないけれど、まだ「スラーネッシュ神を産み出してしまう前のアエルダリ」「ホルスの大乱が起こる前の帝国」に当たる時期という疑いもありそうな……まだ新鋭種族だから躍進と繁栄に満ちているかもしれないが、先達のように取り返しのつかない衰退や退行・停滞の過ちを自ら引き起こしてしまう時がいずれ来てしまうかもしれないんじゃ…… -- 名無しさん (2021-12-04 21:10:20)
- 開示されてる情報だと現時点で一番マトモに見える種族 -- 名無しさん (2022-12-15 03:10:41)
- 帝国が「重罪人を改造してコンピュータ代わりにする」なんてえげつないことやってまで過度な人工知能忌避に陥った原因の一つが「皇帝による銀河再進出以前に人工知能の反乱がおこった時代もあったから」らしいけれど、まさかタウもいずれは…… -- 名無しさん (2022-12-15 21:27:26)
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